閣議後記者会見概要

H18.09.08(金)10:27~10:46 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は、政令で18年5月23日から7月29日までの間の豪雨及び暴風雨による災害についての激甚災害並びにこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令、それから、地域保健法施行令の一部を改正する政令、麻薬及び向精神薬取締法施行令等の一部を改正する政令、高齢者の医療の確保に関する法律施行令の4件がございました。それから、外務大臣から、EPA、日本国とフィリピン共和国との間の協定の署名ということでご発言がございました。本協定によって、貿易交渉の自由化及び円滑化を促進する。労働分野についても、交渉を重ねて参りましたけれども、基本的には私どもの方から、考え方を向こうに最終的には通知するということで決着になると思います。詳細はまだ、向こうで交渉中だと聞いています。それから、中川農林水産大臣から、ケニア訪問、森林・林業基本計画の変更について。併せて、環境大臣からも森林・林業基本計画の変更についてご発言がございました。
それから、19年度の概算要求額について、全体的に、一般会計要求総額82兆7,253億円。18年度予算に比べ、3兆393億円の増額。一方で、各省庁の要望は85兆7,048億円、予算措置の上限以内に抑制するため3兆円の削減が必要だというご発言がございました。もちろん私どもも、要求をいっぱいしておりますので、これから調整をいたすことになります。
それから、「持続可能な社会保障制度と支え合いの循環」ということで、厚生労働白書を出させていただきました。「人口減少局面を迎えて、国民が抱いている不安を解消し、国民が安心し満足感を持って生活できる社会を作り出していくためには、何が必要かということを問題意識としております。生活の基盤である家庭やそれを取り巻く地域による支え合いを機能させていくためにはどうしたらよいのかを検証し、家族と関わりの深い地域と働き方に着目して新たな支え合いの場の在り方を考察致しました。今回の白書では、過去の社会保障を取り巻く環境や国民意識の変化とそれに対応するための社会保障制度の改革や雇用政策の流れを概観し、今後の課題を検証しております。公的制度のセーフティーネット機能による「安心の基盤」の確保、地域の支え合いと働き方の見直しが必要であり、そうした取組を社会全体に展開できれば「支え合いの循環」とも言うべき家族と地域と職場をつなげる新しい流れが生まれ、国民の日々の生活により納得や満足を与えることにつながるのではないかと提言しております。こうした結果を踏まえ、「安心の基盤」を確保するために、公的な社会保障制度を持続可能なものとしていくよう、不断に取り組んでまいりたい。一方で、新しい「支え合いの循環」の実現に向けて、家族、地域、企業、行政などを含め社会全体が意識を変革することを一つの契機になることを期待しております。」ということで、発表させていただきました。
それから、2日から7日までドイツのポツダムで行われましたASEM労働大臣会合に出席して参りました。これは、ASEMが発足して10年経ちまして、労働大臣としては初めての会合になります。アジアにおいてのILO会議があり、また、今度のヘルシンキでの、ASEMの首脳会談でも議論されることになるだろうと思いますけれども、意義を申し上げると、ASEANの国々は、アジアの国々は、移民という問題については、人を送り出す側、外国人労働者をある意味では送り出す側。また、ヨーロッパは、それを受け入れる側。大別するとそういうことになるかもしれません。しかし、ヨーロッパは最近、東ヨーロッパの問題があり、逆に労働者がEU内へ入っていくという時代を迎えている。また一方、トルコ等の議論があります。一方で、我が国は、アジアの中で外国人労働者を受け入れる側に回っております。また、ヨーロッパの国々も日本、韓国もそうなってきているかも知れない。各地域に企業が進出して新しい雇用を作り出していく。新しい雇用を作り出していくということは、この10年間の日本、特に経済が低調なときには、外国に新しい雇用を作った結果として我が国の雇用がなくなる。すなわち、当時の青少年の雇用の問題。したがって、この移民問題ないし外国人労働者問題というのは、送出する方と受け入れる側の両方にプラス・マイナスがある。特に、送出する側が優秀な人間がそこに出て行ってしまって、地域に戻ってきてくれないという問題も抱えております。