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2011年9月29日 第18回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成23年9月29日
10:00~12:00


○場所

経済産業省別館(1028号会議室)


○出席者

池田委員 坂元委員代理 岡部委員 加藤部会長 木田委員
北澤委員 倉田委員 澁谷委員 廣田委員 古木委員
保坂委員 宮崎委員

○議題

(1)予防接種制度の見直しの方向性についての検討案について
(2)報告事項
  ・予防接種法等の一部改正について
  ・子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の対象ワクチン(ガーダシル)の追加について
  ・今シーズン以降のインフルエンザワクチンの副反応報告について
  ・予防接種室の設置について

○議事

○予防接種制度改革推進室次長 定刻になりましたので、ただいまより「第18回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会」を開催します。本日は、藤田厚生労働大臣政務官にご出席していただいていますので、政務官より一言ご挨拶をよろしくお願いします。
○厚生労働大臣政務官 おはようございます。この度、政務官に就任しました衆議院議員の藤田一枝です。野田内閣が誕生して、厚労省の政務三役も新体制となりましたので、今日は一言ご挨拶をさせていただきたいと思います。既にご案内のとおり、先の通常国会で当部会からもご提言をいただいていた予防接種法の改正がやっと実現を致したところです。その二重決議の中で、予防接種制度全般の検討を行い、速やかに、早急に結論を得ることとされたわけです。言うまでもなく、予防接種は国民の皆様方の命と健康を守る大事な手段ですし、とりわけ子どもたちにとっては、感染症から子どもたちを守り、健やかな成長を支える重要な役割を担っているところです。委員の先生方におかれては、この間もワクチン・ギャップの対象など、さまざまな観点から活発なご議論を重ねていただいたわけですが、そうしたご議論を踏まえて、今回厚労省から見直しの方向性についての検討案をお示しさせていただくところまでまいりました。どうか、この検討案をたたき台にして、引き続き積極的な、活発なご議論を賜りますように心からお願いを申し上げ、そして本日お忙しい中ご出席いただいたことに心から感射を申し上げましてご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○予防接種制度改革推進室次長 政務官、ありがとうございました。藤田政務官におかれては、このあと公務の都合上、途中で退席されますのでご了承のほどよろしくお願いします。
 続いて、事務局より委員の本日の出席状況についてご報告申し上げます。本日は、岩本委員、宇賀委員、坂谷委員、櫻井委員、山川委員から欠席のご連絡をいただいています。現時点で定足数以上の委員に出席いただいていますので、会議が成立することをご報告します。
 また、前回、7月の部会の開催以降、事務局に人事異動がありましたのでご報告します。7月29日付けで結核感染症課長に正林が着任しています。健康局総務課長補佐に伊藤が着任しております。8月7日付けでがん対策推進室長に鷲見が着任しています。以上です。ここからは加藤座長に議事をお願いします。
○加藤座長 おはようございます。議事に入りますが、先立って事務局より資料等の確認をお願いします。
○予防接種制度改革推進室次長 お手元に1枚ものの座席表を付けています。速記者の位置が変更になっています。ダブルクリップで綴じておりますが、議事次第に続いて配付資料の一覧表、委員名簿と続いています。資料1-1「予防接種制度の見直しの方向性についての検討案(概要)」、資料1-2「予防接種制度の見直しの方向性についての検討案」、資料1-3「予防接種制度の見直しの方向性についての見直し検討案(参考資料)」、資料1-4「これまでの主な議論の中間的な状況の整理等について」、資料2「予防接種法及び新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法の一部を改正する法律の概要」、資料3-1「2011年9月15日からガーダシルも子宮頸がん予防ワクチンとして公費助成の対象になります」というリーフレットです。資料3-2「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の対象ワクチンの追加について」、資料3-3「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業に関するQ&A(自治体向け)」、資料3-4「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の実施についての一部改正について」、資料4「今シーズン以降のインフルエンザワクチンの副反応報告について」のパワーポイント版、資料5「予防接種室の設置について」です。資料4については、事前に郵送させていただいたものと一部修正していますが、お手元に用意しています。不足しています資料がありましたら、事務局にお申し付けください。以上です。
 冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。ご協力よろしくお願いします。
 引き続き、審議参加に関する報告です。製造販売業者、製造販売企業からの寄附金等について審議に参加できない委員はいらっしゃいません。また、申請資料作成関与という観点からは宮崎委員がおたふくかぜ、B型肝炎、ポリオの各ワクチンに関して関与されています。以上です。
○加藤座長 ありがとうございました。ただいま、事務局から審議参加についてお話がありまして、本日は個別ワクチンの取扱いも含めて審議しますが、宮崎委員が申請資料に関与しているということですが、部会が必要と認めた場合には意見を述べることができるとなっていますので、臨床家の立場からご意見をいただきたいと考えますが、よろしいですか。
                  (了承)
○加藤座長 異議なしということで、ご了承いただいたということで議事に入ります。前回の部会において、私座長から具体的な予防接種制度の検討に資するよう、部会の中間的な議論の整理を踏まえて、厚生労働省として、制度改革の方向についての検討案を作成する旨、指示をさせていただいたところです。本日は、厚生労働省から検討案を報告していただいて、それを基に議論を進めていきたいと考えています。これを議題1とします。議題2としては、報告事項が4つあります。1つ目は、予防接種法等の一部改正です。2つ目は、前回の部会で議論した子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業へのガーダシルの追加についてです。3つ目は、今シーズン以降のインフルエンザの副反応報告についてです。最後に予防接種室の設置についてという報告事項があります。以上の順番で審議、報告をさせていただきますので、円滑に、十分に審議ができますように各委員の皆様方のご協力をお願いします。
 議題1に入ります。先ほど説明したとおり、本日は事務局においては、予防接種制度の見直しの方向性についての検討案を用意していただいていますので、事務局から説明をお願いします。
○予防接種制度改革推進室次長 議題1に関係します資料は資料1-1から資料1-4です。概要案という形で資料1-1にまとめていますが、今日は先ほどありましたとおり、部会の中間的な整理を受け、厚労省の案を策定いたしましたので、資料1-2を読み上げさせていただきます。
 資料1-2です。「はじめに」。本年7月25日付けで、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会が取りまとめた「これまでの主な議論の中間的な状況の整理等について」を踏まえ、厚生労働省として現時点で考えられる予防接種制度の見直しの方向性について検討案を以下に示す。
 さらなる具体的内容の検討に当たっては、予防接種部会での議論を踏まえ、関係省庁や地方自治体などとの調整を進めることが必要である。
 予防接種制度の見直しに当たっては、いわゆる先進諸国とのワクチン・ギャップの問題や予防接種施策を総合的かつ恒常的に評価・検討する仕組みの問題を指摘されている一方、制度が持続可能なものとなるよう、幅広い国民の理解を得ながら、透明性・客観性のある制度としていくことが重要であるとともに、予防接種の実務を担っていただく地方自治体にも十分な理解を得る必要がある。
 具体的には、予防接種法の対象となる疾病・ワクチンの見直し、予防接種事業の適正な実施の確保、予防接種に関する評価・検討組織の設置、ワクチンの研究開発の促進と生産基盤の確保などの取組について、新たに策定する予防接種施策の基本的な方針(中長期的なビジョン)の下で、一体的に進める必要がある。
 「1.予防接種施策の基本的な方針の策定」。予防接種は、国民の生命と健康を守る重要な手段であり、特に子どもの予防接種については、次代を担う子どもたちを感染症から守り、健やかな育ちを支える役割を果たすものである。一方、我が国では副反応の問題などを背景に慎重な対応を求められてきた経緯がある。しかしながら、予防接種は、感染症対策として最も基本的かつ効果的な対策の一つであり、世界保健機関が勧告しているワクチンの多くが米国をはじめとする先進諸国においても制度的に接種されているといった国際動向を踏まえ、中長期的な観点からワクチンの安全性・有効性や費用対効果なども考慮しながら、必要なワクチンについては定期接種として位置づけ、その適正な実施を確保する仕組みを確立することが重要である。
 また、予防接種施策の推進に当たっては、施策の一貫性や継続性が確保できるよう、国民的な合意の下で基本的な方針(中長期的なビジョン)を定め、国民、国、地方自治体、医療機関、ワクチンの製造販売業者、卸売販売業者などの関係者が協力していく必要がある。
 基本的な方針の内容については、予防接種施策の基本的な考え方、中長期的(5~10年程度)取り組むべき課題、達成すべき目標、関係者の役割分担や連携のあり方(緊急時の対応を含む)などが考えられる。5年に一度を目途に見直しを行うことが必要である。
 「2.予防接種法の対象となる疾病・ワクチンの見直し」。国民の生命と健康を守るためWHOの推奨や他の先進諸国の状況を踏まえ、予防接種法の対象となる疾病・ワクチンの見直しの検討を進めることが必要である。
 (個別の疾病・ワクチンの評価)。個別の疾病・ワクチンの位置づけについては、本年3月11日のワクチン評価に関する小委員会報告書を踏まえ、円滑な導入と安全かつ安定的な実施体制の確保や継続的な接種に必要な財源の確保を前提として、引き続き検討を進める。
 このうち、子宮頸がん、ヒブ、小児用肺炎球菌の3ワクチンについては、昨年10月6日の予防接種部会意見書を受けて、当面の対応として子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金事業をすべての市町村で実施している。
 本事業の実施状況を踏まえつつ、事業が終了する平成24年度以降も円滑な接種が行えるよう、今後の定期接種への移行を視野に入れながら、以下の疾病区分や接種費用の負担のあり方を含め、事業のあり方について検討を進める。
 水痘、おたふくかぜ、B型肝炎、成人用肺炎球菌の4ワクチンについては、ワクチンの供給量や実施体制なども考慮しながら、定期接種化の必要性についてさらに検討を進める。
 このほかの疾病・ワクチンについても、当該疾病の流行やワクチンの開発・生産の状況などを踏まえ、今後、評価・検討組織で評価を行う。
