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業務の改善活動の支援・促し役ファシリテーションのスキル:5つの基本

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①対話の場づくり

場づくりには、1.空間の物理的デザイン(=椅子や机の配置など)と、2.関係性を整える心理的デザイン(=雰囲気や意識の共有など)があります。

1)空間の物理的なデザイン

設営された会場をそのまま使うのではなく、話し合いの目的やプロジェクトチームの状況に合わせて配置そのものを考えます。

場づくりの具体例

スクール型・シアター型

前に立つ人の話をよく聞く、資料を見やすくなる。(全体に周知する会議に使われる)説明会やキックオフに使われる。

ロの字

通常の会議で良く使われる。ただ、役割が場所で固定されたり、上座や下座がもたらすランクの差が、話し合いに影響を与えることがある。

扇形

少人数でしっかり話し合う、参加型の会議に向いている(プロジェクトチームでの話し合い) 。

2)関係性を整える心理的なデザイン

話し合いに入る前に話しやすい環境を整えます。オリエンテーションと呼ばれるこれからの目的やながれなどを説明したり、話しやすい雰囲気づくりを心がけることで、話し合いのスタートラインを整えます。この部分は事前にリーダーや場合によってはオーナーとも協議を重ね、準備をしておくとスムーズに進めることが可能になります。

共に考える仲間としての知り合う時間を作ったり、チームビルディングのために必要な活動を入れるなど、事前にチームに合わせてプログラムしておくことが大切なポイントです。

「支援・促し」ポイント
支援・促し役や板書係は、書いた物が見やすいように、ホワイトボードや自分の立ち位置に気をつけましょう。
机や椅子の配置換えをみんなで進めるのも、場づくりの大事なステップです。

②グループサイズ

話し合いましょうといっても、緊張したり、何をいっていいかわからなくてシーンとしてしまう状況になることもあるかと思います。そんな時には、様々なグループサイズを使ってみましょう。

特に大切なことは、一人の時間を確保するということです。何か意見はないですか?と聞いても頭が真っ白になることは多いので、まずは一人で考えます。場合によってはメモなどをとってもらうと良いでしょう。それを元に隣の人と話す、あるいはその後四人で話すといったようにしていくと、このメンバーの話を伝えるというように、話すハードルが下がります。

一人で考えた後、二、三人で話を交わすだけでも、発言のハードルはかなり下がるので、このグループサイズを変えるというスキルは日常のカンファレンスなどでも活用できます。

グループサイズを変える効果

一人
自分のことや現場(実)をしっかり考える
二人
ペアできちんと聴いてもらう
三人
「文殊の知恵!」…相互関係の生まれる最小単位
四人
ペアを合わせると作れる単位、多様性も生まれやすい
小グループ
6~8名で共有化がしやすい
全員
多くの人とのダイナミクス、多様性を味わえる

どれが良いというわけではなく、
参加者の様子や問いに応じて工夫して使ってみましょう

「支援・促し」ポイント
一方的に聞いているだけではなかなか腑に落ちないことも、入れ替わりや話の合間に会場にいる方同士で感想などを話す小さな時間を入れ込みましょう。
その後、「皆さんでどんなお話をされましたか? 」という促しをすると、感想と共に質問や不安などが出されることもあります。

③発言の見える化

議題や考えてもらう問いなどは、A4の白紙を活用してあらかじめ手書きで書いておきます。

人の発言はどんどん流れていく物です。同じことを伝えたつもりでも、案外違って伝わることも多いのです。発言を書き留め、それを見ながら参加者全員で思考を深めることが大切です。

見える化は、ホワイトボードや模造紙などを使って実施します。議事録として書くのではなく、話し合うために書くので、きれいな文字で書く必要はありませんが、読みやすいことは大切かと思います。

