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2011年12月16日 第8回社会保障審議会年金部会議事録

年金局

○日時

平成23年12月16日(金)13:00~14:31


○場所

厚生労働省18階専用第22会議室


○出席者

神 野 直 彦 (部会長)
植 田 和 男 (部会長代理)
逢 見 直 人 (委員)
小 塩 隆 士 (委員)
柿 木 厚 司 (委員)
菊 池 馨 実 (委員)
駒 村 康 平 (委員)
小 室 淑 恵 (委員)
小 山 文 子 (委員)
佐 藤 博 樹 (委員)
武 田 洋 子 (委員)
花 井 圭 子 (委員)
藤 沢 久 美 (委員)
森 戸 英 幸 (委員)
諸 星 裕 美 (委員)
山 口  修 (委員)
山 本 たい 人  (委員)
吉 野 直 行 (委員)
米 澤 康 博 (委員)

○議題

(1)これまでの議論の整理



○議事

○神野部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第8回になりますが、年金部会を開催したいと存じます。
 皆様には師走の大変お忙しい中を万障繰り合わせて御参集いただきましたことに、心より御礼申し上げる次第でございます。
 本日の委員の欠席状況ですが、欠席として御連絡をいただいている委員は小塩委員と吉野委員で、あとの皆様方は時間が時間でございますので、お昼の時間もございまして、遅れていらっしゃるのかもしれませんが、いずれ御参集いただけると思いますので、議事に入らせていただきたいと思います。
 それでは、カメラの方はこの辺で御退室いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。御協力いただければ幸いですが、よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○神野部会長 今回は、これまでの議論の整理を予定しております。議事次第につきましてはお手元に配付させていただいているとおりでございますが、事務局の方から資料の御説明をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○梶尾年金課長 まず、資料の確認をさせていただければと思います。資料は議事次第、座席表等のほかに、資料1、2、3と参考資料集という構成になってございます。もし不足等ございましたら、御指摘いただければと思います。
 それでは、資料1につきまして御説明をしたいと思います。
 資料1は、タイトルで「社会保障審議会年金部会におけるこれまでの議論の整理(案)」という資料でございまして、前回の第7回の会議の際にこれの骨子案ということで8ページものの資料を御報告いたしまして、そのときに幾つか御意見をいただいたところでございます。これまで8回の議論の整理ということで、前回は骨子案でしたけれども、(案)ということで文章にしたこと、あと全体の構成がわかるように目次をつけて、「はじめに」をつけたり、構成面ではそんなことをしてございます。
中身を見ていただきますと、2ページになりますけれども、「はじめに」で、これまで一体改革成案の中の年金分野の改革項目の実現に向けた検討ということで、再開の第1回が8月26日に行われて以来、今日が8回目でございます。
現在、政府・与党全体での社会保障・税一体改革の検討が進んでおるということで、後半の方で最近の状況をまた御報告したいと思いますけれども、本部会においては特に税制抜本改革や予算編成と関わりが深い事項及び子ども・子育て支援という課題、全体構成の中では?-1と2に整理してございますが、それについてこれまでの議論の一定の整理を行う。これらの項目については、この後御説明いたしますけれども、この部会で更に引き続き検討を加えますけれども、24年度予算への反映ですとか来年の通常国会への法案提出を目指すことが適当と考えると整理してございます。中身は後ほど御報告します。
3つ目の○で、?に掲載していますこれら以外の項目についても継続的に検討するということ。
4つ目の○は、短時間労働者への適用拡大は特別部会において、被用者年金の一元化については政府内における議論が進められているので、一定の段階で本部会に報告いただき、次期通常国会への提出を目指していただきたいという、全体の構成としてはそういう整理にしてございます。
3ページの「年金改革の基本的考え方」につきましては、これも前回の骨子案のときには「? 年金改革の基本的な考え方」ということで整理してございましたけれども、文章を膨らませたといいますか、内容自体はこれまでの年金第1回目等で御報告してきたような内容を整理しているということでございます。
3、4ページにつきまして、繰り返しになりますので今日は説明を省略いたしますけれども、基本的考え方ということでこれまでの経緯ですとか現在の課題、課題に対応する方向性を記載してございます。
4ページの2つ目の○では、新しい制度の創設に取り組むという方向性に沿って現行年金制度の改革を進めるための各項目の検討を行ってきたのだということ。
そして新しい年金制度の創設があるわけですけれども、新しい年金制度からの年金給付のみを受給する者が出てくるまでには相当な期間がかかることから、現行制度の改善も必要なのだということを、4ページの下の○に記載してございます。
次の5ページは「年金財政の現状」ということで、前回の骨子案では?で記載してございました。これまでの御説明とダブりますけれども、それをまた膨らませて文章化しているということでございます。
最初の○は現在の財政フレームワークの説明をし、2つ目の○に21年の財政検証を紹介し、3つ目と4つ目の○で最近の状況を御説明して、6ページに行きまして、前回の骨子のときには「大幅に悪化しているわけではない」で終わっていたものですから、それだと言葉足らずではないかというような御指摘もございまして、次の○で「一方、賃金が下落しているなど、現下の経済情勢は非常に厳しいものがあり、今後の年金財政の見通しは楽観できないものがあるので、長期的な人口や経済の趨勢を見極めながら、健全な財政運営ができているかどうか、注視していく必要がある」という記載を追加しているところでございます。
最後の○は、専門委員会など検討の場を設けて、そこでの議論も進めていきたいということを記載してございます。
次の7ページ以降が、これまで検討してきた事項の議論の整理という位置づけになります。
「? 優先的に検討すべき事項について」は、冒頭「はじめに」のところで申しましたように、税制抜本改革や予算に関連が深いということで成案に盛り込まれた事項として検討いただいてきた中の、そういった項目について議論の整理ということで、基本的にはまず「現状」を書いて、その後「議論の整理」を書き、その中で必要に応じ委員の意見を紹介するような構成にしてございます。
まず、基礎年金国庫負担2分の1の恒久化につきましては、「現状」のところの記載にありますように、第1回のときにそれは是非やらなければならないのだという建議をいただいたことを書きまして、その次の文章で、これも経緯を紹介し、23年度については復興債の発行により確保される財源で2分の1を維持する方策がとられている。これは前回の部会の際には、国会で法案を、衆議院の審議が終わったくらいのタイミングでしたけれども、無事参議院の議決も経まして法律が改正されて、23年度からこれで行われることが決まったという状況でございます。
それが12月7日に成立したわけですけれども、その法律では23年度について復興債で2分の1を維持するというだけではなくて、24年度から将来安定財源を確保されて、基礎年金国庫負担2分の1が恒久化される年度の前年度までの間についても、これは国会での一定の議論がございましたけれども、必要な税制上の措置を講じた上で基礎年金国庫負担2分の1を維持するというような条文になってございます。
そして、社会保障・税一体改革成案におきましても、消費税収による安定財源の使途の1つとしまして、税制抜本改革実施後は勿論ですけれども、それまでの期間の2分の1の財源に充てることもその中に示されているところでございます。
したがいまして、「議論の整理」としましては、第1回での建議にありますとおり、年金制度を安定的に維持する上で不可欠である恒久財源を確保するために、今度こそ税制の抜本的な改革を成し遂げ、2分の1の恒久化をするとともに、その前年度までの各年度についても2分の1の維持のために必要な額を先送りせずに年金財政に確実に繰り入れることを改めて求めるという「議論の整理」の案にさせていただいております。
