閣議後記者会見概要

H17.12.09(金)10:28~10:52 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日、厚生労働省に関係しますのは、国民健康保険の国庫負担金及び被用者保険等保険者拠出金等の算定等に関する政令の一部を改正する政令と環境省の特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令の2件がありました。それから、政策金融改革推進本部の設置について中馬大臣からご発言がありました。
それから、昨日、IT戦略本部が開かれまして、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部、IT本部における新戦略案の策定について、「IT新改革戦略」ということで松田担当大臣からご発言がございました。この中にも、これから5年間でレセプトの完全オンライン化が盛り込まれております。昨日の会合で私の方から、「5年という1つの目標を決めながら、これから医療機関との話し合いに入ることになる。全ての医療機関がついてこれるかどうかはこれからの議論になる。ついてこられない医療機関についてはどうしていくかというのが1つの課題のように思う。」と申し上げました。これは、私自身、この分野は、もう当選後からずっとですから25~6年やってきて、例えば、放送のデジタル化、テレビ局の皆さんがいらっしゃるからお分かりだと思いますけれども、アナログ放送を停波する、したがって今のテレビでは見られない。そしてすべてデジタル放送化に替える。その時に、テレビ、受信機を買えない人達をどうしていくかというのが、これからデジタル化という中で大きな課題です。医療も実はそのような面を抱えていくことになる。もう1つは、個人の医療情報全体をどうデータ化し、そして今後の医療に結びつけていくかという問題になると、ICカード化なり、特に個人情報との問題というのが強く出てくる。実は、私は3年前、住基ネットワークに関して、確か小渕内閣の時の取り決めだったと思いますが、個人情報保護法を早急に国会でという、それで法案を預かりました。特にマスコミの皆さん方との調整を大変苦労しながら、住基ネットワークと個人情報保護法を3年前から動かし始めるようになった。医療はもっと複雑だと思いますので、その仕組みをこれからしっかりやっていかなければならない。ただ一方で、このような方針と言いますのは、いつまでにすべてを平準化するという目標を決めないと「そのうちやりますよ」という話ではなかなか進まない。そういう意味では、このレセプト問題については、やはり年限を切ってこれから進めることになっていく。多分このIT社会構築というのは、その社会にどんどん入ってこれる方々、そこからどうしてもついて行けない方々、これをどう政治が見極めながらやっていくか、民間の皆さん方は基本的にはどんどんどんどん利用していただく方に売り込んでいったらいいのだけど、我々はそこから欠落していく部分をどうしていくかというのが政治の一番大きな仕事だと思っております。それから、政治家の寄付禁止国民運動について総務大臣からご発言がございました。この間の選挙を通じて、国民の政治選挙に対する意識が高まりを見せている。また一方で、平成2年2月、政治家の寄付禁止の強化を図るため公職選挙法が施行された。15年がたちましたということで、改めて政治家の寄付の禁止、またもらわない、要求しない、こちらは寄付しない、これを徹底しましょうということでございます。「3ない運動」です。それから、平成18年度の予算、それから平成17年度の補正予算、明確に補正予算日程というのが出てきましたね。したがって、補正予算を組むことが明確になったと思いますけれども、12月19日に経済見通し等についての臨時閣議、20日に18年度予算財務省原案内示、24日土曜日に18年度予算概算閣議という日程が発表されました。それから、財務大臣からマレーシア政府との協定、それから、やはり松田食品安全担当大臣から、米国・カナダ産牛肉等に関するリスク評価の結果について、昨日食品安全委員会委員長から厚生労働大臣、私及び農林水産大臣に通知されましたということでございます。