文字の大きさは参加者から見えること、1項目の行間をあまりあけすぎないで、話された項目がわかりやすくなるといった工夫もすると良いでしょう。

書いた内容は、みんなで見る時間を取ります。
抜け漏れがないかの確認や決める前にみんなで見合う、その上で決めます。

大切なことは、話した人の名前を記入しないことです。
意見と話し手を切り離すことで、パワーバランスや忖度などで、 意見が一方向に引っ張られないように支援する工夫の一つです。

「支援・促し」ポイント
いまどき、手書きは注意を引きますから、是非、活用しましょう。
最初に書いてあるものを見せながら話すと、皆の目線があがります。
皆の目線があがると、皆の反応を見ながら話すことができます。
【板書の基本】
発言内容はできるだけそのまま書く
【板書の効果】
そのまま書くのは、「意見の整理」や「大切な意見を消してしまわない」効果、「議論の展開の拠り所になる」効果があります。
【板書の基本】
書かれた板書はその場で活用する
【板書の効果】
話の流れを再確認すると、話し合いの芯のようなものが見えてきたり、大事なことが見える事も多いものです。
【板書の基本】
●いつも見える場所に貼り出す
●参加者が見える場所に貼りだす
【板書の効果】
設定したテーマやゴールイメージなどを書き出し、貼り出すことにより、常に全員がそれらを意識する効果があります。

④問いを立てる

最初から本題で話すことは難しいので、思考のプロセスをつくっておきます。

問いは、時間軸や空間軸、仮定や対象を変えてみることで新しい気づきや、相互作用を生みます。共通の思いや価値観、新しい気づきが生まれ、プロジェクトチームの達成感にもつながります。

参加者の意見は誘導したりジャッジするのではなく、そのままに受け取ります。支援•促し役には中立で公正で公平な立ち位置が求められます。

「あるべき論」や「教科書的な項目」を出すと、話し合いの本当の目的がそれやすいので、身近な話題や言葉を使うようにしてみましょう。

「支援・促し」ポイント
まずは個人の体験や実感から始めるなど、答えやすい問いから始め、なんでも話してもいいのだ、という「話しやすい環境」を作ることが大切です。
違う意見であっても、「そういうこともあるんですねえ」「知らなかった、もっと教えて」というように、興味関心を持って(愛を持って)相手の話を深めて聞き合うということも大切です。
ネガティブな発言でも、「というと?」「具体的にはどういうこと?」といったようにオープンクエッションを重ねることにより、その根本的な原因や解決策を探ってみましょう。

⑤プログラムデザイン

限られた時間で一定の成果を生み出すためには、準備が重要です。
そのために、「創造的な話し合いのながれ①~④」を想定して、プログラムをつくりましょう。

プログラムは見える化し、共有することで、全員が今どの場面にいるのかを意識することができます。

プログラムには、時間配分を示すことで、参加者とともに時間管理ができます。

創造的な話し合いのながれ

1共有
情報の共有 課題の共有 お互いの考えや人を知る時間
2拡散
アイデアを拡げる様々な可能性を探る時間(ブレストなど)
混沌
生みの苦しみ創造的カオス議論し考え抜くここが一番大切なところ
3収束
整理する、まとめる、絞り込む、整理の軸などを明示するとその場にいなかった人にも説明しやすい
4共有
合意事項を文章などで、きちんと確認し共有する

混沌は一見避けたいところだと思われがちですが、この部分を深めることが最も重要です。納得が得られないまま、多数決などで安易に決めてしまうと、ちゃぶ台返しになったり、非公式の場面で不平や不満につながることが出てきます。

支援・促し役は混沌の場をしっかりと捉え、そこで起こっていることを整理していきます。

「支援・促し」ポイント
アイデアを自由に発散し「可視化」する
軸を使って、「手と頭」を使って、みんなで分類•整理する(整理する軸、決める時の基準は何か、自分達で考えてみる)
今できることや、大切にしたいことなどの条件を元にその時点で良いと思うものを納得して決める(最適性)

リーダー依存型のチーム・組織ではなく、
個々が自立し、考え、行動するチーム・組織づくりへ