坂口大臣記者会見概要

H14.09.25(水)15:30~16:10 厚生労働省記者会見場

広報室

会見の詳細

医療制度改革私案について

大臣:
急に皆さんに申し上げて申し訳なかったのですが、医療制度の中の抜本改革につきまして、現在考え方進行中でございますけれども、現段階におきまして、今後こういうスケジュールと申しますか、中長期的なスケジュールを含めまして、進めてはどうかという、一応今日私の案をまとめたものですから、皆さんにもお示しをしたところでありますが、2点ございまして、一つは医療保険制度の改革を今後どういうスケジュールでどのように進めていくかということが一つ、それからもう一つは、診療報酬体系につきまして今後どういう考え方で進めていくか、この2点でございます。一応こういう考え方でどうかということを示したわけでございますが、これから後、こうしたことを中心にしまして、もう一度、この厚生労働省の中で検討し、そして厚生労働省案なるものを11月頃にはまとめなければならないのであろうというふうに思っております。内閣改造もございますし、新しい大臣を迎えまして、そこでそうしたことをどう考えるか、といったことももう一度その中でご検討いただいて厚生労働省の案をお見をいただければというふうに思っている次第でございます。一番初めにどちらからいってもいいのですが、図の方ですが、これはいわゆる保険のですね統合の進め方について示したものでございますが、一番上のところの矢印のところは、法律で決まったところでございまして、75歳以上、公費2分の1投入、これは段階的に投入していきまして、平成19年10月に制度改正が完成をすると、こういうことに、もうすでにこれは決まっているわけでございます。この制度はこのままに生かしていかなければなりません。そして、この健康保険の再編、統合でございますけれども、私の考えといたしましては、都道府県単位を軸とした保険運営というのが望ましいのではないかというふうに思っております。したがいまして、国保におきましても、これは都道府県単位でですね、まとめていく。しかし、そうは言いますものの、東京ですとか大阪ですとか、非常に大きいところを都道府県単位でいいかどうかという疑問は残るだろうというふうに思っておりますが、普通の場合にはだいたい都道府県単位、県単位という考え方でいいのではないかというふうに思います。それは国保についてでございますが、政管健保につきましても、現在全国一本でやっておりますが、これはやはり都道府県単位に分割をしていくというのがよろしいのではないかと考えております。そして、一番難しいのは健保組合でございまして、健保組合は都道府県単位というわけにもなかなかいかないところでございます。健保組合統合化を進めやすいように、規制改革等進めていきたいというふうに思っておりますけれども、しかし、これがスムーズにうまく行けるかどうかということだというふうに思います。組合健保の中には、例えば関連会社が集まりまして、あるいはまた親会社といっしょになっていくという行き方もございますけれども、中にはやはり一緒になるのはいやだというところもあるやに聞いております。さりとて、政管健保の中に入るのも色々の制限があっていやだというところもあるというふうに今聞いておりまして、ここをどう統合化を進めていくかということが、かなり、組合健保の主体性にお任せをする以外にないというふうに思っております。しかし、どこかと統合するか、あるいはまた政管健保と同じになるかという選択肢だけではなくて、もう少しこの組合を統合をしていくような、別の法人を作ってそこで統合化を進めていくという手段もあるのではないかと、検討に値するのではないかというふうに思っております。そうしたことを念頭に置きながら、一遍考えて欲しいということを現在言っているところでございます。そして平成19年がこの75歳以上公費2分の1が制度的に完成をする年でありますので、この平成19年ないし20年、この辺のところでだいたい都道府県単位を軸とした保険運営ができるように進められないだろうかというふうに思っております。一方におきまして、高齢者医療制度をどうするかという問題があるわけでございますが、これは附則にもありますように、2年間位で結論を出すようになったと、したがいまして、ここは平成17年に一応法制化をするという意味も含めてここに位置づけてあるわけでございますが、どういう形にするかといったことの議論をこれから進めていかなかればならないのであろうというふうに思います。