閣議後記者会見概要

H14.03.01(金)8:54~9:15 参議院議員食堂

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
今日は閣議の方におきましての閣僚発言といたしましては、総務大臣から労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果につきましてのご報告がございました。もう既にご承知のことと思いますけれども、1月の完全失業率は季節調整値で5.3%になりまして、前月に比べまして0.2ポイントの低下となりました。先月の発表では5.6だったのですけれども、最終的に5.5ということに再計算されておりますので、それに比べまして0.2ポイントの低下と、就業者数は6,267万人と前年同月に比べまして93万人減少をいたしております。10ヶ月連続で前年同月の水準を下回りました。完全失業者数は344万人と、前年同月に比べまして27万人増加をいたしておりまして、10ヶ月連続で前年同月の水準を上回っております。それから私の方から有効求人倍率につきましてのご報告を申し上げたところでございますが、平成14年1月の有効求人倍率は季節調整値で0.51倍となりまして、前月と同水準となっております。有効求人、季節調整値は前月に比べまして0.2%の減少であります。有効求職者の方は季節調整値0.7%の増加となっておることをご報告を申し上げたところでございます。それから竹中経済財政担当大臣から早急に取り組むべきデフレ対応策につきましてのご発言がございました。閣議はそれだけでございます。

閣僚懇について

大臣:
閣僚懇におきまして、ワールドカップサッカー大会につきまして内閣総理大臣からご発言がございました。「ワールドカップサッカー大会の開幕まで残り3か月足らずとなりまして、関係閣僚におかれましては大会の開催準備に全力で取り組まれているものと承知しております。国内販売分のチケットが完売するなど、サッカーファンの間ではこの大会への関心が高いところですが、大会成功に向けての全国的な盛り上がりがさらに必要であると感じています。そこで本日昼私は関係副大臣を集めてこの大会を一層盛り上げるための具体的な検討を指示する予定です。各閣僚におかれましても宜しくお願い申し上げます」という内容でございました。

その他

大臣:
先程も申し上げましたとおり、完全失業率の方は0.2%程低下をいたしておりますものの、しかし完全失業者数はまだ増加をいたしておりますし、内容的には予断を許さない、この2、3か月多少の上下はございますけれども、横並びと申しますか、依然として厳しい状況が続いているというふうに認識をいたしております。今後さらに雇用対策に万全を期していかなければならないというふうに思っているところでございます。
もう一つ、今日ご報告を申し上げなければならないのは、クロイツフェルト・ヤコブ病訴訟につきましてのご報告でございます。既にご承知のとおり2月の22日大津地裁並びに東京地裁から和解勧告の具体的内容が示されたところでございます。以来関係省庁とも連絡を取りながら、その内容につきまして今日まで煮詰めていたところでございますが、両地裁のご判断、両地裁からの早く和解をすべきであるというご趣旨を尊重いたしまして、この内容を受け入れさせていただくことに決定をいたしました。もとよりその病気で大変な苦しみと闘病生活を送ってお見えになります皆さん方に対し、またお亡くなりになりました皆さん方に対しましてお報いをするためにも、早くこの問題を決着することが当然の責務であるという考え方から、この和解案を受け入れることに決定させていただいた次第でございます。多くの国民の皆さん方にもご心配をかけてまいりましたが、ここに一歩前に進めさせていただきまして、そして原告団との様々なこれからのお話し合いがまだ残っておりますので、そうした問題につきましても早期に解決をして、そしてお報いをすべきところは早くしなければならないと考えているところでございます。以上ご報告を申し上げました。

