閣議後記者会見概要

H15.06.03(火)9:23~9:40 厚生労働記者会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
今日閣議におきましては、内閣官房長官から交通事故の状況及び交通安全施策の現況等に関する年次報告、いわゆる交通安全白書についての説明がございました。それから国土交通大臣から、平成14年度の首都圏整備に関する年次報告の報告がございました。それから石破防衛庁長官のアジア安全保障会議への参加についての発言がございました。それから経済産業大臣から次世代型無人宇宙実験システム(USERS)の帰還・回収についての報告がございました。以上で今日は終わったところでございます。

質疑

記者:
労働基準法の改正案の修正が与党協議で固まったわけですが、要は政府案の内容を与党から改正を求められた形になったのですけれども、この問題をどのように受けとめてらっしゃいますでしょうか。
大臣:
政府の案と国会の中での議論、そんなに方向性としては私は違わないというふうに思っておりました。ただ、法律の書き方として政府案に書かれておりますことに対する誤解もあるし、そしていろいろの意見があったことも事実でございまして、私は国会におきましても、方向性としては変わらないということを申し上げてきたところでございます。与野党の中でそれならばひとつより分かり易い表現にした方がいいのではないかというのでご協議をいただいたというふうに聞いておりまして、そういう結果、昨日まとめていただいたということでございますので、それは重く受け止めて、私もそれに従いたいというふうに思っているところでございます。
記者:
塩川財務大臣が日曜日のテレビ等で、年金の水準について生活保護よりも少し高い水準ということで、3割カット、18万という数字をそちらの方から示されたのですが、大臣のお考えは。
大臣:
私は年金の額をどうするか、そしてまたそれに対してどれだけの保険料を支払うかということは国民自身が選択すべき問題だというふうに思っております。先般来、国民全体の意見ではございませんけれども、いわゆる有識者といわれております皆さん方へのアンケート調査の結果もまとまっておりますが、決してそういう方向にはなっておりません。かなり年金というものを今後とも重視をしていくという姿勢になっているわけでございます。厚生労働省が選んだ先ではございませんで、アットランダムに専門機関が選んでいただいて、そして回収をしたものでございますので、私はその意見というのはかなり現在の年金制度に対する考え方、それをよく反映をしているというふうに思っております。したがいまして、与野党の中での議論も始まってまいりましたし、あらゆる角度からこれは検討していくべき問題であり、私は現在もそして将来も社会保障の中で年金はやはり柱であって、年金が中心の社会、これは変わらないというふうに思っている次第でございます。ただ、人口構成がかなり変わっていきますので、その中でどれだけご負担をいただけるかという問題になってくるわけでございますので、それのひとつの限界があるだろうと、その場合にその限界のありますところ、いわゆる保険料としての限界のありますところを何で補うか、それは一般会計の中から支出をするという形にするのか、それとも若い皆さん方の保険料の限界をそのままにして、そして年金の額にするのか、といったところが議論の中心になるだろうというふうに思っております。したがって、現在の生活保護、あるいはそれを少し上回るような程度のところで年金がおさまるということにはならないのではないかというふうに私は予測をいたしておりますし、またそこまで年金を下げてはいけないとも思っております。現在、いわゆる在職間の59パーセントというふうになっておりますけれども、少なくとも50パーセント台半ば以上くらいなところでないと、やはり年金というのは年金としての意味がないのではないかというふうに思っております。しかし、これからの少子化の影響も今後30年、50年先というのは受けますから、少子化対策というのもしっかりやって、そしてそれに対応してどうなるかということにもよるというふうに思っております。
記者:
特区の株式会社の医療参入について、国会の場でも鴻池大臣は、自由診療の分野だというふうにおっしゃって、木村さんは自由診療かつ高度先端医療というおっしゃりかたをしているのですが、大臣のお考えとしてはどうでしょうか。
大臣:
この問題も決着した話ですので、いまさら蒸し返すつもりはございませんし、最終、総理もお入りになって決着をした話でございますから、それに従いたいというふうに思っているところでございます。先端医療だけでいいかといえば、それはやはり先端医療だけというわけにもいかないというふうに思っておりますから、もう少し幅を広げて自由診療の中でどうするかといったことになるだろうというふうに思っております。
記者:
SARSの関係なのですけれども、香港や台湾でSARSの患者を治療している医療機関に勤務している医療関係者が、先月から今月にかけても日本に来ているということなのですけれども、日本の自粛要請が徹底されていないように思えるのですが、大臣の考えを。
大臣:
今日も新聞を拝見しまして私もびっくりしたのですが、もう少しやはり徹底したいですね。それでこれは日本だけの問題ではございません。各国とも同じことだというふうに思いますから、SARSの治療に係わっている病院等で働いておみえになる皆さん方はSARSの患者が病院で無くなりますまで、無くなって少なくとも10日以上経つという状況になりますまでひとつ自粛をしてもらいたいというのは、これはもう日本だけではなくて各国の希望だというふうに思いますから、できれば世界全体といってもいいのですけれども、とりわけアジア全体でそういう合意というものを、早く形成したいというふうに思っております。各国に少し働きかけたいというふうに思います。