しかし、高齢者医療制度につきましては、保険者の再編、統合が進みまして、そして、制度間を通じました給付と負担の公平化が図られるということになりました場合、必ずしもそれじゃあ高齢者医療制度というものが必要かということになるというふうに思います。その辺の議論もあるというふうに考えております。一番この高齢者医療制度の問題で議論に多分なると思いますのは、これからまだ、高齢者医療費が増加をいたしていきますし、そうしました場合に、それを、いわゆる保険料でまかなうのか、それとも税でまかなうのかという議論になるだろうというふうに思います。もう少し端的に言えば、保険料でそこはまかなうのか、それとも消費税でまかなうのかという話になるのではないかというふうに思います。保険料は保険料として考え方が、保険料としての考え方もありますし、税は税として所得の再分配という考え方があるわけでございますし、若干、税と保険料とは違いますけれども、今後の高齢者医療を、特に若いみなさん方の保険料にすべて負担をする、ご負担をいただくということにするのか、それともこれは高齢者も含めます消費税という税によってまかなうのか、といった議論が起こるであろうというふうに予測されるわけであります。税の場合には、これは消費税と決まったわけではないかもしれません。あるいは、税一般の中から負担をするという考え方もあるかもしれません。そうした議論を1,2年の間に重ねて行かなければならないというふうに思っております。そうしたことも踏まえながら平成17年における高齢者医療の考え方、これをどうするか、ここはもしここでまとまらなくてもその後給付と負担の公平化ということが起これば、それに対応できるという考え方もここで出てくるでしょうし、そうしたことの結論を出しながら、これもやはり平成19年ないし20年のこの時期に結論を出して、そして統合化に向けていかなければならないとこういうことだろうというふうに思います。その後、制度の一元化ができるかどうかというのは、色々の状況によって異なるというふうに思いますが、とりわけこの職域保険とそれから地域保険があるわけでありますが、地域保険の場合には、これは税の捕捉率の問題が色々ございましてそれによって保険料も違ってくるといったようなこともあるものですから、この地域保険と職域保険を一元化をするということについての色々の議論が錯綜するであろうというふうに思います。しかし、そうしたことを乗り越えることができれば、制度の一元化というのを目指してさらに進めることができるのではないかというふうに思いますが、都道府県単位ということを一つの軸にした考え方とすれば平成19年ないし20年にこの辺のところまでは、いった方が良いのではないか、やはりいかなければならないのではないかと私個人は考えているところでございます。これがまあ一点でございます。
それからもう一つの方は、診療報酬体系の見直しでございますが、改革の基本的な方向性といたしましては、その1,2,3と書いてありますようにこの医療技術の適正な評価、いわゆるドクターズフィーの考え方それから2番目としまして医療機関の運営コストを反映した評価、3番目として患者の視点の重視、この三つを中心にしながらまとめていくのが妥当ではないかというふうに思っております。で1番の医療技術の適正な評価の方につきましては、これは医療技術につきましては、出来高払いを基本としつつも難易度でありますとか技術力あるいはまた時間等を踏まえた評価を推進をする。こうしたことを一つの軸として新しい保険点数を決めていく、いわゆる重症化予防、重くなるのを予防する、あるいはまた、生活指導といったことを重視をしていくといったことが非常に今後大事になるのではないか、これらのことを要素としながら決定をしていくということではないかというふうに思います。医療機関の運営コストを反映した評価、これはいわゆるホスピタルフィーといわれておりますが医療機関の運営コスト等に関する調査分析を進めまして入院医療の包括化を推進をしますと共に急性期につきましては疾病特性でありますとか重症度に応じました評価手段の検討を進める、慢性期につきましては、患者の病態等に応じた評価を推進をするということではないかというふうに思います。患者の視点の重視につきましては、医療機関等に関する情報提供や患者の選択を重視をする、患者のニーズの多様化だとか高度化を踏まえまして高度先進医療を拡大をする、診療所につきましてはプライマリイケア機能を重視をする、こうしたことをやはり重視をして決定をすべきではないかというふうに思っております。方向性としてこういうことで今後さらに進めてほしいということを私は要望した次第でございます。だいたい以上でございます。