次の8ページからは一体改革の成案の中で税制抜本改革と併せて実施をするということで、社会保障の機能強化に充てる3.8兆円、効率化の分を引いて2.7兆円の機能強化を図るという中に、年金の最低保障機能の強化で0.6兆円を充てるというものの一部になります。
「(2)受給資格期間の短縮」ということで、これは25年という受給資格期間がありますが、現状それを満たさずに無年金の方がいて、ただ納めた期間が短い方でも一定の給付を受けられるようにするべきではないかという意見があることを「現状」の欄に書きました。
「議論の整理」としては、最初の○から申しますと、資格期間の短縮を行う方向についてはこの部会では一定の賛同を得たのではないか。期間としては10年程度が妥当という意見が多かった。ただ、その際には原則は40年ということですので、10年でいいと思われない、誤解の生じることのないように周知徹底、広報が重要だという意見が多かった。また、国民年金保険の納付率を上げるための施策を講じていくことが必要という意見も多かったということを整理として記載してございます。
併せて以下のような意見があったということで、受給資格期間なしというのは余りよくないのではないか、一定の期間を置くべきだろうという意見ですとか、10年とする場合に免除とか空を含めて10年だと余りにも低額になるので、納付済み期間だけで10年という案もあり得るのではないかという意見もあったというようなこと。
あるいは9ページには、現在受給年齢に達してしまって年金を受給できていない人にも10年にする場合に効果を及ぼすかどうかについては、及ぼさなくても法的には問題ないけれども、及ぼすこともあり得るだろう。その場合でも、その方が65歳になったときにさかのぼってというのはよくないのではないかという意見があったことを紹介しているところでございます。
次の10ページからは「(3)低所得者等への加算」ということで、現在年金を受給されている方の中でも年金額が満額には満たなくて、しかも年金しか収入がないという形の方がおられるということで、保険方式で運営されているのですけれども、もう少し一定の役割を年金制度の中に持たせることもあり得るのではないかというようなことが議論されていることを「現状」に記載しました。
「議論の整理」としては、年金制度における最低保障機能の強化とか世代内の再分配ということから、税財源を使って低所得の基礎年金受給者への加算は方向性としては望ましいという意見が多かったと整理してございます。具体的に検討を進めるべきであると。
ただ、社会保険制度である日本の年金制度の中でこれをすべてやるのは難しいし、年金制度で対応する場合に社会保険の年金のパフォーマンスを下げてはいけないという意見も多かったこと、給付と負担の関係性を必要以上に損なわせないとか、納付意欲に悪影響を与えない、モラルハザードを生じさせないという留意が必要という意見が多かったことを整理してございます。
したがって、具体的な制度設計については今後更に検討が要るわけですけれども、最初9月にこの議論をいただいたときに例えばという形で資料にも書きました、定額なのですけれども納付済み期間に応じて段階的にするとか、あるいは前回の会議で未納期間の人ではなくて、免除期間であることに着目して加算するという形にすれば、納付意欲に悪影響とかモラルハザードにならないような工夫ができるのではないかとか、あるいは定率にすれば年金額が少ない人により多くなることはないだろうというようないろいろな御意見もいただいています。
これらの組み合わせも勿論あると思いますが、こういったさまざまな選択肢はこのほかにもあると思いますが、具体的な制度設計については引き続き検討が要るだろうと。
あと前回の会議の際には低所得者の範囲について、他の制度と比べて、他の社会保障制度における低所得者の範囲とのバランスなども要るのではないかという御意見もあったということも記載しているところでございます。
11ページには、この措置は新しい年金制度が公費財源の使い方について所得の低い方に厚目にということがありますので、最低保障年金の創設という方向性がありますので、そういった方向性を見据えているということですとか、あと繰上受給を行って低年金となっている人は繰上前の額で考えるべきではないかとか、あるいは行政コストが高くならないような、より小さくなるような仕組みを考えていくべきだという意見があったということを整理いたしました。
11ページの2つ目の○は、低所得者の老齢基礎年金の加算と併せて、障害基礎年金あるいは遺族基礎年金についても加算の検討が要るだろうという意見を記載してございます。
こういったことを踏まえて保険料納付のインセンティブを阻害しないような配慮を行うことと、事務執行の仕組みを含めて具体的な策について引き続き検討を進める必要があることを「議論の整理」として記載させていただいております。
次の12ページからは「(4)高所得者の年金額の調整」ということで、現在は年金を受給する際の所得の調査等は、所得等にかかわらず現役時代の保険料負担実績に応じて年金支給が行われる仕組みであるわけですけれども、ただ低所得者の方に加算することについては一定の税財源が要り、それは全世代での負担ということもありますから、高齢者の中での再分配も必要ですし、現役世代が高齢者を支えるという仕組みですから、現役世代と比較して高所得であるような方についての支給額を抑えることの世代間の公平も要るだろうと「現状」に記載しました。
「議論の整理」としましては、こういった世代内あるいは世代間の公平を図る観点から、高所得者の年金額の調整を行うことは方向性としては望ましいという意見が多かったということで、それに基づいて基礎年金の国庫負担分に限って一定以上の高所得者に対して年金額を調整するという制度の導入につき、更に検討を進めるべきであるという整理をさせていただいております。
次の○で、財産権ではあるのですけれども、公共の福祉の観点からの制約は憲法上許されるということであります。ただ、それは具体的な制度設計の中でどのように決めていくのかを考えていく必要がある。
併せて以下のような意見があったというところには、これも先ほどの低所得者の加算と同様、最低保障年金の創設という方向性を見据えた改正に当たるということ。
基礎年金のうち、国庫負担相当額だったら調整が許容されるんだという意見、一方で国庫負担相当額だったら減額が許されるという言い方だと、現在の年金制度の仕組みの中で国庫負担分だけは別だというのがいいのかどうかという論点もあるのではないかという意見。
あと年金額の調整を行う場合には財産権の制約になるわけですので、現役世代と比べても相当程度高所得と考えられる方を対象とするという考え方になるのではないかということ。
財産権との保護との関係では特に既裁定者、既に年金の裁定を受けている方についての財産権の保護に慎重な制度設計が要るでしょうし、将来の受給者についても、将来の受給者の信頼保護も考えなければならないのではないかといった意見もいただいております。
あと税制の方での検討ということも幾度か御意見をいただいたところでありますので、そういったものを含めて制度設計を検討せよということを最後の○に記載しているということでございます。
今の(2)(3)(4)は最低保障機能の強化というグループの、それぞれの税制抜本改革関係ということでございます。
次に「(5)特例水準の解消」ということで、これにつきましては内容は「現状」のところに記載のとおりであります。これまでの12年度からの約7兆円程度にも上っているということでございます。
「議論の整理」としましては、特例水準については早急な解消に取り組むべきという意見が多数だったと理解してございます。ただ、それに際しての年金受給者への丁寧な説明あるいは年金受給者が現在は特例水準になっているのだということの意識づけが必要ということ、ただ特例水準の解消法案については十分に時間をかけて適切に配慮していくことが必要だという意見があったことを記載してございます。
なお、当初は3年間の特例水準は1.7%だったのが2.5%に拡大したというような仕組みが、現在の制度の中にある点は問題があるので、今後更に拡大ということがないような見直しをまずする必要があることを一番下の○に記載してございます。これを実施するということは来年、24年度予算編成に関わるグループということで、ここに記載してございます。
以上が税制抜本改革及び24年度予算編成に関することで、特に優先的に検討すべき事項という位置づけでお願いしまして、これらにつきましては冒頭の「はじめに」のところに記載しましたように、来年の通常国会への法案提出を目指すことが適当というような位置づけにしております。ただ、一定の具体的な制度設計が残されている部分がありますので、これはこの議論の整理を踏まえて更に事務局の方で整理をして、また御意見をいただく機会を設けたいと思っているところでございます。
