閣議後記者会見概要

H16.07.27(火)10:33~11:00 厚生労働省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
閣議におきましては、平成16年度普通交付税大綱につきまして、総務大臣からお話がございました。平成16年度の普通交付税の総額は、15兆8700億円で、総額で昨年に比較しまして、約1兆1000億円の減となっております。

閣議後懇談会について

大臣:
細田官房長官からは、内閣提出法律案の正誤防止の徹底について、先般厚生労働省の年金法案につきましての誤りがあったことにつきまして、今後こういうことがないようにというご意見がございました。地域再生の提案に係る取組みにつきまして、地域再生につきまして特区制度とそれから規制改革、そして補助金制度改革、こうしたものを今後さらに進めていくということで、各大臣の協力方をお願いがあった。それから公益法人その他団体の役職員との兼職の禁止につきまして、これは先般小野大臣からオリンピック参加選手の壮行会での挨拶が大臣等規範との関係でできないのではないかという御指摘がありましたが、これは小野大臣がJOCの理事を勤められているところから、大臣等規範で定められている兼職の禁止との関係でありまして、小野大臣のような場合はその範囲にあたりません、そういうお話でございます。

その他

大臣:
それから、二、三、現在進めておりますこと、省内で進めておりますことにつきまして、少しお話しておきたいというふうに思います。1つは原爆の記念日がまもなくまた今年も来るわけでございます。在外被爆者の問題はほとんど解決できたというふうに思っております。韓国等から日本にお越しをいただきますケースも増えてまいりましたし、またお越しいただけない皆さんにつきましては、韓国で対応していただけるという道もつくったわけでございますので、かなり前進していると思います。ただ在外被爆者の問題で残されておりますのが、北朝鮮の問題でありまして、昨年におきましても北朝鮮の問題は個々の問題、個々の人というよりも総合的な施設を作るとかそういうことをしてほしいというようなお話が広島にお伺いしましたときに関係者から出たというふうに思っておりますが、それはなかなか難しいというふうに思っております。ただ個々の問題、人の問題でございますので、そうした問題、今年も出る可能性ございますけれども、個々の被爆された皆さん方の問題につきましては、国による格差というのはつくらない、どの国の方であっても同じように扱っていきたいというふうに思っている次第でございます。それから国内の問題におきましては、長崎の場合にいわゆる認定された地域に入っていなかったところについて、PTSDを中心にいたしまして検討し、そして地域を拡大をいたしている。これは既に拡大をしたわけでございますが、その当時からお住まいになっている方のみ限ってるわけでございますが、少なくとも県内でお住まいになった方、地域はその新しく指定された地域で被爆されたわけでありますけれども、その後長崎県内の他の地域に移られた皆さんについても拡大をしてほしいということで、地元からPTSDの新しい検討をされまして提出をされております。この問題につきまして、結論を急がなくてはならないというふうに思っております。向こうにお邪魔をいたしますときには、だいたいこちらの考え方をまとめていきたいというふうに思っております。それが被爆者関係のお話。
それから医療問題におきましては、一つはへき地、あるいは離島等で医療に恵まれない地域の皆さん方をいったいどうするかという問題がございます。これは、日本全体でみますと医師の数は非常に増えてきているわけでありますけれども、地域的な偏りがあるわけでありまして、これをどのように分散してもらうかの話でございます。大変なかなか難しい話でございますけれども、しかし地方にも意欲を持って行っていただけるような対策を立てていかなければ、この問題はいつまでたちましても解決しないというふうに思っております。少し知恵を絞らせていただきたいというふうに思っております。都道府県におきましてもいろいろと知恵を絞っていただいて、国としても絞らなくてはいけないというふうに思っております。
それから小児のお薬、子供さんの薬につきまして、大人の薬は整備されているけれども、子供の薬はなかなか整備されていない。もう少しどのくらいの年齢のお子さんには、どのくらいの錠剤を作ったらいいのかとか、そうしたもう少し子供用の薬の整備が必要だということでございます。長年言い続けられてきたことでございます。このへんのところは少し整理をいたしまして、そして何とかこれに答えられるような体制を作るというふうに思っております。
それから医療関係でもう一つ、がんの専門医の問題でございます。これはがんセンター等にはおみえになるわけですけれども、がんセンターのない県もございますし、がんセンターの中にも格差があるということでございます。研修制度を作ってがんセンター等で研修を受けていただくような体制を作っているわけでございますが、なかなか地方の病院におきましてはそういう人を派遣をする能力と申しましょうか、ゆとりと申しますか、それがないために、制度が出来ておりましてもなかなか利用しにくいという状況にございます。そうした状況でありますが、しかし全国に、やはりがん専門医というのが必要なことは紛れもない事実でございます。したがいまして、優秀な人材を逆に地方に派遣をすることは出来ないかといったようなことも含めてがん治療ということについての全国格差というものをどうなくすか真剣に取り組んでいきたいと思っているところでございます。今進めておりますことは以上でございます。

