閣議後記者会見概要

H13.6.22(金)9:24~9:52 参議院議員食堂

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
今日閣議の方におきましては、いわゆる環境物品等の調達の推進に関する基本方針の一部変更について、いわゆる一般公用車の低公害車への切り替えに関するものでありますとか、そうしたことに対します一つの方針が出されたということで、これに対して環境大臣、経済産業大臣それから国土交通大臣の方からご発言がございました。内閣官房長官からは平成12年度男女共同参画社会の形成の状況に関する年次報告及び平成13年度において講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についてお話がございました。総務大臣からは入国管理体制の緊急整備について前回、北朝鮮の重要人物と思われる方が他の国の旅券によって入国されようとしたというあの件を受けまして、もう少し入国管理体制を整備をしようということで、人員の増員を図るということでございます。合計で33名でございますが、そういうことが発表になったところでございます。中央労働委員会の仲裁裁定につきまして私の方からご報告を申し上げました。4月24日に提示されました調停委員長見解と同じものでありまして、基準内賃金を本年4月1日以降一人当たり、0.05%プラスの60円の原資をもって引き上げること、定期昇給込みの加重平均で6,004円、2.00%のアップとするこういうものでございます。それに対しまして内閣官房長官からも関係閣僚会議を開いて検討を行うというご発言がありました。それから田中外務大臣の米国訪問についての報告がございました。だいたい閣議におきます内容は以上でございました。

その他

大臣:
それから今日ちょっとみなさんにご報告を申し上げたいことは、一つはいわゆる職場における色覚異常についての正しい認識の促進について、いわゆる色盲、色覚異常者。これは3月22日の参議院の厚生労働委員会におきまして労働者の雇入時の健康診断における色覚検査の必要性についての質疑がございました。これを受けて全ての労働者に対しまして一律にこれを実施する必要があるかどうかについて検討を行ってまいりました。その結果色覚検査を廃止することについて労働政策審議会に諮ることといたしました。また併せて事業者等に対する色覚異常に関する正しい知識の普及・啓発を行いますために、公共職業安定所における求人指導、公正な採用選考についての啓発、指導等を都道府県労働局等に対して指示を行うこととしております。これらの措置を通じまして色覚異常に対する誤解や偏見の解消、見やすい色表示への配慮を行うこと等により、より働きやすい社会の実現に向けて努めるようにしていきたい。そういうことでございます。原則としてこの色覚の検査は行わない。特別にやらなければならなければならないところは、それはなぜそれが必要かということを明らかにしていただくような方向で、いろいろと審議会でご審議をいただく、こういうことになっているところでございます。ご報告を申し上げたいと思います。
それから在外被爆者に関します検討会の開催についてでございますが、検討会は厚生労働大臣が開催することといたしまして、検討会にはこの分野の専門的な方数名お入りをいただく、6、7名になるというふうに思いますがお入りをいただいて、そしてできれば7月から審議を開会していただいて、そして月一回くらい審議をしていただき、12月には取りまとめを終わっていただけるようにしたいと、こういうふうに思っているところでございます。そういうことでスタートをさせていただきたいと思います。

