ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会)> 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録




2012年10月30日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録

○日時

平成24年10月30日(火)14:00~17:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○出席者

委員

大野委員(部会長)、石井委員、斉藤委員、佐藤委員、永山委員、廣野委員、松田委員、宮井委員、山内委員、吉成委員、鰐淵委員

事務局

森口基準審査課長、横田課長補佐、茂野課長補佐、中西課長補佐、小川専門官

関係省庁

農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課 農薬対策室 峯戸松専門官、 薬事・安全企画班 関谷課長補佐

○議事

○事務局 それでは、定刻より少し早いですけれども、皆様おそろいのようですので、ただ今から薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会を開催させていただきます。
 本日は、お忙しい中をお集まりいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、尾崎委員、高橋委員、由田委員より御欠席なさる旨の御連絡を頂いておりますが、農薬・動物用医薬品部会の委員14名中11名の御出席いただいており、部会委員総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立いたしておりますことを御報告いたします。
 また、本日の部会において、新規の承認申請がなされた動物用医薬品を御審議いただくこととしておりますので、これらの剤の申請者との利害関係について各委員に対し事前の確認を行ったところ、該当される委員はいらっしゃらなかったことも併せて御報告させていただきます。
 なお、事務局で人事異動がございましたので、この場をお借りしまして御紹介させていただきます。春日でございます。
○事務局 春日でございます。よろしくお願いいたします。
○大野部会長 それでは、今日の農薬・動物用医薬品部会を開催したいと思います。
 まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○事務局 本日お配りしました資料は、まず、議事次第と配付資料一覧の1枚、さらに、委員名簿と関係省庁の出席者の名簿を付けた資料がございます。その後ろに座席表がございます。
 その後に、本日御審議いただきます7剤、それぞれの剤につきまして資料1-1、資料1-2というふうに資料7まで配付させていただいております。
 その後に「薬事法の規定に基づく動物用医薬品の使用の規制に関する省令改正について」として資料8。
 「動物用医薬品の残留試験と指標残留について」として資料9がございます。
 さらに、委員の先生、事務局、関係者席のみにお配りしております資料といたしまして、食品衛生分科会における確認事項の紙が1枚。
 そして、資料6の補足資料として、平成24年7月25日の部会で配付しましたカカオ豆の検査部位変更に関する資料が1部。
 さらに、資料9の補足としまして、コーデックス規格とWTOのSPS協定との関係の1枚紙。
 それから、黄色のカラー資料を1部配付しております。
 不足している資料等がございましたら、事務局までお願いいたします。
○大野部会長 それでは、審議に入りたいと思いますけれども、皆さん資料はよろしいでしょうか。
 本日は、平成23年11月18日と平成24年9月18日及び10月23日付で薬事・食品衛生審議会への諮問がされた農薬及び動物用医薬品7剤について御審議いただきます。なお、報告書の作成に当たりましては、皆さんに事前に資料を送らせていただき、いろいろコメントを頂いて修正したところでございます。どうもありがとうございました。
 それでは、議題の1としまして、食品中の残留農薬の基準設定の審議を行いたいと思います。
 まず、農薬ノルフルラゾンの審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、ノルフルラゾンについて説明させていただきます。資料1-1を御覧ください。
 今回の残留基準の検討につきましては、ポジティブリスト制度導入時に設定された暫定基準の見直しについて御審議いただくものです。
 「1.概要」です。本剤は、ピリダジノン系除草剤です。根から吸収されてカロテノイド生成を抑制することにより、除草作用を示すと考えられています。
 化学名及び構造式等については、その下に記載しているとおりです。
 「2.適用の範囲及び使用方法」についてです。本剤は、日本における農薬登録はありません。海外における使用方法は2~3ページの表にまとめてお示ししております。
 「3.作物残留試験」についてです。分析対象の化合物は、ノルフルラゾン及び代謝物Bとなっております。
 「?分析法の概要」です。試料からメタノールでソックスレー抽出し、n-ヘキサンで洗浄した後、ジクロロメタンに転溶します。TLCを用いて精製し、ガスクロマトグラフで定量します。
 この方法に基づきまして実施された作物残留試験の結果を、8~14ページまでの別紙1に記載しております。一番右の列にノルフルラゾンと代謝物Bの値をそれぞれ記載し、その1つ隣の列に合計した最大残留量を記載しております。
 「4.畜産物への推定残留量」の「(1)乳牛における残留試験」です。乳牛に対してノルフルラゾンの飼料中濃度を8、24及び80ppmにし、28日間飼料試験を行い、各組織に含まれるノルフルラゾンと代謝物Bの含有量を測定しました。また、乳については投与後、1、3、7、10、14、21、28及び31日後に搾乳し、ノルフルラゾン及び代謝物B含量を測定しました。結果につきましては表1を御覧ください。なお、米国において乳牛におけるMTDBは6.6ppmと評価されています。
 これらの結果から「(2)推定残留量」につきまして、表2でお示ししております。
 「5.ADIの評価」についてです。食品安全委員会では、イヌにおける6カ月亜急性毒性試験の無毒性量を安全係数100で除し、ADIを0.015mg/kg体重/dayとしています。
 また、マウスを用いた発がん性試験において、雄では肝細胞腺腫並びに肝細胞腺腫及びがんの合計が統計学的に有意に増加しましたが、そのメカニズムが遺伝毒性によるものであると示唆する証拠がないことから、評価に当たり閾値を設定することは可能であるとされました。
 「6.諸外国における状況」です。JMPRにおける毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されておりません。主要5カ国地域において調査した結果、米国においてアスパラガス、リンゴ等に、オーストラリアにおいてみかん、もも等に基準値が設定されています。
 「7.基準値案」についてです。残留の規制対象として、ノルフルラゾン及び代謝物Bとする案としています。なお、食品安全委員会においても、農産物及び畜産物中の暴露対象物質としてノルフルラゾン及び代謝物Bを設定しております。
 基準値案につきましては、別紙2を御覧ください。作物残留試験の結果から、別紙2にお示ししたとおりの基準値案となっております。
 これらの基準値案により暴露評価を行った結果が、6ページの表です。TMDI試算により一番高い幼小児で17.5%のADI占有率となっています。詳細につきましては別紙3を御覧ください。
 最後のページが答申案となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、化学名、化学構造、物性について吉成先生いかがでしょうか。
○吉成委員 問題ないと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 薬理作用、用途の辺りについて、いかがでしょうか。問題ないですか。
 尾崎先生からは特にコメントはございませんか。
○事務局 特にコメント頂いておりません。
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、体内動態、代謝物の辺りについて、吉成先生いかがでしょうか。
○吉成委員 動植物ともに一応、代謝物としてn脱メチル体(代謝物B)が出ますので、対象として親化合物と代謝物Bという点で問題ないかなと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。私も同様に考えております。
 今までのところで何かございますか。
 それでは、測定代謝物としてはノルフルラゾン及び代謝物Bということで問題ないだろうということでございます。
 次に、分析法、分析結果の辺りでいかがでしょうか。よろしいですか。
 毒性のところでは鰐渕委員、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 特に、書かれているとおりでいいかと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 食品安全委員会から引用したところが先ほど分かりにくかったようですが。
○鰐渕委員 腺腫があって、並びに腺腫とがんを足したものが増えていくということです。
○大野部会長 それから「遺伝毒性によるものであることを示唆する証拠がない」となっていますが、今までこういう表現でしたか。遺伝毒性によるものではないと思われるという表現だったかなと思ったのですけれども。食品安全委員会の報告を引用したところですので、あまり軽々として変えられないですけれども。鰐渕委員よろしいですか。
○鰐渕委員 言い回しの問題なので、引用しているのだったらそのままでいいかなと思います。
