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2012年6月21日 第55回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成24年6月21日(木)9:57~11:40


○場所

グランドアーク半蔵門「華の間」


○議題

医療費適正化計画について

○議事

○遠藤部会長 おはようございます。定刻には、まだちょっとございますけれども、委員の皆様、全員御着席でございますので、これより「第55回医療保険部会」を開催したいと思います。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました
 本日の委員の出席状況について御報告申し上げます。
 本日は、大谷委員、岡崎委員、菅家委員、齋藤正寧委員、福田委員より御欠席の連絡をいただいております。
 続きまして、欠席委員のかわりに出席される方について、お諮りしたいと思います。
 大谷委員の代理としまして児玉参考人、福田委員の代理として名越参考人の御出席につきまして御承認いただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、議事に移らせていただきます。
 初めに、前回時間がなくてできなかった「医療費適正化計画について」を議題といたしたいと思います。事務局より資料の説明をお願いしたいと思います。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 失礼します。医療費適正化対策推進室長でございます。
 お手元の資料をお願いいたします。次期の基本方針等についてというものでございます。
 おめくりいただきまして、1ページでございます。このページは、適正化計画の仕組みの概要でございまして、御承知かと思いますけれども、基本的な考え方のところにありますように、現在、20年度を初年度とします適正化計画、24年度までの期間を定めております。
 そこに2つ目標がありますけれども、健康の保持の推進に関しては、特定健診の実施率70%、保健指導の実施率45%、メタボの該当者予備軍を20年度比で10%以上減少というのを24年度目標にいたしております。また、医療の効率的な提供の推進に関しましては、平均在院日数の全国平均と最短の長野県の差を9分の3に縮小するといったことを目標にいたしております。
 こういった目標のもと、下に県と国がありますけれども、都道府県の方で都道府県の計画を作成いただいて、また国の方では、それを踏まえまして全国の計画を定めているということでございます。
 次の2ページ、下の方ですけれども、サイクルと書いてあります。現在、1期目でございまして、これが20年度から24年度となっております。これを踏まえまして、下の方に矢印が伸びておりますけれども、2期目が25年度からとなっておりますので、この新しい計画をつくるということで、最初に医療費適正化基本方針というものを国の方で見直しまして、それを踏まえて県の方で今年度中に都道府県の計画をつくっていただくという流れになっております。
 おめくりいただきまして、都道府県におきましては、適正化計画に関連する他の計画がございますので、それとの関係をお示しするものです。
 そこに3つ枠がございます。医療計画、健康増進計画、介護保険事業支援計画とございますけれども、それぞれそこに線が引いてありますようなこと。例えば医療計画でございますれば、疾病・事業別の課題に応じた目標とか、クリティカルパスの普及など。あるいは、健康増進計画でありますれば、メタボの減少率の数値目標。介護保険事業支援計画であれば、サービス量の見込み。こういったことが医療費の適正化とも関連しますので、法律上も相互に調和してつくるということになっているところでございます。
 4ページが、関連する計画の今の状況でございます。
 医療計画におきましては、3月に新しい25年度からの医療計画の策定に向けた指針が、既に公表されているところでございます。
 それから、健康増進計画につきましては、現在、「健康日本21」、25年度から34年度までが対象ですけれども、その見直しについて議論がされておりまして、近日中に基本方針を告示されるということです。そこの現在の検討状況にありますけれども、メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の目標につきましては、20年度比で27年度までに25%減少というのが現在の目標ですけれども、これを当面維持するという方向で議論が進んでおります。
 それから、介護保険事業支援計画の方は、5期の計画は既に始まっておりますので、既にサービス量の見込みについて公表されておるところでございます。
 めくっていただきまして、今回、県の方で計画をつくっていただくわけですけれども、前回、1期目と変わっている点がございます。それは、地域主権の関係で制度改正を行っておりまして、そこに書いてありますけれども、都道府県の適正化計画の記載事項のうち、太字でありますけれども、「医療に要する費用の見通しに関する事項」だけが必須的記載事項として残っておりまして、これ以外の目標に関する事項につきましては、各都道府県が任意に記載する事項となっております。
 具体的に下に小さい字で条文がございますけれども、第9条2項で、県の計画では、医療に要する費用の見通しに関する事項を定める。これは必須です。3項で、都道府県の計画では、そのほか、おおむね次に掲げる事項とありまして、そこに目標とか県が取組むべき施策とかその他の記載事項が書かれているということで、例示化され、任意的記載事項となったところでございます。
 6ページでございます。これは、昨年10月に本部会におきまして御意見を承りましたところ、出された意見を整理したものでございます。まず、健診・保健指導のことが書いてございますが、こちらは個々に御説明いたしませんが、おおむね積極的に取り組むようにという意見が多かったと認識いたしております。
 めくっていただきまして、真ん中ほどからが療養病床の再編・平均在院日数の短縮についてということで、1つ目の丸にありますけれども、平均在院日数を減らすために病床を減らすことが、20年当時は大きな柱だった。それが頓挫しているのであれば、新たな具体的手段を国として考えるべきだといった御意見がございましたし、また次の丸ですけれども、平均在院日数の縮減は、今後、高齢化が進むと一律に短縮というのは難しいと。介護療養病床廃止が凍結ということですけれども、6年経てば更に高齢化率が上がって病床の削減は不可能になるのではないかといった御意見もあったところでございます。
 それから、一番下のその他というところで、今は特定健診・保健指導と平均在院日数の縮減というのが2つの柱になっておりますけれども、もっといろいろなアイデアがあってもいいのではないかといった御指摘もあったところでございます。
 8ページは、県が計画をつくるものですから、実際どんな意見を持っているかということを、本年1月と4月の2回にわたって県の方に調査というか、アンケートをかけまして、県の方からいただいた意見を網羅的に整理しているものでございます。前回の部会で出した資料に書き足しましたので、量がちょっと増えておりますが、かいつまんで御説明します。
 最初の全体的な事項としては、一番上にありますけれども、画一的な数値目標などを示すのではなくて、各都道府県がその地域の実情を反映した計画目標を策定できるようにしてほしい。
 1つ飛ばしまして、一方で、例示化することになった目標についても、具体的な例示、国の考え方を示してほしいとった意見もあるところでございます。
 それから、下から2段目では、都道府県において数値目標を設定しないことも可能かといった御指摘や、一番下のポツの後段ですけれども、医療は数値目標を掲げて計画的に抑制するものではなくて、健康づくりや医療提供体制整備の結果なのだということを御指摘する意見もございました。
 9ページは、健康の保持増進に関する御意見でございます。
 幾つか御紹介しますと、上から3つ目で、今の目標がちょっと高過ぎるので、実態に合った数値目標として目標数字の見直しをといった御意見がございました。
 また、真ん中ほどにちょっと広い欄がありますけれども、県の方では、全国目標よりも低い目標を設定する傾向にあるのではないかということで、よりインセンティブを強化する水準で全国目標を設定してほしいといった指摘もございました。
 また、下から2つ目の最後の辺りで、県内の保険所種別ごとに健診・保健指導の実施率の差がある中で、どのように調整して県の目標を設定するのか、示されたいといった意見もございました。
 10ページ、今度は平均在院日数に関して、一番上ですけれども、第1期計画当初に、全国平均と最短の差を9分の3にするという目標が達成済みだったという御意見や、次のポツの後段で、平均在院日数を目標とするのであれば、病床数削減につながる政策、医療費の適正化に資するプロセスを示されたい。あるいは、その次で、平均在院日数の目標については、各県の実情を考慮して、各県の判断による設定を可能とするようにされたい。
 療養病床の再編が真ん中より下にございますけれども、3つ目、数値目標設定で、一律・機械的な病床削減は行わないで、各機関の意向を勘案した目標設定ができるようにといったこともございました。
 次のページも療養病床です。たくさんありますので、11ページで1つだけ。下から3つ目で、介護療養病床廃止期限の延長などを踏まえると、療養病床の削減計画や病床数の数値目標を設定させる必要はなくて、項目を削除すべきといった御指摘もございました。
 次のページで、医療費の推計については、推計のツールを提供してほしいといった意見や、推計の方法について具体的な御指摘がございます。
 そのほか、中間評価、基本方針を早く提示すべき、県の説明会をやってほしい。
 次のページで、震災の影響を考慮する、あるいは制度そのものの見直し、その他といった意見があったところでございます。
