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2011年1月21日 第2回血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会議事録

医薬食品局血液対策課

○日時

平成23年1月21日(金)
10:00~12:00



○場所

九段会館「桐」の間
(住 所:東京都千代田区九段南1-6-5)



○出席者

出席委員:(12名)五十音順、敬省略、◎座長

井廻道夫、大平勝美、小幡純子、小山信彌、直江知樹、花井十伍、林昌洋、前野一雄、牧野茂義、益子邦洋、◎溝口秀昭、三村優美子

欠席委員:(1名)敬称略

鈴木邦彦

行政機関出席者

三宅 智(血液対策課長)、安田 尚之(血液対策企画官)、難波江 功二(血液対策課長補佐)、秋山裕介(血液対策課需給専門官)

○議題

1 血漿分画製剤の現状について
2 血漿分画製剤をとりまく諸問題について
3 論点整理
4 検討会の今後の進め方について
5 その他



○議事

○安田企画官 定刻となりましたので、ただいまより第2回「血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 本検討会は、公開で行うこととしておりますが、今日はいなさそうですけれども、カメラ撮りは議事に入る前とさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 本日御出席の委員の方々におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。なお、本日、鈴木委員におかれましては御都合により欠席されるとの御連絡をいただいております。
 また、本日は参考人といたしましては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査第一部テクニカルエキスパートの山口照英先生をお招きし、血漿分画製剤の安全性について御考察を述べていただくこととしております。山口先生は、所用により11時半ごろに御到着され、御説明いただく予定でございます。
 それでは、溝口先生、議事の進行をよろしくお願いいたします。
○溝口座長 本日は、まず第1回の検討会での先生方の御意見、特に血漿分画製剤のコスト構造についていろいろ御意見が出たわけでありますが、それに対しまして事務局の方で資料をいろいろ用意しろという御意見が多かったので、それを用意させていただきましたので、まずその資料の御説明を最初にしていただきまして、更に血漿分画製剤の安全性につきましては、先ほどお話がありました山口先生のお話を後ほど伺いたいと思っております。
 その後、論点整理をしながら、血漿分画製剤を取り巻くいろいろな問題につきまして、自由討議の形で御審議いただければと思っております。
 それでは、第1番目の議題でございます、資料説明を事務局にお願いしたいと思います。
○秋山専門官 資料の確認をさせていただきます。本日の座席図とともにお配りしましたお手元の資料をごらんください。
 1枚目に議事次第がございまして、本日の議事と資料の一覧を記載しております。
 2枚目が委員一覧でございます。
 次が「FAX回答表」と表記されておりますが、審議参加に関する申し合わせに係る寄附金・契約金等の申告様式の4枚ものでございます。
 資料1-1が「アルブミン製剤及び免疫グロブリン製剤の使用実態について~使用量の国際比較~」。
 資料1-2が「アルブミン製剤及び免疫グロブリン製剤の使用実態について~供給価格の国際比較~」。
 資料2が「アルブミン製剤の供給状況について(等張製剤・高張製剤別)」。
 資料3-1が「アルブミン製剤の効能効果一覧」。
 資料3-2が「免疫グロブリン製剤の効能効果一覧」。
 資料3-3は、血液製剤使用指針(平成21年2月改定版)を抜粋で示しております。
 資料3-4が「神奈川県内における診療科別種類別アルブミン製剤使用量」のグラフがございます。
 資料4-1は、コスト構造に関する資料でございますが「原料血漿価格設定に関する資料」として、基本合意事項、平成2年のものを付けております。
 資料4-2が「血液製剤の薬価改定に関する通知等」平成2年のものを付けております。
 資料4-3は、国内の製造販売業者4社から共同提出していただいた資料でございます。
 資料4-4[1][2]は、Baxter社から御提供いただいた資料でございます。
 資料4-5は、CSL Behring社からの資料でございますが、この資料4-5につきましては、提出元のCSL Behring社から傍聴の方への資料の配付は控えていただきたいとの御要請がございましたので、この部分は委員にのみお配りしている次第でございます。
 資料5が「原料血漿確保に係る『成分採血』と『全血採血』の比率について」でございます。
 資料6-1、折り込んでいるA3版「アルブミン製剤添付文書における採血国、採血の区分及び基本的注意事項の比較一覧」でございます。
 資料6-2が「血漿分画製剤に関する感染症報告について」でございます。
 資料6-3が「血漿分画製剤に関する非感染性副作用報告について」でございます。
 資料6-4が「有償採血及び献血由来血液の感染症リスクの違いに関する主な文献一覧」ということで、この後に文献5つが付いております。文献につきましては、一番最後に付けております。
 資料7が「各血漿分画製剤の国内自給率の状況」でございます。
 資料8が「海外の製造所に対する検査等について」でございます。
 参考資料-1としまして、国内で供給されているアルブミン製剤及び免疫グロブリン製剤の添付文書をひとまとめにしております。
 参考資料-2としまして、医療用医薬品の流通改善についての緊急提言。平成19年に示されたものをお付けしております。
 参考資料-3としまして「総価取引状況について」という1枚ものがございます。
 資料は、以上でございます。
○溝口座長 委員の先生方、お手元の資料で何か欠落しているものはございませんか。あればおっしゃっていただければ用意させます。よろしいでしょうか。
 それでは、早速議事に移らせていただきたいと思います。まず、審議参加に関する申し合わせに係る寄附金・契約金等の申告様式について、事務局より御説明願いたいと思います。よろしくお願いします。
○秋山専門官 御説明いたします。寄附金・契約金等の申告様式として「FAX回答票」という形でお示ししております。第1回の検討会で審議参加に関する申し合わせを議決していただきましたが、申告様式につきまして、関連企業を明示する形、署名欄を1か所とした様式といたしましたので、この形で御報告をいただくこととしたいと思います。今回この様式によりまして、委員の先生方から御申告いただいておりまして、本検討会終了後に速やかに厚生労働省ホームページに掲載する予定でございます。
 以上がこの申告様式の御説明でございます。
○溝口座長 よろしいですか。
 それでは、引き続きまして、議事1「血漿分画製剤の現状について」でありますが、事務局から用意された資料を順に御説明願いたいと思います。
○秋山専門官 それでは、資料1-1から順に御説明申し上げます。
 資料1-1は「アルブミン製剤及び免疫グロブリン製剤の使用実態について」ということで、使用量の国際比較、これは人口1,000人当たりの使用料ということでお調べしたものでございます。
 まず1つ目、アルブミン製剤のグラフでございますが、我が国におきましては、かつてかなり多く使っていた時代があったということですけれども、アルブミン製剤、1999年以降を見ましても相当減ってきていることが言えるかと思います。逆に米国におきましては、ここ十何年かで、このような形で増えている格好になっております。フランスも同様に少し増えている。ドイツは逆に少し減っているという傾向が見て取れます。
 次の免疫グロブリン製剤でございます。こちらは非常に特徴的なのは、米国が非常に増えているということでございます。フランスもやはり増えている。我が国については、ほぼ横ばいの状況になっている格好になっております。
 それから、アルブミン製剤と免疫グロブリン製剤の使用比率ということでお示ししたグラフが一番下にございます。グラフの一番下、少し字が小そうございますが米印で示しております。製造するに当たりまして、1Lの原料血漿から、アルブミン、免疫グロブリンがそれぞれどれだけできるかという理論値という形でお示ししておりますが、アルブミンはバイアルが2本、免疫グロブリンがバイアルで1.5本と言われておりまして、グラム数に換算しますとアルブミンが25g、免疫グロブリンが3.75gを生産できる。これが一番効率のいい生産になろうかと思います。
 この比率を示します理論値、右に書いてありますが6.6666…という数字になります。境界ということで、これを点線でグラフにお示ししておりますが、この点線より上にある我が国については、アルブミンの方が多い、超過という言葉を使っていいかどうか、多いということになります。それ以外の諸外国につきましては、免疫グロブリンの使用量の方が多いことになります。矢印でお示ししたとおり、我が国ではグロブリン原料に余剰が発生するということになりますし、米国を始め諸外国ではアルブミンに余剰が発生していることになろうかと思います。
 資料1-2、こちらは「アルブミン製剤及び免疫グロブリン製剤の使用実態について」ということで、供給価格の国際比較をしたものでございます。単位はすべてドルに換算しておりまして、レートにつきましては、該当年の平均レートを使用しております。見て取れますのは、まず国内は各社4社別々にしておりますけれども、我が国の製剤は非常に高いということが言えると思います。アルブミン製剤につきましては、諸外国も価格の変動がかなりあるようでございます。免疫グロブリン製剤につきましては、諸外国については一様に値が上がっている状況です。我が国におきましては、レートの関係がありますが、薬価は年々下がっていることになりますので、横ばいが続いている格好になろうかと思いますが、相対的な比較をしますと、やはり高いということが言えると思います。
 資料2は「アルブミン製剤の供給状況について」ということで、等張製剤、高張製剤別に示したもの、国内自給率ということになりますが、こちら一番上は、等張製剤、5%製剤というものと4.4%のものがございますが、これを示したものでございます。ごらんいただくとおり、等張製剤の国内原料血漿の部分は23.8%と非常に低い自給率になっている。真ん中にあります高張製剤は20%あるいは25%製剤ということになりますが、こちらは逆に国内原料血漿の部分は72.3%と比較的高い自給率になっております。等張と高張を足したもの、トータルではアルブミンではどうなっているかというと一番下、58.5%という自給率になっている状況でございます。
 資料3-1、こちらはアルブミン製剤の効能効果一覧でございます。
○難波江課長補佐 資料3-1でございますが、こちらは添付文書より我が国で使用されているアルブミン製剤の効能効果について抜粋したものでございます。左側が高張製剤、右側が等張製剤で、一番下側の用法及び用量の注意事項に若干の差はございますが、効能効果そのものは同じ内容になっております。
 資料3-2、これは我が国で使用されている免疫グロブリン製剤の効能効果を一覧にしたものでございます。静注用は6種類ございますが、左の4種類が国内製剤、右側が輸入製剤でございますが、静注用については国内製剤の方が適用が広くなっております。右側が筋注用で3種類ございますが、これはいずれも国内製剤になっております。
