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業務の改善活動の支援・促し役

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忙しい介護現場で業務改善を行うためには、意見を言いやすい環境を作ることや職員間の対話を促すことが重要です。この役割を担う方がいると業務改善はより行いやすくなります。職階関係なく、誰もがあらゆる場面で活用できるスキルです。

支援・促しを詳しく学ぶには、介護分野における生産性向上の支援・促進スキルについて を参照ください。

支援・促し役の必要性・主な役割なぜ、「生産性向上」なのか

複雑・多様化する高齢者ニーズに備え、創造的な活動ができる現場づくり

厚生労働省が公開する介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン(以下、単にガイドラインとする(※))では、介護ニーズの急増と人手不足への対応策として、介護分野においても業務の改善活動を必要としています。要介護者が増加しニーズがより複雑化・多様化していく中で、業務を見直し、限られた資源(人材など)を用いて一人でも多くの利用者に質の高いケアを届ける、あるいは、自立を支援できるサービス提供体制を整える取組は極めて重要です。この取組は結果として、介護の価値を高めることにつながります。

介護の現場では一人一人の高齢者に個別的なケアやサービスを行うため、創造的な態度でニーズに向き合う必要があります。これまでのように、ケアやサービスの質を保ち利用者にサービスを提供する力を高めるだけでなく、経験のない事例であっても特有のニーズに気づき、そのニーズに応じたケアやサービスを創り出すことができるよう備える必要があります。利用者に向き合った創意工夫の繰り返しは介護の価値を高めます。結果として、安心と安全のある生活の提供につながります。

ガイドライン表紙

生産性向上ガイドライン等は、介護分野の生産性向上 ~お知らせ~ を参照下さい。

業務の改善活動を経験する利点

介護現場の日常業務の中に創造的な視点や発想を取り入れる取組、あるいは試行錯誤を歓迎する取組を取り入れるにはある程度の経験や知識が欠かせません。例えば、介護職員が主体的に参加できる場を作った経験、活動を推し進める技術や知識、あるいはプロジェクトの実践から得られた経験知(躓きや失敗の経験も含む)、などが挙げられます。業務の改善活動では、こういった組織として生産性の向上に必要な経験を積み、知識や技術を学習することができます。

支援・促し役の必要性・主な役割なぜ、支援・促し役なのか

1人1人が主体的に取り組める改善活動とするための伴走役

業務の改善活動は一過性の活動ではなく継続的活動として取り組むことでその成果は一層大きくなります。業務の改善活動のプロジェクトリーダーが孤軍奮闘する活動のあり方ではなく、プロジェクトメンバー一人一人が主体的に取り組む活動であれば、プロジェクトリーダーが代わっても活動の継続は大いに期待されます。

また、変化の激しい今だからこそ、皆の知恵を集めて改善活動に取り組むことが必要です。この活動は、働きやすい職場やメンバーの成長に寄与すると考えます。このような考えで、支援・促しの役割を業務の改善活動と結びつけています。

支援・促し役の必要性・主な役割主体性を引き出すための業務の改善活動の支援・促し役の役割・機能

支援・促し役は、「指示」ではなく「支援と促し」の資質を備えて業務の改善活動に伴走します。支援・促し役は、いわゆるファシリテーターと同じではありません。取組のPDCAサイクルとコミュニケーションの双方を促すからです。

プロジェクトリーダーやプロジェクトメンバーが促しや支援の資質を使って、自ら支援・促し役を担うこともあります。職階も関係ありません。

特に、支援や促しがうまく機能すると、業務の改善活動を円滑に進めやすくなります。また、プロジェクトメンバーは、やらされ感よりも、むしろ、自分なりに参加する意義を感じ取りやる気につながり、結果として、職員は主体的に参加できるようになります。その結果として、業務の改善活動が継続し定着しやすくなります。

主な役割1:改善活動を推し進めるマネジメント上の支援・促し

業務の改善活動を前に進めるにはマネジメントの視点が重要です。支援・促し役は、業務の改善活動のPDCAサイクルのプロセスが円滑に進むように支援・促します。

また、うまく創意工夫し試行錯誤できるよう働きかけます。その結果として、小さな成功体験を積み重ねることが上手くなる、活動で得た知恵が属人化せず、組織の知として蓄積しやすくなる、などが期待がされます。

プロセスが円滑に進むように支援し促そう
プロセスが円滑に進むように支援し促そう

主な役割2:職員同士が意見を出し合える支援・促し

支援・促し役は、コミュニケーションにおいて、職員同士が安心して意見や知恵を出し合えるように場を作り、働きかけ、話し合いが活発になるよう促します。その結果、プロジェクトメンバーが自ら気づきを得る、メンバー同士がつながりやすくなる、自ら発言することで積極的になる、改善活動そのものが組織文化として根付きやすくなる、などが期待されます。

安心して意見や知恵を出し合えるように支援し促そう
安心して意見や知恵を出し合えるように支援し促そう

業務の改善活動のプロジェクトチームとの関係

支援・促し役は、縁の下の力持ちや黒子の立場です。
主役は、業務の改善活動を実施するプロジェクトチームのリーダーとメンバーになります。

支援・促し役とプロジェクトチームの関係のイメージ

支援・促し役とプロジェクトチームの関係のイメージ

支援・促し役の担い手は、事業所・施設のマネージャー・主任クラスである必要はありません。また、ここではプロジェクトリーダーと支援・促し役を分けて図示しましたが、プロジェクトリーダーがその役目を担っても構いません。

支援・促し役に期待されること

支援・促し役に期待されるのは、会議やプロジェクトのゴールに向かって、その進め方や手順(プロセス)をしっかり捉え、参加者が成果や納得感を得られるように支援や促しを行うことです。

支援・促し役の心づかい

支援・促し役の心づかい

  • 話し合いの運営で大切なことは、出された意見を否定しないことです。自分の意見とは違うと思っても、興味関心を持った態度で「そういう見方もあるんですね」と、まずは受け止めます。
  • 「そうは言っても ・・・」など、ネガティブな発言も出るかもしれません。しかし、そのような発言になる原因は何か、を良く聞いてみましょう。
  • 参加者を信頼し、「問いかけたら、よく聞く」、すぐに答えがでてこなくても、「待つ」ことがとても大切です。
  • 支援・促し役は、参加者が主役になる場をつくるので、自身は中立な立場を意識することで、話し合いを誘導をしないよう心掛ける必要があります。