 14ページは、先ほどは計画の中身についての御指摘でしたけれども、あわせて県が計画を立てる上で必要なデータ提供、どんなものが必要ですかということの御要望についても調査いたしております。そういった御要望を踏まえまして、現時点では下の点線の中にあるような項目を県の方に情報提供していきたいと思っています。
 1番、基礎的データということで、健診データの住所地別、保険者別。次の丸で、医療費の要素分析。いわゆる3要素、受診率、1件当たり日数、1日当たり医療費といった傾向。それから、ジェネリック、後発医薬品の関係。レセプトデータ。それから、保健指導のデータ。めくっていただきまして、3番の1つ目が、平均在院日数の要素分析に活用できるデータ。
 それから、県内の医療連携あるいは在宅医療に関するレセプトデータ、療養費のデータといった要望を受けまして、提供したいと考えております。
 16ページが今回の見直しのポイントになります。
 基本的な考え方は、先ほど御紹介しましたように、地域主権の関係で、医療に要する費用の見通し以外の事項の目標などについては、都道府県の任意的記載事項になったところです。これを踏まえまして、第2期の基本方針におきましては、国が一律に各都道府県の目標を示すということではなくて、国が参考となる指標、データあるいは考え方をお示しした上で、各都道府県においてこれらを勘案して、地域の実情を踏まえた目標設定としたいと思っております。
 具体的にそれぞれの項目について、どういうふうにやるかということを要約したのが下の枠にございます。
 まず、住民の健康の保持の推進というところでは、現在の方針では、目標として特定健診実施率70%、特定保健指導の実施率45%、メタボ該当者・予備群の減少率10%、24年度にという目標になっております。これについては、特定健診実施率70%、保健指導実施率45%、メタボ該当者・予備群の減少率が20年度比25%、これを全国目標に引き続き掲げるということにしまして、これを達成するために各保険者の目標を定めます。その各保険者の目標と、各都道府県内の各保険者の実績を踏まえまして、この健診の実施率、保健指導の実施率、メタボの減少率について、各都道府県で目標を立てていただけるような目安を示したいということでございます。
 次の欄の医療の効率的な提供の推進ですけれども、現在の方針では、目標といたしまして療養病床の数と平均在院日数を掲げております。療養病床については、入院者のうち、医療区分1と医療区分2の3割の方に対応する病床が介護保険施設などへ転換することなどを見込んでおります。
 また、平均在院日数の全国平均と最短の長野県との差を9分の3とするということでやっておりますけれども、右の方、次期の方針(案)といたしましては、介護療養病床の廃止が29年度末まで延長されたこと、あるいは療養病床の機械的な削減をしないという方針を踏まえまして、療養病床の数のみを目標とすることはいたしませんで、これにかえまして、将来の医療費の推計に当たって、医療計画における基準病床数などと整合性のとれた、一般病床・療養病床の数などを各都道府県が設定していただくという形を考えております。
 また、平均在院日数の推計方法の一例といたしまして、推計ツールを各都道府県に配付して、その目標を設定できるようにしたいと考えております。
 17ページ、上の方に、その他の適正化策ということに関しましては、現行では取組み例として、重複頻回受診の是正などについて簡単に記載しておりますけれども、次期の方針では、先ほど申し上げましたように、県の方で地域の実情を考慮して、目標あるいは手段を検討いただけるようにという考え方から、先ほどの各都道府県のいろいろなデータをお示しすることで、あるいはその解析方法も情報提供をできるだけしていきたいと考えております。
 それから、必須的記載事項の医療費の見通しの推計につきましては、現行では平均在院日数の短縮効果を織り込んでおります。次期におきましては、これに加えまして生活習慣病の予防効果というものを織り込みたいと考えております。これは、後ほどまた出てきますが、一定のいろいろな仮定を置かないと推計できませんので、あくまでそういうものではございますけれども、仮定のもとで推計するツールを配付したいと考えております。
 小さい字で注でありますけれども、そのほか都道府県の主体的な取組みを尊重するという考え方で、少し記述の整理を行いたいということでございます。
 18ページからは、先ほどのデータ提供の具体的なイメージを持てるように、少し補足資料をつけさせていただいております。
 1段目にあります、まずは現状把握ということで、健診データ、レセプトデータ、後発医薬品の普及状況といったものから、右の吹き出しにありますように、各都道府県の現状を認識いただきます。
 課題の分析という段階に至りましては、例えば医療費3要素、平均在院日数の関係といったものから、吹き出しにあるように、例えば地域の入院患者数の増加の要因分析ができるようにしたいということです。
 更に、それを踏まえまして計画に反映するということで、これは都道府県の方で考えていただくことでございますが、3つほど枠が下の方にあります。国保加入者の健康課題に応じた、いろいろな予防策の企画を県がやる。あるいは、次の枠で、地域の医療連携パスの協議会を設ける。あるいは、右の方にあります後発医薬品の普及に関する差額通知について、パイロット事業を実施するといった施策につなげていただきたいということでございます。
 次は、参考で、データ提供の具体例です。
 左に日本地図がございます。これは、いわゆる医療費マップと呼んでいますけれども、1人当たり医療費の全国平均を1といたしまして、その地域差を指数化して地図に落としたものでございます。
 右の方にありますのは、レーダーチャートということで、これは都道府県ごとにそれぞれの特性を認識いただけるように、右半分は入院関連、左半分は入院外になっております。こういったことで、自分の都道府県の実情を把握していただくということだと思います。
 次のページは、平均在院日数に関してです。
 入院受診延べ日数というのは、次の欄の推計新規入院件数と、次の欄の推計平均在院日数を掛けて出すことになっております。これを基に、枠内にありますけれども、ある時期の入院患者数が増加した場合に、これが新規患者の増加あるいは平均在院日数の延びたものかといった分析が可能になります。
 21ページは、その続きです。
 22ページは、後発医薬品の普及状況ということで、後発医薬品の普及が全国平均に比べて、どれくらい寄与しているか、それを都道府県ごと、制度ごとに示したものでございます。上のプラスの値の方が貢献しているということです。白黒でちょっと見にくいですけれども、それぞれの都道府県で、どの制度の保険者の寄与が大きいかということを基に対策を考えていただくという材料です。
 23ページ、見通しの推計方法として、現時点で考えているものでございます。
 考え方の欄にございますけれども、足元の都道府県別医療費を基に、過去5年間の伸び率、あるいは機能強化に伴う費用を織り込んだ29年度時点の医療費を推計するとともに、これに対する生活習慣病の予防効果と平均在院日数の短縮効果を推計する。そのためのツールを都道府県に提供したいと思っております。
 足元の医療費の算出方法は、そこに書いているとおりです。
 下の方にあります効果の推計ですけれども、まず1つ目で、生活習慣病の予防に関しましては、特定保健指導によるメタボの該当者・予備群の減少率のデータが出ております。それから、メタボリックシンドローム該当者の方と、それ以外の人の年間医療費の差のデータが、レセプトと健診結果を突き合わせることで出ておりまして、そういったものから各都道府県が設定いたします健診や保健指導の目標、あるいは目標を立てない場合は、29年度の状況として想定される実施率から、その効果額を推計するということを考えております。
 また、平均在院日数の短縮の関係につきましては、下に※がありまして、まず、平均在院日数の目標設定方法として県に例を示したいと思っております。これは、勿論定めるかどうかも含めて県の判断ということでありますけれども、それを参考としてお示ししたいということです。
 下の段にありますけれども、現時点におきましては、各都道府県が域内の一般病床あるいは療養病床の病床数などの見通しを設定するということで、病床数を設定していただくと、これらを前提に一定の病院間の連携、病床の機能分化などが進むと仮定して推計して、29年度の平均在院日数が出るようなツールを配付したいと思っております。
 こうやって設定した平均在院日数が、上の黒字ですけれども、医療・介護について重点化・効率化を行った場合の全国ベースの推計結果から得られる医療費と平均在院日数の関係などを用いまして、都道府県が設定する平均在院日数の目標、あるいは29年度の想定数値の効果額を推計したいと考えております。
 最後に、24ページ、今後の予定ですけれども、本日、部会で御意見をいただきまして、また各都道府県にも、本日、参考資料2として、推計のツール分以外の本文の改正の案のたたき台を配付いたしております。これもお配りして、県の方にも意見を求めたいと思っています。並行いたしまして、7月以降はいろいろな説明会とかもやりますけれども、本日いただきました御意見あるいは都道府県の意見などを踏まえまして、またこの基本方針の案をつくっていきたいと思っております。
 更に、年内目途に各都道府県の状況をフォローアップした上で、24年度中に県の医療費適正化計画策定、国においても、その結果を踏まえて全国の計画を策定・公表していきたいと考えております。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。ただいまお話がありましたように、今後、この改正の方針を固めていくということでありますけれども、それに伴って、当部会でも改めて意見をお聞きしたいということであります。ただいま御説明のあった内容について、御質問でも結構ですし、御意見でも結構です。どなたでも結構ですので、御発言いただきたいと思います。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 まず、医療費適正化計画という名称でございますが、中医協などの議論を聞いておりますと、適正化というと、厚労省では引き下げとか削減ということを意味することのようでございます。前回、これに療養病床の削減というものが入りまして、現場は非常に大混乱したわけでございます。今回、それが削除されておりますので、それはよかったと思いますが、あくまでも現場の取組みを反映する適正化であってほしい。普通の国語辞書に載っている意味の適正化であってほしいと思います。
