ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会)> 第3回児童部会ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会 議事録(2013年6月25日)




2013年6月25日 第3回児童部会ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会 議事録

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成25年6月25日15:00~17:00


○場所

厚生労働省(中央合同庁舎第5号館)9階 省議室


○出席者

委員

小杉委員長 (労働政策研究・研修機構特任フェロー)
海野委員 (全国母子寡婦福祉団体協議会理事)
大塩委員 (全国母子生活支援施設協議会会長)
兼子委員 (浜松市こども家庭部長)
島崎委員 (政策研究大学院大学教授)
新保委員 (神奈川県立保健福祉大学教授)
杉澤委員 (山形県子育て推進部子ども家庭課長)
中田委員 (全国母子自立支援員連絡協議会会長)
三木委員 (戸田市こども青少年部長)

参加人

新川参加人 (NPO法人WINK理事)
赤石参加人 (NPO法人しんぐるまざあずふぉーらむ理事長)
片山参加人 (NPO法人全国父子家庭支援連絡会代表理事)
佐藤参加人 (ハンドインハンドの会主任研究員)

事務局

石井雇用均等・児童家庭局長
鈴木大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭担当)
定塚雇用均等・児童家庭局総務課長
小野家庭福祉課長
高松家庭福祉課母子家庭等自立支援推進官
度会家庭福祉課課長補佐

○議題

ひとり親家庭への支援施策の在り方について
(委員からのプレゼンテーション等)

○配布資料

資料1 海野委員提出資料
資料2 大塩委員提出資料
資料3 中田委員提出資料
資料4 前回までの指摘事項等について

○議事

○小野家庭福祉課長
 定刻より若干早いのですが、皆さまおそろいでございますので、ただ今から「第3回ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会」を開催いたします。
 本日は、委員9名全員のご出席をいただいております。委員の皆さまには、お忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 それでは、議事に移りたいと思います。委員長、よろしくお願いいたします。

○小杉委員長
 はじめに、お手元の資料についての確認を事務局よりお願いします。

○小野家庭福祉課長
 それでは、配布資料の確認をさせていただきます。まず、議事次第。それから、資料1、資料2、資料3は、いずれもプレゼンテーションの資料となっております。資料4としまして「前回までの指摘事項等について」というものがあり、さらに机上配布として一枚物の資料をお配りしているところでございます。資料の欠落などがございましたら、お申し出いただければと思います。

○小杉委員長
 よろしいでしょうか。次に、参加人の参加についてお諮りします。本日は、NPO法人ウインクから新川てるえ理事、NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむから赤石千衣子理事長、NPO法人全国父子家庭支援連絡会から片山知行 代表理事、ハンド・イン・ハンドの会から佐藤俊恵 主任研究員の参加を求めますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○小杉委員長
 ありがとうございます。
 次に、本日の進め方ですが、本日は海野委員、大塩委員、中田委員からプレゼンテーションをお願いしておりますので、それぞれ20分程度で発表していただき、その後10分以内でそれぞれの発表について質疑応答の時間としたいと思います。その後、プレゼンテーションの内容を踏まえて、ひとり親家庭への支援施策の方向性について意見交換の時間としたいと思います。最後の10分程度で、前回までの会議において、委員・参加人から指摘のあった事項などについて、事務局で準備した資料4について説明を聴取し、事実関係について質疑応答をしたいと思います。これらの資料についての実質的な議論は、後日の議論の中でお願いしたいと思います。
 では早速、各委員からプレゼンテーションをお願いします。最初に、海野委員から。よろしくお願いします。