○大野部会長 分かりました、ありがとうございます。
 分析法、分析結果もよろしいですか。
 それでは、基準値と国際的整合性について、その他について御意見ございますか。
 それでは、全体を通して御意見ございますか。これは新規の審議品目ですが、特にございませんか。
 それでは、これについては修正すべきところはございませんでしたけれども、ノルフルラゾンの答申案をこの部会の答申とさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 それでは、次の品目、農薬フェンピラザミンについて御審議をお願いいたします。また、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、フェンピラザミンについて説明させていただきます。資料2-1を御覧ください。
 今回の残留基準の検討につきましては、農薬取締法に基づく新規の農薬登録申請があり、基準値設定について御審議いただくものです。
 「1.概要」です。本剤は、ピラゾリノン系の殺菌剤です。エルゴステロール生合成経路を阻害することにより、病原菌の胞子発芽管の伸長と菌糸生育に対する阻害作用を示すものと考えられております。
 化学名及び構造式については、下に記載しているとおりです。
 「2.適用の範囲及び使用方法」についてです。新規登録されたかんきつ、ぶどう、いちご、きゅうり、トマト、ミニトマト、なすについて表でお示ししております。
 「3.作物残留試験」についてです。分析対象の化合物は、フェンピラザミン及び代謝物Bとなっております。
 分析の方法です。試料にアスコルビン酸ナトリウム溶液を加え均質化した後、アセトン・水混液で抽出します。n-ヘキサンに転溶し、シリカゲルカラムで精製した後、ガスクロマトグラフ又はガスクロマトグラフ・質量分析計で定量します。
 または、同様に抽出し、ジビニルベンゼン-N-ビニルピロリドン共重合体カラムで精製した後、液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計で定量します。
 これらの方法に基づき、国内で実施された作物残留試験の結果について、別紙1にお示ししております。結果は5ページです。
 「4.ADIの評価」についてです。食品安全委員会では、ラットにおける2年間慢性毒性/発がん性併合試験の無毒性量を安全係数100で除し、ADIを0.12mg/kg体重/dayとしています。
 「5.諸外国における状況」についてです。JMPRにおける毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されておりません。主要5カ国地域のうち、EUにおいてぶどう、トマト、うり科野菜等に基準値が設定されています。
 「6.基準値案」です。残留の規制対象として、フェンピラザミンのみとする案としております。
 作物残留試験において、フェンピラザミン及び代謝物Bの分析が行われていますが、代謝物Bの残留量はフェンピラザミンと比較して十分低いことから、規制対象として代謝物Bは含めないこととしました。
 食品安全委員会による食品健康影響評価においても、農産物中の暴露評価対象物質としてフェンピラザミンを設定しています。
 基準値案は6ページの別紙2を御覧ください。作物残留試験の結果を基に、別紙2に示した基準値案をお示ししております。
 これらの基準値案により暴露評価を行った結果が4ページの表です。TMDI試算により一番高い幼小児で8.0%のADI占有率となっております。詳細については別紙3を御覧ください。
 最後のページが答申案となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございました。これについても新規ということでございます。
 それでは、まず最初に、化学名、構造、物性の辺りについて、吉成委員いかがでしょうか。
○吉成委員 特にありません。
○大野部会長 ありがとうございます。
 尾崎先生からのコメントも特にございませんか。
○事務局 頂いておりません。
○大野部会長 先生方からこの辺について御意見ございますか。よろしいですか。
 それでは、代謝と体内動態、代謝物について、吉成委員いかがでしょうか。
○吉成委員 フェンピラザミンでは動植物で今回測定されています代謝物Bというのが主要な代謝物になるのですが、3ページにありますとおり、Bの残留量が非常に少ないということで、このものに関しては規制対象はフェンピラザミンのみで良いのではないかと思います。また、この代謝物Bというのは構造から考えても、毒性、薬理作用は親化合物より弱いと思いますので、このとおりで結構かと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。私も同様に考えました。残るのは親化合物とBと、Cが若干残っていますけれども、Cは相対的に少ないと。Bについても今お話があったように、親化合物と比べてかなり低いということで、測定対象物に入れなくてもよろしいかと思いました。
 今までのところで先生方から何か御意見ございますか。よろしいですか。
 それでは、安全性、毒性の面で鰐渕委員いかがでしょうか。
○鰐渕委員 このとおりで結構かと思います。食品安全委員会の農薬評価書の方にいろいろ書かれていますけれども、まとめると発がん性が認められたけれども、遺伝毒性がないことから、この形でよろしいかと思います。
○大野部会長 ありがとうございました。先生方よろしいでしょうか。
 それでは、分析法と分析結果の辺りについてはいかがでしょうか。
 それでは、基準値と国際的整合性については、いかがでしょうか。松田委員お願いします。
○松田委員 3ページの「6.基準値案」の「(1)残留の規制対象」で「作物残留試験において、フェンピラザミン及び代謝物Bの分析が行われているが、代謝物Bの残留量はフェンピラザミンと比較して十分低い」と書かれています。この「十分低い」というのは、どのくらいのことを常に想定されているのかというのが質問で、実は今回、例えば5ページの別紙1のいちごは3.04がフェンピラザミンで、代謝物Bが1.26です。これでは40%ぐらいあるわけで、それを十分低いと言えるのかなと思いました。毒性がないからという理由であれば十分納得できるのですけれども、半分以下だったら十分低いんですよというのは、今まで半分以下でも入れたこともございますし、この「十分に低い」という文言はない方がいいかと思いました。
○事務局 修正させていただきます。
○大野部会長 ありがとうございます。それでは十分というところをとってくださるようお願いいたします。ほかに御意見ございますか。
 全体を通して御意見ございますか。
 それでは、今、若干修正がございましたけれども、修正したものをもって、この部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。
 次は、農薬アミスルブロムについて審議をお願いいたします。では、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、3剤目のアミスルブロムでございます。資料3-1を御覧ください。
 今般の残留基準の検討につきましては、農薬取締法に基づく適用拡大申請がなされたことに伴う基準値設定でございます。なお、前回は平成22年1月の部会で審議が行われております。
 「1.概要」ですが、スルファモイルトリアゾール骨格を有する殺菌剤であり、作用機構としましては、卵菌類のミトコンドリア内膜電子伝達系複合体?のQiサイトを阻害することにより、殺菌効果を示すと考えられております。
 化学名及び構造式等につきましては、記載のとおりでございます。
 「2.適用の範囲及び使用方法」でございます。今回、適用拡大申請がなされたカリフラワー、かぶ、かぼちゃ、すいか、いちじく、稲、しょうが、ねぎ、たまねぎについて、2~6ページにかけて四角で囲んで示しております。
 「3.作物残留試験」でございます。分析対象の化合物としてアミスルブロムについて分析が行われております。作物残留試験結果につきましては、9ページからの別紙1に記載してございます。
 「4.ADIの評価」でございます。ADIは0.1mg/kg体重/dayという評価になっております。この値は、前回の部会で御審議いただいたときと変更はございません。
 「5.諸外国における状況」でございますが、JMPRにおける評価はなされておらず、国際基準も設定されておりません。また、米国、EUにおいて記載のとおり基準値が設定されております。
 「6.基準値案」でございます。残留の規制対象をアミスルブロム親化合物のみと設定する案としております。食品安全委員会におきましても、農産物中の暴露評価対象物質をアミスルブロムのみと評価しており、これらの内容につきましても前回御審議いただいたときと変更はございません。
 次に、基準値案でございますが、12ページの別紙2を御覧ください。作物残留試験成績に基づき、登録有無の欄に「申」と記載してあります食品につきまして、基準値を設定あるいは変更しております。
 これらの基準値案により暴露評価を行いましたのが、13ページの別紙3でございます。TMDI試算によりまして一番高い幼小児で42.1%のADI占有率となっております。
 最後のページが答申案となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。これは3回目ですけれども、もう一度御審議をよろしくお願いいたします。
 用途と殺菌剤としての薬理作用は前回と変わりないですね。
 化学名、構造も変わりないですね。その辺りまで吉成委員、宮井委員、御意見ございますか。よろしいですか。ほかの先生方もよろしいでしょうか。
 代謝や測定対象物質についても、特に大きな問題はなかったかと思いますけれども、吉成委員よろしいでしょうか。特に私も今までの審議で問題があるとは思いませんでした。
 安全性のところではいかがでしょうか。