質疑

記者:
被爆者の関係なんですけれども、国による格差を作らないとのことで、これは北朝鮮との具体的な対策、受診として、北朝鮮との間で政府であらためて交渉がされるようなかたちになっていくのでしょうか。
大臣:
国交がまだ正常化されておりませんので、どういうかたちでするかということは、外務省とよく相談をしなくてはいけないというふうに思っておりますが、現在外国にお住まいになってる被爆者に対しては、その国といいますよりもその人ですね、被爆された人に対してどうするかというかたちになってわけでありますので、北朝鮮にお住まいなっているその人、そしてその人の中で被爆を受けた人が何人になるのか、その人が日本にお越しをいただくならば、他の国と同じようにするということに私はするのは順当だというふうに思っております。そういう方針で向こうの方がそういうふうにしてほしいということならば、それは進んでいくというふうに思います。
記者:
既に水面下の交渉は行っていると考えてよろしいでしょうか。
大臣:
去年もですね、実は広島に行きましたときに関係者の間から、ぜひ北朝鮮の方にいる人にも頼むというお話が出た。その時にも申し上げたんですが、決して差別はいたしません、同じように扱いさせていただきますということを申し上げたわけです。ただ北朝鮮の方は、そうした個々の人よりも、その北朝鮮の中に例えば専門の病院を作るとかそういうことで対応してほしいというようなご要望であると聞いております。しかしそれは少し違うようですから、この在外被爆者の問題としましては個々の人、人道的な立場からの個々の人に対する問題として解決の方向があればというふうに思っております。他の国々におみえになる方はかなり進んできていますので、少しここのところはですね、外務省ともよく話をして少し進めていきたいというふうに思っております。
記者:
在外被爆者ですが、訪日主義が原則になってますね、日本に来られたら対応するということで在外の方には居住地でそういう手続き、あるいはその治療を受けられる体制をとってほしいという声があるんですが、そういうお考えは厚生労働省としてお持ちでしょうか。
大臣:
大きい国は韓国、そしてアメリカ、ブラジル、これぐらいが一番多いところでございます、北朝鮮もございますけれども。この4つの国、又は地域だと思います。それでアメリカはもちろん医療施設としては十分にあるわけでありますから、その心配はないわけでありまして、例えば手帳を取得するとか、そうしたことはございますので、これはアメリカにおみえの方も取得をしていただくということになる。それから韓国などからは日本に来て、そうしたいのだけれども、もうそういう身体がそれだけいうことをきかないといいますか、寝たきり等になったような人たちもいて不可能だ、というようなことでありましたために、そういう人たちに対して特別な計らいをしようということで、その人たちに対する支援の仕方というのも考えて、そして現在実行に移されている。こういうことでございます。日本の医師が現地にお邪魔して、いろいろご相談にのってもおりますし、またその原爆の後遺症等に対する医学的な知見をお伝えをしたり、というようなことはやっているところでございます。
記者:
今おっしゃいました在外被爆者の支援なのですけれども、韓国等でしたら今年度から現地の赤十字を通じて、現地の医療費を補助するような仕組みが出来ているのですが、いかんせん北朝鮮は国交がないということで、窓口となる機関がないですとか、あるいは訪問をして健康診断が出来ないというような問題も現状にはあるのですけれども、その辺は韓国と同様のやり方が出来る方法を、今後外務省と相談なさるというお考えでよろしいでしょうか。
大臣:
韓国とやっているわけですから、諸外国もご要望があればそうしたことが出来ると思っております。韓国の場合にも赤十字が中に入っていただいているわけでありますから、そうしたことも一つの方法ではないかというふうに思いますが、そこは外務省ともよく相談をしたいというふうに思っております。