○海野委員
 一般財団法人全国母子寡婦福祉団体協議会と申します。「ひとり親家庭等への支援の取組状況と課題」について、発表させていただきます。まず、2ページ目です。全国の組織として56団体。県単位と政令市・中核市では独立して会を設けることができるという仕組みになっております。「各団体における支援事業の取組状況」につきましては、母子家庭等就業・自立支援センターを42団体、母子家庭等就業支援講習会を38団体、母子家庭等日常生活支援事業を37団体、自立支援プログラム策定事業を22団体、在宅就業支援事業を6団体、その他に養育費等法律相談・清掃事業(雇用促進・就労対策)・ホームフレンド事業等を平成15年より地域組織の多くは母子家庭の母の就業による自立促進を図るため、地方自治体より就業等・自立支援センター事業を受託し、地方自治体・ハローワーク等と連携し就業自立に向けて積極的な支援を開始いたしております。
 私が川崎ですので、川崎市のいろいろな統計表を出しております。4ページのひとり親家庭等の世帯数の推移、児童扶養手当受給者数の推移、離婚件数と離婚率の推移、生活保護受給母子世帯数の推移ということで、このように変化しているのをグラフでご覧いただければ分かると思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 5ページの「ひとり親家庭等相談件数の推移」につきまして、内容的には生活一般、児童のこと、生活援護、その他となっておりますが、一番比率が大きいのがどの年も生活援護ということになっております。数値は後でご覧いただければ分かると思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 6ページの「川崎市母子寡婦福祉協議会の取組状況」に関して、川崎市母子寡婦福祉協議会会員組織のつくし会及び母子部並びに9地区の福祉会が連携し、活動しております。生活相談・就業相談・法律相談とともに自立に向けたプログラム策定から技能習得・向上のための研修や職業紹介まで、一体的・効率的な就業・自立支援事業を展開しております。
 受託事業としては(1)就業・自立支援センター事業、(2)自立支援プログラム策定事業、(3)日常生活支援事業、(4)相談事業があります。内容に関しましては、時間の関係で端折らせていただきますので後ほどご覧ください。
 自主事業としては(1)地域間交流促進事業。悩みの相談とか生活において母と子の絆を深めるため親子の交流会・映画鑑賞会・バスレク等の事業を自主事業で展開しております。(2)教育講座事業では、母子及び寡婦を対象にした書道教室・フラワーアレンジメント・絵手紙その他いろいろな自主事業をやっております。習字に関しては10年ほど前までは就職につながったのでやっていたのですけれども、昨今はパソコンで習字の字体ができるようになって就業には結びつかないという実態があり、今は書道教室は衰退しております。(3)広報事業では当会及びサン・ライヴ、就業自立支援センター、無料職業紹介所等を紹介する機関誌を発行しております。(4)研修事業では各種研修会等の実施。後で統計表が出てきますけれど、パソコン等いろいろな講習をやっております。(5)子育て支援事業は、日曜日保育と申します自主事業で、これは今までの日常生活支援事業ですと利用がなければ預けられないのですが、理由が何もなくても構いません。第1・第3・第5日曜日は母子福祉センターを開設しておりますので、そのときにお子さんを預かって母親のリフレッシュ休暇にしていただく。月曜日から頑張って働いていただけるようにリフレッシュ休暇としてお預かりしておりますが、食事・おやつ等は持参していただく方式になっております。出せないわけではないのですが、アレルギー等いろいろな問題が起きていますので、食べ物に関しては作って持ってきていただく方式になっております。母子家庭等が地域において孤立することのないよう、きめ細かな支援活動を展開しております。先ほどのバスレク等は一般の母子にも声かけして、会員でなくてもお誘いして、今年は11月に市政だよりに載せていただいて、大々的にバス4台を借り切って自主事業として行う予定です。
 8ページは「母子家庭等就業・自立支援センター利用状況」です。就業支援・就職形態・就業相談はグラフにしておりますけれども、講習会等はたくさんやっておりますのでグラフにすると複雑になってきますので表でご覧いただければと思います。私どもでは、ただ簿記やパソコンをやるということだけではなくて、簿記もパソコンも級を取っていただいて、会計ソフトを持ち込んで会計や総務的な仕事も継続してできるように社会保険関係の全て一貫してやっております。そのためにパソコン講座で経理等を受けた方は配置の部分でいろいろ工夫していただけるということで、就業は喜ばれるようでございます。ただ経理ができるだけでは、これからは就業に結びつかないというのが現状だと思います。
 10ページの「ひとり親家庭等相談事業利用状況」です。件数・利用人数・相談内容についてはグラフをご覧いただければ分かりますように、大体内容的には一貫しているのですけれども、やはり「子育て・生活相談」、それから「その他」となっておりますのは、ひとり親家庭でなくても、これから離婚する離婚相談等も受けておりますので「ひとり親」という決め方はしておりません。必ず「ひとり親家庭等」という形で、皆さんが離婚しなくてもよければしなくてよいような指導方法とか、そういうことを考えながら弁護士さんに支援していただいております。
 11ページは「日常生活支援事業利用状況」です。昔は利用者のお宅へ行ったのですけれども、最近は支援者のお宅へ来ていただく数値が高くなっております。私ども川崎市ではエンゼル・パートナーといっているのですが、支援する方が自宅へ連れてくれば自宅のこともできるから。支援者宅へ行くと、家庭の状況が、やはり自分のところができないので自分の家庭が少しもめるようなことがありましたので、できるだけ支援者宅へ連れて行って面倒を見させていただくというのが日常生活支援状況です。日常生活支援状況で見ていただきますと、川崎市の場合は少し多いのですけれども、戸田市さんは年に1件とか3件という報告でしたが、私ども川崎市は状況が違います。利用状況が全く違うのです。相談件数もそうですし、利用状況も全く違いますので生活支援状況も絶対数が全く予算では足りなくて、追加予算をいただくような現状が度々出てくるような状況です。
 12ページの「母子福祉団体による支援の課題」として、新しい事業の創設についてです。「地方自治体におけるひとり親家庭等雇用促進事業」として、地方自治体におけるひとり親家庭等の雇用促進を図る目的で、国がひとり親家庭等の雇用指針を示し、各自治体が指針に沿って雇用計画を策定していただきたい。無料職業紹介事業受託団体は当事業を利用し、自治体の雇用計画に沿って仲介・斡旋を行う。それから、無料職業紹介所の活性化。
 「ファミリーサポートセンター事業」では、日常生活支援事業では対象外の、恒常的に夜間勤務や休日出勤を行うひとり親家庭等の保育支援を目的とするファミリーサポートセンターと同様の形態の事業を創設する。
 「学習支援事業」では、貧困の連鎖を断ち切るためにも、平等な教育機会が与えられるよう、ひとり親家庭等の児童への学習支援の強化。学習支援は、市町村レベルあるいは民間レベルで実施推進されやすいのではないかと考える。
 「子育て総合支援モデル事業(児童家庭包括支援センター)」では、親(就労者)と子どもを同じセンターで支援することにより、子育て世帯の総合支援を図る。
 14ページは「ひとり親家庭等への今後の支援について」です。ひとり親家庭等の経済的安定、並びに将来の生活安定のためには自立が必要。正規雇用促進策の拡充。就労自立に向け優先雇用の充実等、安定就労できる支援体制の確立。
 「課題」としまして、1「環境整備」、ひとり親家庭に限らず子育て支援全体を通し、雇用促進を図るためには企業が育児中の女性の受け入れに関し、育児者を理解する知識者が不在であると思われる。企業に育児者を理解する仕組みを整備することが必要と考える。
 2「支援施策情報の周知」、ひとり親家庭となったときの届け時に、自治体から支援情報を取得するが、仕事と家事・子育てをしながらの相談となり、具体的な相談をする余裕がなく窓口での個別支援に差が生じているということで、インターネット、メルマガ、携帯メールなど双方向通信により支援する仕組みの構築。平日就業(8時~17時)が多いことから、窓口相談時間延長を検討。福祉リーフレットは簡潔で平易な言葉を使用する分かりやすいものにする。
 3「就業支援」、いかなる雇用情勢においても、子育て世帯が安定した就労ができる環境の整備と社会全体の理解と支援が必要。企業内保育所の推進。企業に保育施設運営費(保育士雇用助成)を助成し、就業促進を図る。
 4「子育て生活支援」、学習支援。ひとり親家庭等の子どもは、生活を支えるために中卒あるいは高卒で就職し、勉強したくても大学進学等を諦めざるを得ないケースが多く、親の所得格差が子どもの教育格差に直結しているのが現状です。学習支援策の拡充を。子どもが学習に向かうことで他人との接遇が生まれ、親は活力を養う機会が得られる。
 5「養育費確保支援」、養育費の履行確保に向け、養育費の支払いに対し法的義務を課すことのできる制度の制定。養育費の徴収・交付を国及び自治体で行う。
 6「経済的支援」として(1)児童扶養手当制度、児童扶養手当の受給対象から外れると、母子医療助成・就学援助等の付随する制度が全て適用がなくなり、経済的負担が増大し、生活に不安が生じるということで、就業収入で自立した生活ができるようになるまでの段階的支援策の検討。他の福祉制度にも共通するが、受給世帯でなくなったときの費用を試算し、その費用負担が解消できる就業収入に達するまで受けることができる制度の確立。ひとり親家庭等は児童扶養手当に頼らず、就労により得た収入で安定・安心して生活を送ることを望んでいる。(2)母子寡婦貸付金制度、全ての子育て世帯に共通することであるが、大学等進学において、希望する大学等の進学資金が現行の修学資金貸付金で不足する場合、他の福祉貸付金との併用利用を可能とする。これに関しては、一般の世帯も低所得の若い人が増えてきているので、一般の全ての子どもが幸せになるための貸付金制度をお願いしたいと思います。離婚直後の経済的支援、離婚直後の支援において、母子生活支援施設・、DVシェルターでは対応が困難であり、また、他の福祉貸付金の住宅入居資金は諸条件により住宅資金の貸し付けが受けられないため、児童扶養手当・児童手当等支給までの生活・住宅借用のつなぎ資金の創設。
 7「寡婦への支援」、少子高齢化等社会情勢の変化による諸問題として、子どもの進学のための奨学金等償還により経済的基盤が悪化する。年金の受取額が僅少、不安定就労による社会保険適用除外になるため、寡婦は地域社会において若いひとり親家庭の精神的な支えとなる存在となっている。寡婦が経済的に疲弊することのない支援する仕組みが必要とされている。私どもも資金調達は全て寡婦の方がいろいろな事業資金の調達と自動販売機の設置等も、建物が建つと「ここに入れていただけませんか」と走り歩いて。寡婦の皆さんが走り歩いて、母子は仕事をして子育てしていただいて資金を調達するという仕組みになっておりますので、寡婦のこともいろいろ考えていただきたい。将来的な意味を考えながら、必ず「ひとり親家庭等」付けさせていただいております。ひとり親は、いずれ子育てが済むと、また寡婦なり一人になるので、その人たちが今は国民年金だけでは暮らしていけないような状況の中で、できるだけ生活保護を受けないで頑張っている人たちを支援していただけるような施策を考えていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。以上です。