次の15ページは、最初の整理で申しますと子ども・子育てに関連の深い喫緊の課題ということで、「産休期間中の厚生年金保険料免除」です。これにつきましては育児休業と同様の扱いにすべきではないかというようなことで、免除措置をとることが適当であるという意見が多数を占めたということです。産休をとれずに退職せざるを得ないというような状況の改善にもつながるという意見もあったところでございます。
この措置については保険料財源、被用者間の支え合いによって行うことが適当であるとの意見が多かったということで、また次世代育成を支援し、将来の担い手を増やすことにつながって、年金財政にも好影響を与えるだろうという意見もあったことを紹介してございます。また、この措置を行うことについての財政影響への留意が必要という意見もございました。
また、介護休業中の厚生年金保険料負担免除についても検討すべきという意見を前回いただいたところでございますので、記載してございます。
これにつきましても冒頭の「はじめに」の整理で申しますと、来年の通常国会への提出を目指すことが適当という整理にしているところでございます。
次の16ページは別途特別部会があります「短時間労働者への適用拡大」ですけれども、これは特別部会で引き続き審議を進めて年金部会に報告いただきたいと記載するとともに、これまでの年金部会でこれに関していただいた意見を3つ目の終わりに記載してございます。
17ページは「被用者年金の一元化」ということで、ここも「現状」と「議論の整理」ということであります。これまでもこの会議で若干の報告をしまして、一定の御意見をいただいておりますので、そういったことを記載しているということで、16、17ページの2つの項目につきましても、来年の通常国会を目指して作業を進めるというような位置づけでございます。
次の18ページ以降は「継続的に検討すべき事項について」ということで、引き続き検討していくグループになります。これ以下の項目につきましては「現状」と委員の皆さんからどういう意見があったということを書き、そして今後引き続き検討が必要であるということでの「今後の課題」といった構成にしてございます。
「第3号被保険者制度の見直し」につきましては「現状」は省略いたしますけれども、委員からは3号制度そのものについて何らかの見直しが必要であるという意見、まださまざまな案があるのですけれども、これまでに合意が得られるものになっていませんが、個人単位でだれもが負担する方向に見直すべきだという意見、新しい年金制度で提示されている2分2乗という方向性を踏まえた夫婦共同負担案についても御議論いただきました。これについてはここに記載しているような理由で評価はできるという意見もありましたが、一方で結局不公平感は残るのではないか、また一定の遺族給付の在り方等について工夫が可能だとしても複雑になってしまう問題もあるのではないかということ、まずは短時間労働者に適用拡大を進めていって、第3号被保険者の縮小が必要だというような意見があったという形で整理してございます。
次の19ページの「(8)マクロ経済スライド」については現状、現在まで16年改正のスキームでありますマクロ経済スライドを発動していないわけですけれども、委員からはデフレ経済下でもマクロ経済スライドを行えるようにするべきという意見、その際には受給者に対して十分な説明が必要という意見、ただ制度の見直しについては長期的な年金財政の見通し等を踏まえた検討が要るという意見があった。
また、ちょっと角度を変えて、基礎年金については行うことは適当ではないのではないかという意見、一方で、現在の年金財政フレームは基礎年金についてもマクロ経済スライドを行うという前提ですので、やらないとしたら財政措置をどうするかとか、高所得者であっても基礎年金はあるわけですので、一律にやるのはやむを得ないのではないかという意見があった。
あと名称についてはもっとわかりやすい名前にすべきではないかという意見があったということで、引き続き検討という形に整理してございます。
20ページの「在職老齢年金」につきましては、累次の改正の効果をどう評価するかということが前提にあるわけですけれども、委員の意見としては、16年改正後の現在の制度で就労抑制効果があるのかどうかのより詳細な分析が必要ということ。
60代前半について見直しを行うといっても、60代前半の厚生年金があるのは今の50歳以上の方だけになりますので、特定の世代だけに給付増がいいのかどうかという意見。
あと現在は厚生年金に適用されている方の賃金収入だけが、在職老齢年金の適用の対象になるわけですけれども、そもそも総収入ベースでの判断を考えていくべきではないかといった意見があった。
こういったものも踏まえつつ、引き続き検討が必要という形で「今後の課題」の欄に記載してございます。
21ページは「標準報酬の上下限」ということで、委員の意見としては上限を引き上げるべきという意見と、あるいはそもそもルールをどう考えていくのかということを考えなければいけないのではないか、また企業への負担増になるから慎重に行うべきだというような慎重な意見が両論ありましたし、一方で標準報酬上限を引き上げる場合の給付への反映についても両論あったという形で、これらにつきましては全体の平均的な標準報酬がどういう姿になっているのかということも踏まえながら、引き続き検討が必要という整理にいたしております。
22ページは「支給開始年齢」という論点につきまして、諸外国の動向、日本の平均寿命の動向等を踏まえた検討課題として挙げたわけですけれども、いろいろ御意見もちょうだいしました。これにつきましては拙速な検討を避けて、将来的な課題として中長期的に検討を進めるべきという「今後の課題」欄にしてございます。
一体改革の成案に盛り込まれた事項についての整理は以上なのですけれども、それ以外の事項として23ページに「一体改革成案以外の事項について」ということで「遺族年金の支給対象範囲」について御意見をちょうだいしたところでございます。
ここにつきましては「委員の意見」ということで、遺族年金の男女差については基本的には解消する方向で検討を進めるべきという意見が多数だったと整理しました。
ただ、遺族年金は被保険者が死亡したときに、その者によって生計を維持されていた者に対して支給されるわけですけれども、生計を維持されていたという判定に将来にわたって年850万以上の収入を有しているか否かという判断基準については検討が要るのではないかという意見もあったということで、それらも併せて具体的な法的措置について検討することが必要だという形で「今後の課題」欄に記載しているところでございます。
最後のページになりますけれども、「その他」です。
この部会では成案の内容に盛り込まれた各項目についての検討を第一の目的ということでお願いしてまいりましたけれども、もとより現在の年金制度の課題はこれに限られるものではなくて、現行制度の改善という点についても成案項目以外にも、今の遺族年金のほかにもこの会議の中では特にということで、老齢基礎年金を65歳から繰り下げ受給の請求をした方が70歳を過ぎてから請求した際に、請求以降の月分しか受給できないことについての見直しだとか、いろいろ改善を考えなければならない事項と、あるいはこれは早く法改正すべきだと具体的に御意見をいただいたような項目もございます。こういったものにつきましては、政府において更に引き続き検討を継続していただきたいということを「議論の整理」として記載するとともに、あと公的年金制度の今後の姿を考えるのと併せて、企業年金や個人年金などとの関係をどのように考えていくのかといった老後の所得保障政策の全体像の議論も要るだろうという御意見を前回もいただいたところでございます。
あと参考資料集なのですけれども、これは前回お示ししたものとほとんど同じなのですが、一番最後のページをごらんいただければと思います。
さまざまな制度改正を来年の通常国会への提出を目指して検討せよということで整理した事項等につきまして、これが年金財政に与える影響はどうなるのかということを、個別のときにこれくらいという説明はいたしたことがあるのですけれども、前回もそういったものはちゃんと明らかにすべきという御意見をちょうだいしておりますので、整理をした資料でございます。
