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2015年4月21日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録

○日時

平成27年4月21日(火)14:00~17:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室


○出席者

委員

大野委員(部会長)、石井委員、尾崎委員、斉藤委員、佐々木委員、佐藤委員、佐野委員、根本委員、二村委員、宮井委員

事務局

山本基準審査課長、黒羽課長補佐、大田課長補佐、松倉専門官、飯塚専門官

関係省庁

農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課 山木専門官
農林水産省消費・安全局農産安全管理課 峯戸松補佐

○議題

(1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について
・ 動物用医薬品ケトプロフェン
・ 農薬メタフルミゾン
・ 農薬シモキサニル
・ 農薬フェノチオカルブ
・ 農薬メソトリオン

(2)その他

○議事

○事務局 皆様お揃いのようですので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会を開催いたします。

 本日は永山委員、吉成委員、由田委員、鰐渕委員より御欠席されるとの連絡を頂いておりますけれども、農薬・動物用医薬品部会の委員 14 名中、 10 名の御出席をいただいており、部会委員総数の過半数に達していますので、本日の部会が成立していることを御報告いたします。また、平成 27 1 月の委員の改選により、 3 名の委員が新たに就任されましたが、佐野先生におかれましては今回の部会が初回となりますので、改めて御紹介させていただきます。

 東京海洋大学海洋生物資源学部門教授の佐野委員です。

○佐野委員 海洋大学の佐野でございます。よろしくお願いいたします。

○事務局 また、事務局におきましても 4 1 日付けで人事異動がありましたので、この場をお借りして紹介させていただきます。小川の後任の専門官としまして、飯塚、一ノ瀬の後任の主査として、中村が着任しましたので御挨拶させていただきます。

○事務局 飯塚でございます。よろしくお願いいたします。

○事務局 中村でございます。よろしくお願いいたします。

○事務局 どうぞよろしくお願いいたします。

 農薬等の審議の前に、利益相反に関して御連絡いたします。本日の部会で御審議いただく品目で、申請者との利害関係に関して、各委員に事前の確認を行っていましたが、該当される委員はいらっしゃらなかったので、合わせて御報告させていただきます。

 それでは、大野部会長に審議の進行をよろしくお願いいたします。

○大野部会長 議事に入らせていただきます。新しい先生方も含めて、皆さん事前にいろいろ資料を見ていただいて、コメントを寄せていただきありがとうございます。初めに事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

○事務局 資料の確認ですが、本日お配りしました資料は、まず議事次第と配布資料一覧。更に委員名簿と関係省庁の方の出席者の名簿を付けた資料の次に、座席表があります。その後ろに本日御審議いただく品目について、それぞれ資料 1-1 、資料 2-1 のように報告書を資料 5 まで配布させていただいています。その後ろに、資料 1-2 、資料 2-2 のように食品安全委員会の評価書等についても同様に、資料 5 まで配布させていただいています。また、資料 5-2 の後ろに前回 3 月の部会で御報告しました、「急性参照用量を考慮した残留農薬の基準見直しの進め方について」を、机上のみ配布しています。不足している資料等がありましたら事務局までお願いいたします。

○大野部会長 皆さんよろしいでしょうか。それでは、審議に入りたいと思います。本日は農薬について 4 剤、動物用医薬品 1 剤について御審議をいただきます。先ほど申しましたけれども、報告書の作成に当たりましては、関係の委員の先生方に資料について御検討をいただいているところです。どうもありがとうございました。それでは、議題 1 、食品中の残留農薬等の基準値設定をいたします。まず、動物用医薬品のケトプロフェンについて審議いたします。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 資料 1-1 を御覧ください。ケトプロフェンについて説明いたします。ケトプロフェンは今回 2 回目の審議となります。医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に基づき、承認事項変更の承認申請がなされたこと、及び当該承認に基づき、使用基準を変更することについて、農林水産大臣から意見聴取があったことから御審議いただくものです。まず、概要ですが、アリルプロピオン酸系の、非ステロイド性抗炎症薬です。プロスタグランジンの合成を阻害することにより、抗炎症作用を示します。日本ではケトプロフェンを有効成分とする動物用医薬品について、既にイヌ、ネコ用に承認されています。海外におきましては、既に牛、馬、豚などにも解熱剤及び抗炎症剤等として使用されています。また、国内外でヒト用としても用いられています。化学名、構造式及び物性は御覧のとおりです。 2 ページに適用の範囲及び使用方法を示しています。今回意見聴取がなされたのは、国内の四角で囲ってある豚への使用方法になります。筋肉部位への注射剤で休薬期間 6 日と設定されています。