そうした問題をお互いがしっかり認識をしながら話をしていかなければならないねということで、これからも継続的に協議していこうということが出来上がったというのが一番大きなことであろう。次回の開催は、2008年ということになりますと、うちはサミットを受け入れなければならない、開催国でありますので。そうした経過の中でインドネシアで次回は開催する。そういう意味では、ヨーロッパ、アジア交互に開催しながら、この労働問題について話し合って行かなければならない。また、一方でミャンマー問題が少し議論に上がりましたように、やはり人間らしい働き方というものが大きな議論になっております。「ディーセントワーク」というのかな、この問題が言葉として随分出てきてますけれども、ではこの内容は決まったのかというと内容が決まっていない。それぞれの国によって違う。強制労働という問題を捉えて、人間らしい働き方と違うという見方もあるだろうし、我が国の場合を考えてみれば、例えば、パートで7時間45分パートというのがあって、正社員と同じような仕事をしていながら15分カットすることによって正社員とはかなり離れた報酬というものが支払われている。同じ仕事をしながら同じような評価がなされていないという問題も、これは一つの切り口であろうということになります。したがって、それぞれの国が、これをどういうふうに受け止めるかというのはいろいろありますけれども、やはり、労働というものの価値に対してしっかりとした報酬が支払われていくということが一番大事であろう。また、日本のもう一つの課題は、働き過ぎという、一部の方に、皆さん方もそうかもしれないけれども、残業時間が多くて「働き過ぎ」と、こういう問題も少し是正していこうと、我が国はそういう形で受け止めて、その問題に取り組んでおりますということをお話しさせていただきました。いずれにせよ、こういう雇用問題を少し多国間の中で話し合っていくという一つの場が出来た。ILOという場もありますけれども、先ほど言いました送出国と受け入れ国というものが1対1ではなくて、もちろん今回のEPA交渉でフィリピンと議論をしたり、それからインドネシアと議論したり、いろんなことが出てきます。それは、1対1。しかし一方で、こういう大きな枠組みでやっていくということは極めて大事なことであるなというように感じております。以上です。

質疑

記者:
先週末の自民党のブロック大会の中で、安倍官房長官が消費税率の引き上げよりも先に、終末期医療の見直しや介護の適正化を先行させて行うべきだという考え方を示されましたが、いわゆる社会保障費の今後の適正化と社会保障費の財源として消費税率の引き上げの関係について大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。
大臣:
年金というのは、法律で書いてあるわけだから待ったなしですよね。2兆5千億か2兆7千億円。これへの対応をどうお考えになっているのかというのは、逆にもし話をされたとしたら聞かなければならない話であろうと思います。それから、終末期医療というか、後期高齢者医療制度というのは、まさに再来年から新しい制度の枠組みが始まっていくわけですから、この議論というものは、まさに2年後の話になってしまいますよね、はっきり言って。新しい制度を作ってこうやったわけですから。それと今の年金の国庫負担を上げなければならない時期との、なかなかなずれがあって、社会保障制度を持続可能なものにしていくという切り口からすると、どういうふうに整合性をもたれるのかということについては、私どもの考え方と必ずしも一致しないと思います。それから、介護保険制度を昨年法改正をして、これから新たにスタートして、いろんな議論をしてきて、まず第一に、この間も発表させていただいたように、食費等に自己負担を入れた。1割負担を入れた。それによって随分退所者が多かったんではないかという質問を国会で随分いただきましたけれども、各県なり市からご報告をいただいたことを精査しますと、基本的にはそういうことはなかった。もっと言えば、所得の低い人たちについては、十分な措置をやりましたので、そうした動揺はなかった。かえってある程度所得がある人たちが他の選択をされたということはあったかもしれないということでございますから、介護保険制度自体は新しい枠組みの中で、そういう問題、すなわち一部負担が追い出しにつながるのではないかという野党の批判は、今数字を見ている限りそんなことはないとはっきり言えるんだろうと思います。しかしまさに、新しい枠組みの中でスタートしたところですから、しっかりこれを見ながら、やっていかなければならないなと思っております。