 (疾病区分などのあり方)。疾病区分は、疾病の特性やワクチンの効果に応じて、公的関与などに差を設け、きめ細かく対応することに一定の合理性があることから、現行の2類型を維持することが考えられるが、疾病区分の考え方が国民には分かりにくいという課題もあり、現行の疾病区分を維持する場合は、国民への分かりやすい情報提供のあり方について検討することが必要である。また、新たな疾病・ワクチンを定期接種の対象とする場合には、どの疾病区分に位置づけるかについても併せて検討する。
 新たな感染症の発生、新たなワクチンの開発、予防接種の安全性や有効性に関する知見の集積、予防接種を実施する体制の整備など、予防接種を取り巻く環境の変化に応じ、今後は評価・検討組織による総合的・恒常的な評価・検討に基づき、機動的に対象疾病を見直すことができるようにするため、いずれの疾病区分でも政令で対象疾病を定められるようにすることについて検討する。
 (接種費用の負担のあり方)。定期接種は自治事務として位置づけられ、地域住民の健康対策の一環として長年にわたる市町村の尽力により、安定的に運営されてきていることから、地域主権改革を推進している政府全体の方針も踏まえると、現行制度のとおり、引き続き市町村の支弁によるものとすべきである。また、新たな疾病・ワクチンを定期接種の対象とする場合には、当該疾病・ワクチンの費用等を勘案しつつ、円滑な導入に向けた措置を検討する必要がある。
 一方、予防接種に公的保険を適用することについては、医療保険制度の目的に関わる重要な変更となるだけでなく、がん健診や乳幼児健診など、他の地域保健の事業との関係の整理や、医療保険財政が極めて厳しい状況にあるなどの課題があり、国民的な議論が必要である。
 接種時の実費徴収は、接種を受ける個人の受益の要素も大きいこと、また、他の社会保障制度における受益者負担との均衡からも、一定の合理性があると考えられる。ただし、現行どおり経済的理由により、接種費用を負担することができないときは実費徴収できないという規定は維持した上で、当該者分の接種費用について支援を行うことが必要と考えられる。
 財源のあり方については、本年6月30日に決定された「社会保障・税一体改革成案」において、予防接種を含む地方単独事業に関して、「総合的な整理を行った上で、(中略)必要な安定財源が確保できるよう(中略)地方税政の改革などを行う」とされており、こうした議論と整合性を図るものとする。
 国は、予防接種の意義と効果について、医療経済的な分析を含め、国民に分かりやすく周知し、費用負担への理解の促進に努める。
 「3、予防接種事業の適正な実施の確保」。(関係者の役割分担)。関係者の役割分担については概ね以下のようなものが考えられるが、今後関係者の意見を十分に踏まえて検討し、基本的な方針(中長期的なビジョン)で定める。
 国はワクチンの安全性・有効性、疾病の発生・流行状況等を踏まえた予防接種の対象となる疾病及び対象者の決定、ワクチンの承認審査、ワクチンの安定的な供給の確保、副反応報告の評価、迅速な情報収集と分かりやすい情報提供、ワクチンの研究開発の促進、その他予防接種制度の適正な運営の確保等を担う。
 都道府県は、予防接種に関わる医療関係者等の研修や緊急時におけるワクチンの円滑な供給の確保や連絡調整等を担う。
 市町村は、接種の実施主体として適正な予防接種の実施の確保、住民への情報提供等を担う。
 医療関係者は、ワクチンの適正な使用、ワクチンの安全性・有効性等に関する被接種者への情報提供、十分な問診、迅速な副反応報告など、適切な予防接種の実務を担う。
 ワクチン製造販売・流通業者は、安全かつ有効なワクチンの開発及び安定的な供給、副反応情報の収集・報告等を担う。
 緊急時のワクチン確保に関しては、国、医療機関、ワクチンの製造販売業者や卸売販売業者などの役割分担につき、従来の流通慣行の改善やワクチンの製造販売業者に対する損失補償のあり方を含め、検討する。
 (副反応報告、健康被害救済)。副反応の情報は、予防接種の安全性の確保のため、速やかに収集・評価することが重要である。このため、先般のインフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種事業や子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金事業での対応を含め、予防接種制度における報告と薬事制度における報告の統一的で迅速な運用が可能となるような制度のあり方について検討する。
 副反応報告を含む予防接種の安全性の評価については、評価・検討組織と薬事・食品衛生審議会が連携して評価することについて検討し、特に重篤な副反応事例のうち、必要な事例については報告のあった時点で、専門家による医学的検討を行う体制を構築する。
 予防接種による副反応を正しく評価するためには、医師等による報告とともに、一般から寄せられる接種後の副反応に係る情報も重要であり、広く情報収集に努める。
 健康被害救済の審査は、評価・検討組織とは独立して、客観的・中立的な立場から、引き続き疾病・障害認定審査会で実施する。
 (接種方法、接種記録)。接種の際、医師が接種後の副反応等について、適切に説明するとともに、入念な予診が尽されるよう、予防接種の接種方法は個別接種を基本とする。一方、緊急時の臨時接種のあり方については、集団接種やワクチンの供給のあり方との関係を含め、引き続き新型インフルエンザ対策行動計画等の見直しの中で検討を進める。
 接種記録については、未接種者の把握による接種率の向上や管理の利便性の観点とともに、予防接種に対する公的関与との関係を踏まえた個人情報保護の観点も考慮しながら、社会保障・税に関わる番号制度の議論も含め、引き続きニーズや課題を検討する。
 被接種者の接種を促すためには、母子健康手帳への記載の励行、乳幼児健診や就学児健診における確認や勧奨の徹底などが考えられる。教育委員会などと連携した取組が一層進むよう、文部科学省と連携して、予防接種率の向上に向けた普及啓発に取り組む。
 (情報提供のあり方)。予防接種について国民一人ひとりが正しい知識を持ち、その理解の上で接種の判断を自ら行っていただく必要がある。推奨されるスケジュールのほか、予防接種の意義やリスクに関する分かりやすい情報提供のあり方について、情報収集のあり方と併せて検討する。
 予防接種は、その効果の反面、一定の割合で何らかの副反応が生じるものであることから、接種を行う医師が、特に基礎疾患を有する者などへの慎重な予診を行うとともに、被接種者やその保護者に対し、予防接種の効果や副反応について丁寧に説明することが重要である。接種機関における適正な接種の確保について、都道府県に設置されている予防接種センターの機能強化など、これまでの取組を踏まえながら効果的な取組を進める。
 「4.予防接種に関する評価・検討組織の設置」。予防接種施策全般について総合的・恒常的に評価・検討を行い、厚生労働大臣に意見具申する機能を有する評価・検討組織を設置する。
 評価・検討組織は、医療関係者などの専門家、地方自治体、ワクチンの製造販売業者や卸売販売業者、さらに被接種者の立場を代表する方などを構成員として、国民的な議論を行う場とする。具体的な審議事項としては、予防接種施策の基本的な方針、予防接種法の対象となる疾病・ワクチンや接種対象者、ワクチンの有効性や副反応の評価を含む予防接種の実施状況の評価などが考えられる。なお、新たな疾病・ワクチンのみならず、既に予防接種法の対象となっている疾病・ワクチンについても評価・検討組織で当該疾病の流行状況などを踏まえ、定期接種として実施する必要性について恒常的に検証を行う必要がある。
 ワクチン産業ビジョン推進委員会の機能も統合し、ワクチンの研究開発から生産、供給、接種、接種後の評価まで一貫性のある議論を行う。
 評価・検討組織の決定で小委員会を設置し、今回実施したような個別の疾病・ワクチンの評価、その他の専門的な事項について評価・検討を行う。
 評価・検討組織の位置づけについては、現在の予防接種部会の機能を強化しつつ、引き続き厚生科学審議会の中に設置することが考えられるが、国立感染症研究所との連携のあり方等を含め、さらに検討する。また、厚生労働省健康局が、医薬食品局及び国立感染症研究所の協力のもと、評価・検討組織の事務局を務めるとともに、当該事務局の強化を図る。評価・検討組織は、関係行政機関に必要な情報の提供を求めることができることとする。
 評価・検討組織の評価・検討に資する情報収集の観点からも、感染症サーベイランスのあり方を検討することが必要である。現在は、疾病の罹患状況については感染症法に基づく感染症サーベイランスとして、免疫の保有状況については予算事業として実施しており、これらの実施主体となる地方衛生研究所の位置づけとともに、実施方法の工夫を含め検討する。
 「5.ワクチンの研究開発の促進と生産基盤の確保のあり方」。ワクチンの研究開発の促進と生産基盤の確保については、ワクチン産業ビジョン推進委員会で検討が行われているが、今後は評価・検討組織における評価・検討の対象の1つとして位置づけ、予防接種施策に関する総合的視点からの検討を行う。
 新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業などを推進し、より安全かつ有効で効率的なワクチンの開発を進め、国産ワクチンの供給力の強化を図る。
 今後、公的な接種を行うワクチンの種類の増加が見込まれる中で、被接種者の負担軽減、接種率の向上、接種費用の軽減等を図ることが重要であり、例えば安全性に十分配慮しつつ、混合ワクチンの研究開発を進める。このため、国産による安全なワクチン供給体制を確保する観点から、評価・検討組織からワクチンの製造販売業者などに対して何らかの要請等を行うことも含め、評価・検討組織の具体的な役割や権限についてさらに検討する。
 「6、その他」。先般の新型インフルエンザ(A/H1N1)の経験を踏まえ、現在政府全体で新型インフルエンザ対策行動計画等の見直しの検討が行われているが、特に病原性の高い新型インフルエンザが発生した場合のワクチン接種に関する法的位置づけ、接種の実施主体、国庫負担割合の引き上げ等についても併せて検討する。
 ということで本文ですが、合わせて資料1-3ということで、参考資料をお付けしています。既に部会でお示しした資料の抜粋版案ですが、12頁に特に今回ご議論をいただくということで必要な部分の評価・検討組織のあり方について資料を付けさせていただいています。12頁からですが、いままでの課題を整理した上で、どういう方向性を位置づけるかということ。中長期的な観点から、また恒常的に検討する機能がないなどの課題・幅広い分野の方々が参加する審議会の形式になっていないと。基となる資料の準備する体制が不十分であるというのを踏まえて、今後定期性また継続性、公開性、透明性、多様性、充実した事務局体制を整えた評価・検討組織を作っていったらどうかというふうに考えたものです。
 併せて評価・検討組織が担うべきであろう役割ということで、13頁に予防接種業務を考えた場合、いわゆる振興部門、一方安全性対策、規制部門と分けた場合、振興部門について評価・検討組織が新しく担っていくのではないかと整理しています。赤字になっている部分が今後評価・検討組織で担っていくべきではないかと考えています。
 資料については、次の頁は現行の位置づけということで、審議会の位置づけ、厚生科学審議会感染症分科会の下にこの部会があるわけですが、そのほか関係する検討会があります。肌色になっている部分が今後新しくできる評価・検討組織で位置づけていったらどうか、委員も位置づけていってはどうかと考えるとともに、事務局の評価の観点から右に太い矢印で結ばれています国立感染症研究所の位置づけを整備していこうというものです。追加の資料については以上です。資料1-4については、既におまとめいただきました中間的な報告書のものです。議題1に関しては以上です。
○加藤座長 ありがとうございました。後ほど1から5までの各部門についての質疑をさせていただきますが、ただいま事務局からご説明がありました件に関しまして、全体的にご質問がございましたらお受けいたしますが、いかがでしょうか。