質疑

記者:
まず図の方ですけれども、年齢と所得のリスク構造調整、これが新しい高齢者医療制度の筋道としては適切だということだったと思うんですが、ところで先程税の話もされてましたけれども、独立方式というのも一部自民党などからも話出ていると思うんですが、大臣のご意見としてはあくまでもリスク構造調整を主体に考えたいという趣旨でよろしいんですか。
大臣:
先程申しましたように、これは全体の動き、保険を中心にしていくのか、それとも税をもう少し入れていくのかということの選択の大きな問題があると思います。私は税を入れなくても保険を中心でいけるのではないかというふうに思っておりますけれども、しかし保険で行くということになりますと若い皆さん方に更に保険料としてより多くの負担をかけるということになるわけであり、この医療以外の保険料の問題もございます。年金、介護、雇用といったような他の保険もございますのでそれらのことを総合的に考えて、やはり保険料の限界というものもあるだろうというふうに思っておりまして、その全体の中でどう考えていくかということが非常に大きな課題になるというふうに思っております。しかし先程申しましたように高齢者医療というものをどんな形にしろまず作るというのは一つの方法でありますが、しかしそれだけが選択肢ではなくて、いわゆる年齢の調整等を行って、同じような年齢構造にして考えて、あるいは公平な負担を一元化していくと申しますか、見合うようにしていくと行ったような考え方もあるというふうに私は思っております。
記者:
年齢リスクで調整をするという仕組みと一応上で述べられています都道府県単位を軸に再編、統合を進めると、この二つの考え方というのは基本的に非常に結びつきが強いという認識でしょうか。
大臣:
それは両立して何ら差し支えがないと思っております。
記者:
スケジュールなんですけれども、この表を見る限り、平成17年度ですか、中身は分からないけれども新しい高齢者医療制度というものを作って、後に平成19年度の途中から、また別の制度に移行するという。そういうふうな。
大臣:
そういうことではありません。平成17年度のところはこの間の法律の附則の中にここで検討して結論を出すということになっておりますから、ここに入れてあるわけでありまして、ここでもし仮に高齢者医療、それが突き抜け方式であるのか、独立方式であるのか、その他の方式であるにしろ、一つの結論がここに高齢者医療として出たとすれば、それを軸にしてその中でそれ以外のところの制度の統合化をしていくということになるだろうと思います。この表から行きましても平成19年までに75歳以上の公費2分の1というのは進んでいくわけですね、そうすると高齢者医療も後2分の1残るわけです、もしも2分の1で行くというふうにしますと残りの2分の1は自己負担と保険料、若い人の保険料で埋め合わせる以外にないわけであります。そういたしますと例えば3割ならば3割、3.5割になりますか、そこはよく分かりませんけれども、そこは若い人達の保険料で埋めてもらわなければならない、その保険料、それから75歳未満のところの保険料、そうしたところをどうするかという問題になりますから、そこはやはり年齢調整をした考え方の下に、やはり負担の公平化を図っていくということが必要になってくると、だから高齢者医療というものはたとえ作ったとしましても、それ以外のところは進めていく必要がありますし、そこは高齢者医療、高齢者以外のところの保険問題がありますのでこういう書き方がしてあると、こういうことでございます。
記者:
制度を通じた年齢構成や所得に着目した負担の公平化というものは、平成17年度の段階から、例えば74歳未満について提供されるという可能性もあると。
大臣:
そうですね、そういうことにもなります。高齢者医療のところ、全額国庫負担ということはなかなか考えられないのだと思うのですね。一部はやはり保険、あるいは自己負担ということもやはり残るのではないかというふうに思いますけれども、たとえ全額であれ、それは74歳未満のところについての調整ということになるというふうに思います。
記者:
政管健保について、全国一律で運営されてますよね。
大臣:
現在ですね。
記者:
それをこの先程のように、財政を分離するというふうにおっしゃいましたけれども、これは要するに、保険者を例えば都道府県にしてしまうとかということを意味するのか、それとも財政としては全国一律だけれども、保険料の設定を都道府県にするとか、いろんなやり方があるのですが、何を想定されているのでしょうか。
大臣:
私は、都道府県単位なら都道府県単位で、やはり保険を保険者としておやりをいただくと、ただ、どこが保険者になるかという問題はあると思います。市町村の合併、統合によります何か保険者を作るのか、それとも県がやるのか、あるいはそれ以外の団体を作って、そしてそこで運営していく方がいいのか、その問題はまだ残ると思っております。
記者:
社会保険庁を都道府県単位に分割して、そこが保険者になるということは想定されていないわけですね。
大臣:
社会保険がですか。
記者:
今、社会保険庁が政管健保を運営していると思うのですけれども。
大臣:
今、社会保険の話ですか。すいません、国保と話が混乱しましたけれども、政管健保の場合には、都道府県単位にして、そしてそれはそれぞれの都道府県単位にした社会保険が運営をするというのもひとつの方法だというふうに私は思っております。
記者:
都道府県に預けるという考え方も。
大臣:
それはあると。そこは今後どうするかということを考えていかないといけないと。
記者:
大臣、確認なのですが、大臣のお話を聞くと、都道府県単位を軸とした保険運営というのが前提としてあって、それをやった結果、年齢や所得によるリスク構造調整を入れなくても、都道府県単位を軸にした保険運営という形が出来た場合に下にあるような負担の公平化が図られるようなしくみとなったのであれば、改めて高齢者医療制度というのを特出しして、見直して作るところまではいらないのではないかと、そういうことなのですか。それとも同時並行で。
大臣:
違いますね、それは同時並行でこれは進めていきますから、今おっしゃったのとはちょっと違うと思います。
記者:
年齢と所得のリスク構造調整というものを高齢者制度の方から、高齢者制度を解決していくものとして、それを定義されておりますけれども、片方で都道府県単位で保険が出来てくると、今度、都道府県単位のリスク構造調整というもののデコボコが多分でてくると思うのですけれども、これはありうるのですか。
大臣:
高齢者のための年齢構造の調整ということではありませんで、これは若い人達も含めた全体としての調整だと思うのですね。ですからここは、年齢の調整というのは簡単にということでもないのですれども、出来やすいと思うのですが、所得の方の調整というのは、先程申しましたように、地域保険と職域保険とはなかなか調整がしにくい面がありますから、年齢の調整は出来ると思いますけれども、所得の調整というのは、そう簡単ではない面もあると。だから、これは税のあり方、捕捉のあり方、そうしたこととの絡みが出てまいりますから、そのようなことが解決をしていけば将来、これを一元的に扱うこともできるのではないかというふうに私は思っております。
記者:
そうすると、都道府県の年齢調整がかなり進むと、とりわけ新しい高齢者医療制度ということを立てなくても、保険者どうしで、個々の保険者どうし調整で高齢者も飲み込んだ制度にイメージできると、こういう感じですか。
大臣:
そういうことも出来得ると、私は思っておりますが、しかし、もう一つ大きな形で全体として、この医療費を見ました時に、やはりその調整だけでは医療費が足りないということだって、また、私は起こりえると思うのですね、そこは。その時に公費2分の1負担というので、果たして済むのかどうかといった問題が出てくる、その前にそれじゃ保険料をどんどん増やしていくということで済むのかということになれば、お若い皆さん方の保険料の引き上げということにも限界があるというふうに思いますから、それは厳しくてもそういうふうにやっていくのか、それともそこまでやはり保険料を上げるのは酷だから、そこはもう少し税でいこうという話になるのか、そこはいろいろの議論の分かれるところだというふうに私は思っております。
記者:
大臣、なぜ今、この時期にこういった形で私案を発表されようということを思われたのですか。
大臣:
一応ですね、私がおります間と申しますか、私の任期の間に今まで勉強しましたことを一応まとめた、そして今後皆さん方にひとつたたき台にして最終的な厚生労働省としての意見をまとめてもらいたい、という趣旨があってこの時点で取りまとめをしたところでございます。
記者:
では、今進みつつある事務方の詰めようとしている案と、大臣の考え方が違っていて、あまりにもずれているから内外に示そうというわけではないと。
大臣:
必ずしも、一致しているかどうかは分かりません。一応私の考え方を示したわけでありまして、この通りに進むかどうかはわかりません。また今後与野党の中でいろいろの議論もあるでしょうし、そうしたことも踏まえなければならないというふうに思っております。
記者:
確認なんですけれども、高齢者については独立保険方式、この図の中に想定されていないのですか。
大臣:
そんなことありません。先程言いましたように、それは平成17年度に一応、ここはまとめるということになっておりますし、そのことも考慮に入れながら進めていかないといけない。ただ、それをまとめるという意味には先程申しましたように、今後それを増大するであろう医療費を保険でいくのか、それとももう少し税をそこに導入をしていくのかという議論にそれはなるんだろうと思います。だからそうしたことでここは決着がつくだろうと、もしそこで何らかの形で特別なこの医療保険制度というのができるならばそれはひとつの道だと、しかしもしもそこが結論が出なかったとしても、その後、年齢だとか、あるいは所得の再分配機能というもので負担の公平化を図っていくということになれば、それに代わるべき一本化していくわけでありますから、特別に作らなくても済む可能性も出てくるのではないかと、こういうことを言っているわけです。
記者:
健保組合の再編、統合の中で、新たな法人を検討するというふうにおっしゃっていましたが、イメージとしては、民間も含めた運営法人ということをイメージされているのかということが一点と、将来的には健保組合のみならず、国保、あるいは政管健保の統合再編にも寄与するといったお考えですか。
大臣:
一度に統合化が進んでいけば、余分なことをする必要はないというふうにおもいますけれども、現在、私がいろいろの皆さん方にご意見を伺いましたり、いろいろ多くの皆さんとお話をするなかにおりますと、やはり組合健保の統合化というのは、私が考えております程簡単ではないという事実がございます。そうしたことを進めていきます場合に、組合健保の皆さんが組合健保間の合併、統合なのか、それとも政管健保の中に行くかという2者選択ではなくて、もう一つやはり選択肢を作るということがあれば、もう少し統合化が進み易いのではないかというふうに思っております。この法人化は純然たる民間というのはなかなか難しいというところだろうというふうに思いますが、ここのところは法人もいろいろありますから、どういう法人でやっていくのがいいのかということは今後の議論に任せたいと思っております。