それから、オランダの大臣と6月に来てもらって会談して、また今回も、健康保険制度について議論したんですけれども、やはり、オランダはオランダなりに改革をかなり踏み込んだというのは事実だけれども、我が国も今度、後期高齢者医療制度の中で、ある程度所得のあるお年寄りの方々には3割の自己負担を求めると。これは、ヨーロッパの国は正直言って、びっくりしていますよ。正直言って、日本はそこまで踏み込んだのかと。我々ヨーロッパ社会では、なかなか考えられないね。保険に入っていると、保険が適用されれば、あまり自己負担というものを我々の頭の中に今置いていなかった。それが、日本のように3割負担をしながら持続可能な制度にしていっているという日本側の努力というのは、かなり、こういうものを預かる立場からすれば高く評価されているなというように思っておりますので、これ以上の話を進めるという話は、なかなか諸外国と比較しても難しい話だなと思わざるを得ません。
記者:
今日から自民党の総裁選挙が始まりますが、情勢を見ていると長いものにまかれろという体質が自民党の中にもあるのではないかという憂慮の声もありますが、政治家として、今回の総裁選挙にどのようなことを位置づけ、どのようなことを期待されてますでしょうか。
大臣:
基本的に最大派閥をバックにされている候補者と、麻生さん、谷垣さん、10数名、谷垣さんは15名の派閥ですが、これの力の差というものが、今の段階では出ているなという感じがいたしております、率直に申し上げて。一方で、同じような考え方を持っているんだという人たちが少しづつ集まり始めてきて、麻生さんの陣営も、谷垣さんの陣営も、20名の推薦者の確保というものには、終盤あまり苦労しないで、おまえらもしっかりやれよという雰囲気に党内がなってきている。また、各派閥もそれほど締め付けをせずに、同じ考え方なり同じ地域ならば当然そうした活動をしてしかるべきではないかという方々も出てきておりますので、そういう意味では、今日以降、3人が立候補されて、やはり政策論争をしっかりしながら、党員に訴えると同時に、自民党というものを国民に理解してもらう、まさに、これから3年間どのような政策をやっていくのかということを理解してもらう大きなチャンスですので、3人の方にはしっかりやってもらいたいと思っております。
記者:
今日、アスベストの関係閣僚会合が開かれましたが、これは各省庁から、それぞれ対策の進捗状況の報告があったということでしょうか。
大臣:
私の方から、3点にわたって、労災の問題、それから、アスベストの全面禁止の問題、それから、抗がん剤といわれるものの認可について6月に提出されましたので、なるべく早くできるように急ぎたいという報告をさせていただいたところでございます。
記者:
他の省庁からも、そういった同じような対策の報告があったということでしょうか。
大臣:
というよりも、環境省と私どもは対国民ですけれども、一方で、防衛庁の中でとか、農林水産省の中で、それは我々も病院のアスベスト、施設がどうなっているとかあるんだけれども、我々と環境省は、基本的には対国民の政策ということを発表して、各省庁はある意味では内部的な問題というものを発表されていました。
記者:
今日、薬害肝炎訴訟の原告団が、また午後に、大臣への面会を求めて申し入れをするらしいんですけれども、面会の申し入れに応えるおつもりですか。
大臣:
これからの医療行政の問題とかいろいろなことについて話し合おうというのであれば、いいですよといくらでも言っているんですよ。また、担当者もやりましょうと言っている。しかし、この裁判の内容については、裁判で争っているものを私どもに撤回しろと、控訴するのを撤回しろというものは、裁判のルールというものが崩れてしまいますからね。民主主義の根幹ですよ。そこは、裁判問題について、当事者同士が話し合って、もう裁判自体を撤回しろということについては、これはもうルール上おかしな話になってしまうから、それは受けないとはっきり申し上げた。
記者:
9月6日に紀子様が男子をご出産されたということに関して、大臣の率直なご感想をお伺いできたらなと思うのですが。
大臣:
たまたま、オランダへ行ったものですから、皇太子殿下ご家族が約二週間でしたか、オランダで大変手厚い歓待を受けて来られた。それをお礼申し上げた時に、オランダの方から、「コングラチュレーション」ということで、お話をいただきました。私はその時に、東京へ戻ると、たぶんそうした国民全体として良かったという全体の雰囲気の中に帰らせてもらうことになる。オランダからそういう祝意をいただいて、感謝申し上げますと申し上げました。そのとおりの気持ちでございます。

(了)