ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会)> 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録




2011年9月14日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録

○日時

平成23年9月14日(水)14:00~15:24


○場所

厚生労働省 専用第23会議室


○出席者

委員

大野委員(部会長)、石井委員、尾崎委員、佐藤委員、高橋委員、永山委員、松田委員、宮井委員、由田委員、吉成委員、鰐渕委員

事務局

森口基準審査課長、茂野課長補佐、小川専門官

関係省庁

農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課農薬対策室 池田専門官

○議事

○事務局 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 農薬・動物用医薬品部会」を開催させて頂きます。
 本日は、お忙しい中、お集まり頂きありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、斉藤委員、廣野委員及び山内委員より、御欠席なさる旨の御連絡を頂いておりますが、現時点におきまして農薬・動物用医薬品部会の委員14名中11名の御出席を頂いており、部会委員総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますことを御報告いたします。
 それでは、以降の進行につきまして大野部会長にお願いいたします。
○大野部会長 それでは、議事に入らせて頂きたいと思います。
 初めに、事務局から配付資料の説明をお願いいたします。
○事務局 では、資料の確認をさせて頂きます。
 本日お配りしました資料は、まず議事次第が1枚、その裏に配付資料が書いてある一覧がございます。
 その次に、委員名簿と関係省庁の方の出席者の名簿を付けてございます。
 その裏に、座席表がございます。
 その後に、本日御審議頂きます7剤につきまして、それぞれ「農薬・動物用医薬品部会報告書(案)」と「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」を1部ずつ配付させて頂いております。
 更に、委員の先生、事務局のみにお配りしております資料として、食品衛生分科会における確認事項の横1枚紙の紙が1部ございます。
 不足している資料等がございましたら、事務局までお願いをいたします。
○大野部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、審議に入りたいと思います。今日は、農薬7剤について御審議して頂く予定でございます。報告書の作成に当たりましては、事前に資料を送らせて頂いて先生方にいろいろチェックして頂きました。ありがとうございます。その修正を踏まえたものが、今日の資料としてこの場に提出されています。それでは、審議をお願いいたします。
 まず、「食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について」でございますけれども、ベノキサコールについて審議をお願いいたします。では、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料1‐1を御覧下さい。ベノキサコールの部会報告書案でございます。
 ベノキサコールは食品中の残留農薬のポジティブリスト制度導入時に新たに設定された基準値、いわゆる暫定基準の見直しについて今回御審議頂く剤でございます。
 概要にまいります。本剤は薬害軽減剤です。作用は、とうもろこしにおいて主に発芽苗より吸収され、除草剤メトラクロールの解毒代謝を促進することにより、除草剤の有害作用から作物を保護すると考えられております。
 化学名、構造式等につきましては記載のとおりです。
 2ページ目に進みます。「適用の範囲及び使用方法」です。本剤は、国内において農薬登録がなされておりません。海外、アメリカでの適用の範囲及び使用方法はごらんのとおりです。とうもろこしの使用方法中に散布またはレイ-バイ処理とあるのですけれども、これについて日本ではあまり使われない用語ですが、そのまま表記させて頂きました。作業の適当な時期に機械などでうね作物へ農薬をまくことを言うそうです。
 続きまして、3ページ目に移ります。作物残留試験でございます。分析対象化合物として、ベノキサコール親化合物について分析が行われております。分析方法は、記載のとおりでございます。
 作物残留試験の結果については、別紙1、6ページと7ページを御参照ください。
 続きまして、食品安全委員会による「ADIの評価」でございます。2年間のラットの慢性毒性発がん性併合試験の無毒性量1日体重1kg当たり0.4mgを根拠として、安全係数として100分の1をかけて、ADIは1日体重1kg当たり0.004mgとなってございます。また、発がん性試験についてはゴシック体で記載のあるとおりでございます。
 続きまして、「諸外国における状況」です。JMPRにおける毒性評価は行われておらず、国際基準も設定されていません。アメリカ、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドについて調査しました結果、アメリカにおいてとうもろこし、大豆などに、カナダにおいてかぼちゃ、トマト等に基準値が設定されております。
 続きまして、「基準値案」です。8ページの別紙2のとおりでございます。残留規制の対象はベノキサコールとする親化合物のみとする案としてあります。
 なお、食品安全委員会における食品健康影響評価においても、農産物中の暴露評価対象物質としてベノキサコール(親化合物のみ)を設定しております。
「暴露評価」でございます。これらの基準値案により、暴露評価を行いましたのが別紙3でございます。TMDI試算によりまして、一番高い幼小児で0.9%のADI占有率となっております。
 最後のページが答申案となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございました。それでは、逐一御審議をお願いいたします。
 まず、化学名、構造についていかがでしょうか。吉成先生、何か御意見はございますか。
○吉成委員 特にないです。
○大野部会長 薬理作用について、あとは適用方法ですね。その辺は何か意見ございますでしょうか。よろしいですか。
 宮井先生、よろしいですか。
○宮井委員 はい。
○大野部会長 ありがとうございます。
 続いて、体内動態と代謝物について、吉成先生いかがでしょうか。
○吉成委員 幾つかの代謝物はできるんですけれども、特に問題になるような代謝物もありませんし、残留性も低いですから問題ないと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。私が見ても、とうもろこしとばれいしょで親化合物以外に代謝物C、このクロルが取れたものですね。それは親化合物よりも多く出ていたんですけれども、実際の親化合物の残留を見るとほとんどない。検出できない程度になっているということです。それから、親化合物だけ測ったときのTMDI比で非常にADI比が低いということ。そういうことと、クロルが取れたら特に毒性が強くなるようには思えないですね。そういうことも考えれば、Cを入れなくてもよろしいかと思いました。