○保坂委員 この会の、現在の予防接種部会の位置づけと、それから、今回出てきた厚生労働省としての予防接種制度の見直しの方向性についての検討(案)との関係、これは案なのでこの部会で意見が出れば、案を厚生労働省は変えるつもりがあるのかどうかということ。それから、「さらに検討をする」という文言が非常に多く出てくるけれども、どのぐらいのタイムスケジュール感を持って、厚生労働省としてはやろうとしているのかというそのことを、まずはっきりしていただかないと、議論をする意味もないかもしれませんしと思いますので、よろしくお願いいたします。
○加藤座長 事務局からお答えください。
○健康局長 先ほどの資料1-2の4頁の下のほうに書いてありますが、これから我々が検討すべき、視野に入れるべき段取りとしては、社会保障と税の一体改革の動きがあるわけでして、少なくともそういうことと整合性をとらなければいけないということがあります。それともう1つは、既に国会で前大臣も次期通常国会に向けて、細かな表現は忘れましたが、できるかぎりそういうところで抜本改革をやっていきたいというようなことを言っているわけです。
 したがって、段取りとしては、我が方は、望むべくは年末ぐらいまでに一定の方向性がまとまればなと思っていますが、ほかにも厚生労働省の中でも重要な問題がいろいろありますので、そういう状況も見ながら検討しなければいけない。ここの部会との関係については、厚生科学審議会というのは、厚生労働省の法律で決められた会議ですので、重要事項は自主的にご提言いただけることもありますし、諮問、答申の機能もありますので、我が方としてはこの部会。部会の決定というのは厚生科学審議会の決定とみなすということになっていますから、この部会のご意見を尊重するというのは当たり前です。これは第一段階の案ですから、今後ここの部会でのご意見、あるいは関係者との調整の中で修文なりさらに詰めていくことが、いろいろ出てくると思っていますので、そういう形でお願いしたいと思っております。
○加藤座長 よろしいですか。
○保坂委員 いま健康局長のおっしゃったことは、非常にわかりにくかったので、私のほうで少し翻訳させていただくと、検討すると言っていることは、できれば今年度中に検討を終わらせて、予防接種法の抜本改正に向けて案をまとめるというふうに、いま私は聞いたのですが、それで間違いないかどうかということと、それから、もちろんここの部会の意見がすべて活きるわけではない。それはほかの政策との整合とか、あるいは特に財政的な面とかがあるでしょうから、この部会が言ったから直ちにそれが厚生労働省案に反映されるわけではないとはいうものの、これからこの部会で検討することが、年末に向けての抜本改正の案を作るに当たり、かなり強く取り入れる気持はあると、気持があってもできるかどうかは別ですが、その2点を局長はおっしゃっていただいたというように私は受け取ったのですが、それで間違いないでしょうか。
○健康局長 今年度中ではなくて、できれば1つの目安としては今年中に何らかのやはり、どういうレベルになるかはわかりませんが、一定の方向性が見えたほうがいいというように思っています。後段のほうの「尊重する」というのは、当然のことだと思っております。
○保坂委員 今後、検討する検討するということの中で、ロングタイムで検討していいものと、もう既にいままでこの部会で、あるいは小委員会で検討を尽しているので、今後またさらに検討すると言っても、一体何をするのだろうかと、たぶん思っている先生がたくさんいらっしゃると思うのですが、そういう部分とあって、そうすると、「さらに検討をする」という文言がたくさん入っているけれども、そのうちのもう既にこの部会でかなり検討したものについては、その検討を十分尊重して年度末ではなくて、今年中にある抜本改正の方向性というか、法案を作らなければいけないわけですから、まず大まかなことを決めておいて、その細かい法案のことにきっと入られるのではないかと思うのですが、少なくとも来年の通常国会には出すんだぞという、そういうことでございましょうか。
○健康局長 ですから、ほかとの関係もありますから、ここですべて決定できない。私の段階で決定できないということは当たり前なのですが、方向性としては抜本改正をできるだけ早く、それはあわよくば通常国会の中で示すことができれば、それは担当部門としては有難いと思っています。ただ、いままで指摘いただいていることはたくさんあるのですが、重要なことは、例えば資料の1-4で、7月に中間的な状況の整理という形でいただいていますが、全体としてセットで、機関としてこういうふうな形で提言する、あるいは意見として取りまとめることが重要だと思っていますから、一部既にお聞きしたことも入っているかもしれませんが、そういう全体の脈絡の中でもう一度、再認識して不整合がないかということも含めて、ご審議していただきたいと思っております。
○加藤座長 よろしいでしょうか。
○保坂委員 もう少しすみません。私ばかり。たぶん皆さんも同じことを聞きたいかなと思って、代表して言っているつもりですが、いま、何ていいますか、まとめて審議もするのだけれども、この全体の会としてある機関としてまとめた意見を出すというようなことのお話がちょっとあったように思うのです。いままでの会の中ではいろいろな議論をして、それをある程度大まかにまとめたということですが、1回だけ三種のワクチンの補正のことで意見書のようなものを出したわけですが、そういうことをどんどんすることが、まあ、不可能ではないのでしょうけれども、そういうことが健康局の予防接種行政に対してプラスなのでしょうか。
 私たち、たぶん皆さんもそうだと思いますが、もっといろいろ要望書みたいのを出したいけれども、まあ遠慮しているというか、そういうことがこの会のもともとのやり方ではないだろうなと思っている部分はあるのですが、ちょっとまどろっこしい、非常にいろいろ話をしたけれども、結局それがまたさらにさらに、今後さらに検討するとかなって、非常にまどろっこしい思いを持っているので、では、皆さんの意見がまとまれば要望書という形で、この予防接種部会から出すことはご迷惑なのでしょうか。
○健康局長 厚生科学審議会というのは、先ほどの参考資料1-3の14頁に、先ほど担当が使った図がありますが、これは法律で定められていて、厚生労働省に付置しているというか、そういう審議会なわけです。その中で厚生科学審議会の機能というのは2つあって、順番はいろいろありますが、1つは自主的に重要事項について、意見具申といいますか、意見を表明するという機能と、もう1つはあらかじめ、役所のほうでこういうことについてどう思いますかと、どうでしょうかと、あるいはこういう政策についてのご意見を伺いたいという形で、あらかじめ諮問をして答申を受けるという、形式論からいうと2つの機能があります。したがって、先般、臨時に緊急的に加藤座長からいただいた意見を基に、3ワクチンの臨時特例交付金の事業を行ったのは、その重要事項を提言いただいたという話でして、その辺は我が方もそのときいただいたほうが有難いと思ったからやっていただいた部分もあるのですが、基本的にはこの審議会で重要と思われることについては、自主的にご提言いただく機能はございます。ただ、今後、いま言った予防接種制度の抜本改革について、今日も含めて次回、次々回あたりを、どういうふうな形式論といいますか、やり取りでやっていくかというのは、まさに今日のご審議を踏まえながら、また、加藤座長とよくご相談してやっていきたいと思っております。
○加藤座長 簡略にどうぞ。 
○木田委員 先ほど説明していただきました資料1-2の4頁の接種費用の関係です。ここに地域主権改革を推進しているというような文言がありまして、引き続き市町村の支弁によるものとするという点があるのですが、これによって市町村は財政力が全部違いますから、先ほども政務官が「子どもたちの命と健康を守るためにあると」言われた中で、そうした財政力の違う市町村に任せてしまうことによって、子どもたちの受けるチャンスといいますか、それが格差ができると思うのですが、これについて事務局としてはどのように考えておられるのでしょうか。
○加藤座長 その件については、後ほど1から5までの間で分けてディスカッションします。
○木田委員 では、あとで説明してください。
○加藤座長 先ほどの事務局からのご説明について、トータルとして何かご意見がございますか。よろしいですか。それでは資料1-1をイメージしていただきまして、順番に1項目について大体10分間程度のディスカッションでいきたいと思っております。第1番目の項目に「予防接種施策の基本的な方針」、中長期的なビジョンの策定についてということが、先ほど報告がありましたが、この件に関しましてご意見をいただきたいと存じます。中の資料の2頁の「予防接種施策の基本的な方針」というところで、先ほど次長が読み上げた項目です。
○北澤委員 この中長期的ビジョンというのは、国が作成するということでいいのか。それからワクチン産業ビジョンというビジョンが既にあるようなのですが、それとこの中長期的ビジョンというのは、どういう関係にあるのかというのを、確認までに質問します。
○結核感染症課長 まず、ここで言っている中長期的なビジョンは、国が定めることになると思います。もちろん、さまざまなご意見をいただきながら最終的には国が定める形になると思います。産業ビジョンも例えばあれを見直す段階になれば、最終的にはまた国が定めるような形になるかと思います。
○健康局総務課長補佐 補足させていただきます。新しく作る中長期的なビジョンというものと、既存のといいますか、いまあるワクチンビジョンのほうの関係で、これからまたそれも整理していくべき事項だと思いますが、どちらが上位かといえば、やはり予防接種の中長期ビジョンのほうが、おそらく上位概念になるのだろうなというイメージは持っていますが、そこの関係はまだ整理の余地があるのだと思っております。
○加藤座長 北澤委員よろしいですか。ほかに1のところでご質問、特によろしいですか。続いて2番目のところ、「対象疾病、予防接種法の対象となる疾病・ワクチンの見直し」という項目が立っていますが、これも先ほど2頁から事務局からご説明がありましたが、この件に関しまして、ご意見ご質問等がございましたら、どうぞ。
○木田委員 先ほど質問させていただいた件ですが、市町村に任せた場合に、格差が出るのではないかと思うのですが、これについてはどういうようにお考えでしょうか。
○結核感染症課長 予防接種については、制度がスタートしたときから、予防接種法というものも制定して、市町村事務でずっと行ってまいりました。これまでも大きな流れとして、例えばかつては三位一体の改革とか、それ以前からかなり権限を地方に地方にという大きな流れがありました。それは今もずっと続いてきていると思います。その中で基本的には我々としてはこういう予防接種のような事務というのは市町村が担うべきであり、その費用の支弁も市町村ではないかなと考えて、このような形にまとめさせていただいています。格差云々については、例えばそういうことが極力生じないような仕組みとして地方交付税措置とかいうものがありますので、そういったことで考えていくものだと思っています。
○健康局長 補足させてください。いまの論点の中で4頁の下から5行目ぐらいに、まず「経済的理由によって接種を負担することができない」、現行でも3割の方々に対する交付税措置が担保されているけれども、そういうイメージですが、そういう規定は維持すべきではないかということ。もう1つ、上から2つ目の○のところで、先ほど引用された地域主権のところですが、その後段のところに、「また、新たな疾病・ワクチンを定期接種の対象とする場合には、当該疾病・ワクチンの費用等を勘案しつつ、円滑な導入に向けた措置を検討する必要がある」という形になっていまして、基本のところは地方自治制度が始まって以来というか、予防接種が始まって以来ずっと自治事務で、こういう基本的なあれで担っているわけですが、いま委員ご指摘のようなご懸念がないようにするために、低所得者への対応と、それから定着するまでの間、円滑な導入のための何らかの支援を考えるべきではないかということを、ここで謳っています。 