○鰐渕委員 これは腫瘍性はあるのですけれども、遺伝毒性がないということなので結構かと思いますが、その記載がこの部分にはないのですけれども、最近抜いているのかなという感じで、統一しているのだったらこのままでいいかなと思います。
○大野部会長 ここ数年は入れるようになったのではないかと思います。だから、私は入れたほうがいいのかなと思ったのですが。
○鰐渕委員 入れたほうがいいかなとは思いますが、何か抜けているかなという感じがしているのですが。
○大野部会長 腫瘍性がない場合は入れないことが多いですけれども、この場合は腫瘍性がラット及びマウスで出ていますよね。
○鰐渕委員 肝細胞腫瘍と前胃の腫瘍が出ていますね。その記載が抜けているかなと。
○大野部会長 食品安全委員会の報告だと、そのまま抜き書きできるような表現がないのですが、食品安全委員会の報告の54ページの一番上に、「肝細胞腺腫、前胃扁平上皮癌及び扁平上皮乳頭腫の発生機序は遺伝毒性メカニズムとは考え難く」何とかかんとかとありますが、そこでよろしいですか。
○事務局 追加で記載させていただきまして、修正したものを、また委員の先生に確認していただきたいと思います。食品安全委員会の評価書の53ページの下の「ラット及びマウスに認められた」から転記させていただきたいと思います。失礼いたしました。
○大野部会長 よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、分析法と分析結果については、いかがでしょうか。その辺も今までと変わりはございませんけれども、よろしいですか。
 それでは、基準値と国際的整合性、特に今回追加された部分を主に見ていただきたいと思いますが、全体としては幼小児でTMDI比で42.1%ということで、まだ余裕があるというところでございます。特に問題はないでしょうか。
 それでは、全体を通して御意見ございますか。よろしいですか。
 それでは、ADIの評価のところで食品安全委員会の報告から引用させていただくという修正がございましたけれども、それ以外は修正はありませんでしたが、それをもってこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 それでは、次も農薬で、シアゾファミドについての御審議をお願いいたします。
○事務局 農薬4剤目のシアゾファミドでございます。資料4-1を御覧ください。
 今般の残留基準の検討につきましては、農薬取締法に基づく適用拡大申請がなされたことに伴う基準値設定でございます。なお、前回は平成23年12月の部会で審議が行われております。
 「1.概要」でございますが、本剤はシアノイミダゾール系化合物の殺菌剤であり、ミトコンドリアの電子伝達系コンプレックス?のQiサイトを阻害することにより作用を示すと考えられております。
 化学名及び構造式につきましては、以下記載のとおりでございます。
 「2.適用の範囲及び使用方法」でございます。今回、適用拡大申請がなされた作物名、適用害虫名、使用方法につきまして四角で囲んで示しております。該当する作物は、こんにゃくいも、だいこん、あぶらな、もも、ネクタリンとなっております。
 「3.作物残留試験」でございます。シアゾファミド及び代謝物Bの分析が行われております。分析方法につきましては、試料からアセトニトリル又はアセトニトリル・水(4:1)混液で抽出し、オクタデシルシリル化シリカゲルカラム又はジビニルベンゼン-N-ビニルピロリドン共重合体カラムで精製した後、LC-MS又はLC-MS/MSを用いて定量する。
 代謝物Bにつきましては、換算係数1.49を用いてシアゾファミドに換算した値で示しました。
 結果につきましては、12ページからの別紙1に示してございます。一番右側のカラムに最大残留量を示しております。
 「4.ADIの評価」でございます。ADI値は0.17mg/kg体重/dayという評価となってございます。この値は、前回の部会で御審議いただいたときと変更はございません。
 「5.諸外国における状況」でございますが、JMPRにおける評価はなされておらず、国際基準も設定されておりません。米国、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドの結果につきましては、記載のとおりとなってございます。
 「6.基準値案」でございます。まず、残留の規制対象についてですが、一部の作物残留試験において、代謝物Bはシアゾファミドと比較して十分に低い残留量であったことから、シアゾファミド親化合物のみを設定する案としております。
 食品安全委員会におきましても、食品中の暴露評価対象物質をシアゾファミド親化合物のみと設定されております。この内容につきましても、前回御審議いただいた内容と変更はございません。
 次に、基準値案でございますが、16ページの別紙2を御覧ください。作物残留試験成績から、こんにゃくいも0.2ppm、だいこん類の根っこ0.3ppm、同じく大根類の葉っぱが25ppm、その他あぶらな科野菜20ppm、もも0.3ppm、ネクタリン1ppmと設定する案としております。
 これらの基準値案により暴露評価を行いましたのが17ページの別紙3でございます。TMDI試算によりまして、一番高い幼小児で23.3%のADI占有率となっております。
 最後のページが答申案でございます。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございます。これは、たしか5回目の審議だったと思います。一応一とおり御審議いただきたいと思います。
 化学名、用途、薬理作用、その辺は以前と変わりないと思いますが、何か御意見ございますか。斉藤委員、お願いします。
○斉藤委員 ちょっと前のところに戻ってしまって申し訳ないのですけれども、用途のところで「ミトコンドリアによる電子伝達系複合体」となっていますが、評価書の方は「ミトコンドリア内電子伝達系コンプレックス」と、この辺はどうでもいいと思うのですけれども、ただ、たまたま同じような表現だったので、先ほどのアミスルブロムと見比べてみると「ミトコンドリア内膜」となっていますが、この「膜」は要るのでしょうか。評価書の方は「膜」がないんです。膜と言ってしまうと膜だけの伝達系にとられないかなと、私は専門ではないので、それでいいと言うなら別に構わないですが、あえて評価書と違う表現をとられているので、そのあたりはいかがかと思ったのですけれども。
○大野部会長 アミスルブロムと比較してですね。
○斉藤委員 アミスルブロムの方は「ミトコンドリア内膜電子伝達系」と「膜」が入っているんです。
○大野部会長 前のアミスルブロムは特定してあったのだと思いますけれども。
 宮井委員、お願いします。
○宮井委員 シアゾファミドは前は電子伝達系のところが入っていなくて、単にミトコンドリアにおける電子伝達系を阻害するという記述だったと思いますが、それだとあまりにあっさりし過ぎてて、アミスルブロムを見たら複合体のことまで書いていたので、そこに電子伝達系複合体について入れてもらったのですけれども、記述をそろえて入れても構わないかと思います。もともとは「ミトコンドリアにおける」となっていたので、そのままにしておいたのですが。
○大野部会長 ありがとうございます。
 シアゾファミドの食品安全委員会の報告書の10ページでは、「ミトコンドリア内電子伝達系コンプレックス?のQiサイトの阻害」と書いてございますね。そういう意味では同じところですね。内膜というのは宮井委員が確認されたということですか。
○宮井委員 この2剤は作用が大体同じなんです。それでよろしいかと思うのですが。膜まで入れたほうがいいかどうかは確認していないので、それを確認して、もし、よろしいのだったら表現をそろえたほうがいいかと思います。
○大野部会長 先週送っていただいた資料には「膜」が入っていませんでしたね。それが「膜」が入ったというのは、誰かの御指摘で入れたのではないかと思いますけれども、その辺はいかがですか。
○事務局 尾崎先生より「ミトコンドリア内電子伝達系」だったところを「ミトコンドリア内膜電子伝達系」としたほうがいいのではないかということで御指摘いただきました。ここで先生方に御検討いただいて、必要であれば統一したほうがいいのではないかと思います。
○大野部会長 私のうろ覚えだと、ミトコンドリア内の電子伝達系は膜のところにずっとつながっていって、途中で分かれて、また戻るという電子の流れだったと思うのですけれども、そのところのQiサイトというのが多分、尾崎先生が確認されて膜部分だということだと思います。確認されての御指摘だったと思いますので、よろしいですか。
 では、アミスルブロムの表現と同じような形でシアゾファミドも修正するということでよろしいでしょうか。ほかの先生方もよろしいですか。それでは、そのように薬理作用のところは修正をお願いいたします。
 それでは、体内動態のところと測定対象物質のところは特に問題ないですよね。今さら変えられないというところもありますけれども。そういうことで分析対象物質も今までと同じであると。
 10ページで「代謝物Bはシアゾファミドと比較して十分に低い残留量である」と、ここも「十分」と書いてありますが、12~14ページのデータを見ると、大体10分の1前後かそれ以下だと思うので、これは「十分」と入れていいかなと思いますが、よろしいですね。では、これはそのままとさせていただきます。
 では、分析法と分析結果について、新たなコメントはございますか。よろしいですか。
 それでは、基準値と国際的整合性という意味では、いかがでしょうか。
○山内委員 16ページの上から5行目、6行目のだいこんのところで、根と葉の基準値を変えられるということが、今回はつかだいこんの申請から変わっているのですけれども、はつかだいこんの小ささと、だいこんの大きさを当てはめていいのかなと少し思ってしまうのですけれども、基準値が現行では低かったのが、現実に合わせて高目になっているのですが、分類の当てはめ方の考え方について教えていただければと思います。