 今までのところで、御意見ございますでしょうか。
 それでは、安全性の面で鰐淵先生いかがでしょうか。
○鰐淵委員 ラット、マウスは前胃の方に腫瘍ができているんですけれども、メカニズム的に遺伝性試験がマイナスであるということから、遺伝毒性が考えられにくいということでADIを設定できるだろうということで、これで結構だと思います。
 ただ、書きぶりとして「米国では、ラット及びマウスの前胃では」云々と書かれているところまで詳細に書く必要があるのかどうか。単にいつもならば遺伝毒性のメカニズムとは考えにくいとさらっと言っていますので、それでいいのかなというふうな気がしました。
○大野部会長 ここは食品安全委員会の意見ではないんですね。米国ではこういうふうに言っているけれどもというんだから、この「米国では」の文章は削除した方がいいんじゃないか。特にここに「刺激作用」と書いてあるんですけれども、皮膚刺激性試験の結果とか、眼刺激性試験の結果、陰性なので、そこは本当なのかなということもありまして、これは削除した方がよろしいかと思いますけれども、いかがでしょうか。
 直接刺激性があるものをラットに投与すると、前胃のところをいつも刺激するので、そこでがんができることがあるんですね。そのメカニズムによるんじゃないかということでアメリカはディスカッションしているんですけれども、刺激性試験の結果では刺激性がないという結果が出ていますので、これは削除した方がいいんじゃないかということです。
○事務局 訂正させて頂きます。
○大野部会長 それでは、先ほど分析対象物質については親化合物だけでいいということで申し上げましたけれども、その分析法、分析結果、その辺りについて御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、基準値と国際的整合性、その辺りはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、若干修正して頂きましたけれども、それを踏まえて全体としてほかに御意見ございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、この修正したものをこの部会の報告としてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせて頂きます。
 それでは、次の品目でございますけれども、フルオピコリドについて審議をお願いいたします。では、また事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、農薬2剤目のフルオピコリドでございます。資料2‐1を御覧下さい。
 本剤のこれまでの経緯といたしまして、本部会では平成19年8月に新規の基準値設定について御審議頂いております。今般の残留基準の検討につきましては、適用拡大申請及びIT申請がなされたことに伴う基準値設定でございます。
 本剤は、ベンズアミド骨格を有する殺菌剤です。
 化学名、構造式につきましては記載のとおりでございます。
 ページをめくって頂きまして、「適用の範囲及び使用方法」でございます。今回、適用拡大申請がなされた作物名につきまして四角で囲んで示しています。
 また、ページをめくって頂きまして「作物残留試験」でございます。「分析対象の化合物」としてフルオピコリド、代謝物M1及び代謝物M2について分析が行われています。分析の方法につきましては記載のとおりでございます。結果については、別紙1に記載してございます。
 次に、5ページの「ADIの評価」でございます。本剤については、親化合物フルオピコリドと代謝物M1についてそれぞれADIが設定されています。
 まず、親化合物フルオピコリドについてのADIです。こちらは、前回の評価結果と同様です。マウスの発がん性試験の無毒性量7.9mg/kg体重/dayを根拠とし、安全係数100で除しまして、ADIは0.079mg/kg体重/dayとなっております。
 次に、代謝物M1についてのADIです。こちらは、今回設定されたものになります。イヌの慢性毒性試験の無毒性量4.5mg/kg体重/dayを根拠とし、安全係数100で除しまして、ADIは0.045mg/kg体重/dayとなっております。
 試験に供された遺伝毒性試験のin vitroの試験の一部で陽性結果が得られましたが、in vivo試験では陰性の結果が得られましたので、フルオピコリドは生体にとって問題となる遺伝毒性はないと結論されております。
 また、発がん性試験につきましては、ゴシック体のところに記載のとおりでございます。
 「諸外国における状況」でございます。2009年にJMPRで評価がなされ、ADIの設定がされております。国際基準はたまねぎ、ぶどう等に設定されております。また、諸外国につきましては記載のとおりでございます。
 これらを踏まえた「基準値案」といたしまして、残留の規制対象をフルオピコリドとする案をしております。食品安全委員会におきましては、食品中の暴露評価対象物質を農薬フルオピコリドと代謝物M1と設定しております。
 「基準値案」についてでございますが、14ページの別紙2を御覧下さい。適用拡大申請及びIT申請があった食品や、国際基準が設定された食品に基準値案を設定しております。
 これらの案により、暴露評価を行いましたものが16ページの別紙3‐1でございます。TMDI試算によりまして、一番高い幼小児で77.6%のADI占有率となっております。
 また、7ページにお戻りください。ADIの評価のところで述べましたとおり、フルオピコリドは親と代謝物M1についてそれぞれADIが設定された値になります。そのため、代謝物M1についても暴露評価を行う必要があります。
 7ページの構造式のところを御覧下さい。代謝物M1はフルオピコリドの代謝物であると同時に、ジクロベニルの代謝物でもあります。フルオピコリド由来の代謝物M1とジクロベニル由来の代謝物M1の両方を足し合わせた数値で暴露評価を行っております。フルオピコリド由来の代謝物M1はフルオピコリド由来の作物残留試験の平均値、または基準値案を暴露評価の数値としております。ジクロベニル由来の代謝物M1は、ジクロベニルの残留基準値を暴露評価に用いております。
 これらの基準値等により暴露評価を行いましたものが、17ページの別紙3‐2でございます。一番高い幼小児で、53.8%の占有率となっております。
 最後のページが答申案となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、化学名、化学構造についてはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、薬理作用等についてはいかがでしょうか。
○尾崎委員 この薬理作用の書きぶりが、あらかじめ配られた資料とちょっと違っていて、更に食品安全委員会の方の資料の9ページの7.のところにも薬理作用が書いてあるのですが、これとも大分違っているのです。この辺りの経緯はどうなっているのでしょうか。
○事務局 説明の方を忘れておりました。失礼しました。ここの部分の用途のところなのですけれども、事前に斉藤先生より御指摘がありまして、「脱共役阻害」という記載を「エネルギーの代謝障害(リン酸化の脱共役)」という記載に修正したらどうかという御指摘がありました。メーカー等に確認をしたところ、この記載に修正しても問題はないという御回答を頂きましたので、このように修正させて頂きました。
○大野部会長 よろしいですか。
○尾崎委員 はい。
○大野部会長 ありがとうございます。