 続いて残留試験ですが、前回の報告書より、 3 ページの最初に、国内における分析法を追加しています。家畜残留試験の結果は、 1 2 の子牛及び乳牛の試験については前回の部会で審議いただいています。今回は 3 及び 4 の豚の試験を追記しています。各試験におきまして、豚に 3mg/kg 体重の用量で 1 1 回、 3 日間投与し、最終投与後 1 日、 2 日、 3 日、 5 日あるいは 7 日の各組織中のケトプロフェン及び代謝物 A の残留量をそれぞれ測定しています。残留基準の設定においては、 4 のケトプロフェン濃度、表 5 になりますが、こちらのほうを基に残留基準の設定をしています。

 続いて 5 ページの ADI の評価についてです。 ADI については食品安全委員会において毒性学的 ADI と薬理学的 ADI が評価されています。最終的に、より値の小さい薬理学的 ADI を採用しています。この評価については前回の評価からの変更はありません。

 諸外国における状況についても、前回の審議より変更はありません。

 続いて基準値案です。規制対象はこれまでと同様に、ケトプロフェンのみとする案とさせていただきました。記載しましたように、残留試験において、代謝物 A も親化合物と同程度又は速やかに排出されること及び代謝物 A の薬理活性は未変化体の 10 分の 1 から 100 分の 1 とされていることを考慮して規制対象を決めています。基準値案は 7 ページの別紙 1 を御覧ください。豚について新たに基準値を設定するとともに、ばく露評価において乳の摂取量の影響が大きく、 ADI を超過することから、検出限界を元に、 0.03ppm に基準値を引き下げる案としています。これらの基準値により、ばく露評価を行いますと、次の 8 ページの別紙 2 になりますけれども、 TMDI 試算により最もその割合が高い幼小児の場合で、 ADI 比は 65.5 %となっています。

 最後のページが答申案となります。事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○大野部会長 化学名や化学構造については、吉成先生からコメントで頂いていますね。

○事務局 表記に修正があったのですが、そちらのほうは修正済みです。

○大野部会長 分かりました。その辺について、先生方の御意見はありますでしょうか。

○尾崎委員 薬理活性の所ですが、 1 行目の「プロスタグランジンの合成を阻害することで」という所は、作用点がシクロオキシゲナーゼ、 COX で決まっていますので、「シクロオキシゲナーゼ (COX) 」がよいのかと思います。

○大野部会長 「プロスタグランジンの合成」の所を、「シクロオキシゲナーゼ (COX) を阻害することで」でよろしいですか。

○尾崎委員 はい。

○大野部会長 ありがとうございます。事務局のほうはよろしいですか。

○事務局 はい。

○大野部会長 ほかに、薬理作用、用途、そこまでについて御意見はありますでしょうか。宮井先生、よろしいですか。

○宮井委員 よろしいと思います。

○大野部会長 では、代謝の所ですが、今回は 2 回目ですので特に意見はないかと思うのですが、吉成先生から頂いたのは、代謝については特に記載されていません。測定対象物質の所で、代謝物 A が動物体内でできるのですが、それについては代謝速度が早いということ。それから薬理活性が未変化体の 10 分の 1 から 100 分の 1 ぐらいと推定されているということ。そういうことがあって、測定対象物質をケトプロフェンのみでいいという御意見を頂いています。私も同様に考えますが、先生方はいかがでしょうか。よろしいですか。安全性の面で、鰐渕先生からコメントはありますでしょうか。

○事務局 特にコメントは頂いておりません。

○大野部会長 分析方法、分析結果その辺りについてはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは基準値、新たに設定したのは豚の関係です。乳に関しても新たに設定したのでしたか。

○事務局 はい、 0.05ppm から 0.03ppm に引き下げています。

○大野部会長 はい、分かりました。いかがでしょうか。よろしいですか。 TMDI 比で一番摂取量が高い幼小児で 65.5 %ということですので、特に問題はないかと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、用途の所の薬理作用について修正がありましたけれども、修正されたものをもってこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○大野部会長 ありがとうございます、そのようにさせていただきます。

