閣議後記者会見概要

H19.08.03(金)10:24~10:50 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。本日の閣議ですけれども、労働経済白書につきまして、私から閣議に提出いたしましたので概要を報告いたしておきました。閣僚懇に移りまして、台風5号の状況について、ご発言がありました。更に、概算要求基準につきまして、8月10日閣議了解としたいということの発言があり、これについて数名の閣僚からそれぞれ発言がありました。以上でございます。

質疑

記者:
参院の野党逆転で国会の同意人事の行方が不透明になっていますが、厚労省関係でも11月に中医協の委員の任期が切れると思いますが、後任人事についてどのように対応されるお考えでしょうか。
大臣:
国会同意人事につきましては、現在のところは、法律上、法律であるとかあるいは予算であるということと異なりまして、格別のルールの規定がないという状況だと理解しています。そういうことで、それを前提として、今後いろいろと国会対策の方々とも知恵を絞っていかなければいけないと考えております。
記者:
薬害肝炎の原告団が、大臣の面会を求めて昨日、一昨日と報道されていますけど、大臣は、会われるようなお気持ちというのはあるんでしょうか、ないんでしょうか。
大臣:
これは、昨日、私どもの審議官以下でございましたか、お会いをしたという報告を聞きました。その中で、今おっしゃるように、大臣に対して面会の要求をしていらっしゃったということでございます。私といたしましては、これは、かねてから国会でも答弁をいたしておりますとおり、訴訟をしている方々とその当該の問題について法廷外でいろいろとお話をするということは、いかがなものであろうかという考え方でございます。従いまして、そういうことではなくて、一般的な一般対策といわれるものについて、いろいろご意見なり実情を聞くということについては、それぞれ適任者があたるということでご説明をしてきたわけですけど、これは、現在も変わっていません。
記者:
今日、一部報道で社保庁職員の年金の着服が、24件、総額1億を超えるという報道がありましたが、大臣は、これについてどのような報告をうけているのかということと、1億を超えるということについてご認識をお願いします。
大臣:
私、今報告を受けておりません。全く報告を受けておりません。報道されることが事実であるすれば、なにをか言わんや全く言語道断といわざるを得ません。申し上げます。そういうふうに。
記者:
これが事実であった場合に、担当課への処分なりこれからの処置というのは考えていらっしゃいますか。
大臣:
もう問題にもなにもなりませんね。当然のことだし。責任を追及しなければならないと思います。
記者:
来年度予算の編成なんですけども、社会保障費の伸びの抑制については、今のところどのようなお考えで臨まれるんでしょうか。
大臣:
総理の財務大臣への指示ということを受けまして、財務省の事務方から当方の事務方に対して、具体的に義務的経費については、従来と同じように2200億の削減を求めるという話があったということであります。私どもとしては、これからそれを元に検討しなければいけないわけですけれども、今現在の段階では、私どもとしては、それを前提にということではなくて、これまでもいろいろと機械的な年割りはしないということをわざわざ骨太に謳ってきたというようなこともありますので、そういうもの全体をひっくるめて、しかし、改革は、微動だにしないで進めていくという安倍内閣の方針、これを大事にしつつ、具体的な対応に知恵を絞っていかなければならないと考えております。
記者:
それに関連しますけれど、年金記録問題にかかる諸経費は、この2200億とは別というお考えなのでしょうか。
大臣:
基本的に保険料をもって充てないということでございまして、私どもとしては、既定の経費の中で、その節減によって、その必要な財源を生み出していくということが基本ですから、従って、国庫負担ということから出すということです。これが具体的に義務的な経費になっている部分もたぶんあるだろうと思いますし、また、そうでない部分もあろうかと思いますが、いずれにしましても、この財源については、今言ったような基本の方針で臨みたいと思っております。
記者:
それは2200億とは別ということでよろしいんですか、一部重なるということですか。
大臣:
義務的経費に重なる部分があるだろうということをいっているので、2200億は、それは、別途に出さなければいけない。
記者:
今日、一部というか複数の新聞で、フルキャストへの事業停止命令を厚労省が予定されているとありましたが、それについてどうでしょうか。
大臣:
これは、私は、まだそうした事案については、確定的な報告は、受けておりません。個別の問題でもありますので、ここでコメントすることは、控えたいと思います。
記者:
先日判決のありました、原爆症認定訴訟とC型肝炎訴訟について、これまでと同様に控訴するのか、あるいは、別のお考えがあるのかお聞かせ下さい。それに関連して、安倍総理が原爆の日に合わせて被爆者団体の代表の方とお話をすると昨日お話しされましたけど、それに合わせて原爆症認定基準の見直し等について、何か首相からお話があったのかどうか教えてください。
大臣:
原爆症の方から申し上げますと、原爆の被爆者の方々と今度総理が広島にいらっしゃるときに、お会いをする機会を見つけたいと考えていらっしゃるということは、私も承知をいたしております。しかし、それにともなって何か今までの判断基準を変更するということは、聞いておりません。私どももその予定が何かあるかといえば、全くございません。次に、肝炎の方ですけれども、肝炎について、また新しい判決が出たことは承知いたしておりますが、私どもとしては、その判決をまず、当該判決についてもまだ十分読みきれないということでありますし、ざっと見たところでもこれまでのとまた異なるということもありますので、法律論としてもよく整理をしなければいけないと思っております。先ほどもちょっとお答えいたしましたけれども、これまでの考え方を今変えるというような状況ではありません。
記者:
さっきの労働者派遣法の件ですけれども、フルキャストという個別事案としては、個別なんでお話しできないとおっしゃいますけど、最近のデータ装備費問題、200円の天引き問題及び二重派遣ですね、あるいは今回の違法派遣、労働者派遣法がものすごく雑に取り扱われているとみられてならないんですけれども、大臣はこの件についてどう思われますか。
大臣:
まさにそういうことが現に起こっているというですね。従って、これについては、きちっとした行政処分をして、是正を求めていくという姿勢で臨んでいることでございます。
記者:
先ほどの年金着服の件なんですが、もちろん問題外の話で責任を追及するということだったんですけれども、ほとんど発覚した24件の中には、発覚前に辞めている方もいて、処分が結果的にできていないような事案もあるらしいんですが、そういった、もちろんボーナスも返納させたりとかしているわけですよね、今、こういう状態の時、たとえ退職している人であっても、これから処分をしていくつもりがあるかどうかお聞かせ下さい。
大臣:
ただ、具体の事案を今全くこの段階では知らないもんですから、それに立ち入っていろいろと具体の対応についてまで申し上げるのは、適当でないと思うんですね。ただ、一般論として、着服というのは、最悪なんですよね。最悪。全くいろんな意味で最悪でありまして、我々としても、きっちりその責任は追及していかなければならないと思っているということです。
記者:
7月31日に、コムスンの事業移行計画が出されましたけれども、それについての見解をお願いします。
大臣:
今出していただいているものを検討するというか、それをよく行政の立場からも検討するということになるだろうと思うのですが、基本的には、これは通常の企業再生の例を参考に、第三者委員会を設立をしてもらって、その第三者委員会において、今後のいろいろなことを判断していただくと、こういうシステムを作るということにしていますから、もちろん行政もその第三者委員会に対していろいろとご説明をしなければいけない、また、事業者も説明を求められるということだろうと思うのですが、いずれにしても、我々としては、利用者が困らない、それから、雇用者が路頭に迷わない、こういうようなことを基本として、健全なサービスが確保されるように、そういうことで進めていきたいと、こう思っております。
記者:
追加なのですが、介護保険制度なのですが、今まさに審議会などでいろいろ検討されていると、見直しを検討されていると思うのですが、介護職員の待遇についての認識をお伺いしたいのですが。
大臣:
これは、この前、人材確保指針を発表させていただいていると思いますけれども、その中でも、我々としては介護報酬という形で支払いをさせていただいて、その上で、それぞれの介護の従事者に対する報酬というものを、それぞれの機関というか、組織体で決めていただくわけですから、それは一種の雇用契約ですから、直接にいろいろ申し上げるということは立場上はばかられるわけですけれども、私どもとしてはインプリケーションとして、やはり人材確保のためにはちゃんと報酬面での処遇もしなければいけないといったことは謳わせていただいたと。こういうことでございまして、いろいろな側面があります、正直言って。介護の従事者については、むしろ本当にちょっと時間があるし、そういうことに自分が役立ちたいというような気持ちで、かなり頻繁に出入りをするという方もありましょうし、また、ずっとその介護のサービスで、自分もキャリア形成を図りたいと、いろいろな人がおりますけれども、いずれにしても、今の状況はどうかと言われれば、やはり低い報酬なるが故に、いろいろとしっかり定着できないというような面がかなり認められるというのが率直のところですから、その改善は必要だというふうに考えているということです。
記者:
最低賃金なのですが、中央最低賃金審議会の議論が難航していて、当初今日が中央最低賃金審議会で答申をする予定だったのが、できずに、10月1日、例年の施行が難しいという状態になっています。それについての所感と、大臣としてどのように理解を求めていくのか、お考えを伺いたいのですが。
大臣:
これはこの間もお話し申し上げまして、この前は、選挙の結果、最低賃金の引き上げというのは、よりドライブがかかっているですかというようにおっしゃるものですから、私は選挙の結果如何ではなくて、その前から、今日も労働経済白書を出しているわけですけれども、その中でも、例えば、2000年代になって労働生産性の向上が、労働時間の短縮であるとか、あるいは、賃金の引上げであるとかというようなところにまわっていないという資料を出していますよね。やはりそういうことをにらんで、非常にグローバリゼーション、あるいは、バブル崩壊後の不況を、各企業が克服するためにいろいろがんばってきたということは、それは認めるけれども、今、企業によっては最高の利益を上げているというようなことの中で考える時に、やはりそういう労働者への賃金によるリターンというものについても、もっと力を入れてもらいたいというふうに考えていまして、そうした方向での働きかけというか、我々があれじゃないのですが、そうしたことが実現されてほしいと、こういうことで、今、あたっていると、こういうことです。