○小杉委員長
 ありがとうございました。ただ今の海野委員のプレゼンテーションについて、質疑応答に移ります。なお、発言の際はマイクのスイッチを押して、発言が終わったら切るということを徹底してお願いいたします。それでは、ご質問等がございますでしょうか。

○大塩委員
 大塩でございます。海野委員のご発表の中で、18ページの二つ目のポツで「離婚直後の経済的支援」のところですが「離婚直後の支援においては母子生活支援施設・DVシェルターでは対応が困難であり」と書いてありますけれども、母子活支援施設にはDVシェルターの役割もありますが、離婚直後からの支援もしております。この表現については、どのようなことだったのかと思って、質問させていただきました。

○小杉委員長
 海野委員、お願いします。

○海野委員
 施設自体は受入体制ができていても、まだ本人がそこへ入る気持ちにならないということです。よろしくお願いします。

○大塩委員
 分かりました。

○小杉委員長
 他に、ございますか。参加人の方も、ございましたら、どうぞ。

○片山参加人(NPO法人全国父子家庭支援連絡会)
 全国父子家庭支援連絡会の片山と申します。よろしくお願いします。
 全国母子寡婦福祉団体協議会さんは各都道府県と政令市ですとか、東京都でしたら各区に組織があると思います。その名称が例えば「ひまわり会」などと若干変わってきているのですね。私どもがNPO法人の前身で任意団体として立ち上がったときは、2009年11月でしたけれども、そのころ、私は新潟ですので、新潟県の母子寡婦福祉団体協議会にご挨拶に行った際に、そのときは、県では事務局長さんが対応してくださって「うちは、父子家庭を支援していないんだよね」と言われてしまいました。その後、新潟市に行ったら、また違う組織ですけれども「うちは、父子家庭も一緒にバーベキューや料理教室も混じってやってますよ」と言われました。東京の一つの区で相談を受けたのが、代表の方がそうなのか周りの理事の方なのか分かりませんが、父子家庭を排除する動きがありまして、これは全国の上位団体というか協議会では各都道府県や自治体のところにある子団体・孫団体といったところの定款や規約は管理されていないのですか。

○海野委員
 県単位は、ある程度定款はきちんと作っておりますけれども、区に関しては任意団体なのです。任意団体で都道府県に登録していると思います。私どもは、そこはそれぞれの県にお任せするのですが、川崎市の場合は、今のところ父子家庭は入れていないのです。川崎市は若くて早くから父子家庭と合同でやった経験があるのですが、20年ほど前にちょっと事件が起きまして。一緒に行事をやって、父子家庭の方は結婚したかったわけですが、女性の方は結婚したくなかったのです。電話攻勢で家の前に来て待っている状況で、家へ帰れず私の家で預かったことがあるのです。そういう経験から、とりあえず「父子家庭の人と一緒に行動するのは、申し訳ないけれど」という人が出てきて。本当は力仕事のようなこともたくさんあるので手伝ってもらいたいのですが、現実にそういうことが起きてしまうと、とても一緒にはやれませんということなので。ですから、各県でそういう経験も踏まえて、そういうことになっているところもあると思います。そこのところはご理解いただきたいと思います。

○小杉委員長
 よろしいですか。

○片山参加人(NPO法人全国父子家庭支援連絡会)
 そうですね。新潟県では母子家庭の方でもDVや虐待によって逃げてきたとか、ひとり親になった方がいらっしゃって、ひとり親でも父子家庭は男性なので一緒に活動することはできないという見解でした。当時、私は立ち上げたばかりだったので面白くなかったのですけれども、今は理解しています。
 ということは、父子家庭のコミュニティというのが、日本全国本当に任意で、手弁当でやっているところばかりなので、これは何とかしていかなければいけないと思っております。

○海野委員
 やはり父子家庭は父子家庭で頑張っていただきたいと思います。30年近く前に厚生労働省でも指導して父子家庭の団体をつくろうという動きをしてくださったのです。お手伝いのことでいろいろなコミュニケーションをとったことがありました。でも、父子家庭は仕事、仕事でなかなか育たなかった。だから、これから頑張っていただきたい。よろしくお願いします。

○小杉委員長
 ありがとうございます。他に、ご質問・ご意見は。

○島崎委員
 極めて形式的な質問で申し訳ないのですけれども、全国母子寡婦福祉団体協議会というのは47都道府県全部にあるわけではないのですか。

○海野委員
 そうです。

○島崎委員
 ちなみに、なぜなのかということも教えていただけますか。それは他の福祉団体が代わりの役割を果たしているような形になっているのでしょうか。

○海野委員
 こういう体制を作っていくには、何事もいろいろな事業をやるにはお金が要るのです。そういう就業の機会があるような県ばかりではないということです。そういう事業がこなせないと駄目ということもありますし、公益法人に変わるときにそれだけの資金もないし、そこまでのいろいろな書類がとても大変だったので、それをクリアできなかったという事態がありましてこういうことになっております。何しろお金がなくても頑張ろうと、ほとんどの組織は頑張ってこれだけは守ってくださったというのが現実です。

○小杉委員長
 他の組織が代わってというのは。

○海野委員
 やっているということは、ほとんどないのです。

○島崎委員
 福島県がない。もう一つない県はどこですか。

○海野委員
 高知県です。今、いろいろな団体で活躍していただいているので、ないところでもハンド・イン・ハンドの会やウインクなどが活躍してくださっているので、そういう県は多分補えているのではないかと思っていますが、震災のときに援助したかったのですが、所在が分からない。こういう会に入っていると所在が分かるので現金を送れたのですが、福島県は解散した後で所在が分からなくて、残念ながら現金を送れなかったという実情がありますので、こういう団体に入って資金援助をしていくのもいろいろな義援金はあったのですが届くのが遅かった。私たちの組織は分かっているから、すぐに集まったものを順番に割り振りして送っていったので、「すぐにお金が使えたので助かりました」というお礼の言葉はいただいております。そういう点では会員さまにとってはよかったのではないかと思っています。

○小杉委員長
 ありがとうございました。もうお一方、手が挙がっています。赤石参加人。

○赤石参加人(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ)
 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石です。寡婦への支援ということと全国母子寡婦福祉団体協議会は寡婦の方が活動の中核を担ってくださっていて資金面でも中心になってやっていらっしゃるというお話をいただいて、日常生活支援事業なども寡婦の方がかなり登録されて支援者になっていらっしゃると思いますが、私どもが利用者からお聞きするのは、ピアというか仲間、同じ立場の方だから非常によく分かる面、それを支えていくという面と、どうしても若い母子家庭の母親の状況が変化していることに関して理解が進まなくてどうしても「昔はこうだった。あなたも頑張りなさい」と言われてしまうことで少しつらい気持ちになってしまうということもお聞きするのですが、そういった問題は、川崎市ではとても利用が多いので、どのようにご努力されているのでしょうか。