 次の品目の、農薬メタフルミゾンについて審議をいたします。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 資料 2-1 の、メタフルミゾンについて説明いたします。今回、 3 回目の審議となりまして、前回は平成 24 7 月に御審議いただいています。今回は農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準設定依頼があったことから、御審議をお願いするものです。本剤はトリフルオロメトキシフェニル環を有する殺虫剤です。昆虫等の神経細胞の Na イオンチャンネルに作用することにより、神経系の情報伝達を阻害し、殺虫効果を示すものと考えられています。構造式、物性等については記載のとおりです。 2 ページより適用の範囲及び使用方法をお示しています。今回の適用拡大申請のあった作物名を四角で囲っています。

 続いて 5 ページの作物残留試験ですが、分析法については記載のとおりです。試験結果については、 10 ページの別紙 1 を御覧ください。今回、適用拡大のありました作物には、網掛けをしています。 6 ページに戻りまして、魚介類への推定残留量、畜産物への推定残留量、 ADI の評価、諸外国における状況については、前回の部会より変更はありません。

 また、 8 ページの基準値案ですけれども、食品安全委員会における暴露評価物質及び基準値案における規制対象物質についても変更はありません。基準値案は 12 ページの別紙 2 に示しています。こちらの基準値案により、暴露評価を行い、結果を 14 ページの別紙 3 に示しています。 TMDI 試算により最も高い幼小児の ADI 比は 45.7 %となっています。最後のページが答申案となります。

 続きまして、 ARfD に対する短期ばく露評価について説明します。本剤は食品安全委員会において、 ARfD の設定が開始されました昨年 6 月以前に評価が開始されており、 ARfD が設定されていません。そこで本年 3 月の部会で方針をお示しましたように、今回の基準値案により、短期摂取量の推定を行い、海外、 JMPR 及び欧米の ARfD を用いて確認を行ったところ、 EU ARfD に対して一部食品のメタフルミゾンの推定摂取量に超過が認められていました。 JMPR 、欧米の各機関で同様の試験結果を元に評価が行われていますけれども、 JMPR 及びアメリカの一般等のグループに対しては、単回投与による影響が認められないこと、急性神経毒性試験における最高投与量においても影響が認められないことなどから、 ARfD の設定不要と評価されています。

 また、アメリカでは、妊婦等の女性のグループに対してのみ、ウサギの発生毒性試験の結果より、 ARfD0.33mg/kg 体重が設定されていますけれども、今回の基準値案においては、 ARfD を超過する食品が認められていません。しかしながら、 EU では、妊婦等に限らず、一般のグループについて、ラットの発生毒性試験の結果より、 ARfD が設定されており、この ARfD に対して今回の基準値案により、短期ばく露評価を行いますと、一部の食品において ARfD の超過が認められています。 ARfD を考慮した残留基準見直しの進め方については、本日机上配布させていただいていますけれども、そちらの資料の最後の※の 2 ですが、国際機関等の ARfD を超過するおそれがあって、かつ残留の可能性が高いことが判明した場合には、速やかに ARfD を考慮して、見直しを進めるというように記載させていただいています。

 本事例については、 ARfD を超過する可能性は EU ARfD に対してはありますけれども、使用頻度などの残留の可能性については不明です。まだ、登録されていませんので、今後の使用になるかと考えています。現時点で、食品安全委員会に再度諮問して基準値の検討を行う必要があるかどうかについても御意見をいただきたいと存じます。

 再諮問の要不要に関わらず、基準値案等に関する審議については通常どおり進めていただき、現時点での基準値案について、 ARfD に関する点以外について問題がないか御審議いただきたいと考えています。事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○大野部会長 通常の残留基準値の設定、それから急性参照用量を含めた基準値の設定、大きくその 2 つの問題について御審議していただきたいということです。まず、通常の基準値の設定について御意見をいただいて、その後、急性参照用量に関わることをお伺いしたいと思います。よろしいでしょうか、それでは通常のやり方でいきたいと思います。これについては 3 回目の審議ということで、大体今までのところで審議がかなり尽くされていると思いますけれども、確認のためにもう一度チェックしていただきたいと思います。まず、用途、殺虫剤として、薬理作用その辺りについてはいかがでしょうか。

○尾崎委員 薬理作用の所ですけれども、「 Na+ イオンチャンネルに作用し、神経系伝達における情報伝達を阻害することにより、殺虫効果を示す」、この部分ですが、神経伝達における情報伝達を阻害することによりと表現をすると、シナプス伝達というイメージになってしまうような気がします。このメタフルミゾンですか、これは作用として伝達と伝導の区別がはっきりしていませんので、この部分、真ん中の「神経伝達における情報伝達を阻害することにより」という所を、削除したほうが正確かなという気がします。