 資料3-3、これは国が出している血液製剤の使用指針のアルブミンの使用に係る箇所を抜粋したものでございます。1枚おめくりいただきまして「2.使用指針」の真ん中のところに下線を引いておりますが「膠質浸透圧の改善、循環血漿量の是正が主な適応であり、通常前者には高張アルブミン製剤、後者には等張アルブミン製剤あるいは加熱人血漿たん白を用いる」とされておりまして、以降、病態ごとの使用指針、高張製剤がよいのか等張製剤がよいのかということが示されております。
 資料3-4、こちらは神奈川県の合同輸血療法委員会が調査されましたアルブミン製剤の診療科別、種類別の使用量のグラフでございます。右のグラフでございますが、こちらを見ますと肝臓内科等の消化器内科においては、ほとんどが高張製剤となっております。消化器外科では、6割強が高張製剤が使われております。救急と胸部外科は、約半々ずつの使用となっているものでございます。
○秋山専門官 資料4のシリーズにつきましては、血漿分画製剤のコスト構造に関連する資料ということでございます。
 資料4-1、これは平成2年3月7日という日付の基本合意事項、当時の厚生省薬務局長、日本赤十字社副社長、日本血液製剤協会理事長の名前になっておりますが、現在、原料血漿価格につきましては、おおむね1L当たり1万3,000円程度になってございます。これは法改正以降、血液事業部会の場におきまして、日本赤十字社の事業実績等に応じまして御審議をいただいて御承認いただいている内容でございますが、そもそもこの原料血漿1L当たり幾らというものが、はっきり決まったのがこの、平成2年の時期でございます。当時、昭和の終わりから平成にかけまして、新血液事業推進検討委員会という検討会がございまして、血液事業の在り方等々、多面的に御検討いただいたわけでございますが、その第1次報告が平成元年に出ております。その趣旨に沿った形で、原料血漿価格を定めたことになっております。「製造・供給に関する原料価格は1万円/Lとする」と示されたものが最初と考えております。
 2ページ目、合意事項、こちらは平成3年になっていますので翌年でございますが、ページの下の方、第4の(1)と(2)、アンダーラインで示しておりますけれども、当時国産の血液凝固第8因子製剤を供給しなければならないという考えに立ちまして、開発を進めたわけでございますけれども、この凝固因子製剤を含む新鮮な凍結血漿は1万1,000円とする。上記以外の分画用血漿は1万円とするという形で改正が成されている。これ以後、さまざまな安全対策を図ったこともありまして、現状の1万3,000円というレベルに設定されたという経緯がございます。
 この1万円に設定された経緯でございますけれども、当時の外国での取引価格もほぼ同等であったということ。それから、この1万円というレベルであれば、国内の事業者、製造・販売業者も製造に協力いただけるといったようなやり取りがあったと聞いております。
 資料4-2、こちらは同じ時期、平成2年3月31日に出ました、薬価改定に関する通知ということでございます。薬価改定は平成2年4月の頭に行われておりますが、この中で1ページ目、第1の1のアンダーラインの部分ですが「今後予想される供給本数により血液事業全体の収支が相償うことを前提として総額を設定し、その上で個別製剤の薬価が設定された」とございます。
 この資料の一番後ろでございますが、主要製剤別の薬価改定の一覧表を付けております。平成2年4月1日の薬価改定、太線で囲っておりますけれども、その左の平成2年2月との対比ができる形にしておりますが、上の方にございますのが輸血用製剤でございます。下の方が分画製剤ということで、ごらんいただきますと輸血用製剤につきましては、相当薬価を上げている、1.5倍程度上げている。逆に分画製剤の方は相当下がっているということでございます。この時期、血液事業をどのように進めるかという検討があったものですが、政策的にこのようなコスト配分をしているということが言えるかと思っております。これが前提となる資料でございます。
 これ以降、資料4-3、これは国内の製造・販売業者4社から提供いただいたコスト構造に関する資料でございます。4ページ目「一般医薬品事業との対比」ということですけれども、一般の医薬品(化学品など)と血漿分画製剤の違いにつきまして述べられております。根本的に血液に由来するタンパクを製剤としているために、新規物質が存在しないということで、新薬が出てこないということでございます。また、分画製剤はほかの製品を製造できるような製造ラインの柔軟性がないということも含まれているかと思います。なかなか新たな収益源を得にくい事業モデルである。これは内資も外資も同じような状況であると考えております。
 収益構造の違いは、新薬が続けて出るような一般医薬とは違うということが示してあります。年々薬価が下がることによって、収益が得られなくなって、安定供給に支障を及ぼすということも言えるのではないかと思っております。
 6ページ目「海外血漿分画事業者との対比」ということで、上の方の内資血漿分画事業者の事業構造につきましては、国内原料を用いまして、これは献血由来でございますが、国内で製造を行って供給先は国内に限定される。すなわち輸出は今、行っていない、認められていないということでございます。原料確保量の調整が難しい、それから、連産品でございますので、すべてのものをつくれるわけではございませんので、このギャップの部分で無駄が生じることになりますが、ここの吸収は国内市場でのみ行われる。国内でなければ行われないことになります。
 一方で、外資企業の血漿分画事業者の事業構造につきましては、有償血漿を含む複数チャンネルの原料を用い、海外の比較的大規模な施設で製造を行う。市場性に応じて国境を超えて供給され、グローバルな展開ができるということで、連産ギャップの調整も世界規模で行われるということでございます。
 この連産ギャップのイメージ図が8ページ目に示されております。例えば免疫グロブリンとアルブミンの生産量のギャップの部分は、原料が余ったものについて海外に出せる場合、日本の場合はそれが出せないといったような簡単な模式図が付いております。
 7ページ目に戻りまして「生産スケールによる差異」ということでイメージ図が付けられております。国外製造の方は、タンクも非常に大きい、製造施設が大規模である。国内の方は、スケールの小さい事業者が4つ集まっているので効率が悪いということが、ここに示されておりますけれども、生産規模を拡大しても運用の人数は等倍にならないので、人件費、設備費等、規模による効率の差がここで大きく出てしまうということが書かれております。
 ただし書きで、国内各地での小スケール製造は、例えば災害時のリスク分散等の効果もあるということも追記してあるようでございます。
 9ページ目、アルブミン製剤の薬価の推移でございます。今、多重構造になっておりますが、かつては包括収載ということで、1本の薬価でございましたが、90年代に入りまして銘柄別の収載になっている。価格が分かれているということでございます。
 これは、国内の企業と外資企業の価格施策の違いの結果として、現在の薬価差が生じているという説明になっております。コスト構造の違いを無視した表面的な価格の追従をすると、事業の衰退を早めてしまうという問題意識が示されておりまして、将来の採算性の悪化を考慮すると、薬価維持をせざるを得ないということがあったととらえております。
 10ページ以降でございますが、血液法の概要なり安定供給義務の部分、それから、世界保健総会での決議、あるいは国民のニーズに係る民間企業で行った調査の結果が示されております。
 最後の15ページ「アルブミン製剤の自給促進」というタイトルで、25%製剤・高張製剤と5%製剤・等張製剤の状況が示されております。これをごらんいただくとおり、先ほどの資料2にもございましたように、等張製剤の方は非常に自給率が低うございますけれども、5%製剤の自給が進まない要因として3つここに挙げられております。
 1つが、国内献血製剤の上市時期の遅れということでございますが、これは5%250 mL製剤の上市時期は、2006年7月ということで、この等張製剤は従来外資の企業の方が先に市場を形成していた。5%製剤は02年3月から上市されているということでありまして、上市時期の遅れが響いているのではないかという見方。それから、製造キャパシティーの問題、これは5%製剤で単純に考えますと、高張製剤に比べて5倍の容積になります。25%製剤は50 mL、5%製剤は250 mLということで、単純に5倍の容積となるので、高張製剤と同じ本数を製造に当たっては、同じ容積の分画は5回分の作業が発生するといったような、製造効率に係る部分が障壁になっているのではないかと、ハードルになっているのではないかということです。
 輸入製品との価格差、供給においては価格差で勝負できないので、供給がうまくいってないということと考えられます。
 以上が国内4事業者の資料でございます。
 資料4-4[1]は、Baxter社から示された資料でございます。2枚目をごらんいただきますと、Baxter社の血漿採取センター、子会社のBioLife社が採取しているということでございますが、一番下にイラストが入っておりまして、適格ドナーの選定ということが書いてあります。これを見ますと、6か月間のうちに再来しないと血漿を使わないということで、これは安全対策の一環ということでございます。適格ドナーとなってからも6か月以上経過してしまうと、これはまた新規と同じ扱いになるということで、これも安全対策の一環だという説明を受けております。あるいは採取センターにつきましては、大都市の繁華街に設けることは感染症のリスクが高いのでしないという説明も受けております。
 次のSTEP2、STEP3は、NAT検査、あるいは製造段階におけるウイルスの不活化の除去工程が示されております。
 資料4-4[2]は、同じくBaxter社から示された資料ですが、バイオライフプラズマサービス社、採漿を行っている子会社でございますけれども、これの概要が記された資料でございます。
 1枚目の「血漿提供」のところにアンダーラインを引いておりますが、1人当たりの血漿の採取量、約600~800 mLということで、日本に比べると非常に多うございます。1.5倍から2倍になろうかと思います。
 この資料の一番後ろの最後のページですが、施設について若干数字が書いてあります。全米に数多くの血漿採取センターが設置されているということで、平均的なデータをここにお示しいただいている。供血ベッド数は60床とかなり多いかと思います。従業員数が25~50名、供血者数が年間4,500~6,000名、1人当たりの年間の平均供血回数が36~48回と非常に多うございます。毎週あるいは月2、3回くらいはやっていることになります。
 資料4-5、こちらはCSL Behring社から示された資料でございます。これは委員のみ配付ということでございますが、血漿分画製剤のコスト構造ということで、原料血漿確保の方法が自社で採漿する場合、あるいは外部で購入する場合、外部で購入する場合も独立系の採漿センターか公的な採血センターかで条件が違う。自社で採漿する場合も、特殊血漿あるいは通常血漿という違いがございますので、さまざまなパターンがあるということで、コスト構造はさまざまであるという御説明だと思われます。 2枚目、米国とドイツの民間採漿センターの採漿の基準が書かれております。採漿量は、先ほどBaxter社のところであったものと同様に、625 mL~850 mLで我が国に比べると1回当たりの採漿量が非常に多いということになります。それから、体重との相関関係が示されている。