○大野部会長 事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 今は即答できそうにありませんので、調べさせていただいてからでもよろしいでしょうか。
○大野部会長 では、今日できなければ、また後ででも分類についての考え方を教えてくださるようお願いいたします。
○事務局 承知いたしました。
○大野部会長 それから、さっき説明を伺いながら思ったのですけれども、9ページの「?分析法の概要」ですが、「代謝物Bについては、換算係数1.49を用いてシアゾファミドに換算した値で示す」と書いてありますね。ということは、12~14ページにわたる表の代謝物Bの値というのは、シアゾファミドに換算した値ということですか。
○事務局 こちらは換算後の値で示しております。
○大野部会長 そうすると、注に代謝物Bは換算した値で示すと書かなくていいのかなと。表にも書いておいたほうが親切だと思います。表だけしか見ない人は結構いますので。
○事務局 では、そちらも反映させていただくということで。
○大野部会長 注1に、そういうことを一文入れていただければと思います。
○事務局 では、換算後の旨を注1に追記させていただきます。
○大野部会長 よろしいでしょうか。では、そのように修正をお願いいたします。
 全体を通して御意見ございますか。
 それでは、薬理作用のところと、今の表の注の修正がございましたけれども、あと、だいこん類についての値をはつかだいこんの値から引っ張ってきていますが、それでよろしいのかどうかについての考え方を示していただきたいということがございました。だいこんの考え方について納得していただかないと、この値の設置というのはおかしくなることになりますが。
○事務局 農林水産省の方で農薬登録をするときに、だいこんの葉っぱ、だいこん類の根につきましては、はつかだいこんの作残試験成績により登録できる場合があり、それに併せて基準値を設定するというルールにしております。
○大野部会長 そうすると、今までもずっとそのようにやってきたということで、その根底となる考え方は示されていませんけれども、分類学上も同じ類に属するという考え方に基づいて、そうなったのだと思います。とりあえず、そのように運用されているということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかの先生方、何かコメントございますか。
 それでは、幾つか修正がございましたけれども、修正されたものをもって、この部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 次に、農薬ピリダベンについての御審議をお願いいたします。まず、事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料5-1を御覧くださいませ。ピリダベンの部会報告案でございます。部会は2回目で、昨年11月29日に適用拡大申請に伴う、トマトとその他スパイスについて御審議いただいたところですが、実はこちらはまだ告示が改正されていません。部会報告の後に在京大使館を対象に、規格基準が変わるときは推進会議で説明を行うのですが、その際に韓国からなすと、その他なす科野菜について、米国からホップについて基準値を削除しないでほしい旨の申し出があって、残留試験データの提供もありましたので、こちらを反映させて、再度報告させていただくことといたしました。まだ、告示改正がなされていないので、前回11月29日の分に上書きという形で報告させていただいております。ですので、今回の審議対象は、韓国からデータの提供があったなす、その他なす科野菜、米国からデータ提供のあったホップについて御審議いただくものでございます。
 「1.概要」です。ピリダベンは、ピリダジノン骨格を有する殺虫剤です。ミトコンドリア内膜電子伝達系コンプレックス?を阻害し、呼吸系をかく乱することによりハダニや害虫に対し殺虫効果を示すものと考えられています。
 化学名、構造式及び物性は、御覧のとおりでございます。
 「2.適用の範囲及び使用方法」でございます。今回追加となった箇所は5ページの「(2)海外での使用方法」の「?60%ピリダベン水和剤(米国)」からのホップ。続きまして、7ページの「?20%ピリダベン水和剤(韓国)」からの追加でございます。
 また、一部修正がございまして6ページの「?250g ai/Lピリダベン水和剤(オーストラリア)」において、ぶどうの適用病害虫名が「ヒメハダニ」になっていますが、「ブドウヒメハダニ」となります。後で修正させていただきます。
 続きまして、「3.作物残留試験」です。分析対象化合物をピリダベン親化合物としており、分析法の概要は御覧のとおりでございます。
 作物残留試験結果は、11ページからの別紙1-1、海外の結果については、15ページからの別紙1-2に記載してございます。
 「4.畜産物への推定残留量」でございます。こちらは前回の御審議いただいた内容と変更はございません。
 「5.ADIの評価」でございます。食品安全委員会は、0.005mg/kg体重/dayと評価しております。安全性等につきまして、前回、鰐渕委員から特に遺伝毒性等を含めて問題はない旨説明いただいているところでございます。
 「6.諸外国における状況」です。JMPRにおける毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されておりません。諸外国における使用状況等は、御覧のとおりでございます。
 「7.基準値案」でございます。残留の規制対象をピリダベンとする案としてございます。
 家畜残留試験においてピリダベン、代謝物を分析対象として、アメリカにおいては規制対象としていますが、代謝物Fは検出されておらず、代謝物Eは検出が肝臓のみに限定されること、いずれの代謝物ともMTDBを考慮した場合の畜産物中の推定残留量は、定量限界未満と推定されることにより、親化合物のみを規制対象と設定しました。
 また、食品安全委員会による健康影響評価においても、親化合物のみを設定しています。
 基準値案でございます。16ページの別紙2のとおりでございます。今回の追記分は、その他のなす科野菜と、17ページのホップのところでございます。
 これらの基準値案より暴露評価を行ったものが19ページでございます。EDI試算におきまして、一番高い幼小児で72.6%のADI占有率となっております。前回の部会報告では71.4%と報告させていただいております。
 これらを踏まえました答申案は、最後の21~22ページでございます。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございました。これは、この部会で審議して、最終的に告示する前にコメントがあって、それについて修正するということですね。
○事務局 そのとおりでございます。
○大野部会長 そういう意味では、これについて十分に先生方に御審議していただいて、あと追加ということでございますので、追加分についてだけ審議していただきたいと思います。
 先ほどの薬理作用のところで「内膜」を加えたのは、尾崎先生からのコメントがあったのですか。
○事務局 いえ、頂いておりませんが、先ほどのお話の内容で入れた方がよいのかと思ったのですが、どうでしょうか。
○大野部会長 コンプレックス?が内膜にあるというのも間違いないと思うのですけれども、確認したほうがよろしいのではないかと思います。
○事務局 確認させていただいて修正するか、前回御了解いただいているので、このままにするか、どちらかだとは思いますが。
○大野部会長 前のコンプレックス?については、尾崎先生に確認していただいたということで修正されましたが、これについては一応確認しておかないと。
○事務局 分かりました。では、内膜かどうかを確認させていただきます。あと「コンプレックス?」も「複合体?」とするほうが前に合うかなと思いますので、その辺り確認させていただいて修正いたします。
○大野部会長 そういうことでよろしいでしょうか。では、そのようにさせていただきます。
 それから、新たにホップとなす、その他のなす科野菜について付け加えるということで、先生方から何かコメントございますか。よろしいでしょうか。TMDI比では80%を超えていますけれども、EDI比でやると72.6%ということで、基準を超えていないということでございます。
 永山委員、お願いいたします。
○永山委員 非常に細かいことで恐縮なのですが、「?分析法の概要」のC18カラムですけれども、今は18は下付で記載していますので、表記だけの問題ですけれども修正していただければと思います。
○大野部会長 そうですね、前回も修正していただきましたね。ありがとうございます。では、そのように修正をお願いいたします。
 ほかに全体を通して御意見ございますか。吉成委員お願いいたします。
○吉成委員 私も非常に細かいところで申し訳ないのですけれども、1ページ目の化学名でCASのほうですが、「thio」の後の]ですが、ここで切れるのはちょっと見栄えが悪いと思いますので、「methyl]」ぐらいで改行していただいて、「thio」を2行目に持っていっていただければと思います。
 それともう一点ですが、これも見栄えだけの問題ですけれども、8ページに代謝物EとFの構造があるのですけれども、もし、お時間があればで結構ですが、特にピリダジノン骨格のNのところが実際に線の上に重なっていることもありますし、1ページ目の構造式の書き方とあまりにも違いますので、できれば1ページ目の様式に従って書いていただければと思います。ベンゼン環なども略した書き方ではないほうがいいのかなと思います。
 以上2点をできればお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございます。私もちょっと気になりました。最初「+」かなと思いました。これは修正できますか。
