閣議後記者会見概要

H19.09.11(火)10:49~11:32 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。最初に閣議のご報告を行います。一つは、2016年の第31回オリンピック競技大会の東京招致につきまして、これは、閣議として了解いたしました。その他、特命全権大使の信任、その他の人事案件がございました。それから、自転車競技法に伴う政令が2点。更に、配付資料として、平成20年度一般会計の概算要求額の全体像、これは既に公になっていると思いますけど、そういうものが配られました。以上が、閣議の案件でございます。

質疑

記者:
横領事件なんですけれども、依願退職を認めて、退職金を支払った事例がかなり目立っていたんですが、国民の納得感からいうと、かなりこういうことで良いのかなという気がするんですけれども、これについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
まず、刑事告発については、何と言っても、時効7年の壁があります。それで、ご承知の案件、ほとんど時効の壁で刑事的には無理であると。社会的な常識からいくと、そんな身内に対して甘い処分で良いのかということでありますけども、金の面は、全額返済していると。それで、内部で穏便にという形で片付けてあり、しかも、基本的に免職ということであるわけで、気持ちとしては、ひどい処分だなと。これは、国民の感覚からすると、常識外だという気持ちもいたしますけども、遡及的に何かできるかというと、法的な手段もいろいろ考えていますけれども、極めて不可能に近い。私は、憤慨しているけれども、法治国家ですから、法を犯してまでできないということがあります。ただ、こういう形で、今まで世間で明らかになっていなかったことが、世の中に明らかになるということは、それだけでも少しの抑止効果を持つだろうと思います。それから、現に損害を被ってた場合の、民事的な損害賠償請求というのは、これは、その事案を知ってから3年ということなので、その解釈はいろいろありますけど、完全に損害、例えば、返済していないということであれば、確実にそれをやりたいと思いますけれども、一応、戻しているのです。全額返済しているわけです。だから、これは、日本の昔の村社会で何か不祥事が起こったときに、皆で少しずつお金を出しあって、まあまあという、村の恥が表に出ないようにという形で、処理してきたことが、そういう伝統があったのだと思います。しかし、もう民主主義の世の中であって、そういうことが許されることではありませんので、やはり世直しというか、国を変えるというのは、公務員の意識も、国民の意識も、そういうことは、許しませんよ。だから、臭いものに蓋では、駄目ですよと。そういうモラルの確立みたいなことを、やはり全国民的にやっていかないと、この国は、変わらないなということで、むしろ、そういう不祥事を表にきちんと出して、やるということが、その市町村の民度の高さですよということのコンセンサスを確立せざるを得ないと思います。だから、政官業の癒着とか、談合とかいうのも、全部そういう意識できているのです。だけど、こういう年金という、皆に一番関係のあるところで、まさにこの日本の、昔は褒められていた村社会的な体質の問題点が、露呈されたわけですから、これはもう、新しい時代に、21世紀になっているわけですから、きちんと変えていきたいと思います。
記者:
退職金を支払ったことについてどのように思いますか。
大臣:
これも非常に問題ですね。ですから、普通は、退職金を支払わないで辞めさせるということなのですけれども、懲戒免職という形じゃなくて、依願免職のような形をしているというのは、これも身内に対して、非常に甘い。これを、しかし、今から退職金戻しなさいということは、法的に可能かどうか。気持ちは、そういう気持ちなのですけども、法治国家の枠内でやりたいと思います。ただ、批判は、続けていかないといけないと思います。二度とこういう事を起こさない。同じことが起これば、厳正なる処分をして、その膿を外に出して、そして、退職金を出すなんてことは、とんでもないということをしっかりと確立したいと思います。
記者:
総理が、職を賭してとか、職責にしがみつかないという発言をされていますが、内閣の一員として、どのように受け止めていらっしゃるか。
大臣:
それは、総理の決断ですから。つまり、国際社会における、日本の役割がこれだけ重いものがある。そういう国際貢献を果たしていくということが、これからの国際社会で日本が生きていく道だと。私も含めて、そういうふうに確信しておりますから。それで、職を賭してでも、このテロ特措法の延長をやるという決断をなさったわけですから、それは、重い決断ですし、私の所管の範囲ではありませんけれども、私は、閣僚の一員として、その決定には、つまり、絶対これは、テロ特措法は延長すべきであるという決定には賛成だし、それは、ずっと安全保障の専門家として言い続けていた話ですから。内閣一体となって、そのために全力を挙げる。そういう覚悟であります。
記者:
年金着服の件なんですが、表に出すという話がありましたが、昨日会見でも、社会保険事務局の方に、各現場の方に再調査を指示すると。というのは、50件が全てだと言い続けてきてはいたんだけれども、それは、社会保険庁が把握している限りであって、倉庫に眠っている案件があるかもしれないという発言があったんです。50件全てと言い続けて、それだけの調査しかしていなかったのかと改めて思ったんですけど、その辺は、いかがですか。これからの調査含めて。
大臣:
それは、今の段階でできる調査をして、4,5日間で大急ぎでやりましたけれども、それでできる範囲で発表したのが、昨日のデータです。平成10年以前の問題については、もうそれは、意図的に隠したのかどうなのか、ほとんどデータが残っていない。従って、これは、我々が本来的にやらないといけないので、やっておりますし、今後とも調査を継続しろと言った意味は、ひょっとしたら、よく探したらどこかにデータが残っているかもしれませんよというようなことがありますし、それと、後は、国民サイドからいろんな噂を聞きましたとか、そういえば15年前になるけれども、この村で大変なお金を横領した人がいると、それが社会保険がらみだったよというようなことでもあれば、それは、そういうことも参考にして、調べていきたいということで、今の段階では、これが氷山の一角であると言い切れるかどうか。しかし、全くあれで終わりということも言い切れるかどうか。それが、不明で、平成10年以前は、それほどデータ管理がずさんだし、公表するということは決めていなかったわけですから。今は、公表していますから。いろんな意味でダブルチェックをかけていたりするので、そういう意味で、今後とも続けていきたいということを申し上げました。ぜひいろんな案件で、国民の皆さんにもご協力、知っていることがあったら、教えて頂きたい。そういうことです。
記者:
その調査結果は、再度公表されるんですか。
大臣:
もちろんやります。でき次第、必ず国民に公表するということです。
記者:
それは、どれくらいの目途で。
大臣:
今の段階で昨日出しましたから、今からやってみて、それは、何日ということは、言えません。新たなものがまとまれば、また出てくれば、その度にご説明申し上げるということです。
記者:
524万件の件なんですけども、あまりにも数が多いので不安の声が、やはり国民から上がっているのですが、名寄せ作業に影響は、ないのでしょうか。
大臣:
それは、ちょっとその背景をご説明を申し上げたいと思いますけども、まず第一点のポイントは、厚生年金なのです。さっき、計算してみたら、524万件の99.98%までが、厚生年金なのです。皆さん方にお配りした紙に何件何件という数字がありますから、これを後で計算して頂ければと思いますけど、とにかく、ほぼ100%という、1000件くらいのうち全部厚生年金だということが一つのポイントです。従って、なぜそうなのかということですけれども、厚生年金の作業というのは、ご承知のように、厚生年金がスタートしたのは、昭和17年、戦前なんですけど、もちろん手作業で、紙台帳でやっていました。それから、昭和32年からパンチカードというのを、今ほとんど記憶に皆さん無いと思いますけど、私が子どもの頃、パンチカードというのがありました。それから、昭和37年から、紙台帳は、紙台帳でずっと続けていったんですけども、今度パンチカードに換えて、磁気テープによって、中央で一元化の管理をしようということをやった。その磁気テープに名前と生年月日と性別、そして、基礎年金番号を書くということになっているのですが、事業所ごとにやるわけです。なんとか商店、なんとか工業所、株式会社なんとかという。例えば、田中商店というのがあって、田中商店に100人従業員がいました。そうすると田中商店さんで、ばーんと持って来る。その時に、田中商店の従業員でいちいち名前を書かなくても、番号で全部わかるだろうということで、番号だけを残しておく。ないしは、性別を書かなかった。