 その下にある職員要件というところですが、ドイツでは医師がいることになっております。米国では、必ずしも医師が必要ではない。医師助手、看護師、救急救命士ということが示されております。採血、採漿は、医師助手なり技術者が行い、問診は看護師が行うと説明を受けております。
 3枚目、血漿分画製剤事業のコスト構造のグラフでございます。これは、平成19年までに検討を行っておりました「血漿分画製剤の製造体制の在り方に関する検討会」の資料でも同じような資料が示されておりましたが、それに新たなデータを加えたものでございます。
 左の2つは、一般の医薬品のモデルです。右の方が血漿分画製剤をつくる会社のモデルということで、CSL Behring社が一番右になっておりますけれども、営業利益、販売管理費、製造原価を示しておりますけれども、製造原価が非常に高いということは日本企業と同一である。なかなかこれが利益を圧迫しているということで、新たな開発の投資や最新技術の導入を阻害している性格にあるところでございます。
 一番最後のページ、血漿分画製剤の連産品構造例ということで、これはあくまで一般的な例として示していただいたということでございますが、原料血漿1リッターからこれだけのものができるという模式図でございます。これすべてが生産できれば一番効率がいいということだと思いますが、これのうちできないものがあれば、それは連産ギャップということで非効率な部分になってしまうことになるかと思います。
 資料5は、原料血漿確保の手法です。成分採血と全血採血の比率についてお調べしたものでございます。2つグラフがございますが、まず上の方のグラフ、分画製剤用血漿採集量でございますが、少し見づらいですが、スケールがこれだけ違うということをお示ししたかったので、このような形にいたしました。我が国では、トータルで100万Lということで、米国はけたが違いまして、かなり多いということになります。
 下の方に比率を示しております。米国では、ほとんど9割近くが成分採血由来ということになりますが、我が国では全血採血由来が50%を超えている。ドイツは、その中間にあるということでございます。この成分採血と全血採血の手法による価格の違い。コスト構造がどう違うのか、どちらが高いのかという視点でお調べしたのが、その下の参考の資料でございます。これは米国のSource Plasma成分、Recovered Plasma成分、全血の順に示しておりますけれども、これは105~130ドル/L、110~120/Lというふうに幅がありますので、ちょっと比較が難しい状況でございます。欧州につきましても、Recoveredの方が150ドルと高いんですが、以下という数字も入っていますので、かなり条件によって変わってくるところもあろうかと思います。なかなか一概にどちらが高いということが言えない状況でございます。
 資料6-1~6-4につきましては、後ほど山口参考人が到着次第また御説明をさせていただきます。
 資料7は「各血漿分画製剤の国内自給率の状況」です。国内で供給されている血漿分画製剤は、これだけの種類がございますけれども、国内自給率が高い方から順に並べた表でございます。今100%のものが5つございます。ただ、このうち乾燥人フィブリノゲンあるいはトロンビンといったようなものは、非常に採算性が低い、つまり薬価が低いということを聞いておりますので、このままの薬価ですと多分なかなか外資も参入が難しいのかなと考えております。
 順に申し上げますと、人免疫グロブリンからでございますが、今95.3%という高い自給率を維持しているわけでございますが、特記事項としまして、こちらもアルブミン製剤と同じように、輸入製品との価格差はある程度存在する。ただ、我が国における国内製剤の適用の広さ、先ほど資料でお示しした国産の方がひどいという部分もありますし、あとは影響施策もあるかもしれませんが、国内自給率が依然高い状態を今のところは維持している状況でございます。
 次の乾燥濃縮人血液凝固第9因子でございます。こちらは、平成21年までは100%自給できておりましたが、平成22年に輸入の遺伝子組換え製剤の供給が開始されました。そこで66.7%と30ポイント以上落ちているということですが、今後どのような経過をたどるか注目するべきところだと思っております。
 アルブミン製剤につきましては、現在58.4%ということで、これは以前からお話ししているとおり、自給率は平成19年度以降下落傾向にある。薬価が多重構造でありまして、国内製剤が輸入製剤に比較して高くなりますので、安価な輸入製剤への切り替えが進んだ、特にDPC病院では進んだということが顕著でありまして、この率まで下がっているということでございます。
 組織接着剤ですが、こちらはずっと40%台で推移しております。組織接着剤ということで、なかなか血液製剤という認識が医療現場で薄いのかもしれませんけれども、一部には国内製品にはシートの製剤がないといったようなこともありますので、製剤の利便性の部分でも少し理由があるのかもしれないという考察を書いております。
 血液凝固第8因子製剤ですが、こちらは先ほどの第9因子製剤に先んじて遺伝子組換え製剤が供給されております。現在、外資2社が供給しておりますが、このシェアが伸長している。この第8因子製剤全体の供給量は、かなり増加しているんですが、人血漿由来製剤のシェアは年々低下しているということで、最近25%を切ってしまったという状況でございます。また一部製剤の利便性に差がある。キットの工夫等に差があるとの指摘もあるようでございます。これは、血漿由来製剤に限れば、国内自給率100%。第9因子も同様でございます。
 抗HBs人免疫グロブリン、抗破傷風人免疫グロブリン、乾燥抗D(Rho)人免疫グロブリンですが、こちらは特殊免疫グロブリンと呼ばれるものでございまして、国内でこの製剤をつくるために必要な抗体価の高い献血者、血漿を提供いただく献血者の確保が非常に難しいという状況でございまして、非常に低い、あるいはゼロといった自給率がずっと続いている。ただ、抗HBs人免疫グロブリンにつきましては、今、研究レベルではございますけれども、抗体価の高い献血者確保のため、ワクチネーションを含めまして検討が行われているところでございまして、今後の展開が期待されるところでございます。
 インヒビター製剤ですが、こちらは海外メーカーが先行して供給しておりまして、国内メーカーがまだ参入できていない状況でございます。
 人血漿由来乾燥血液凝固第13因子ですが、こちらも患者様が非常に少ないということで、先行している海外メーカーが供給を既に行っている状況で、手が出せていない状況です。
 一番下の乾燥濃縮人C1-インアクチベーターですが、こちらも適応が遺伝性血管神経性浮腫の急性発作ということで限定的でございます。患者様が少なく、先行している海外メーカーが供給を行っている状況であります。
 以上でございます。
 資料8は、第1回目の御審議の中で、何かあったときに海外の製造施設に査察ができるのかといった御質問がございました。法律の方で考えますと、薬事法の第七十五条の四、これは平成14年の改正でできた条文でございますが、厚生労働大臣が必要であると認めた場合、海外で製造された製品の工場に対して、その構造設備または帳簿書類その他の物件についての検査をし、従業員その他の関係者に質問することが可能であるということです。この検査を拒まれ、あるいは忌避された場合、あるいはその質問に対して正当な理由なしに答弁がされない、虚偽の答弁がされたときには、認定の取消しができることになっております。
 以上が資料8までの御説明でございます。
 この後に参考資料1としまして、アルブミン製剤、免疫グロブリン製剤の各銘柄ごとの添付文書が付けられております。
 その後ろの参考資料2は、平成19年9月28日に示されました、医療用医薬品の流通改善についての緊急提言でございます。医療用医薬品の流通改善に関する懇談会というところで、本日、委員としてお越しいただいている三村先生も御参画いただいていた懇談会で緊急提言が出されたものでございます。
 この資料の5ページ「長期にわたる未妥結・仮納入の改善と総価契約の改善」という課題ですが、血液製剤に関しまして、特に問題意識を持っておりますのが総価契約でございます。総価契約というのは、十把一からげということで、すべての医薬品、塊で何%引きでの取引といったような形です。個々の医薬品の価値評価がなされないような形で値づけがされるということですが、このアンダーラインを引っ張った部分で「例えば以下のような医薬品については、総価除外品目として取り扱うことが考えられる」とお示しいただいております。このイ)の方ですが、総価取引によって採算割れになってしまい、それにより安定供給に支障を及ぼすおそれのある医薬品など、ほかの代替品がなく、医療上重要な医薬品、まさにここが血液製剤に該当するのではないかと考えております。
 そして総価取引は、この緊急提言が出された後どのように変わったかということを、参考資料3ということで、これは日本医薬品卸業連合会にお調べいただいた資料でございますが、血液製剤ということになると、多くは200床以上の病院になるかと思いますので、1番の方でごらんいただければよろしいかと思いますが、全品総価契約、下に※印で注記もありますが、複数の品目が組み合わされている取引において総価で交渉し、総価で見合うよう、個々の単価を卸の判断により設定する契約という形で、十把一からげということになるんですが、これが平成19年度には26.6%あったものが、平成21年度には7.9%まで減っている。逆に単品単価契約、品目ごとにきちんと評価した形が36.2%だったものが52%まで増えているということで、一定の改善は見られているということだと思います。
 いずれにしても、価格競争の結果、先ほど事業モデルの解説にもございましたとおり、年々薬価が下がっていっても新薬が出ないといったような特殊な製剤でございますので、この流通の在り方、薬価制度の在り方にも議論が必要ではないかと考えるところでございます。
 以上が資料の説明でございます。
○溝口座長 どうもありがとうございました。一応1回目の検討会でいろいろ御意見、御質問が出まして、それに基づいた資料を事務局に用意していただきまして、御説明をいただいたわけでありますが、引き続いて第2の議題である血漿分画製剤を取り巻く諸問題についてに移りたいと思いますが、その前に1つ論点の整理をさせていただきたいと思いますが、第1の論点は血漿分画製剤のコスト構造と国内自給率の低下に係るもの、特に今、アルブミンの自給率の低下があるわけですが、その原因がどうもコスト構造にあるのではないかということがありますが、それが一番大きな問題ではないかと思いまして、それは早急に解決する必要があると考えております。
 第2番目は、資料4-1、4-2で説明がありましたが、輸血用血液を含めた血液事業全体のコスト配分の問題。いわゆる血液事業というのは、血液法では国が責任を持って全体を行うわけでありますが、血漿分画製剤の値段だけ決めて、ほかのことを考えなくていいわけではありませんので、やはり輸血用血液製剤を含めた全体のコスト配分の問題が大きなテーマだと思います。これは原料血漿の価格と輸血用血液製剤の薬価の考え方の基本的部分が、平成2年の設計でされたという説明でありましたけれども、20年経った現在、そのままでいいのかどうかということが問題ではないかと思っております。これは血液事業部会でも指摘されたと聞いておりますが、この部分の検証と今後の血液事業全般の運営に係る検討も大きなテーマではないかと考えております。