○大野部会長 ほかの先生はいかがでしょうか。それでは、「昆虫の神経細胞の Na+ チャンネルに作用をし、殺虫効果を示すと考えられている」そのように簡略化するということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。そのようにさせていただきます。

 化学名、化学構造、物性その辺については、吉成先生は特にコメントはないですね。

○事務局 はい。

○大野部会長 用途の使用方法その辺りについては宮井先生、よろしいでしょうか。

○宮井委員 よろしいと思います。

○大野部会長 代謝の面で、これも以前審議したところですが、吉成先生からも、代謝物 D が構造式の「 E- 異性体」と書いてある所の、バソ結合のところで切れたのが代謝物 D というのですが、それが比較的残留しているのですね。キャベツやトマトやワタなどで 10 %以上残留しています。残留試験をやってみるとそれが一部の農作物で残留しているということで、測定対象物質に代謝物 D を含めるというような形になっていますので、それでよろしいという吉成先生の御意見ですが、私もそのように考えました。先生方はいかがでしょうか。

 それでは、毒性についても鰐渕先生から特にコメントはないですね。

○事務局 はい。

○大野部会長 分析方法、分析結果についてはいかがでしょうか。新しい何か問題はありますでしょうか。よろしいですか。

ADI を基にした基準値の設定についてはいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、 2 つ目の問題として、急性参照用量については食品安全委員会でも審議をお願いしたタイミングの問題から、急性参照用量が決まっていないということですけれども、それを今の時点で決めないで取りあえずこれで出すか、それとも急性参照用量を決めてから最終的な報告としたほうがいいのか、そういうことですか。

○事務局 はい。

○大野部会長 先生方の御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。これについては EU とか、そういう所で生殖毒性について、アメリカでもですか、気にしていると、 EU ではラットでの発生毒性の結果に基づいて、急性参照用量を設定しているということです。それを踏まえてちょっと、先生方の御意見がなければ私の御意見を申し上げてよろしいでしょうか。食品安全委員会のほうで急性参照用量を検討していませんので、一方で EU では発生毒性を基に急性参照用量を決めていると。その EU の設定値から見ると食物中の残留量が一部、場合によって急性参照用量を越える可能性があるというような試算が得られたという説明がありました。ということになると、特に急ぐことがなければ食品安全委員会に急性参照用量の設定をお願いして、その上でもう一度審議していただくことにしたらどうかと思ったのですが、何か問題はありますでしょうか。事務局は何かありますか。

○事務局 今のところ急ぐ理由は特に聞いていないのですが、確認しましてまた次回の部会のときに報告させていただくということでよろしいでしょうか。

○大野部会長 それでは、確認してくださるようお願いいたします。ほかに特に急ぐ必要があればまた審議をし直していただくことになるかもしれませんけれども、そのときはまたよろしくお願いいたします。

                                   ( 異議なし )

○大野部会長 どうもありがとうございました。

 次の品目は、農薬のシモキサニルについて、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局  3 剤目のシモキサニルです。資料 3-1 です。本剤はインポートトレランス申請と暫定基準の見直しについて御審議いただくもので、初回の部会です。シモキサニルは、殺菌剤として使用されておりまして、菌体内の呼吸系代謝機構及び DNA 合成機構に作用することで、菌糸の伸長及び胞子の発芽を抑制して殺菌効果を示すと考えられております。化学名、構造、物性については記載のとおりです。

 適用の範囲及び使用方法についてです。国内は 2 5 ページに記載しておりまして、 5 ページの下から 6 ページにかけて海外の使用方法を記載しております。 7 ページの作物残留試験についてです。分析対象は親化合物のみで、国内、海外の分析方法については記載のとおりです。作物残留試験結果については、 10 11 ページの別紙 1-1 に国内の作物残留試験の結果を記載しております。海外については、アメリカの試験を 12 16 ページの別紙 1-2 に記載しておりまして、 EU の試験については、 17 18 ページの別紙 1-3 に記載しております。

 ページが戻りまして、 7 8 ページにかけて ADI 及び ARfD の評価について記載しております。 ADI については、慢性毒性試験を基に 0.013mg/kg 体重 /day と評価されておりまして、 ARfD については発生毒性試験より 0.08mg/kg 体重と評価されております。

 諸外国における状況についてです。 JMPR による毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されておりません。その他の地域については、記載のとおりとなっております。