 その上で、平均在院日数短縮の問題点について、幾つか指摘させていただきたいと思います。
 まず、各都道府県の自主性を認めると言いながら、同一のツールを配付することによって一定の結果が出るようにさせることのないように、希望するところには配付するにしても、各都道府県の自主性を重んじて、それは、地方分権改革の流れにも沿った形にしていただきたいと思います。
 それから、平均在院日数と医療費でございますが、これは幾つか各都道府県の御意見にもあったのですが、果たして平均在院日数短縮が医療費の適正化、すなわち削減になっているのかどうかということでございます。我が国は、もともとの入院医療費の1日当たりの単価が低いので、他の先進国のようにそれが高い国は、平均在院日数を下げれば下がるということになるわけですが、我が国の場合、在院日数が短縮されますと医療密度が上がりまして、1日当たりの単価が上がることになると思います。
 また、高齢化も世界最速のスピードで進んでおりますので、一方では、高齢化による新たな入院需要もあり、病床の稼働率は低下しておらず、空床ができませんから病床削減というわけにもいかず、入院医療費としては、データを見ても、むしろ増えているのではないかと思います。
 次に、目標値としての平均在院日数を設定することの問題点でございますが、平均在院日数と言いつつ、これは介護療養病床を除く全病床が対象ということでございまして、一般病床だけじゃなくて、精神病床、療養病床も入っているので、平均在院日数の長い精神病床や療養病床の多い地域では、長くなりやすいということがあると思います。
 例えば長野県が、前の計画のときには平均在院日数が一番短い県だったのですが、2007年以降は東京都が最も短くなっております。東京都というのは、一般病床の割合が多いところでありまして、長野県はむしろ平均在院日数を長くする要因である精神病床が多い。しかも高齢化が進んでいるところであります。
 前回のときはあたかも長野県がモデルという言い方もされたのですが、それでは今度は東京がモデルかといいますと、東京は非常に特殊なところであり、急性期の大病院ばかりが多くて、地域に密着した病院が少ないとか、今後、最も高齢化が進むのにもかかわらず、そういった準備ができていないなど問題の極めて多いところでありますので、そういうところがモデルということはおかしいと思います。
 また、大学病院の本院、これは全国でほぼ同じような患者さんが来ると仮定しても、平均在院日数が大幅に違っている。あるいは、そういうものを反映して一般病床の平均在院日数も地域によって違っている。沖縄は除きますが、北海道、東北、北陸、中国、四国、九州が長くなっておりますので、平均在院日数というものは、地域の高齢化率も含めた疾病や患者特性などを反映している結果であると考えられます。
 また、医療現場におきましても、平均在院日数短縮による弊害というものが出ていると考えられます。OECDでは、平均在院日数短縮により、再入院率が上がると、1疾患当たりの入院医療費はほとんど下がらない。むしろ上がる場合があると指摘しております。我が国におきましても、特定機能病院等では平均在院日数は下がっておりますが、再入院率が上がっているということが起きております。
 また、入院の医療従事者が十分に確保されないまま、平均在院日数の短縮により、入院の患者数だけが増えることになれば、勤務医の負担が増加し、現場の疲弊が更に進むということも考えられますので、是非そういった今の入院平均在院日数という一くくりのものの在り方を見直して、より現実的な指標にしていただければと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。平均在院日数を指標とすることに関しての課題ということを述べておられたわけでありますけれども、これは御質問ということではなくて、御意見という理解でよろしゅうございますか。今のことに対して、もし事務局として何らかのコメントがあればお聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。対策室長、お願いします。
○鈴木医療費適正化推進室長 では、簡単に。
 いろいろ地域差があるという御指摘でございましたけれども、考え方としましては、まさに医療提供体制などを議論する都道府県の方で、そういった地域の資源の最適化ということも含めて取り組んでいただくことを前提に、それを費用の面からとらえ直すと、今回の適正化計画であり、平均在院日数の目標を立てる、立てないは県の判断ですけれども、そういうことになっておりますので、そこは地域の実情を十分踏まえたものになるように心がけたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 では、武久委員、どうぞ。
○武久委員 鈴木室長がおられる対策室というのがいつできたか、皆さん御存じだと思いますけれども、もうちょっと根源的なことがございまして、私はずっと関わっておりますので、簡単に説明します。
 2003年8月31日までに、その他病床を一般病床と療養病床を分けて届けなさいという通達がございました。そのときは、一般病床の基準は4.3平方メートルの4人部屋以上というか、6人部屋でも8人部屋でもよかったわけですけれども、そのときに療養病床は6.4平方メートルの4人部屋までということでしたので、実際は高齢者の慢性期の患者さんがいっぱい入っているところでも、4.3平方メートルしかないところは全部一般病床として届け出たということがございます。したがって、一般病床の中に療養病床に入るような患者さんがいっぱい混ざったという現実がございます。
 それが、次は平成17年9月11日の小泉郵政選挙で自民党が大勝した後で新しくできた経済財政諮問会議が厚労省の尾辻さんに対して、どういう要求をしたかというと、混合診療を認めなさいということと、医療費のGDPのキャップ制の2つを要求した。これに対して、当時の厚労省はこれに反対しまして、そのかわり平均在院日数の短縮と特定健診をしますという2つを約束したのです。その約束をしたときから、平成17年の年末にいきなり療養病床削減、介護療養病床廃止というのが出てきた。
 これは単純に言うと、平均在院日数の長いところを減らしてしまえば、平均在院日数は短くなるという算術的なことだったと思うのです。そのときは、したがって療養病床転換推進室と医療費適正化対策推進室と2つの部屋ができまして、とにかく療養病床さえ減らせば医療費は適正化されるというベクトルに省内が一本化されていたように思いました。
 ところが、今、鈴木委員がおっしゃったように、平均在院日数というのは、長いところ、精神とか療養が多いところを少なくすると平均在院日数は短くなるのですけれども、実は最初に言いましたように、一般病床の中にいっぱい慢性期の患者が入っていて、その人たちは特定除外ということで、3か月以上入院している人は平均在院日数に入れなくていいという措置がありました。
 それがこの4月、経過措置があって、この10月1日からやっと13対1と15対1のところは、平均在院日数に入れることになったわけです。結局どういうことかというと、長野県でも東北地方でも、療養病床が少ないところは、そういう患者さんは一般病床の特定除外で入っているわけです。ところが、それは平均在院日数に計算されていないわけですから、長野県の平均在院日数を基準にするということは、基本的に間違ったというか、不正確な値に寄りかかっていることになるわけです。それが保険局の診療報酬の改定で、13対1、15対1に関しては、横断調査の結果なくなったということです。
 アメリカ等の平均在院日数は、すべて入れるわけですけれども、実は日本では、平均在院日数に入れなくていい項目の患者さんが20種類もあって、その人たちを全部入れたら一体何日になるのかということが問題なのです。そして、平均在院日数が20ページと21ページに書いてあるのですけれども、これで見ますと、一般病床の平均在院日数は18.5日と発表されております。アメリカが5.4日、フランスが5.2日となっていますけれども、外国はすべての患者さんを入れた平均在院日数。
 日本は、すべて入れていないわけです。入れていなくても、ここに四十何日と、関西の方へ行きますと物すごく長いのです。このデータは、多分、療養病床とか、みんな入っていると思うのです。これは、平均在院日数に入れなくていい患者さんというものを、まずなくしていかないと、正しい値ではない。正しい値でない上に、乗りかかった政策は適正でないと思われます。
 そういうことで、療養病床を減らしても、療養病床というのは1日、1万四、五千円しか医療費がかからないのです。ところが、一般病床、急性期と言われるところは、5万円から10万円の診療費があるのです。そうすると、療養病床を1ベッド減らすより、急性期病床と言われるところに慢性期の患者さんがいっぱい入っている。その人たちを療養病床へ移す方が、医療費適正化という意味では5万円も6万円も得するわけです。
 ところが、そういう視点は全くなかったのですよ。ただ今回の政策の案の評価できるところは、今まで療養病床さえ減らせば医療費は適正化されると、本当にばかげたベクトルで動いてきたのが訂正されたということは、非常に大きなエポックメーキングであって、現在、一般病床と療養病床の差というものが既にほとんどなくなってきて、ハードでは一般病床も6.4平方メートルの4人部屋となっております。
 療養病床と全く同じハードになっているので、2003年のときにハードが違ったために、変な形で分類されてしまったのです。しかし、今回の診療報酬では、療養病床と一般病床との間での差があったいろいろな加算項目についても適正化されてきていますし、現実に一般病床の中にいる慢性期の特定高齢者の問題がクローズアップされてきています。