○木田委員 地域主権改革につきましては、市町村は歓迎するところなのですが、やはりこれには伴う費用の措置がないとやっていけないというところがありまして、特に予防接種等の問題につきましては、これがまともにかかってきますので、こういった改革をするに当たっては、財源措置とセットでやっていただくことが大事だと思いますので、是非その点をお願いしたいと思います。
 この後の部分も見ているのですが、例えばワクチンの製造、販売業者に対する損失補償とか、製造業者に対する考え方もありますし、また、経費を安くするために、混合ワクチンの研究開発を進めるというところもあるのですが、以前のこの部会でも私申し上げさせていただいたのですが、物が安くなればこれは普及がものすごく楽になるということで、例えばこのお茶を100円で仕入れると、それが普通の市場的な考え方からいうと、これが1,000本注文があったとき、10万本注文があったとき、100万本注文があったときは、100円の仕入れ値が30円とかにでもなるのが一般的な市場の考え方なのです。だから全国的に予防接種をやる場合、ワクチンにしても接種にしても、数がものすごく多くなるものですから、製造業者のことを考えていただくのも大事なことなのですが、数が多くなれば当然それによってコストダウンになりますから、それを下げることは国にとっても市町村にとっても非常に大事なことです。また、接種を受ける国民にとってはとても大事なことだと思いますので、やはりこういったことについては格差がないように国で財源措置をしていただくことと、それからそうしたコストダウンをしていただくことを、強く要望したいと思います。

○健康局長 コストダウンというか、我が国のワクチン行政、ここ数十年間出たり引っ込んだりいろいろやってきて、ワクチンギャップなんか言われているわけです。したがって今回の3ワクチンなども予算事業をやっているのも非常に高くついていることは否めない。したがってあとで議論になりますが、9頁にも「ワクチンの研究開発促進と生産基盤の確保のあり方」という形でやはり。健康危機管理、国策上の戦略もありますが、そういった形でできるだけ安くというのはご指摘のとおりです。さらにまたあとでご報告しますが、今度は医薬局と健康局が一体的に予防接種を推進するということで、生産から流通から接種まで一貫して見ようということで、予防接種室も組織改革ということで、10月1日からやろうとしています。
 私は地方自治体のほうにお願いというか、地方自治体の財源にはなかなか手を突つ込めない、国の立場でいるわけです。例えば4頁のいちばん下のところに、「社会保障と税の一体改革成案において」ということで、見過ごされるような文章なのですが、その中で地方単独事業に関して、カギ括弧しか書いてないのですが、総合的な整理を行った上で、必要な安定財源が確保できるように、地方税制の改革を行うというふうになっていますので、我が方の原案は大きな制度ですね。地方の事務とするというところは、やはり我が方もそれは変えないというか死守するけれども、いまおっしゃったような大きな財源の問題については、地方の立場からもこういうことが成就できるように、また、いろいろご検討を願いたいという願いも込めて、これを引用しております。
○古木委員 私は町村会の代表ということで来ているわけですが、先ほど木田委員からもお話がありましたように、今度の検討案は、7月25日にまとめた中間まとめの意見が、費用負担に関する部分では全く抹殺されています。ここは何とか考えてもらわないと、たとえ役所のほうで人事異動があったら、前任者からの引き継ぎがなかった。それでこのように抹殺したのかというような気持になってしまうのです。ですから、中間整理にあった意見はしっかり反映してもらわないといけないと思います。数少ない意見ではなかったように私も思うし、いま木田委員も思うし、たしか黒岩委員も非常に強い言葉でおっしゃっていたかと思うのです。ですから、それはしっかりこの検討案に反映させてください。そうでないと、これではもう「すべきである」と言っていることが、全く抹殺されております。これではどうも私は委員として納得できません。
○加藤座長 ご指摘しているのは、具体的に資料1-4の、中間報告のどの意見がなくなっているとおっしゃっているのですか。
○古木委員 中間整理の10頁です。「今後の負担のあり方」というところがあろうかと思いますが、読み上げてみますと、「自治体や被接種者の経済状態による差が生じないようにするために、公費で負担すべき等とする旨の意見が多くあった」と。これが入っていると思うのです。これは例えば北海道であろうが沖縄であろうが、こういう大事な事業はどこで受けても、同じ条件で受けられるようにしてくださいと、こういうことを私はずっと申し上げてきたと思うのです。こういう格好になりますと、市町村の財政力の強い所、弱い所によっては、必ずこれは費用負担の差が出てくると思います。ですから、大事な事業になればなるほど、その辺は統一したやり方でやっていかなければ、それはやはり国からの支援が必要であろうかと思います。昨年の3つのワクチンもそうですが、たしかこれは局長さんのほうから、昨年の10月過ぎに発表があって、いまの3つのワクチンの補助制度が始まりました。たしか2年間の云々というような話でありましたが、あのときにもしっかり私はお願いしたかと思うのです。これはただやったときだけの補助ではなしに、ずっと続けてください。大事な事業ならずっと国が負担すべきではないかということを申し上げました。局長に要望もしました。「大事な事業だから皆さんからのご意見をしっかり承りました」と、このようにおっしゃっていただいたので、私はこれは、ただ、2年だけで済む話ではなく、ずっと続くものだろう」と、このように思っていたのですが、やはり始めた以上は続けて、大事な事業なら財源措置はずっと続けてほしいと思います。そういう思いです。
○健康局長 担当課長が話したほうがいいと思いますが、ちょっと私、話しますが、3ワクチンについては、設立の段階から臨時特例的に、今回どういいますか、対象年齢も幅も広げながら、やっているということで、事業の目的はそうなので、いまの財政負担のあり方を未来永劫やるという設計ではないわけです。ただ、非常にご要望の高い事業もそうですし、先ほど言ったみたいに、ワクチンの供給体制がこういうコスト構造になっていますから、以前と違ってこの新しいワクチンは実に非常にお金がかかるということなので、これを臨時特例の交付金でやっていると。予防接種法の抜本改正がまだなので、ここのところはいろいろな議論のあるところですし、24年度に向けた概算要求といいますか、それについても年末までに予算編成の過程の中で議論するということで、財務省と事項要求だけになって、さらに調整するという事項で、まあ、鍔迫り合いみたいな形になっているわけです。そういった趣旨で、穴が空かないようにということでは、我が方は一生懸命にやろうと思っています。そのことと今おっしゃった資料の1-4の10頁、本文のところで、自治体や被接種者の経済状況による差が生じないようにするための公での負担という考え方を踏まえて、4頁のところに経済的理由により接種費用を負担することができない場合には云々という、経過措置の規定を入れているということです。もともと交付税措置されているわけです。したがって、それのいまの制度を、交付税措置されている予防接種制度の根本が違うのだという話であれば、それはまた別の議論だと思いますが、我が方はこの10頁のご意見を踏まえながら、提案した4頁の言葉の強弱はあるにしろ、先ほど言った経済的理由の文言と、それから経過措置の文言、さらには先ほど申し上げましたように、「社会保障と税の一体改革」の中で、地方の側も地方単独事業に関して、総合的に検討しながら、安定財源を確保できるように、地方税制の改革を行うというようになっていますので、それらも両にらみというか、いろいろにらみながら進めていこうということで、皆さんからいただいたご意見を蔑ろにしたなんて思っておりません。
○加藤座長 古木委員と木田委員のお話は、いままでもずっと議論があって、やはり国でやっていただきたいという議論でしたね。いわゆる地方自治体だと格差が生じると、こういう議論はもう何回もやってきました。それを引っくるめた上で、文言をよく読んでいただくと、こういうことになるのですよというのがいまの局長のお答えではなかろうかとは思います。
○保坂委員 健康局としての大変苦しいお立場は、私たちはわかっているつもりではございますが、この文章で4頁の「費用負担のあり方」というところの丸のところで、「引き続き市町村の支弁によるものとすべきである」と、非常に強く書いてある。この非常に強く書いてあることが、中間まとめの意見を無視しているのではないかと思われる所ではないかと思うので、ここのところをこのようにどうしても強く書かないと、このように書いておかないと、財務当局と交渉をするときにまずいとか何とかということがあるのかもしれませんが、私たちに推測することのできないような深い事情があるのかもしれませんが。
○健康局長 ここのところは、私は非常に重要なところだと思っていて、「支弁とすべき」というのは、自治事務で実施主体はといったらどこなのだという立場を表明する考え方なのです。それに対して、どういうふうな金の入れ方をするかというのは別の話なので、それは私は細かいことは覚えていませんが、過去にもこの予防接種を我が国で拡大してくる経過の中で、経過措置として国費をいろいろ投入してきた時代があったと思います。したがって、金の入れ方の話と、地方自治制度の中で、実施の主体を一体どこに置くのかと、国なのか、市町村なのかという話の立場を、まず鮮明にすべきだということを言っているのです。そこがまず問題であるということであれば、まさに部会でそこも含めてご議論していただきたいと思います。
○保坂委員 質問なのですが、この支弁という言葉、私たちから見ると、支弁というのは費用も全部出すんだよというふうに受け取れるのですが、この支弁という言葉は法律的というかお役所的には、費用は含んでいないというふうなことなのでしょうか。
○健康局長 例えばですね、どう言いますか。
○保坂委員 だから支弁ではなくて、市町村が主体的に行うとか何とか、市町村が実際に行うというか、そういう言葉であれば、そのおっしゃっていることはまさにぴったりなのですが、支弁といいますと。
○保健局長 市町村が実施主体ですから、実施主体で行う、実施主体側が歳出の側でそれを金を払うのは支弁で当たり前なことなのです。それに対してどのような金が入るかというのは、歳入で別の話ですから、それは交付税措置であったり、今回の臨時特例交付金のような補助事業、これは定期接種ではありませんが、いろいろなことが考えられると、こういう話でございます。
○坂元委員 以前、全国衛生部長会でも、厚生労働省の担当者と予防接種の負担をめぐって議論をしたことがあります。法律上は地方自治体は予防接種の費用を接種を受ける方に実費徴収することができる、という建前になっているという結論でした。また低所得者に対しては地方交付税等の補助があるということでした。予防接種制度が始まった段階では非常にワクチンの数が少なくて、ほとんど地方自治体が全額自治体負担として、実質上無料化したのです。その後、新たなワクチンがどんどん予防接種に加わってきで出費も大きくなるが、いままで無料にしてしまったものを、いまさら実費徴収することができないというのが、おそらくどこの地方自治体でもの大きな悩みだと思います。1つの例外として、予防接種の中で一類と二類という分類をされたが、二類である季節性インフルエンザは、ほとんどの自治体がかなりの実費負担を個人に求めているということがあります。、費用負担の1つの議論としては今後の追加される予防接種が、非常に個人的防御の要素が強いか、集団的防御の要素が強いかという分類が大きく関係すると思います。その辺の分類の議論も踏まえて、今後配慮できればということです。現実にいま追加を検討しているワクチン、ここに書かれている4種以外の2つ、B肝と成人を除くと、大体100万人規模の人口で50億以上の負担が生じるという試算をしているところであります。やはりこれは地方自治体にとっては非常に苦しい財政負担となることもご理解いただければと思います。