○海野委員
 私自身が川崎市をまとめてお受けしたのが、30年前から理事をやっているのですが、川崎市に引っ越してすぐでした。その前はこういう会があるのも知らずに引っ越してきて保育園を探すときにたまたまこういう会を知ったのですが、何しろ手さぐりで受けたので何も分からない人が分かるような仕組みということで私が作り上げてきました。その前の人は戦争未亡人が多かったので全く考えが違うのです。けれども、現在は離別が90%以上という現状なので考えを変えていかないと、昔の考えでは人はついてこないと思います。私もフルタイムで他の会社で働いていたので、総務部長職とすれば全ての従業員のことを対象にしてやるので、会にもそれを取り入れて委員会組織でやっていただいた。全部私が受けるのではなくて、いろいろな仕組みを作ってその仕組みを代表者に受けていただいて、その報告をいただくような仕組みでやっております。会社に似た組織の形でやっているので若い人たちも入ってきて、役員も今は50歳以下という人が半数です。理事も9人中5人が50歳以下ですし、昔はこうだったということは何もないのです。まだ作り上げている段階ですので、そういう閉鎖的な考えは持っておりません。でも、地方によってはそういうことが現状的にあるようなことは聞いたことがあります。でも、皆さまに考えを変えてください。時代は変わったのだということは常にアピールしていっていますので、そのことをご理解いただきたいと思っております。

