閣議後記者会見概要

H17.12.22(木)10:31~10:50 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は、世界保健機関憲章第24条及び第25条の改正、これは、理事の数を2名増やすというものでございます。それから、規制改革・民間開放推進会議の「規制改革・民間開放の推進に関する第2次答申」について担当大臣からご報告がございました。医療の部分については、基本的に今我が省が進めている政策と相違はないと思っております。それから、日本私立学校振興・共済事業団の理事長の鳥居さんが来年1月1日以降も続投。それから、石油天然ガス・金属鉱物資源機構については、来年1月1日から掛礼勲さんが就任する。それから、猪口大臣から少子化対策についてということでご発言がございました。その後、私の方から本日平成17年人口動態統計の年間推計を公表しますが、その内容をご紹介しますということで発言をさせていただきました。平成17年の出生数は106万7千人となり、昨年より4万4千人減少する一方、死亡数は107万7千人と昨年より4万8千人増加。その結果、出生数と死亡数の差である自然増加数は1万人の減少となり、統計の得られていない昭和19年から21年までを除き、現在の人口動態調査を始めた1899年(明治32年)以来初めてのマイナスとなります。なお、これは国外との社会増減は含んでおりません。このように我が国は人口に関して大きな転換期に立っており、社会保障制度については、持続可能性を高めるための改革を引き続き進めるとともに、多くの人が働き手としてその能力を発揮できるよう、高齢者、女性、若者への就業者の推進、少子化の流れを変えるための次世代育成支援対策などの取組が必要であります。特に、今年の予算において児童手当の拡大、また補正予算も含めて保育園の建て替えの耐震対策を含めて予算付けをいただきました。そういったものを含めて総合的にやらなければならないと思いますけれども、猪口大臣のご発言にあるように各地域には、地方自治体を巻き込みながら国民世論として興していかなければならないというのが、今の我々の基本的な考え方でございます。以上です。

質疑

記者:
アメリカから輸入されたトウモロコシの中から、カビ毒の一種であるアフラトキシンが見つかったということを聞きまして、そのトウモロコシが食用なんですが、今後の水際の検査なんですけれども、全船舶検査とか水際対策もBSEの関係もありますけれども、今後どういうふうにお考えかを。
大臣:
聞いていないので、事実を調べてご報告します。BSEについては、ご承知のとおり来年の3月まで集中期間として、しっかりやるということでありますし、現実に入ったものについても久しぶりの輸入になっていますのでかなりの数調べさせてもらっているのが実態でございます。そういう意味では強化月間を置くというように考えていただいて結構だと思います。トウモロコシのことは、調べて後で担当課から。
記者:
少子化に関係して、人口減少に関連してですけれども、今年も少子化対策予算も増えたことは増えたんですけれども、今の予算の付け方についてこれで十分だというふうにお考えでしょうか。
大臣:
例えば、子どもの対象支援がうまくいった例としてフランスが挙がります。そうするとフランスはいくらですかというと、1人当たり第1子から2万円です。我が国は5千円ですから、そういう意味ではスケール的にはまだまだということは言えると思います。ただ、現行の枠内の予算では、この4~5年、毎回の改正でいろいろ皆さん方の協力をいただきながら努力してきたことは事実です。世界の最高レベルと比べるとそこまでまだ至っていないが、今日の財政状況の中ではかなり配慮してもらってやってきたと思います。しかし、一番肝心なのは、それだけの政策ではなくて今猪口大臣が始めたように全体的な国民運動として興していかないとなかなか難しいのかなという感じを受けております。
記者:
企業の在り方というのは非常に重要になりますよね。
大臣:
私も実は大臣になる前に、人事院とも話をしようと言って、随分話をしてきました。例えば、公務員の皆さん方の手当ですが、妻の手当と子ども手当があるけれども、妻が例えば1万3千円、子どもだと5千円。そして、第3子くらいで打ち切りではないでしょうか。なぜそうなっているのかと人事院に聞くと民間がそうだからと言われました。しかし、公務員というのものが逆に率先して変えていくことがあってもいいのではないかと思います。全部民間に準拠、準拠と言いながら共済年金1つとっても準拠じゃないのではないかと、そう意味ではある分野では公務員給与というものがリーダーシップをとってもいいと思うので、やってくれという話をしていたんです。今度は、厚生労働大臣になりましたので、民間の皆さん方に私の方から少しその辺は考えてくれと話しかけていかなければならないだろうと思います。先程言いましたように、男女とも共同参画社会、みんなが働く社会にどんどんどんどん移行する中で、妻の手当の方が高くて、子どもの手当はだんだん少なくなっていってどこかで打ち切りという話は総合的に変えてくれないかというのは、1つの提案としてあると思うんです。
記者:
2点お伺いしたいのですが、少子化がこれだけ進んで、30年くらい前から続いているお話だそうですが、政治が効果的な施策を打てなかったという認識なのか、政治の責任、その中でも政権与党の責任というものはどうお考えなのか。少子化が止まらない、効果的な施策を打ち切れなかったお話が1つと。もう1つは、高齢者の給付が、社会保障給付の7割なのですが、児童家庭の給付は3.8%しかない。この高齢者に偏った給付について、これから変えるべきか否かということについてお考えをお聞かせ下さい。それが2点目です。よろしくお願いします。
大臣:
確かに前回私が内閣にいた時と今回の内閣では、少子化問題というのが語られる数というのは、圧倒的に今回の方が増えていることは事実です。何となく少子化問題というのはマスコミの皆さん方でもあったですね、一時、少なくなっても何とかやっていけるぞという論理展開があった時代があったと思います。しかしここ5年間くらいは、とてもそういう方向にいけないのではないかということで変わってきたことは事実だろと、そういう意味では全体の流れというものが少しずつ変わりつつあることは事実だろうと思います。一方で、日本、ドイツ、イタリア、それから近隣の国で言えば、韓国、台湾が同じような状況にあるわけです。そういう意味では、改善が出来た地域とやはり大変苦しんでいる地域とがあるわけで、それがすべて日本の政治判断の責任であると言われると必ずしもそうではないのではないかというふうに思っています。それから、予算配分で今議論がありましたように、いろんな意味で高齢者対策というものから、だんだん子どもへの配分というものを増やしていかなければならないという道筋がだんだんつきつつあることは事実であると。その中で、連立政権の中の公明党さんの役割というものを私どもは大きく評価していいのではなかろうかなと思っています。したがって、来年、再来年に向けてもまたいろんな話になるだろし、また先日お話申し上げたいろんな取り上げられ方をしましたけれども、高齢者対策のための消費税問題なのか、財務省であれば財政再建のためだとなるけれども、我々から言うと少子化問題というものもやはり大きな枠組みの中でこの消費税問題とも捉えてほしいと、こんな気が致しております。
記者:
人口動態統計の推計で、マイナス1万人という数字、改めてどう受け止めてますでしょうか。
大臣:
というより、この6月頃からいろんな形で、前半期の数字でこういう事態が生じるんではないかということは、みんな予測の範囲内に入っていたことは事実だろうと思います。しかし、今ご報告申し上げたように、1899年以来、3年間の分からない時期を除きまして、まさに現実の問題としてなってきた。そういう意味で、私もあえて閣議で今日ご報告させていただいたわけで、国民全体の問題として捉えていただければありがたい。役所だけで、また一部署だけでがんばっていても回復できる問題ではない。そういう意味では、一種の強く国民に対するメッセージの機会にもなったのかなと、こういう理解をいたしております。
記者:
国民に対するメッセージというのは、例えば何か具体的に。
大臣:
とりあえず今日のことをマスコミの皆さん方が取り上げていただくことが、一番大きなメッセージじゃなかろうかなと思います。
記者:
先ほど諸外国も同じように苦しんでいるとおっしゃいましたけれども、やはり日本の少子高齢化のスピードというのは、かなり早いのじゃないかと思うんですが。
大臣:
いやいや、韓国、台湾の方が早いのではないでしょうか。
記者:
そうですか。その中で、日本だけが突出してという認識でおられるのでしょうか。
大臣:
そういう認識ではありません。ただ、数字を見ているとドイツ、イタリアが少しプラスに転換じゃないのかな。アジアで経済発展が続いてきた日本、韓国、台湾がずっとこの近年落ちてきたという認識をいたしております。