質疑

記者:
今日出されてます大臣談話のペーパーの方で、裁判所の和解に関する所見を超えるとして、一律の支給金について書かれてますけれども、これについて説明をお願いします。
大臣:
そうですね、今回裁判所から示されました和解案の中には一律350万円を支給をするという内容がございました。和解案におきましてはその趣旨等につきましては具体的には触れておりません。これをどのように解釈をし、そしてどのようにこれに対応させていただくかということが、一つの今回の和解案受け入れに対する問題点であったことは事実でございます。裁判所のご趣旨というものを充分に尊重しながら、その中にも書いてございますとおり弔慰金又は見舞金的性格のものという理解の下にお受けをさせていただくということにした次第でございます。
記者:
弔慰金、見舞金的性格というと、87年6月以前についての国の責任が無いという立場で。
大臣:
どこから責任があってどこから責任が無いかという話を始めると、この和解案というのは難しくなる。この和解案というのはそこは問わないということからスタートをしているわけでありますから、そのご趣旨というものを我々は尊重しなければならないというふうに思っているわけでございます。
記者:
今後なんですけれども、原告の方などに会って謝罪なりお詫びなりという場を設けるというお考えは近々あるのでしょうか。
大臣:
近々なのかどうかこれは双方の日程的なものもありますから、まだそこまでお話がいっておりませんけれども、当然そういう日が来るだろうというふうに思っております。その機会がまいりましたら、そこで私の心からの気持ちをお伝えを申し上げたいと思っております。
記者:
つまり謝罪の意志を伝えるということですか。
大臣:
そのことも含めて私の気持ちを伝えたいと思っております。
記者:
原告が会見の中で、国が見舞金というふうに言うならば、我々は損害金という主張して戦うという趣旨のことをおっしゃってたのですが、それでも見舞金という形で押されるんですか。
大臣:
そこを言い出しますとこの話というのは難しくなるのですね、ですから裁判所はそこにどういう意味のお金だということは問わずに、一律350万という決定をされたというふうに私は理解をいたしております。しかしこのお払いをさせていただきます方としては、これは国民の税金をもって充てさせていただかなければならないわけでございますから、なんらかのそこに理由をつけなければなりません。一応従いまして我々は弔慰金、又は見舞金的性格のものという理解の下に出させていただくということに決定をしたわけでございます。そのことにつきましては原告の皆さん方も私はご理解をいただけるものと思っております。
記者:
和解案には和解金として書いてないのにあえて、そういう理解をするというのはやはり国の姿勢がそこに表れているというふうに。
大臣:
それぞれで理解をしてどうぞお出しくださいということですから、そういうふうにさせていただきました。
記者:
弔慰金、見舞金というのは、何に対する弔慰金、見舞金というふうにお考えでしょうか。
大臣:
それはこの病気に対する弔慰金であり見舞金であることに間違いはございません。だから弔慰金または見舞金と言い切っているわけではなく、弔慰金または見舞金的性格と、こう言っているわけです。
記者:
結果的に無過失の結果責任を国が認めた形になると思うんですが、今後の薬事行政においての意味合いなどはどうお考えでしょうか。
大臣:
これから先こういうことを繰り返してはいけないわけで、そのための体制というものを組んでいかなければならないというふうに思います。一つは今まで薬につきましてもそうでございましたが、とりわけ医療機器、医療器具といったものに対しましては厚生労働省、遡りますと厚生省の体制も十分であったとは言い難いところがある。従いましてこの医療機器に対しましても薬品同様に厳しい体制をとっていくということが一つ大事ではないかというふうに思っております。このヤコブ病もそうでございますが、今までの疾病の概念からいたしますと、ウィルスでありますとか、あるいは細菌であるといったようなものに感染をするといったことから病気は起こるものと信じ込んでいたわけでございますが、細菌でもない、ウィルスでもない、そういう伝播の仕方ではない別の伝播の仕方が存在するということが最近になってわかってきたわけでございますので、あらゆることを念頭に置きながら、この予防的な措置というのは考えていかなければならない。