 宮井先生、よろしいですか。
○宮井委員 はい。
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、体内動態、代謝物の値について、吉成先生いかがでしょうか。
○吉成委員 親化合物のアミドのところが切れてM1と、もう一つM2というものになるのですが、両方とも元の化合物に比べると水溶性が増している代謝物であるということから、できてくるものは問題ないと思いますし、または残留性も親化合物よりは低いようですので、特に問題ないと思います。
 また、後でありますけれども、M1がジクロベニルからも由来するということで同様に計算されていますので、特に問題ないと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。私が見たところも同様でございまして、親化合物以外にM1、M2がばれいしょでは結構出ているんですけれども、実際に測定してみると今日の資料の10ページから13ページにわたって結果が出ていますが、代謝物M1、M2に関しては親化合物に比べてかなり少ないか、未検出か、そういう状況になっていますので、実際の使用状況では特に問題にならないだろうということで、親化合物だけを追跡するというところで、このフルオピコリドに関してはよろしいんじゃないかと思いました。
 今までのところで何か御意見ございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、安全性の面では、鰐淵先生いかがでしょうか。
○鰐淵委員 ちょっと気になる点が1か所だけあるのですけれども、親化合物の無毒性量を7.9として、横に発がん性が認められなかったという書きぶりになっているのですが、肝細胞腺腫が増えていますので、あえてこの発がん性が認められないということまでにはならないと思いますので、この部分は消した方がいいのかなというふうに思いました。
○事務局  御指摘のとおり、削除させて頂きます。
○大野部会長 ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは、分析法と分析結果についていかがでしょうか。よろしいですか。
 松田先生もよろしいですか。
○松田委員 はい。
○大野部会長 分析方法がすごく詳しく書いてありますね。
○松田委員 詳しいですね。何種類もの分析方法をまとめて書いてあるんですね。
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、基準値についていかがでしょうか。国際的整合性の面ですね。
 M1については、今回は特に基準値を決めるわけではないですね。これは参考として出したということですね。
○事務局 そのとおりでございます。
○大野部会長 それでは、特にございませんようでしたら、全体を通していかがでしょうか。若干、毒性のところについて修正をして頂きましたけれども。
 では、松田先生お願いします。
○松田委員 これは内容というよりも書きぶりなのですが、代謝物M1という書き方がされていて、これはフルオピコリドの評価書の中にM1となっているわけですけれども、ジクロベニルの代謝物でもあるということで、またこの農薬評価書の通知の方はジクロロベンズアミドと書いてADIが書かれていたと思うんです。両方の代謝物であったりすることもあるので、これは化学名を書かれた方が資料を見られた方にはわかりやすいのではないかと思いました。
○大野部会長 これは、代謝物M1と表記されているところを、すべてですか。
○松田委員 これの前に付いている通知に、フルオピコリドのADIが0.079で、ジクロロベンズアミドが0.045というふうに書かれていましたし、あとはジクロベニルの審議をするときに、そのときは代謝物M1という名前じゃないかもしれないので。
○大野部会長 そうですね。
 吉成先生、どうぞ。
○吉成委員 4ページの残留試験のところの上に、一応そこで、以下、M1と言うというようなことがあるのですけれども、それではだめでしょうか。確かに、全部書くとこれは結構大変かなと思ったんですけれども。
○大野部会長 いかがですか。
○佐藤委員 折衷案になるかもしれないんですけれども、7ページの代謝物M1は資料を見られた方にわかりやすいように2,6-ジクロロベンズアミドにする。
 ただし、作残試験、この辺は非常に細かい表記になりますし、フルオピコリドの試験ですのでM1で残すということでいかがでしょうか。
○大野部会長 松田先生、いかがでしょうか。
○松田委員 最後の8ページの「フルオピコリド又はジクロベニルの基準値を改正する際には」というところは代謝物M1で、少なくともジクロロベンズアミドでわかるようにしておいた方がよいかと思います。将来、このフルオピコリドとジクロベニルの基準値改正をするときには、代謝物M1の暴露評価をするということになっていますので、これはジクロベニルのときには代謝物M1という名前となっているとは限らないので、ここは括弧付けてもジクロロベンズアミドと書いておいた方がよいと思います。
○事務局 では、7ページの代謝物M1の下に括弧付けでジクロロベンズアミドというふうにするのと、それから8ページの今、松田先生から御指摘がありましたところに代謝物M1(ジクロロベンズアミド)というふうにわかりやすく記載をするように変更させて頂きたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○松田委員 それで結構だと思います。
○大野部会長 別紙3‐2のところはこれでいいですか。17ページのところですが、これも代謝物M1としか書いていませんけれども、これも後で参照するとなったら代謝物M1(ジクロロベンズアミド)と書いた方が後で見やすいですね。
○松田委員 ジクロベニルが関連しているところはそのように書いておいた方が、後で参照するときにわかりやすいと思います。
○事務局 では、別紙3‐2につきましても、代謝物M1(ジクロロベンズアミド)と記載いたしたいと思います。
○大野部会長 御意見ありがとうございます。それでは、修正を幾つかして頂きましたけれども、全体を通してほかに御意見ございますでしょうか。
 それでは、この修正したものについて、この部会の報告とさせて頂いてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございました。それでは、そのようにさせて頂きます。
 それでは、次の品目ですけれども、ヘキサジノンについてお願いいたします。では、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、農薬3剤目のヘキサジノンでございます。資料3‐1を御覧下さい。
 本剤における今般の残留基準値の検討につきましては、食品中の農薬等のポジティブリスト制度導入時に新たに設定された基準値、いわゆる暫定基準が見直しの対象となっております。
 本剤は、トリアジン系除草剤です。
 化学名、構造式につきましては記載のとおりでございます。
 ページをめくって頂きまして、「適用の範囲及び使用方法」でございます。本剤は、アメリカにおいて適用がございます。
 「作物残留試験」でございます。分析対象化合物としてヘキサジノン及び代謝物A、B、C、D、E、Fについて分析が行われております。分析の方法については、記載のとおりでございます。結果については、別紙1に記載してございます。
 「畜産物への推定摂取量」でございます。各組織中の推定値を4ページの表1に記載しております。これらの試験の結果と、米国における栄養バランスを考慮した飼料由来負荷(MRBD)から推定いたしました各組織中の推定残留量につきましては、次のページの表2に示してございます。