 こういう時期に、対策室の室長が出された中身は、療養病床の削減とか平均在院日数だけでなしに、もっとほかの考え方はないかということをちゃんと書かれておりますので、私はそれについて、今、言ったように非常に高い入院費の急性期のところに、慢性期の患者さんが紛れ込むことによる医療費のミスマッチというものは、非常に大きいものがあるので、今後は、そういうことを対策室に、この点を具体的に考えながら進めていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。御発言内容は、かねてより武久委員の御主張だったと理解しておりますし、とりあえず今回の案につきましては、このとおりでいいという理解をさせていただきます。ただ、重要な課題なので、今後検討してほしいという御要望だと受けとめさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 白川委員、どうぞ。
○白川委員 質問を何点かと、最後に意見を述べさせていただきたいと思います。
 最初に、社会保障と税の一体改革大綱の中で、たしか重点化・効率化と書かれた項目がたくさんありまして、それに基づいていろいろな部会等で、あるいは中医協でも議論されていると認識しております。今回は、その中の医療費適正化計画に関わる部分だけと限定された話なものですから、全体像がよく見えないのですけれどもね。
 質問の1点目は、重点化・効率化で金額が積算されておりまして、ちょっと金額自体は私、記憶していないのですけれども、それをベースに消費税5%分の配分も検討されていると、考えられていると承知しておりますけれども、今、厚生労働省が取り組んでおります重点化・効率化、この計画も含めて、その数値は達成できる見通しなのかどうかということをお伺いしたいと思います。
 2つ目は、今回提示されました計画は、都道府県が主体になって具体的な計画づくりをやるのだと、法律がそうなっているということでございますので、それはそれで法律で決められたことですから、とやかく言えないとは思うのです。その都道府県が医療費適正化計画を自主的につくって、それを集計した結果が国全体としての計画と一致すると、とても思えないのです。その両者間にそごが生じた場合は、国としてどういうふうに対応されるおつもりなのかということをお伺いしたいと思います。
 あと、意見でございますが、我々保険者の立場としては、このまま医療費の増加が続けば、当然、保険財政ももちませんし、国の財政ももたなくなる。消費税は、際限なく上げ続けなければいけないという事態も危惧しているところでございまして、常に我々としては、国全体として適正化を更に進めるべきだという意見でございます。
 そのためには、数値の目標と具体的な手段、施策を示すことが必要と考えておりまして、そういう意味では、数値目標は、いろいろ御意見はあると思いますけれども、前回は平均在院日数をこういう数値にするのだとか、かなり具体的なものがあったのですけれども、今回は都道府県に自主的にやってもらうということなのかもしれませんが、国としての強い意思が感じられないというのが、非常に残念であります。
 それから、施策につきましても、5年前に例えば介護療養病床の廃止とか療養病床の削減という施策を一応打って、我々保険者からも病床転換支援金等で支援したという経緯があるのですけれども、そういう具体的な施策がほとんど見えないので、誠に残念という印象でございます。
 それから、その1つかもしれませんけれども、介護療養病床の廃止という問題については、6年間凍結されただけで、まだ生きていると私どもは認識しておりますけれども、そうだとすれば、29年に廃止するという前提で、具体的にどういう施策を打っていくのだということを提示していただかなければ困ると考えております
 これは、当然のことながら、介護療養病床を突然廃止すれば、ベッドがない患者さんがたくさん出るという現実的な問題があるわけですから、それは介護施設を増やしていくのだとか、あるいは武久先生がおっしゃったとおり、急性期と慢性期、介護療養病床の区分、見直しをやっていくのだといったことを是非進めていただくようにお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。後半の方は御意見ということで、今回の適正化計画で具体性がやや欠けているということで、国のお考えの中でその具体性に欠けているということ。
 もう一つは、介護療養病床については、これは凍結されているだけであるので、29年廃止になったときにどうするのかということを検討する必要があるという御意見だったと思います。それに関連して、事務局にお答えいただきたいと思いますが、まず前段の方で2つの御質問がありましたけれども、基本的に似たような質問だったかと理解しております。
 その辺の都道府県ベースの医療費の適正の数値と、国ベースの目標に乖離があった場合とか、そもそも全体として削減目標が金額ベースであるわけです。それとの関係でどうなっているのかという御質問だと思います。この2つについて、これは御質問ということなので、事務局にお答えいただければと思います。よろしくお願いします。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 先に、細かい方からお答えさせていただきます。
 各都道府県でつくられた計画と国の計画との関係につきましては、現在の考え方といたしましては、県でつくっていただいたものを集計した形で、まず全国の計画をつくりたいと思っております。そういう意味で、目先5年間の計画でございますので、全国計画で集計したものは、今、政府としての中長期の目標とは直ちに一致しないかもしれませんけれども、そこは時間軸が少し違いますので、そういった足元の県の取り組みを集計した全国の計画と、中長期のものに向けて、更にどうするかというのは、その段階でまた考えたいと思っております。
 それから、今回、平均現在院日数の目標が、療養病床もそうですけれども、数値としてなくなったことに関しましては、考え方として、地域で考える病床数などを基本に、それが一定の機能分化をしたときに、平均在院日数がどうなるかという考え方で設計したいと思っております。
 そういう意味で、足元の数字から乖離したものを、国として別途定めるというのは適切ではないと思いまして、そういう全国ベースでの平均在院日数の目標というのは定めないと、今の時点では考えております。一方で、全体の都道府県の取り組み、主体性を尊重しながら、適正化計画の推進そのものは努力していきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 総務課長、どうぞ。
○木下総務課長 最初の白川委員の御質問の、一体改革の中での重点化と効率化との関係で、今回の適正化計画とマッチングしているのかどうかということであります。御存じのように、全体としての充実3兆8,000億円、効率化が1兆2,000億円で、差の2兆7,000億円、に消費税が1%分充てられるということであります。その中で、特に充実は8,800億円でございます。これは、医療の機能強化などを含んだものであります。そのマイナス4,400億円が、医療の方の効率化とか、更に外来受診の適正化で1,300億円ございます。
 今回、どういう形でやるかといいますと、2015年にかけて具体的に取り組むということでの数字でございます。1つは、重点化という面で言えば、診療報酬改定が第一歩だろうと思いますし、その中でも効率化という形で、例えば外来受診の適正化という意味での特定機能病院の外来受診の問題。特に、初診料、それから外来診療料を下げたり、紹介率等が一定の基準に満たない場合は下げる。そういう形で効率化を進めていることになります。
 そのほか、平均在院日数の減少について4,400億円でありますが、一体改革の中では、今回、全体として医療の機能分化が進み、特に高度急性期等々について、現在の病床数33万床から、おおむね18万床に行くと2025年。その途中でありますけれども、その過程で削減されていって、亜急性あるいは療養という形へどんどんシフトしていって、単価に応じて効率的な、患者さんの病態像に応じた形をつくっていくのであるならば、4,400億円ぐらいの削減効果があるだろうということで、我々は想定して仕組んでおります。
 今回の計画も、言わばそういったことと連動しながら、医療計画も一体改革と連動しながらの策定をお願いしておりますので、そういう中で医療のベッド数の適正化が進んでいくならば、そのぐらいのシナリオを描くだろうという想定でやっております。これは、今回だけでは全く対応できませんので、次回の診療報酬改定等々、あらゆる施策を打ちながら、それから我が方で言う特定健診・特定保健指導の問題もございます。
 そういったことを総合的に取り組む中で、その方向感を持ってやっていくということであります。ぴたっと合うかどうかというのは、これは明確に言えるわけではありませんけれども、その方向性でやっていくという志をあらわしているということで、御理解いただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。白川委員、今のお二方からの御発言ですが、よろしゅうございますか。
○白川委員 いや、私の質問に対する回答としては理解いたしましたが、内容につきましては、私には全く納得行かない内容です。意見は先ほど申し上げたので、繰り返しは避けさせていただきます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、先ほど先にお手を挙げられておりました齊藤正憲委員、どうぞ。
○齊藤正憲委員 白川委員のおっしゃったことと重複しますので、簡潔に申し上げたいと思いますけれども、正直、この方針案では、医療費の適正化が実現できるのか、非常に疑問でございます。そして、白川委員の御質問に対して、鈴木室長の方から回答がございましたけれども、危機的な国家財政のもと、急速な高齢化に対応して給付の効率化を進めなければ、財政も制度も破綻するという切迫感、スピード感に欠けるのではないかと思います。