その時その時に考え得ることを十分に考えていかなければならないというふうに思っております。そのためにはその時その時の世界における先端的な知見というものも十分に得ていかなければならないわけでありまして、そういう体制をとらなければならない。ややもいたしますと今まで厚生労働省の中で一つのその担当する局はそのことに一生懸命になっておりますけれども、しかし他の局はそのこととは関わりがないといったようなことになりがちでございましたので、省内のそれぞれの局が有機的な連携を深めるということが大事ではないかというふうに思っております。薬務なら薬務を担当する局は当然のことながら自分たちのところの範囲のことはやっておりますけれども、そのことに対する知見というのは、それは健康局であっても、あるいは医政局であっても、そうしたことを目にする人達はたくさんいるわけでありますから、もう少しそのへんのところは連携を密にしていかなければならないというふうに思ってますので、そうした省内における体制を明確にしていかなければならないと、そう思います。それと先に申しました医療機器等につきましても十分な体制でいかなければならないというふうに申しましたが、これはやはり人の配置にも問題があるというふうに思ってます。かなり最近は人の配置も多くなってまいりましたし、更にここを強化する予定でおりますけれども、人の健康にやはり関わりますところの人の配置というものは手厚くするように、人事異動の時には考えるべきだということを今省内で言っているところでございます。そうした問題を一つひとつクリアーしながらこうした問題が再発するのを予防していきたいと思っております。
記者:
和解案の受け入れというのは閣議決定しているものなんですか。
大臣:
閣議決定は関係ありません。
記者:
関係はない。
大臣:
はい。
記者:
先程見舞金というのは病気に対する見舞金だとおっしゃいましたけれども、和解案、先日の和解案の中でもずっと救済というか、そういったものを受けられずにいた、そういう悲惨な状況があるんでというような言葉を裁判所も使われていますけれども、そのへんの責任をお感じになって見舞金という形でという。
大臣:
それは当然ですね、病気ですから、それに対する治療ですとか、あるいはまた介護ですとか、そうしたことにそれは当然のことながら関係することはもちろんです。
記者:
それは本来国がそれまで取ってない対策をこれまで取れなかったということで、見舞金という形ですか。
大臣:
ですからそこのことを言いますとなかなかこの問題は難しくなるわけですね。線引きの話になってくるわけで、なかなかそこは線が引けない、そこは原告団の皆さん方も何処何処でというふうに線を引くということは好ましくない、こうおっしゃっているわけでありますし、私もそう思っております。従いましてそこは若干曖昧なところを残しますけれども、トータルとして皆さん方にお応えをするという形になればよろしいのではないかというふうに思っております。線を引くという話になりますと1987年のまた話に戻ってくる。なかなかそこでは線を引きがたいというのが裁判所のお考えだというふうに私は認識をいたしておりますし、私自身もそこで明確に線を引くことは出来得ないという考え方から今回の和解の受け入れに踏み切ったわけでございます。
記者:
他の病気もあるわけですよね、ヤコブだけじゃなくいっぱい病気がある中で、ヤコブ病に対して見舞金を払うというのはつまりどの点でということですか。
大臣:
それはもう言わずもがなでありまして、これはこの脳硬膜を使った患者さんに発生をしたヤコブ病である。その法的な責任の存否というものはありますけれども、時期によっての違いはありますけれども、その脳硬膜を使った患者さんから発生しているという厳然たる事実があることだけは間違いないわけで、従って他の患者さんとは違う、こういうふうに私は割り切っております。
記者:
それはつまり73年に輸入を承認したからということでしょうか。
大臣:
まあ、承認しなければこれ使わなかったわけでありますから、その当時は病気も存在しない、この脳硬膜による病気も存在はしないし、そしてそれによって感染するということも、まあ感染という言葉が正しいかどうかわかりませんけれども、伝播するということもわかっていないし、そのからくりは当然のことながらわかっていないという状況の下に決めたことであるとはいいながら、しかし結果として見れば、それはこの脳硬膜を使用したことによって発生したことだけは厳然たる事実であると私は思います。

(了)