閣議後記者会見概要

H15.01.14(火)10:27~10:42 厚生労働省記者会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
今日は財務大臣からベトナム・マレーシア出張につきましての報告がございました。続きまして大島農林水産大臣のカナダ及び米国訪問についての報告があり、外務大臣臨時代理であります官房長官から、小泉内閣総理大臣のロシア訪問につきましての報告がございました。以上でございまして、20日の日に臨時閣議を行うと、補正予算についての臨時閣議を行いますと、時間は未定でございます。そういう報告がございました。

質疑

記者:
障害者の施策の関係でちょっとお伺いしたいのですが、厚生労働省は最近入所施設の偏重から、障害者が地域で暮らせる様な形でずっと施策を進めてこられてますけれども、地域で暮らす障害者の相談にのったり、支援するような二つの事業の補助金を昨年末突然、12月27日付で都道府県に対して打ち切るという方針を示されたと、これに対して都道府県から事実上の抗議に等しい要望書がかなり障害保健福祉部の方に来ているようなのですけれども、この件について、二つの事業、最近まで拡充方針を示してこられたにも関わらず、既にそれに基づいて、そういう方針に基づいて予算を策定している自治体もある中で、こういった方針転換というのはどのようなお考えでされたのかというのをちょっとお伺いしたいのですが。
大臣:
私も新聞記事を若干見せていただきましたが、まだ詳しいこと私も聞いておりません。ただ、全体としては一般財源化をしたいという気持ちがございまして、そこの一端が現れたのだろうというふうに思います。したがいまして、ここは痛し痒しの所があるのだろうというふうに思います。地方自治体といたしましても出来るだけ自分達で自由に使えるような財源配分にしてもらいたいと、こういう強い、トータルとしての要望があるわけでございますが、しかし個々の問題になりますと、それをトータルで我々の方に投げられたのでは、そこに自分達の自主性というものを十分に尊重してもらえるかどうか分からなくなるという、また不安もあるわけでありまして、そこを一体どうするかという大きな問題、これから抱えているだろうというふうに思います。それは完全に出さないというのではなくて、これは交付金として出すということでございますから、交付金化ということを今後どう考えていくかということなんだろうと、その根っこにありますのは、いわゆる主体的にアクセントを各自治体が付けられるようにしていくという、大きなテーマとの間の整合性をどう図るかということなんだろうというふうに思っております。京都の例かなにか上げられていたように思いますけれども、京都なら京都は、その交付金の中でより積極的にその問題を取り上げていただければ、それで済む問題であるというふうには思っておりますが、しかしその前提には一般財源化をして、その一般財源にしたものを将来、それを少なくしないという前提の上での話でありますから、そこは財務省としっかりと煮詰めていかないといけないというふうに思っている次第でございます。
記者:
今後財務省とも詰めて行かれると。
大臣:
そうですね、そういうことはちゃんと詰めていかないといけないと思っています。
記者:
16日と17日に医療制度の抜本改革について日本医師会、健保連、国保中央会などと意見交換をされますけれども、その場で大臣からどのようなお話をされるおつもりなのか、あるいは向こう側からの意見を聞いて、どのように今後進めていく考えなのか教えてください。
大臣:
抜本改革につきましては、もう既に案をお示しをしてあるわけでございますから、その内容を我々の方から説明するといたしましても、むしろ我々の説明よりもそれをご覧いただいて、どういうご意見をお持ちになっているかということをお聞きをしたいというふうに思っております。それぞれの団体、そんなに長い時間ではございませんので、こちらが申し上げるよりも、向こうからのご意見をお聞きをしたいというふうに考えております。それらを総合的に勘案をして、そして抜本改革の案をまとめていきたいというふうに思ってます。
記者:
各団体との話し合いの期間というのは、いま設定されている3日間以外に、たとえば国会でふと狭間ができた頃にもう一度開かれるというようなお考えはあるのでしょか。
大臣:
どういう問題点が指摘されるかにも私はよると思うのですが、もう少しやはり検討しなければならない。我々の方としてももう少しより具体的なことをお示しをしなければならないようなご質問なり、ご議論がありました場合には、再度皆さん方とお会いをして、そしてそこで我々はこういうふうにしたいと思うがどうかということをお示しをしなければいけないと、そう思っております。
記者:
税の関係なのですが、最近増税の話が多く出ているんですが、中心として挙がってくるのが社会保障という感じで、社会保障絡みで増税が必要だという言い方なのですが、それに関してご見解をお示しいただけますか。
大臣:
社会保障全体についてでございますけれども、まず昨年決まりました医療につきましては、75歳以上のところを5年間かけまして50%まで引き上げていくということが決まったわけでありまして、これも年々歳々、かなり国庫負担は増えていくことは事実でございます。それから来年改正をいたします、改正時期に当たっております年金につきましても、基礎年金3分の1から2分の1というのは既に前回の時に決まっているわけでございますから、これをどうするかという問題がございます。これはこれからのご議論、皆さんのご議論も十分にお聞きをして、そして決定をしていくというふうにしたいというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、それらの財源が必要であることは間違いがございません。それを一度にたとえば来年なら来年から年金の場合にもやるか、あるいは5年ないし7、8年の時間を取って、その間に徐々に実行をしていくという方針を採るか、そうしたことも考えていって良いのではないかと私は思っております。そうしたことを考えましても長いスパンで見ますと、財源が必要なことだけは間違いがないわけでありまして、その財源をどう求めるかということになるだろうというふうに思います。これは来年の年金改正にも関わることでありますが、全てを保険料でまかなうのか、そうではなくて少なくとも半分は税に委ねるのか、あるいはもっと委ねるのかというような議論がこれから始まるわけでございます。その財源を求めると言います場合に、その社会保障の財源を求めるということを理由にして、他のものも含めて全体で消費税を上げようという、こういう私は動き無きにしも非ずというふうに思っておりますが、それはやはり社会保障ならば社会保障にこれは全部使うということが前提での税議論というものが私は必要ではないかというふうに思っております。したがいまして、他の部分、たとえばこれから返してゆかないといけない日本の借財、国債の返還等につきましては、それは国の方が最大限歳出削減を行うことによってまかなっていく、そして社会保障なり、あるいは地方自治体で必要なものについてはそれなりの税制改革を行っていくといったような明確な縦割りを、折り目切れ目を付けながら私は改正をしていくのが妥当ではないかと、そんなふうに考えている次第でございます。しかしこれは税制改革でありますから、厚生労働省の中で決めるわけではございませんので、私としての要望と申しますか、私としての気持ちを申し上げたということでございます。
記者:
税制に関連して公的年金控除の縮小廃止が議論されていますけれども、これもやはり社会保障目的に回すということに限定すべきだと。
大臣:
私は私の立場から言えば、もしそれが行われるということになれば、その財源は社会保障に回して欲しいというふうに思いますね。アメリカなんかでも、これは州によって違うと思いますが、高齢者からの所得税についてはこれは年金財源に回すといったようなことをやっているところもあるようでございます。来年の年金改正におきます枠組みにもよりますけれども、その枠組みと合わせて年金税制との問題も俎上に載るだろうというふうに思っております。もしそこで控除の廃止、あるいはまた削減といったようなことが行われるとすれば、それは年金財源に回るようにしてもらいたいと、そういうふうに私は要望したいと思っております。
記者:
年末の会見でも触れられたので、今ちょっと確認したいんですけれども、平成16年度からの基礎年金の2分の1への引き上げということについては、先程の5年から7年をかけて徐々にやるという言い回しが出てきましたけれども、つまり16年度に一気に2分の1に引き上げるということには、必ずしも現時点でもう既にこだわっていないということなんでしょうか。
大臣:
出来れば来年からやるのが僕は一番それはいいというふうに思いますけれども、どうも現在の経済状況等から勘案しまして税収が非常に減っている、そういう状況でございます。来年の税収が順調に回復するかどうかということを考えました時に、非常に不透明なものがある、そうした中での年金の議論でございますから、私は来年に一度に3分の1を2分の1に引き上げるということは、なかなか言い難い状況にあるのではないかというふうに考えております。したがいまして、それらを踏まえて考えますと、やはりもう少し中長期的にと申しますか、中期的に引き上げを考えてよろしいのではないかと、そういう幅を持って議論をすることの方がいいのではないかということを申し上げているわけでありまして、そういうふうに厚生労働省が決めているとか、私が決めているとかということではございませんで、幅を持ってご議論をいただければということを提案をしているところでございます。
記者:
法律の附則だったと思いますが、一度決めたことをそうした形でまた先送りにするマイナス面というのはどう考えますでしょうか。
大臣:
やるということは決めているわけでありますし、それはしなければならないと思いますね。やるということを決めた上で、それを一度にやるか、少し時間を持ってやるかということの議論だというふうに思います。だからやるということを決めたそのことをゼロに戻すとか、あるいは後退させるという意味ではありません。やることはやる、ただしそのやる手順をどういうふうにやっていくかということを決めればいいというふうに思っております。

(了)