○加藤座長 ただいまこの2のところで、接種費用の負担のあり方に傾いていますが、ほかの意見はないでしょうか。
○岡部委員 違う話になりますが、いまの話はきっと議論が続くのだろうと思うのですが、私のはもう少し細かい話です。小委員会のほうでは確かにいくつかのワクチンについての医学的なまとめをやって、それらが必要であるというようなことをやっているのですが、今日の議論は予防接種法の関係で話がされているので、定期接種に入れるワクチンとして、HPV、ヒブ、小児用肺炎球菌、さらには水痘、おたふく、B型、成人用肺炎球菌というように、一つひとつ出ているのですが、そのときに言ったのは現在、定期接種ではあるけれども、やり方を変えなくてはいけないという中で、IPBが1つ、これは現在IPBの委員会も開かれているぐらいですからやっていますが、DT、百日咳の対策をどうしようということが、そのとき議論になっていて、これだけザーッと読んでいくと、その当時の百日咳に対する議論は、もうここでやることがなくなってしまうかのように見えるので、これは3頁の下から丸2つの「このほかの疾病・ワクチンについても」という所で読めということだと思うのですが、項目としてきちんと議論されていたもので、百日咳対策についてはきちんとこの部会の中でも議論がされると。予防接種法の改正ということと少しリンクが外れますが、インプリメンテーションすべきことではないかと思います。ちょっと確認をしたいと思います。
○加藤座長 事務局、よろしいですか。
○結核感染症課長 結構です。
○保坂委員 いまの個別のワクチンをどうするかというところのくだりですが、水痘、おたくふかぜ、B型肝炎、成人肺炎球菌のワクチンについては、ワクチンの供給量云々で、定期接種化の必要性について、さらに検討を進めるというような文章になっています。定期接種化が必要であることについては、この部会からそういうことが必要であるという結論を出したというふうに認識しておりますが、具体的にいつからどのように定期接種化していくかということについては、今後さらに検討がワクチンの供給量、実施体制などを含めて必要かもしれないけれども、ここで必要性をさらに検討を進めるという書き方をされると、私たちの部会から出した中間取りまとめは無視されているのではないかという印象を強く持ちますので、ここのところはもう少し定期接種化が必要だということは、もう部会として出したのですし、それに対する反論がもし厚生労働省健康局としてあるのであれば、それを出していただくのは、そういう反論があるとは到底思えませんけれども、是非よろしくお願いします。
 先ほどの費用負担のところに戻るのですが、自治事務ということで、いろいろおっしゃっていますが、それからいわゆる個人の受益者負担というようなことも言われていますが、厚生労働省全体として健康局だけではなくて、新しい小宮山大臣は「チルドレンファースト」ということをおっしゃっていて、要するに子ども政策の一貫として、この予防接種をやるということを健康局のお話の中ではなかなか出てきにくいのかもしれないのですが、1つの局だけのことではなくて、子どもの健康を守ることが、いわゆる国の未来にとって非常に大事なのだという観点で、子どもの予防接種について国が非常に重く考え、実際の実施については地方自治体にやっていただくことがあるわけですが、それに対して費用負担というか財政的な支援を強くすることを、子ども政策として考えるという視点を是非、この中にはすぐには入れられないかもしれませんが、ほかの部署とお話しいただいて、是非お願いしたいと思います。
○倉田委員 費用負担の話を聞いていて、おっしゃることはそのとおりで、私は全く大賛成なのです。そもそもワクチンの値段が日本に入ってくるいろいろなものと、外国で一般に使われている値段と、日本で販売されている世界のものもあるいは日本国内のものも、諸外国に比べて、ずいぶん値段が高いのではないか。イギリスがやっているのは非常に面白い。担当者の部長さんから聞いたのですが、これ競るのですね。いろいろ検討してこのワクチンとこのワクチンがいいと、そうしたらどちらを使ってもいいのだけれども、国は2年間こちらのワクチンを使うといって、値段が大体1,000円から500円になる。500円から250円になるとか、その話を直に聞いています。そういうことに関して国がやるので、国がお金を負担するのだったら、そのワクチンの値段そのものまでも介入というのではなくて、少し考えろということがあってもいいのではないかと。資本主義の論理としたらそういう口を出すことは、厚生労働省としてやりたくないのなら、負担するほうだけがそういうことで動かなければいけない。個々のドクターとか病院あるいは診療所の方がメーカーの持ってくる人と値段の交渉はほとんどできないですね。大きい所は10%余計に物を持ってきましょうということはやっているという話も聞いていますが、そういうところから考えて、少し値段を比較して、例えば今度3つが入るようになったのは、相当値段が高いと私は外国の友人から聞いていますが、そこを実際の物をメーカーから出るときの値段からその後、最終的にどうなのかと。外国は国が買い上げていますから個人には負担にならない、医者の技術料だけがあるようですが、そういうことを含めて検討したらどうですか。そして値段が半分になってしまえば、いまの自治体の負担も半分になる。あるいは国が買い上げてしまう。いまの半分になるのなら国が丸ごと買い上げたらその分を自治体に持っていけば、現場の技術料だけになりますよね。そういうやり方もいろいろあるので、そこは全く触れないで、自治体がどれだけ負担するとか、厚労省が、国がどれだけ負担するという話をいくらやっても。ですからそちらのほうも、こういう時代ですから少し安くやったらどうだと、あるいは半値にしたらどうかという議論があってもいいと私は思います。
○加藤座長 事務局からどうぞ。
○結核感染症課長 ワクチンの価格、コストの点については、先ほど木田委員からもご指摘がありました。我々もこの問題は関心は持っています。ただ、ワクチンというのは一応市場原理が働いている形になっているのと、それから独禁法というものもあって、どこまで国ができるのかよくわからないところがありますから、引き続きよく勉強をしていきたいとは思っています。 
○保坂委員 国が買い入れないと値段は下がりません。海外で値段が安いのは国が買い上げるということで安くなっています。相当メーカーと交渉をしていますが、下げる下げるとあるところまで言うのですが「やっぱり駄目です」ということで、納入価格は下がらない状態ですので、もしいま倉田委員がおっしゃったようなことをするのであれば、その事業については国が買い上げる仕組みにしないと、値段は下げられないと思います。はっきりそう言われています。特に海外のメーカーは海外の自分たちの経験があるので。ですから、そこのところは是非検討をする課題だと思いますが、ただ、国がワクチンを買い上げたときに、どのような流通ルートといいますか配送ルートにするかとか、さまざま問題があります。でも是非ご検討ください。
○加藤座長 少しこの議論が長びいていますので、まだ発言がない方ご意見をどうぞ。
○宮崎委員 定期化に関していくつか発言します。1つは子宮頸がん、ヒブ、肺炎球菌と別の項で水痘、おたふく等の4つのワクチンがまとめられていますが、「定期接種化の必要性についてさらに検討する」ではトーンが低すぎる。この4つの中でも少し重さは違うかなと私は思いますが、もう少し踏み込んでいただかないと困る。上の子宮頸がん以下3つのワクチンに関しても、来年度どうなるのかということを今年度の早いうちに国が言われないと、自治体は非常に混乱するだろうということを申し上げておきたいと思います。
 もう1つ、文書の4頁にも書いてありますが、法を変えないと定期化にならないというところが残っているわけで、それは早く解消して、政令以下で決められるように、これは私は賛成です。費用負担を一言いえば、3割しか地方公付税的には交付していないので、あとの7割に対して自治体の皆さん不安があるのだろうと思います。以上です。
○加藤座長 次の3番目の「予防接種事業の適正な実施の確保」という5頁目からのところで、先ほど事務局が読み上げましたが、この項目のところでご意見がございましたらいただきたいと思います。
○北澤委員 関係者の役割の国のところで、「健康被害の救済」というのを一言加えてほしいと思います。
○加藤座長 健康被害の救済、6頁のところですか。
○北澤委員 5頁の国の役割のところで、副反応報告の評価に続いて、健康被害の救済というのも入れておいてほしいということです。
○加藤座長 よろしいですか。
○結核感染症課長 はい、わかりました。
○古木委員 市町村の役割のところですが、先ほども意見を申し上げたように、適正な予防接種の実施の確保ということですが、やはりこれも財源の伴うものですので、この会で出た意見については、しっかりそれが反映させてもらいたいと思います。だから、反映した形での市町村の実施ということが然るべき手法ではないかと思います。先ほども少しお話が出ましたが、財源は交付税云々という話も少し出ましたが、交付税でどのように、はっきりこの費用についてはこうだというのが示しておられれば別ですが、そこまではっきり交付税というならば、そこまではっきり示してもらいたいと思います。そうしないと、大つづみの中での経費負担というのでは、なかなかわかりづらいですから、その辺のところもしっかりわかる形にしていただいたらと思います。以上です。
○宮崎委員 国の仕事の中の1つに、予防接種を受けやすい体制を整える、を加えていただきたいと思います。日本には日本独特の細い決まりがあって、それは政省令の中にたくさん書いてあるのです。非常に接種を制限しているといいますか、受けにくい部分があるのです。費用負担もそうなのですが、みんなが受けやすい体制づくりを国がきちんとやらないと、これは市町村ではなかなか難しい部分になりますので、そこも加えていただければと思います。
○加藤座長 いまのは具体的にどういうことですか。
○宮崎委員 例えばみんなが本当に受けやすくするには、1つは費用が無料か安いほうがいいわけですね。それからいろいろな接種期間とか接種部位とか、日本だけのルールがいろいろまだ残っていて、それが添付文書も含めていろいろなところで縛りがあるので、もう少しそこが緩くなると、もっと接種しやすくなるのですが、そこをどこから崩していくか非常にいまは難しくて、現場は苦労しています。
○健康局長 市町村会からいただいた意見なのですが、いただいた意見を実現するためには、地方交付税制度、自治事務の中からこのワクチン行政部分を引き剥がして、そして何か国の補助事業みたいな形に変えないかぎり無理なのです。それはこういう地域主権改革の方向性で、本当にワクチン行政というのはそういう方向に変えるのだということが地方自治体の本当に総意なのですか。ですから、交付税制度みたいなものを本当に否定されてやられるかどうか、そこをはっきりしてもらいたいと思います。
○古木委員 私の言っているのは、財源で、交付税で処置していると、こういうお話でした。ならば、その処置している内容が誰が見てもわかるような処置の仕方なら理解できるのです。ですが、いまのような状態では、予防接種は例えばいろいろな費用がありますが、予防接種の中身がありますが、果たしてそれで満足いくような措置の仕方になっているのだろうかと、その辺、危惧があります。ですから、できることならば、予防接種については交付税から外して補助制度にしてもらったほうが、はっきり言ったらわかり易いのですね。そんな気持です。