質疑

記者:
在外被爆者の検討会の具体的な検討内容というのは被爆者援護法の見直しですか。
大臣:
その内容につきましては一つは海外に居住する皆さん方の問題をどうするのかというのは一つ、それから先般も申し上げましたが、もう一つはいわゆる被爆者の要件、海外に居住する、しないということも関係してくるわけでありますが、要件それからもしも失格をいたします時には失格の要件等につきましてももう少し明確にしていただく必要があるのではないかと私は思っております。
記者:
メンバーは6,7人というのはどういう方々でしょうか。
大臣:
まあ、これからでございますので、そこはちょっとまた。
大臣:
それから精神障害者の問題につきまして、皆さん方からのお問い合わせも多いわけでございます。これもこれからまだ進めていかなければならない問題でございます。しかし事務レベルにおきましては、法務省の方と厚生労働省の方とで、かなり綿密な話し合いを続けてきたことも事実でございます。それらのことを踏まえながらどうするかということになるわけでありますが、私は一部新聞にも書いていただきましたが、やはり刑法の改正というのも法務省の方としては、なかなかいろいろ過去の経緯からして難しい点があるということであり、また厚生労働省といたしましても、精神保健福祉法の方の内容というのは、これは社会復帰、自立ということが目的になっているわけでありますから、本来の趣旨、目的そのものを変えてしまうほどの大改正をやればともかくといたしまして、この法律の中で一部改正で入れるというのも、少し無理があるのでないかというふうに思っております。従いまして第三の法律と申しますか、特別立法、やはり考えて、その中で進めていくということの方が妥当ではないかと私個人は思っている次第でございます。いずれにいたしましても、重大な犯罪を犯した精神障害者、その皆さん方の治療と、そして治療だけではなくて、その人たちに対する生活指導を含めました様々な教育の面もあるだろうと思いますが、その人達が二度と再びそういう犯罪を犯さない様な状態にどうすることができるかということをもう少しより具体的なスケジュールと申しますか、プログラムと申しますか、そうしたものをやはり考えていかないといけないのではないかというふうに思います。
記者:
そのお考えについては森山法務大臣と話し合いなさって、一応二人でそういう考えで一致しているというふうに認識してよろしいのでしょうか。
大臣:
まあ、森山法務大臣とはですね、先週の日曜討論の前に少しお話し合いをしておきましょうというので、一時間ばかりでございますがお話をいたしました。その中でいろいろそれぞれの立場からの意見が出たわけでございます。そこではあまり具体的にこれからどうしようというところまでのお話はまとまっておりません。しかしその中で特別立法というのも選択肢の一つとして存在するのではないかといったふうな話し合いの中で出たというふうに思っております。ですから法務大臣との間でそれ以上そのそれじゃあ具体的にこうしましょう、ああしましょうというようなことまでのお話にはなっておりません。これは事務局の皆さん方とのご意見ももう少し聞かないといけないというふうに思いますが、大枠としての方向性としてはいろいろのことを念頭に置いて考えますと、そうした方向にならざるを得ないのではないかというふうに私は思っております。そうすることが一番この問題を進めやすいのではないかという気がいたします。
その入退院されるということに対して、措置入院で医療機関だけでそれを決定していくということも、少し無理がある。自分に危害を加えたり、他人に傷害を与えたり、そうする危険性があるかないかという判断は、これは精神科医によってされまして、そして退院が決まるわけであります。その犯罪性の問題についてまでなかなか医療の場で考えることは難しい。それは精神科医療というものを深めていくということによって、精神科医療を拡大、精神科医療の質を高めることによって全て解決をするものなのか、それともやはり精神科医療の質を高めるだけでは解決のできないものがそこに含まれているのか、そこが重要な論点だと思いますけれども、私はやはり精神科医療の質を高めましてもやはりそれだけではすまない、そこにプラスアルファ、やはりなんらかのこの問題が残るのではないかという気がいたしております。私の頭の中もまとまりきったものではございませんけれども、それらの点をもう少し整理をさせていただきながら考えていきたいというふうに思っている次第でございます。
記者:
具体的にスケジュールについて、急いだ方がいいという声が政府の中であるようなんですけれど、今現在法務省と厚生労働省の方で事務レベルでやっていますけれど、これのスケジュールを早めるというようなお考えというのは大臣の中にはおありでしょうか。
大臣:
今双方の事務レベルでやっておりますスケジュールはいつまでにというきちっとした期限を切ってやっているわけではないんだろうと思うんですね、話が付くまでやろうということではないかと思いますので、それはやはり少し期限を切って早めていかなければならないというふうに思いますから、こういう世論が高まったときにやはり決着をすることが大事というふうに思いますので、もしもその法律を出すのであれば、来年の国会に提案ができるようなスピードで進めていくのが私はよろしいのではないかと思っております。
記者:
その問題では小泉総理は刑法改正のことも言及されていると思うんですけれども、官邸サイドの理解はとれるというふうに考えて。
大臣:
刑法の改正も視野に入れてというお話だったと思いますが、ですから刑法だけを含んでるわけではないと思います。それは刑法の改正でいくという考え方も私も否定をしているわけではありません。しかし今までの歴史的な経過、それから今日までの議論の積み重ね、そうしたものを背景にして考えますと、なかなか刑法を改正して、刑法が全面に出てというのもなかなか抵抗があるように思えます。しかしそれならば精神保健福祉法の範囲の中だけでこれが決着ができるかといえばそれは難しいといわざるを得ない、そういう状況の中でございますので、第三の道を選ぶのが一つ方法ではないかというのが私の考え方でございます。
記者:
この問題で中長期的にも刑法改正というのはあまり選択肢としてない。
大臣:
いや、それはわかりません。
記者:
要は再犯のおそれまで医師だけで判断させるのは難しいというご判断が基にあるわけですか。
大臣:
まあ、そうですね。そこまで医師に責任を負わせることは難しいのではないかというふうに思います。そこまで責任を持てというふうにしてしまいますと、措置入院をしてそして退院をさせれば、そうしますとその人がもしも犯罪を繰り返すということになれば、その医師は訴えを受けるというようなことにもなりかねません。そこまではなかなか医師に責任を求めるのは無理ではないかという私は気がいたします。だけれども、犯罪を犯す人はほとんどが初犯であって、再犯の人は一割か二割ということが言われてますから、そういたしますと全体としてその犯罪を犯した人達だけではなくて、その他の問題もこの際に精神医療のあり方も考えていかなければならないと思います。それはやはり退院をさせましたときに、やはりその人に対して家族がちゃんと見守ってくれている家庭はいいんですけれども、そういう家庭の人達がいないという場合には、やはり見守ってくれる人が必要になってくるというふうに思います。小学校の子供じゃありませんけれども、手は離すけれども目は離さない、そういうシステムというものがやはり必要になってくるんだろうというふうに思っております。そういう意味での精神医療の充実、質的向上というものが求められているというふうにも思っておりますので、その内容につきましても考えていかなければならないというふうに思っております。
記者:
それも新法に含まれると言うことなんですか。
大臣:
そこを含めるかどうか新法の内容にもよりますから、そこまで今言えませんけれども、そうした仕組みを、法律事項なのかそれとも法律ではなくて仕組みとして作り上げていくことができるのか、そのへんはちょっともう少し検討しないといけないですね。
記者:
端的に新法の柱というのはなんですか。
大臣:
だから今申し上げたようなことを行えるようにする法律にする。
記者:
司法の判断が入るようにするということですか。
大臣:
司法の判断も若干そこに加味されるということではないかと思います。だけれどもその刑法の改正のようにあまりにも全面に司法が出るというという形ではない形で司法も加味して貰うといういきかたではないかと思います。
記者:
入退院の判断にということで。
大臣:
そうですね。

(了)