 「ADIの評価」でございます。イヌの慢性毒性試験の無毒性量4.97mg/kg体重/dayを根拠とし、安全係数100で除しまして、ADIは0.049 mg/kg体重/dayとなっております。
 試験に供された遺伝毒性試験のin vitro試験の一部で陽性の結果が得られましたが、in vivoの試験では陰性結果が得られましたので、ヘキサジノンは生体にとって問題となる遺伝毒性はないと結論されています。
 「諸外国における状況」でございます。JMPRにおける毒性評価は行われておらず、国際基準も設定されておりません。また、諸外国については記載のとおりでございます。
 これらを踏まえました基準値案といたしまして、農産物につきましては残留の規制対象を農薬ヘキサジノン、畜産物で乳を除いてはヘキサジノン、代謝物B及びF、畜産物で乳に限りヘキサジノン、代謝物B、C及びFを設定する案としております。
 食品安全委員会におきましては、食品中の暴露評価対象物質をヘキサジノン、代謝物A、B、C、D、Eと設定しております。
 「基準値案」でございますが、8ページの別紙2を御覧下さい。記載のとおり、さとうきび、ブルーベリー、パイナップル及び畜産物に基準が設定されております。
 これらの基準値案により、暴露評価を行いましたものが9ページの別紙3でございます。EDI試算によりまして、一番高い幼小児で77.3%のADI占有率となっております。
 最後のページが答申案となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございました。
 それでは、この化学名、化学構造、その辺りについていかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
薬理作用について、いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
体内動態について、いかがでしょうか。
○吉成委員 代謝物がものすごくたくさんできるんですけれども、いずれも非常に排泄が速やかだということで問題ないと思います。
 ちょっとほかの資料を読んでいてもよくわからなかったのは、基準値案の規制対象のところとも関連するんですけれども、畜産物の乳を除く場合にB、Fを入れて、乳に限る場合はB、C、Fを入れたところの説明が、もう少し何かありましたらいただけたらと思います。
○大野部会長 ここのところは食品安全委員会の報告とか、そういうものではたしかそういうデータは載っていなかったですね。何かそこら辺の情報はありますでしょうか。
○事務局 大体の場合、畜産物に基準を置きます場合には諸外国と同様の基準、規制対象ということで考えて設定をすることにしております。
○大野部会長 この場合には、これはアメリカの基準ということですか。
○事務局 アメリカと同様の規制対象ということで設定をしております。
○大野部会長 いかがでしょうか。私も同じところが気になっていたんですけれども、植物体内での代謝ではA、C、Dが代謝物として出てきますが、実際に適用条件でやってみると今日の資料の7ページに書いてありますように、A、B、C、D、E、Fなどの代謝物がほとんど検出されないということで、植物についてはヘキサジノンだけでいいんだろう。畜産物についてはB、C、Fですか、それらを加えた理由がちょっとわからなかったんです。米国と同様の規制対象にしたということですけれども。
○佐藤委員 よろしいですか。アメリカに家畜の残留のデータがありまして、実際にこの辺の代謝物が多いということに準拠していると思います。
○大野部会長 では、そういう基礎データがあったということですね。ありがとうございます。
 ほかの先生、何か御意見ございますでしょうか。
 それでは、佐藤先生どうもありがとうございました。私はそこまで目が届きませんでした。
 では、安全性の面で鰐淵先生、御意見ございますでしょうか。
○鰐淵委員 このままでいいと思うんですけれども、発がん性試験でマウスでは雄でも変異細胞数は増えているし、雌では肝細胞腺腫は増えているんですが、マウスは結構出やすいというところがあるんですけれども、遺伝毒性試験がネガティブであるということからADIを設定できるということで、これで結構かと思います。
○大野部会長 ありがとうございました。ほかの先生、よろしいでしょうか。
 それでは、分析法、分析結果について御意見ございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、基準値と国際的整合性についていかがでしょうか。EDI比で、幼小児で77.3%と非常にぎりぎりのところですけれども、よろしいでしょうか。
 では、お願いします。
○松田委員 EDIとかTMDIの試算が大変高くなっているのはほとんど乳由来だと思うんですが、この乳の11という基準値は5ページにあります推定残留量8.28から決められていると思います。それで、ここは推定残留だと例えば腎臓も肝臓も結構高い値が出ているんですけれども、乳だけに置いているということと、ほかのものは全部一応作残試験のデータとかが多いんですが、これだけが非常に乳だけ高いんですね。それで、TMDIが非常に高くなる基準を、アメリカのものをそのまま踏襲してもいいのかということはちょっと疑問に思います。
○大野部会長 いかがでしょうか。これは、最大値で8.28ということですね。それで、平均は2.99です。特に11にしなくちゃいけないという理由みたいなものはあるんでしょうか。一応80%の範囲には入っているんですけれども。
○事務局 米国ではこのデータで乳に11という基準を置いていますから、米国のデータを参照に基準をいつもどおりの規則で置きますと11ということになります。
○大野部会長 そういうことですけれども、いかがでしょうか。
 ほかの先生、何か御意見ございますでしょうか。
○事務局 乳の最大推定残留量が8.28なんですけれども、ずっと最大残留している乳を飲み続けるというわけではありませんので、平均値の2.99で計算をするというのが妥当なのかと考えております。
 また、『残留農薬基準設定における暴露評価の精密化に対する意見具申』におきましても、EDI評価で行うということは認められており、今までその方針でやっておりましたので、このEDIは80%で収まっているのでこれでお認めいただけたらと考えております。
○鰐淵委員 現行のデータが、例えば乳などは0.08なのに、これが11ということになると、いきなり100倍以上ということになっているんですけれども。
○大野部会長 そうですね。現行が0.08になっていますね。これはどうでしょうか。こんなに、100倍にまで上げなくちゃいけないということですか。
○佐藤委員 確かに暫定基準は0.08で、私はこれがどういう基準で決まったのかは存じ上げていないんですけれども、現行の方法で牛の残留性試験とか、それが行われていてミルクの平均濃度を求めるとこうなってしまう。あるいは、最大値はこうなるという手順どおりに決められていますので、このとおりで設定するのは仕方がないのかなと思います。
○大野部会長 そういうことでしょうか。80を超さなかったということで、今までのやり方はそういう方針できているので。
○佐藤委員 逆に0.08そのままにすると、この残留性試験を無視してしまうことになると思います。