○健康局長 ですから基準財政需要額のいろいろな積算の仕方とか、それはいろいろなものが入っているのです。私も地方自治体にいたことがありますが、非常にわかりにくいことはわかりにくいのです。しかし、制度の根本というものがあって、そこから引き剥がすかどうかということを、一委員としてご意見は承りますが、本当に地方公共団体全体の総意で、こういうのは地方のいまの体系から外してやるべきかどうかというのは、いささかちょっと、本当にそうかなという気がしないでもないですが。ただ、できるかぎり、そういうことをわかりやすくするように説明をしたり、あるいは先ほど言った格差がないような、あるいは高コスト構造になっているところを経過措置的に、どういう形で別途、本来の骨格とは別に国費でどのように充当するかというような議論はあり得ると思いますが、本当にいま町村さんがおっしゃっているようなことが、町村会全体として決議されたご意見なのかどうかですね。あるいは総務省も含めて地方主権改革の中で、この予防接種行政については、市町村事務から外して、実施主体を国にもってくるかどうか。本当にそうならそういう形で提案していただきたいと思います。
○加藤座長 費用の話とは別にシステムの話になっていますから。
○木田委員 その件で、局長の言われることよくわかるのですが、いまの制度でそういうふうになっていると、そして市町村も地域主権、あるいは地域改革ということで、その権利を地方にと言っているではないか。それは十分わかるのですが、ただ、こういった国の省庁でこういうことを定期実施をしていこうということが国で決まるわけなのですね。国で決めてその費用は市町村でと言われると、そこにギャップがある。だから、決められた以上は、当然その費用も財源も一括してやっていただかないとやれないということなのです。だから、地方交付税で措置しているということであれば、いままでの地方交付税以外に、例えば来年度からこれはこの部分ですよということで、別枠で地方交付税を出していただければ、それはみんなわかりますが、そうではなくて全部一緒にくるものですから、本当に措置されているのかどうか。措置されているのを全部出したらいまもらっているよりもうんと多くなるのではないかという議論なのですね。そんなイメージをみんな持っているわけなのです。だから、財源を一括でやるということについては、決議はしていませんがすべての市町村の希望、望みだというふうに私は思います。
○健康局長 ご意見は承りますし、地方自治体がその気になってもらわなければ、こういう行政はまさに、私どもは地方の自治事務だと思っていますから、そういうご意見は蔑ろにできませんが、やはりいま言ったご意見を実現するためには、地方財政制度そのものから変えていかないと、ほかにもあると思います。そういう話になるので、我が方はそれはそれで、いまの実体と費用徴収も含めてアンバランスなことはよくわかりますが、根本のところは、大きな流れの中でそれを押さえつつ、しかしながら、実体的に財政支援をどのようにするかということは分けてやっていかないと、いつまで経ってもこの制度改革はできないのではないかという立場に立っていますが、今日は討論会ではありませんので、ご意見はご意見で承っておきます。
○加藤座長 大体言っているところは皆さんわかっていますので、簡略にお願いいたします。
○古木委員 私は文句を言っているわけではありません。今後の方向性を示すわけですから、今後についてはこういう方向で行ってくださいということをいま申し上げるわけですから、そこを理解してもらわないといけません。いまの矛盾点はいま申し上げたようにいろいろ矛盾点があります。それならば、今度新しい制度については、こういう矛盾点があるから、これを今度はこのようにしてくださいと、わかるようにしてください。交付税でされるなら結構、それでわかるようにしてくださいというのが私の意見ですから。決して物事をグチャグチャに潰そうという意味ではさらさらありませんので、それは理解をしていただいたらと思います。以上です。
○健康局長 わかりました。
○加藤座長 今日は、検討(案)に対して委員からの意見を聞く会ですので、意見としてお聞きするということで、ほかに。
○池田委員 医療経済あるいは費用対効果の問題について、例えば2頁とか5頁の上のほうなどで、国として取り組むべき、あるいはこういうものに基づいて検討するということが触れられているのですが、3番の関係者の役割分担の中で、では誰がその分析するのかとか、どこでそれを検討するのかという主体がどこにも表われてないように、ちょっと私の見逃しかもしれませんが、見当たらないように思いましたので。もし、国がこれに関しての分析結果などについての検討なり、考慮するということであれば、「国は」の中にそういったものも含めていただけると、よりはっきりしてわかりやすいのかなと思いました。特段の問題がなければ、入れていただけるといいと思います。
○加藤座長 事務局、よろしいですか。
○結核感染症課長 おそらく国がメインになると思います。ただ、都道府県市町村もやれなくはないですが、ちょっと考えたいと思います。
○坂元委員 細かいところになると思うのですが、7頁の接種記録については、未接種者の把握、接種率の向上云々という文言がありますが、これはたしか予防接種の実施規則にある予防接種台帳のことを言っているのでしょうか。
 それと、もし予防接種台帳のことでなければ、予防接種台帳の今後の取扱いに関して教えていただければと思います。以上です。
○加藤座長 事務局いかがですか、台帳の取扱いについて。
○結核感染症課長 いまの制度であれば接種記録と言うと、台帳がいちばん最初に思い浮かびます。あと、母子健康手帳にちょっと書いてある場合もありますが、主に念頭に置いているのは台帳です。
 今後の扱いは、やはりここにありますように、社会保障・税に関わる番号制度、それはまた別のところで議論していますので、それのことも念頭に置きながら今後議論、検討していければと思っています。
○保坂委員 細かい点で2点です。5頁の医療関係者の役割のところですが、いつも思いますのは、「問診」という言葉が書いてあるのですけれども、十分な問診って、問診というと、医師のほうは質問をして答えていただくというのも問診であると思っているのですが、お役人は、問診が聴診とか打診とか視診とかも含めて問診であると、どうも思っていられて。そのようにずっと文章が作られているので、このところは変えていただいて、「十分な診察」ということ、問診を含めた診察ということのほうがよろしいかと思います。
 それから「ワクチンの適正な使用」と、最初に書いてあるのですが、ワクチンを適正に使用して適正な接種をするということだと思いますので、必ずこれもワクチンの液を確保するということが大事で、接種をどうするかということが抜けてしまうということが、新型インフルエンザのときも非常に大きな問題になりましたので、こういう小さなところからひとつひとつ変えていっていただいたほうがよろしいかと思います。
 要するに、「適正に接種する」ということですよね。使用して、接種する。それから「十分な診察をする」ということに、変えていただいたほうがいいかと思います。
 もう1点ですが、最後の7頁の「接種を促すためには」というところで、文部科学省と連携してということが折角出てきておりますので、文部科学省と連携して、子どもの頃からの予防接種についての教育を促すということも、是非入れていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○加藤座長 事務局、よろしいですか。言葉の使い方で。
○健康局結核感染症課長補佐 まず、1点目の問診という言葉につきましては、6頁のほうでは「入念な予診」という言葉を使わせていただいておりまして、予診のほうは問診や診察も含む概念ですので、統一をはからせていただきたいと思います。6頁の下から2行目に、「入念な予診」という言葉を使わせていただいております。
○加藤座長 適正な使用ではなくて、「適正な接種」ではいかがでしょうかということでしたね。5頁目の下から4行目。
○健康局結核感染症課長補佐 そこもそういうことだと思いますので、ご意見を踏まえて検討したいと思います。ただ、適正な接種と言うと、その十分な予診であるとか、ほかの概念を含みますので、ちょっと整理を検討したいと思います。
○加藤座長 7頁目の「文科省との連携、教育」という言葉が入らないかという質問です。
○健康局総務課長補佐 そこも併せて文言、ご意見を踏まえて整理したいと思います。
○加藤座長 ほかにご意見をどうぞ。
○澁谷委員 いまの7頁の被接種者への接種を促すためにというところですが、ここは予防接種率の向上に向けた啓発に取り組むということのための記録ということなのですが、そもそも、まず予防接種に関心を持ってもらう。それから自ら健康管理をするという、能動的なことの定着をさせていかなければいけないと思いますので、ここは、接種率の向上だけではなくて、自らの健康管理、あるいは先ほど出ましたが、教育ということにもつながるのでしょうけれども、もう少し自発的な部分の醸成をするという意味合いを、何か含めていただくと、次の「情報提供のあり方」にもつながっていくのではないかと思います。一人ひとりが自ら判断してという部分にもつながっていくのではないかと思いますので、ここのところはもう少し膨らませていただけたらと思います。
○健康局総務課長補佐 はい、了解しました。
○加藤座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは次にいきましょう。
 4番目、「予防接種に関する評価・検討組織の設置」について、7頁、8頁について意見を伺います。
○廣田委員 「有効性・安全性の評価」という言葉がここに出てきまして、この前の2章とか3章にも出てくるのですが、書いていらっしゃることは理解できまして、これはこれでいいと思うのですが、実態は極めて深刻であることをご理解いただきたいために発言します。
 例えば、2009年の新型ワクチンのとき、最初にどれだけ抗体が上がるかという調査がされたわけです。いろいろな所でされて、その調査はどういう状態だったかというと、皆さん、血液引いて抗体測ればいいと考えていらっしゃるのですけれども、あのときは既に流行が始まってから、その試験が始まっているのですね。そうすると、接種前に既に感染している人がいるのです。その方々も、接種前に抗体価が高い。そうすると接種してもそれ以上抗体が上がりにくいから、そのまま丸めて評価すると、有効性を過小評価してしまう、結構、健康だと。
 今度、接種後、採血までの期間に感染する人が出てくるのですね。それをまた考慮していない。感染する人を除いてないと、有効性を抗体応答を高く評価してしまいます。そういったことがあったということです。
 それから流行後にどれだけ抗体が持続しているかというとき、これは例えば8月頃に、もし第2波があったら、抗体が落ちていれば再接種の必要があるし、抗体が高ければ安心ということになるわけです。実は、その流行後の抗体の持続の調査の中には、流行後の血清だけ独立して、単独で測定している。要するに、接種後の抗体価とペアで測っていないから、比較性がないというのがある。それと、接種後から流行後までの3カ月程度の間の感染を考慮せずに結果を出す。そうすると、当然なことながら感染者がいますから、流行後でも抗体は下がってないというような結果になるわけですね。まさに、そういうスタディがいろいろ報告されたわけです。なおかつ、それを評価するときに、そういった視点でこれを批判する人もいないというような状況でした。
 だから問題が大きくならなかったのは、ワクチンが非常に抗体誘導の能力が良かったということと、8月頃、第2波が起こらなかったということで、私は幸運にも問題が起こらなかったと思っております。我が国で、そういった有効性とか安全性の評価をするということにおいて、ワクチンの専門家と言われている方々の中の多くの方々にはそういったレベルで議論されていると、非常に深刻であるということを述べます。以上です。