最悪の場合は、名前も性別も生年月日、その3点セット何も書いてないのは、ごくわずかだけ。2点セットだけのもの。だけど、ほとんど大多数は、一つだけ書き忘れている。その中に、名前が無くてどうして分かるのですかということなのですけれども、ちょっと現物をお見せしますと、個人情報保護のことがあるから黒く塗っていますけど、どうですかと調べた時に、これ、名前、生年月日、性別というふうになっているのです。そして、ここに番号が書いてある。そうすると、場合によってその3つが何もなかったということがあります。今私が調査した時に。じゃあこの人は、どこの会社に勤めていたのかというのは、事業所ごとですから、すぐに分かる。次の紙をめくってみると、これだと。この人の番号は、何かというのは、番号は、確実に残っている。名前も生年月日も性別もなくて。それでこの人は、どこの会社かというのは、そこですぐ番号で分かるようになっています。事業所の番号が最初にきます。ざっとあけてみて、次に、どれだけ厚生年金を払いましたかというのが一覧表になって、これも数字を書いてあります。そうすると、その人の番号が分かります。番号で見ますと、次にこのデータには、何の何で、何年何月生まれ、性別、全部出ているわけです。そうしますと、要するに、事業所ごとになっているので、ある意味で、無くても分かるからということで手抜きをしていた面がある。そこで、このデータを見て分かるように、わざと情報が黒く塗りつぶしてありますけど、番号さえ分かれば、全部分かる。従って、そういうことをやりましたから、新しく年金をいただく人が、年間例えば、20万人くらい生まれるわけですよ。そして、20万人が全部厚生年金ですよ、全部事業所ごとだから、会社ごと100人とか200人とか大きいところは、500人とか、来たのが全部そうなっていると。この磁気テープで管理していた期間が、24年間あるのです。そうすると、今私がラフに言って、20万人くらい新しい人がいて、全部このシステムだと、24年かける20万だと、480か、だから500万くらいになっちゃうわけです。だから、多いというのは、そういうことなのです。それで、1000件を抽出してやって、普通の感覚だと500万件、多いなというけど、事情はそういうことなのです。そして、1000件やって全部データが出たというのは、こういうことだから全部出るのです。だから、それで、何が問題だったかというのは、磁気テープでやっていたのは、今のオンラインでコンピュータできっちりやります。それに変えたのが磁気テープがスタートしたのが37年の3月から。そして、オンラインシステムによる一元化になったのが61年の2月だから、24年間これでやっていて、オンライン化する時に、さっき言った、欠けていたらそこまで書けば良かったんですよ。オンラインにする時に全部分かるのだから。その時に性別、何も書けば良かったけど、そこで手抜きして、あまりに何千万件だから面倒臭いと思ったのでしょう。いちいちやらなくて、このままぼんと写しちゃったから、今のオンラインで見たら、名無しのごんべい、男か女かも性別も分からない。だけど、番号だけ分かるという状況なのです。それで、私も1000件やって、普通サンプルやったら2,3件くらい漏れがあるはずなのに、漏れがないというのは、そういうことなのです。そして、ちなみにここでチェックして、それでももし分からないという時には、例えば、仮にここでぼけっとした人がいて、生年月日を間違えて書いたと。本当にこの人かということが分からない時に、もう一枚データをめくると、ここに名簿があるのです。名簿があって、これは、事業所ごとの名簿ですから、田中商店と出てくるわけです。そして、この名簿は、会社が出したことを元にしていますから、さっきの生年月日で6月、8月が間違っていても、ここで原簿チェックができる。だから、そしていよいよ最後は、こういうマイクロフィルム。一番最初の紙台帳の原簿まで遡ることができる。従いまして、私がこれを調査しろと言ったら、今のこの一連の流れを見たらできますので、普通、一件について、1分か2分でできます。さっき言ったように、なんだこの人、生年月日違うじゃないか、困ったなと言っても、つまり、この紙で、ばっとめくって、この3枚目までいったら分かるので、ほとんど1,2分。ここまできたらもう分かるということなのです。ただ、手書きが、ぼけっとした人がいて、生年月日を間違えていて、さあ困ったと言って、次を見る、次の紙まで見るといって、一番かかったのが、15分ということなのです。ですから、それで逆算して、かなりスピードアップできるなと。これだけは、12月までにできますという計算は、根拠がないというわけではなくて、今言った作業なのです。だから、そういうことを、昨日、皆さん方に役所の方でご説明していなかったと聞いたので、私が、今説明をしたということなのです。お分かりですね。この仕組みが。それを国民に説明する必要があるのです。だから、524万件、それはびっくり仰天。だけど、なぜかというのは、そういう理由だと。1000件全部分かるというのは、なぜかというのは、そういう理由だ。なんでたった1分間でわかるかというのは、そういう理由だということですから、根拠がないというわけではありません。