○松田委員 この4ページの表を見ると、多分これは飼料が290ppm残留しているようなものを投与すると9.18くらいになるというような書き方がされています。それで、87ppmで1.86が平均とか、そのような書き方がされていて、かなり残留した飼料をやらないとこういうことに普通ならないとは思うんですけれども、それで出した最大が8.28ということかと思いますので、ちょっと極端なところをねらっているなという気はします。
 でも、部会の決定であれば従います。
○大野部会長 それでは、今までのルールに従って計算すると、許容範囲ぎりぎりであるけれども、その内に収まっているということで、これでいきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、全体を通してほかに御意見ございますでしょうか。
 特にないようでしたら、このヘキサジノンの報告案をこの部会の報告としてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせて頂きます。
 それでは、次はピラクロニルでございます。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、農薬4剤目のピラクロニルでございます。資料4‐1を御覧下さい。
 今般の残留基準の検討につきましては、農薬取締法に基づく適用拡大申請がなされたことに伴う基準値の設定でございます。
 なお、前回は新規登録申請がなされたことに伴い、平成19年7月の部会で水稲における基準値設定について御審議が行われております。
 まず、「概要」でございますが、本剤はピラゾリルピラゾール環を有する除草剤です。プロトポルフィリノーゲン‐IXオキシダーゼの活性を阻害することにより、植物体を枯死させると考えられております。
 化学名及び構造式等につきましては、記載のとおりでございます。
 「適用の範囲及び使用方法」でございます。今回、適用拡大申請がなされたひえについて四角で囲んで示しております。
 「作物残留試験」でございます。ひえにおける作物残留試験では、分析対象の化合物としてピラクロニルについて分析が行われております。分析方法については、記載のとおりでございます。
 結果については、11ページの別紙1に記載してございます。
 「食品安全委員会におけるADIの評価」でございます。ADI:0.0044mg/kg体重/dayという評価となってございます。この値は、前回の部会で御審議いただいたときと変更はございません。
 「諸外国における状況」でございますが、JMPRにおける評価はなされておらず、国際基準も設定されておりません。また、米国、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドのいずれにおいても基準値は設定されてございません。
 これらを踏まえまして、「基準値案」でございます。まず、残留の規制対象についてですけれども、今回ひえへの適用拡大申請に伴い行われた食品安全委員会による食品健康影響評価において、暴露評価対象物質としてピラクロニル、代謝物XII及び代謝物XVIIIが設定されておりますが、前回御審議いただいたときと同様、残留の規制対象物質を親化合物のみと設定する案としております。
 次に、「基準値案」でございます。12ページの別紙2を御覧下さい。この度、新たに依頼されましたその他の穀類について、ひえの作物残留試験成績を参照し、0.05ppmと設定する案としております。これらの基準値案により暴露評価を行いましたのが13ページの別紙3でございます。TMDI試算によりまして、一番高い幼小児で7%のADI占有率となっております。
 最後のページが答申案となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございました。
 それでは、早速ですけれども、この化学名、化学構造、その辺りについていかがでしょうか。よろしいですか。
 では、薬理作用についてはいかがでしょうか。よろしいですか。
 では、代謝のところではいかがでしょうか。
○吉成委員 たくさんできるんですけれども、これも特に問題になるような代謝物はないと思いますし、いいと思います。
○大野部会長 ありがとうございました。植物体内での代謝という面では、今、吉成先生が言われたようにいろいろな代謝物ができるんですけれども、代謝物としてXIIとXVIIIについて取り上げています。あとは、それの抱合体ですね。実際に測定しているのはXIIとその抱合体について測定していて、先ほど御説明がありましたようにほとんど検出されないということで、よろしいかと思います。
 それで、XVIIIの代謝物とその抱合体もできますけれども、それについては今回特に触れていません。ただ、代謝のパターンとしてはXIIと同じようなところが推算されたもので、ただプロビニル基が付いているか、付いていないかというだけの違いなので、それほど大きな差があることはないだろうと私も思います。
 そういう意味では、この代謝物XII関係が検出されていないというので、XVIIIとその抱合体も同じようなパターンでいくのじゃないかと想像しますので、それらを抜かしてもよろしいかと思いました。
 その辺で、今までの代謝も含めて何か御意見ございますでしょうか。
 高橋先生、何か御意見はございますか。
○高橋委員 特にございません。
○大野部会長 よろしいですか。ほかの先生で何か御意見ございますでしょうか。若干XVIIIとその抱合体について推定的なところが入っていますけれども、よろしいですか。
 それでは、安全性の面で鰐淵先生、いかがでしょうか。
○鰐淵委員 特に問題ないと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、分析法と分析結果、その辺りについてはいかがでしょうか。特によろしいですか。
 ありがとうございます。それでは、基準値と国際的整合性、その辺りについていかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、全体を通して何か御意見ございますでしょうか。
 ないようでしたら、このピラクロニルについての報告案をこの部会の報告としてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせて頂きます。
 それでは、次の品目ですけれども、ピリベンカルブについて審議をお願いいたします。では、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○事務局 それでは、農薬5剤目のピリベンカルブでございます。資料5‐1を御覧下さい。
 今般の残留基準の検討につきましては、農薬取締法に基づく新規の農薬登録申請がなされたことに伴う基準値設定でございます。
 初めに、資料の訂正をお願いします。6ページの別紙1の中段、夏みかんの作物残留試験についてですけれども、散布から14日、21日、28日のデータを取りました圃場Aのデータは適用範囲外の実施となっておりまして、最大残留量の0.68、各化合物の残留量0.53/0.15について(#)を付けて頂きますようお願いいたします。
 もう一点、少し上の方にいきましてサラダ菜についてですけれども、散布から3日、7日、14日、21日のデータを取りました圃場Bのデータにつきましても適用範囲外の実施となっておりますので、(#)を付けて頂きますようお願いいたします。
 では、1ページにお戻りください。
 まず「概要」でございますけれども、本剤はベンジルカルバメート構造を持つ殺菌剤です。ミトコンドリアの電子伝達系を阻害することにより、灰色かび病や菌核病などの胞子発芽阻止や、胞子発芽以降の宿主への侵入防止などの作用を示すものと考えられております。