 基準値案についてです。規制対象は親化合物のみとしておりまして、食品安全委員会の暴露評価対象も親化合物のみと評価されております。基準値案は、 19 21 ページの別紙 2 に記載しております。これらの基準値案を基に長期暴露評価を行ったものが 22 ページの別紙 3 です。 EDI 試算により最も高い幼小児で、 68.4 %の ADI 占有率となっております。

 短期暴露評価については、 23 ページの別紙 4-1 に一般の結果を記載しており、 24 ページの別紙 4-2 に幼小児の結果を記載しております。いずれの食品においても ARfD を超過したものはありません。最後に 26 ページが答申案です。事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○大野部会長 これは、初回審議ということです。それでは、化学名、化学構造、物性の辺りについて吉成先生からは、いかがでしたでしょうか。私の頂いているメモでは、吉成先生の意見は、動植物とも分解的代謝を速やかに受けるようですので、特に問題はないと思いますというところです。物性、化学名について、先生方から御意見はございますか。よろしいですか。用途と薬理作用の辺りについては、いかがですか。よろしいですか。代謝の面ですが、吉成先生は特に問題ないのではないかということです。私が見ましたところでも作物中で残留するものは、ほとんどが親化合物で、中には代謝物 H は出ることがありますが、これは非常に低分子化したもので毒性学的には特に問題はないのではないかと思いました。そういうことで親化合物だけの追跡でよろしいのではないかと思いました。今までのところで先生方から御意見はございますか。よろしいですか。安全性の面から鰐渕先生から御意見はございましたでしょうか。

○事務局 特にないです。

○大野部会長 若干、私が見たところで催奇形性が特定の用量で出ていますが、それは慢性毒性という意味での ADI を決める際には、それよりは高い用量であったということで問題ないかと思いました。ただ、急性参照用量を求めるときにはウサギ発生毒性の結果に基づいて決められておりまして、これはウサギで口蓋裂が出るのですが、それが NOAEL 8mg/kg 、それの安全係数を考慮して 0.08mg/kg ということで、これについては妥当だと思いました。今までのところで先生方から御意見はございますか。よろしいですか。

 分析方法、分析結果についてはいかがですか。既に先生方に御意見いただいて必要な所は修正されているとは思います。よろしいですか。基準値と国際的な整合性についてはいかがですか。全体を通して御意見はございますか。よろしいですか。それでは、これについては修正はありませんでしたが、この事務局案をもってこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○大野部会長 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。

 それでは、次の品目の農薬のフェノチオカルブについて御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いします。

○事務局  4 剤目のフェノチオカルブです。資料 4-1 です。本剤は暫定基準の見直しについて御審議いただくもので、初回の部会です。フェノチオカルブは殺ダニ剤として使用されており、生体内で変化したスルホキシドが酵素等をカルバモイル化し、種々の代謝経路を阻害することにより効果を示すと考えられております。化学名、構造式、物性については記載のとおりです。 2 ページです。適用の範囲及び使用方法です。本剤は国内においてみかんのみ農薬登録がなされており、その使用方法を記載しております。

 その下の作物残留試験についてです。分析対象は親化合物と代謝物 B D I です。分析方法については記載のとおりです。作物残留試験の結果については、 5 ページの別紙 1 に記載しております。一部の作物残留試験について代謝物の残留試験が行われておりますが、いずれの代謝物におきましても親化合物の残留に比べ十分低い値となっております。

 ページが戻りまして、 3 ページに ADI 及び ARfD の評価結果を記載しております。 ADI については、慢性毒性試験を基に 0.015mg/kg 体重 /day と評価されておりまして、 ARfD については繁殖試験を基に 0.13mg/kg 体重と評価されております。

 諸外国における状況についてです。 JMPR による毒性評価がなされておらず国際基準も設定されておりません。また、主要 5 か国地域についても基準値は設定されておりません。

