閣議後記者会見

H15.08.01(金)10:37~11:00 厚生労働省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
閣議における閣僚発言から報告いたしますと、財務大臣から平成16年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について、それから経済財政政策担当竹中大臣から平成16年度予算の概算要求に当たって、それから総務大臣から平成16年度における機構及び定員の要求等について、同じく総務大臣から政策評価の結果の平成16年度予算の概算要求への適切な反映の推進について、もう一つ総務大臣から、平成16年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について、地方自治体の問題につきましての関連報告がございました。総理大臣から平成16年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について、それから石原行政改革担当大臣から10月1日に設立される独立行政法人の中期目標について、小泉内閣総理大臣からも独立行政法人の今後の中期目標等についての発言がございました。10月1日に設立される独立行政法人の中期目標等が特殊法人改革の趣旨にふさわしいものとなるよう各大臣に先頭に立って作業を指揮していただきたいと。それから私の方から平成15年版の厚生労働白書につきまして発言をいたしました。その後外務大臣から、スリランカにおける紛争被災地域への母子保健改善計画に対する無償資金協力について、それから同じくWTO非公式閣僚会合への出席等について外務大臣から、それから平沼経済産業大臣からもWTO非公式閣僚会合への出席等について、亀井農林水産大臣からもWTO非公式閣僚会合への出席についての発言がありました。以上でございます。

