閣議後記者会見概要

H14.09.27(金)10:04~10:33 厚生労働省記者会見場

広報室

会見の詳細

給与関係閣僚会議について

大臣:
今日は閣議の前に給与関係閣僚会議がございまして、人事院勧告の取扱いにつきまして協議がございました。人事院勧告どおり給与改定を行う方針が決定されたところでございます。

日朝国交正常化交渉に関する関係閣僚会議について

大臣:
それからその後で日朝国交正常化交渉に関する関係閣僚会議がございまして、第1回がございました。外務大臣から今日までの経過の報告、そしてまた安倍官房副長官から昨日の担当局長会議の結果の報告等がございまして、若干の意見交換を行ったところでございます。

閣議について

大臣:
その後の閣議におきましては、内閣官房長官から公務員の給与改定に関する取扱につきまして、先程のように国家公務員の給与について勧告通り改定を行うことで関係閣僚の意見の一致をみたところであります、とこういうご報告がございました。総務大臣からも同趣旨の発言がございました。さらに総務大臣からは、平成13年度の郵便事業の損益計算等に関する国会への報告につきまして報告がありました。さらに続きまして片山総務大臣からモロッコ及びスペイン訪問につきましての報告があり、もう一つ総務大臣からは労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果につきましての報告がございました。8月の完全失業率は季節調整値で5.4%となりまして前月と同率であります。就業者数は6,371万人と前年同月に比べまして72万人の減少、17か月連続で前年同月の水準を下回っております。完全失業者は361万人と前年同月に比べまして25万人増加をいたしまして、17か月連続で前年同月の水準を上回っております。消費者物価指数の9月の東京都区部の速報値は前月に比べまして0.2%の下落、前年同月に比べまして0.9%の下落となりまして、3年1か月連続で前年同月の水準を下回っております。全国勤労者世帯の8月の消費支出は32万3千円でありまして、前年同月に比べまして実質0.3%の減少となっております。季節調整値で前月からの変化をみますと、2.0%の減少となっているという報告でございました。私の方から有効求人倍率につきまして報告をいたしました。季節調整値で0.54倍となりまして、前月と同水準でございました。有効求人、これも季節調整値でございますが、有効求人は前月に比べまして3.0%の減少、それから有効求職者、これも季節調整値でございますが、2.9%の減少となっております。依然厳しい状況、完全失業率等々あわせて見ました時に、高止まりの状況が続いているというふうに思っておりまして、そうしたことをご報告を申し上げました。もう一つそれから私の方からは、赤い羽根共同募金運動が56回目を迎えまして、来月10月1日から年末にかけまして全国的に展開されますので協力方をお願いを申し上げました。それから国家公安委員会委員長村井大臣の方から平成14年度警察白書につきましての報告があり、シンガポール国訪問につきまして石原行政改革担当大臣から発言がございました。また外務大臣から小泉内閣総理大臣のアジア欧州会合第4回首脳会合出席につきましての報告がありました。それから文部科学大臣から、ユネスコ文化大臣の円卓会議出席並びにトルコ共和国及びスウェーデン王国の訪問につきましての報告がございました。それから扇国土交通大臣の中国訪問につきましての報告があり、最近の大気汚染の状況につきまして環境大臣の発言がございました。特に大都市地域を中心に二酸化窒素及び浮遊粒子状物質について環境基準の達成率が低い地域が広範囲に残されているという報告がございました。今日の閣議は以上でございます。