まず、年金財政への影響なのですけれども、1つ目の低所得者等への加算あるいは高所得者の年金額の調整という項目につきましては、税財源を低所得者に厚く配分する、あるいは高所得者については少なくするということで、保険料財源分には影響しないということです。国庫負担0.6兆円という最低保障機能の強化に使う分をここに充てるということではあるのですが、ここでいう年金財政というのは保険料の給付と負担の関係になるわけですけれども、そこについての影響は生じないというような項目でございます。
受給資格期間の短縮も税財源の使い道、0.6兆円の一部という御説明をしています。例えば老齢基礎年金を今、受給できていない方が受給できるようになるということで、それに伴って国庫負担が250億程度増えるということであるのですが、これは老齢基礎年金の国庫負担が2分の1だからこうだということで、給付費増としては500億円。したがって、250億円は保険料分が増える。保険料は国民年金、厚生年金、共済年金の保険の中から基礎年金拠出金として払われる分ですので、それは保険料負担が増えるわけでございます。
あと老齢厚生年金は、老齢基礎年金を受給できる方が厚生年金の期間があれば受給できるという仕組みですので、資格期間を満たしていないがゆえに老齢厚生年金ももらえてない方がもらえるようになることによって厚生年金の給付が増える分もあるということですけれども、これによる影響は、基礎年金給付費は約20兆円ですが、これの0.2~0.3%くらい将来的に増える。厚生年金の給付も若干増えるという形ではある。これまで「軽微である」とかそのくらいの説明をしていましたけれども、数字でいうとこれくらいのオーダーになるということでございます。
産休期間中の保険料負担免除については、これも厚生年金の保険料収入が200~300億程度減少することになるのではないかと会議の中で口頭で御報告しましたけれども、厚生年金の保険料収入は約23兆円ですから、これの0.1%くらい少なくなるということに当たることになります。
特例水準の解消の影響ですけれども、現在2.5%に相当する基礎年金と厚生年金の給付費が大体1兆円くらいですので、この1兆円分が特例措置の解消が図られますと、それだけの給付費の減少が見込まれるという形になるということでございます。
こういったものが更に長期の財政にどう影響するかということも話としてはあるのだと思いますけれども、これにつきましては別途専門委員会を設けて今後の財政検証をどうやっていくのか、人口推計も近々出る中でどのような計算を示していくのかという段階ですので、本日はこういう形での規模をお示しさせていただいたところでございます。
以上でございます。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 この年金部会で議論してまいりましたことを、前回骨子として整理案をお示しいたしましたが、それに肉づけをした案をお手元に配付させていただいたところでございます。それについて御説明をいただきました。御意見がございましたらちょうだいしたいと思います。いかがでございましょうか。
 逢見委員、どうぞ。
○逢見委員 私は前回欠席したもので、骨子案についての議論には参加できなかったのですが、前回の議論の状況は話を聞いてございます。そのときも議論があったようですけれども、年金財政の現状の記載について、5、6ページには比較的楽観的といいますか、財政的には健全であることが述べられています。6ページの最初の方の2つの○で、「今後の動向によって注視していく必要がある」との記載もありますが、今回の社会保障・税一体改革の成案が、経済動向や、あるいは人口動向によっていろいろな制度的なほころびが出た社会保障制度について手直しして、国民の信頼を得るために制度の充実を図っていかなければいけない項目と、同じく国民の信頼を得るために制度の持続可能性をきちんと立証するため、給付の効率化、重点化についても考えていかなければならない。年金についても充実する部分がある一方、効率化、重点化ということで、例えば特例水準の見直しなどが論点になっているということが各論の方にあるわけです。
 そうすると、効率化、重点化の必要性をきちんと国民に納得していただくためにも、財政の点についても、そういった指摘が必要なのではないかと思います。
 政治もそうですけれども、部会としてもこれからそういう必要性を説明していって、国民の理解を得なければいけないと思います。そういうときにやはり財政がこうだからということは数字をもってきちんと示していく必要があるだろうと思います。
 以上です。
○神野部会長 これは、充実する部分、効率化、重点化する部分などについての政策を打つ際には、財政面での影響その他も示した上で国民の納得を得るようにという御意見でしょうか。
○逢見委員 はい。
○神野部会長 承っておきます。
 いかがでございましょうか。
 どうぞ、柿井委員。
○柿木委員 11ページの○の最後の部分でございますけれども、「保険料納付のインセンティブを阻害しないような配慮を行った上で、事務執行の仕組みも含め、具体策について」というような書き方なのですが、この議論をした際に、低所得者に加算する場合には公平な所得捕捉が必要だという話がありましたので、そういった視点を加筆していただけたらと思います。
 併せて、将来的に番号制度の活用ということも話題に上りました。近い将来は難しいかもしれませんが、いずれにしても番号制度の活用も将来的に極めて重要だといった指摘を加筆していただけないかというのが2点目でございます。
 3点目は表現上の問題ですけれども、7ページで「基礎年金国庫負担1/2の恒久化」と書いてあるのですが、これを文言どおり読みますと、2分の1を恒久化するような文章になっています。しかし本来は、基礎年金の国庫負担の2分の1を維持するための恒久的な財源の確保ということだと思います。そうであれば「2分の1の恒久財源の確保」という表現の方が正しいと思います。
以上、3点でございます。
○神野部会長 ありがとうございます。
 あとはいかがでございますか。
 どうぞ。
○山本委員 基礎年金の国庫負担の2分の1については、なかなかうまく進んでいない現状もあるやに聞いておりますので、24年度から確実に実施できるという姿勢で臨んでいただきたいと思います。
 それから、低所得者等への加算の問題ですが、これについては、高所得者の年金額の調整とセットで行うべきであり、給付の拡充だけが先行して、2015年の追加所要額2.7兆円の枠を超えるようなことのないようにしていただきたい。
 それと特例水準でございますけれども、マクロ経済スライドの問題は長引けば当然先へ進むことになりますので、将来へ負担を先送りしていくことを避ける意味でも、是非3年以内で特例水準を解消していただいて、なるべく早い時点でマクロ経済スライドを導入していくという方向で検討していただきたいと考えております。将来へ負担のツケを回さないということが肝要だと指摘をさせていただきます。
 もう一点、短時間労働者への適用拡大の問題ですが、第3号被保険者制度、被扶養配偶者の認定基準、それから、標準報酬下限等々の議論がございますので、それらを総合的に検討した上で、審議会としての結論を出していくべきと考えます。
 最後に1つ、将来の「年金財政への影響」というので、今回の改正に関わる年金財政への反映が数字的にここで表現されております。今、世論の方を見ますと、若い人たちで将来は年金がもらえないのではないかと思っておられる方も随分いるようです。そういった方々の不安を払拭する必要があるのではないでしょうか。保険料を払っても、その分の回収は不可能だというような世論が横溢しているように思えます。将来の生活のビジョンが立たないという若い人たちの不安が蔓延しているようにも見えますので、現状に即した正しい情報をそうした方々に伝え、今の年金制度は大丈夫だという信頼感を持っていただけるような広報をより充実していただかないといけないと思います。自分の将来はないかのように思っている人たちが多いように見えますので、そうした改善をお願いしたいということでございます。よろしくお願いします。
○神野部会長 御趣旨了解しました。一応ここで対応できる以上のものはどうするかということを含めて検討していただいて。
 あとはいかがでございましょうか。
 駒村委員、どうぞ。
○駒村委員 本日まとめていただいた議論は、ほぼこれまでの議論を反映しているのではないかと思います。1つは今後の議論における資料のお願いと、もう一つは意見であります。
 16ページの「短時間労働者への適用拡大」であります。これも前回の資料4で議論の状況、拡大に関する考え方の整理が進んでいるという御報告を受けているところですけれども、この部会では直接議論ができていないわけですが、関係するところとしては、適用拡大に当たってやはり厚生年金の事業所に対する適用状況をきちんと把握していただきたい。かえって未適用が増えないような工夫をしていただきたい。これが1つ目。