 保険者でない都道府県が医療保険の財政運営の厳しさを御理解いただいた上で、計画を策定していただけるのか、非常に不安でございます。地域実情を踏まえつつ、医療の適正化に向けて自主的に改革に取り組んでいただくということは、非常に重要ではございますけれども、それだけでは保険料は増加の一途をたどるのではないかと思われますので、ある程度国としての方向性は明示すべきではないかと考えます。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。御意見として承りました。
 それでは、横尾委員、お待たせしました。
○横尾委員 ありがとうございます。
 幾つかありますが、1つ目は、今日いただいた参考資料2「医療費適正化基本方針の改正案(たたき台)」現時点のものが出ておりまして、基本的にはここに集約されていくということで認識してお話させていただきたいのです。この中で基本理念が4ページに書いてあります。目標が掲げられており、その具体的な内容がその次の項にあって、5ページ目に、1つ目の方法として生活習慣病の予防対策、もう一つは入院期間の短縮対策ということがるる述べられておりまして、主にこの2つの柱だと書いてあるわけです。
 私自身は、その前の段階として、先ほども御指摘がありましたけれども、分権とか地域主権に流されず、国として国民の生命と財産をこう守るという強い理念に基づいた方針を示すことも重要じゃないかと感じているところです。
 具体的に言いますと、前も一度お話をしたと思いますが、これから四、五年の間に国民全員が義務として健康診断を受けなければならないといった方向に持っていけないかと思うのです。例えて言いますと、車は二、三年ごとに車検をやっているのですけれども、自分の体の健診に行かない人が7割近くいるわけです。そうすると、よくわからない。では、発病したときに症状がわかって、急に病院に行きますが、がんの関係ですと、ステージが進行していると大変なことになるわけです。
 もっと早い段階でわかることが、何より御本人にとっても御家族にとっても重要だし、保険者にとっても医療負担は減っていくものだと思われます。だとしたら、国民の義務として、そういったことを進めるように、何か国として政策が打てないかなと思います。
 1つは、内閣総理大臣の施政方針演説の中で明確に言っていただきたい。
 もう一つは、前も言いましたけれども、例えば健診を受けた方は確定申告のときに1万円減らすとか、受けていない人は加算するとか、ちょっと姑息な手法かもしれませんけれども、それぐらいしないと皆さんの意識が高まらないのであれば、四、五年に限ってやるというのも方法かなと思います。
 そのときに費用がどうだとか、しり込みしている方が多いとするならば、これはかなり議論があるかもしれませんが、保険適用で健診を受けていただくことも、「義務化する」というぐらいの議論も、あっていいのではないかと思います。それなくして、「健康へ」、あるいは「医療費適正化」と言っても、実態としてはなかなか進まないのではないかという強い印象を持ちました。
 そういったこともありますので、それぞれの特殊事情に応じて、都道府県が設定していいとか、評価の基準も少し手直ししていいという趣旨で先ほど説明があったのですけれども、早い話が、チェックされてマイナス点にならないレベルの目標しか掲げなかったら、余り意味がないわけですので、そこは国としてしっかりした方がいいのではないかというのが1点目です。
 もう一点は、データに関することでございまして、共有化ということもこの後、たたき台の中にも書いてあるのですが、実は我々首長は、市町村の行政をさせていただきながら、保健師等、職員とも連携し、地域の医師会の皆さんとも連携して、健康づくりとか、いろいろなことも気にして仕事をさせていただいています。ところが、「市民の皆さんへ」と呼び掛けるときに、直接のデータを我々が持っているのは実際には国保対象者であり、限られた比率しかありません。民間企業あるいは共済組合等に入っていらっしゃる方の細かい医療・健康情報は、なかなか直接入ってきません。
 このことは、熱心な保健師であればあるほど、じたんだを踏む思いで見ていると思います。以前も申し上げましたが、国において、是非これらのデータを市町村なら市町村に集約させて、健康行政の中できちっとデータに基づく対応を考えていける。そのような体制をしっかりつくってほしいと思っています。そうしなければ、例えば今、乳幼児医療費助成とか、就学後の小学生・中学生の通院費・入院費の助成とかを各自治体それぞれでやっていますけれども、その推計をするときに、国民健康保険の比率がこれだけから、それを倍数掛けて、全体としたら多分これぐらいだなという、あくまで本当に大ざっぱな推計でやっています。
 これだけ先進国と言われながら、そういった基礎データもないままに、つかみの話をしているわけですね。こういったことが是非改善できるように、今すぐはできないかもしれませんけれども、国としてしっかり客観的データと専門的知見に基づく施策を打てるようにしてほしいと思っています。
 1つのチャンスは、近々になっていくと思いますが、社会保障と税の一体改革の関連もあって、共通番号、マイナンバー制度が導入されますので、そういった中で是非改善ができるようにしていただきたい。それぞれの保険者が持っているデータを、個々の情報が個人情報でデリケートだと言うなら、それは要りません。でも、こういった疾病がある、こういった傾向がある、こういった保健行政が必要だということを、ちゃんと計画を立てられるようなデータの集約・整理ができるように、国としても導いていただきたいと感じています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。2つとも御意見と理解してよろしゅうございますか。
○横尾委員 はい。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 小林委員、どうぞ。
○小林委員 社会保障・税の一体改革大綱では、急性期病床の位置付けを明確にし、医療資源の集中投入による機能強化を図るなど、病院・病床の機能分化・強化を推進するとあります。また、一般病床における長期入院の適正化を推進するとあります。一体改革では、消費税を10%に上げ、また保険料負担は増えるという方向を示されておりますが、同時に、増え続ける医療費に対しての適正化が実施されなければ、負担する加入者の方は到底納得ができません。
 先ほど、白川委員、齋藤委員からもお話がありましたが、そういった状況にもかかわらず、本日の資料を見る限りでは、医療費をどのように適正化していくのか、厚生労働省としての具体的な方策が資料に見られないのは、大変残念であります。
 先ほど、武久委員からお話がありましたが、療養病床の再編、平均在院日数の短縮についても、新しい具体的な対策について、国としてどうお考えなのか。あるいは、第1期の医療費適正化計画の中間評価で、国はどう考え、それに対して具体的な対策をどう考えておられるのか。医療費適正化について、国は決して努力の手を緩めずに、むしろ医療保険財政を考えると、2期目に向けて更に強化していくべきであるというのが、保険者共通の思いであります。
 医療費適正化計画というツールが、増え続ける医療費を抑えることに限界があるというのであれば、これにかわる対策として制度改正の議論もすべきではないかと思っております。
 保険者の厳しい財政状況からしますと、本日の資料は危機感が希薄と言わざるを得ないと考えております。資料では、これをもって各都道府県へ医療費適正化基本方針(案)を提示するとありますが、議論を今回で終わりとせずに、再度、国として具体的な医療費適正化の方策案を明確に示した修正提案を是非出していただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。特に、国としての基本的な考え方をもう少し明確にしてほしいという意見が相次いだわけであります。一方で、それぞれの地方の持つ特性というものが非常に重要視されるのではないかという意見があるということで、なかなか難しい議論ではあるわけですけれども、いろいろな御意見を今、承っております。
 ほかに何かございますか。それでは、初めての方、樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。これからの医療費の問題で、1つは、高度医療費、もう一つは、高齢者の医療費というものが何と言っても大問題だと思います。私は、皆様の中で高齢者である、数少ない1人だと思いますので、これから一体どう病んで、どこで死んでいったら自分も社会もよいことなのか考えています。
 それから、私は、どんなに高齢者になっても、1人の国民としての義務は果たさなければならないと思うと同時に、国はこの超高齢社会という初めて直面する、こういう状況に応じて、一人ひとりの高齢者が尊厳を持って満足して死んでいける状況というものを提示していただきたい。実は、今度の一体改革なども、その辺りも力強く国としての覚悟というか、方向性を示していただきたかったなと思っております。
 私個人しては、今度も北欧へ行って見てまいりましたけれども、終末期医療の日本的な、余りにも濃厚な状況には、若干の疑問を持っております。これは、いずれ専門家の方々などできちんと討論して、それを国民の前に公開して国民の意見を集め、終末期のケアについてゆるやかな国民的合意をめざしていただきたい。これは提案というか、お願いでございます。
 今の報告書に戻りますと、介護の方も、医療の方も、どちらもはっきりと在宅へ、在宅へ、病床数削減、介護型福祉施設も増やさない。できるだけ地域へ、地域へ。キーワードは、地域包括支援センター。私は、このことは基本的な流れとしては賛成でございます。だけれども、前にも申し上げましたように、急激な核家族化、ひとり暮らし高齢者の増加とともに、その中で適正化という名において、高齢者が医療的な措置を必要とするのに、在宅へ、在宅へという一方通行で、このごろ、医療部局から出される資料も、介護の方から出される資料も、国民もみんな自宅で死にたいとこんなに望んでいるのですよというデータばかりなのです。