その他

大臣:
それでその他の問題として、今日もう一つご報告をいたしますのは、皆さん方のお手元にもすでに渡っていると思いますが、いわゆる研修医の問題でございまして、平成16年の4月の必修化に向けまして、時代に相応しい内容とするような見直しを行うこととしております。このため、これまでいわゆる医道審議会などにおきまして、専門家や関係者の方々に精力的にご議論をいただいてまいりました。また私と文部科学大臣とによりまして、両省の合同の会議を開きまして、大学病院の役割に関する連絡協議会を3回にわたりまして行いました。大学病院関係者と意見交換を行ってきたところでございます。今回の新たな医師臨床研修制度のあり方につきましては、これまでのご意見を踏まえまして厚生労働省案を取りまとめたものでございます。厚生労働省案は臨床研修によりまして、第1番目には、やはり医師としての人格の涵養、ここが一番大事だと思っておりまして、ここをやはりしっかりと養っていただくということにしたいというふうに思っております。2番目には、患者を全人的に診ることが出来る基本的なプライマリケアの能力の修得が大事であるというふうに思っておりまして、そうした点に力点を置いたこの研修制度であることが望ましいと思っております。併せてこの研修医がアルバイトをせずに研修に専念出来る環境を整備するということが大事でございまして、この3点を基本的な考え方としまして、今後進めていきたいというふうに思っております。大学病院のあり方等におきまして、大学病院の院長先生方ともかなり議論を重ねましたが、大学病院の方といたしましては、今までの研修制度が大学病院中心でありましただけに、大学病院から大学病院だけではなくて研修医の研修できる病院の数が増えるということで、非常に危機感をお持ちでございました。私はこれからも研修医がどこを選ぶかということは研修医によって決まるわけでございますけれども、データ等を見ますと、やはり大学病院が中心であることには間違いないというふうに思っておりますが、しかし大学病院だけではない、研修できる医療機関は広範にこれは増やしていきたいというふうに今考えているところでございまして、大学病院の先生方にも決して大学病院を排除しているわけでは決してありません。ただし、大学病院だけに固まり過ぎるということのないように是非ご協力をお願いをしたいと、こういうことを申し上げたところでございます。それから具体的には内科、外科、救急部門、この3部門で約15か月、そして小児科、産婦人科、精神科、地域保健・医療、こうしたところで最低3か月ずつ、これで1年ということになろうかと思います。そうすると内科、外科、救急部門で1年ですかね、内科、外科、救急部門で1年、救急部門というのは内科、外科にこれ重なりますから、これで約1年を目標、そして小児科、産婦人科、精神科及び地域保健・医療を含めまして約1年、こういうふうに原則としてこういうことでお願いをしてはというのが厚生労働省案でございます。臨床研修が行われます病院の要件としましては、プライマリケアの指導能力を有する指導医が配置されている、そしてそれぞれの病院が私の病院はこういう研修制度を作り上げて、こういう内容で受入をしたいということをおまとめをいただいて、公表をしていただき、そして研修医の皆さんにそれを選択をしていただけれるようにすると、こういうことにしたいと思っております。そして研修医が研修に専念出来る処遇もしなければならないわけでありまして、是非そういう専念していただけるようにしたいというふうに思っております。その財源をどうするかということがございますけれども、財源につきましては一般財源からということも考えられますが、あるいは診療報酬から検討するということもあわせて検討したいというふうに思っているところでございます。以上私の方から報告は終わりでございます。

