閣議後記者会見概要

H14.09.18(水)13:41~13:58 厚生労働省記者会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
今日の大臣発言としましては、片山総務大臣のアメリカ合衆国訪問について。
それから平成14年度公益法人に関する年次報告について、これも総務大臣から発言がございました。それから公益法人制度の抜本改革について行政改革担当大臣からの発言がございました。尾身国務大臣の国際原子力機関総会出席についての報告があり、それから小泉内閣総理大臣の米国訪問について外務大臣臨時代理から報告がありました。それから小泉内閣総理大臣の北朝鮮訪問につきまして外務大臣臨時代理であります福田官房長官から発言がございました。「小泉内閣総理大臣は、9月17日、北朝鮮を訪問し、金正日国防委員長と会談を行いました。会談においては、日朝国交正常化に関する諸問題と日朝間の諸懸案について、極めて率直な議論を行いました。拉致問題については、関係者の安否が確認されましたが、帰国を果たせず亡くなられた方々のことを思うと、総理が言われたとおり、まことに痛恨の極みであり、御家族のお気持ちを思うと言うべき言葉もありません。本件について小泉総理は金正日委員長に強く抗議し、同委員長は過去の北朝鮮関係者の関与を認め、遺憾なことであり、お詫びする、二度とこのような事案が決して発生しないようにすると述べました。生存が確認された方々については、早急に御家族との再会や本人の意思による帰国を実現させる考えです。安全保障上の問題に関し、金正日委員長は、朝鮮半島の核問題に関連するすべての国際的合意の遵守、期限なきミサイル発射の凍結を明確にしました。これらの問題も含め、地域の安全保障と双方の安全にかかわる問題につき、日朝間で安全保障協議を行っていくことになりました。国交正常化に関する諸問題については、財産及び請求権を相互に放棄し、同時に、国交正常化後、日本側から北朝鮮側に経済協力を供与するという考えを基本として、今後協議していくこととなりました。もとより、これで日朝間の諸懸案が解決したわけではありません。しかし、これらの諸問題につき、今後、問題解決を確かなものにしていくためにも、総理は、日朝国交正常化交渉を再開するとの判断をされました。我が国としては、今後とも、米国及び韓国等、国際社会の関係国と緊密に連携しながら、国交正常化交渉及び安全保障協議を通じて、日朝間の諸懸案の解決を図り、日朝関係を改善させていくことにより、日本と日本国民の生命と安全を確保するとともに、北東アジアの平和と安定のために貢献していく考えです。」こういう発言がございまして、総理からこの後、日朝国交正常化交渉に関する関係閣僚会議の開催についてというご発言がありました。「日朝国交正常化の円滑な推進、及びこれに関連する諸問題に対処するため官房長官が主宰する関係閣僚会議を開催することとしたい。本関係閣僚会議においては、拉致問題をはじめとする日朝国交正常化交渉を推進する上で、重要な諸問題につき検討を行うこととする。」こういう発言がございました。その他は平沼経済産業大臣の日本アセアン経済大臣会合、日中韓アセアン経済大臣会合及び日中韓経済貿易大臣会合等への出席についての報告がありました。三宅島噴火災害調査について防災担当大臣からのご発言ありました。以上でございます。