記者:
給付と負担の公平化の中で年齢構成や所得の負担の公平化を述べていらっしゃいますが、所得の調整については、税の所得の捕捉が難しいとご指摘になっていらっしゃるのですが、その難しい所得の調整を平成19から20年度までにかけて全制度について法令化する方向でというふうに考えているわけですか。
大臣:
国保なら国保の中の調整というのは出来るだろうと思います。あるいは組合健保なら組合健保の中での調整というのは出来るだろうと思います。だけれどもその制度を越えた調整というものまではなかなか出来にくいのではないかというふうに思っております。したがいまして、先程から申しておりますように年齢構成は調整できることは間違いがありませんから、そこまでは出来るのではないかということを申し上げたわけでございます。
記者:
診療報酬体系の見直しの方にドクターズフィー的要素という評価というところで、評価要素として難易度や技術力、これはまあ、今の手術料の減額制度があるんですが、時間という要素、これはなんなんでしょうか。治療にかかる時間ですか。
大臣:
そういうことですね。今のところは3分間で治療いたしましても、30分で治療いたしましても同じになっております。これは難易度とも関わってくるわけでありますけれども、やはり時間をかけてやるということはそれなりの、やはり私は評価があってしかるべきだと思っております。例えば患者さんにいろいろのことを説明をする、あるいは病気の中身について説明をする、あるいは病気にならないために説明をする、そうしたことをもし行いました時に、それはあまり評価されていないんですね、現在の段階では、それはやはり私は医療というものを歪めていくということになるのではないかというふうに思っております。したがいまして、これだけではありませんけれども、その診療報酬の尺度の中の一つには時間の要素というものも加味する必要があるのではないかというのが私の考え方でございます。
記者:
長くかけた方がより高く評価されるということになるのでしょうか。
大臣:
まあ、それも限度がありますから、一人の人に1日かかったというのでは、それは話にならないわけでありますから、そこに自ずから限度というものはあるだろうというふうに思いますけれども、しかし時間をかけて説明をするということも、やはり評価をされないと私はいけない、そうでないと医療従事者とそれから患者さんの間の信頼関係というものも芽生えないというふうに思います。
記者:
保険者の再編、統合で共済の扱いはどのように。
大臣:
そうですね、ここに共済は書いてございませんけれども、共済は職域保険でございますから、これは健保組合とよく似た形で進めていく以外にないと思いますし、また、職域保険の中で公平化を図っていくということになるだろうというふうに思います。
記者:
目指す方向は一緒なんですか。
記者:
同じような話で国保組合というのもあるんですけれども。
大臣:
国保組合もあるんですね。参議院で西川きよし先生から国保組合の問題が質問出まして、そして国保組合だけ自己負担1割とか2割で優遇したまま残っているのはおかしいと、統合化、一元化を目指して、そして給付を一元化していくというのであれば、国保組合のこともこれはちゃんとやるべきだというご意見が出ました。これはなかなか言い難い話でございますけれども、西川さんだから言えたということも私はあると思っておりますが、しかしこれは正論だと私もその時にお答えを申し上げました。私も正論だと思います。だからそこも含めながらやはり統合化を図っていかないといけないと私は思っております。
記者:
国保組合、職域かまたは地域かは別として、別の制度に吸収合併されていくというのは、これは望ましいと。
大臣:
まあ、そういうふうに私は思います。
記者:
診療報酬体系の見直しについてですが、これは何年度からというイメージをお持ちでしょうか。
大臣:
これも診療報酬体系の見直しにつきましても考え方を今年いっぱいくらいでお示しをしていかないといけないというふうに思っております。ですから診療報酬体系は2年ごとに一応見直しを行うことになっておりますから、次の見直しまでにはこの考え方がまとまることが望ましいと私は思っております。
記者:
方向性としては報酬全体というのは抑制の方向に向かうんですか、それとも中でスクラップ・アンド・ビルドが行われるという考え方なのか。
大臣:
内部でスクラップ・アンド・ビルドが行われるということでありまして、結果がどうなるか、ということは私もちょっと分かりません。しかる上で、どうしてもかかる医療につきましては、やはり国民の皆さん方にもご理解をいただかなければならないというふうに思いますし、そして節減すべきところはやはり節減をしていく必要がございます。ただ、その場合に節減をしていきます前に、例えば人の配置等の問題で現在の人の配置でいいか、もう少しやはり配置をしなければならないところがあるのではないかといったこともあるわけでありますから、そうしたことも念頭に置きながらスクラップ・アンド・ビルドを行うということだろうと思っております。