 最後に、先ほど国内企業から資料が出ておりましたが、血漿分画製剤を輸出する可能性、今のところは全くそれは認められていないわけですが、その可能性はどうか。
 それから、遺伝子組換え製剤に係るもの、これはどんどん第8因子も第9因子も増えているわけですが、それがどんどん増えていって血漿由来の製造が止まってしまったときに、安定供給が今後保障されるかどうか、そういった問題があると思います。いわゆる国内の血漿分画製剤由来のシェア何%が望ましいのかという議論が必要ではないかと考えております。
 また、各製剤別の国内自給に向けた具体的な方策。これは特に特殊免疫グロブリンなどが大きなテーマだと思いますが、それ以外にも多くの血液製剤がありますが、それをどの程度国内自給をしていくかという問題もあるかと思います。
 最後に、血漿分画製剤の安全性に係るインフォームド・コンセント、輸血用血液製剤は現在は保険のサポートもありまして、かなり徹底して行われておりますが、血漿分画製剤につきましては、実際に行われている方法が、日本輸血・細胞治療学会からインフォームド・コンセントの案が出ておりますが、それは血漿分画製剤全体をまとめたインフォームド・コンセントの形になっておりまして、それでいいのかどうか。そういうことも今後検討していただきたいと思っております。
 この検討会の結論は、3月の血液事業部会に向けて、そこで中間的な報告をしたいと思っておりますが、全体をこの短い間に議論するのはなかなか難しいので、まず第1に一番大事なアルブミンの国内自給率が下がっている原因であるコスト配分の問題をまず至急御議論いただきまして、そこのところを3月までに結論を出して、血液事業部会に報告させていただければと思っております。
 残りの今お話した輸血用血液を含めた血液事業全体のコスト配分の問題につきましては、供給の体制も含めまして、今後の我が国の血液事業の在り方を左右する極めて大事な問題でございますので、少し時間をかけて検討させていただければと思っております。
 また更に、血漿分画製剤を輸出する問題であるとか、遺伝子組換え型の製剤に係る問題とか、各製剤別の国内自給に向けた具体的な方策、あるいはインフォームド・コンセントに係る問題といったものは、4月以降に引き続いて御審議いただければと思っておりますが、それでよろしゅうございますでしょうか。何か御意見ございますでしょうか。
 まず一応3月の部会に向けて、コスト構造の問題を検討して、その中間的な報告をする。それ以外のことは、4月以降に検討させていただくということで、そういうことでよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○溝口座長 それでは、そういうことで御了承いただいたものとさせていただきます。
 それでは、第2の血漿分画製剤を取り巻く諸問題ですが、これは今お話したように、特にコスト構造の問題に集中して御議論いただきたいと思っておりますが、アルブミン製剤の使用の在り方につきましては、現在、血液製剤の使用指針を改定作業中と聞いております。また、安全技術調査会または適正使用調査会におきまして、最新の知見に基づいて併せて御審議いただければと思っております。
 次に、第2の議題に移りたいと思っておりますが、先生方からフリーに、特にコスト構造に集中して御意見を伺えればと思っております。どなたからでも、よろしくお願いします。
 三村委員は、この前御出席でなかったんですが、前の製造体制に係る検討会でも御一緒でしたし、緊急提言もしていただきましたけれども、いかがでしょうか。
○三村委員 先ほどの流通改善との関係からいきますと、実はこの流通改善は未妥結・仮納入の問題がかなり中心的に論点を進めてまいりましたので、個別の薬剤についてどうかという議論はなかなかできなくて、今回はこれが非常に重要な問題であるという認識は一応関係者の方々にはお伝えはできているんですが、それについてはむしろこれからという話なんだと思います。
 ただ、今はまだどういうふうにやっていくかということについては、計画の枠組みはできておりませんが、価値と価格という形の中で、それぞれの薬剤の特性と、それに合わせた価格設定、価格保証の在り方は、基本的にやっていくべきだということについては、少しずつ合意もできているかなという感じでございます。
 ただ、そのときには、やはり本当の新薬の場合と、ジェネリックはどうするかという議論は、比較的まだ整理しやすいんですが、先ほどのように少し普通の一般の薬剤とは違う構造を持っている血液製剤の議論については、なかなかその上には乗せにくいところがございます。今のところは、非常に管理コストが高いとか、あるいはそれに対しては長期的なきちんとした手当が必要という議論に入る可能性はあるかもしれませんけれども、やはり薬剤特性の違いというところと、薬価制度の在り方と、薬剤の価格構造の在り方は、もう少しきちんと整理しないと、なかなか先に行けないのかなということがあると思います。
○溝口座長 どんどん薬価を下げていって、企業が供給し続けられるかどうかということが大きなテーマだと思いますので、それはまた別の問題かもしれませんが、前回一番大きな議論になったのは、日本の製品が海外のものに比べて高過ぎる。それを何とかしない限りは国内自給は高まらない。引いては、海外で何かあったときに国内でのアルブミンの安定供給が侵される可能性があるということでありますので、先生方は日本の企業の製造するアルブミンとの海外価格差をどうやったら解消できて、国内自給を高めることができるか。その辺に議論を集中していただけるとありがたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
 もう答えが出ているようなところがあるんですけれども、小山委員、どうぞ。
○小山委員 考え方が2つあると思います。1つは、先ほど説明をいただきました資料4-1にあるように、価格がこの時点でもって1万円と決められて、そこから価格が決まっていったという経緯がありますね。この価格が本当に妥当なのか。1万3,000円というお話ですけれども、これが原料の値段として適正なのかどうかというところが、我々としては見えませんね。基本的には原料が安くなれば販売価格も安くなるということなので、まずここが1つ論点になると思います。
 もう一つは、構造として当然高くなるのはしようがない構造を持っているわけです。それはボリュームですね。ボリュームは、先ほどのグラフでお示しいただきましたように資料5を見ていただきますと、日本と米国を比べてここまで差があると、ボリュームを考えた場合に、それはもう多くつくれるところにかなわないわけですから、そうするとここら辺のところの構造を考えた場合には、場合によると国の支援も必要なのかなという話にもなってくると思うので、その両方で、原料が適正なのか、それが適正だとしたら、これだけのボリュームがあるんだとしたらば、それに対抗するためにはある程度公的な援助と言うとおかしい言い方ですけれども、手を加える必要があるような感じを持ちます。
○溝口座長 原料血漿の価格は、大体海外と日本には大きな差がないように設定したんですが、それが積み上げ方式といいますか、必要経費を積み重ねてやったものではないようなあれですね。同じくらいにしておいた方がいいだろうという、国内の会社の規模が1つあると思います。
 積み上げ方式でやると、この原料血漿の価格はもっと上がる可能性もあるんですか。
○秋山専門官 今、御指摘のあった原料の価格のところでございますが、前回第1回の資料でお示ししたのが、取引価格としての原料血漿の価格ということで、これは日米でそんなに差がないという統計でございました。ただ、外資の会社で考えますと、取引価格というよりは自前で採漿している場合、あるいは子会社で採漿している場合は若干安いかもしれない。
 一方で国内の日本赤十字社の方で、本当に1万3,000円でできているのか。これは詳しく聞いてみなければわかりませんけれども、そこで相当差がある可能性はあると思います。
○溝口座長 例えば採血に係る費用、それは献血とチップ程度の有償採血と言われていますが、その辺の違いが少しあるかもしれませんね。
 アメリカの赤十字でさえも、医師はいなかったんですね。外にいて、何かあったときに呼ばれる。日本は全部医師が問診していますが、海外では先ほどお話があったように看護師が問診していますし、採血業務は日本は看護師がやっていますけれども、海外では採血の専門で、その辺のサラリーの差がある可能性もあります。
 もう一つは、安全対策が国際的な同じなのかどうか。日本はゼロリスクということで、もう徹底的に、かつてのHIVや肝炎を血漿分画製剤で起こした苦い経験がありますから、もう徹底的に安全対策をやってきましたけれども、それが海外のやり方に比べて妥当なのか。その辺は安全技術調査会での検討が必要なのかもしれませんね。その辺はどうですか。
○秋山専門官 今の最初ですね。原料血漿確保のやり方の話ですけれども、例えばそもそも米国と日本ではやり方が違うと。我が国では輸血用血液と同じ場で取っているわけですね。献血等で採っているわけですが、海外においては成分採血ということで、原料血漿として、いわゆる輸血とは別のところで、採漿センターで採っている。
 先ほどBaxter社の子会社がやっているという資料がございましたが、そこで採るときの条件というのが、日本でやっている献血ルームで採血用血液と同時に採る場合と相当条件が違う。日本の場合はすべて、今、先生がおっしゃったとおり、診療所の扱いになりますので、必ず医師がいなければいけないといった基準もありますし、それから輸血用血液ということで、ドナーの安全対策も今は万全にしなければいけないということで、かなり手厚くしている部分がある。
 一方で海外の方は、医師がいないということもありましたけれども、少し要件、基準が違うところがあろうかと思います。
 それから、1人当たりの採漿量、これも先ほどお示ししたとおりかなり差がある。これもスケールメリットにつながる部分ではあると思います。
 もう一つ使う資材といいますか、国内では献血ルームで採血する場合、輸血用バッグに採ります。これは非常に高価なものでございますが、海外の会社に聞いたところでは、あちらでは輸血用バッグではなく、樹脂製のボトルに採っている。恐らく非常に安価なんだと思います。それから、人手のかけ方ですね。輸血用バッグだと非常に人手がかかる部分もありますので、その辺の差もあるということで、そもそも採り方自体が相当違うところがありますので、そこら辺も原料価格の差に実はなっているのではないかと考えております。
○溝口座長 安全対策はどうですか。
○難波江課長補佐 安全対策につきましては、日本では初流血除去であるとか血漿製剤に対する除去フィルターの適用であるとか、かなり過去20年で安全対策を進めてきたところがございます。海外において、どこまでそれを、特に採漿センターで求めているかというのは、今は十分な情報はございません。
○溝口座長 それはまた各会社にヒアリングができるチャンスがあれば、一つひとつ聞いていくのと、もう一つはやはり安全技術調査会で、いわゆる献血者の安全と血液の安全に関する方策のハーモナイゼーションが必要な気がします。そうしないと、何か我が国だけハンディキャップがあるような、原料血漿が高くなる原因としてですね。