記者:
それでは、これを3月までに完了させるためには、どれだけの職員が、一日に何時間作業をして、いつからいつまでやるのか。その工程とマンパワーを教えて頂ければ。
大臣:
これについては、今もう、あっという間にできます。それで、実際やってみて、それがまさに出ればいいのですけれども、だいたいの見積もりを今からやろうと思っていますけど、やってみないと分かりません。やってみないと分からないのと、今プログラムが11月くらいに全体のシステムエンジニアが作っているプログラムができつつありますから、それを稼働させてみる。稼働させてみて、ああこれじゃ人数足りないな、3月までに終わるために足りないなということになれば、そこで人員を補充すればいい話だと。そうしなくていいな、それから、人間を補充するということは、予算がいりますから、じゃあそのお金をどこから持ってくるのかということを。だから、例えば、今から建物を造ります、設計図を書いて、そして、機材が一ついくらであって、積み上げたらこのビルは、10億でできますというような、全部見積もりができるような話ではないのです。設計図が書けない、未知の領域にいくわけですから。だから、今のような説明を、今日私がやっような説明を節目節目でやります。それを積み重ねていけば、だいたい、いくらくらいかかるのかどうか。これは、本当に動かしてみないと分かりません。逃げているわけでもなんでもなく、動かしてみないと分からない。それは、計算して、そのたびに臨機応変に対応するという、設計図を書いて建物を造るのとは若干わけが違うのです。
記者:
前九州厚生局長の件なんですけれども、具体的にどんな根拠でどんな処分をお考えでしょうか。
大臣:
まず、今日、どこかの報道に、退職金を請求したというのがありますけど、これは、どういう処分を、ないしは、どういう要請をするかというのは、厚生労働大臣が行うことでありますから、私は、何も行っていません。従って、あれは、全くの誤報であります。きちんとした情報では、ありません。つまり、例の記事について、どの法律のどの条文に基づいて、それだけの金額を要求したかという根拠が何も、あの記事には、書いてありませんし、千数百万円としか書いていないので、私が要求する時には、1200万とか1500万という数字を出します。それから、私の所に取材が来てません。最終決断者は、私ですから、私に取材が来て、私が、こうだと言わない限りは、正確では無い。それで、今の状況を言いますと、国家公務員の倫理審査会、これと調整をしているので、ちょっと時間がかかっているのです。この国家公務員倫理審査会が、つまり、私が危惧しているのは、厚生労働省だけが勝手に国家公務員倫理法を解釈したり、勝手に適用すると、法治国家として問題がありますから。他の省庁で同じようなことをやった時にどういう処分内容で、どうであれということを比較考量して、これならば妥当だということを倫理審査会に諮って、そういう観点から今調整中なのですが、若干向こうの答えがくるのが遅れているので。本当は、昨日、今日くらいにやりたいというふうに思っておりました。それで、その結論を催促をして、ちょっと急いで下さいということを申し上げているので、急げって言ったって、こっちも今審査しているのだって言って、その答えが来週になれば、来週にならざるを得ない。しかし、私としては、倫理審査会の方に、できるだけ今週に、私は、決断を下したいので、その材料となる、そちらのご判断を速やかに下さいということを要求しておりますので、なんとか今週中に処分内容を決定したいと思っています。
記者:
厚生労働省としては、倫理法のどの部分に抵触するというふうにお考えでしょうか。
大臣:
基本的に、金品を、たとえ親戚であれ金品をもらう。多額のお金をもらう。そういうことが果たしていいのだろうか。国家公務員倫理法というのは、そういうことは、すべていけないことになっていますから。要するに、前局長の意見を擁護する立場に立つと、あれは、親戚なんだと、プライベートの関係で親戚付き合いの関係だから、公務員としてやったのではないというはずなのです、とずっと一貫して言ってきているわけです。しかし、そういうことは、私的な関係といえ、例外規定には、あたりません。国家公務員の倫理法に違反に当たりますというのが、私の判断です。従って、それに基づいて、それは、強制力はありません。強制力は、ありませんけども、もし彼が、現役の国家公務員であったならば受けたであろうと同等の処分に相当することを要請したいというのが、今の判断です。
記者:
社会保障カードの導入についてなのですが、社会保障カードは導入部会で、今後、検討を進めるのかということが一点。それから、今後の検討のスケジュール、粗々決まっていれば、そのことについて概要をお願いします。
大臣:
今回、なんとかこの年金問題の抜本的解決を図りたいというように思って、今、やっぱり反省してみて見ると、本省と外にある社会保険庁との間の連携がうまくいっていない。こっちに年金局があって頭脳はある。しかし、現場は現場であって、非常に連動がうまくいっていないので、今回、皆さん方に既に公表しているように、年金業務改革推進本部というのを、私を本部長として立ち上げまして、その中に、総括部会、年金記録適正化部会、この二つは西川副大臣に主管をさせる。そして、相談広報部会、これは松浪政務官にやらせる。日本年金機構設立準備部会、これは岸副大臣にやらせる。そして、もう一つ、社会保障カード導入部会というのを作って、これを伊藤政務官に主管をさせるという形で、五つの大きな部会を立ち上げて、それがタスクフォースとして、徹底した年金改革をやると。その下に、社会保険庁のスタッフも入って、省と社会保険庁と渾然一体となってやるということで、この社会保障カード導入部会を、既に設置をいたしました。そこで、今、基本的な制度設計を決めるために、年内に基本構想をまとまたいと思います。とにかく、社会保障に関係する、年金から、健康保険から、それを、要するに、一枚のカードにすると、外国で言うソーシャルセキュリティナンバーということなんですけれども、社会保障番号。そのために、社会保障カードのあり方に関する検討会、この問題の検討会、有識者を集めて、今、それを立ち上げることに決めました。9月末に第1回の会合を開きたいということで、今、人選を含めて、早急に指示をしたところであります。そういうことで、この検討会を中心にして、広く国民の意見を聞いた上で、やっぱり懸念される方はおられます。それで個人情報はどうなんだ、本当に便利なのか、問題ないのかと、そういうことを検討したいと思います。その検討で、今、私が指示したのは、三つぐらいのことを中心に検討しろと。一つは、やっぱりプライバシーの保護とか、セキュリティ確保をどうするかと。それから、二番目は、どういう制度設計にして、どういうインフラを整備するのかと。じゃあそのカードを持って行って、それぞれの市町村で、そのカードをどういう形で使うんだろうかと、そのためのインフラをどうするかと。ちょうど皆さん方、今、住民票の窓口に行かなくて、自分のカードを入れて、マシンで出ますね、ああいうこと。そうすると、そのマシンを整備するというようなことがあって。それから、三番目は、コストですね。どういう費用分担をするのかと、国民はどれだけ負担するんですか、国はどれだけ出すんですか、じゃあ市町村はどうですかというようなことで、これは総務省、市町村が関わりますから、総務省とも連携しないといけない。それから、ITの問題ですから、内閣官房のIT担当室とも、今、連携をとるという体制を組みつつあります。それで、この基本計画をなんとか早急に作りたいと思いますので、来年度の予算要求で、そのコストとして、厚生労働省としては2億4千万円のコスト要求を概算要求で掲げているというのが今の状況です。初回を、繰り返しますけれども、9月末に有識者による検討会の第1回を開きたいということで、今準備を進めております。
記者:
今日の午後に、全国知事会の方とお会いになりますが、何を中心にお話をされようというふうにお考えでしょうか。
大臣:
もちろん、例の奈良県の妊婦さんのたらい回しがあります。それから、その後、千葉とか、北海道とか、いろいろな所でそういう事例が各県から上がってきていますから、当面の議題としてはこの問題をまず議論したい。その上で、今後の進め方をどうするか、それから、時間の許す限り、例えば、市町村から見ると、交付税はこういうふうに思っているよと。それから、介護保険について、市町村が現場ですから、厚生労働省がわかっていない面で、こういう面があるじゃないかと、ものすごい要望というか、不満、不安の表明の場になろうかと思いますから、それは謙虚に耳を傾けますし、逆に言うと、市町村も、市町村というか、今、知事ですから、都道府県もしっかりしてくださいよと。いくら中央で旗を振ったって、あんたらが動かなきゃ話になんないじゃないのと。だから、要するに、産婦人科、この妊婦の搬送の問題について言うと、私たちの指示が行っていなくても宮崎県が完璧にやれるシステムを作った。それから、千葉県が同じことをやろうとしている、さらに、じゃあ指示を出しているんだけれども、奈良県はうまくやっていなかった。やはりそりゃ知事さん、あなたの責任でしょということはあると思います。だから、そういうことを相談し、非常にタイトな時間帯ですけれども、現実にどこかの県に視察に行きたいと思っています、この件は。そういうことも、今日、議論をしたいと思っています。
記者:
企業年金連合会の問題なのですが、前回、厚生労働省に対して、10年以上前から、企業年金連合会の方から報告がいっていたはずだというふうに、私、質問したところ、大臣は承知していないというふうにおっしゃって、この次にお答えするということだったのですが、その件についてちょっと改めて伺いたいのですが。
大臣:
それで、昨日、企業年金連合会の理事長を呼びまして、状況を聞きました。それで、問い合わせはあったにしろ、きちんと報告をしておりません。したがって、今日の午後、4時前後になると思いますけれども、理事長を再び呼びまして、私の方で、数点にわたって指示をいたします。私は、監督責任がある以上は、きちんと報告をしてもらわないと困るということですから、報告の義務化というようなこと、これは細かい内容は、またこれは、皆さん方に取材できるようにオープンにいたしますから、午後、連合会の理事長さんがお見えになったら。それまでに、省内に全部指示をした上で、最終的な判断をして、どういう指導をするかと。具体的に言うと、報告の義務化はどれぐらいの頻度で、どういうようにやるかということを、今日、きちんと申し渡して、決定をいたします。ということは、それまでなかったということです。
記者:
私が、先日、年金局に取材したところでは、そういう多量の支給漏れがあるというのは、やっぱりずっと前から、定性的には、要するに、把握していたというふうに明言しているのですよね。この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
大臣:
いや、定性的にという言葉はよくわからないんだけれども、じゃあ定量的にはやっていないんですか。
記者:
だから、それは連合会の方は定量的にもやっていると言っていて、それで、年金局の方は聞いていないというふうに、そこらへんも食い違っているのですが、少なくとも、問題が存在しているということは、厚生労働省も把握していたと、はっきり認めていると、その上で、なんら対策をとってこなかった責任というのは、どういうふうにお考えでしょうか。
大臣:
いや、それは、私は、もういっぺん、じゃあそのことは精査をしますけれども、あなたが言うことが正しければ、それは責任はありますよ。したがって、きちんとした体制を立て直す。それはどの人が大臣だった時代か知りません、それは。しかしながら、今回、こういう問題がつまびらかになった以上は、たちどころに対策をとるということで。私の聴き取りにおいては、連合会の方もきちんとやっていない。それは、それぞれの言い分があるでしょう。だけど、私、一回もそんなもの見ていないですから、初めてですから、見るのは。だから、どうですかといったら、それはきちんと報告をしていないという返事ですから。だから、もう、要するに、どの大臣の時、どうだったからどうだと言っても致し方ないので、何らかの問題があったことは確かです。したがって、今日、理事長さんを呼んで、二度とこういうことがないような体制をきちんと作ります。ということがお答えです。
記者:
労働分野で二点、お尋ねしたいのですが、一つは、最低賃金ですね、この度まとまりまして、7円から20円の上げ幅でというのは一応固まったのですが、地方の審議会でですね。ワーキングプアですとか、格差是正が問題になる中で、最低賃金法が国会にぶら下がったままとはいえ、7円から20円という上げ幅をどう評価なさるのかというのがまず聞きたいと。もう一点は、労働法制関係なのですが、ホワイトカラーエグゼンプションについて、前大臣の柳澤さんは、ホワイトカラーエグゼンプションを引っ込めた時に、記者の質問で、評判が悪いから参院選対策で引っ込めるんじゃないですねと言ったら、そうではないと。引っ込めたからには、半年なり一年かけて、審議会あるいは研究会などで、もう一度検討して練り直すというふうにおっしゃっていたのですが、そのお考えは継承なさるおつもりですか。