 2つ目は、現在公共部門でも短時間労働者、非正規が増えていると聞いておりますので、これに対する適用拡大の問題もあるだろうと思います。
 3つ目は、本来ここで議論するかどうか難しいところですけれども、介護や障害福祉の分野も適用拡大の影響を受けるのではないかと思います。こういう分野は基本的には価格は厚労省が決めている公定価格で設定されていますので、適用拡大に伴うコストを価格に転嫁できるわけでもなく、経営努力も限度があると思いますので、ここでいびつなことが起きないように十分介護や障害福祉の報酬の方に考慮していただきたい、あるいはモニターをしていただきたいなと思います。ここで係る費用が発生した場合は当然一体改革に伴う機能強化に伴う費用ということで財政措置をしていただきたいなと思います。それが意見であります。
 もう一つは12ページでありますけれども、「高所得者の年金額の調整」については更に綿密な議論をしておく必要があるのではないかなと思います。下の段にあるように、国庫負担相当額あるいは国庫負担相当分がどういう性格のものであるのかを改めて整理していただきたい。
 1961年に国民年金ができたときにたしか3分の1の補助、国庫負担があって、それが70年代に拠出時の補助から給付時の補助という形に性格が変わり、更に基礎年金導入の85年、基礎年金に対する3分の1の国庫負担に変わり、更に2分の1に上げてきたという経緯の中で、国庫負担分の性格が変わったのか変わっていないのか、そのときの議論を整理していただきたいと思います。
 以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 ほかにいかがですか。
 菊池委員、どうぞ。
○菊池委員 5点につきまして申し上げたいと思います。
 まず11ページの駒村委員がおっしゃったことでもあります障害基礎年金のところです。前回私は申し上げましたけれども、障害者施策は内閣府でまとめられていますが、それとその他厚生労働省所管の障害者施策が分断されているという印象を非常に強く受けています。障害基礎年金に加算を行うのであれば、総合障害福祉法におけるサービス給付の負担をどうするのかといった視点も必要ですので、具体的に以下のような形で御提案申し上げます。
 「障害基礎年金についても行う必要性があることについては、概ね賛成の方向を得た」の後に、「なお障害基礎年金については、障害者施策全体との兼ね合いで検討すべきであるとの意見、更に、」という形にしてはどうかという意見でございます。
 2点目は12ページ目の「高所得者の年金額の調整」ですが、まず下から2つ目の○の後段部分でちょっと意味がわからないです。まず2行目の「とき」は「場合」にした方がいいと思いますけれども、その後にある「今回の措置の位置づけについては、詳細な制度設計を検討する際に決定する必要がある」の意味が私には不明で、「今回の措置については、累次の判例に示されている判断基準を参考にしながら、慎重に決定する必要がある。」という趣旨なのか、そういう趣旨ではないのであれば説明していただきたい。そうではないのかもしれないとも思っています。
 3点目はその下でありまして、下から2つ目ですが、これも駒村委員がおっしゃったことと関わるのですが、私は年金政策の哲学の根幹に関わるような改正だと思っていますので、今までもその趣旨は申し上げてきたつもりです。本来であれば2つ目の「考えについては」の後に「日本のこれまでの社会保険の基本的考え方とは異なる性格を持つ仕組みともいえ、」ぐらいの文言を入れていただきたいところではあるのです。
 それがちょっと強過ぎるというのであれば、私もそこまではっきりとこれまで申し上げてきたわけでは必ずしもないのですが、ただ「慎重な検討」というような表現だけではなくて、もう少し踏み込んで慎重論があったということをお書きいただけないものかということであります。できれば先ほど私が申し上げたような表現であれば一番クリアーかなとは思っております。
 4点目ですが、21ページの下から2つ目の○、それから、一番下の○ですが、給付への反映の仕方について、ベンドポイント制のようなやり方も考え得るのではないかという意見がありましたけれども、それが入っていないというか、読み取れないかなと思いました。表現の仕方は幾つかあると思うので工夫していただきたいですが、例えば下から2つ目の○の2行目、「所得再分配の観点から、反映させるべき部分については工夫の余地はあるにせよ、積極的に行うべきとの意見と」というような表現とか、あるいは一番下の○のところで「給付への反映の有無・程度については、」あるいは「給付への反映の在り方については、」と、そういう少し含みを持たせた方がいいのではないかということです。
 最後ですが、「遺族年金の支給対象範囲」、23ページですけれども、議論では反対意見はなかったように思います。この流れですと、下から2つ目の○で「財源も必要である点に留意が必要」ということでどうもちょっと後ろ向きのような感じも受けるのですけれども、少なくとも異論はなかったという意味では、例えば一番下の○で「範囲の拡大については、基本的には解消する方向で、これらの点についても検討を」という少し前向きな表現で入れられないか。
 以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
 これは委員の皆様方の意見ですので、委員の皆様方の趣旨に合うような表現をまず基本とすべきなのですけれども、事務局の方から何か、特に12ページその他で菊池委員が御指摘になった点などについて、委員の方々から出された御意見の趣旨とその他コメントがあれば。
○梶尾年金課長 ありがとうございました。
 これはこれまで8回の議論の整理ということで、極力委員の皆様の意見をしっかり反映させた形でと思っておりますので、今、いただいたような御意見につきましては趣旨をたがえないような形で表現をしていくように考えたいと思っております。
2点だけコメントなのですけれども、1つは今の「高所得者の年金額の調整」の「議論の整理」の2つ目の○のところについては、この原案で書いていますのは、多分一致していると思うのですが、表現のつたなさだと思うのですけれども、最初の2行はいいですが、今回もこれをやる場合に、やる内容が財産権の制約の関係でどういう整理で公共の福祉との観点から可能であるのかをしっかり整理しないといけないですよと部会から設計する側に注文をつける必要があるのだということを、今回の措置をやる場合になぜそれが許されるという整理になるのかをちゃんと詳細な検討の際に整理しないといけないですということをここには書いたつもりで、それがうまく伝わっていないとしたら表現が悪いので直さないといけないと思います。
ただ、ここの部分に「慎重に検討する必要がある」と書くのは、ある意味若干ニュートラルな表現の方がいいかなと思いますけれども、そこはちゃんと整理をしないといけないのだということをしっかりここに書くつもりでございますので、御意見を踏まえて調整をと思っております。
基礎年金国庫負担2分の1のところで、2分の1を恒久化ではなくて、2分の1を維持する財源の確保ではないかということなので、ここはわかりにくくないように表現の形を工夫したいと思います。
今の年金法は、本則は基礎年金の国庫負担は2分の1です。しかし、税制改革によって安定した財源を確保して2分の1にするということなものですから、本則になることを恒久化というような言葉遣いをしているのですが、意味合いとしてはしっかり財源を確保していくということなので、そこはわかるような形の表現にしたいと思っております。
○神野部会長 佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 2つあります。
 1つは3ページの?のところの書き方なのですけれども、今回のとりまとめ、議論の整理ということですが、やはり今回我々が議論したことをわかりやすく国民に説明することは大事だと思いますので、3ページの下のところで議論はどういうふうにしたかというと、???の方向を目指して、つまりそういう方向の年金改革を目指すということで議論してきたと書かれているのです。
 そのときに特に?以降取り上げた事項があるわけですが、それぞれがこの???にどう関わるのかということを少し初めに説明しておいた方がいいのではないか。