○小山委員 原料血漿が高くなる理由というのは、ボリュームという言い方をしたんですけれども、まず採血量が違う、これがとても大きいと思います。もう一つは、採血の仕方が、成分採血が7割くらいを占める、これで大分違ってくる。それから、何と言ってもボリュームが違う、100Lと30Lを比べれば、当然30Lの方が持ち出しが出てくる。それを国として、ここはやはり生物由来製品に関しては、なるべく国内でもって生産するんだという方針を立てるんだったらば、それならそれなりの手当をする必要があるのではいなかというのが、私の意見です。
○溝口座長 国として手当をすることが先生の御意見。あとは、方法が妥当であるかということを安全技術調査会その他で検討していただいて、献血漿の安全と血液の安全を保つのに、今の方策でいいのかどうか。この中に、やはり費用対効果も十分考えていく必要があるんではないか。
 もう一つ、先ほどのスケールというのは、会社のスケールのことですか。
○小山委員 勿論、会社のスケールもありますでしょうし、それから世界で売れるところと、日本しか売れないところもあって、市場も全然違うわけですからね。
 ただ、安全性ということに関しては、今、物すごく神経質で、生物由来製品の感染対策被害の判定員をやっているんですけれども、ほとんど、この海外製品の、いわゆる分画製剤に関しては、まず引っかかってくるところがないので、安全性に関しては、かなり日本だろうと海外だろうと同じくらいのレベルでは高いのではないかと思います。
○溝口座長 感染性の副作用については、後ほど山口先生の話もありますが、もう一つは海外に売るかどうかというのもコストを下げるには有効な方法かもしれませんけれども、それは、また、4月以降の議論にさせていただきたいと思いますけれども、ほかに何か御意見はございますか。
 どうぞ。
○花井委員 採血の採否のところで、あと大事なことがもう一つ、いわゆる向こうは有償採血であるということです。こっちは献血で、日本は国内で有償採血は禁じられていますけれども、どこまで有償か、献血かという議論は、以前に大変したわけですけれども、具体的にはリピーターとなるのが、さっき資料でも多かったですね。それは、1回目来るより2回目がアップするんですね。3回目が更にアップして、ボーナスが上がっていくというような制度があるわけで、それを買っているというのか、これはいわゆるドネーションに対するある種のインセンティブだと、向こうは言うかもしれませんが、それは基本的に有償採血が禁止されていないというところは、環境として非常に大きいと思います。
○溝口座長 それは、1回目は20ドルとかチップ程度だという意見が、前の回でもありましたけれども、今、おっしゃったようなリピーターがだんだん、その謝礼が上がってくるということは確認をしていなかったので、今後、ヒアリングをするとすれば、その辺も。
○花井委員 そうですね。4年ほど前から、ヨーロッパの採血現場で値段を聞いて、どういう制度になっているかと、お金をどうやってもらえるのかときたときには、そのように職員方が説明していました。
○溝口座長 わかりました。ほかに何か御意見はありますか。
 大平委員、どうぞ。
○大平委員 コスト構造に絞って、もし、議論するとしましたら、まずは、血液採血から原料血漿までの部分のコストの問題と、それから、その後、売り渡した後のコストの問題、生産ラインですとか、それから、また、連産品の問題とか、そういうのがきちんと合理的に生産されているかどうかということと、それが余剰になってどういうような、今後のコスト的な問題として負担になっていくのかどうか、その辺を少し分けて考えていかないと、一体で考えると、最終的には採血からすべての血液事業に関わるコスト構造というのをもう一回分解して検討しないといけないところがあると思います。
 とりあえず、今回、アルブミンのコスト構造をもし見るとしたら、現在、日本の高張製剤と等張製剤とかの国内自給がかなり高い部分と低い部分、それから、また、各メーカーの製造能力ですとか、そういう問題も今回詰めて議論して、そして、それが多分グロブリンの問題ですとか、ほかの問題に連産品の問題として出てくるんではないかと思うんです。
○溝口座長 ありがとうございます。いわゆる原料血漿ができるまでの費用と、その後の血漿分画製剤をつくるまでの費用、その辺を分けて考える必要があるだろうと。
 前の方に関しましては、原料血漿の安全あるいは血液の安全対策というところが大きな関係した費用のように思いますが、後の方は、原料血漿は、ほとんど価格が海外と同じなのに、なぜ高くなるかという問題だと思いますが、三村先生、どうでしょうか。
○三村委員 やはり先ほどのお話をしますと、事業の在り方の違い、先ほど言った事業モデルが違うですね。日本国内に限定されている場合と、国際的に展開している場合、明らかにこれはコスト構造が変わってきますし、やはり生産機能に当然関わってくると思います。
 ですから、これをどう考えるかということが非常に、そもそもこの血液事業そのものの理念とか方針に関わってくると思いますけれども、ただ、今の国内事業の在り方そのものが、やはり決して盤石ではないというところを少し前提とした上で見ていく必要があるかなと、やはり決して強い基盤に乗っているわけではないと思っております。
 ただ、それに対して、制度をどういうふうに展開するかというのは、また、これもいろいろと全体的な合意が必要な話になりますので、その辺りもまだまだ議論の余地があると思います。
○溝口座長 国内自給の基盤が盤石でないというのが、ちょっとよくわからなかったんですが。
○三村委員 盤石でないというのは、先ほどで言いますと、コスト構造的にやはり弱いところを持ちこんだままで進めているということですね。ですから、盤石でないというのは、決してネガティブな意味ではなくて、これをこのままずっと続けていくときに、やはりいろいろなところで無理が生じていたり、やはりいろんなところで弱点が見えてきたり、それをできるだけ補いながら詰めていきたいと思っております。
 ですから、先ほどの国内事業の在り方そのもの、先ほど大平委員がおっしゃったところなんですけれども、在り方そのものをやはりもう一度きちんと再構築していくということも必要であると思います。
○溝口座長 さっき大平委員が言われた、後の製造コストが日本は高過ぎるのではないかということは、やはり規模の問題、それから海外のように外に出せるかどうかとか、そういう問題でしょうか。
○三村委員 連産構造の問題が見えたのは、恐らく比較的最近だと思っております。ですから、アルブミンだけで考えていたということなんですが、事業モデルとして考えてみたときに見えたものだったと。
○溝口座長 各企業の製造コストと、製品の種類、それから製造量、いわゆるトータルの販売量の問題、販売価格というか、収入ですね。それが日本の方が効率が悪いということでしょうかね。
 ですから、今、ここでは何もデータがないんですけれども、今後、各社のヒアリングが可能であれば、それぞれの人件費あるいはトータルの各血漿分画製剤の製造量それぞれのトータルの収入、それがどの程度の効率の差があるのかということも我々としては情報がほしいなという気がします。
 確かに、この量からいったら大違いなので、スケールメリットはあるとすれば、これも先生がおっしゃるように、海外の方が有益である可能性はあるし、もう一つ、三村先生がおっしゃったように、海外へ売れるという大きなプラスがあるのかもしれませんね。その辺は、やはりヒアリングをしてみないとわかりませんが、どうぞ。
○井廻委員 資料の4-3で国内4事業者提供資料というところが、今の、要するになかなか難しいんだということを言っている話なんですが、例えば4ページのところで製造コスト、病原体リスクに関する投資があるので、製造コストの低減は図りにくいし、新たな収益源を得にくい事業モデルであると。
 これは、そうかなという感じもするのですが、すべてここで言っていることが、何かやることによって改善が不可能なことばかりなのかということについての検討が要るんではないかと思うんです。
 7ページも、生産スケールによる差異というのは、これを見れば確かに、はるかに差があるので、なかなか効率的にはできないというのはわかるような気はしますが、例えば左側は、多分アメリカの話だと思うんですけれども、ヨーロッパでちょっとほかのところで、例えば同じくらいの生産規模しかないようなところでどういうふうになっているかみたいな調査というのはありますかというのをちょっと伺いたい。
 つまり、確かに規模的な差はあるからというのはわかるんですが、そうであっても、もう少し何とかコスト削減ができないかというふうな観点というのは、アメリカのあるところと比べるだけではなくて、もう少し考える必要があるのではないかと思います。
○溝口座長 海外での、日本の国内と同じくらいのものがあって、それが成り立っているのかどうかということですね。その辺はいかがですか。
○秋山需給専門官 手元にある資料の中で見ますと、ヨーロッパ、欧州がどうなっているかでございますが、この生産スケール、平均的な分画の規模でございますけれども、欧州は必ずしも小さくないということです。
 今、100万リットル以上という米国の例と、それから30万リットル程度という国内のものを示していますが、欧州はこの中間です。2007年ごろだと大体70万リットル弱と、平均的にそうだと聞いています。
 それから、欧州でもドイツ辺りは、やはり国外に血漿を出したりしておりますので、事業モデルとしては、やはり日本が特殊な格好になっているというふうに聞いております。
○井廻委員 その前に、70万リットルですけれども、製造会社は数としてはどうなんですか。1社だけなんですか、それとも日本のように3社とか、そういうふうにあるんでしょうか。
○溝口座長 日本は4社です。
○井廻委員 4社ですか。
○秋山需給専門官 今、手元に細く、どの会社がどれだけあるいは何社あるということがないんでございますが、規模としては、恐らく日本よりは大きいんだと思いますが、ちょっとこれは調べてみないとわかりませんので、お調べしたいと思います。
○溝口座長 どうぞ、直江先生。
○直江委員 今の流れでお伺いしたいんですが、国内自給にこだわっているといいますか、それを国是としている国というのは、ほかにどのような国があるんでしょうか。例えば韓国とかアジアではどうでしょうか。
○難波江課長補佐 アジアの国々での具体的な情報はないんですが、ヨーロッパは域内で自給を求めていこうという決議がなされていて、後は国によっても国内自給を目指しているという国も幾つかございます。その辺りもお調べして、また、今後、御提供できればと思います。
○小山委員 これは、WHOの提言のところに引っかかってくると思うんです。生物由来は、全部自国生産というんですか、移植なんかも絡めて、そういうところの国の1つとして考えているんですね。
○溝口座長 そういう倫理的な問題が1つ、かつて日本が吸血鬼だと言われたくらい海外のものを使い過ぎていた反省があって、医療機関に適正使用が求められています。また、海外の製品が大きな健康被害があったということも受けて、国内自給ということも目指した法律ができているわけです。それと同時に、やはり海外の製品に不具合があって、輸入が止まったときのことを考えますと、安定供給の面でも国内自給を目指した方がいいのではないかと考えられます。
 ただ、それに対するものとして、小幡先生、TPPの問題とか、WTOの問題があるんだと思いますが、血液製剤は特別に考えるということは可能なんでしょうか。