質疑

記者:
大臣、日朝の閣僚会議ですけれども、報告の後に意見交換があったということなのですが、総理を始め、坂口大臣、それから他の閣僚からどんな発言があったか教えていただけますか。
大臣:
総理はご出席ではありませんので、官房長官を中心にしましての話でございます。先程申しましたように、外務大臣から今日までの経過報告、そして安倍官房副長官から今日までの経過や、それから昨日の局長会議等の結果が報告になりました。私が申し上げましたのは、北朝鮮が拉致を認めまして、そして謝罪を行った、これは大変な変化でありますけれども、しかし北朝鮮の政治体制が変化したわけではありません。そこは何ら変わっていない訳であります。ですからそのことをよくわきまえて、そして我々の運動は展開をしないといけないのではないかということを申し上げました。生存をしてお見えになります方が5名お見えになるということでございますし、死亡されたとおっしゃる皆さん方の中にも、あるいは生存してお見えになる方がお見えになるかもしない、これは私の個人的な意見でございますけれども、そんな気もするわけであります。そうした皆さんがお見えになる中で、やはり一番中心に考えていくべきは、この皆さん方の生存、生命、生活、そうしたことが一番中心にして、そしてそれが維持できる、そのことを基本にしてやはり考えていくべきではないかということを申し上げた次第でございます。現在の北朝鮮の国情をどこまで我々は信頼をしていくのかということを見定めながら交渉をしないといけないのではないか、現在お元気だというふうに伝えられております皆さん方の生命、生存、あるいは生活に変化が起こるようなことがあってはならないわけでありますから、そのことを重視をしながら我々はこの運動を展開していく、国交を重ねていくということが非常に大事ではないかということを申し上げたところでございます。その他には、やはり国際法からも、あるいは国内法からも照らして、言うべきことは厳しくやはり言っていかなければならないし、それを守り抜いていかなければならないといったようなご発言もございました。あるいはまた、外務省がもう少し明確に言うべきことは言っていかないといけないというようなご意見もございました。諸々ございましたけれどもそういうことでございます。
記者:
具体的な施策については何か言及は。
大臣:
いや、まだこれからでございます。
記者:
複数の報道では大臣は内閣改造で留任という話になっておりますが、根拠として昨日神崎代表と会われて云々というようなこともあるようなんですけれども、大臣ご自身はその辺については、現段階ではおっしゃられることではないかもしれないんですが。
大臣:
そうですね、おっしゃられることではありません。これくらい当てにならない話はないわけでありまして、昨日も神崎代表にお会いをしまして、そしていかなる事態にも対応できるように身繕いは出来ております、ひとつ心配をせずに大局的な立場からご判断をいただきたい。私は私の行ってまいりました仕事の卒業論文もかなり書きましたし、通るか通らないかは分かりませんけれども、身辺は整理をしてまいっております。後は机の引き出しの中の荷物をまとめたらいいだけでございます。どうぞひとつ気を遣わずに大局的立場でご判断をください。私は全てをお任せをし、そしてそれに私は応じさせていただくと、こう言って帰ったところでございます。一般論としてでございますけれども、こういう時でございますから、やはり人心の一新ということが私は大事だというふうに思っております。そうした意味で一新されるということになれば、私は喜んでそれに従わさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。
記者:
改造前の閣議後会見が今日で最後になると思うので、大臣がこれまで厚生労働大臣として就任されてきた、それをちょっと振り返っての感想を。
大臣:
初めは4、5か月と思っておりましたのが1年9か月になったんでしょうかね、9月が終わりますと1年10か月ですか、1年10か月になるわけでございまして、かなり長い間お世話になったわけでございます。その間KSD問題に始まりまして様々な問題がその間ございました。幾たびか苦境に立たされながら、しかし皆さん方にもご支援をいただいて、今日を迎えることが出来ました。大変良かったと思っている次第でございます。その中でやはり大きな問題というのは、旧労働省関係でいえば雇用が依然として悪い、この雇用の問題をどうするかということが一つ。それからもう一つはなんと申しましても医療制度の改革の問題があったというふうに思っております。
雇用の問題につきましては、これはなかなか厚生労働省の中だけではいかんともし難い問題でございまして、経済全体の動向に大きく左右されるわけでございますから、雇用対策としましては今まで熱心にきめ細かく厚生労働省の方で進められてまいりましたが、少し質の転換をしなければならないということで、やはり国だけではなくて地域の雇用対策というものを重視をする。それからキャリア・カウンセラーのような新しい立場からもう少し懇切丁寧に失業者に対して指導をするといったようなことが大事ではないかといったような提案をしてまいりました。さらにもう一つ加えますならば、ワークシェアリングを進めて行って、働き方そのものを転換をしていかなければならないのではないかと、主にこの3つを中心にして省内でも議論を続けてまいりまして、それなりに、まだ途中ではございますけれども、前進してきたというふうに思っております。それから医療制度改革につきましてはまだ道半ばでございますが、国民の皆さん方にもご負担をいただかなければならないし、そして保険者の皆さん方におきましても、被保険者の皆さん方の保険料をやはりご負担をいただかなければならない、そしてまた医療関係の皆さん方にも今まで無かったことではございますけれども、いわゆる医療費の削減の立場から2.7%の診療報酬の中での点数の減少をお願いをした、まあ、そうしたことがございまして、これは非常につらいことでございました。大局的な立場に立てばそうせざるを得ないということではございますけれども、しかし国民の皆さん方や保険料をお支払いいただきます皆さん方により多くの負担をお願いをしなければならないということを言いきることは非常に大変なことでございまして、この法律が通るかどうか最初は私も自信がございませんでしたけれども、多くの皆さんにご理解をいただきながらようやく成立をさせていただきました。そのことにつきまして感謝をいたしておりますし、ご協力をいただいた皆さんにもお礼を申し上げたいというふうに思っております。その2つのことを中心にしながらハンセン病の問題あり、ヤコブ病の問題あり、そしてまたC型肝炎の問題ありと、あるいはまたBSEの問題ありと、こうした問題がその間にいくつもあったわけでございまして、これらの問題まだ決着の付かない問題もございますし、一応決着を付けることが出来た問題もございます。様々な問題があったわけで、文学的に言えば走馬燈のごとくに思い起こされるこの1年10か月であったと、こういうことだと。皆さんにもお世話になりましてありがとうございます。
記者:
先程こういう時でありますから人心の一新をというのは、自らも、大変1年10か月大臣職というのは長くて、お疲れになられたと思うんですが、ご自身の本音としてそういうお気持ちがお有りになるということで解釈してよろしいのでしょうか。
大臣:
1年10か月全力を挙げて取り組まさせていただきましたので、確かに疲労感が残っていることも事実でございます。しかし人心の一新ということを申し上げましたのは、そうした個人的なことでは無くて、政治の大局から見ましてこうした場合にはそうした政治の選択が必要な時ではないかと、それは現在の経済状況を見ましても、いわゆる行き詰まった問題の打開におきましてもそうした選択が必要な時ではないかというふうに思っておりまして、全体感に立って申し上げたところでございます。
記者:
今年の年頭の会見で、大臣がご自身に課された宿題でいえば、医薬品による副作用の被害救済制度の制度創設前の患者の救済についてというものがちょっと残っているような気がするんですけれども。
大臣:
そうですね、残っている問題もたくさんございます。いろいろ検討もしてまいりましたし、内閣法制局の皆さん方とも何度かお話し合いをしてまいりましたが、日本の法律というのはなかなか遡るということが出来ない。作りましてもそれ以前の問題を適応するということが出来ないという大きな壁がございまして、そこをどうしたら乗り越えることが出来るのかといったことについて内閣法制局の皆さんともお話し合いをしてまいりましたけれども、そこは良い案というのがなかなか出てこないということでございます。ですから薬の副作用によりまして障害を受けた皆さん方もそうでありますけれども、一つの制度ができます以前の方というのは全て取り残されている。私は非常にお気の毒だというふうに思いますし、国といたしましてもやはり責任もあることだというふうに思っているわけでございますから、しかしなかなかそこが上手い具合に埋まらない、どうするか、いろいろ検討してまいりましたけれども、最終的な結論を出すまでに至っておりません、今後更に検討を重ねていかなければならないと思っております。

(了)