 例えば先ほど御説明の中で受給資格期間の短縮とか低所得者等への加算とか、年金調整のところは最低保障機能の確保というようなことで取り上げたということだと思いますし、多分?の「新しい仕事への挑戦や女性の就労を妨げる年金制度であってはならず、働き方、ライフコースの選択に影響を与えない、一元的な制度」というところで、短時間労働者への年金適用拡大とか3号の問題とか、ちょっと狭いですけれども産前産後休業中の社会保険免除とかを取り上げたと思うので、その中の優先順位は勿論あったわけですけれども、ですから取り上げる項目とこの3つとの関わりが少しわかるように説明しないと、我々はそれで議論してきたわけですが、読み手としてはここと後ろがわかりにくいかなと思うのです。もうちょっと3ページなり4ページのところを、後ろで取り上げたことがどう位置づくのか、それぞれの項目がどう関係するのかをわかるように初めに書いていただくと、読み手としてはわかると思う。
 もう一つは、なぜ優先的に取り上げるものとそうではないものが分かれたのかというところは書きにくいかと思いますけれども、ここも正直言ってどこにも書いていないのですね。ですから、そこは書けるかどうかは別で、でも言った以上、何か基準があったわけなので、議論はしたけれども意見がまとまらなかったというのも1つだと思うのです。そこは少し書けないかなという書きぶりのところです。
 あと細かい点ですけれども、15ページの産休中の何度も伺っている点なのですが、1つは初めの○です。これまで産前産後休業期間は保険料免除となっていなかった。その理由が、産前産後休業は使用者の義務だからと、本当にそういうふうな説明をされてきたのか。私が伺っていたのは、少なくともまず働いている人の側は産前産後休業中も健保から6割出ていたので、そういう意味で負担をしてもいいんだという説明を多分担当者の方はされていたと思います。
 使用者側についてはほとんど説明されてこなかったのです。つまり使用者の人は働いてもらっていないのです。だけれど、保険料だけ負担しているのです。この理由は何かということを多分言ってこなかったのではないかということが1つです。
 ですから、育児休業は労働者側の権利なわけですけれども、それで権利を行使すると免除されるのと、なぜ免除されていなかったのかという説明がこれでいいのか私は理解できないということ。
 あともう一つは、最後に「財政影響に留意」と書かれています。ここは試算を出していただきましたが、育児休業は法定で子が1歳になるまで、保育園に入れない場合は1歳プラス半年なのですけれども、ところが社会保険の免除の場合は3歳、ここがもともとおかしいわけです。
 つまり育休の法定以上に社会保険免除だけあるわけです。ここもなぜかわかりますか。もし財政的なことであればここは本来下げるべき。法定の育休と合わせるように、1歳プラス半年までを免除期間にし、上をやめるということです。それで産前産後休業を社会保険で免除するのが普通の考え方ではないかと思うのです。
 ですから、私の意見としては、3歳まで免除していること自体が実は法定の育児休業と合っていないのです。そこもおかしい。後ろだけ免除してしまって前を免除しなかったというところもそごがあるので、その辺は財政に問題があるとすれば、つまり女性の就業率を高めるということですから、基本的には必要な休業をとって早く復帰していただいて働いていただくということですから、長い育児休業は本来想定すべきではないだろうという意味で、社会保険料免除だけ3歳まであるのは実はおかしいのではないかと思います。
 以上です。
○神野部会長 最初の委員のおっしゃった趣旨が私は理解できていないのかもしれませんが、ここで優先的な課題その他に取り上げたことなどについて、どうしてこの課題をアジェンダとして取り上げたのかという趣旨でしょうか。
 つまりもともと成案があって、現行の改善があって、そのうち優先的な課題にしたものについては、つまり税制の一体改革と関わることと子育てに関わることと2つに分けてこれは優先しますよという書き方になっているわけです。それに加えてということでしょうか。
○佐藤委員 私は優先的なことには余りこだわらないのですけれども、多分これだけ読む方がすごく多いと思うので、そういう意味では3ページの???、つまり後ろで取り上げる項目が、それぞれがどれに入るかということがわかる方がいいのではないか。
 例えばこれとこれは社会保障機能の充実に関わるテーマで、これとこれはライフコースの選択に影響を与えないテーマでというような、それぞれ後ろで検討する項目の位置づけみたいなものが読み手としてわかるといいかなと。
○神野部会長 わかりました。
 あとはいかがでございましょう。
 花井委員、どうぞ。
○花井委員 14ページの「特例水準の解消」について意見を述べたいと思います。真ん中の辺りの「議論の整理」ですが、特例水準については、私どもも解消すべきだと述べてきました。
 ただし、「議論の整理」には記載がないのですが、特例水準の解消期間については、当初3年間という提案がありました。部会の議論では、1年とすべきだという意見と3年で解消とすべきという意見が出ていることも十分承知しておりますが、3年で解消する場合、現在の物価下落の状況を踏まえると、1年の下げ幅が1%を超えてしまう状況にあります。
 負担を若い世代に先送りすべきではない点も十分理解しているのですが、それにしても今の高齢者にとっては1%を超える年金減額は相当急激な変化になるということを踏まえると、やはり5年以上かけて解消ということも1つあるのではないかと思っております。したがいまして、下から2行目なのですが、「特例水準の解消方法については、年数については」との記載について、「5年以上とするなど、十分な時間をかけ」というような修正をお願いしたいと思います。
 2つ目は、今、佐藤先生がおっしゃいましたように、育児休業を策定するとき所得保障をどうするかという問題があり、そのとき比較対象になったのが産前産後休業期間の在り方だったわけです。ここのところはやはり当時6割出産手当金が出ているということで、社会保険料免除は検討課題として出てこなかったというのがありますので、そこについては先生がおっしゃるとおりだと思います。
 以上です。
○神野部会長 あとはよろしいですか。
どうぞ。
○米澤委員 多分読まれるのはこの整理というか、中間報告みたいなものが中心になると思います。今日はせっかく出していただきました「年金財政への影響について」という貴重な数字がまとめられているものがありますので、こういうものがひとり歩きされるのも困る点もあるのですが、この数字を私が見る限り、機能強化に関する部分はそう大きな財源の支出ではないという理解もありますので、この数字を優先的に検討すべき事項の最後辺りに、これが財政的に与える影響を書かれてもよろしいのではないかと思います。今、最初に委員の方がおっしゃったように、やはり年金財政に加えてこういうような機能強化をされた場合にはどのくらい難しくなるのか心配している方が多いかと思いますので、安心といっては語弊がありますけれども、この程度なんだということ。
 最後にちょっと特例水準の解消の仕方のところもやり方によっては数字が変わってくるかと思いますが、わかる範囲でこの数字も含めて、これだけ給付の減少が見込まれるということも出てきていますので、これは本文の方に入れておいた方が情報としてはよろしいのではないかと思います。その点を検討していただきたいなと思っています。
○神野部会長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○植田部会長代理 今の御意見に関連するのですけれども、参考資料の「年金財政への影響について」という紙を見ますと、おおむね特例水準の解消の影響はそこそこ大きいわけですが、その他はもうひとつ小さいという印象を受けます。
 例えば最初の低所得者層等への加算というところです。これは国庫負担への影響のみであるため影響はないという書き方になっているのですが、ある意味無責任という感じがするわけです。
 というのは、たしか先ほどの試算ですと0.6兆円ということですから、小さくはないのです。将来もっと高齢化するということを考えれば、その2倍くらいには簡単になるでしょうから、そうすると全部財政から出すとしてですけれども、消費税率1%の半分くらいはこれで食ってしまうことが将来見込まれるような制度変更なので、それを国民にお願いするという立場ですから、余り軽々に年金財政としてはお金の問題は考えなくていいとは言えないような話だと思います。
更につけ加えれば、基礎年金全体の半分の国庫負担についても、既に基礎年金が約20兆円ですから、10兆円ですね。これも消費税率でいえば4%分に当たります。これが将来2倍になるということは、8%分くらいはこの制度のために消費税から来る税収を使わなくてはいけないという大きな話なので、この部会がということかどうかは議論の余地があると思いますが、それは国民にきちんと知らせる義務があるように私は思います。