 化学名及び構造式等につきましては、記載のとおりでございます。
 「適用の範囲及び使用方法」でございますが、りんご、おうとう等の農作物について登録申請されております。
 「作物残留試験」でございます。分析対象の化合物として、ピリベンカルブ及び代謝物Bについて分析が行われております。分析方法については、記載のとおりでございます。
 結果につきましては、6ページの別紙1に記載しております。
 「食品安全委員会によるADIの評価」でございます。ラットの慢性毒性試験の無毒性量3.97mg/kg体重/dayを根拠とし、安全係数100で除しまして、ADIは0.039 mg/kg体重/dayという評価となっております。
 なお、ピリベンカルブには生体にとって問題となる遺伝毒性はないと結論されております。
 「諸外国における状況」でございますが、JMPRにおける評価はなされておらず、国際基準も設定されておりません。また、米国、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドのいずれにおいても基準値は設定されておりません。
 これらを踏まえまして、「基準値案」でございますが、残留の規制対象を親化合物及び代謝物Bと設定する案としております。
 なお、食品安全委員会におきましても、食品中の暴露評価対象物質を親化合物及び代謝物Bと設定しております。
 次に「基準値案」でございますが、7ページの別紙2を御覧下さい。こちらに示しております食品について登録申請がなされ、作物残留試験成績を参照し、基準値案を設定いたしました。これらの基準値案により暴露評価を行いましたものが、8ページの別紙3でございます。TMDI試算によりまして、一番高い幼小児で51.8%のADI占有率となっております。
 最後のページが答申案となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございました。
 それでは、化学名、構造式、物性、その辺りについて吉成先生いかがでしょうか。
○吉成委員 問題ないです。
○大野部会長 ありがとうございます。
 薬理作用のところはいかがでしょうか。よろしいですか。
 ほかの先生もよろしいでしょうか。
 それでは、代謝の面で吉成先生いかがでしょうか。
○吉成委員 動植物でいろいろな代謝物ができますけれども、動物の方では特に問題ないんですが、植物の方で比較的構造体のBが生成するということですけれども、後に規制対象になっていますので特に問題はないと思います。
○大野部会長 ありがとうございました。植物体内での代謝でもBがちょこちょこと出ています。レタスやさやいんげんでは10%以上出ていますので、それも含めてこの規制対象物質とするのは妥当かと思いました。この辺りまでで何か御意見ございますでしょうか。
 それでは、安全性の面で鰐淵先生いかがでしょうか。
○鰐淵委員 特に問題となるような毒性は出ていないと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、分析法、分析結果、その辺りでいかがでしょうか。ございませんでしょうか。
 それでは、基準値と国際的整合性の辺りはいかがでしょうか。特によろしいですか。
 全体を通して、これについては修正がございませんでしたけれども、これをこの部会の報告としてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせて頂きます。
 それでは、次の品目ですけれども、トリアゾホスについて御審議をお願いいたします。では、説明をよろしくお願いいたします。
○事務局 それでは、農薬6剤目のトリアゾホスでございます。資料の6‐1を御覧下さい。
 今般の残留基準の検討につきましては、暫定基準の見直しについて御審議を頂くものです。本剤は有機リン系の殺虫剤です。アセチルコリンエステラーゼを阻害することにより、殺虫作用を示すものと考えられています。
 化学名、構造式等につきましては記載のとおりでございます。
 2ページの「適用の範囲及び使用方法」でございます。本剤は、国内では農薬登録がされておりませんが、海外では主に綿実に使用されております。
 「作物残留試験」でございます。分析対象化合物として、トリアゾホスについて分析が行われております。分析の方法については、記載のとおりでございます。
 後ほど御説明いたしますが、基準値案は国際基準を参照して作成しておりまして、その国際基準の設定根拠となったデータにつきましてはJMPRの報告書において報告がされております。
 「食品安全委員会によるADIの評価」でございます。ヒトの反復投与試験の最小毒性量、0.0125mg/kg体重/dayを根拠とし、安全係数30で除しまして、ADIは0.00041 mg/kg体重/dayとなってございます。
 なお、安全係数はヒトの試験であるため、種差を1、個体差10、追加3によるものです。また、遺伝毒性につきましてはゴシック体の部分に記載のとおりでございまして、評価方法の確立した試験系では陰性だったことから、生体において問題となる遺伝毒性はないと結論されております。
 3ページ、「諸外国における状況」でございます。2002年にJMPRでの評価がなされ、ADIが設定されております。国際基準は穀類、綿実に設定されています。また、記載の5か国地域におきまして基準値はございません。
 これらを踏まえました「基準値案」といたしまして、トリアゾホスにつきましては残留の規制対象をトリアゾホスの親化合物のみとする案としております。
 食品安全委員会におきましても、農産物及び畜産物中の暴露評価対象物質をトリアゾホスの親化合物のみと設定しております。
 「基準値案」でございますが、4ページの別紙1を御覧下さい。国際基準を参照しまして、小麦、大麦等の麦類と、6ページになりますが、綿実に基準値案を設定いたしました。また、ADIの範囲内に収めるため、これら以外の食品については基準値の削除を行いました。
 この基準値案によりまして、暴露評価を行いましたものが7ページの別紙2でございます。TMDI試算によりまして、一番高い幼小児で68.1%のADI占有率となっております。
 最後のページが答申案となります。
 なお、試験方法については告示から削除し、通知で示すこととなります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございます。
 今の説明で、ADI比で適当な値に収めるために、今回設定した以外のものは削除したという説明がございましたけれども、別にほかのものでもデータがあったら収まる範囲内で入れるわけですね。特にこれはTMDI比で68.1だから、ぎりぎりじゃないから無理したわけじゃないということですね。データがあるものについてだけ、また、国際基準とか、そういうものがあるものについてだけ設定したということですね。
○事務局 通常のルールですと、既に基準値として定めています、本基準と呼んでいます、例えば上から小豆類であるとか、芽キャベツであるとか、そういうものも通常そのままの基準値を残して頂くような案をお示しするんですが、それだとADIの範囲内に収まらないということで、それらの本基準についても削除するという御説明でした。
○大野部会長 そういうことだったわけですか。それについて、このデータを設定するための根拠がない場合でも本基準になっているものは残すんでしたか。
○事務局 はい。
○大野部会長 わかりました。ありがとうございました。