記者:
関連でもう一つ、被爆二世のことなのですが、昨日も韓国の被爆二世の方が、初めて厚生労働省に要請を行ったということらしいのですが、国内でもまだ二世というのは明確な定義づけさえ行われていないのですが、二世に対する対応等はこれからどういうふうにお考えでしょうか。
大臣:
広島などにおきまして、二世の皆さん方の健康診断、経過観察はずっと続けられているわけでございます。現在のところ、二世の皆さん方に普通の皆さんとの間での大きな違いが出てきている、例えばある特定の疾病に罹りやすいとか、そうしたことが現在のところは出てきていないというふうにお聞きをしておりますが、二世の皆さんもかなり年齢的に、年齢水準が上がってまいりますから、そうした時にどういう疾病が出てくるかといったようなこともあるというふうに思っております。したがってもう少し引き続いて検討をしていくということだというふうに思っております。
記者:
小児の薬のお話をちょっと伺いたいのですが、非常に大事な問題ですが、ちょっと日本では遅れてまして、アメリカでは小児規定という、新薬を承認する時に、小児の経過もきちんと取るように、というような規定を作ったりというような取組みが進んでいるのですが、大臣のお考えとしては子どもの安全データもきちんと取るような法改正も含めてご検討になるということでよろしいのでしょうか。
大臣:
そうですね、検討会を作りまして、検討していただくようにしたいと。
記者:
年金法の条文ミスに関わる追加処分の話ですけれども、その後の検討状況はいかがでしょうか。
大臣:
私は8月からと思っておりましたが、7月からということだそうでございますので、2ヵ月間ということに決定をいたしました。
記者:
在外被爆者の北朝鮮からの要望ということなのですが、これは関係者を通じて大臣の耳に入ったということで、北朝鮮政府から公式な形で、個々の問題ではなく、総合的な施設をというような話があったわけではない。
大臣:
そうですね、最近そういうようなことがあったというわけではありません。
記者:
追加処分の確認ですが、それは大臣だけですか。
大臣:
はい、大臣だけでございます。
記者:
先ほどのへき地や離島の医師不足の問題なのですけれども、医師全体の数は増加しているから、うまく振り分けが出来るようにということだったのですが、今考えている具体策とか、だいたいいつくらいまでに、どれくらいでというのは。
大臣:
これは早急に解決する問題ではないと思うのです。へき地問題というのはかなり長く続いてまいりまして、現在もまだ、いわゆる一つの定義に基づいてですけれども、へき地といわれているところは900ヵ所くらいあると思います。もう20年くらい前でございますけれども、1100ヵ所か、1200ヵ所かそれくらいでございましたから、そんなには減ってはいないということだというふうに思います。ですから、これは自然の成り行きに任せておきましてはなかなか解決出来ない問題だと、へき地といわれないまでも地方におきまして医師不足というのはかなりあるわけです。都道府県の方は、それに対応するために都道府県でドクターバンクのような形のものをお作りになって、そして登録を受け付ける、それでそれは県の職員にするといったようなことをおやりになっている。市民病院ですとか、そういう病院の先生方もいわゆるへき地ですとか、そうしたところの診療所等の医師を兼務するというようなことをおやりになっているところもある。ただ単にそこに一人の医師を送り込むというだけではなくて、土曜、日曜の月に2回くらいは、土曜、日曜交代の医師を派遣をしますとか、あるいはまた眼科ですとか、耳鼻科ですとか、皮膚科ですとか、そうした専門の医師をまた別途送り込むとか、そうしたことも併せて考えていく。一人の人だけに任せてしまうというのではなくて、みんなで支えていくという行き方がよろしいのではないかと、私も思っておりますし、また地域におきましてもそういう取組みがあちこちで始まっておりますので、それをバックアップをするというのも一つの方法だというふうに思います。