○加藤座長 という問題があるので、いまこの4の評価・組織検討組織の設置が必要だと、こういうご意見ですか。
○廣田委員 もちろんそうですけれども、その組織も、だから重々考えて組織を作ってくれということです。
○北澤委員 2点です。いま廣田委員からもご意見があったのですが、8頁のいちばん下の○で、「情報収集の観点からも感染症サーベイランスのあり方を検討することが必要である」という文があり、それ自体はもっともだと思いますし、私も、もっと充実させてほしいと思うのです。それに加えて、いま廣田委員の言われたような、いろいろな評価の方法論ですよね、それもいま足りない。ここの部会で、何回か前に、同時接種で亡くなられた方に対する安全調査会の決定について、いろいろ意見があったと思います。疫学調査がなされなかったのはどうしてかとか、いろいろご質問がこの部会の先生方からもありまして、私自身も非常に疑問に思いました。そういった意味では、感染症のサーベイランスのあり方ももちろん充実してほしいのですけれども、その安全性・有効性の評価についてもさらに充実させるということを入れておいてほしい。それが1点です。
 2点目は、下から2番目の○で、評価・検討組織の位置づけということであるのですが、これを読みますと、自分の印象では、いまの部会とそう変わらないのではないかという印象を受けたのです。実際に、以前に米国の事例などについて伺った際に、皆さんがイメージしていたのは、もう少し違うものだったのではないかなと思うのです。それが、今回は、予防接種部会とそう変わらないのかなと思ったのです。ここはほかの先生方からも意見があるのではないかと思います。
○加藤座長 ほかにご意見ございますか。
○宮崎委員 いまの意見を少し続けますと、大体国がいまどんなふうな組織を考えておられるかが、やっとおぼろげながら見えてきたかなと思っています。それは、いま北澤委員が言われるように、この部会の強化みたいな形をベースにしているのかと思ったのですが、そのわりにはどういうメンバーを入れるかということについては、メーカーサイドや、流通も含めて書いてあります。
 参考資料の中に、いろいろな国のやり方が書いてあります。例えば、米国のACIPでいけば、こちらからこちら(発言者宮崎から座長側席)が投票メンバーになって、こちら(行政担当者)がex-officioのメンバーで、ACIPでは周りに学会代表などのリエゾンメンバーがいろいろおられて。そして傍聴席フロアからも発言があるというような形になっています。参加メンバー等についてはもうちょっと詰めた形で、いろいろ議論が必要だろうと思います。それから、もう既にこの部会でもいろいろな立場の方が入っておられるのです。公開もされているのですが、我々から見ていちばんわかりにくいのは、この後がわからないのです。厚労省から実際の施策にいく辺りがなかなか見えにくくて。先ほどの北澤委員の発言とも関連するのですが、部会などで示された方向性があまり歪まずにちゃんと施策にいくような、そういうものでないと、国に上がったところからがブラックボックスになってしまうことがいままでよくあったように思います。新しい組織を作る、どこにどう位置づけてやっていくかというところの工夫かと思います。
 そして、ここにも書いてありますが、やはり部会でできるのは、時間的にも能力的にも限りがありますから、支える組織というのが非常に大事です。感染研のことやらいろいろ書いてありますが、やはり折角この部会が小委員会や、ワーキンググループを作って積み上げてきたものが、議論が終わったらおしまいではなくて、いまも動いていくというふうなことをいま続けておかないと、新しい組織を作ったときにまた一から始まることになる。制度が新しい制度になる前から、いまのワーキンググループなども、もっと動かしておかないといけないと思っています。以上です。
○加藤座長 ほかにご意見ございますか。
○池田委員 各国の評価・検討組織の中では、医療経済的な側面に関しても必ずしもその専門家が委員としているかどうか別として、そういった課題については必ず検討されていると認識をしております。今回のこの検討の中には、医療経済という言葉はこの文には表われていないのですが、そういう理解をしていてよろしいかということです。
 もう1点、先ほど倉田委員等からもご指摘ありましたように、ワクチンの価格ですね。これに関しての検討も、実はこの評価・検討組織で行われております。例えば、アメリカであれば、そのワクチンの価格がここまで下がれば費用対効果の点からは許容範囲にあるとか、イギリスで言えば、複数のワクチンの中で、HPVであれば二価と四価を比べたときに価格がもし同じであれば四価のほうを積極的に使うべきだとか。そういう価格に関して、医療経済的な分析をするときには価格はもう既に決まっていて、それについて分析するのではなくて、費用対効果の観点からいけば、どういう価格が妥当である、適正であるというようなところも、本来評価・検討組織で議論されているわけです。日本には、仮にそういう議論をしたとしても、ワクチンの価格の設定、あるいは価格の引き下げに関しての機能が国にないのであれば、あまりそういう検討をしても意味がないのかもしれません。その辺りに関しても検討いただければと思います。
○加藤座長 事務局、どうぞ。
○結核感染症課長 価格の設定まではちょっと難しいかもしれませんが、資料の1-3の13頁をご覧ください。この図は、「予防接種行政の流れと評価・検討組織が担う役割」という図ですが、先ほどだいぶ説明をはしょらせていただきましたが、赤字で書いてあるのが、我々がいまイメージしている、今度の評価・検討組織が担うべきものかなと。4番の予防接種事業の中で、「予防接種事業としてのワクチンの評価(安全性・有効性、医療経済の視点)」と書かせていただいて、当然ご指摘の医療経済、この評価・検討組織で十分に検討されるものと考えています。
○保坂委員 いまのお話をお伺いしてても、この評価・検討組織というのが非常に大きなものというか、組織として大きなものにならなければできないと感じるような絵が描かれているわけですよね。一方、この組織の内容というか、お話を聞いていると、あくまでもこの厚生科学審議会感染症分科会の中の予防接種部会の機能をもうちょっと強化するというようなお話だと受け取れます。事務局機能を強化するとは言うものの、健康局の中の予防接種の室を今度作るということですが、そういうことだと、いまここに出席していらっしゃる厚生労働省の方に言っても、もうどうしようもないことなのかもしれないけれども、これだけのことをやりたいのであれば、やはりそれなりの人と、お金はあまりかからないかもしれませんが、とにかく人がいて、きちっといろいろなことを、会議もしばしば開かなければならないでしょうしと思うのですが、健康局長、いまのところでいかがでしょうか。
○健康局長 資料1-3の15頁を見ていただきますと、各国の評価・検討組織とあるわけです。再三話題になる米国のACIPも、アメリカの厚生省の日本流に言えば研究機関、施設等機関のCDC、主にそこを中心とした助言機関なわけです。国柄もいろいろ違いますが、我が方はそういった厚生労働省設置法の中でこういう厚生科学審議会というのがあって、さっき言った機能を持っていることに着目しますと、行政の執行機関を作るならいざ知らず、範疇としてはそこに入るのが普通ではないかと考えます。ただ、問題はこのACIPなるものが非常に権威を持っていて、そして役人はころころ変わりますが、そうしたそれを支えるメンバーが長期的な視点を持って評価しながらいろいろ中身のある提言をするという話なのです。そこのところは決めたわけではありませんが、我が方の案としてはこういった厚生科学審議会の枠組みは使うけれども、その中での支える組織について、感染症研究所の研究者はずっとその道一筋でいますし、そういった人たち、具体的に組織論としてさらに詰めるところもありますが、そうした所に支えてもらいながら、概念としては厚生科学審議会の中だけれども、運営の仕方なり位置づけなり支えるスタッフを変化させることによって意味のあることをやるのが、日本の制度の中ではそれがいちばん合理的ではないかと思っている。ただ、そうではなくて、別の権限なり機能を持った所を、どこか作るということでご提言があれば、それはまたご意見を伺いたいと思います。
○岡部委員 こういう組織ができるのは、これを利用するにしても何にしても結構なことだと思います。ここに書いてある、ある一定の展望を持つことと、それから定期的継続的にやるというところが、私はいちばん重要な部門だと思うのです。最初の構想というか、そういう段階で、例えば審議会とは別に国とは離れたところのものができるのも1つの考えであるというようなことがありました。私は感染研の立場として、事務局がすべて感染研にくるというのはできればそのほうがいいいのですけれども、できればそういう組織のほうがいいと思うけれども、いまの現状でとてもお引き受けができない。それは予算と人の問題で、そこができない以上ある程度現在の状況を考えた妥協としては、こういうような組織があって、この部会がそういう機能を持っていくということ自体、私は賛成です。
 ただ、8頁のいちばん上の○ですが、構成員に、例えば製造販売業者の方、卸売の方、意見を聞くのは必要だと思うのですが、こういう方も含めたり、被接種者の立場を代表する方もいろいろな立場の方おられるので、意見は広く聞かなくてはいけないと思うのですが、ボーティング、決定のところまで入っていくのはやはり場合によっては難しいことがあると思うので、ここのところはもう少し慎重に構成員の書き方を変えていただく。そういう方々の発言として、例えばここの会はこのメンバーしかほとんど発言できないわけですが、先ほど宮崎委員がちょっとおっしゃったようなリエゾン的な、その外側にいる人たちももっと意見を言いながら、それを反映していくという組織のほうがいいのではないかと思います。感染症研究所としては、これから先どういうふうになるか、いろいろな議論があると思いますが、ここに対して経常的にデータを出せるようなシステムを感染研の中に確立していきたいと思うので、そこら辺の協力も是非お願いしたいと思います。以上です。
○倉田委員 先ほど局長から、CDCは研究機関だと。研究機関は半分ありますが、半分は行政機関で、国としてのいろいろな対応のできる法律家も、経済学者も倫理学者も全部入っています。そこは純粋な研究機関ではありません。そういうことで、これそのものが行政そのものですから、行政に必要な研究を、それが必要でない人はどうぞ出て行ってくださいというシステムですから、ちょっと違うと思うのですね。そこのところ、いち研究機関という話では全くなくて、行政機関そのものです。ですから、そこを間違えないようにしないといけないと思うのです。
○健康局長 ですが、それでACIPそのものはCDCに対する諮問機関なのです。CDCの行政プラス研究機関ではなくて、ACIPはCDCに対して助言をする機関なのですね。こういうふうな諮問機関といいますか、それはそうです。
○倉田委員 諮問機関ではあるけれど、意味が全然違ってて。こういうここで喋ったものはその前にカット。そうではないですよね、この厚労省の場合は、日本の場合は。いろいろな指針あって、そのとおりになることはまずない。過去見ていまして、私も厚生省に20何年間かいましたから、後半のほうはずっとそういうことに携わってきましたから。助言したからといってそうなることはまずなくて、いろいろ行政も。ですからその行政権限が、例えばいま感染研とここに名前が挙がっていますが、感染研には行政権限何もないです。全くないです。行政のヘルパーではありますけれどね、必要なことを提供する、データを出す、そういう研究をする。そのとおりでありますが、CDCのような、あるセクションのチーフがまとめたものをポンと行政そのもののところでという話と、全然違っていますよね。ですから、感染研持ってくれば、研究と行政が一緒だという話では全くない。