 基準値案についてです。代謝物の残留が親化合物と比較して十分低いことから、規制対象は親化合物のみとしておりまして、食品安全委員会の暴露評価対象も親化合物のみと評価されております。基準値案については、 6 ページの別紙 2 を御覧ください。これらの基準値案により長期暴露評価を行いましたものが、 7 ページの別紙 3 です。 TMDI 試算により最も高い幼小児で 4.1 %の ADI 占有率となっております。短期暴露評価については、 8 ページの別紙 4-1 に一般の結果を記載しており、 9 ページの別紙 4-2 に幼小児の結果を記載しております。いずれの食品においても ARfD を超過したものはありません。最後に 11 ページが答申案です。事務局からの説明は以上です、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○大野部会長 これについても初回審議ということです。順を追って審議をお願いいたします。まず、化学名、化学構造、物性についてです。これについて吉成先生からのコメントは特にありません。先生方から、これについて御意見ございますか。よろしいでしょうか。用途と薬理作用の辺りの表現はいかがですか。私が少し気になった所は「チオカーバメート系の殺ダニ剤である」と、その次の文章で、生体内で変化したスルホキシドが酵素等をカルバモイル化しと、少し表現が変な感じがして、生体内で変化したというように、親化合物から変化して生成するスルホキシドということですが、生体内で生成したというのではまずいでしょうか。では、これを生体内で生成したと変更してくださるようお願いいたします。そのほかございますか。よろしいですか。

 体内動態、測定対象物質に関わることです。吉成先生は、フェノチオカルブについて、ラットでは親化合物は認められず様々な代謝物ができますが、最終的で排泄量の多い代謝物は極性代謝物で毒性的に問題とならないと思います。また、植物では親化合物がほとんどで作残試験でも代謝物の残留がほとんど認められませんということです。そういうことで測定対象物は親だけでいいという結論です。

 私が検討して見たところも同じでして、作残試験の結果が今日の報告書の案の 5 ページに記載されていますが、植物体内で検出された代謝物 B D I について、一緒にみかんについて測っていますが、親化合物では幾つか検出されていますが、代謝物については検出されないか、検出されたものでも親化合物と比べて 10 分の 1 以下であるということですので、測定対象物は親化合物だけでいいと思いました。先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。安全性の面で鰐渕先生からコメントはありましたか。

○事務局 特にないです。

○大野部会長 安全性の面で ADI の設定と急性参照用量の設定、皆さんよろしいでしょうか。この分析方法と分析結果、その他について御意見はございますか。よろしいですか。基準値と国際的整合性の辺りについては、いかがですか。 ADI 比で 4.1 %以下であるということ、急性参照用量との比較でも、せいぜい 10 %であるということです。よろしいですか。全体を通して御意見はございますか。特にないようでしたら、先ほど薬理作用の所で若干修正していただきましたが、修正していただいたものをもってこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○大野部会長 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。

 次は、農薬のメソトリオンについて御審議していただきたいと思います。事務局から資料の説明をお願いします。

○事務局  5 剤目、メソトリオンです。資料 5-1 を御覧ください。本剤は関連企業からインポートトレランス申請がなされたことに伴い御審議いただくものです。今回が 2 回目の審議です。本剤はトリケトン系の除草剤で、カロチノイド生合成系に関与する補酵素、 4- ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼの活性を阻害することにより枯死させるものと考えられております。化学名、構造式及び物性についてはお示ししているとおりです。適用の範囲及び使用方法についてです。 2 5 ページの前半まで国内の使用方法を記載しております。 5 ページの後半から 6 ページまで海外での使用方法を記載しております。

 今回、インポートトレランス申請があった品目に関する使用方法については、海外での使用方法の 2 メソトリオン耐性大豆についてです。 7 ページの作物残留試験についてです。親化合物メソトリオンと代謝物 MNBA を分析対象とした試験方法が取られております。 2 分析法の概要についてです。国内と海外の分析方法について示しております。 (2) 作物残留試験結果についてです。国内の作物残留試験結果については、 10 ページの別紙 1-1 、海外で実施された作物残留試験結果については、別紙 1-2 に示しております。

4 ADI 及び ARfD の評価についてです。 ADI の数値に関しては、前回御審議いただいた内容に変更はありません。今回、本剤については ARfD の評価がなされておりまして、 2 にその評価内容を示しております。マウスを用いた一般薬理試験の数値がカットオフ値以上であったことから、急性参照用量は設定する必要がないと判断したとされております。

5 、諸外国における状況についてです。 JMPR において毒性評価が行われ、 ADI が設定されております。国際基準は設定されておりません。諸外国におきましても、お示ししているとおりの基準値が設定されております。

6 、基準値案についてです。残留の規制対象を親化合物のメソトリオンとする案としております。作物残留試験において、代謝物 MNBA を対象とした試験が行われておりますが、いずれも定量限界未満とされており、毒性に関しても特に問題がないことから、規制対象をメソトリオン本体とすることとしております。規制対象に関しては前回、御審議いただいた内容に変更はありません。