○小杉委員長
 ありがとうございました。まだ、ございますでしょうが時間がございますので、続きまして、大塩委員からプレゼンテーションをお願いいたします。

○大塩委員
 それでは、失礼いたします。お手元の資料をご覧ください。「母子生活支援施設における支援について」お伝えしたいと思います。「はじめに」ですが、母子生活支援施設は、児童福祉法に規定されている施設です。児童福祉法第38条に規定されており「配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させて、これらの者を保護するとともに、これらの者の自立の促進のためにその生活を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする」と規定されています。これは平成9年に児童福祉法が改正され以前は「母子寮」という名称で、住む場所の提供と児童の健全育成が目的の施設でした、児童福祉法の改正に伴い、名称の変更と加えて自立の促進と生活支援、退所者への支援が追加されました。
 3ページは「母子生活支援施設の特徴」です。母子生活支援施設は母と子が共に生活しながら支援を受けることができる唯一の児童福祉施設です。母子生活支援施設は社会的養護施設の枠組みの中にありますが、母親と子どもが家族として生活する施設ですので、他の施設のように子どもだけ、障害者のある方だけ、あるいは高齢者の方だけが家族から離れて入所される施設とは異なります。施設利用の入り口は福祉事務所です。他の児童養護施設や乳児院等や他の社会的養護施設は全ての施設が児童相談所が入所の窓口ですが、母子生活支援施設は福祉事務所が窓口です。利用は契約になりますので母親が利用を申込む。そして、所得に応じて利用料を徴収されるという仕組みになっていますが、選べるほどの施設の数もなく、ここですよと言われる、そこに入所せざるを得ない状況です。利用料は措置費負担金という名称ですが、それが負担できるほどの所得を得ている母親は少ないです。利用料も2,200円・3,300円という所得に応じた金額で、非常にわずかなものです。DV被害者の方などは広域入所を行っています。
 4ページ目は、「母子生活支援施設の概要」です。(1)「施設数、定員世帯数」は平成23年度と平成24年度を比較しておりますが、施設総数は266施設と変わっておりませんが、稼働施設数が3施設減って255施設になっています。平成24年度には認可定員世帯数の合計が55世帯減になっています。実定員世帯数も受入世帯数も86世帯減になっています。このような状況は母子生活支援施設が今後どのように支援を展開していくかということにも大きく関わってきますので、後ほどお伝えしたいと思います。
 5ページの「施設数、入所世帯数」です。上のグラフの入所世帯数と施設数の推移ですが、246というのは全国母子生活支援施設協議会が実施しました実態調査に回答してくださった施設の数なので246施設になっております。入所世帯数は平成23年度は1,593世帯と減っています。入所世帯数は下のグラフをご覧ください。ここに公設公営施設と民設施設が分けてありますが、公設公営施設では平成9年度の入所世帯数を100とした場合現在は37.8%の入所率と減っていますが、民設民営施設では142.4%と増えております。ここも施設の今後を考えていく上で大きな問題点です。
 6ページは「母子生活支援施設の概要」の「職員体制」です。「必ず配置する職員」は、「職種」「人数等」をご覧ください。母子生活支援の世帯数の標準世帯数は20世帯ですが、20世帯の施設での職員配置の最低基準、今は「設備及び運営に関する基準」と変わりましたが、設備及び運営に関する基準によって配置する最低ラインの施設は7人です。この7人で24時間宿直勤務をしていくということは非常に大変なことです。その他に、「加算等により配置できる職員」は保育士・心理療法担当職員・個別対応職員です。ここで皆さまにお詫びですが、「退所後支援職員」・アフターケア担当の職員は措置費の中では設けられておりません。申し訳ございません。ここに書き込んでいますのは希望です。退所後の支援をしなければならないと法律上規定されているので、まだ措置費の中では入っていませんので希望で入れてしまっています。
 7ページの「職員体制」です。先ほど公設公営施設、民設民営施設と申し上げましたが、「職員数」をご覧ください。「1施設あたりの平均職員数」の方が分かりやすいので、下のグラフをご覧ください。一番下の◆は公設公営施設で、平均職員数は6.9人です。それに比べて一番上の▲は民設民営施設で13.0人の職員配置です。民設民営施設ではほとんどの加算職員を配置しているので、ここに公設施設と民設施設の職員数の差が6.1人もできおり、これが支援の格差にもつながってきているというのが現状がです。
 8ページは「母子生活支援施設の利用者の状況」です。「新規入所世帯の入所理由」ですが、平成23年度に入所された方の入所理由は「夫などの暴力」が55.5%、「住宅事情」が18.3%、「経済事情」が10.4%です。DV被害者の方が非常に多いのですが、次いで「住宅事情」も「経済事情」も多く、これは貧困対策です。次の9ページにつながりますが、9ページの棒グラフをご覧ください。「在所世帯の入所理由」を載せておりますが、8ページのグラフは利用者が福祉事務所で「入所したいです。母子生活支援施設に入所させてください。」とおっしゃったときの主訴ですが、9ページの入所理由は入所された後に利用者が抱えておられる生活困難な状況がこのグラフです。その中では「夫などの暴力」が50.1%、「経済事情」が41.0%、「住宅事情」も40.5%とDV被害も受けているし、経済的にも困っておられる。住宅にも困っておられる。さらに入所前の家庭環境の不適切が18.7%、児童虐待も16.6%という高い割合が出ていますので、利用者は多岐にわたる課題を抱えて入所されています。
 10ページは「広域利用の状況」です。DV被害に遭われた方などは管轄の母子生活支援施設への入所は困難ですので、管轄外への入所をされますけれども、この中では県外からの広域の受入れが19.3%と年々増加しておりますし、それに比例して管轄区域からの所轄する福祉事務所からの入所が46.1%と少しずつ減少している状況です。
 11ページの「児童虐待の状況」です。児童虐待を受けた子どもの人数は3,085人ですが、入所後に児童虐待を受けていたと明らかにされた子どもの人数は839人で合わせて3,924人・全体の68.4%に上る子どもたちが被虐待児です。
 12ページは「外国籍の母親の入所状況、入所理由」です。外国籍の母親は全体の11.9%入所しておられます。外国籍の方の入所理由は61.5%が「夫などの暴力」により、全体の暴力被害者のパーセンテージよりももっと高い割合です。
 13ページは、「障害のある母親の入所状況」です。全体で3,612人の母親が入所されていますが、その中の914人の方に何らかの障害があり、実に25%・4分の1の母親に何らかの障害がある、あるいはあるだろうということです。
 14ページは「障害のある子どもの入所状況」です。総数5,739人のうち、障害のある子どもは815人・14%の子どもたちに何らかの障害があります。この中では明らかになっておりませんが、母親に障害があり子どもにも障害があるという親子も入所されていますので、非常に密度の濃いケアが必要とされています。
 15ページは「入所している子どもの年齢、別居子の有無」です。子どもの年齢・就学状況は「0歳」の子どもが3.8%、「6歳以下」の子どもが42.7%、「小学生」が36.6%で約8割、79.3%が小学生以下であり、子育て支援が必要とされている世帯の入所が多いです。また中卒以上が7.0%あり、これは中卒以上ですから、高校に行っていない子どもたちでありこの子どもたちにも社会に出る前に自立していけるような支援が求められています。「他の児童福祉施設に入所中の別居子をもつ世帯がいる施設の割合」は33.3%。これは約3分の1の施設に他の社会的養護施設に別居子がいる世帯が入所しておられるということであり、入所している子ども以外にもさまざまな状況で別居せざるを得ない状況を抱えておられる世帯がかなりあります。
 16ページは「母親の就労状況、雇用形態」です。母親が働いている割合は64.7%です。64.7%は厚生労働省が実施されている全国母子世帯等調査より低い割合です。64.7%の方が就労しておられますが下の棒グラフですが「正規雇用」の方は14.2%しかありません。これも全国母子世帯等調査よりもかなり低い割合です。「非正規雇用」の方は85.4%と不安定な状況の中で働いておられます。
 17ページは「母親の収入」です。正規雇用の方でさえ10~15万円未満が58.5%、66.7%が15万円未満であり、正規雇用の方でも15万円未満が66.7%です。非正規雇用に至っては5~10万円未満が51.3%、10万円未満が62%という本当に過酷な賃金の中で生活をしておられます。
 18ページの就労していない理由は、「求職中」が37.9%「病気」が23.3%です。生活保護を受けておられる方は46.2%です。一部支給の方もこの中に含まれていますが、約半数の方が生活保護を受給しなければ生活できない状況です。
 19ページは「養育費の状況」です。養育費の受け取りをしておられる方は13.9%です、そのうち取り決め通り受け取っておられる方は55.6%とさらに低く、全体でいうと10%を切ってしまう。6~7%の方しか養育費を受け取っておられないという状況です。
 20ページは「母子生活支援施設における支援」です。「入所世帯への支援」の「母親への支援」は家庭生活支援、子育て支援、対人関係支援、就労支援。補完保育、家族関係への支援、DV被害からの回避・回復などの支援を行っております。「子どもへの支援」は放課後活動、学習支援、進学、就職支援、被虐待児、発達障害等の障害児個別支援を行っております。
 21ページの「退所世帯の支援」に関してですが、入所中には20ページに書いてあるような支援を行っておりますが、退所世帯へは退所前から退所先の関係機関との連携をとり、退所後も相談支援の継続をし、各種同行支援の継続、学童保育や学習支援、施設行事への招待などアフターケアも行っております。ただし、このアフターケアに関しては、職員は配置されておりません。「退所決定の理由」をご覧ください。ここで非常に気になるのは7.0%の方が「契約期間の満了」という理由です。これは入所当時から2年で退所しなさい、3年で退所してくださいと言われておられる方たちが契約期間が満了になったので退所しましたというのが7.0%もあるということです。課題は、まだ解決していないのに退所されたのではないか、退所後の地域での生活の中でまた非常に困難な課題を抱えながら生活をしていらっしゃるのではないかと心配します。
 22ページの「母子生活支援施設における支援」です。母子生活支援施設は地域の子育て支援も行うようにと法律上義務付けられておりますが、ショートステイ54施設、トワイライトステイ38施設、学童保育34施設、電話相談33施設と補助があるとか制度にのっているとか、いないとかに関わらずそれぞれの施設で努力しながら実施しているというのが実態ですが、まだまだ少数の施設しか地域支援をしていないというのが現状です。退所世帯の利用ですが、補助なし事業の利用割合が高いのはニーズに合せて柔軟に対応しているということです。
 23ページ「地域の子育て世帯への支援」が22ページで説明をしたデータです。実施施設や利用者などをここに載せておりますのでご覧ください。
 24ページは母子生活支援施設が行っている「DV被害世帯の緊急一時保護」事業です実施施設は162施設行っており、延べ受け入れ件数は平成23年度で918件です。
 25ページの「今後の課題」についてお伝えしたいと思います。先ほど公設公営施設、民設民営施設あるいは施設間の支援の格差が広がってきていると申し上げましたが、「社会的養護の課題と将来像」の中でも支援の格差が問題になっております。全国母子生活支援施設協議会では平成19年には倫理綱領を策定しておりますし、昨年度は運営指針を策定しました。第三者評価も受審するように義務付けられておりますので、自ら支援の質を向上しようと努力をしているところです。「職員体制の充実」ですが、世帯数に応じてきめ細やかな支援が行き届くような処遇職員の配置をしていかなければなりませんが、これは施設ができることではないので、制度の中で職員体制を充実していただいて、利用者へきめ細やかなケアが展開できるような要望をしているところです。「施設利用の拡大」ですが、広域利用が制限されているところ、あるいは世帯の状況に応じた入所期間が保証されず契約期間が満了になったので退所せざるを得ない状況があります。利用者はまだまだたくさんの課題を抱えているにもかかわらず退所に至ってしまうということが起こっています。実は母子生活支援施設は約半数の施設が暫定施設です。施設は利用者に利用してください、私たちは支援を提供したいのです、と門を開いているのですが。社会的に厳しい状況の中でひとり親世帯も増えている。DV被害も増えている。子どもの貧困も広がっているのに、母子生活支援施設が利用されない、活用されないということをとても憂いています。そのような中で、大阪の餓死事件、神奈川のDV被害者の傷害事件などが起こっているということに非常に胸が痛んでおります何とか母子生活支援施設を、もっと活用していただきたいということをお願いしたいと思います。最初の委員会でも申し上げましたが、各県に1施設しかない都道府県が7県もあります。そのような状況の中で、「今困っておられるひとり親を受け入れてください」といってもそこが満室になってしまったら受入れできないという状況です。これだけひとり親世帯が増えていて子育てが困難な状況にありますので、このような世帯に対して支援ができるような母子生活支援施設の施設数の整備と利用の拡大をお願いしたいと思っております。
 ここには書いておりませんが、児童扶養手当法についても一つ課題として挙げさせていただきたいのですが、子どもが18歳になって退所していきます。あるいは20歳になって退所していきます。そのときに実際に起こっていることですけれども、子どもが就職した場合に、その子どもの所得が世帯の所得に挙げられてしまって児童扶養手当が制限されてしまうということが実際に起こっています。利用者の所得自体は全然上がっていないのですが、子どもが働いたから児童扶養手当を受けられなくなってしまったということが退所世帯の中で起こってきています。子どもの所得はその子どもが自立していくためのお金であって、家族を扶養するためのものではないとので、その辺も今後のこの委員会の中で議論していただけたらと思って一つ提案させていただきました。以上で終わります。