○事務局 何とかします。
○大野部会長 よろしくお願いいたします。私もちょっと雑な感じがしました。
 ほかに先生方からコメントはございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、幾つか修正がありましたし、また、確認していただいた上で問題がなければ修正するというところもございました。そういった必要な修正を行うということで、このピリダベンの答申案を、この部会の答申とさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 それでは、次の農薬イミダクロプリドについての御審議をお願いいたします。では、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 6剤目のイミダクロプリドでございます。本剤につきましては、基準値を設定しておりますカカオ豆の検査部位を「豆(外皮を含まない)」に変更することについて御審議をお願いするものでございます。カカオ豆の検査部位につきましては「外皮を含む豆」と規制しているものを、食品安全委員会での評価が終了したものから順次「豆(外皮を含まない)」に変更していくことを7月部会で御説明したところです。参考といたしまして、そのときの資料を机上配付させていただいております。
 このたびイミダクロプリドについて食品安全委員会に検査部位の変更に係る評価依頼を行いまして、検査部位の変更について、ヒトの健康に悪影響を及ぼすおそれは認められないとの評価結果が得られたため、検査部位を変更することについて御審議をお願いするものです。
 本剤は、クロロニコチル系殺虫剤です。平成22年4月6日にEUの基準値を参照して、カカオ豆に0.05ppmの基準値が設定され、既に告示されております。前回は平成23年4月に部会で御審議いただいております。
 その際の部会報告書と今回の変更点でございますが、まず、22ページの「3.作物残留試験」の「(1)分析の概要」の「?分析法の概要」につきまして、前処理カラムの記載について斉藤委員からのコメントにより「ケイソウ土カラム」から「多孔性ケイソウ土カラム」に修正いたしました。
 続きまして、43ページの別紙2でございますけれども、カカオ豆の基準値に「※」を付け、下に「※カカオ豆の基準値については、外皮を含まないものに適用するものとする」と追記いたしました。
 また、カカオ豆の作物残留試験実施国に誤記があったため、「ドイツ」に修正いたしました。本試験は、ガーナで分析試料を調整し、ドイツで分析されたものです。
 そして、46ページの参考「これまでの経緯」に、食品安全委員会への評価依頼、それから、今回の農・動部会等につきまして追記いたしました。
 そして、最後のページの答申案のカカオ豆のところに「外皮を含まない」を追記いたしました。
 事務局からの説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。これについては、カカオ豆の御説明がありましたように、外皮を含まないということについての御審議をいただきたいと思います。いかがでしょうか。最近はカカオ豆の外皮を含まないという形でいろいろ修正がなされていますので、それと同じラインでの修正ということで御了解いただけますでしょうか。
 それから、分析法のところで斉藤委員のコメントで若干修正があったということでございますけれども、それについて、ほかの分析の先生方はよろしいでしょうか。それでは、そういうことでいきたいと思います。
 ほかに全体を通して御意見ございますか。吉成委員、お願いします。
○吉成委員 作残試験の結果が載っている35ページの別紙1-2の表なのですが、「6-CAN法」という方法は、後ろの注釈を見みますと、親化合物と6-クロロピリジル基を有する代謝物を含んで測定しているようなのですが、この測定は22ページの3の「?分析法の概要」で行われた結果なのですか。(2)には別紙1-2を参照と書いてありますので、(1)を使って測定したのかなと思ったのですけれども、(1)ですと親化合物だけを分析対象としているように思えたのですが、別紙1-2では6-クロロピリジル基を有する代謝物ということで、かなり複数をまとめて測定しているようなのですが。多分何かの処理によって全部ピリジルに落としてまとめて測定しているのかなと思うのですが、22~23ページの畜産物のほうでも代謝物と併せて測定しているのですけれども、この6-クロロピリジル基を有する代謝物をどのように測定しているかというのが、この文章からだと見えなかったのですけれども、通常は代謝物の測定方法も対象のところに入っているべきなのかなと思ったのですが、いかがでしょうか。
○大野部会長 最初の方の27~34ページまでは、イミダクロプリド単独で測っているわけですね。それについての報告が22ページの分析法の記載なのですか。CAN法について含んだような表現になっているかどうかということですが、分析の先生方いかがですか。引っくるめてしまってよろしいのかどうか。いろいろ代謝物がM1、M2、M3がこれに含まれていますね。いかがでしょうか。
 海外作物残留試験一覧表という別紙1-2が審議に重要かどうかですね。基準値設定において関係なければ要らないわけですね。米国でもいろいろ使っていますね。別紙2を見ると、いろいろな諸外国の測定結果、特にアメリカでの測定結果に基づいて設定しているところもございますね。そうすると、これを省くわけにはいかないですね。今まで日本でこれから測定してもらうときの方法は、概要については答申の中に書いてあるわけですね。参考にした分析結果、その分析の根拠となった方法についても、ここに書いたかどうかですね。
○永山委員 海外での作物残留試験の報告書で、その試験法に詳細に書いてあれば確認はとれると思いますが、そこに書いていないと分からないです。その確認ができれば、この中に含まれる方法なのか、それとも別の方法なのかという確認はとれると思います。
 また、基準値の設定のところでは、海外の基準値よりも低い数値が当てはめてありますので、多分、両方一緒に測った分は除いた、本体としての数値に換算しての基準値を設定していると考えられます。ただ、試験法そのものについては、大元の作物残留試験を確認しないと、ここでは分からないです。
○大野部会長 海外の方法が分かった場合には、今まで入れていましたか。
○永山委員 分かった場合には入れていました。
○大野部会長 斉藤委員、いかがでしょうか。
○斉藤委員 吉成委員の御指摘は、実は事前に読んでいて気にはなったのですが、分析法の概要を見ますと、A法、B法、C法と3つ挙げてありまして、簡単に言うとUVのLCで測定する、それから、もう一つの前処理が違っているLCのUV、最後がLC/MSを使っているので、恐らく代謝物が数種類があるのはLC/MSを使ったのだろうなと勝手に理解してしまって、あとは換算係数を使って合計したのだろうと、そこは疑問を持たずに飛ばしてしまいました。だから、この作残データを出すに当たった方法が最後のLC/MSだったら、なお、この代謝物については最後のLC/MSを使った方法だとどこかに明記すればよろしいかなと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
○佐藤委員 あと、もう一つややこしいのは、43ページに規制対象が違うと書いてあるんです。ちょっと資料がないので分からないのですけれども、「国際基準又は海外基準を参照した際は、規制対象の違いを考慮し、係数0.7を掛けた値を基準値案とした」とありますので、分析法と規制対象が根本的に違うのかなということだと思います。
○大野部会長 今、佐藤委員がおっしゃったのは、イミダクロプリドだけではなくて、クロロピリジル基を有する代謝物M1、M2、M3も含んだものですか。
○佐藤委員 それは海外のresidue definitionを見てみないと分からないですけれども。
○大野部会長 これに0.7を掛けるという根拠はいかがだったのですか。
○事務局 本剤につきましては検査部位の変更だけでしたので、前回の資料とほぼ同じもので部会にかけさせていただきまして、検査方法などの細かいところまで精査ができてございません。ですので、検査方法についてもう一度調べまして、記載を改め、先生に御確認いただくということでいかがでしょうか。
○大野部会長 そういったことでいかがでしょうか。分析法を確認していただいて、先生方に見ていただくということがあると思いますけれども、よろしいでしょうか。それでは、分析方法について、海外のものが確認できたら委員の先生方にも見ていただくと。それから、係数を0.7にした根拠についても併せて説明いただければありがたいと思います。そういうことでよろしいでしょうか。この案については、分析法について結構な修正がある可能性がございますけれども、修正した案について、また先生方に確認していただいて、よろしければ答申とするということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
○基準審査課長 0.7掛けでいいのかとか、規制上かなり大きな話がありますので、先生方に修正したものを見ていただいて、場合によっては再度審議もあり得るということのほうがよろしいかなと思いますが、いかがでしょうか。それがあまり大した話でなければ、先生に見ていただいて御納得ということであれば、あとは書面での確認で結構だと思いますが。
○大野部会長 今までも十分に検討した上で0.7という値を持ってきたと思いますので、まず間違いないと思いますけれども、もし、大幅に違う場合にはまた御審議していただくということで、よろしくお願いいたします。
 それでは、今日の最後の品目でございますけれども、鶏大腸菌症生ワクチンの御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いします。
○事務局 それでは、7剤目の鶏大腸菌症生ワクチンです。資料7-1の部会報告書案を御覧ください。