 それは結構なのですけれども、在宅では不安ですという数字もその下にあるわけです。あえて男女別で申し上げますと、在宅でいいですよとか、在宅を願っている男の方に比べて、女性はせいぜい3分の2ぐらいで、在宅で、ひとりぐらしは断然女性が多数派なのです。
 それやこれや一緒にいたしまして、在宅へと言うならば、ベッド数削減とおっしゃるならば、地域の中でどのようにそれを支えていく仕組みがあるか。本当に医療費削減になるのか。この前の委員会、報告までに、介護と医療の連携ということについて、今までになく深く突っ込んでいただいたのはありがたいことでございますが、更にそれを深く、この中でも強調し、連携の中で安心して生涯を過ごせるようなイメージを、もっと書いていただけたらと思っておりました。
 ありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございます。基本的には高齢者医療費の問題でありますので、効率化という流れの中で、かえって医療へのアクセスが不十分になってしまうことがないような、在宅ということも踏まえても、さまざまな対策を同時並行的に考える視点が必要なのだということの御指摘だったと理解します。
 それでは、武久委員、先ほど手を挙げておられました。どうぞ。
○武久委員 先ほど意見を述べましたけれども、質問をさせていただきます。4つございます。
 医療費適正化のベースとなっております平均在院日数の算定の仕方について、事務当局にちょっと質問したいのです。算定しなくていい患者さんが、特定除外も含めて20種類いる。これを諸外国並みに是正するつもりがあるか。これは、はっきり言って保険局マターでないことかもわかりませんが、保険局としての御意見を聞きたい。
 もう一つは、一般の中にも慢性期の患者が、先ほど説明したようにいっぱい入っているし、今も入っている。急性期の中に慢性期の患者が混ざり込んでいるときのミスマッチのお金の浪費は莫大である。これは、支払い側みたいな言い方ですけれども、そうじゃないのですが、同じ考えです。そうなってくると、療養病床にも重症者が入っている。横断調査すると、一般より療養病床の方が重いカテゴリーの人もいる。
 そうなってくると、以前は4.3平方メートルと6.4平方メートルのハードの違いがありました。今、ハードが一緒になったら、マンパワーだけなのです。一般病床は、7対1、10対1、13対1、15対1と、看護師の数によって傾斜があります。療養病床は、20対1、25対1。これは、別に同じように一般と療養に分ける必要があるのかということで、入院病床として7対1から25対1に傾斜しても、ハードの状況が一緒であればいいのではないか。
 これは、一般と療養に分かれたのは、大昔からあるように、委員の皆さんは多分錯覚していらっしゃると思いますけれども、たった9年しか経っていないのです。だから、基本的に療養病床は長期の軽い人がいて、いつまでも入院している病床というイメージが、医療区分導入から重度の患者がいっぱい入ってきて、ターミナルで診ている状態に変わってきております。質問としては、一般と療養に分けている制度を、もうそろそろ見直したらどうかと思います。
 3つ目の質問は、白川委員がおっしゃったのですけれども、これはこの場で検討するのが適当かどうかは別です。介護療養型の話をされました。これは6年間の経過措置です。一方、この4月に同時改定のときに、従来型老健は在宅復帰の強化型にするのが当たり前だと限定されますと、実は介護療養型の病院内での死亡率は35%以上になっているのです。だから、このターミナルを診る機能は、従来型老健は2%から3%の間なのです。オーダーが全然違うわけです。
 これを転換型老健で診られるかというと、3分の1が亡くなっている状態のときに、夜中にしろ、日曜日にしろ、亡くなるわけです。ここで医師法がありまして、48時間以上前に診た人は死亡診断書を書けないのです。そうすると、金曜日に来て、日曜日の夜中に亡くなった方は全部検視になる。こういう法の不備がある段階で、医師の当直がないところでどんどん亡くなっていくのをみとるのだという政策は、整合性が私は十分ないのではないか。
 その辺のところで、私は介護療養型医療施設という名前はともかくとして、老健でも何でもいいですけれども、ターミナルとして介護療養型医療施設の機能をちゃんと維持しないと、従来型老健では亡くなることはできないのです。この点については、保険局のことではないと思うのですけれども、ちょっと質問したい。
 最後に、適正化のところで室長は、もっとほかのことも考えた方がいいのではないかとして、具体的に書いていないのですけれども、一方で、急性期病床群という概念が出てきて、一般病床、イコール全部急性期じゃない。そこを切り分けていこうという政策が行われると、そこを切り分けていくということは、対策室としては当然、医療費は適正化されていく方向に動いているのではないか。そことの関連をどうするかということが、今まだ医療部会でもあいまいです。
 我々、医療提供者側としては、びしっと急に区切られると大変現場が混乱するというのはありますけれども、こういうのが急性期で、こういうのが慢性期。したがって、急性期病床群、慢性期病床群、回復期病床群と、それぞれでグレードを分けてやった方が医療費は適正化される。医政局や老健局や保険局のいろいろな主張が、まだ固まっていない段階で、室長としてはこういうふうにするのは出しにくいと思うのですけれども、是非そういうことも検討してくれるのかどうかということで、その4つについて質問したいと思います。
○遠藤部会長 質問内容は、どうも当部会マターでないものがかなりあるように思いましたので、当部会としてお答えできる範囲で結構でございます。例えば、先ほどの療養病床と一般病床とを分けるなという話は、これは医療部会の話になりましょうし、さまざまなところで専門に議論するべきだと思います。御意見として承りたいものが幾つかあったと思います。
 例えば一番最初の平均在院日数の算定において、その特定除外等、計算基礎に入れないようなものがあるということについて、どのように考えるかということは、これはここでの議論としていいかなと思いますので、もしお考えがあればお聞きしたいと思います。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 済みません、平均在院日数は病院報告を使っておりまして、それでは特定除外の方を別に外すという処理はしていないと聞いております。済みません、私の知見がなくて、この場で十分お答えできませんが、そのように聞いております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。よろしゅうございますか。では、手短にお願いいたします。
○武久委員 聞いておりませんし、はっきりさせていただけますでしょうか。特定除外は平均在院日数に入れないことになっていますので、では、何に入れないのか。これには入っている。入れたり入れなかったりするようなデータでは、非常に信頼性がなくなりますので、そこははっきりしてほしい。
○遠藤部会長 それでは、今わかれば、後ででも結構ですのでお答えください。もし本日わからなければ、後日、正確に御報告いただきたいと思います。
 ほかにございますか。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 保険者の先生方のお話を伺っていますと、我が国の医療費が非常に高いというお話なのですが、他の先進諸国と比べますと、現時点で我が国の医療費は、高齢化率が断トツに高いにもかかわらず、最も抑制されている、対外的に見たら模範的な国なわけです。実額も低い、対GDP比も低い。そういう現状も踏まえた上での議論を是非していただきたいと思います。
 それでも、この医療費適正化計画をやれと言うのですが、社会保障と税の一体改革も、医療計画、健康増進計画や介護保険事業計画もそうですが、あるいは、今度の同時改定も、大きな意味で言えば厚労省は実際の取組みを通して、医療費の伸びをできるだけ抑制していこうという視点で取り組んでいるのではないかと我々には思われるわけです。しかし、現場の取組みがまず基本であって、しかもこれからますます高齢化率がピークに差しかかっていくわけですから、負担は嫌だという話だけじゃなくて、これをどうやって乗り切っていくかを皆で考えていく必要があるのではないかと思います。
 我々としては、既存資源である中小病院とか有床診療所のベッドを活用するということや、日本の入院や施設は外国のように高くないので、むしろ重度の人を無理に在宅で看ると入院や施設よりも高くなる可能性があることも踏まえた上で、入院や施設も活用した日本型の在宅を考えていく必要があると思います。増え続ける高齢者を放置するわけにはいかないわけですから、どうやってこの二、三十年を乗り切るかということを、負担も含めて是非一緒に考えていただければと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、岩本委員、どうぞ。
○岩本委員 ずっと議論が出ています平均在院日数の短縮についてなのですけれども、第1期の計画を立てるところで議論されていたことというのは、今日お話も出ましたけれども、当時の路線として、入院日数を短くすれば医療費が縮減されるのではないかといった考え方がかなり強くて、入ってきたと思うのです。現状では、そうではないという意見が大分出てきていて、今日の資料でも、この部会の過去の意見や都道府県の意見として、平均在院日数を短縮するようなことをすることによって、医療費が上がってしまうのではないかというのが随分出ているわけです。
 それで、社会保障と税の一体改革の方でも、シナリオとして、現状維持シナリオと改革シナリオがありまして、現状維持シナリオのもとでは、これから高齢者が増えていくということで入院ニーズの伸びに応じて、病床も機械的に増えるという前提で計算しています。その病床を増やすというのはしないで、平均在院日数を減らすとか機能分化を図るということで、現在の病床数に抑えようというのが改革シナリオの出発点だと思うのです。