○小杉委員長
 ありがとうございます。それでは、質疑に移りたいと思います。ご質問をお願いします。

○佐藤参加人(ハンド・イン・ハンドの会)
 ハンド・イン・ハンドの会の佐藤と申します。ありがとうございました。三つ質問がございます。まず、17ページの「母親の収入」ですけれども、正規雇用で10~15万円未満が60%以上に上るという話でしたが、この収入は税込なのかどうかという点が1点。
 21ページの退所理由ですが、契約期間の満了が2年あるいは3年という契約で、退所された母親のその後の状況をフォローされているのか。施設によってそれが異なるのかというところが1点。
 もう1点は、施設の場所です。実際に窓口に行って利用したいと言っても、この施設があまり便利なところにないので、就職を考えると「ここに住んでしまうと、かなり不利になりますよ」と窓口で言われる事例がございます。そういったケースが実際にあるのかどうか。もし、今後施設を増設するというのであれば、そういったところも考慮しなければいけないのでしょうけれど、この資料の中では全体のところなのでそういったところが実際にあるのかどうかというところも教えていただければと思います。以上の3点です。

○大塩委員
 まず1点目ですが、10~15万円は税込でこの額です。それから、21ページの契約期間の満了の場合のアフターケアはされているのかということですが、大体の施設がアフターケアをしております。しなければ地域での生活が難しいのですが、そこのところの支援に施設間格差が非常に大きいので、職員が少ないところはアフターケアまで回っていないということもあると思われます。
 3点目ですが、施設の場所が非常に不便な場所にあるというご指摘ですが、実際にそういうところもございます。地域についてはどうしようもないところですが、そこで「就職に不利になりますよ」という窓口の方のお言葉がとてもショックで、就職には不利になるかもしれませんが生活支援をしますので、子育て支援もしますし母親の生活支援もしておりますので、辺鄙なだけを取り上げない施設の活用をしていただきたいことと、今は施設が減っておりますが、今ある施設をフルに活用していただきたい。これ以上減らしたくない、できればもう少し増やしていただきたいというのが全国母子生活支援施設協議会の願いです。

○佐藤参加人(ハンド・イン・ハンドの会)
 ありがとうございます。

○小杉委員長
 他に。では、先に三木委員から。

○三木委員
 戸田市の三木です。一つお聞きしたいのですが、利用されていないという理由について幾つか。場所が不便なところにあるということですが、他に活用されない理由があるのかどうか。
 それから、戸田市にも一つ施設はあるのですが、昔というとおかしいのですが、前は住むところを確保したいというお問い合わせが結構あったのですが、今はどちらかというと個別の指導員の方が熱心なのはよいのですが、入所されてから24時間一緒のようなところがありまして人間関係が上手くいかない方が中にはいらっしゃるようです。退所に至ってしまうケースもありますので、そういった母親たちの移り変わりのようなものもあるのかどうかをお聞きしたいと思います。

○大塩委員
 施設が利用されない理由ですが、もっと大きな理由がございます。辺鄙なところ以前に老朽化している施設が非常に多いです。トイレやお風呂というパブリックスペースが共同のところがございますので、そうすると利用につながらないということがございます。老朽化している施設が建て替えに移ればよいのですが、そこが老朽化していて利用者が減っていくと、そのまま入所を絞っていって休止し、閉鎖に至っていくという、施設数の減少がその表れです。できましたら、老朽化している施設は建て替えていただいて、今のニーズに応えてもらいたいと思っています。
 施設の支援についてですが、おっしゃっているようなことが時々起こっています。そこで施設の支援を標準化するために運営指針を策定しました。どういう支援を展開しなければいけないのかということを全国どこの施設でも同じにしていくために運営指針を策定しておりますし、今年度は運営指針に基づいた手引書も作成することになっていますので、そういうことを基に支援の質の向上を図っていこうと思っているところです。

○赤石参加人(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ)
 ありがとうございます。入所者の特徴について16ページ・17ページにありますが、母親の学歴はどうなのかをお聞きしたいです。
 それから、運営指針の活用や倫理綱領はとても良いと思ったのですが、利用者の声が聞こえてきたときに、どうしても施設がとても古いことや指導が割と押しつけられるような感じがあって、少し居づらいという声も聞いたことがありますが、そういったこともここに取り込まれていらっしゃるのかということ。
 先ほど、退所した18歳以上になった子どもの所得によって児童扶養手当がということですが、これは大塩委員への質問かどうか分かりませんが、児童扶養手当の所得制限は親子合算ではないと思っていたのですが、合算で所得制限を超えたということでしょうか。それぞれの一番多い人が360万円を超えたということですか。そこを確認しておいた方が良いのではないかと思ったのでお願いします。

○小杉委員長
 最初の二つをまず答えていただいてから、事務局にお願いします。

○大塩委員
 学歴ですね。学歴は利用者に直接アンケートをした結果なのでデータが古いのですが、平成21年度、中卒の方が4分の1です。学歴は本当に低いです。
 それから、支援ですね。おっしゃるようなクレームも起こっておりますので、支援について人権を侵害しないようにきちんと利用者のニーズに合わせた支援を展開していくようにということで支援の標準化を図る努力を今、しているところです。

○小杉委員長
 では、事務局から。

○小野家庭福祉課長
 個別のケースに当たってみないと分からないのですが、もしかするといわゆる扶養義務者の所得制限の関係で子どもの方が混ざってしまっているのかもしれませんが、今伺った話だけですと具体的な当てはめが難しいので、もう少し詳しい事情を後で大塩委員に教えていただきながら、ご説明するようにしたいと思います。よろしくお願いします。

○小杉委員長
 では、後でお願いいたします。先に兼子委員、お願いします。

○兼子委員
 退所後のアフターケアというお話が出ましたが、実際にやっているところもあるということで具体的にどういう動きの中でやれているところがあるのか。具体例があったら教えていただきたいということ。
 もう1点は、退所後の連携体制というところで指針という話もありましたが、何かしらそういうものも盛り込まれているのかという2点をお願いします。