 今般の残留基準の検討につきましては、薬事法に基づく動物用医薬品の承認申請がなされたことに伴い、御審議をいただくものでございます。
 「1.概要」ですが、本剤は鶏大腸菌血清型O78 AESN1331株を主剤とする生ワクチンであり、その用途は鶏大腸菌症の予防となっております。
 適用方法及び用量は、日本薬局方の生理食塩液を用いて1,000羽当たり100~300mLに溶解し、3~4週間隔で2回噴霧するというものでございます。
 諸外国における使用状況については、本製剤と類似の鶏大腸菌弱毒生ワクチンが米国及び欧州等において使用されているということでございます。
 「2.食品健康影響評価」ですが、製造用株は、鶏に対する病原性発現に関与するとされている親株のcrp遺伝子を欠損型のΔcrp遺伝子に置きかえて作出されたもので、その塩基配列はすべて大腸菌由来であること、自然状態において一定の頻度でcrp遺伝子の欠損変異株が分離されることが報告されていることから、製造用株において遺伝子を置きかえることに起因する安全性上の新たな懸念は生じないものと考えられております。
 また、大腸菌の血清型O78において、鶏大腸菌症由来株とヒトの毒素原性大腸菌感染症由来株との間でH抗原や病原性遺伝子の保有パターンが異なるとの報告があること、製造用株はヒトの病原性大腸菌の病原性遺伝子を保有していないことから、ヒトに対する病原性大腸菌には相当しないこと、製造用株は親株より鶏体内への定着性が減弱しており、ヒナに2回噴霧した場合でも投与4日後には消失することが認められていることから、製造用株はヒトに対して病原性を示さないものと考えられております。
 さらに、製造用株の病原性復帰は認められないこと及び性状は安定であることが確認されております。
 また、本製剤の安定剤として用いられている添加剤については、物質の使用状況、既存の毒性評価及び本製剤の投与量を考慮すると、本製剤の含有成分の摂取による健康影響は無視できると考えられております。
 以上のことから、本剤が適切に使用される限りにおいては、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えられると結論付けられております。
 「3.基準値の取扱い」ですが、先ほど御説明申し上げました食品安全委員会における評価結果を踏まえまして、残留基準を設定しないことにしたいと考えております。
 最後のページが答申案となりますが、「残留基準を設定しないことが適当である」とさせていただいております。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。
 用途、薬理作用の辺りで、特に尾崎先生からコメントはございませんか。
○事務局 特にございませんでした。
○大野部会長 ありがとうございます。
 宮井委員、何か御意見ございますか。よろしいですか。
 石井委員、何かコメントございますか。よろしいですか。
 ほかの先生方、全体を通して御意見ございますか。この生ワクチンについては、毒性にかかわる部分が変異されていると。ヒトの大腸菌の病原性遺伝子を保有していないから、ヒトに対する健康上の影響はないのではないかということ。また、ヒナにまいても投与4日後には消失してしまうことから残留することもないことから、全体的にヒトに対する病原性については懸念がないという御説明だったかと思います。そういうことから、残留基準を設定しなくてもいいのではないかということでございます。細かいところでも御意見がありましたら、全体を通して伺いたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 それでは、この鶏大腸菌症生ワクチンの案を、この部会の答申とさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 それでは、本日上程された品目についての審議は終わりましたけれども、それについての食品衛生分科会での取扱いについて、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 食品衛生分科会における取扱いでございますけれども、「食品衛生分科会における確認事項」につきましては、1枚紙を用意させていただきました。農薬フェンピラザミンにつきましては、国内登録申請に基づく新規の残留基準設定でございますために「審議」ではいかがでしょうか。
 また、農薬ノルフルラゾン、ピリダベンにつきましては、設定されている残留基準の一部改正で区分4及び5に該当しないことから、区分3として分科会での取扱いは「報告」でいかがでしょうか。いずれも「ただし、その用途、毒性等から見て慎重に審議する必要がある」ということではないと思われます。
 農薬アミスルブロム、イミダクロプリド、シアゾファミドにつきましては、いずれも食品安全委員会での評価の結果に変更がないことから、区分4として分科会での取扱いは「文書配付による報告」でいかがでしょうか。いずれも「ただし、その用途、毒性等から見て慎重に審議する必要がある」ということではないと思われます。
 また、鶏大腸菌症生ワクチンにつきましては、残留基準を設定しないこととする可否に該当することから、区分5として分科会での取扱いは「文書配付による報告」でいかがでしょうか。
○大野部会長 ありがとうございます。
 ただ今御説明いただきましたけれども、食品衛生分科会での取扱いはそのような形でよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、分科会長の了解を得てということでございますけれども、問題がなければ、そのような形で扱わせていただきます。
 それでは、事務局から今後の手続についての説明をお願いいたします。
○事務局 本日御審議いただきました農薬及び動物用医薬品7剤につきましては、食品安全委員会からの通知を受けていることから、一部修正の上、御確認いただくものがございますが、修正・御確認いただいたものを部会報告書とさせていただきます。今後の手続につきましては、パブリックコメント、WTO通報、消費者庁協議等、必要な手続を進める予定といたしております。
○大野部会長 ありがとうございました。
 それでは、その他がございますので、それらの議事について事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 薬事法の規定に基づく動物用医薬品の使用の規制に関する省令改正について、農林水産省から厚生労働省へ意見聴取がなされております。この件につきまして、農林水産省担当者より御報告していただきたいと思います。
○農林水産省 農林水産省の消費・安全局畜水産安全管理課の関谷と申します。よろしくお願いいたします。
 事務局から御紹介いただきましたように、薬事法に基づく動物用医薬品の使用規制に関する改正の意見聴取をさせていただいたところでございます。資料8を御覧いただければと思います。平成24年10月26日付で意見聴取をさせていただいております。1枚めくっていただきまして、別紙で御説明いたします。
 牛、豚、馬等の食用動物に使う医薬品に関しましては、薬事法に基づいて使用の規制が定められております。ここに記載しておりますように、未承認医薬品あるいは動物用医薬品として承認のあるもの、それから、ヒト用として承認されている医薬品については、それを使用したときに動物の肉あるいは乳などの畜産物に医薬品等の成分が残留してヒトの健康を損なうことのないように、今申し上げた薬事法の使用の規制がかかるような仕組みになってございます。
 具体的には、(1)を御覧いただきたいのですが、まず、未承認医薬品の使用の禁止というのが定められております。こちらに関しては、薬事法で動物用医薬品は農林水産大臣、ヒト用の医薬品は厚生労働大臣が承認するということになってございますけれども、それらの承認を受けていないものに関しては、括弧書きで記載しているような、いわゆる食用の動物である対象動物への使用が禁止されております。
 ただ一方、例外がございまして、例えば、試験研究目的でそのような医薬品を使う、あるいは獣医師が診察に係る対象動物の疾病の診断・治療の目的で使用することは認めているところでございます。
 (2)は、動物用医薬品として承認を受けているものの使用規制でございます。こちらについても同様に、ヒトの健康を損なうおそれがある畜水産物が生産される可能性があるものについては、使用規制省令によりまして使用できる対象動物、あるいは用法・用量、使用禁止期間、と畜場に出荷するまでの期間ということですけれども、そういった使用者が遵守すべき基準が定められているところでございます。これにつきましても、先ほどの未承認の医薬品と同様に、獣医師の診療に基づく疾病の治療・予防に関しましては、使用基準によらない使用が認められていると、例外的な使用、特例使用と申しますが、それが認められております。
 (3)ヒト用医薬品の使用規制ですが、ヒト用医薬品というのは、ヒトに使用されることになるわけですけれども、ものによっては動物に適用外使用されるものがございます。そういったヒトの医薬品でも動物に使われる蓋然性の高いものに関しましては、同様に使用基準、使用規制がかけられるという仕組みになってございます。ただし、現在は当該基準については定められたものがないといった現状がございます。
 「2 改正の趣旨」でございますけれども、ヒトの健康に悪影響を及ぼす可能性がある医薬品等に含まれる化学物質について、国際的に食用動物への使用の禁止等が検討されてございます。具体的には、我が国の食品衛生法により検出されてはならないとされているものにつきまして、食用動物への使用の規制を強化しようということを考えてございます。もちろん、食用動物用の医薬品としては、そういった食品衛生法上、不検出のものについては承認されたものはないのですけれども、例えば、犬猫用の医薬品あるいは未承認のものが流用されないとも限りませんので、そういったところを担保するという意味の改正を考えております。