記者:
先ほどの特区でもう少し広げてというのは、大臣ご自身はどういうところに広げられる余地があるというふうにお考えでしょうか。
大臣:
そこまで私申し上げませんけれども、例えば形成外科などの分野をどうするかという話に多分なるんだろうというふうに思っておりまして、そうしたことまで排除するのかどうかというのはいろいろあるというふうに思いますから、私はその辺まではいいというふうに思っておりますけれども。
記者:
東京大学医学部の堤教授が、国からの研究費を流用していた問題で今日午後にも停職が相当とする処分が下されますが、大臣改めてよろしいでしょうか。
大臣:
これは東京大学ご自身が決定をされることでございますから、東京大学ご自身の自主性というものを尊重させていただきたいというふうに思っております。いずれにいたしましても大学、とりわけ医学部というところは非常に古いしきたりが残っておりまして、例えば人の派遣の問題もそうでございますし、医局という法律的には存在しない、しかし厳然として存在をする、そういうものが残っておりまして、そこでいろいろなことが行われているということでございまして、これは東京大学のみならず他の大学におきましても同様のことだというふうに思っております。したがって、そうした中で研究費の問題等も、それは教授自身ということだけではないというふうに思いますが、口座等が教授の口座を使用したりというようなところは、今までからもあったことだというふうに思っておりますから、この際でございますので各大学ともにそうしたことを改めていって欲しいというふうに思っております。厚生労働省といたしましても、厚生労働省が出します研究費等につきましては、これはいわゆる学校当局、例えば学部長であれば学部長のところで管理をしていただき、そしてその研究成果をあげていただいてそれに対する報告をしていただくという形にお願いをしているところでございます。今そういうふうになっておりますから、ほとんどはそういうふうになってきておりますけれどもまだ一部そうなってないところもございますので、そういうところにつきましては厳重に現在チェックをさせていただいているところでございます。もう1年か2年でそういうところはなくなって、そして全部学部長さんなり総長さんなり、そうしたところで把握していただく、そういうところで管理をしていただくということに変わるだろうというふうに思っております。
記者:
ALS患者さんの吸引の問題なんですが、大臣の昨年11月のご指示で検討会が設置されて、ようやく報告書の形でまとまったんですけれども、その内容についてALSの患者さん団体の方はALSの在宅のみに限られているとか、他の疾病、例えば筋ジストロフィーとか、他の疾病で吸引が必要とされている人たちには、報告書ではどうも対象になっていないということに不満というか、さらに検討して欲しいというような要望が出されているようですけれども、大臣のお考えとして吸引問題だけに限らずですけれども、医療と介護の狭間というか、医療行為のあり方についてどのようなお考えがあるかお聞かせ下さい。
大臣:
ALSの皆さま方からご依頼を受けてスタートしたことでございますが、これは本来はALSだけにとどまった話ではないと私も思っております。ただどこかの問題を中心にして議論をして、そして決着をつけて風穴をあけないと全体に広がっていかないわけでございますから、まずその点でお話をさせていただきました。ALSの場合には非常に難しいほうでございまして、口腔内に溜まりました痰を取るというだけではなくて、喉のところに手術をされてそしてそこに人工呼吸器等をつけておみえになるわけでございますから、そうした皆さん方が痰を取るというのはそこも取らなければいけないわけでありまして、ふつうの口腔内における痰を取るというのよりも非常に難しいというふうに思っております。ここで認めるということになれば、他のところに対しましてもそれ相応の対応をするのが妥当だと私は思っております。したがいまして、介護のいわゆる介護士さんの皆さん方も非常に訓練を積んで、そしていろいろなことを出来るようになってまいっておりますから、そうした皆さん方に対して出来ることはお渡しをしていくということにしないといけないというふうに思っております。医師でなければ出来ない、看護師でなければ出来ないということではないと私は思っております。したがってもう少しそこは段階的に拡大をしていくということでなければいけないというふうに思います。いつかも申し上げましたように、初めは血圧を計ることすら抵抗がございまして、それをやることは医師法違反だといったような意見も最初はあったわけでございますから、最近は機械も発達をいたしましたけれども、個人が計ろうと、あるいはまた看護師さんが計ろうと、もう保健師さんはもちろんでございますけれども、あらゆる人が計っているわけでありまして、私は出来ることはみんながやれるようにしていけばいいというふうに思います。ただその結果の判断というものについては、それは専門的な知識が必要でございますから、そこは専門家にお任せをするということでよろしいのではないかというふうに思っております。したがいまして、痰を吸引をするということにおきましても、ただ吸引をするというだけではなくて痰の量が非常に増えてきたといったような時、あるいはまた痰が非常に濃厚になって、そして普段とは違うといったような時、そうした時にはやはり専門家にそのことを報告をするといったようなことは必要なことだというふうに思っております。

(了)