○小幡委員 難しい話ですが、少なくとも、やはり血液の場合は、ほかのWHOの提言といいますか、勧告がありますので、完全にそれを無視してWTOだけでいくということはできないと思いますか。そこら辺が日本も血液法をつくったのですが、WTOとの関係を気にしながらやっているという大変悩ましい状況です。血液は、普通のものと比べると、明らかにそこは違っているということはあると思うのですけれども、そこは、やはりほかの国の状況も見ながら、どこまで行けるかということを常に探りながら見ていくということが必要ではないかと思います。
○溝口座長 三村先生が、国内自給の基盤が弱いんではないかとおっしゃったのですが、たしかに血漿分画製剤では弱点がありこの検討会の課題ですが、WHOの提言もありますし、安全の問題と安定供給の問題が国内自給を求めさせているのではないかと考えております。それは、基盤ではないかと考えております。
 どうぞ。
○益子委員 日本の場合、HIVの問題がトラウマになってしまっていますので、安全性と言われると、どんだけお金をかけても、安全なのは大事だねと、みんなすぐに納得してしまうんですけれども、資料の1-2にありますように、アルブミン製剤を、免疫グロブリン製剤の供給価格がヨーロッパのフランス、ドイツ、イギリスと比べて5割増し以上というのは、やはりちょっと尋常ではないと思うんです。そうすると、それだけ安全面で、みんなが納得できるくらいに価格がそこに上積みされているのかという問題をきっちり検証しないといけないと思うんですが、例えば我々の救急医療の領域で、最近、ヘリコプター救急というのが非常に普及してきているんですが、高速道路は、猪瀬さんが書かれているように、いろいろ道路公団の問題があって、高速道路建設費用というのは世界で一番高いんです。それは、安全性の問題とか、照明ですとか、いろんな問題があって、遮音壁をつくったり、それから電話を何台も設置したり、それから夜間照明を道路に向けて設置したりしてやっているわけです。
 それが非常にいいんだということで、それは間違いなんですが、では、逆に高速道路で大きな交通事故が起きたときに、ヘリコプターで現場へ行って救出しようと思ってもできないですね。ほとんどできないような設定になってしまっているわけですね。ヨーロッパは、そんなことは全然ないし、アメリカでもないですから、どこでも降りて救出ができる。
 そうすると、本当に人の命を大事にしてつくった高速道路が逆に救助からいったらマイナスなんです。ですから、1つの面の安全性というのは、ほかの面から見たら決して安全ではないというのがありますので、本当にこの安全性の担保というのは5割増しの値段に妥当なのかというのは、やはり検証する必要はあると思います。
 もう一つ、先ほどの資料で、スケールメリットの話、先ほど小山先生もおっしゃいましたけれども、資料の4-3の7ページのスケールが日本は非常に小さいんだという問題がありますね。ですから、どうしたってコストがかかるんだと。
 そうすると、これを考えると、やはり日本の銀行であれ、製薬メーカーであれ、いろいろ小さいのが合併して世界と闘っているわけです。
 そうすると、そういうときに、この血液製剤に関係するメーカーは、合併して世界と闘うという選択肢はないのかということも併せて考えないといけないんではないでしょうか。
○溝口座長 先ほど私もおっしゃいましたけれども、安全対策がゼロリスクを求めて今まで来たけれども、そこが、やはり医療事情が変わってきまして、無限に医療にお金をかけることは難しいという時代が少しありまして、特にDPCの導入が、小山先生も前におっしゃっていましたけれども、そういうことで、なかなか難しい時代になっている。だけれども、やはり血液の安全はどうしてもきちんと守っていかないといけないけれども、やり過ぎがないかどうか、その辺は、やはりきちんと今度は安全技術調査会を含めて検討していただきたいし、この問題は、コスト構造にも関係しますので、かなり早目にやっていただく必要があるのではないかと思います。
 どうぞ。
○花井委員 恐らく、今、先生方は御理解いただいていると思うんですけれども、血漿分画製剤に関しては、輸入品も国内品も同じ安全基準になっているので、殊更、日本の血漿分画製剤の方が安全対策にお金がかかっていることは本来ないというのが基本的にあるんだけれども、さっき指摘があったように、いわゆるソースプラズマではない部分が多いので、輸血用血液製剤の安全対策部分でどれだけかけるかという議論の中である話なんです。
 それで、恐らく私の理解が正しければ、後で事務方で説明してほしいんですけれども、例えば貯留保管中の血漿があって、輸血用血液に供給した部分が遡及調査によってバッグを市場からというか、輸血用血液の供給ラインから取ったときに、たまたま同じバッグが貯留保管血漿中にあれば、それは当然わかって、感染性のあるバッグがわかるから、貯留保管中のバッグからそれは外すと、それはあくまでも反射的メリットで、そういうようなことが安全対策ということになれば、輸血用血液の患者さんを実験台にして分画の安全を高めているなんていう変な議論になりますから、恐らく安全対策費がこれに乗っかって、血漿分画のコストに乗っかっているという理解でいいのかどうか、ちょっと疑問があるんです。
 それで、同じ意味で血漿分画の安全対策によって、かなり欧米の、さっきの資料もありますけれども、同等の安全対策を取っているはず、逆に言えば、そうでなければ日本市場では売れないということになっていて、そこのところの説明をもう少し整理していただいた方がいいんではないかと。
 輸血用は、血液製剤の安全対策というのは、多分、ほかの国でもかなりそれは非常にリスクが全然違いますから、別の政策として各国やっているはずですし、アルブミンに特化すれば、これはつくられたときから、60℃、10時間加熱という対策で、感染というのは起こっていないわけですから、安全対策という意味の、アルブミン製剤の安全性というのは、もう確立したものだというふうに理解していいんではないかと思っているんですが。
○溝口座長 事務局、何かありますか。血漿分画製剤の安全、特にアルブミンに関しては海外のものと同じだということですが、ところが安全対策も同じだということをちょっとおっしゃったけれども、そこは違うんだと思いますね。やり過ぎれば同じになる。
 例えば原料血漿に関して白血球除去とか、初流血除去をやったって、効果としては非常に低い可能性はあるけれども、結果としては同じ安全は担保される。
○花井委員 まさに座長がおっしゃられたように、輸血用血液の安全対策が反射的に血漿分画原料に反映しているという意味だと思うんです。ですから、そのコストは、輸血用血液のコストの話で、恐らく血漿分画は、別にやらなくても不活化処理をやっていますから、それは必要ないと思うんだけれども、そこにコストが乗っかってきているかどうか、ちょっと微妙ではないかと思うんですけれども、そこは、私もソースプラズマとリカバードプラズマの違いというところでコストが上がってしまうということなのか、どうなのかというのは、そこは座長がおっしゃるとおりなんだけれども、ちょっと整理が必要なことかと思います。
○難波江課長補佐 御指摘のとおりだと思います。先ほど、初流血除去であるとか、白血球除去というのは、こちらは原料になるものに対しても輸血と同じで採血しておりますので使われていると。
 更に6か月のインベントリーホールドというのは、日本ではやっていて、これは原料血漿に対しても行われているということで、そこのコストをどちらに乗せるかというのは、これはまた別の議論ですが、コスト全体として見た部分では、その部分がかかっているということかと思います。
○溝口座長 国内外とも原料血漿の価格は1万円で大体同じになっていますけれども、原料血漿の安全対策を減らせば5,000円にできるかもしれない。そういうことだと思います。
○直江委員 整理のためにもう一度お伺いします。原料費が1万円で同じなのに、日本が1.5倍、2倍になるところが、さっきの説明でも、今の話でも、いまいちよくわからない。つまり、安全性とか感染性の問題は、血漿のところに入ってしまっているのであれば、なぜ2倍になるのかというところが、さっきの説明ではちょっとわからなかったものですから、もう一度簡単に説明していただくとどういうことになりますか。
○難波江課長補佐 原料血漿を得るまでの部分と、原料血漿を得た後の部分で分けて考えるべきかと思いますが、まず、原料血漿の価格そのものについてほぼ変わらないという資料が前回に出されましたが、例えば資料5で申しますと、こちらの下にある参考の情報でございますが、米国のソースプラズマ、リカバードプラズマの価格が幅をもって記載されていますけれども、日本の1万3,000、これは当然為替レートによって差は出るわけでございますが、こちらで24時間以内に凍結、72時間以内に凍結ということで価格が分かれていると、日本の場合、8時間以内で凍結にしてFFPにしていて、それが原料に使われている場合もございます。
 それから、PCR以外の検査を実施済みということで、この原料についてPCRが行われていないものでございますが、それ以降で、そこの部分のコストが乗ってくるという話にもなりますので、原料血漿を比較するにしても、どこの部分で比較するのかによって、また変わってくるかと思います。
 当然その後の製造にかかるコストの部分でも差が出てくる、全体としてのボリューム、世界を代表としてやっているビジネスモデル、1社、1社の単価の大きさ、かかる人件費、そういったところで差が出てくるものかとは思います。
○溝口座長 直江先生の先ほどの質問は、先ほど大平委員が言われたように、原料血漿をつくるまでの費用と、その後の原料血漿分画製剤をつくるまでの費用とは分けて考える。先生は、前が同じなのに後が違うのはなぜかということが問題だと思いますが、それは、さっき益子委員でしたか、銀行のように統合したらどうだということだと思います。勿論、海外に売れないなどありますが。
○難波江課長補佐 1点補足で、前回の資料でも、ほとんど原料血漿の差がないというものが、もしかすると、ミスリーディングなものだったかもしれないということです。こちらにあるとおり、定義によって異なっていたりとか、そこは市場に出ている価格でございますので、自社センターでやっている場合は、もっと安い値段でできているかもしれない。その辺は、直接聞いてみないとわからないところもあるかと思います。
○溝口座長 今後、その辺はヒアリングで聞きましょう、また、原料血漿の値段が同じなのに、その後の価格が高くなっているかというところは聞いていきたいと思いますが、やはり一番大きいのは、先ほどおっしゃった銀行の例のような問題が1つあるのかもしれませんね。
 あと、先ほど安全対策でも、血漿だけを取っているところと、赤血球を採血したものを使うのでは、安全対策が違うわけですね。輸血用血液は徹底的に安全対策を、たとえば、初流血除去とか、白血球除去とか、PCRも個別に近いものをやっていますけれども、海外の原料血漿の採取法は全くそういうことはないんですね。それだけを集めている。日本でも血漿だけを集める場合がかなりありますけれども、それも輸血用血液製剤と同じような安全対策をしているんですね。どうですか。