質疑

記者:
閣議で総理の今回の訪朝に関するお話があったことに対して、坂口大臣はじめ他の閣僚からどのような意見があったかということが一点、それからそういうご発言がなかったとすれば結構なのですが、今回の訪問、それから共同宣言の発表に対してご見解を伺いたいのですが。
大臣:
閣議での発言は様々な発言がありましたし、これをいちいち申し上げることは控えさせていただきたいというふうに思いますが、小泉総理と金正日国防委員会委員長、この会談によりまして、歴史の歯車が大きく回ったことだけは間違いが無い、大変大きな歯車が回ったというふうに思っております。しかし歯車が回ることによりまして、今まで見えなかったところが明確になり、その中の一つがこれは拉致問題であり、8名の皆さん方が既に死亡してお見えになるという誠に悲しい知らせが入ってきたわけでございます。御家族のみならず、我々にとりましても誠に痛恨の極みでありますし、本当に御家族の皆さん方に申し上げる言葉もございません。金委員長がはっきりとこれは事実があったことを認めて、そしてお詫びをしたわけでありますから、この問題はさらに具体的に、なぜこういうことが起こったのか、どういう理由で起こったのか、そして拉致された人達はどういう生活をしていたのか、あるいはまた、どういう時期に、どういうことで亡くなられたのか、その原因はなんであったのか、あるいはまた亡くなられた皆さん方におきましては、その遺骨はどうなっているのか、墓地はどうなっているのか、様々な問題があるというふうに思います。これらの問題を明確にしていかなければならないというふうに思いますし、国際法上、あるいは日本の法律上許されないことでありますから、これに対してどう対処していくのか、こうしたことも整理をして対応しなければならないというふうに思っております。そうした問題がありますけれども、しかし先程も申しましたように歴史の歯車が大きく回ったことは忘れてはならないというふうに思いますし、そして日本が過去に犯したこともまた忘れてはならない。そのようなことを踏まえながら直面している問題をさらに解決をしていかなければならないと思っております。
記者:
日朝関係の閣僚会議には大臣はメンバーにお入りになると思うんですが。
大臣:
それはまだですね。発表されてないんですね、誰がその中に、どの大臣が入るかということはまだ発表になっておりません。
記者:
大臣としてはどのような、今後の検討課題、取り組むべき課題をお考えでしょうか。
大臣:
これは拉致問題だけではないと思うんですね。工作船の問題もございますし、それから経済協力等の問題もあるんだろうと思いますし、あるいはまた核開発等の問題もあるんだと思いますし、そうした中で全部それをやりますのか、それとも拉致問題だけを中心にしてやるのかというのことはちょっと定かではありませんけれども、諸問題に対処するためにとなっていますから、日朝国交正常化の円滑な推進及びこれに関連する諸問題に対処するためにとなっていますから、あらゆる問題はそこに含まれていると思いますので、そうなってくると全閣僚、本当にみんな関係してくるわけですから、それをどういうふうに処理するか、これはできてからの話ではございます。
記者:
以前から在外被爆者等のことで検討されていますけれども、厚生労働大臣あるいは厚生労働省としてはどのような考えでいらっしゃるのですか。
大臣:
そうした我が省に直接関係をする問題もございますけれども、そうした具体的な問題に入ります前にやはり骨格となるところを詰めなければならないというふうに思っております。その骨格となりますところは一つは拉致問題、非常に現在のところまだ不透明でありますし、どうしてこういう結果になったのかということが全く分からない状況にあるわけでありますから、遺憾の意を表された以上、やはり間違いであったということを認められた以上、やはりそこを明確にされる必要がありますし、我々もそれを聞かなければならないというふうに思っております。その辺のところをやはり明確にしながら、一方において今後の両国間の課題について話し合いをするという手順と申しますか、そうしたことがやはり大事なんだろうというふうに思っております。そうした根幹に関わりますところの話が進んでまいりました後で、より具体的に現在まで残っておりますような問題につきましてどうしていくか、被爆者等の問題もあるいはその中の一つに入ってくるだろうというふうに思いますから、そうした問題は第2段、第3段続いて話し合い及び検討というふうに思っております。
記者:
いずれ被爆者の問題は国交正常化交渉の中に1議案として入って来るという認識をお持ちなんでしょうか。
大臣:
それはやはり入ってくるんでしょうね。1番先にやるべき話ではないというふうに思っています。これは骨格になる話し合いが終わった後の、非常に具体的な話し合いになった時の問題だというふうに思っておりますが、その時には入って来るというふうに思います。
記者:
やはり第2段、第3段の話になるのかもしれないんですけれども、戦後のドタバタの中で行方不明になった、いわゆる未帰還者の方たちについても今まで赤十字会談で調査を要望していますが、まだ返答は全然無いですよね。この辺も多少歯車が動いていくというふうにお考えでしょうか。
大臣:
そうですね、未帰還者の問題もあるわけでありまして、これらのことは全く現在不明のまま今日を迎えているわけでありますから、話が進んでいきます中でそうした問題も出てくるというふうに思います。
記者:
政府内では拉致被害者の方が8人も亡くなったということで、昨日の交渉の席でも今後交渉を続ける必要はないのではないかというような強硬論も出たわけですが、そういった家族を含めた反対するような声については大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
大臣:
昨日どういう意見が出たかということは承知いたしておりません。承知いたしておりませんが、この拉致問題というのは非常に今まで不明確であったし、それが明確になって非常に大きなショックであったことも事実でありますし、まだ先程申しましたように十分に解明されたわけではない、これから解明しなければならない問題も多いということでありますから、その入り口のところの大きな石でありますね、その石を除けなければ中になかなか入れないという気持ちが多くの皆さんの中にあると思いますし、私もそんな感情を持っておる一人ですが、しかし一方において先程申しましたとおり歴史は大きく回転した、このことも忘れてはならない。この歴史を大きく回転させなければ今回のことも出てこなかった、更に先送りをされていたというふうに私は思います。そうした意味では小泉総理が出かけられて、そして大きくこれを回転をさせたということは大きな意味があることであるというふうに思っております。

(了)