大臣:
第一点についてですけれども、これは、それぞれの地域の差もあるし、これは、その審議会がそういう形で答申なさったわけですから、それはそれで、一つ尊重しないといけない。いい加減に数字を出したわけではなくて、やっぱりいろいろな皆さん方の、使用者も働く側も全部聞き取った上で、その全部入った上で決めたことですから、それは一つのご意見として尊重しないといけない。それを最初から私はこんなのだめだとか、安すぎるとか高すぎると言うべきじゃないので、それは一つのご意見として賜りますよと。ただ、これを、だから、最低賃金600円でいいのか、700円でいいのか、1,000円必要なのかというのは、まず一つは非常に地域差があります。だから、ここは、今のような国会の状態でありますが、あるからこそ、全会派で国会の場で議論をして、最終的にどういう答申が出ようと、我々国会議員が国会の代表なわけですから、そこで議論をして、じゃあこう決めますということでやればいいので、一つの議論の材料だというように思っていいので、私がここで、個人的に、その出て数字について、高すぎる、安すぎると言うのは、ちょっと差し控えたいというふうに思います。それから、ホワイトカラーエグゼンプションの問題は、それはプラスマイナスあるんですね。だから、今後とも、審議をして、検討していきましょうというのは、全く変わりません。私の認識を言えば、だいたい舌噛みそうな、そんな横文字で言うなってことですよ。ホワイトカラーエグゾン・・・、私だって、あなた、語学が達人だと言われている私だって、今、舌噛みそうになったんだ、そんなものわかるわけない。ホワイトカラーまではわかるけれども、エグゼンプションなんて言葉は、知っている日本人がどれだけいるかということ。そうすると、皆さん方の方が言語感覚が優れて、残業ゼロ法案、これ一発で終わりですよ。だから、私が言ったのだけれども、これは、家庭団らん法案と書きなさいと、家庭団らん法案ね。そしたら、パパ早く帰って、ママも早く帰って、うちで早くご飯を食べましょうよという法案なので、こんなのお前ら残業したって、残業代くれないよといったら、あほらしくてさっさと帰るわけですよ。私はそっち側に期待しているんですよ。ワークライフバランスとか、またこれも横文字なのだけれども、こんなこと言ったって、現実に残業代出なかったら、帰るインセンティブになる。ここの役所だってそうだけれども、課長がいたら、みんな残って、電気つけている。光熱水道費の無駄を考えたら、お前の仕事なんて何だっていうのが、私の意見なので、私は、ですから、もうだいたい6時には絶対帰ってやろうと思って、帰って、そしたら、皆さんが玄関で捕まえるから、それで30分も遅れるようになる。だけど、本当、私はずっと海外で生活していたけれども、めちゃくちゃ生産性低いですよ、日本は。役所は最悪だもの。その原因は、遅い時間に質問通告する議員も悪いんだ、あんな真夜中に持ってくるから、みんな徹夜するんだけれど。みんなが早く帰るということをやって、もうぱっと7時になったら、全部電気が消えている。そして、たまには、自分のうちで、家族と一緒にご飯食べなさいっていうの。そしたら、普通の人の生活もわかるし、みんなだって、きちんとしたことができますから。私は、だから、ホワイトカラーエグゼンプションなんて名前をつけなくて、パパ早く帰ろう法案とかね、ばかな課長の下で仕事をするのをやめよう法案とかね、そうしたら通りますよ。それで、ただ、わかりやすく言っただけで、ポイントは、じゃあプランニングをやるような人たちの仕事ぶりをどう考えるのか。チャップリンのモダンタイムズみたいに、パーッと時間で、いわゆる単純労働をやっていると、それは1時間働いていくらって、こうなります。だから、残業もそれについて加算されます。だけど、企画するのを、ぼーっと考えている、私なんて学者だったから、ぼーっと考えている。ばかじゃないか、あいつはって言うけど、ぼーっと10時間考えた最後の1分間に、ニュートンみたいにパッと、こうひらめくわけですから。だって、風呂へ入っていて、あっこれだっていって、ギリシアのアルキメデスが出てきたり。だって、ばかじゃないかと思いますね、りんごをじーっと落ちるのを見ていたら、落ちた、重力だって。