 ?は未承認医薬品について、?が動物用医薬品、例えば、犬猫用とか観賞魚用といったものが流用されることを制限する。それから、?がヒト用の医薬品についても食用動物に使われることによってヒトに危害が及ぶ可能性があるものを禁止していこうという改正内容になってございます。
 「3 改正の内容」として「(1)使用禁止特例省令」と書いてございますけれども、これは未承認医薬品のうち下に書いてございます13成分が現在、食品衛生法上検出されてはならないものでございます。これらすべてに関しまして未承認医薬品、獣医師が特例的に使用することも含めて禁止しようということでございます。
 「(2)使用規制省令」ですが、?が動物用医薬品として承認されているもの。これは、もちろん食用動物用の医薬品としては承認されていないものですけれども、クロラムフェニコールは犬猫用で認められたものがございます。ニトロフラゾン、マラカイトグリーンに関しましては、観賞魚用の医薬品が承認されてございますので、それらが流用されないようにということで使用を制限すると。
 獣医師が適用外使用、特例的に使用する場合には、完全に禁止ではないのですが、使用した場合にはその動物を食用に出荷しないようにということで、出荷禁止指示書というものを発行して、使用した動物がと畜されて食用に回されないようにするといった仕組みになってございます。
 ?のヒト用医薬品につきましても同様に、クロラムフェニコール、クロルプロマジン、メトロニダゾール、この3成分がヒト用で医薬品として認められていますので、それを食用動物に流用して使うということを制限するということで、こちらについても獣医師が特例的に使用することも制限して、先ほど申しましたように、もしやむを得ず使用した場合には、使用した動物を出荷しないでくださいということで、出荷禁止指示書を発行して食用にと畜することのないようにするといった内容でございます。
 こちらにつきましては意見聴取をさせていただきまして、今後、省令改正、官報掲載をさせていただきたいと考えてございます。
 後ろのほうには新旧対照表がついてございますが、先ほど御説明いたしました内容は、4ページの上が改正案ですが、未承認医薬品の使用を制限するというのは、別表と書いてありますところに具体的な成分が載ってございます。5ページにかけて13成分が対象になってございます。
 それから、動物用医薬品として承認のあるものに関しましては、12ページの左側の別表第3、クロラムフェニコールを有効成分とするもの。これは使用禁止用途として、食用に供するために出荷する動物への使用と書いてありますので、食用動物には使えないという意味になっております。
 とじ方が逆になってございまして見づらくて恐縮ですが、13ページに続きまして、ニトロフラゾン、マラカイトグリーンを有効成分とするもの。
 続いて、別表第4がヒト用に承認のあるもの。クロラムフェニコール、クロルプロマジン、メトロニダゾールの3成分が、やはり使用禁止用途として食用動物に使うことを禁止するという規定になっております。
 先ほど、獣医師が特例的に使用する場合には出荷禁止指示書を出しますという御説明をいたしましたけれども、それについては15ページにございますような出荷禁止指示書を発行しまして、その動物を食用に供するために出荷してはならないということを獣医師が指示するという仕組みになってございます。
 こちらからの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○大野部会長 関谷さん、どうもありがとうございました。
 先生方から御質問ございますか。直接は関係ないのですけれども、ちょっと気になっていたことがあるので教えてほしいのですが、今まで動物の疾病診断・治療・予防というのは、獣医師でないとやってはいけないと思っていたのですけれども、必ずしもそうではないのですか。この表現だと、獣医師がそういうことをやる場合には適用を受けないとされているから、獣医師以外にもやる可能性があると読めてしまうのですけれども。
○農林水産省 使用者が獣医師に限られるということで特に獣医師と特定しているということで、獣医師以外が診療できるということではないです。
○大野部会長 やはり獣医師以外が疾病診断等はやってはいけないということですよね。
○農林水産省 そのとおりでございます。
○大野部会長 こういう法律は私たちにも関係してくるので。実験動物の診断は獣医師ではないとだめだということを言っていた人がいて、実際はほかの人がやっていますよと指摘されたこともありますので、その辺は矛盾があるのですけれども。
○農林水産省 そこは獣医師法等で規定がございますが、これらの食用動物については、診療を業務として行うということに関しては獣医師の資格を持った者しかできないことになっていると思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 先生方から質問ございますか。永山委員どうぞ。
○永山委員 1つだけ確認といいますか、教えていただきたいのですが、これはいわゆる不検出基準が設定されている動物用医薬品だと思いますけれども、もう一つ食品衛生法の中では抗生物質と合成抗菌剤については含有されてはならないということがございますけれども、この辺については今回特に触れていないということなのでしょうか。
○農林水産省 抗生物質の方も含有されてはならない、不含有という食品衛生法上の規定ですけれども、今回は遺伝毒性や発がん性の観点から不検出になっているものを規制しようということでやっておりますので、すべての抗生物質に対してということでは今回は考えておりません。
○大野部会長 抗生物質関係で前に聞いた話だと、動物の中で検出されてはいけないとなっているけれども、天然に存在する抗生物質が含まれている可能性もあるのだと主張していることもあると。だから問題ないのだと主張している外国もあったかと思いますが、それは外国でも今規制されているのか、これから規制されるのか、どうですか。
○農林水産省 コーデックスでもいわゆるADIが設定できないような物質については、食用動物に使わないようにという規制をする方向で検討されていますので、国際的な流れとして行われていて、実際に米国等でも同様の取扱いがされているものでございます。
○大野部会長 検出されたとしても、それは元々天然であるからというような主張は、これからは認めないということですか。
○農林水産省 そこは検出されてはならないとされているものの実際の食衛法の取締りの際に判断されるのではないかと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 ほかの先生方、御質問ございますか。よろしいですか。では、関谷さん、どうもありがとうございました。
 その他で事務局から議題はありますか。
○事務局 続きまして、動物用医薬品の残留試験と指標残留について、農林水産省の担当者の方より御説明いただきたいと思います。なお、コーデックス規格とWTOのSPS協定との関係につきまして、御参考までに資料を机上配付させていただいております。
 では、御説明をよろしくお願いします。
○農林水産省 農林水産省動物医薬品検査所の小池と申します。本日は、資料9と黄色いカラーコピーでICPSと書かれた資料の両方を使って説明させていただきます。初めに資料9に沿って説明させていただきます。
 平成24年6月22日開催の当部会におきまして、「動物用医薬品の残留試験と残留基準値の設定について」といたしまして、本年1月に施行されました4つの動物用医薬品の残留試験のガイドラインについて説明させていただきました。しかし、残留試験での分析対象物質であります指標残留等について、委員各位の十分な御理解が得れませんでしたので、資料整備の上、再度説明となりましたことから、資料を再度整備いたしまして本日説明させていただくものでございます。
 初めに、動物用医薬品の残留に関しての概要、続いて、指標残留の設定の考え方、最後にMRLの設定に関係します休薬期間の設定について御説明させていただきます。
 1ページ下のスライドを御覧ください。用語です。こちらはコーデックスの定義で、本日説明させていただくものに関係したものを抜粋いたしました。総残留は、医薬品親化合物及びすべての化合物と、その医薬品由来の産物から構成されます。通常、放射性同位体で標識された医薬品を用いた試験から決定されることになります。
 指標残留とは、総残留の濃度と既知の関係をもって減衰する残留物であって、必要な感度で定量的に測定する特異的な分析方法が利用可能なものとなります。つまり、適切な分析方法があり、標準品が入手できることが必要となります。
 2ページの上のスライドを御覧ください。初めに、動物用医薬品の残留について説明します。これは、食用動物における動物用医薬品の残留について図示したものです。投与された動物用医薬品は、1つ目として、投与された動物用医薬品そのものである親化合物。2つ目として、薬理作用を示すことが明らかである代謝物である活性代謝物。3つ目として、薬理作用等を示すかどうか分からない活性未知の代謝物。最後に、組織との結合等により通常の残留分析法の条件では抽出されず、投与された動物から排泄されない結合残留の4つとして体内に残留いたします。これらの合計を通常、総残留と呼んでおります。結合残留を除く、親化合物、活性代謝物、活性未知の代謝物は排泄物として動物から排泄されることになります。
 下の図を御覧ください。こちらは、食用動物と実験動物の代謝の比較の図となります。右の実験動物においても、左の食用動物と同様、投与された動物用医薬品は、そのままの親化合物、活性代謝物、未知の代謝物、結合残留として体内に存在することとなります。そのため、ADI等の設定に使用される毒性試験では、実験動物は親化合物以外の代謝物にも暴露されることとなり、代謝物を含めた毒性が評価されていることとなります。