記者:
大臣が現時点で考える少子化の最大の理由というのは、どういうふうに考えてらっしゃいますか。
大臣:
私自身いろんなことがあると思うんですが、やはり結婚だと思います。
記者:
晩婚化ということ。
大臣:
結婚しないということ。
記者:
しない。
大臣:
もちろん、これから何年間有効な対策を打ち続けたとしても、私達の息子の世代、要するに団塊の世代の第2世代がそろそろ子どもを産み終える時期になってきますので、数的に親の数が減っていく段階をこれから10年迎えますので、急激に増えていくということはあり得ないと思います。ですから、社会全体としては先ほど言いましたように、社会保障制度の持続可能なものとしていくための改革をしなきゃならないというのが一番大きなテーマです。それから、労働人口が減りますね、それをどうやっていくのか。ある人は、移民という考え方を言われるかもしれないけれども、我々としては高齢者雇用の問題と女性、男女共同参画社会の推進、それからニート等の問題、ここをやはり解消する方が先であろうと思っております。ただ、長期的に考えるとやはりここへきちんとものをはめないと、20年後、30年後の社会というのは、なかなか大変な社会になりますから、そういう意味では少子化問題というのは、まさに正面から取り上げていかなければならない政治の最大課題の1つであると思っております。
記者:
今日の人口減とか少子化対策について、総理から何か発言はありましたでしょうか。
大臣:
今日はありませんでした。今日は実は私の発言の後に、麻生大臣からパスポートの偽造の模擬をパソコンを使ってやったものですから、そちらの方に話題をとられてしまいました。
記者:
今20年後、30年後というお話がありましたけれども、年金問題の問題は、去年の年金国会でも人口推計より低いということで問題が指摘されたときには、厚生労働省の姿勢としては今生まれる子供、人口減少が年金に影響するのは20年後だからということで、早期な見直しには否定的な姿勢だったと思うんですけれども、この際思い切って年金の制度設計を一度見直してみるというお考えはないのでしょうか。
大臣:
基本的には2009年、2010年辺りに、このまま施策を続ければ、法律どおりやっていけば、この時点から黒字に転換するわけですから、私はそう慌てた話ではないだろうと思っております。それより公平の担保というのが大事であって、まず議員年金問題について、議運委員長をやっていましたから、それなりの議員の年金の正当性は訴えたけれども、一方でやはり国民平等の方が正しいのではないかという議論の中で、国会議員も互助年金制度というのはなくなった。当然地方議員も同じような形になっていって、議員特殊の年金はなくなる。次に公務員と民間との差はどうですかという話になって、どうも公務員の方が有利じゃないかと思われている面もある。したがって、そこも直しましょうということで、今度共済年金を、これが来年の春の一番大きな課題になるわけです。1つずつやっていこうと。それからもう1つは、国民から年金に対する信頼を回復するために、社会保険庁改革をやりましょうということで議題をあげているところですから、そういう意味ではこんな盛りだくさんの問題を今やろうとしている時に、また次の話というのは正直言って、もちろん与野党間でいろんな議論が続くということは結構だろうと思いますが、我々厚生労働省としては、今直前の課題というものを一つ一つ着実にこなすというのが大事だろうと思っております。
記者:
今回の人口なんですけれども、国立社会保障・人口問題研究所が2002年1月に発表した中位推計から比べると、少子化が1年早まった、2年早まったという言い方がされていて、こういう事態が国民の社会保障制度に対する信頼性というか、やはり傷つけている面があると思うんですが、そこら辺大臣どんなふうに。
大臣:
今年は先ほど発表しましたようにインフルエンザ等があって、亡くなられる方々も多かったということは事実だと思います。ですから、そういう意味では日本の人口が減っていって、労働人口、国力を維持できるのかと焦点が1つあるだろうと思うんですよね、逆の形から言えば。しかし、一方でやはり子どもが少なくなっていることも事実だから、そうした疑問にも少しずつ答えていかなければならないけれども、大きく外れましたかと言われると、流れ全体の中では、そうでもないだろうと思います。この流れを変えなければならないと言われれば、言われるとおりだと思います。

(了)