記者:
その労働経済白書なのですが、労働分配率が低いことについて、企業にもうちょっと努力するよう求めているのですが・・・
大臣:
分配率というところまでいきなり言ってしまうと、ちょっと、私はちょっと手前でいたのだけれども、分配率は景気が立ち直って、回復していく段階では、常に、大体そういう現象が現れるという、そういう見解もありまして、そういう面もあるだろうということですね。ただ、我々が、今度、労働経済白書で出したデータの中に、生産性が2000年代に入って、少しですが上昇しているわけですね。ところが、労働時間の短縮であるとか、あるいは、労働賃金の引上げであるとかというものに、それをまわしているというのが、もうほとんどゼロ近傍にあるわけですね、ほとんどなしと。むしろ、賃金についてはマイナスということになっていましたので、わずかですよ。そのことについて、今、触れたと、こういうことですね。
記者:
若い人たちに非正規雇用ではない、正社員への雇用をもっと拡大すべきだというような内容になっているのですが、労働分野の規制緩和について、これまでの過去の政策についての検証が、少し足りないのではないかというような指摘もあるのですが、そのへんについてはいかがでしょうか。
大臣:
これは、ここにも書いたように、ワークライフバランスの話を、これから非常に大きなテーマになってくるというふうに受け止めて、取り上げているわけですけれども、やはり働く人びとの個性をより尊重していくということからすれば、やはり規制緩和というもの自体を、根っこから否定するというわけにはいかないだろうと思うのですよね。それを利用してどうするかという問題でして、我々としては、基本のところは長期雇用契約というのがいいのだけれども、他方、そういうことも必要だということを、これはかねてからずっと言っているわけですが、そういう考え方をしていまして、ただ、今話がちょっとありましたように、賃金の上昇というものが非常に微々たる状況にとどまっているということを分析すると、そういう非正規雇用のウエイトが増しているということが、正規と非正規をならして見ると、賃金の上昇幅が非常に少ないということの大きな要因になっていると、こういうことは今回の分析でもきちんと出しているというふうに思っています。
記者:
今、政治と金の問題で、領収書の添付を1円からにするという流れがありますが、大臣はこれについてはどう思うでしょうか。
大臣:
基本的に、そういうふうな法律になれば、それをきちんとやるべきだというように思います。ただ、1円と言っても、今、1円の取り引き、1円でということはないわけで、1円だから資料が増えるというわけではないと思うのですね。ただ、少額でも全部領収書をつけるということになると、実際の事務方は、我々のですよ、事務方はかなり大変だと、しかし、もともと、領収書をおそらく保存していて、それで、集計しているというふうに思いますから、それをどうやって整理するかという問題だろうと思うのですね。
記者:
適用する範囲を、例えば、資金管理団体だけではなくて、政治団体まで広げようという動きもあるのですが、それについてどう思いますか。
大臣:
何と言うか、この前も、資金管理団体だけについて規制をしたら、すぐにまた、その他の政治団体でいろいろな問題が生じたということですね。ただ、政治団体の中には、皆さんもご承知だと思うのですが、いろいろな政治団体があるのですね。国会議員と関係のない、いろいろなテーマを実現する政治団体もあるし、そういうことだものだから、今の世の中で問題になっているというのは、その政治団体の中で、ある特定の政治家を応援する政治団体ということになると思うのですね。ですから、本当はそこをやればいいのだろうけれども、ただ、そういうことをやると、法の下の平等に反するみたいな議論が出てくるのでしょうね。ですから、そこは非常に悩ましいところだと思うのですね。つまり、その人たちからすると、「俺らは別に不正なんかしていないのに、国会議員関連の政治団体がいろいろなことをやるから、こんな難しくなっちゃったんだ。」みたいなことで、ご不満もあるだろうし。そのあたりのことは、よくつぶさにご覧になって、決めたらいいと思います。
記者:
中越沖地震の被災地を視察されたと思うのですが、改めて感じられた課題及び今後の対応というものがありましたら、教えてください。
大臣:
これは一番難しい問題だと思います、正直言ってですね。つまり、高齢者が、若い人はもうそこを離れて、おじいさん、おばあさん、あるいは、場合によってはその片方が、古い、昔建てた住宅に住まっていたと、それが壊れてしまったという時に、私が聞いた中でも、いや娘に建ててもらうしかないですねと言って、にっこり笑っていた高齢の女性もいらっしゃったのですが、途方に暮れるねということを述懐される方もいらっしゃって、後者の人を、これから我々はどういうふうに考えていったらいいのか、対策を打っていったらいいのかと、この問題は非常に難しい問題としてあるというふうに思いました。それが特に私は印象的でしたね。

(了)