○神野部会長 ありがとうございます。
 逢見委員。
○逢見委員 要望、意見として、最後24ページの「その他」で、日本年金機構からのさまざまな要望事項もあり引き続き検討との記載がございます。その中で「特に繰下げ受給の申し出をしていた者が70歳を過ぎてから請求した場合の取扱いの見直しは早急に法改正を求める意見があった」ということなのですが、これだけに特化しないで、日本年金機構からの要望の中に現場の実務を踏まえた有益な改善事項が数多く提言としてあったのではないかと思います。特に例えば国民年金保険料の収納率の向上として、市町村からの年金事務所への情報提供の義務化する点や、厚生年金の未適用事業所対策として業法の許認可の際に社会保険加入を要件化する点など、かなり建設的な提案があったように私は思いますので、そういうものを含めて引き続き検討していただくようにお願いしたいと思います。
 以上です。
○神野部会長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○森戸委員 いろいろ各項目に個人的な意見がないわけではございませんが、まとめの段階なので3点ほど、ちょっと細かいことですけれども申し上げます。
 あちこち飛ぶのですが、1点は10ページで、表現だけの問題です。「議論の整理」で保険制度のパフォーマンスを下げないようにという意見が多かったということなので、皆さんおっしゃったということなのですけれども、済みません。私は「保険制度のパフォーマンス」という意味がいまいちよくわからないので、私だけがわからないのであれば申し訳ないのですが、もうちょっとわかりやすく書いていただければと思います。それは要望です。
 それから、一番最後の「その他」で企業年金、個人年金等、老後の所得保障政策の全体像を考えるべきだというのは、私が申し上げて入れていただいたような感じがあって、ありがとうございます。ただ、この流れというか、こういうまとめ方だとやはり最後にこれはあるべきだろうと、今、思いましたので、今後に向けた議論としてはこの一言が必要だったのではないかと思います。
 もう一点、また細かいのですが、20ページの「在職老齢年金」のところで、これは「委員の意見」のまとめなのですが、一番最後に「厚生年金に適用された場合の賃金収入だけでなく、総収入ベースで」というのは、こう書けば全部含まれるのですけれども、一応段階として雇用所得でも共済とかは別だというのがあって、更にそもそもほかの所得は考慮しないよねという2段階あって、こう書くと全部の問題を含むのですが、一応共済に入った場合は関係ないということも問題だし、更にもっと考えれば所得ということをいうのだったら、そういうことに関係なくいろいろな収入を考慮しなければいけないねという2段階で両方とも問題だと思うのです。委員の意見ということですから、これは多分花井さんとかがおっしゃったのではないかと思うのですけれども、花井さんも文句はないと思うので、勝手に今、決めましたが、そういうふうに補足、ちょっと何か一言あってよいかなと思いました。
 以上、それだけです。
○神野部会長 よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○諸星委員 本日まとめられたということで、事務局の方々は大変御苦労されたと思いますけれども、よくまとめていただいたと思っています。
 ただ、1点私がお願いしたいのが、8ページです。前回の部会でもお話ししたのですが、そもそも年金、財政的にも安定して国民から信頼されるというのは本当に大変なのですけれども、先ほど山本委員もおっしゃっていたように、やはり若い方々の信頼を得られない。それはやはりある意味、一部のマスコミとかの誤った情報が中にはたまに見受けられるということがありますので、前回の年金部会でもお話ししたように、周知徹底及び広報の部分に年金の教育を含めた広報を行うことを一文入れていただきたいなと思っております。
 というのは、周知徹底、広報の今までのやり方は必ずしも間違ってはいませんでしたけれども、伝わっていない。伝わっていないということは、やはり普通の方々、一般の方々がわかりづらい。とにかく専門家の私たち社会保険労務士ですら、年金は非常に複雑で難しいわけですから、それをわかりやすい言葉で伝えるということがまず基本にあるのではないかなと思います。今回のように受給資格の短縮が25年から10年に下がるということもありますので、その辺りについてきちんと意見の中に入れていただきたいなと思います。
 もう一点ですが、適用拡大の部分については他部会でやっているということで、今回年金部会の方では特に具体的に御報告があったというだけですが、先ほど駒村委員もおっしゃっていたように、やはり未適用になる事業所が増えるということだと思われます。
 ですから、そもそも厚生年金保険の未適用が多いところに非正規社員とか30時間を超えていても適用されていない方々が非常に多くいるわけです。そうすると、そういった方々が被保険者期間について確認をとりたいということで、以前私がおりました審査会の方に殺到しているということですので、その部分についても適用拡大は勿論そうなのですが、本来強制適用である適用事業所についての適用をきちんと進めていただきたい。これは意見ですけれども、お願いしたいと思います。
 それと先ほど佐藤委員もおっしゃっていた介護の業者自体は、上限が決まっていますので、そちらについても財源的な手当てをしていただくということも意見として述べさせていただきたいと思います。
 以上です。
○神野部会長 ありがとうございます。
 それでは、よろしいでしょうか。
 大変熱心に御意見をお出しいただきまして、本当にありがとうございます。
 ここからはお願いになるわけですけれども、何分にもタイムプレッシャーの中で私どもは動いておりまして、ここで一応とりまとめをさせていただいて、勿論この部会はすぐ年明けからまた始まりますので、そのときにどんどん意見をお出しいただくことになりますが、当面来年度の予算とそれに関連する法案に必要な事項で、私どもで意見を言っておかなければならないことをこの機会にとりまとめておいた方がいいだろうと思います。
 伏してお願い申し上げるのは、たくさんの御意見をいただきましたが、今、申し上げた観点から私の責任においてこの本文に修文させていただくということでお願いできないかと。
 意見としてちょうだいしたもののうち、必要なものは加えさせていただきますし、表現ぶりがわかりづらい、正確な情報を出した方がいいのではないか等々の意見も、私の判断で中に盛り込ませていただくということで、この修文について御一任いただければ、とりあえずこれを整理としてこの段階でまとめさせていただいて、そして大臣の方に私どもの意見がこういうことでとりあえずまとまっていますと御報告申し上げたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○神野部会長 それでは、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。伏して御礼を申し上げる次第でございます。
 次の議題に移りますので、資料3につきまして事務局の方から御説明いただけますか。
○梶尾年金課長 ありがとうございました。
 資料3を御説明したいと思います。
 資料3は、厚生労働省の中に厚生労働省社会保障改革推進本部を大臣をトップとしまして設けておりまして、各分野やっているわけですが、12月5日にその検討状況を政府・与党の社会保障改革本部に報告をした際の資料の抜粋でございます。
 「厚生労働省社会保障改革推進本部の検討状況について(中間報告)」ということで、まず上の左側にありますとおり、6月30日に政府・与党の社会保障改革検討本部で一体改革成案が決まっていて、それの個別分野ごとにしっかり検討を進めていって取り組むということになっていて、右側で、厚生労働省ではそれ以降省内に推進本部を設置するということと、この年金部会もそうですけれども、社会保障審議会等において個別改革項目の具体化に向けた議論を進めてきている。この下に※で、年金部会以外にも医療部会、介護の部会、医療保険の部会、短時間労働者の特別部会等々でやっているというようなことを紹介し、12月5日の時点では年金部会では前回の年金部会で骨子案ということで御議論いただいている状況でありましたので、そういった状況を頭に置きながら現状の検討状況を省全体で整理したのがこのレポートであります。