だから、今のホワイトカラーの本当に優秀な奴は、じーっとりんごを見ていて、なんかすごいのを発見したということなので、ちょっと、これに、あなた、時間給で金やったってしょうがないだろうという職種の差なんですね。だから、それがどうしても、企業側としては賃金を払わなくて済む、コストカットになるって、そっちの面が強調される。だから、もうこれは、働き方の革命をやれって、私は就任以来言っているのは、SOHOなんて言いますね、スモールオフィス、ホームオフィス。だって、日曜日に私がテレビに出てたって、ついてきている奴はいいけれども、ついてきていない記者は自分のうちでテレビを見ながら翌日の記事書いているんだから、こんな楽な仕事ないですよね、本当。だから、そういうことができるわけですから、それの方がはるかにいいんで、通勤の時間もないわけです。そういうことを含めて、全部の働き方の革命をちょっとやりたいなと、そういう中で位置づけていくということは必要なので。もちろん、労使関係とか、働く方は金を出せ、使う方は金出したくない。こういう議論を、今のような広がりをもって、きちんとやりたいということを思いますので、これは継続してやりたいと思います。
記者:
ただ、残業代を払わなかったら、さっさと帰るという認識は、私はちょっと理解できませんけどね。
大臣:
いや、だから、それは職種によりけりなんで。
記者:
だったら、なんでこんなに過労死している人がいるんだと思いますね。
大臣:
ですから、むしろ、そういうふうに、私は過労死の問題が頭にあったから、そういうことを言ったんで、職種によりけりです。
記者:
残業代払わないから、さっさと帰れるんだったら、過労死しませんよ。
大臣:
いや、それがわかっているから言っているんです。だから、きちんと時間ごとに計れるような仕事について、残業代を払わないというのはもってのほかです。だから、使用者側の言い分がありますよと。しかし、それだけじゃありませんよと、だから、いろいろなことを、今、わかりやすく言ったんですよ。だから、あなたが言ったことはわかっているから、それを言ったんで、一つのインセンティブになるような形にもっていきたいということで、問題意識はもう非常によくわかっているから、それを裏から皮肉に言ったのであって、どうか真意をおわかりください。だから、あまりにひどい、あまりにひどいんですよ。なんでこんなに働いて、生活の豊かさの実感がないのかと、特に私はヨーロッパの先進国で生活してきた。あまりにひどいですよ。それで、労働時間だって短縮されたとなっているが、短縮されていないんですよ。なんで短縮されたと出ていると思いますか。パートタイマーを入れているからなっているんですよ。問題の意識はしっかりと把握しているつもりです。ただ、おっしゃった問題も極めて深刻であるけれども、今言ったような周辺の働き方の革命ということの問題があるので、是非、これは今言ったようなご議論もきちんと入れた上でやることを、体制として検討会のようなのを作る、それはもう、いわゆるネットカフェ難民の話とかいろいろな、この言葉使っちゃいけないことになっているので、何とか難しい日本語で言わないといけないですが。いずれにしても、いろいろな問題が、労働問題ありますから、決して無視しているわけではありません。なんたって体が一つだから、全部がカバーできないので。ついでに言うと、ちょっとやっぱりこの省庁三分割ぐらいしないと無理ですね。あなたに叱られているけれども、あのね、年金をやる省が一つ別だろうね。それから、労働問題をやる省が一つ別でしょうね。それから、医療をやるあれが一つ別かもしれない。そういう問題意識を持っています、この二週間働いて。そういうことなので、ちょっとなかなか進みが遅いかもしれませんけれども、労働分野、是非またご協力賜りたいと思います。
記者:
薬害肝炎訴訟で、今日、大阪高裁に、原告たちが和解勧告の申し立てをすることになっていますが、そのへんについてはお聞きになっていませんか。
大臣:
いや、まだ聞いていません。
記者:
それについて、5地裁、判決をよく精査するとはおっしゃっていたのですが、原告側がそういうアクションを起こすことに対しては、どのように対応されていこうと。
大臣:
いや、ちょっとそれ、まだ聞いていませんので、事態を把握してから、きちんとお答えをしたいと思います。だから、あらゆる可能性、それは原告側も被告側も模索して、一番いい形での解決というのを考えるのは当然ですから、それ、報告を受けてから、またお答えしたいと思います。

(了)