 もう1つ、組織が感染研の場合は厚生科学課ですから、厚生科学課通らないものが、こちらで決定するということはあり得ないわけですね。そうすると非常に、議事録から削除してもらってもいいのですが、歴代のそのポジションの方々は厚生科学審議会にしても、いろいろその方の経てきた道で、いろいろの考えが違う。そういう継続性がないということが1つあります。
私、この前の部会ではっきり言ったと思うのですが、CDCの場合は、行政の方々は全然変わりません。私は30年来付き合っていますが、30年前から、その当時25、6で入ってきた人がいまちゃんと部長になってトップにいた。ずっと10年ぐらいごとできちっと、次継ぎそうな者がずっと育てられているのですね。そういう意味では、厚生労働省の、いわゆる課長、その審議会の上のクラスの人たちのくるくる変わるのと全く違いますから、継続性が世界に対してあるのですね。ですから、そこのところを、では感染研を持ってくれば感染研の研究者そこにいるわけだから、継続というのと、全然違います。感染研の研究者はわりとフリーにものを考えていますから、行政で仕切るという問題に関してほとんど知識もなければ、考え方もない。ですから、そこにポンと持ってきて、何かやればいいという話ではない。これはもしおやりになるなら、渡邉所長とか副所長と十分に議論されたほうがいいと思います。
○健康局長 諮問機関であるという、性格は諮問機関なのですね、ACIPは。だからそれを尊重するかどうかという点で、失礼ですけれどもちょっと違ったという話だろうと思います。その辺いまちょっと細かな話になってますけれども、我が方は今後組織論考えなければいけませんけれども、確かにいまの感染症研究所はそういう行政機関ではありません。しかしながら、アセスメントとその行政の執行というのは裏腹の関係にあることは事実なので、そこのところを支えてもらうために1つにはこういった、ここに書いてあることは、感染症研究所のいくつかの方々を結核感染症課に併任してもらいながら、支えてもらう人もあるかもしれません。
○岡部委員 いまのは意見として承っておきます。
○澁谷委員 この組織ですが、例えば感染症学会とか小児科学会、あるいはそういった学術団体ともしっかり連携をとっていただきたい、ということをどこかに盛り込むことはできないでしょうか。
○加藤座長 よろしいですか、事務局。
○結核感染症課長 ちょっと考えたいと思います。
○加藤座長 簡単にお願いします。
○倉田委員 ACIPと、この言葉は随分前から先走っていますが、米国の行政上の組織と日本の行政の組織まるきり違います。だからACIPで上がったものが、まずワシントンに行って、ひっくり返ることほとんどない。そういう決定権があるのですね、CDCにはすべて。日本は全然ないですから、そこのところを気をつけられて、日本独自の組織を作ればいいと思うのですね。ですから、そこのところを間違えないようにしないと、ACIPはこういうメンバーだ、こちらもこうやればいいという話では全然ないのです。そこのところを是非気をつけられて、日本独自のものを作ったほうがいいと思う。そのほうが日本のためになると、私は思います。日本の行政は行政で、素晴らしいものありますから、そこをうまく使うということを考えたほうがいいと思います。
○加藤座長 いまの先生の意見は非常に鋭い意見だと理解いたしますが、先に進みます。
 5番目、「ワクチンの研究開発を促進、生産基盤の確保」について、9頁で何かご議論がありましたら、お願いいたします。
 よろしいですか。それでは一通り1番から5番まで、各委員のご意見を厚生労働省の検討(案)についてのご意見をいただいたところです。いろいろなご意見がありましたので、次回どのような形になるかわかりませんが、これらの検討課題について、さらに厚労省としては検討を深めていただきまして、次回までに準備をしていただくということで、よろしくお願いいたします。
 それでは議題の2番目、報告事項に入ります。「予防接種法等の一部改正」について、事務局からご説明をお願いします。
○結核感染症課長 加藤座長、時間があと7分しかないので、報告事項をまとめて報告してしまってよろしいですか。
○加藤座長 よろしくお願いします。
○結核感染症課長 簡単に走りながら説明したいと思います。まず、資料2、先の通常国会で予防接種法及び新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法の一部を改正する法律が可決、成立しました。内容は、先生方にご提言いただいて法制化をしたものですので、省略いたしますが、大きな話は、新たな臨時接種を作ったということと、2番目の「国の責任によるワクチンの確保」というところで、特例承認を受けたワクチンの製造販売業者の損失補償契約の締結をする内容について、ここで盛り込んでいます。施行は、新たな臨時接種の部分はまもなく10月1日から、2の部分は既に公布日施行ですので、公布・施行されております。内容については省略したいと思います。
 資料3-1、これもご存じの方多いかと思います。子宮頸がん予防ワクチン、いままではサーバリックスだけが事業の対象になっていましたが、9月15日からガーダシル、これMSDという会社の開発したワクチンですが、このガーダシルも公費助成の対象になりました。付けている資料は、それに関連したQ&A、資料3-2は関連の通知、さらに資料3-3はもう少し細かなQ&Aを付けています。資料3-4も、同じようにこれは通知で、ガーダシルも新しく加わりましたということを示した通知です。
 資料4、「今シーズン以降のインフルエンザワクチンの副反応報告」について。経緯を申します。新型インフルエンザ(A/H1N1)を開始する前の副反応報告は、定期二類としてのインフルエンザは予防接種法のルートで、それ以外は薬事法のルートでそれぞれ報告されてきて、それぞれ別々に評価をされてきました。新型インフルエンザが発生して、そのワクチンを接種開始後は、予防接種法と薬事法の報告ルートを一本化して、医療機関から直に国に報告していただく形に改め、なおかつ、医薬局の所管している審議会と、それから健康局の検討会とで合同で会議を開催して、評価をするという形をとってまいりました。今年4月1日に新型インフルエンザ(A/A1N1)が通常の季節型に変わりましたので、今シーズンからどうするかということが課題でありました。結論として、今後はいままで2年間やってきた報告ルートを一本化、そして合同の検討会で評価する、そのやり方でしていくという結論です。
 図に示したのは次のところですが、医療機関から厚労省のほうに直接副反応報告をしていただき、先ほど申し上げた専門家、健康局と、それから薬食審の合同の会議を開催し、そこで評価をするという形をいままで取ってきましたし、この冬もそのようなやり方でやっていこうとしています。
 資料5ですが、予防接種室の設置について、10月1日から新しく結核感染症課の中に予防接種室を設置することにしています。先ほど局長からもありましたが、従来結核感染症課が予防接種行政をやって、それに関連してワクチンの生産とか流通とか、調整等については医薬食品局の血液対策課で行ってまいりました。医薬食品局血液対策課で行ってきた事務をすべて結核感染症課、すなわちこの予防接種室に移管し、ワクチンの情報収集、流通、分析評価、接種体制の整備等、全部一元的に当課で行うことを、この政令も改令し、10月1日から始めたいと思っています。
 体制については、併任も含めて13人体制でスタートする予定にしています。とりあえず報告事項は以上です。
○加藤座長 報告事項をまとめて報告していただきましたが、どうしてもご質問があるという方ございましたら、どうぞ。
○倉田委員 薬事法に基づく予防接種後副反応の報告、これはPMDAに集まっている資料というのは、被害者として感染症課に集まってくるのと全然違っていますが、この中には非常にいい内容があるのです。いろいろな副反応、頭痛が長い間続くとか、お腹が痛いとか、そういうことを含めましてね。被害者ではないかもしれないが。それは何を意味するかというと、非常に大事で、徹底的に集めてもらいたい。はっきりと義務づけたほうがいいと思うのですね。それは、いまある検定やっているから大丈夫ではないのです。いまある検定法ではたぶんつかまらなかったことが、どうしてわかるかというと、メーカーによってそういう症状があるのとないところが出てくるのです。そうすると、つかまらなかったほうのはいいのですが、つかまってしまったほうのがいろいろ出てくるのは何か違うのではないかと言って、いまある検定法でそういうことが出そうなところのいろいろなものをラボで、これは感染研がチェックしているわけですから、それをやっていくのにこの資料というのは非常に意味があるのです。それをやらないと、検定を通っているからいいんだという話にならないのですね。ですから、次のために改善していくためには、それを徹底的にやるべきだと思うのです。それで日本のワクチンというのは良くなってきたので、一旦世の中に出してしまったら、あとは個人よという諸外国のあれと全く違いますから、それをもっと徹底してやっていくと、良いワクチンで、そういう問題がないものができてくると思うのですね。ですから、検定済んでいるのではなくて、この検定はもしかしたら、やり方を変えていく必要があるのではないかということが出てくるのですね。それはいままであった知識で検定法は作られているわけですが、そこをさらに変えていくために、そういう薬事法に基づいた業者の情報集めを徹底してもらうというのが大事です。なぜこんなことを言うかというと、あるワクチンで、私の友人たちがその業者が来たときに言った場合には、それはもう込みで承認されていますから結構ですと、その情報を持って帰らなかった。これは、私はけしからんと、いつか言おうと思っていたのですが、是非業者に義務づける。それでドクターのほうには、そういうことを言った人がいたら、徹底的に医師会でも何でもいいから、厚労省でもいいから報告してくれるというような格好を、システムを作らないといけない。その名前を公表しないで、データーオープンにしないと、良くならないと思うのです。それだけ、是非いままでどおり集めて、これはワクチンだ、ワクチンではないと言ってやっても何も進歩ないのです。そこは徹底してやってもらいたい。
○加藤座長 ありがとうございました。ちょうど予定いたしました時間になりましたので、本日は以上で終了いたします。事務局におかれましては、今日各委員からいろいろな指摘があった事項がありますので、次回の部会で議論ができるように準備の程をお願いいたしたいと思います。そのほかに、事務局から連絡事項ありましたらお願いいたします。
○予防接種制度改革推進室次長 長いことありがとうございました。次回の日程ですが、また日程調整の上、ご連絡したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。本日は、長時間にわたりありがとうございました。

 いま委員から承っている日程がそこに集中はしておりますが、ちょっと調整する必要が出てくる可能性があります。いまのところ、実はそこを予定しておりますが、また正式に追って連絡したいと思います。
○保坂委員 そういうふうに言われてしまうと、そこで予定取っているのですが、もう、その予定も外しても良いということですか。大体この日と言って、よほど特別な、国のほうで特別なことがない限りはその日だと思っているのですが、何かいまのお話を聞くと、まだ違うということで。そうすると、そこを予定を押さえているのも外していいということですか。
○結核感染症課長 11月7日にやる可能性高いので、外ないでください。それはキープしていただいて、改めてきちんとご連絡します。
○加藤座長 一応11月7日の2時にとっておくということであろうかと思います。特別事情が起きた場合には変更があり得るということですね。
○結核感染症課長 はい。
○加藤座長 よろしくお願いいたします。どうも長い時間、ありがとうございます。
 


(了)

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