閣議後記者会見概要

H14.10.29(火)9:16~9:38 参議院議員食堂

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
今日の閣議におきましては、総務大臣から労働力調査結果及び家計調査結果につきましての報告がありまして、9月の完全失業率は季節調整値で5.4%となりまして、前月と同率となったというのがございました。私の方からは有効求人倍率、9月につきまして報告をいたしましたが、季節調整値で0.55倍と、前月の0.54倍を0.01ポイント上回りました。有効求人は前月に比べまして1.9%の増加であり、有効求職者は0.3%の増加でございます。しかし有効求人の方は、14か月ぶりに対前年比では1.8%の増加に転じました。しかしまだら模様でございまして、完全失業率の中身を見ますと、男性の方が5.8%になっております。非自発的失業者もまだ増えている。そうした状況を考えますと、決して安心の出来るような状況ではございません。更に雇用対策、努力をしなければならない状況だというふうに思っております。しかし今申しましたように有効求人の方は前年同月比で良くなっておりますし、それから主要産業別の新規求人数、これは建設業以外はすべてプラスになった。最近なかったことでございまして、これらは非常にいい点ではないかというふうに思ってます。特に製造業が16.3%の増加になっておりますし、その中では電気機械器具の製造業は65.2%というふうに、久々に増加をいたしておりまして、いい面、悪い面が混在をしているというふうに思っております。そういうことでございます。その他外務大臣からアフガニスタンの復興開発に関する緊急無償資金協力につきましての発言がありました。

閣議後懇談会について

大臣:
閣議後懇談会におきまして原子力安全の信頼回復に関する勧告につきまして科学技術政策担当大臣から発言があり、そしてまた経済産業大臣からも原子力安全委員会からの勧告についてという発言がございました。以上でございます。