いずれにしましても都道府県の中だけで解決が、なかなか出来ない問題でありますから、もう少し日本全体の中で医師の少ない地域に対してどうしていくかということを考えないといけないというふうに思います。それぞれの都道府県、皆医学部をお持ちになっていて、皆一つ以上あるわけです。ところがそこに入学される方は、地域の方よりも、都市部の皆さん方がおみえになって合格されて、そして卒業されるとまた都市部に帰られるというケースが非常に多いということであります。そうしたことに対してどのように対応をしていくか。地域によりましては2年くらいお勤めをいただきましたら、1年間研修期間を作って大きい病院でお勤めになってもいいし、あるいは何らかの研究をしていただいてもいいし、あるいは外国に行っていただいてもいいと、研修期間を与えるといったような制度を取り入れようとしているところもありまして、そうしたことも非常に私は参考になるのではないか。地域医療にどっぷり漬かることも大事ですけれども、しかし時にはそこから解放をして、新しい知識を身につけていただくというようなことも大事ではないかと、そんなふうに思っている次第であります。
記者:
今、都道府県でやっている、そうした取組みについて、厚生労働省として、例えばお金の面で補助していくとか、そういうようなことはお考えでしょうか。
大臣:
どういうふうにバックアップ出来るか、今バックアップの方法も考えているところでございます。
記者:
追加処分ですけれども、これは本日付けということでよろしいのでしょうか。
大臣:
本日付けで結構でございます。
記者:
1ヵ月延ばされた理由を、改めて簡潔に。
大臣:
私は8月からというふうに思っておりました。前回も申しました通り、9月はもう交代時期でございますし、あまり私が長く言うのはいかがなものかと思って1ヵ月と申し上げたわけでございますけれども、7月からということでございますので、私は2ヵ月にさせていただきました。やはりミスというのは非常に重いと私も率直にそう思っておりまして、本当は過去に私が取りましたようにもう少し長い期間、私はその責任を負うべきだというふうに思っていたわけでございますが、そういう諸般の事情もありますので、あまり長く申し上げるのもいかがなものかというので1ヵ月というふうに申し上げたわけでございますけれども、2ヵ月あるということでございますし、もう少し責任を取るべきではないかというお声のあったことも事実でございますので、私はそうさせていただくということにしたわけでございます。
記者:
原爆の長崎の関係なのですが、これは地元の要望に沿ってというふうにお考えで、そういう趣旨の回答をされるということなのでしょうか。
大臣:
出来るだけ地元のご要望をお聞きをしたいというふうに思っておりますが、この範囲を拡大することによりましてどんな病気、あれはがん以外はどういう病気でもいいということだったと思うのですが、かなり全ての病気にそれが広がっているということがございまして、初め予測をいたしておりましたよりも財政的にはかなり多くの財源が必要になっているということもあるわけでございます。それらの問題を少しどうするかという問題もございますけれども、県内に広げるという皆さん方のご努力というのものは、ご努力として我々も拝見をさせていただいて、そこはかなり理解をしているということでございます。ただ全体としてどうするかというのはもう少し考えなければいけないところも残されている、こういうことでございます。
記者:
今の件なのですけれども、地元の方たちは県内ではなく全国というふうに、かなり広く要望していらっしゃるのですが。
大臣:
そこまではちょっと無理ですね、そこは無理です。皆さん方が先般調査をされましたのも、県内にお住まいになっている皆さん方を対象とした調査をしておみえになる。そこまでは理解をいたしますと、こういうことでございます。

(了)