○林委員 関連して1つよろしいでしょうか。そのスケールメリットに闘うために、ビッグ銀行みたいな大きな銀行のように合併の方策を立てるということもあるんですが、その前に、もしかしたらできることとして、工場の稼働率だとか、眠っているラインがないのかというようなことは、一度検証してみることも意味があるんではないかと。化学薬品のように、ラインの融通を利かせるわけにはいかないと思うんですが。例えば、アルブミンから先になった段階ですべての企業の工場が100%稼働しているのかというと、必ずしもそうではないかもしれないので提案です。今、製造販売承認になってからは、相手先ブランドで一般の医薬品は製造できることになっていると思うんですが、血漿分画製剤についてもできるのであれば、稼働率を上げて、コスト構造を少しでも改善できるか検討してみてはどうでしょう。合併しなさいというのは、ちょっと時間のかかることかもしれないので、提案です。
 例えば、組換えのアルブミン製剤が一時あったかと思うんですが、今、諸般の問題で一旦休止していると思うんですが、ラインを維持しているだけでも大変なことだと思うので、そのラインを使わせていただくということが可能であればなども一度確認はしてみてもいいんではないかと考えました。
○溝口座長 事務局の方で何か意見はありますか。我々は余り専門ではない部分なので、説明を加えてください。
○秋山需給専門官 今、御指摘がありましたが、特に具体的に、メドウェイ注ですね、遺伝子組換えアルブミンのラインがどうなっているかということがありましたけれども、そういうような考え方に立って、今の薬事法の法体系に沿ってこういうことができるのかどうか、あるいはやる意思があるのかどうかということは、これはちょっと企業に聞いてみなければわかりませんので、もし、ヒアリングの機会があれば、それまでにある程度の情報を集めることはできるかと思いますので、努力したいと思います。
○溝口座長 ほかに御意見はありますか。
 今の林委員の話は、他社と何かそういうものを融通し合うということですね。
○林委員 そこを少し支援してあげるということが効率化につながるんであればということです。
○溝口座長 多分、4つの小さな会社が協力しないで闘っているわけですね。そういう状況、大きな恐竜に4匹のネズミというか、今日、企業の方がいらしたら失礼ですけれども、感じからいうと、この数字を見るとアリみたいな、蝸牛角上に争っているような感じがしますが、その辺が益子委員の御意見の言わんとするところですし、また、そこまでいかなくても林委員のように協力し合ったらどうだということだと思います。
 何かほかに御意見はありますか。
○大平委員 関連するんですけれども、今の林委員ですとか、それから小山委員のお話のように、ある程度、国の国内自給を達成する、ある面、国策みたいなところがあって、それを実現するとしたら、やはり企業のいろいろな考え方というのはあるかもしれませんけれども、そこはかなり国としてもいろいろな手当をしながら、連合体とか、合併までいかなくても、そういったもので少し日本の血漿分画製剤のいろいろなシェアをきちんと確保していく、対海外勢力といったらおかしいですけれども、そういったものに対して対抗できるようなある程度の力をつくっていくということは、安定供給の問題ですとか、それからリスク管理の問題として大変重要ではないかと思うんです。
 今のままですと、本当に小さな規模で幾つかの会社がそれぞれの努力の中で埋もれていくような感じがして、大変危惧は感じています。
 そういった面も、やはり今回直面している問題としては、そこは大胆に踏み込んでもいいんではないかと個人的には考えています。
○溝口座長 三村委員、どうぞ。
○三村委員 先ほど盤石ではないという言葉を言ってしまいましたので、その点について少しだけ付け加えておきたいんですが、制度上、仕組み上とか、法律上が問題ということではなくて、今、大平委員がおっしゃいましたように、やはり企業経営として、これを行っているところがありますから、事業としては健全性とか、持続性とかというところについて、やはりそれについてある程度の見直しとか、手当ということが必要ではないかと考えています。そういう意味での盤石ではないという意味でありますので、私も大平委員の考え方に賛成でございます。
○溝口座長 どうもありがとうございます。どうぞ、小幡委員。
○小幡委員 先ほどの生産スケールによる差異の30万リットルという国内製造の部分は、これは4社の総合ですか。
○秋山需給専門官 これは、各社の平均という意味です。1社当たりがこれくらいという意味です。
○小幡委員 そうすると、まとまるとどの位ですか。
○秋山需給専門官 全体の量としては、先ほど小山委員がおっしゃったとおり、資料5の方が処理量としての比較としては、このグラフが適切ではないかと思われます。
○溝口座長 これでもかなり違いますね。小幡委員、何かほかに。
○小幡委員 そうすると、100万リットルというのもあちらの方の平均ですか。
○秋山需給専門官 そうでございます。
○小幡委員 それでも多少は効率的になり得るだろうということは言えるわけですね。
○秋山需給専門官 つまり、30万リットル4つあるのが、足せば120万でありますと、そういう理屈でございますね。そのとおりでございます。
○溝口座長 花井委員、どうぞ。
○花井委員 ずっと議論していて、方法はおおざっぱには2つしかなくて、国策として税金を入れて助けるか、統廃合的なところを助けるかという方法、雑に言えばですよ。そのときに、1つは、さっきヨーロッパの調査をしていただけると言っていたんですけれども、例えば食料自給なんていうことも、フランスみたいに自給を達成している国とか、EUというのは、EU域内圏と、それから自国の利益とうまいこと使い分けて、各国がいろんな戦略、つまり政治的戦略で国内自給を達成しているという側面があると思うんです。そこのところの本当の実質的な国の戦略というのがないと、やはりこれは食料にせよ、血液にせよ難しいので、そこはそちらの本来仕事で、もし、経済原理で、今の制度を前提としますと、さっき言ったタンクですね。どうも各社も古いようで、そうすると、今、みんなでお金を出し合って大きなタンクを買いましょうという話になれば、普通に考えれば合理的なんですが、そういう統廃合というのは、かなり国が関与する場合も事業ではあるんだと思うんです。
 そういったことがないと、また、ある社だけが出し抜いて、小さい事業を展開すると、機を逸すると、どうも今のところみんなまだ古いままで、そろそろという感じではないかと思うので、やはりそのタイミングとして、もう日本に大きいタンクは1つでいいんじゃないかと、個人的には思ってしまうんですけれども、だれがそれをするんでしょうねということです。
○溝口座長 時間も大分過ぎましたので、まとめさせていただきますが、一応、血液事業というのは法律で決まっていますが、国がやる仕事なんですね。血液法ほど国が、国がと書いてある法律はないと感じております。そういうことがあってこういう会が持たれているんだと思いますが、やはりコストの問題にしても、経営の問題にしても、安全対策とか、そういう問題についても、国がかなり各社に任せないで、ある程度コミットしていく時期に来たんではないかという気がしています。
 今までの議論をまとめますと、コスト構造では大きく大平委員から御指摘がありましたように、原料血漿の確保までのコストと、その後の製剤をつくるまでのコスト、2つに分けて検討する必要がある。それは、各社の状況の意見をちょっと聞かないとわかりません。
 それから、国内企業と海外企業との大きな差につきましては、やはり原料血漿確保の手法に何かコストの違いがあるんではないか。その後の製造コストの差による価格差を埋めるにはどうしたらいいか、益子委員のおっしゃったように、国内企業の基盤強化あるいはその制度、効率の向上の方策を考える時期に来ているのではないか。それは、やはりかなり国の事業ですから、各社に任せず、国がある程度の方向を示す必要があるんではないかと考えています。
 今回の資料とアルブミン及び免疫グロブリンの適用状況や使用実態、コストにかかる国際比較につきましては、ある程度事実をお示しいただいたわけですが、やはり細かいところはちょっとわからないところがありますので、今後、是非御了解いただければ、各社のヒアリングをさせていただきたいというふうに思っています。
 特にそこでは、原料血漿確保にかかる費用とか、あるいは方法、あるいは製造段階以降にかかる部分、それらの実態やコストの構造について今後お願いしたいと思います。
 それでは、山口参考人が御到着ですので、特に海外との製品と国内の製品の安全性の差異についての御意見を伺いたいと思います。
 よろしくお願いします。
○難波江課長補佐 それでは、お手元の資料6-1、A3判の資料から御説明させていただきます。
 こちらは、我が国で使用されておりますアルブミン製剤の添付文書にございます採血国、採血区分、それから基本的注意事項の感染症にかかる部分を抜粋したものでございます。
 採血国、日本、米国、ドイツ、オーストリアがございます。
 採血の区分としては、献血、非献血がございます。
 基本的注意事項の内容でございますが、生物由来原料基準で定められておりますB型肝炎、C型肝炎HIV、このNAT検査は、いずれも当然のことながら行われておりまして、そのほか、国内血ではHTLV-1やALTの検査、またパルボウイルスの抗原検査またはNATか、また、メーカーによってはHEVの検査が行われております。
 海外血では、先ほどの3つに加えて、パルボ、それからHAVのNATが実施されているので、若干の違いはございますが、全体として、その内容に大きな違いはないものとなっております。
 続きまして、資料6-2、1枚紙でございますが、これは平成9年から20年までの疑い事例も含めました血漿分画製剤にかかる感染症の副作用報告をまとめたものでございます。
 最終的に製剤による感染の可能性が高いと疑われたものとしては、平成13年のパルボB19、一番右ですけれども、輸入血で陽性となっている。そういった1例がございましたが、そのほか、HBV、HCV、HIVについて、最終的に因果関係は濃厚となった事例はございませんでした。
 続きまして、資料6-3、丸いものが4つ付いている資料でございますが、これは血漿分画製剤での非感染症の副作用報告の平成20年のものをまとめたものでございます。
 上の丸2つが、血漿分画製剤全体の副作用報告を国内血と海外血で分けたものでございまして、平成20年、国内血由来で117件、海外血由来で25件となっておりますのは、分母が異なりますので、率で見ますと、その下にございます、0.0032%と0.0017%と、けたが違うような違いは見られていないというものでございます。
 そのうち、アルブミン製剤だけを抜き出したものが下でございまして、国内血由来で平成20年8件、輸入血由来で10件、率で見ますと、0.0004%と0.0009%、こちらもけたが違うような違いは見られていないという状況でございます。
 資料6-4につきましては、山口先生より御説明いただければと思います。
○溝口座長 お願いいたします。
○山口参考人 資料6-4をお手元にいただきまして説明させていただきます。
 主に、私がちょっと述べさせていただきますのは、有償血漿と献血血漿のリスクの差異について文献的に調べた点でございます。
 最初に論文がございますけれども、これは、アメリカの会計検査院の報告書の中に出てきているものでございまして、有償血漿と献血血漿のリスクについて調べたものでございます。
 ただし、この前提となりますのが、これが報告されましたのが1998年で、向こうでも核酸増幅検査が行われていない時点での報告書になります。
 その時点での報告としまして、有償血漿のリスクに関しましては、60日間の貯留保管対策を行っていても、献血ドナーに比べてリスクが1.5倍高い、そういうふうな結論になっています。