質疑

記者:
今日の社会保障審議会の部会の方で、国民年金の納付率といいますか、未納率といいますか、それが過去最悪、未納が3割近くに達するというような空洞化が進んでいるのですけれども、これについて大臣はどのように今後対策及びどのようにしたらいいかというふうにお考えになられておりますでしょうか。
大臣:
そうですね、7割くらいになっていますね。しかも今年の4月から国の方で徴収を行うということになっておりますし、果たしてうまくいくだろうかと心配をいたしております。納めない人達の中身もいろいろでございまして、決して経済的に困っているから支払が出来ないというわけではないようであります。払っている人と払っていない人との経済的な動向というのは、そう大きな乖離はない。払っていない方の皆さん方の中には生命保険にお入りになっている方もある。こういったことでございまして、これは年金に対する信頼度、あるいはまた年金の持つ意味というものが、やはり十分に理解されていないということもあるのではないかというふうに思っております。もちろん民間のいろいろの商品につきまして、それなりの意味はあるのだろうというふうに思っておりますが、その時の貨幣価値で戻ってくるというのは年金だけでございますから、他のどの商品に比較いたしましても年金の方が優位であることは間違いがありません。しかしその辺に対する誤解と申しますか、やはり認識というものが十分にされていないということを思っておりまして、これをどういう形で皆さん方に分かっていただくようにするかということが一つの課題だというふうに思っています。ただインターネットで示しますとか、あるいはまた色々の印刷物を作りまして、それを窓口に置いたりというようなことだけではなかなか私は理解がされないだろうというふうに思っております。もう少しやはり年金制度の持つ意味というものを、やはり理解をしていただけるようにしなければならない。それは自分のためだけではなくて、社会全体の支え合いのために年金が必要だということがやはり分かっていただかなければならないわけでありますから、そうした意味からも、もう少しよくどういう方法を用いたら国民の皆さん方の理解を得やすいかということを少し考えないといけないというふうに思っております。それと年金制度そのものの在り方につきましても信頼性が無くなっていることも事実なんだろうというふうに思います。これは年金の改正ごとに内容が変わっていくということに対する不信感、そういったものがあるのだろうというふうに思っております。これらのことも十分に考えなければならないというふうに思っています。したがいまして来年度の年金改正というのは今後、そういう再計算ごとに変えなくてもいいような体制というのは一体どういう体制にすればいいかといったことも考えていかないといけないというふうに思っている次第でございます。
記者:
経済財政諮問会議、近く開かれますが、大臣から雇用対策等に提言される点もあると思いますが、その中の中心になる部分はどういう部分でしょうか。
大臣:
この次は社会保障についての話でございまして、11月中頃には雇用問題について言うことになっております。社会保障は全般的な話でありまして、これからの社会保障を維持するのに、それはいわゆる保険料か、企業負担か、それとも国庫負担かと、その三者のクロスになっているわけで、どの国とも三者でやっているわけでありまして、非常にスウェーデンのように国庫負担が非常に多い国、フランスのように企業負担が非常に多い国、そうしたところ、とりわけ企業負担と、それから個人負担と申しますか、使用者負担と申しますか、そうした負担の割合を一体どうするかということが今後大きな問題になるだろうと思いますが、今まで日本はそれは半々、1対1できたわけであります。企業経営者からは企業負担が多いという反論がありますけれども、しかし諸外国の例から見れば、決して日本の企業負担は多いわけではない。ドイツやフランスと比較をいたしました時に、決して日本の負担は多くはない。2025年の社会保障のトータルの負担、年金、医療、介護、雇用、そうしたトータルの負担額は現在のドイツ、フランスの値に近づくということでありまして、現在既にドイツやフランスは、この日本が25年先に負担しなければならないその額を既にもう払っている、スウェーデンはそれ以上払っているということでありまして、ですからやはり負担すべきものは負担をして、そして社会保障を維持するということでなければいけない。やはり日本の企業も国際競争力で大変ではございましょうけれども、しかし西欧諸国が負担すべきものは十分に負担をして、そしてやっているわけでありますから、そこはやはり日本の企業も頑張るところは頑張ってもらわなければならない、そう思っております。それからもう一つの雇用問題は不良債権処理の問題に合わせましてどうするかという問題が大きな問題になってきております。今までの雇用政策にプラスしてどういう雇用政策があるかということだろうというふうに思います。今までの雇用政策にプラスするところは一体何なのか、先日来ずっと考えておりますが、どんな政策を行うにいたしましても、国が一本槍で、国が一つの方針で全国にこういうことでやろうというやり方は、少しもう止めなければならないのではないだろうかというふうに思っております。即ちやはり地域の雇用政策というものを十分加味して、地域にいろいろの知恵を出してもらって、そして地域と共に考えていくような雇用政策というものがそこにプラスされなければならないだろうというふうに思っております。そうしませんとプラスアルファーの部分をなかなか解消できないだろうというふうに考えております。現在予算に今含まれておりますものの中で前倒しの出来るものは前倒しをしてやるということは当然やらなければならないというふうに思いますが、不良債権の量とスピードによりましてはそれだけでは足りないことは当然だというふうに思っております。ここのところはこれは補正予算なのか、来年度予算なのか、そのスピードによりますけれども、しかしこれはお願いをしなければならない、不良債権処理というのは国の意思によってこれは行うことでありますから、国の意思によって発生するところの失業者に対しましては、格段の配慮をするのは当然だというふうに思っております。それからもう一つは国全体の在り方と申しますか、現在何となくどの企業もどんどん、どんどんリストラをやっていく、リストラをやって、そうして経営状態を良くすることがいい企業だというような印象を与えておりますけれども、もう少し雇用重視型社会というものを我々は作っていかないといけないというふうに思います。現在取りまとめ中でありますが、雇用重視型社会とは何かという考え方をまとめまして総理に提出をしたいと思っております。
記者:
いつ頃提出されるのか。
大臣:
そうですね、そんなに遅くない、11月中には提出したいと思っております。
記者:
今おっしゃった雇用重視型社会を進める提言のところなんですが、企業に対してこういう在り方であって欲しいという形のものなんですか。
大臣:
いや、企業だけではない。社会システムの在り方を変えていかないといけないだろうというふうに思います。政府の方ももちろん予算の組み方ひとつにしましても、やはり変えていかなければならない。これは物差しをどうするかということによって違ってきますけれども、雇用を重視している企業に対しては何か優遇策を作るといったこともあるでしょう。あらゆる分野におきまして雇用を重視する考え方を徹底していく、これは厚生労働省の範囲の話ではございません。国全体の話でございますから、各省庁もやはり考えていただかなければならないことだというふうに思っております。予算などにおきましてもいわゆる雇用を作り出すところにはもっと財源を付けますという、雇用特別枠のようなのを作って欲しいというふうに思っている次第でございまして、その中にもう一つ理念的なものとして入れるとすれば、やはり全国のGDPというものを経済成長の一つの大きな柱にいたしておりますが、国全体のGDPの成長というものを大きな柱にして今考えておりますけれども、はたしてそれでいいのだろうか。例えばフランスだとかドイツに比較をいたしますと、日本はGDPは2倍から、2倍半くらいあるわけであります。しかし労働者の1時間あたりのGDPというふうに細かく見てみますと、ドイツやフランスに比べまして日本は80%くらいしかないといったようなことがございまして、国全体のGDPで物を見るだけでいいか、それはもう見るなとは言いませんけれども、もう少し視点を変えて政策を立案をしていかなければならないのではないかと、そうしたことを盛り込みたいと思っております。
記者:
雇用特別枠の予算を欲しいということは、これはどの段階の予算なんでしょうか。
大臣:
それはこれからの話ですから、これからの総合的な施策をそういうふうな方向にひとつ国全体としてもう少し雇用を重視をしていく社会体制にしていかないといけないのではないかと、と言いますのは過去20年間くらい遡ってずっと見ますけれども、少々2%や3%経済成長がしましても雇用は増えていないんですね。日本の雇用は、そうしますとこれから5%も6%もの経済成長というのは見込めないわけでありますから、せいぜい1、2%の経済成長が続くということになっただけでは日本の雇用というのはそう増えていかないというふうに思わざるを得ません。そういうことになってまいりますと、ただ単に失業者をどうするかというような雇用政策ではなくて、もっと基本的に国の政策の在り方として雇用重視型の政策を展開をしていかないとこれはいけないというふうに思っております。少し煮詰めを行いまして、そして提出したいと思っております。

(了)