○大塩委員
 民設民営施設では退所後のアフターケアはほとんどやっています。しかし、民設民営施設は110余しかありません。民設民営施設は職員が11人、12人いますので退所後のアフターケアも行っております。アフターケアの形態は訪問する。相談があったら来所されて相談を受ける。電話相談を受ける。子どもたちの学童保育を受ける。子育て支援をする。病児保育をするという支援を行っている施設もたくさんあります。
 それから、アフターケアについて指針の中に盛り込まれているかというご質問ですが、それは盛り込んでいます。法律上アフターケアをしなければならないと義務付けられていますので、それは指針に盛り込んでおります。

○島崎委員
 質問と意見が多少混じるかもしれませんが、これぐらいの人数で施設を運営していくのは正直言って難しいように思います。民設民営でも公設民営でもよろしいのですけれども、大規模な法人がその一部として、つまり、他の施設も経営しながら母子生活支援施設も運営しているというのが多いのでしょうか。まず、事実関係の確認としてお伺いしたいと思います。
何を言いたいかというと、結局良いサービスが提供できないで施設も老朽化している。じり貧になっていく。一方で、一生懸命やっているところはそれなりのニーズもあってという状態になっているのでしょうけれども、私の意見も混じりますが、ひとり親家庭だけではなくて、もっと裾野の広いファミリーサポートセンターのようなものがあって、その中の一部として母子生活支援施設もあるという形を目指していくか、あるいは、児童福祉の関係施設が他にもいろいろあって、その中の一部として母子生活支援施設も経営していますという形でないと、なかなか展開していくのは難しいのではないかという気がいたします。その点はいかがでしょうか。

○大塩委員
 おっしゃるように、大きな法人が母子生活支援施設を運営しているという施設もあります。母子生活支援施設だけを運営している施設をデータで探せないので申し訳ありません。単独で母子生活支援施設を運営している施設、母子生活支援施設から高齢者施設など他の社会福祉施設が派生していった施設、大きな法人が母子生活支援施設も受けていった施設とさまざまな施設運営の形がありますというのが1点。
 また母子生活支援施設がファミリーサポートセンターの相談機能の中の一つの手段として使われる方が今後良いのではないかとおっしゃるご意見を承りました。今、全国母子生活支援施設協議会では今後の母子生活支援施設を地域のひとり親支援や利用者の方にも、どのように広げていくのかということで、ビジョンを策定しておりますので、一つのご意見として参考にさせていただきます。ありがとうございました。

○小杉委員長
 時間がきていますが、新保委員。

○新保委員
 話を伺っておりますと、母と子の自立ということを考えますと、法に規定されていたアフターケアを充実することがとても意味のあることのように感じます。ところが、教えていただいた現行制度からいいますと、その部分の職員が配置されていないという状態にあるということのようですね。先ほど海野委員のご説明もお伺いしていると、母と子の自立のためには就労、そして子ども自身の学習という面を考えなければいけない。そのように考えると、私が訪ねた幾つかの母子生活支援施設の周りには、退所された方が住んでおられて、母子生活支援施設の支援を受けながら就労や進学を目指していらっしゃる方がたくさんおられるように思います。この部分を充実することで法の目的をより強く達成できる。つまり、政策効果があるように感じるのですが、この辺りは実体験からいわれると、どういう状態に感じていらっしゃるのか教えていただけませんか。

○大塩委員
 実際に退所される方の多くは、施設の周りに退所されます。それは退所後も支援が受けられるということもですが、子どもが転校しなくてもよいということがありますので、施設の近くというか校区内に退所される方が多いです。ですから、きちんとアフターケアを提供していくと地域の中での生活が可能になりますので、ここはかなり充実させていかなければならないところだと思っております。