 では、最初からいきたいと思います。化学名と構造式、物性についていかがでしょうか。よろしいですか。
 ありがとうございます。では、薬理作用のところはいかがでしょうか。よろしいですか。
 宮井先生もよろしいですか。
○宮井委員 はい。
○大野部会長 ありがとうございます。
 では、代謝の面で、吉成先生いかがでしょうか。
○吉成委員 動物で代謝物Bというものがたくさんできるんですけれども、そのものも比較的抱合されて早く排泄されるということと、構造的にリン酸のところは切れているもので、恐らく不活性後、毒性というか、作用もないものでしょうから特に問題ないと思うし、それは植物での生成は少ないようですので、規制対象も親化合物ということになっていまして、それで問題ないとは思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 高橋先生もよろしいでしょうか。動物での代謝というところでよろしいですか。
○高橋委員 はい。
○大野部会長 植物の代謝も今、吉成先生からお話がございましたけれども、BとCとが出ていますが、量的には親化合物と比べてかなり低い。全体として10%のTRRを超えるようなものが可食部に存在するということはないということで、親化合物だけで今まで規制してきましたけれども、それでよろしいかと思いました。今までのところで御意見ございますでしょうか。
 それでは、安全性の面でいかがでしょうか。
○鰐淵委員 この剤はヒトでのボランティアを募ってのデータがありますので、それを根拠としてADIを設定しているということで、これでいいかと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。随分基準値が低い感じもしますけれども、これでパスできれば問題ないですね。パスできなくても超してしまったらしようがないですけれども。
 ほかに御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、分析法、分析結果についていかがでしょうか。特によろしいですか。
 ありがとうございます。では、基準値と国際的整合性、その辺りについて御意見ございますでしょうか。
 では、石井先生お願いします。
○石井委員 基準値の案のところなんですけれども、別紙1のところですが、国際基準に基づいて基準値を設定したという御説明だったんですけれども、コメについて0.05というコーデックスの基準があるのに対して、案の方では基準値を設定していないということですけれども、これはADIを超えてしまうということからなんでしょうか。
○大野部会長 いかがでしょうか。
○事務局 米につきましては、日本では玄米の基準としていまして、国際基準では通常籾米、脱穀する前の基準値を設定しているものですので、それについては参照しないこととしています。
○石井委員 わかりました。
○大野部会長 ありがとうございます。ほかに御意見ございますでしょうか。
 それでは、全体を通して御意見ございますでしょうか。特にないようでしたら、このトリアゾホスについての報告案をこの部会の報告とさせて頂いてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせて頂きます。
 それでは、今日の最後の審議品目ですけれども、ジチアノンについて御審議をお願いいたします。では、これについてまた事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、農薬7剤目のジチアノンでございます。資料の7‐1を御覧下さい。
 本剤につきましては、4月19日に開催しました当部会において御審議を頂きました。その基準値の改正案について、在京大使館に対して説明を行いましたところ、韓国政府からデータの提出とともに基準値設定の要請がございました。そのため、部会報告書へ追加、修正することについて御審議を頂くものでございます。
 今回、韓国政府から追加で要請があったものは、ピーマン、とうがらし、高麗人参となっています。以下、追加をさせていただいた部分について御説明をいたします。
 6ページですが、「海外での使用方法」です。韓国のピーマン、とうがらし、高麗人参の使用方法について追加をいたしました。なお、ピーマン、とうがらしの1の66%剤につきましては前回の部会でも御報告したものですが、これ以外に2、3の剤型が新たに登録となったとのことでございます。
 7ページで「ADIの評価」でございますが、報告書の記載を統一する観点から、遺伝毒性発がん性について追記をしてございます。記載のとおり、遺伝毒性はないとされておりまして、閾値を設定することが可能であると結論されてございます。
 11ページ、別紙1-2ですが、海外における作物残留試験でございます。今回、追加で提出のありました高麗人参のデータを追記いたしました。
 なお、とうがらしにつきましては登録の剤が加わったということから記載を変更してございます。
 「基準値案」でございます。13ページの別紙2を御覧下さい。ピーマン、とうがらしについて、ピーマンの残留試験成績から2ppm、その他の野菜につきまして高麗人参の残留試験成績から0.2ppmの基準値案を追加させて頂きたいと思います。
 別紙の順番が入れ替わってしまっているのですが、基準値案の前に12ページに別紙3がございまして、そちらに暴露評価の結果をお示ししております。
 12ページの別紙3を御覧下さい。暴露評価結果でございますが、ピーマン、とうがらし、高麗人参の基準値案を追加したことによりまして、ADIの占有率は一番高い幼小児のEDI試算によりまして63.4%に変更となっております。
 最後のページが答申案となります。ピーマン、とうがらし、その他なす科野菜の基準値案を追加修正させて頂きたいと思います。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございます。
 今回は今、御説明にありましたように韓国からの申出に基づいての修正ということで、全般的には、既に審議して頂いていますので、その部分は省略させて頂きたいと思います。今回、追加されたところですね。それについて御審議して頂きたいと思いますけれども、この7ページの「発がん性試験において」という、そこは今回加わったところですね。
○事務局 内容としましては食品安全委員会の評価結果としては同じものなのですが、ほかの部会報告書との記載を統一する観点から追加、追記をさせて頂いております。
○大野部会長 わかりました。鰐淵先生、いかがでしょうか。
○鰐淵委員 統一してメカニズムを少し入れて頂いているということで、わかりやすいんじゃないかと思います。
○大野部会長 ちょっと気になったのは、「腎を用いた遺伝毒性試験」というところですが。
○鰐淵委員 私もちょっとそこは気になって、ただ、食品安全委員会の評価結果のところにそう書いてあるんです。
 ただ、腎を用いた遺伝毒性試験というのはやっていないんですね。
○大野部会長 そうですね。腎由来細胞を用いた実験はやっているんですね。それだと腎臓へのコバレントバインディング(生体高分子への共有結合試験)は見ているということだから。
○鰐淵委員 ちょっと言い過ぎなんですけれどもね。
○大野部会長 これは、腎由来細胞を用いたというのはどうでしょうか。
○鰐淵委員 むしろ消しちゃって、上はOKなんですけれども、2番のところは初めから「腎を用いた遺伝毒性試験で陰性結果が得られており」までは削除した方がいいんじゃないか。ここの部分は食品安全委員会では書いているんですけれども、腎を用いた遺伝毒性試験という項目はないんですよね。