 3ページにありますとおり、「改革の方向性」ということで?~?、子ども・子育てないし医療・介護サービス、貧困・格差対策、多様な働き方を支える社会保障制度、財源の確保というようなことで、年金改革の方向性で先ほど???がございましたけれども、社会保障改革全体についてもこういう横ぐしの6つの方向性をお示しをしている。
 4ページで「4.年金」となっていますけれども、このもの自体は1番に子ども・子育てがあり、2番と3番は医療、介護があって、4番に年金、5番に就労促進やリーセントワークの実現、6番で貧困格差で、7番に医療イノベーション、8番に障害者施策ということで、先ほど菊池委員から障害者施策全体の話なども出ましたけれども、全体像の中ではそういったものを並べているということであります。
 4ページからは「4.年金」ということで、ほぼここで御議論いただいていることを簡単に整理したということになりますのでくどくど申しませんけれども、4ページは新しい年金制度の方向性はこういうものであるということです。
そういった方向性に向けて現行制度の改善を図っていくということで、5ページ以降で基礎年金国庫負担2分の1の恒久化の話。これは必要な法案は来年の通常国会に提出しますということを書き、6ページは最低保障機能の強化ということで、低所得者への加算、障害基礎年金等への加算、受給資格期間の短縮というようなことについて、これらは消費税の引き上げ年度から実施するということで税制抜本改革とともに来年の通常国会への法案提出を目指して引き続き検討するということでございます。
この社会保障・税一体改革の枠組み自体が年金に限らず医療、介護、子ども・子育て等も含めてこういった形での社会保障の機能の強化を図っていく。それによってこういった費用が必要になる、年金改革でいいますと0.6兆円の追加財源を使って最低保障機能の強化を図りたい。そういったことで基礎年金の国庫負担2分の1を図る。今後そういったことを賄うためには消費税の5%の引き上げが必要ですということで、社会保障のメニューと併せて行う社会保障の機能強化と財政再建を一体的にやっていくための税制改革を提案していくのが社会保障・税一体改革ですので、税の負担の提案が併せて行われるという前提で社会保障の機能強化の年金の部分で最低保障機能の強化というメニューを書いているということでございます。
これは(2)だけではなくて(3)、先ほど低所得者への加算だけではなくて高所得者への年金給付の見直しなど一定の調整も併せてセットでなければならないという御意見がありました。それはそういった頭の整理で、セットで併せてということで、(3)の点線の中の☆の1個目に「最低保障機能の強化と併せて実施する」、税制抜本改革と併せて行っていくということでございます。
 次の7ページは年金の項目で、物価スライド特例分の解消を早急に図っていくということで、24年度分から実施するということです。産休期間中の免除の話、パート・短時間労働者への適用拡大の話、これらにつきまして、来年の通常国会への法案提出に向けての検討という形で、これは12月5日の段階のものですけれども、そういった形で報告している。
 8ページ以降は被用者年金一元化です。
「(7)被用者年金一元化」のところまでは「来年の通常国会への法案提出に向けて」という言葉が入っているということですけれども、〈8〉以降につきましてはその言葉は入れていない形で引き続き検討を行うというようなことを記載してございます。
12月5日に厚生労働省の検討状況ということで政府・与党改革本部に報告をし、その2日後、7日に民主党の社会保障と税の一体改革調査会にも同じ報告をして、これをベースにしながら民主党の中で社会保障の調査会、税制の調査会と併せた形での議論が連日行われているということで、社会保障と税の一体的な案づくりを現在進めている状況でございます。
こういった年金部会での議論等を踏まえて、厚労省から状況を12月の頭に報告して、現在年金以外も含めた全体の姿についての議論が、与党を中心に進められているという状況の報告をさせていただきました。
 以上でございます。
○神野部会長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明といいますか、御報告していただきました事項につきまして、御意見がございましたら、いかがでしょうか。よろしいですか。
 どうぞ。
○山本委員 私は専門家ではないので感じるのかもしれませんが、新しい年金制度の創設に対する認識が薄く、いわゆる部分的な改正だけを今やっているように感じます。大筋の中でこれからの新しい年金制度をどうしていこうかという議論から始まって、その端緒としての、今、ここで議論している個別具体的な改革内容だという理解が余りなされていないような気がします。
 新しい年金制度の創設が前提にあるという理解が十分進んでおらず、個別の課題、対予算的な問題といったことをどう克服するかという具体的事例についてのみ検討しているように拝見できます。冒頭の大きな年金制度を創設していくということが、仮にこの審議会の目的の中にあるとすれば、そこのところはもう少し事前の議論があってもいいのではという気がするのですが、その辺はいかがでしょうか。
○神野部会長 これは最初に申し上げましたけれども、デザイン的に新しい制度をつくることについては、党の方で引き続き検討している段階なのです。我々は成案で示されたものを手がかりに、したがって、漠としたものです。それを手がかりに、前提にしながら現行制度の改善を検討してほしいというのがここに下された諮問ですので、それを皆様にお願いして御意見をちょうだいしている。ただ、これは行きつ戻りつです。
 つまり、我々がやっていることは問題対応型の議論になっているわけですけれども、それは現行制度をある程度前提にしているわけです。ここで出されてきた問題は恐らく抜本的な改革の方にはね返らざるを得ないような問題もありますし、そちらの方向をにらみながらここでも委員の皆様方に、つまり漠とした方向はこうですということは最初に御説明していただいたものしかないわけですけれども、それを手がかりにしながら、それをにらみつつ御検討いただいたということになっております。
○山本委員 私が不勉強だと思いますけれども、その漠の認識が非常に薄かったという理解だと思います。
○梶尾年金課長 先ほどの議論の整理のペーパーで申しますと、資料1の3ページの下の方から先ほど佐藤委員からありました???という制度改革の方向性があって、4ページの冒頭にこういった現在の課題、法制を考えたときに「こうした課題に対処するために、所得比例年金と最低保障年金の組み合わせからなる一つの公的年金制度にすべての人が加入する新しい制度を創設するという改革の方向性が民主党から提示をされている」、その新しい制度については民主党における検討状況を踏まえて検討を進めるというようなことで、ただそうはいっても、その方向性に沿いつつ現在の年金制度の改革について同じ方向性に立ちながらどういう改善を図っていくのかということで各検討項目がある。
 なかなか十分に伝わっていない部分があるかもしれませんが、そういった位置づけで成案があり、御検討をお願いしているということでございます。
○神野部会長 よろしいですか。税制改革その他もそうですけれども、抜本的な税制改革と部分的、個別的な問題対応的な改革があるわけです。ただ、恐らく年金の場合に難しいのは、抜本的というか、ビジョン的な改革でも直ちにできるわけではなくて、新しい制度でも40分の1ずつやっていくとか、そういうようなことにならざるを得なくなりますので、そこは普通の制度改革とは違うかなと思います。
 あとはいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、委員の皆様方には、今、御報告いただいたことを御承知おきいただいたということにさせていただきまして、ほかに意見がございませんでしたら、今年最終を予定しておりますが、そろそろこの辺でこの部会を閉じたいと思います。
 事務局の方から今後の連絡事項がございましたら、よろしくお願いいたします。
○藤原総務課長 年末の大変お忙しいところを本日はどうもありがとうございました。
 部会の次回の開催日時につきましては、追って御連絡させていただきたいと思います。
○神野部会長 この整理につきまして、修文を私に一任していただいたことを重ねて御礼申し上げますとともに、お忙しいところをお集まりいただきまして、生産的な御議論をちょうだいしたことを委員の皆様方に感謝申し上げる次第でございます。
 どうもありがとうございました。


(了)

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