 結果、全部の費用を計算しますと、医療費の方が節約になるわけではないし、医療から介護の方にシフトすると介護の費用が増えるということで、改革シナリオの方が、医療・介護を全部合わせた方が、費用としては結果、かかってしまうという推定になっていたと思います。
 ということで、ここで平均在院日数の短縮を目指すということを、この第2期でやることが、第1期の考え方と性格として大分変わってきているのではないかと思います。まず、質問としては、そういう理解でいいのか。すなわち、病床数をこれから余り増やさないようにしていくという方針のもとで、そうしますと入院ニーズが高まれば、全員を受け入れるためには平均在院日数は短縮していかざるを得ないという論点といいますか、そこが出発点になるということで、これまでの考え方から少しシフトしているのかということが1点です。
 それから、この医療費節約効果に関していろいろ疑問が出ているのですけれども、それに対する答えが、医療費推計ツールの方で効果を入れますという説明があるのですけれども、そこではどういうふうに考えているのかということが2番目の質問です。文章がちょっと理解しにくいのですけれども、今日のこれまでの御説明によりますと、機能分化を図ることによって費用がかかる部分があって、それとまた別個に平均在院日数で医療費が減る。そういったものが2種類あってという説明にも聞こえたのですけれども、ここのところは、その後者だけを入れるような計算を想定しておられるのかということをお伺いしたい。
 と言いますのは、それに対して、平均日数の短縮が医療費を節約するということに関しての懐疑的な意見というのは、それを区分できないというか、平均在院日数の短縮を図ること自体が医療費を上げてしまうということで、そこを2つ割るという考えをとらないということだと思うので、そうすると考え方がかみ合っていないというおそれがあります。その辺り、このツールの考え方を改めてお聞きしたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 よろしゅうございますか。初めの質問は、第1期のときの考え方との関係の基本的な考え方。
 もう一つは、ここでは推計ツールを提示するわけですけれども、平均在院日数と費用との関係の推計ツールということですけれども、どういう考え方に基づくのか。多分に疑問があるということであったと私は理解します。それでよろしゅうございますね。
○岩本委員 はい。
○遠藤部会長 それでは、御回答をお願いします。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 まず1点目の、病床の数と平均在院日数との関係ということですけれども、一体改革の考え方としては、病床が機能分化して、その中には当然、機能強化をする部分があり、そういった中で平均在院日数が最適化、短縮されていくという中で、病床数全体としては2025年もちょっと増える計算になっていますけれども、そういう病床の中で必要な患者に対してサービスを提供するという像を描いておりまして、それと、今回も基本的には同じような考え方で考えています。
 節約の効果ということで、御質問は資料の23ページの上の見通しの考え方に書いてあることと関連していると思うのですけれども、政府全体の方針といたしましては、先ほど申し上げましたように、まさにこれから機能強化を図っていくということを想定しております。そういう意味で、機能強化というのは、国としてもそれをやっていくという考え方に立っております。
 ただ、平均在院日数は、その機能強化を図った結果としても生じますし、一方で、平均在院日数の減少には、地域でのいろいろな医療機関間の連携、あるいは医療機関と在宅、あるいは介護サービスとの連携といったものの関係性の中で、平均在院日数が短縮できるという側面もございます。
 そういう意味で、今回は県が立てていただく計画ですから、県として、まさに地域でできること、すなわち、それは医療機関間の連携だったり、あるいは医療と介護の連携だったり、こういったことを県として取り組んでいただくことの効果として、それの結果として平均在院日数が短縮するといったことの効果を推計したいと考えているところでございます。
○遠藤部会長 岩本委員、どうぞ。
○岩本委員 大体わかりましたので、また詳細が出たところで、この議論をさせていただきたいと思いますが、1点つけ加えますと、介護へのシフトが生じるのであれば、介護の方でどれくらい費用が増えるのかということも試算できたら、これは行政の方にも役に立つのかなと思います。
○遠藤部会長 可能であれば、よろしくお願いいたします。
 これに関連いたしまして、平均在院日数の短縮が必ずしも医療費の削減につながらないという御意見もあったわけなので、ここでは23ページに書いてある推計ツールというのは、平均在院日数をベースにして医療費を推計するというツールになっておるわけですね。ということなので、どういう考え方に基づいて、それを計算しているのか。いずれ、これは考え方がここで示されるという理解でよろしゅうございますか。
 同時に、更に難しい問題として、生活習慣病の予防によって医療費がどのぐらい削減できるかも、一応ここでは推計できるツールという形になっておりますので、どんなふうに考えているのかということも含めて、今でなくても結構なのですけれども、お示しいただければと思いますが、室長、いかがでしょうか。
○鈴木医療費適正化対策推進室長 この推計ツールについては、後日またお示ししたいと思いますけれども、今の時点で考えますと、先ほどの話とも関連しますけれども、推計ツールの平均在院日数のところですけれども、これは医療・介護について充実、重点化、効率化を行った場合の全国推計から得られる医療費と書いています。これは、まさにこれから機能強化と、それから重点化・効率化を行った場合に、全国的には医療費がこういうふうになりますということを基に、そうなったときの平均在院日数の日本全国の関係を推計のベースにしたいと思っております。
 そういう意味で、ここではいろいろ今後、追加投入あるいは効率化を行ったことと、平均在院日数が関係性が出てくるということを基にしていますので、そういう意味で、全国ベースで、私どもとしては医療費の増加が、その平均在院日数が減ることによって抑制される部分の効果がある。マクロの全体の医療費が減るという意味ではないですけれども、適正化の効果そのものはあると考えております。詳細、またここではなかなかわかりにくいので、実際の推計ツールを今後開発していきますので、その際、きちんとわかるようにお示ししたいと思います。
○遠藤部会長 よろしくお願いいたします。岩本委員の先ほどの御発言の一部も、ツールの御説明の中で多少解決できるかなと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
 それでは、堀委員、どうぞ。
○堀委員 先ほど来のお話を聞いていて、総論的に申し上げたいことがございますが、我が国の今ある超高齢社会で医療費が伸びていくということで、それに対して、現在の我が国の公的医療保険制度の質を維持しながら、いかに乗り切っていくかということが問われているのだろうと思っております。
 その1つとして、例えばこの医療費適正化基本方針があり、一方で消費税の問題等が出てきているわけですので、先ほど来、この基本方針だけにとらわれて、国の医療費抑制に対する決意やいかんというお話が出てきております。その切り口は理解できますが、我々医療提供者としては、あくまでもそれは現在の我が国の医療の質を維持しながら、それを乗り切っていただきたいということがありますので、質を損ねてまでも踏み込んだ数値目標等の設定については、是非国民目線に立って理解をしていただいて、議論を進めていただきたいと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。当然の大前提の議論だと理解しております。
 それでは、齋藤委員、どうぞ。
○齋藤訓子委員 これからは病気にならない予防を目指していかないと、財政的にももたないというのは、これはだれの頭の中にもあることだと思っております。そういった意味で、特定健診と保健指導が任意事項になったというのは、若干残念なことと受けとめております。
 先ほど横尾委員も言われましたように、これから保険者や市町村等が健診や保健指導の実施率を高めていくためには、目安を示して、目標を示して、それを達成するための計画、それから計画に沿ったさまざまな施策の実施、そして評価といったものにかなり実効性を持たせていかないといけないと思います。
 県では、保険者や市町村がこういった事業等々に取り組みやすいように、データの共有化を積極的に図るとか、成果、ベストプラクティクスや成功事例といったものを、各保険者等々で学び合える場を、県なりが積極的に提供していただきたいと思っております。そのことによって、いろいろな知見やノウハウが広がって、実質的効果のある保健指導に結び付いていくのではないかと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。重要な御指摘をいただきました。
 続きまして、安部委員、どうぞ。
○安部委員 今日、いただいた資料の3ページの3計画と医療費適正化計画の関係、それから5ページの位置付けというところに、この医療費適正化基本方針と医療計画、介護保険事業支援計画といったところが相互に調和する必要があると書いてあります。そのとおりでありまして、十分に連携する必要があると思うのですが、私も都道府県の会合などに出ておりますと、介護保険事業支援計画、もう既に24年に計画が定まっておりまして、今になって、今回の医療計画とか医療費適正化基本方針を新たに組み入れることがなかなか難しいのではないかといった感じがしております。
 そういった意味では、是非今後、この医療費適正化基本方針が都道府県に落ちるときに、既に策定されている介護保険事業支援計画等と有機的にというか、非常に密接に相互に調和できる、このポンチ絵と同じようにできるような御指導と言うのでしょうか、都道府県に対する御支援をいただきたいと思います。