○大野部会長 そうですね。私もコメットアッセイが遺伝毒性試験に入るのかということが気になったんです。では、これは削除した方がいいですね。
○事務局 御指摘のとおり、修正させて頂きます。
○大野部会長 ありがとうございます。
 ほかにこの基準値についていかがでしょうか。新たに設定した基準値ですが、よろしいでしょうか。それに伴って推定摂取量が幼小児で63.4%、EDI比でそういうことですけれども、先ほど審議した品目では77%ありましたが、これは63%ということで許容できる範囲かと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、もう一度見直してみて、全体を通してほかに御意見ございますでしょうか。
 それでは、ジチアノンについて若干修正がありましたけれども、修正をするということを前提にこの報告案をこの部会の報告とさせて頂いてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせて頂きます。
○事務局 ヘキサジノンにつきまして、部会報告書の訂正案について御説明させていただければと思います。
○大野部会長 わかりました。それでは、ヘキサジノンについての説明がございますのでよろしくお願いいたします。
○事務局 資料3‐1、ヘキサジノンの部会報告書の4ページを開いていただければと思います。
 そこの表1に「組織及び乳中の残留量」ということで、筋肉、脂肪、腎臓、肝臓、乳の残留量の記載がございまして、そこにつきましてはヘキサジノン代謝物A、B、CまたはFの総和であるということで示させて頂いておりますけれども、アメリカの元データにはそれぞれ代謝物の残留量の記載がございますので、ちょっとこの表について訂正させて頂いて、それぞれの代謝物の量がわかるような記載に変更させて頂きたいと思います。
 その変更させていただいたものにつきましては、部会長に御確認いただければと思っております。
○大野部会長 そういうことで、表の掲載を変えるということでよろしいでしょうか。
○事務局 部会長にごらんいただいた後に、すべての先生にもお送りさせていただければと思っております。
○大野部会長 わかりやすくして頂くということで、よろしいでしょうか。
 では、ありがとうございます。
 吉成先生、お願いします。
○吉成委員 さっきちょっと言い忘れたことで、今のことに関連してなんですけれども、表2については何の推定残留量なんでしょうか。データは同じところからきているのではないわけですか。
○事務局 表2につきましては、この表1の残留量から求めた推定残留量でございます。
○吉成委員 乳のときの値なんですけれども、基準値案の乳は親化合物B、C及びFですよね。それで、乳を除く場合は親化合物とB、Fなんですけれども、その個別に出た後にどの値を、さっきの基準値案の11という値の問題になったと思うんですけれども、この8.28というのは何を足したら8.28になるのかというのがわかれば先ほどの議論も多少はリーズナブルになるのかなと思うんですけれども、その元データがわからないので。
○大野部会長 多分、そのところは表1を代謝物ごとの数値にしていただければわかるんじゃないかと思いますけれども。
○事務局 推定残留量につきましては、アメリカの規制対象と合わせて計算されていると思いますので、そこのところもわかりやすく記載できればと思っております。
○大野部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 それでは、ヘキサジノンについて追加の修正をするということでございます。
 それでは、ジチアノンについて終了いたしまして、農薬についての審議はすべて終了いたしました。
 今日御審議していただいたことについての今後の分科会での取扱いの案について、ペーパーが委員の先生方に配られていますけれども、それについて説明をお願いいたします。
○事務局 平成22年3月3日に了解されました「食品衛生分科会における確認事項」に基づき、本日の部会で御審議いただいた農薬7剤の食品衛生分科会での審議、または報告の取扱い案につきまして、僭越ながら事務局より原案を用意させて頂きました。
 本日、御審議いただいた品目のうち、農薬ピリベンカルブにつきましては新たに残留基準を設定するものであることから区分1として、分科会での取扱いは「審議」でいかがでしょうか。
 農薬ベノキサコール、フルオピコリド、ヘキサジノン及びトリアゾホスにつきましては、いずれも暫定基準等の既に設定されている残留基準の一部改正で、区分4または5に該当しないことから区分3として、分科会での取扱いは「報告」でいかがでしょうか。いずれも、「ただし、その用途、毒性等からみて慎重に審議する必要がある」ということではないと思われます。
 また、農薬ピラクロニルにつきましては、食品安全委員会での評価の結果に変更がないことから区分4として、分科会での取扱いは「文書配布による報告」でいかがでしょうか。「ただし、その用途、毒性等からみて慎重に審議する必要がある」ということではないと思われます。
 なお、農薬ジチアノンにつきましては、平成23年6月10日の食品衛生分科会の報告後に在京大使館経由でとうがらし等の基準値設定が要請された案件であることから、分科会長に了解を得た上で区分4として、分科会での取扱いは「文書配布による報告」でいかがでしょうか。
○大野部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。このような取扱いでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そういう形でやってくださるようお願いいたします。
 それでは、今後の手続きについての説明をよろしくお願いいたします。
○事務局 本日御審議頂きました農薬7剤につきましては、食品安全委員会からの通知を受けていることから、一部修正が必要な箇所はございますが、修正の上、部会長に御確認をいただいた上で、本案をもって部会報告書とさせて頂きます。
 なお、今後の手続きにつきましてはパブリックコメント、WTO通報、消費者庁協議などの必要な手続きを進める予定といたしております。
○大野部会長 ありがとうございました。次回の予定はいかがでしょうか。
○事務局 次回の本部会の開催日時につきましては、平成23年10月14日金曜日午後を予定しており、後日、委員の皆様の日程につきまして御確認させて頂きたいと存じます。詳細につきましては、追って御連絡申し上げます。
○大野部会長 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。
○事務局 ほかにはございません。
○大野部会長 委員の先生方から何かほかにございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、今日は事前にいろいろ資料を見て頂いて、修正もして頂きまして本当にありがとうございます。また、審議をありがとうございました。
 これで、今日の審議を終了させて頂きます。


(了)
<照会先>

医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係
(03-5253-1111 内線4281,2487)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会)> 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録

ページの先頭へ戻る