(2) 基準値案についてです。 14 ページの別紙 2 です。今回、インポートトレランス申請があった品目については、 IT のマークを示しております。カナダの大豆の基準値 0.03 を参照する案としております。これらを基にばく露評価を行ったのが、別紙 3 です。 TMDI 試算において、最も高い幼小児において 4.8 %の ADI 占有率となっております。最後のページが答申案です。事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○大野部会長 これは、 2 回目の審議ということです。化学名、化学構造、物性について、特に吉成先生からコメントはないですか。

○事務局 特に問題のある対象物はないとコメントを頂いております。

○大野部会長 薬理作用、適用方法の辺りについては、いかがですか。問題はございませんか、よろしいですか。体内動態と残留するものについてです。今、説明がありましたが、吉成先生からは分解的代謝が主で、特に問題となる体内動態はないと思いますという御意見を頂いております。私が見たところでもほぼ同様で、代謝物の 3 が若干、らっかせいで多く出ているのですが、それについては特に問題になるようなものではないということ、全体として植物では親及び代謝物のいずれも可食部への移動、移行は少ないということがありますので、今までどおり親化合物のみの追跡でよろしいと思いました。 MNBA は特に問題ないと思いました。今までのところで先生方から御意見はございますか。よろしいですか。安全性の面で鰐渕先生からコメントはありましたか。

○事務局 特にございません。

○大野部会長 これについては、急性参照用量の設定の必要がないということです。少し気になったのが、急性参照用量の表現でマウスを用いた一般薬理試験の NOAEL が一番低かったということですが、今までは急性毒性試験の結果に基づいて決めていて、一般薬理の試験の結果はあまり採用していなかったように思ったのですが、これは、少しよく見ていなくて申し訳ないのですが、一般薬理試験で 500mg より上の用量では結構作用が出ていたのでしょうか。

○事務局 資料 5-2 の食品安全委員会の評価書の 64 ページに単回経口投与によって生ずる可能性のある毒性影響等ということで、表 58 に一覧表としてまとめられております。こちらに記載されております 3 種類の試験が、単回経口投与によって影響が生じる可能性がある試験ということで評価されております。今、申し上げました一般薬理試験は 2,000mg/kg 体重の投与で、投与による影響はなしとされております。

○大野部会長 ありがとうございました。場合によって一般薬理試験や機能に対する影響試験でも、ある程度、著明な変化が出た場合には急性参照用量設定の根拠とするということでよろしいですか。

○事務局 はい。

○事務局 事務局からもう少し補足いたします。一般薬理試験でも一般状態を見ている試験結果については、 ARfD の設定根拠として考慮することが比較的あるようです。一方、一般薬理試験でも、それ以外の特殊な条件下で薬理作用を見ているような試験については、通常はあまり採用しないという基本的な考え方があるようです。先ほど食品安全委員会の評価書の 64 ページを御覧いただきましたが、ラットについては先ほど申し上げたとおり NOAEL 2,000mg/kg 体重になっていますが、マウスですと 500mg/kg 体重となっていて、いずれも 500 というカットオフ値以上ということで、設定は不要という御判断のようです。

○大野部会長 先生から何か御意見、御質問はございますか。よろしいですか。今までのところで先生方から、ほかに御意見、御質問ございますか。

○佐藤委員 すごく細かいところなのですが、別紙 1-1 の注 1 に「最大残留量欄に記載した残留値は」とあります。確か案のときは最大残留量の欄があったと思いますが、今は消えていますので、脚注の書き方がおかしくなってしまったので、「 MNBA の残留値はメソトリオンに換算したもの、換算係数 1.38 」、そのような感じでよろしいのではないですか。

○事務局 修正いたします。

○大野部会長 ありがとうございました。ほかにございますか。分析方法、分析結果についてはいかがてすか。

○斉藤委員 表記上の問題でささいなことなのですが、 7 ページの国内の所、まず、 1 点目は、強塩基性陰イオン交換樹脂 (MAX) は、略語はこの表記でよろしいのですか。 HLB とか SAX の場合には、それぞれもう少し細かくジビニルベンゼン - Ν - ビニルピロリドン共重合体とかそういう表記なのですが、強塩基性陰イオン交換樹脂と言ってしまうと、いわゆる MAX とか MCX とは物が違うのですが、この部会ではこういう表記で通っていましたか、忘れてしまったのですが、樹脂と普通のカートリッジカラムとでは物が違うので。