 毒性試験の結果から動物用医薬品が残留する食品の安全性を評価することになりますが、動物種が違うと代謝物が異なることがあるため、新有効成分を含む動物用医薬品では、比較代謝試験として実験動物の代謝の試験を行いまして、食用動物と実験動物の主な代謝物が同じかどうかを確認することとなりました。
 比較代謝試験の結果、主な代謝物が同じであれば、動物用医薬品を投与した食用動物由来の食品の摂取者が暴露されるものと、毒性試験の際に実験動物から暴露される動物用医薬品由来の物質、親化合物や代謝物などの合計が同じと考えられます。その場合には、毒性試験の結果から、動物用医薬品が残留する食品の安全性を評価することが妥当と判断できるものと考えられております。
 3ページの上のスライドを御覧ください。残留試験における分析対象である指標残留について説明いたします。これは、新しいガイドラインにおける指標残留の特徴です。
 1つ目は、指標残留と総残留の濃度の間に既知の関係があることです。これはコーデックスの指標残留の定義とも共通しておりますが、すべての時点で同じ比率であることは求められておりません。
 2つ目は、休薬期間付近での残留性を確認するために適切なものであることです。
 3つ目として、実用的な分析方法があることです。これもコーデックスの定義とも共通しておりますが、実用的な分析方法があることには標準品が入手できることなども含まれます。
 通常、親化合物の総残留がほとんどを占めることから、指標残留として親化合物が選択されることが多いと考えられます。なお、これらの考え方は、同じガイドラインを採用しております米国のFDAや、EUのEMAも同じでございます。
 下のスライドを御覧ください。この図は、指標残留の選択についての一般的な考え方を示したものとなります。最も多い例は、左側の親化合物が多い例となります。この場合、親化合物が指標残留として選択されます。日本ではアモキシシリンなど多くの化合物において、その化合物自体が指標残留として選択され、MRLの規制対象物質に設定されています。
 真ん中の親化合物と活性代謝物が多い場合には、親化合物と活性代謝物の両方が指標残留として選択されます。日本ではエンロフロキサシンとその代謝物であるシプロフロキサシンが指標残留として選択され、MRLの規制対象物質には両者の和が設定される例がございます。
 右側の活性代謝物が多い場合には、活性代謝物が指標残留として選択される場合があります。日本では現在、不検出とされている物質であるカルバドックスの分析対象といたしまして、代謝物であるキノキサリン-2-カルボン酸が選択されている例がございます。
 4ページの上のスライドを御覧ください。今まで説明いたしましたのは一般的なものでございますけれども、こちらは先ほどの例に当てはまらない物質の例外的な指標残留の選択の考え方となります。
 親化合物が複数の化合物で構成されているものであったり、その代謝物が多岐にわたるものであったり、親化合物や活性代謝物の残留量が非常に少なく、薬理活性等が明らかでないもの、結合残留が多い場合には、実用的な分析方法があるのか、入手可能な標準品はあるのかなどを考慮いたしまして指標残留を選定することとなります。このような薬理活性が明らかでない代謝物等についても指標残留とするという例外的な考え方については、米国のFDAやEUのEMAでも取り入れられております。
 黄色い「IPCS」と書かれた資料を御覧ください。こちらはFAOとWHOのEnvironmental Health Criteria 240のchapter8にあります、動物用医薬品のMRLの原文の抜粋となります。
 4ページ目を御覧ください。こちらの中にコーデックスやCCRVDF、JMPRやJECFAなどの略語が見られるように、この文章はコーデックスでのMRLの作成を反映したものとなっております。また、こちらには表示はありませんけれども、この文書は2009年に公表されたもので、ごく最近の新しい考え方を示したものとなっていることに御留意ください。
 6ページ目を御覧ください。黄色いマークのところが原則的なMRLの指標残留(マーカー残留)の設定の考え方が示されております。その中の赤でアンダーラインが示されている「However」以降ですけれども、指標残留はtoxicologicalやmicrobiological concern、要は、毒性学的な懸念や微生物学的な懸念が必ずしも必要とされないということが国際的な考え方としては示されてございます。
 資料9の4ページに戻っていただいて、下のスライドを御覧ください。これは上のスライドのように活性未知の代謝物や結合残留が休薬期間付近で非常に多く、これらが指標残留と選択された場合に、指標残留をMRLの規制対象物質として選択した場合を仮に想定したものでございます。
 親化合物に代謝物を加えたものを規制対象としたものについては、親化合物単独よりも代謝物の量を加えた分だけ高くなります。しかし、安全性につきましては、休薬期間付近で残留する量が多く、消失が遅い代謝物についても併せて測定し、消失を確認するため、同等以上の安全性は担保できているものと考えております。
 農林水産省としましては、動物用医薬品ごとに成分の特徴を踏まえ、安全性が担保できると思われるような指標残留を提案していきますので、動物用医薬品の御審議の際には、安全性が担保できると判断できる場合ですが、動物試験の3Rの原則に配慮していただいて、動物試験の追加実施が避けられるよう指標残留を規制対象物質として選択していただければと思っております。
 5ページの上のスライドを御覧ください。最後に、休薬期間の設定について説明させていただきます。
 新有効成分を含む動物用医薬品では、JECFAが推奨しております統計学的指標と同様な統計学的指標を用いて残留試験の実測値に基づいて、回帰直線を求め、最大許容濃度の上限を推定した上で、その値がMRL以下となる最初の時点を休薬期間としております。通常、畜体や卵では1日単位、牛乳では12時間単位で休薬期間を設定しているところでございます。
 MRL設定のための指標がお示しした統計学的指標と異なる場合には、設定されたMRLを遵守するためには休薬期間を延ばす必要が生じることもありますので、MRL設定に当たっては、動物用医薬品の休薬期間の算出に用いております統計学的指標を考慮いただければと考えております。
 下のスライドを御覧ください。上でお示ししました統計学的指標では3時点以上で残留濃度の実測値が必要ですが、消失が早く3時点以上の実測値が得られない場合や、統計学的指標で仮定したような直線的な消失過程を示さない場合などでは、お示ししたような統計学的指標は使用できません。そのような場合には、従来、当部会で実施されているような休薬期間での実測値のばらつきを考慮してMRLを設定していただければと考えております。
 以上で、説明を終わります。
○大野部会長 どうもありがとうございました。
 今、御説明がありましたように、今日は2回目の説明をいただいたということですけれども、先生方も前回は分かりにくかったところがあったと思いますけれども、今回じっくり説明していただいて大分理解できたかと思いますが、いかがでしょうか。
 コーデックスのIPCSで言うと、指標残留の選択の考え方というのは、薬理作用を持っていたりとか、毒性学的な活性を持っているか、そちらのほうが中心だけれども、例外的には活性がないものも指標とする場合があるということですよね。
○農林水産省 そのとおりです。
○大野部会長 ありがとうございます。先生方、御質問ございますか。
 5ページでちょっと気になったのですけれども、回帰直線でこういうふうに直線的に一本線で低下していくというのはまれですよね。大体二相性なり三相性になってくるので、この場合はいいけれども、高いところだけ2点3点とって外挿してやると、非常に短期間でいいということになるけれども、大体下がってからある程度ずっとなだらかになるんですね。薬物動態学的にはβ相とか言いますけれども、それを気を付けておかないと、ちょっと間違えることがありますね。
○農林水産省 御質問ありがとうございます。ガイドラインでは原則としてMRL付近で消失過程になっている時点を3時点以上選択するよう規定してございますので、その点については問題ないように対応したいと考えております。
○大野部会長 そうですね、MRLの周辺で測れば問題ないですね。
 先生方から何か質問ございますか。よろしいですか。
 それでは、小池さん、再度にわたって御説明いただきまして、どうもありがとうございました。
 それでは、今、御説明いただいた考え方に基づいて休薬期間や測定対象物質が提案されて、こちらに来ることもあると思いますので、そのときにはまた思い出して御審議くださるようお願いいたします。
 今日の議題で、その他にまだありますか。
○事務局 議題はございません。
○大野部会長 先生方から何か議題はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで閉会したいと思いますが、よろしいですか。
○事務局 次回の開催日程について御説明させていただきます。次回の本部会の開催日程につきましては、平成24年11月27日火曜日、午後を予定しております。出欠につきましては後日、御確認させていただきたいと存じます。詳細につきましては、追って御連絡申し上げます。
○大野部会長 どうもありがとうございました。
 ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、以上をもちまして本日の部会をこれで終了させていただきます。御協力どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係
(03-5253-1111 内線2921)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会)> 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録

ページの先頭へ戻る