今後、両省においてこのリスク評価の結果を踏まえて、適正な対応がとられることを期待しております、ということなので、こちらに仕事が移ってきたということになります。食品安全委員会の判断を踏まえて、まず部会等の党内の手続きがあるのでしょう。それから米国への申し入れもあるのでしょう。併せて、農林水産省と厚生労働省とチームを作ってアメリカに派遣をすることになる。我々の要求どおりの処置が採られているかというのを確認させていただくことになります。その後、入ってくるということになりましたならば、私どもとしては来年の3月31日まで、検疫体制を強化をしていきたい。基本的には、長期的にはサンプル調査になりますけれども、この3ヶ月は全容を見させてもらう。危険部位等の除去もきちんとなされておるかということで、少し検疫で働く皆さん方の仕事がハードになるけれども、全容を見させてもらってチェックをしていこうということを今考えております。一方、農協関係のご陳情もいただいて、やはりご心配いただいたのは、JAS法に基づく原産地表示というんでしょうか。安全だという評価を得たとしても、国民の今の判断が多少違うのではなかろうか。したがって、日本産なり、原産地、私のところですと松阪肉という表記になりますけれども、オーストリア産やアメリカ産などの表示を徹底してほしい。国民の食に対する安全、そしてそういうものの評価に応えられるようなJAS法の運用をしっかりやってほしいということでしたので、それは農林水産省の仕事でございますけれども、大臣として受け止めさせてもらいたいというお返事を申し上げたところでございます。以上です。

質疑

記者:
小泉総理が、共済年金への追加費用の投入を2006年度から廃止するよう検討を指示したということなんですけれども、これについて大臣の見解と対応をお聞かせ下さい。
大臣:
正直言って、聞いてないんです。マスコミの皆さん方がどんどんどんどんご質問に来られるだけで、「総理は本当にそういう指示をされたんですか」と言うと、「いやあ」という話も多くて、実はまだ正式な形で聞いておりません。この問題について財務大臣とも少し意見交換をしてみたけれども、法律によって、追加費用、すなわち恩給時代の経費を国家公務員共済に払うとなっているわけですから、それを一挙に来年の予算から反映できるかということになると、私の所管ではないけれども、年金を全体を責任を持っている大臣といたしまして、なかなか難しい話だと思っています。ただ、厚生年金と共済年金の統合化について、厚生労働省全体の考え方というかまだ決まった考え方とは受け止めないでいただきたいが、私自身の個人的な見解を申し上げれば、少なくとも議員互助年金も廃止することになりました。そうした全体の流れの中で特殊な年金体系というのはやめた方がいい。したがって、掛ける金額と将来もらう金額というのは、国民すべて平等であった方がいい。国家公務員だから給料に対して低い料率の年金をかけて、結果として民間と同じ年金をもらうとか、またそれより高い年金をもらうとか、こういうことがあってはもういけないのではないかと思っています。実は、歴史的な経過の中で、国家公務員共済なり、地方公務員共済なりは、運用がいいというか、恩給経費を100%負担してもらうということがありますので、ある意味では若い年金制度になっている。したがって、低い掛金率で今の厚生年金同様の給付が受けられる仕組みになっています。そこのところは、国家公務員だろうが、地方公務員だろうが、民間の皆さん方だろうが、同じ掛金率をかけて、そして将来同じ年金をもらう。これが共済年金と厚生年金の統合という思想だろうと思います。それを出来るだけ早くやりなさいという1つの促しかなと思ってます。それを出来るだけ早くやるということになれば、みんな同じ掛金を掛けるようになるわけですから、それを想定した中で追加費用というものについてもう少し議論を詰めていった方がいいのではないか。要は、厚生年金だったら14~15%を掛けているとします。片一方は、12%しか掛けていない。しかし、イコールフィッティングするのだったら、この12%が15%に上がることになります。そうすると、掛金自体が上がっていくことになります。もちろん半分は雇用者側が負担するわけですから、税金で補っているわけです。しかし、その分多少上がってくるものを想定しながら、そうなると追加費用というのは若干少なくて済むのではないか、という議論が当然出てくる。そのようなものをにらみながらもう少し議論してみる。ある意味では、厚生年金と共済年金の統合を早くやれというシグナルかなという形で私は今は受け止めています。