 ただし、その中で不活化技術の進歩によって、特に重要なHIV、HBV、HCV等のエンベロープウイルスについては、事実上、不活化除去されておることから、安全性は十分担保されているんではないかということ。
 そして、不活化工程におけるHAVやパルボウイルス等のノンエンベロープについての効果が限定的ではないかという結論になっております。
 この中の論文で、今、1.5倍と申しましたけれども、HCVとHIVについては、ほとんど差はございませんでした。HBVについては、トータル1.5倍ではなくて2倍、トータル合わせて1.5倍のリスクの高さが示されております。
 その中のメインのリスクに関しましては、血漿が、このときはNATが導入されておりませんので、血漿学的な検査におけるウィンドウ期の問題がございまして、60日間のインベントリーホールドでもウィンドウ期が入ってくる可能性がある。したがって、その部分のリスクが高い。
 この報告書の中でも述べられているんですけれども、NAT検査によって、よりそのウィンドウ期が縮まってきた場合には有意差がなくなってくるだろうという結論になっております。
 その点に関連しましては、2番の方の論文ですけれども、これについても、有償血漿と献血血漿の差について述べられておりまして、このときにも、昔に比べて有償血漿のリスクが非常に低くなってきているということが述べられております。
 一方、有償血漿の場合には、大きなリスクの要因としてあるのが、ファーストドナーのリスクが非常に高い。その点につきましては、例えば3番の論文でありますように、有償血漿をクリプションする場所が特定の地域にあるために、その部分でのリスクのドナーが高いのではないか。これは、1番の論文でも述べられておりまして、ファーストドナーだけに限れば、非常にリスクは高いということになっております。
 そのために、インベントリーホールドで、ファースト血漿で採取したものはすぐには使用しないで、2回目ネガティブであれば、そのときにはウィンドウ期ではないだろうから使用すると、そういうことを対策を取られているために、先ほど言ったような数値になっているということになっております。
 そのような安全対策をより、例えばインベントリーホールドを取ることによって、例えば4番と5番の論文でございますけれども、ドイツでも有償血漿が割と大きな血漿採取案として取られているわけですけれども、さまざまな安全対策を取ることによって、有償血漿であってもリスクは同等あるいは数値的に見れば、むしろ低いというように見えるケースもあるということになっております。
 これが、その論文から得られた情報でございます。ただし、先ほどから少し議論を聞かせていただきましたけれども、アルブミンもそうですけれども、今の工程管理で日米欧ともどれだけクリアランスが必要かと、その一定の基準は出しておりまして、その基準に達すれば、例えば10の6条のウイルスが混入してきても、そのマージンが十分10の3乗以上あるという安全マージンを取っておりますので、そういう意味では、先ほど言いましたエンベロープウイルスに関して言えば、非常に安全性は担保されているだろう。
 ただし、検査をされていないウイルスに関しては、ひょっとしたらハイリスクグループの問題は出てくるかもしれませんけれども、これについては文献的にも具体的な答えはない。ただし、検査をされていないということに関しては、先ほどの会計検査院の報告書には、そのリスクについては少し述べられております。
 以上でございます。
○溝口座長 どうもありがとうございました。山口先生のお話、有償献血の場合の方が、かつては感染の危険が高かったけれども、最近の検査、PCRなどの導入あるいは不活化除去の方法の進展によって、その差は余りはっきりしなくなった。結果としては、海外の製品と国内の製品、特に血漿分画製剤、その感染性の安全性に関しては大きな差がはっきりしなくなったということであります。
 ただ、私は、この前も申し上げましたけれども、アルブミンの安全性につきましては、感染性の副作用は著しく改善されているけれども、むしろコクランペーパーとか、政府スタディーでは、コクランペーパーでは重症患者に投与すると予後を悪くするとか、政府スタディーの最近のでも、頭部外傷の患者に投与すると、寿命が縮まるという論文があります。
 ただ、益子委員の話では、これに対する反論の論文もいろいろあるということでありますが、アメリカのFDAは、きちんとそういうものを踏まえた見解を発表しているようであります。ただ、日本では、まだ、その辺がはっきりしていませんので、この会でそれを議論するのは、なかなか難しゅうございますので、今後は、やはり是非安全技術調査会あるいは適正使用調査会、あるいはPMDAの安全部もありますから、そこら辺をやはりきちんと検討していただいて、見解を発表していただければと、私は考えております。
 また、それに基づいて添付文書を変える必要があるのかどうか。あるいはインフォームド・コンセントですね。特にアルブミンに特化したインフォームド・コンセントは必要ではないかと考えていますが、そういうものの策定は、つい最近、日本輸血細胞治療学会が血漿分画製剤に関するインフォームド・コンセントの案を出していましたけれども、全製剤をまとめて出していました。
 それで、グロブリンの大量療法とか、第VIII因子の血友病の患者さんに使う場合などは、全く違うインフォームド・コンセントが必要なわけでありますので、是非、今、問題になっているアルブミンのインフォームド・コンセントの策定が私は必要ではないかと考えます。その内容も、今、申し上げたいろいろな調査会あるいはPMDAの安全部の見解に基づいたものを是非出していただければと考えております。
 それでは、時間もあと15分残っていたんですが、何か御意見ございますか。
 どうぞ。
○益子委員 企業の体質強化とか、大きな問題は、当然中長期的な課題としてはあるんだろうと思いますけれども、今、座長が最初にお話しされたように、今、自給率がやはり下がってしまっていて、国内の非常に尊い献血が使われていないと、これが問題だというのが、やはり何とかしなければならない喫緊の課題だと思うんです。
 それを考えますと、そこの自給率を上げるのはどうすればいいかということを考えたときには、やはりDPCというのが最初にあって、こういう事態が起きているわけですから、それは血漿分画製剤をDPCから外すか、あるいは資料4-2にあります血液製剤の薬価改定に関する通知であります最後の4ページにありますように、輸血用製剤と分画製剤の価格の改定を行って、原料血漿の価格を落としていく、血液製剤、濃厚赤血球ですとか、FFPの価格に少し添加するということを、これを政策的に幾らでもできるわけですから、そのどちらかしかないと思います。
○溝口座長 今の血液事業全体のコスト配分につきましては、4月以降に議論をさせていただきたいと思います。
 やはり血液事業は国全体ですし、私、昭和39年に献血が始まったわけですが、ちょうど医師になったときで、ライシャワー大使が刺されて、日本人の血液を輸血したら肝炎になったということがきっかけで献血事業が始まったわけでありますが、これで46年、非常にすばらしい制度を日本はつくったと思っています。その献血された血液が有効に使われて、安全な血液が安定供給されるという時代がずっと続くことを期待しているものであります。
 一応、以上で本日の議事は大体終わったんですが、事務局何かございますか。
 前野委員、どうぞ。
○前野委員 まだ時間があるということなので、一言、素朴の疑問をお聞きしたいと思います。
 資料1-1を見ると、アルブミン製剤と免疫グロブリン製剤における日欧米各国の使用実態が余りにも懸け離れている。一時期、日本では世界の3分の1ものアルブミン製剤を使っていて、国際的非難を受けた。それが今、大分減少しておりますが、まだまだ英国、ドイツの2倍使用している。アメリカ、フランスでは、アルブミン製剤と免疫グロブリン製剤とも急増している。このてんでんばらばらな実態はどういうことでしょうか。その背景にビジネス力が関係しているのかな、と素朴な見方をしてしまいます。医療の中で、血漿製剤の使用適正という面を考えるうえで、日本の血漿製剤の使用方法を海外と比べた実態をもう少し分かりやすく知りたいと思います。
○溝口座長 どうもありがとうございました。事務局、御意見はありますか。
 どうぞ。
○秋山需給専門官 今の御指摘の点でございますけれども、アルブミンの使用実態、我が国で非常に多かった時期というのは、1980年代前半でございまして、そこから適正使用の推進策を進めてまいりまして、ここで相当減ってまいりました。まだ、その余地があるのではないかという議論が、これは適正使用調査会の方でなされております。
 最近、全体の使用量としては、下げ止まったところもございます。実は、人口構造の変化とか、そういった要因で需要が高まっている部分と、輸血用もそうでございますが、若干そういう要素が入ってきている可能性がある。ただ、1980年代と比べれば、相当下がったということが言えます。
 それで、1,000人当たりで見ますと、まだ、ヨーロッパ、欧米に比べると高い、これは事実でございますので、ここは今後も適正使用をまだまだ進める余地があるのだと。
 それで、適正使用調査会の中の議事を紹介しますと、各県別に1床当たりの使用量を見ますと、やはり数倍の開きがまだあるということですので、逆に言えば、そこはまだ改善ができるのではないか。ここはさまざまな取組みで、今後も適正使用ということに努めていきたいと考えております。
 それから、アメリカが増えた状況、ここはちょっと資料を持ち合わせておりませんので、確たるお答えができませんが、できる限り状況については把握をしたいと考えております。
○溝口座長 よろしいですか。ほかになければ、これからの予定を事務局の方からお願いできますか。
○安田血液対策企画官 それでは、今後の予定について、事務局の方から御説明させていただきます。
 次回の検討会は、2月7日月曜日の17時からとなっております。少し遅い時間で申し訳ございませんが、この時間帯が一番皆様方、先生方のお時間が一番合うときでございましたので、17時からとなっております。よろしくお願いいたします。
 それから、今日の先生方の御議論の結果、企業の方から状況を聞いた方が、ヒアリングをした方がよろしいだろうということもございますので、次回の検討会におきましては、国内企業4社、外資系企業4社、それから欧米の血漿タンパク製剤協会PPTAを招きまして、血漿分画事業にかかるコスト構造等に関してヒアリングを行いたいと思っております。
 聴取事項につきましては、これまでの御意見等を踏まえまして、事務局で整理いたした上で、事前にお示ししたいと思っております。
 それから、次回の検討会におきましては、このヒアリング項目につきましては、かなり各事業所の営業秘密に関わる事項が含まれる可能性があると考えておりますので、次回につきましては、非公開、非公表という形で考えております。あと、細かいところ、次回、次々回の予定開催場所等につきましては、追って事務局の方から御連絡させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○溝口座長 どうもありがとうございました。それでは、本日の検討会を終了させていただきます。
 本当に、どうも御協力ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医薬食品局血液対策課

03(5253)1111内線(2905、2917)

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