質疑

記者:
シーリングがまとまりまして、年金、少子化含めいろいろなものが年末までの予算編成過程での決着という課題になりましたけれども、厚生労働省として、概算要求の段階で特に重点を置いて打ち出していくものが何であるのかという点と、その年末までの過程で政治日程もいろいろタイトになってきますが、どういうふうな方針で臨まれていくのか、どういうリーダーシップをとられるのか、改めてお伺いしたいのですが。
大臣:
いずれも重要な面でございますけれども、新しくと申しますか、今まで手がけてきた以上に、より積極的に進めなければならない部分は、一つはやはり少子化対策でございます。少子化対策と申しますか次世代育成支援の対策でございます。ここは今まで以上により具体的に要求をしなければならないというふうに思っております。それから今年通りました法律の関係で申し上げますと、精神障害者の皆さん方に対する問題、これは精神障害者だけではなくて、障害者全体ではございますけれども、とりわけ精神障害者の方が非常に遅れている、いわゆる社会入院という言葉が適切かどうか分かりませんけれども、約7万人くらいの、地域であるいはまた家庭で生活のできる人があるのではないかというふうに言われているわけでございますので、その皆さん方をどのように地域、あるいはまた家庭にその人達を戻していくかといったようなことにつきまして、それぞれのやはり地域で受け入れが十分でないと出来ないわけでございますので、今まで十分でなかったということがございますので、新しく付けてくる部分だというふうに思っております。その他、いずれにいたしましても、年金、医療、介護、大変大きな問題をそれぞれ抱えておりますから、改善するところは改善をしながら、そして重点的な予算配分が必要だというふうに思っております。
記者:
日赤の問題ですけれども、大臣の報告命令に対する回答が出ましたけれども、その中で肝炎ウイルス等に汚染されている可能性が否定出来ないものが6400本市場に流通していると、回収が13本と、今のところそれを輸血されて感染された方の被害報告というのは上がってないのですけれども、今後上がってくる可能性あるわけで、日赤の責任は当然問われることで、厚生労働省の責任というのは大臣どうお考えになっておりますでしょうか。
大臣:
日赤の責任と申しますか、現在の検査方法におきましてはそれ以上のことを求めることは不可能と考えますね。昔のことを思えばもう99パーセントこれは排除できるようになったわけでございますけれども、しかし、最近HIVにしろ、C型肝炎にしろ、B型肝炎にしろ罹患した方々が検査で引っかかってこないことが判明したと、非常に優れた検査方法ではありますけれども、それでもなおかつ、引っかかって来ない人達が存在するということが明らかになってきたわけであります。そういういわゆる言うならば瀬戸際の皆さん方の中で献血をしていただく方がある。本当にその人達の人数がそんなに多いのかどうかちょっと私6千何百人というのはいささか多すぎるのでないかという、私は感じをいたしますけれども、何人かお見えになることはそれは当然あるのだろうと、しかしそれがあったからといって、そのことを赤十字に責任を問うということはこれは非常に難しいと思ってます。現在の医学水準におきまして、そこまで求めるだけの段階に至っていないということであります。私は赤十字にだからといって責任を求めるということはしないという意味で、但し、そういう皆さんがおありになります以上、それは遡って、その血液を使われた皆さん方のところに対しましては、その血液を使用した、輸血を受けた皆さん方の健康状態ということを早く見ることが大事でございます。迅速にそこは各医療機関と連携を密にしていただいて、早くその皆さん方の健康診断をしていたきたいというふうに思っております。その状態を見て、次にどういうふうな国としてやっていくかということを考えたいというふうに思っている次第でございます。
記者:
後半部分の話で、遡って輸血を受けた方に対して、適切な情報提供、すり抜けて使われてしまったのはしょうがないとしても、適切な情報提供をその時点でしていれば、もし肝炎に感染した場合、慢性化とか重症化というのは起こる前に検査を受ける、適切な治療を受けることができたかもしれないけれども、しかし、それを受けていなかったから重症化したというのが出てくる可能性があるわけですね、日赤はそれをやっていなかった、これについては責任が無いというのは言えるのでしょうか。
大臣:
4、5年前の話ですか。ですからこの4、5年の間、NAT法という優れた方法が生まれてきて、赤十字が若干その方法ならば全てをそれで発見することが出来えると、若干過信をし過ぎたきらいはあるのだろうというふうに思っておりますが、しかしそこは避けがたい、なかなかそこの隙間というのは避けがたいところでありますから、まだそんなに始めて4、5年のことでございますから、使われた皆さん方の中で、そしてもしも罹患をされているという方があれば、それはその人に対して早く対策を打たなければいけないわけでございまして、遅すぎるということではないというふうに思っております。
記者:
日赤側の主張なのですけれども、国が指針を作って欲しいということを聞いているのですけれども、遡及調査の手順書の必要性というのは97年の有識者懇談会でも指摘されいることなのですが、国が指針を作るというお気持ちはございませんでしょうか。
大臣:
本当は赤十字が責任を持ってやってくれているのですから、国が全て微にいり細にわたって作らなければやれないという話ではないと思うのです。過去の検査法の時には遡ってそういう人が出れば検査していたわけでありますから、それと同じようにやってもらえばいい、国の方は以前と同じようにやられているというふうに思っていたところにも問題があったわけですけれども、そこはやはり赤十字が主体的に私はおやりいただいて、この問題は解決できるのではないかというふうに思いますから、一番現場でやっているわけで、もしそこで異常の人があれば、それは早くその皆さん方にお知らせをするということが、ひとつのつとめだと思いますから、いちいち決めてもらわなければ出来ないという話ではないと私は思っております。
記者:
最近大臣、閣僚を辞任されることを念頭においた発言をされておりますけれども、次の秋に想定されている衆議院選挙にはどのように対応されるのでしょうか。
大臣:
いや分かりません。衆議院選挙がいつあるか分かりませんし、総裁選がどうなるかによりまして、その時期もまた変化するだろうと思います。自分のことも考えなければいけませんし、党のことも考えなければならない、与党のことも考えなければならないだろうというふうに思いますから、今まだどうする、こうするという状況まで決めているわけではございません。選挙は政治家にとりまして越えなければならない、どうしても越えなければならないものでございまして、いつかあるか分かりませんし、いつあってもいいように努力しなければいけない。
記者:
この夏、大臣外遊のご予定は。
大臣:
今のところベトナムから招聘を受けておりまして、これはSARS絡みでございます。ご承知のようにベトナムは、病院内で多くの患者が発生いたしましたけれども、それは病院内で留めることが出来た、それは日本の今までからいろいろと受けてきた感染症に対する指導がものをいったということで、金銭的な支援もさることながら、その感染症に関する様々なことを受けたことが、非常に大きく影響したというふうに感じておりまして、外へ出さなかった、いわゆる病院内だけに留めたただひとつの国でございます。そういう意味で自信を深めてきておりますが、もう少し今後SARSの問題のみに関わらず、他の分野においても日本の協力をお願いをしたいといったことも言っております。このSARSにつきましては、いろいろの経験をいたしましたので、将来日本でもそれが役立てば、ひとつ役立てて欲しいといったようなことございまして、先般APECの会合に行きました時も、そういう話を是非一度いろいろご相談を申し上げたいということで。まだ決定的になってはおりませんけれども、この8月の月末には行けたら行きたいと、こういうふうに思っております。
記者:
日本赤十字の話を最後にもう一つお聞きしたいしたいのですけれども、検査ですり抜けてしまうというのは、現行では限界があるということは指摘されているところなのですけれども、要するにすり抜けたものも含めてウイルスの不活化という処理をして、外国では導入されている国があるみたいですけれども、ウイルスの不活化処理というのを、もしくはその前段階の白血球除去という作業をすれば、少なくともウイルスに感染するリスクというは、ものすごい飛躍的にリスクは低くなって、専門家によってはゼロに、限りなくゼロの近づけることが出来るのではないかという指摘もあるみたいですけれども、日本赤十字がそれを導入する取り組みというのが、傍目で見ててもものすごい遅いように感じるのですが、国としてはウイルスの不活化ということの取り組みをもっと。
大臣:
NATの取組みはこれは諸外国に率先してやった。この取組みは早かった。だからこれはまず第一段階として諸外国に先駆けてやったわけです。これは決して遅れていない、諸外国よりもうんと進んでいると思っております。しかしそれでもなおかつそこには、まだリスクもあるということでありまして、それをどんな方法で解決していくかということにつきましては、今後もう少し検討をしなければいけないと思いますけれども、献血していただく人の血液の全部に何か処置をと言っても、それはなかなか私は無理だと思います。検査をすることは出来る、検査の中にウイルスが含まれているかどうかということを、それはある程度含まれておればそこでひっかかってくるわけで、けれども患者さんに使います血液を全て何かふるいにかけるみたいにして、その菌がないように処置をということになると、それは生きた細胞ですから、そのものを壊してしまう。白血球なら白血球は全部除いてしまうというような装置が出来るのなら、それはひとつの方法だと思います。そうしますと血球浮游液みたいなものを作って、そしてやるということになるのだろうと思います。私はいわゆる輸血ということに全てそれが出来るかどうか、技術的にも少し検討しなければならないと私思いますけれども。
記者:
事務方が不活化処理を検討せよという指示、指導を出しているのですけれども、今の発言を聞いていると撤回するようなことにも聞こえるのですけれども。
大臣:
撤回はしないけれども、そう簡単なことではない。手間は倍かかりますから、倍では済まないかもしれない。ひとつひとつ全部チェックしてやらなければいけない。言うのは簡単だけれども、それだけの予算をちゃんとつけてやることが出来るのか。それはちゃんとしてやらないと、あれやれ、これやれと言うのはいいけれども、現在のぎりぎりの予算でやっている赤十字にそれを言ったってなかなか現場は出来るわけがない。

(了)