記者:
新閣僚の資産公開の関係なんですけれども、大臣ご自身の資産規模と内容について評価や感想を教えて下さい。
大臣:
正直言って、事務所への貸付金だけがどんどん増えてきました。すなわち、代議士として、また閣僚としてそれなりの給料を頂戴しています。しかし現実見ていただいているとおり、預貯金は全く貯まってこない。実は事務所全体の運営経費というものに拠出せざるを得ないというのが、政治家の生活であろうと思います。これがいいかどうかというのは、もう少し議論が必要なんだろうと思いますが、実態としては、初当選32歳、当時一番若い国会議員でございましたけれども、26年経ちましたけれども、全く資産形成はできなかったなというのが感想でございます。
記者:
資産公開制度そのものについて、評価であったり、あるいは改善点とか制度の意義等意見がありましたらお聞かせ下さい。
大臣:
私は制度の意義はあると思っております。実は私の親父の時代からやっています。私も当選後、今申し上げたように32歳当選後ずっと発表をし続けております。これは政治家が政治家の権力を使って資産形成をしてはならない。すなわち私腹を肥やしてはならない。そこだけはきちっとウオッチしていこうと。だから逆に言えば、父親・母親からの遺産とか、女房がいくら持っているとかということについては正直議論の対象外にした方が良いんだろうと思います。ただ女房の資産にして隠しているんじゃないかという疑惑の中で、女房のものも出すようになっているんでしょうけれども。段々定着してきて、事前に皆さん方からいろいろご議論いただいたけれども、正直言って10年前に報告したものと5年前に報告したものと全く変わっていませんということで、担当者の皆さん方は変わっているものだから、いろんなご質問があったけれども、5年前、10年前の私の答弁とは一切変わっていないつもりであります。増えましたのは、借金ではなく事務所への貸付金が増えてしまったというのが実態でございます。
記者:
児童手当なんですけれども、今与党内でいろんな議論を行っていて、その中で3歳以下の子どもの支給額を増やそうという意見もあるようなんですが、大臣としては児童手当の拡充についてどのようなお考えなんでしょうか。
大臣:
極めて厳しい財源の中で私の思いは大きいだけに、ある意味で縮減を求められている中で伸ばすべきところは伸ばしたいということで、ぎりぎりの交渉をしているところです。しかし当然この問題については財源問題が絡んできますので、もう少し議論をさせてもらわないと。私の一定の考え方として示すのは早すぎるだろうと思っております。
記者:
年齢層の拡大をするのか、3歳以下の人を膨らますのかということでの優先順位はどちらになるんでしょうか。
大臣:
今両党から違う意見が出てきている、与党2つから出てきている。一番良いことは、両方出来ることが一番良いことでしょうけれども。「そこは財源的に出来るの」と言われると先ほど申し上げたように、大変苦労していることは事実です。最終どこかで判断をしなくてはならないだろうと。しかし今皆さん方に申し上げる時期ではないだろうと思っております。
記者:
牛肉輸入問題で答申の内容が、同等性は分からないけれども、リスクは非常に少ないという結論があったことが分かりにくいという批判もありますけれども、答申の評価について改めてどのように。
大臣:
正直言って私どもは、あまりものを言わずに食品安全委員会にきちっと預けながらやってこようという中で、このような答申をいただきましたので、私どもはそれを尊重しながら先ほど申し上げたように次の行動に入っていくということになります。
記者:
大臣ご自身はこの結論を受けてアメリカ産牛肉についてはどのように。
大臣:
再開の方向で動いていくことになります。
記者:
大臣ご自身は安全だというふうに思いますか。
大臣:
思います。
記者:
先ほどの話なんですけれども、児童手当ですが社会保障費の削減という自然増に伴う問題があると思いますが、これは別枠という理解でよろしいのでしょうか。
大臣:
社会保障費の削減というと随分大きな話で全部が対象になってしまうでしょう、社会保障費は、恩給とか全部がそうですから。そういう意味では、ここまで医療の問題も含めれば、いろんな意味で議論してきましたよね。今、日程も発表いたしましたようにそろそろまとめの段階になってきている。一方で、30兆円の国債発行に出来るだけ近いところに持ってきたい。我々は30兆5,000億円くらいじゃないのという球を送っているんだけれども、財務省は財務省で「いやいや、出来るだけ30兆円に近いんだ」という発言をしながら、まとめに入っている段階ですから。ただ児童手当については、2回に渡る公明党さんの、与党まさに連立政権の強い要求の中で、特に選挙で約束されてきたことですので、我が省としても実現に向けて努力したいと思っております。
記者:
牛肉なんですけれども、アメリカからは30ヶ月をというような声も去年から出ているんですが、今回20ヶ月ということで解禁に踏み切るんですけれども、次のステップということについては。
大臣:
まだ早いですね。国民の信頼回復が一番大事でしょう。我々もきちんとやらしてもらい、農林水産省もきちんとやらさせてもらう中、もちろんこの肉はアメリカ産の肉ですよということが明確になって、そして国民がそれを食べたいという嗜好が強くなった段階で次の議論をしていったらいいので、今から次々というのは、食の安全を預かる農林水産省と厚生労働省としては、次から次へというのはちょっと早いと言わざるを得ないです。
記者:
先ほどの年金の追加費用の確認ですけれども、保険料率を共済年金の方を同じレベルにした部分の金額に見合う部分を追加費用から減額するという発想でよろしいのでしょうか。
大臣:
将来的にそうなるよねと、将来的に。今地方が1兆3,000億円ですか、国は5,000億円くらい。追加費用として1兆8,000億円出して、今の制度設計がなされて、したがって今掛ける人達は12%でいいですよ、13%でいいですよという設計がされているわけです。それが厚生年金と同じような金額を同じ料率でかけなさいという設計になれば、誰が考えたって貯まりますよね。したがってそこは追加費用縮減という表現になっているわけです。それを今ご質問をいただいた、思い切ってやめることもどーんと行けという、これはさっき言ったように早くやれというシグナルだと思っています。
記者:
積立金の取り崩しを早くするという考え方も出てきていますが、それは。
大臣:
積立金の取崩しだけ先に行ってしまったら、今後厚生年金サイドから言えば、積立金のない共済年金、要するに破綻になってしまう年金と、厚生年金、要するに皆さん方の掛金の中から、公務員のOBの年金を払ってやれと言ったら、これは担当大臣としてはNOと言わざるを得ない。そう思いませんか、皆さん方の年金からですよ。今度は恩給の時代の追加費用をそこで払えと言われたら、そこは我々簡単にYESとは言えない、これは将来設計の話として。
記者:
定率減税の8,500億円の行方の話なんですけれども、そろそろ議論が大分詰まっているんじゃないかと思うんですけれども、年金の国庫負担金にあてるという話と、あとは切り売りなんていう話も出てきますけれども、大臣ご自身の今のご見解をお聞かせ下さい。
大臣:
今見解を言えるかということになると、今日あたり自民党税調の幹部がいろいろ議論いただいているところでしょう。その後与党の税調の議論もあり、それから全体の歳入問題を含めて、そこで1つの固まりが出来て、そこへ今度歳出という問題に入ってきて、議論整理が進みますので、そういう意味では今自民党の税調が激しく議論をしているときに、もう決まったような話が流れるのはよくないですよね。やはり物事には順番があって、自民党の税調をまず議論というものをやはり尊重しながら、次に与党の税調の議論というのが出てくるんでしょうと。その中で我が省の考え方はどうだというのを水面下で聞いてもらいながらやっていく作業ですから、その水面下でやっている作業を私が皆さん方の前で公でしゃべるというわけにはいかないです。

(了)