 要望でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、山下委員、お願いします。
○山下委員 大体、皆さんの意見を聞いていたら、納得できるようなお話が多かったと思います。これは一つの要望なのですけれども、私としては、介護予防といったものは非常に大事だと考えておりますが、多少泥縄的な部分もあるのではないかと思っていますので、これは国を挙げて、医療費の問題というのは非常に大事な問題なので、その中心に厚生労働省がいると思います。
 例えば、早いうちの教育もすごく大事ではないかと考えておりまして、これは文科省マターだと思うのですけれども、小・中学生のうちから、こういった特定健診とか健康の問題について、非常に大事なのだと。医療費というものが財政を非常に圧迫しているという部分で、そういった教育を厚生労働省から働きかけて、是非お願いしたいなと思っております。長い将来を担っていく若い子どもたちが、そういう認識を持って成長していくことが非常に大事じゃないかと思っていますので、是非その辺をお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 武久委員、手短にお願いいたします。
○武久委員 先ほど、平均在院日数を短くすれば、医療費はむしろ上がるという言い方をされましたが、ここにも書いてありますけれども、これは個人の一人ひとりの医療費と総医療費との違いであって、例えば1か月に1人の人がずっと入院しているのと、4人の人が1週間ごとに入院するのであれば、その病院の収入は、当然1週間ごと、4人入院する方が高い。だけれども、1人当たりは低い。
 要するに、2025年に1.5倍の方が亡くなるわけですけれども、入院を1回して亡くなっても入院患者1.5倍になるし、2回入院して2回目に亡くなると3倍になるわけです。患者の数が増える。その患者を全部収容するように病院をつくれば、医療費が3倍になる。だけれども、それをつくらないで、平均在院日数、入院している期間を3分の1にすれば、病院は最初に入院した1週間の方が高いですけれども、個人の1人当たりの医療費は確実に下がる。2つの要素があるということを考えています。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。それでは、さまざまな御意見が出たわけでありますけれども、これは当初、事務局から説明がありましたように、医療費適正化基本方針の改正案のたたき台が今、出ておりますけれども、これを固めていくための意見聴取ということでありますので、これらの意見を踏まえながら、今後固めていくようにお願いしたいと思っております。
 それでは、次の議題でございますが、「その他」でございます。これまで当部会で議論していただきました審査支払機関の在り方について、6月13日に衆議院決算行政監視委員会が開催されまして、小宮山厚生労働大臣から検討結果の報告を行っていただいたということなので、その件につきまして事務局より御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。保険課長、どうぞ。
○西辻保険課長 審査支払機関の在り方につきましては、この部会におきまして3回にわたって御議論いただいたわけでございますが、去る6月13日に衆議院決算行政監視委員会行政監視に関する小委員会から、昨年12月の決議に関して、政府として講じた措置を報告するよう要請がございまして、厚生労働大臣より口頭で報告を行ったところでございます。
 大臣からは、審査支払機関の統合に関する保険者に対するアンケートの結果、あるいはコスト推計、これらについて紹介するとともに、医療保険部会におきましては、可能な統合を検討することが有効との意見があった一方で、国保連からの審査部門の切り離しにより市町村国保の業務に支障が生じるおそれがあることや、統合により現場で混乱が生じることへの危惧等により、統合よりも業務合理化でコスト削減に取組むべきであるとの慎重な検討を求める意見、また、コストを抑えながら適切なサービスを確保するための改善の議論が今後とも必要といった意見等があったことを紹介するとともに、決議で指摘された統合に向けた検討ということに対しては、保険者を初めとする関係者の意見を聞いて、その理解が得られるような在り方について、引き続き検討していきたいとの報告が行われたところでございます。
 その後、決算行政監視委員会小委員会より、委員会におけるフォローアップ質疑等に必要な資料の提出要請がございましたので、当部会にお示しした事務局作成の資料あるいは両審査支払機関からのプレゼンテーション資料等を整理して提出したところでございます。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 引き続きまして、社会保障・税一体改革に関する最近の動きにつきまして、事務局より御報告をいただきたいと思います。総務課長、どうぞ。
○木下総務課長 それでは、もう既にいろいろなマスコミ等でごらんになっているかと思いますけれども、現在の状況について御説明いたします。
 全体的な国会は今日で閉じるわけで、延長は何日になるかわかりませんけれども、いずれにしても延長するという中で、自民党、公明党も含めて野党と、それから民主党、3党で6月15日に一体改革関連の確認という形がなされました。それが1点。
 2つ目が、同時に、自民党の提案でございますが、社会保障制度の改革推進法案というものを3党で提出するということでございます。今のお話につきましては、昨日の夜、民主党の会議がございまして了解を得ているのですが、最終的に提出したかどうかは、まだ確認できておりませんけれども、それが2つ目。
 もう一つは、全体としての社会保障・一体改革は7法案ありまして、その中で社会保障関係が5つございますけれども、それに関する修正案が、これも3党で合意しているという3点ございます。最初の3党の確認書、合意文書でありますが、6月15日に合意した中身につきまして、特に当医療保険部会で関連する部分が1つございます。
 その内容につきましては、こういうことでございまして、1つは、今後の高齢者医療制度に係る改革については、あらかじめ、その内容等について3党間で合意に向けて協議をするという確認書が交わされております。今後、3党間でまず協議を進めていくという方針になったわけでございます。
 2つ目の社会保障制度改革推進法案というものでございますけれども、この内容につきましては、医療保険の関係が幾つかございまして、全体として、これもまた後ほどお配りさせてもらいたいと思いますが、1つは、今日も御議論になりましたような健康の維持・増進、あるいは疾病の予防といったものを積極的に推進するとともに、医療従事者あるいは医療施設等の確保・有効活用を図る事により、国民負担の増大を抑制しつつ、必要な医療を確保する。
 2つ目が、医療保険制度については、財政基盤の安定化、保険料に係る国民負担に関する公平の確保、保険給付の対象となる療養の範囲の適正化等を図る。
 3つ目が、これは医療の提供の在り方なのですが、個人の尊厳が重んじられて、患者の意思がより尊重されるようということで、特に人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境を整備する。
 4つ目が、先ほどの3党の合意と同じでございますが、今後の高齢者医療制度については、諸般の状況等を踏まえ、必要に応じて社会保障制度改革国民会議において議論し、結論を得ることとするということで、こういった4つの項目につきまして必要な改革を実施するということが、その法律の中に書いてございます。
 国民会議につきましては、構成メンバーは、おおむね20人以内で組織していくということと、主に有識者でございますが、委員は国会議員であることを妨げないことという取り決めになってございます。こういったことを具体的に法案を提出して議論していただいて、また国会の終盤にかけまして国民会議等々の設置がなされるものと思っております。
 それから、3つ目の修正案に関してでございますが、パート・短時間労働者の適用範囲の拡大ということでございました。これが今回の年金法改正、健康保険法改正の中に入っておりましたけれども、その具体的な修正の中身でありますが、1つは、拡大の対象となる者の月額賃金の範囲、それから厚生年金の標準報酬等の下限を7万8,000円から8万8,000円に改めるということでございます。これに伴って、当初、この部会でも事後的な報告でございましたけれども、45万人という方々が今回、適用拡大になるということでございましたが、7万8,000円から8万8,000円に改めることによって、約25万人が適用拡大になるということになります。
 2つ目が実施の時期でありますが、当初28年4月ということでございましたけれども、約半年後ろ倒しをいたしまして、平成28年10月1日施行ということでございます。
 3つ目が法律の施行後3年までに、適用範囲を更に拡大するということの規定がございましたけれども、その規定に関して修正いたしまして、施行後3年以内に検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずる。
 こんな形での修正案が3党で合意されて、更に国会で審議されるという予定になっております。以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの2件の御報告につきまして、御質問、御意見、ございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございます。それでは、本議題はこのぐらいにさせていただきたいと思います。
 本日の部会は、これにて終了したいと思います。
 次回開催につきましては、追って事務局より御連絡することになると思います。よろしくお願いいたします。
 本日は、御多忙の折、お集まりいただきまして本当にありがとうございました。


(了)

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