○大野部会長 いかがでしょうか。私は分からないのですが、ほかの分析の先生からも御意見を頂ければ有り難いと思いますが、いかがですか。

○斉藤委員 要するに一般的な強塩基性陰イオン交換樹脂を意味しているのか、 Waters Oasis MAX を意味しているのか、どちらかという質問です。

○大野部会長 今は確認できませんか。

○斉藤委員 それは後ほどということで、もう 1 点ですが、ここの表記の所で、 2 行目なのですが、今の所で 1 行目から続くのですが、「グラファイトカーボンカラム、強塩基性陰イオン交換樹脂 (MAX) カラム又は」となっていますが、この読み方からするとグラファイトカーボンカラムを使った後に MAX か又は HLB どちらかを使うと読めてしまうのですが、そういう認識でよろしいのか、それとも本来「又は」の前に読点が 1 個あって読むのだという。例えば下の海外の所を見ますと、「又は」の前に読点が 1 個あります。そうすると、ここで確実に切れるのですが、「又は」の前に読点がないと両方、 MAX 又は HLB なのか、 MAX で一旦切ってから、要するにグラファイトカーボンと MAX を使う方法、それとは別に HLB だけを使う方法、どちらを読むのかということなのです。似たような表記は、シモキサニルの所の海外の所を見るとそこも、やはり「又は」の前は 1 個、読点が入っていてちゃんと切れるように書いてあるのでこれは問題ないのですが、今回のメソトリオンの場合には「又は」の前に点がないので、意味合いがこの文章だけでは少し読み取りづらいのですが、どちらですか。

○事務局 確認して再度、連絡させていただくということでよろしいでしょうか。

○斉藤委員 はい。

○大野部会長 それでは、斉藤先生に見ていただいて確認していただくということでいきたいと思います。ほかの分析の先生はよろしいですか。それでは、そのようにさせていただきます。ほかにございますか。基準値と国際的整合性の辺りについては、いかがですか。稲、玄米ですか、それについて加わったということですか。今回は大豆ですか、耐性の大豆に対する。

○事務局 今回インポートトレランス申請があったのは大豆の基準値に関してのみです。

○大野部会長 それでは、先生方から今までの所で追加の御意見、御質問がなければ、全体を通しての御意見を伺いたいと思います。いかがですか。よろしいでしょうか。それでは、分析方法の所の記述について事務局で確認して、それに基づいて斉藤先生に確認していただいたものをもって、この部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○大野部会長 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。

 本日の審議については一とおり終了いたしました。本日の審議結果の食品衛生分科会での取扱いについて事務局から説明をお願いします。

○事務局 分科会における取扱いについて記載されております横 1 枚の紙を御覧ください。平成 22 3 3 日に了承されました食品衛生分科会における確認事項に基づきまして、本日の部会で御審議いただきました農薬 3 剤、動物用医薬品 1 剤についての分科会での取扱原案を用意いたしました。本日、御審議いただきました品目のうちシモキサニル、フェノチオカルブ、メソトリオンについては、既に設定されている残留基準の一部改正に該当しますことから、区分 3 といたしました。また、ケトプロフェンについては、食品安全委員会での評価の結果に変更がないことから区分 4 としております。メタフルミゾンも評価の結果には変更がありませんので区分 4 とはなりますが、状況について確認して改めて対応について報告いたします。以上です。

○大野部会長 ただいま説明いたしました分科会での取扱いについての案ですが、それについて御質問、御意見はございますか。よろしいですか。特に御意見がないようでしたら、部会としてはそのような取扱いでよろしいかどうかということについて分科会長の承認を得たいと思います。よろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○大野部会長 それでは、事務局から今後の手続についての説明をお願いします。

○事務局 本日、審議いただきました農薬 3 剤、動物用医薬品 1 剤については、食品安全委員会からの通知を受けていますことから、何品目か修正が必要なものがありますが御確認いただいた修正版をもって部会報告書といたします。今後の手続につきましては、パブリックコメント、 WTO 通報、消費者庁協議等必要な手続を進める予定としております。

○大野部会長 そのほかに報告事項はありますか。

○事務局 ほかにはございません。

○大野部会長 次回の予定について報告をお願いします。

○事務局 次回の本部会の開催については、平成 27 6 3 ( ) の午後を予定しております。出欠につきましては、後日、確認いたします。また、詳細についても追って連絡申し上げます。最後に机上に配布しております委員必要事項連絡表は、会議終了後に係の者が回収いたしますので机上に置いたままでお願いいたします。

○大野部会長 それでは、以上をもちまして「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会」を終了いたします。どうも御協力ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省食品安全部基準審査課
03-5253-1111 内2921

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