(了)

参考

「診療報酬体系の見直し」について

改革私案骨子

I.基本的考え方

診療報酬体系については、患者の視点から質が高く効率的な医療を提供するとともに、医療技術や医療機関の運営コストが適切に反映されるよう、基準・尺度の明確化を図り、透明性の高い体系へと見直しを進める。

II.改革の基本的方向

診療報酬体系を医療技術の評価(ドクターズフィー的要素)と医療機関の運営コストを反映した評価(ホスピタルフィー的要素)に再編。

1.医療技術の適正な評価(ドクターズフィー的要素)

  • 医療技術については、出来高払いを基本としつつ、「難易度」や「技術力」、「時間」等を踏まえた評価を推進するとともに、重症化予防や生活指導を重視。

2.医療機関の運営コストを反映した評価(ホスピタルフィー的要素)

  • 医療機関の運営コスト等に関する調査・分析を進め、入院医療の包括化を推進することとし、急性期については疾病特性や「重症度」に応じた評価手法の検討を進め、慢性期については患者の病態等に応じた評価を推進。

3.患者の視点の重視

  • 医療機関等に関する情報提供や患者の選択を重視。
  • 患者のニーズの多様化・高度化を踏まえ、高度先進医療を拡大。
  • 診療所についてプライマリケア機能を重視。