○小杉委員長
 ありがとうございました。申し訳ありませんが、次のプレゼンに移らせていただきます。では、中田委員よろしくお願いします。

○中田委員
 全国母子自立支援員連絡協議会の中田斉子です。毎日ひとり親家庭の相談支援に関わっている立場からの提言を行います。どうぞよろしくお願いします。
 ひとり親家庭への支援に関する提言は次の3点です。「母子自立支援員の体制強化」「必要な人が利用できる施策」「父子家庭への支援拡充」。
 まず、「母子自立支援員の体制強化」について、お話しします。母子自立支援員はひとり親家庭のあらゆる相談を総合的に受けています。そのうちの一部を例として挙げましたが、相談内容は人が社会で生きていく中で出会う全てのことに関わっています。また、ほとんどの相談者は問題を幾つも抱え混乱し悪循環に陥り、疲弊して窓口を訪れることが多いのです。泣いて言葉に詰まったり、どこから話せばよいのか混乱して支離滅裂に話し続ける相談者に向き合い、問題を整理し緊急性の順序を見極め、使える福祉制度を整理し、本人の納得できる方向性を見出すには幅広い知識と専門性、見識が必要とされます。
 「母子自立支援員の体制強化」のために必要なことの第一は1「研修の必要性」です。母子自立支援員が初回の相談面接で相談者の状況を把握し、ある程度支援の方向性を見極めるためには資質向上のための研修が欠かせません。ひとり親家庭の福祉制度や社会保障制度について知っておくことはもちろんですが、法律・臨床心理・医療・経済など幅広い知識がなければ相談に応じ関係機関につなぐことができません。また、それぞれの地区で地域のニーズに応じた研修を受けることも必要です。地区ブロック、全国規模の研修を受けることにより、偏りのない最新情報を得ることも必要です。また、研修会に出席することで知識だけではなくて、ネットワークを強化する必要もあります。ほとんどの母子自立支援員は各自治体の福祉部門に1人だけ配属されているものがほとんどです。担当者や上司は数年ごとに変わる一方、制度が変わり相談者は継続して何年も関わり続けることが多いので、対応に悩んでも職場で助言を得られることは難しい状況となっています。
 母子自立支援員の体制強化に必要とされる第二は2「安定した雇用の確保」です。母子自立支援員は自治体によっては単に窓口要員として配置され、相談支援に深く関われないもの、職員が業務の片手間に相談に乗っている自治体もあります。近年は県内研修ができなくなり県単位の協議会が解散に追いこまれ、地区ブロックから県協議会が脱退し、地区ブロックが全国協議会から脱退するという問題が顕著に見られるようになっています。研修会参加の旅費も認めず、窓口業務に当たっていればよいという自治体は母子自立支援員の専門性とひとり親家庭への自立支援の重要性を理解していないと思わざるを得ません。ひとり親の相談や自立支援は長期にわたることが多いので継続的に関わっていくためにも母子自立支援員には安定した雇用環境が必要であるということを自治体に強く指導していただくよう要望します。
 体制強化のための第三は3「事務の効率化」です。例えばひとり親を対象にした就業支援に母子自立支援プログラム策定があります。策定するメリットは相談者の課題、自立を阻害する要因を明らかにし支援方針を立てることができるので有効な事業ではありますが、作成には時間を要し、勤務形態によっては閉庁後に書類を作成せざるを得ない者もいて、大きな負担になっています。また、関係機関との連携が必要になる場合は、書類のやり取りに日数を要し、迅速な支援ができない状況です。相談者によってはその数日が待てないケースもあり、事業を利用できない場合もありますので改善が必要ではないかと思われます。
 ひとり親家庭の支援に関する二つ目の提言は「必要な人が利用できる施策」ということです。母子家庭等日常生活支援事業は急に家事や育児などの支援が必要になったときに家庭生活支援員を派遣する事業です。母子家庭の母親からの問い合わせが非常に多い事業ですが、十分機能していないところが多いようです。実施していない自治体もあり、また実施していても家庭生活支援員不足でニーズに応えられないなど利用したいときに利用できないことが課題になっています。この事業が有効に働けばひとり親家庭にとってとても心強い支援施策になると思われます。
 次の「保育所の優先入所」ですが、地域によっては入所させられないところもあるようです。待機児童解消はひとり親家庭に限らず実現していただきたい課題です。
 「母子生活支援施設」の利用についても、必要とする人が入所しやすい施設になってほしいと思います。例えば公営住宅に入居できない人、子どもを保育所に入所させられずに就労できない人が母子生活支援施設に入所できれば自立への足掛かりになると思われますが、施設によって運営に違いがあるようで、広域入所など難しい施設もあるように思います。
 「マザーズハローワーク」、母子家庭等就業・自立支援センターなどのひとり親家庭への就業支援についても地域格差があるようですが、転職を希望するひとり親家庭が多いので、転職支援のための資格取得講座やへき地向けなど地域の実情に応じたきめ細やかな事業展開が求められています。
 「母子寡婦福祉資金」の貸付についても、自治体ごとに運用が異なるようですが、地域の実態に応じた運用が望まれます。例えば、地方では自動車運転免許取得や自動車購入は就労のためには欠かせない条件となっています。現在、就職支度資金の自動車購入資金の上限は22万円となっていますので、条件に合った車を探すのが大変難しい状況です。せめて車検が2年間有効で子どもを乗せていても安心できるような車を買える金額にしていただきたいと思います。
 「児童扶養手当制度」について、現在は公的年金受給者は児童扶養手当を受給できません。ただ、遺族年金を受給していても額が少なかったり、祖父母が養育者の場合わずかな老齢年金を受給しているために児童扶養手当が受給できないケースがあると聞いています。経済的に支援するという観点から、児童扶養手当の受給額同等の支援を望みます。
 提言の三つ目は「父子家庭への支援拡充」です。父子家庭の父親への支援については、就業相談や能力開発など対象となる事業が年々拡大されてきています。今年度から「高等技能訓練促進費事業」についても父子家庭の父親が対象に加わりました。今年度からは当初予算による安定した事業となり相談者にも安心して事業を紹介できるようになりました。ただ、支給年限2年を超える年度については母子家庭と同様に父子家庭の父親も母子寡婦福祉資金の貸付を利用できるよう望みます。
 「修学資金等の貸付」についても、父子家庭の父親を対象にしていただくよう要望します。父子家庭の父親から子どもの学費についての貸付相談が多く寄せられています。現在は社会福祉協議会の生活福祉資金を紹介していますが、そこで父子家庭の父親と関係が切れてしまうのが実情です。ひとり親の相談では貸付相談を手掛かりとして子育て・健康・就労など幅広い問題への支援を求められるということが多くあります。先に示された子育て生活支援データ編で父子世帯の19歳の子どもの就労が42.9%と高い結果が報告されていました。父子家庭の父親にも継続的に相談支援できる体制があれば子育てや子どもの教育についても助言できるのではないかと考えます。父子家庭の父親は個人差があるでしょうが、母子家庭の母親に比べて周囲に支援を求めることに抵抗がある方が多いように思われます。頑張っている父親ほど不慣れな家事、甘えてくる子どもへの対応、仕事の疲れ、保育園や学校へ持たせる物の準備などで疲れ、イライラして子どもを虐待してしまうケースも見受けられ、子どもの健全育成のためにも相談体制の拡充が求められています。以上、母子自立支援員の立場からの提言は終わります。
 スライドはもうありませんが、最後に全国1,600人の母子自立支援員を代表してこのような場で提言の機会を与えていただいたことに感謝を申し上げます。今回のプレゼンテーションに伴い、各地のブロック長宛てに調査や意見を求めたところ、各地から熱いメッセージが次々と届きました。ひとり親家庭の自立支援に皆の熱意が感じられ、同時に雇い止めなどそれぞれが置かれている立場の厳しさも多く寄せられました。母子家庭・父子家庭を問わず親も子どもも幸せに暮らせるよう支援していきたいとあらためて思っております。
 蛇足ですが最後にPRを。昨年と今年は富山県が全国協議会の役員を担当しております。資料の左下にあるロゴにお気付きでしょうが、2015年春に北陸新幹線が開業し、東京・富山間が2時間あまりで結ばれます。海と山の美しい自然に抱かれた富山県にぜひおいでください。ご清聴ありがとうございました。

○小杉委員長
 ありがとうございました。引き続き、質疑に移りたいと思います。皆さまから質問を。島崎委員、お願いいたします。

○島崎委員
 まず、事実を教えてほしいのですが、先ほどの約1,600人という数字は市町村の数からすると非常に少ないように思います。都道府県や市でも複数設置しているところもあると思いますので、未設置の市がかなりあるのではないかと思いますが、どれぐらい未設置の市があるのでしょうか。

○中田委員
 平成24年7月現在に組織率を調べたことがあります。未設置の市といいますか協議会に入っていない自立支援員が大変多くて先ほど1,600人といいましたが会員数は563人です。先ほど脱退のことにも触れましたが、平成21年には中国ブロックが全県脱退しましたし、四国は平成19年、平成20年に香川・愛媛が脱退しました。どんどん組織率が減っております。それが先ほど言いましたように、県内の旅費すら出なくなり協議会を維持していくことができなくなったことから脱退するという現状になっております。

○小杉委員長
 未設置の県がどれぐらいあるかは。

○中田委員
 そこまでは。富山県でいえば職員が兼務しているところもありますが、一応全県的には設置しております。

○島崎委員
 1回目のときの資料で、確か未設置の市もあるというような記述があったのでお伺いしたのですが、それはともかく、そのときの資料にもありますように、やっている相談の中身が実際は経済的支援、特に母子寡婦福祉資金の貸付あるいは償還業務ですね。中田委員のご努力や富山県がどうのこうのではなくて、全体の姿でいうと1,600人ぐらいで、業務の中身が母子寡婦福祉資金の貸付あるいは償還業務がかなりのウェートを占めていて、なおかつ、非常勤の人が非常に多い。非常勤だから専門性が低いと決めつけるわけではありませんが、ひとり親家庭の自立支援は非常に大変な仕事です。個々に事情が違いますし、法律的な問題も多いし、他の社会保障制度やいろいろな問題、さらに雇用支援まで関わってくるわけで、そういう個別性に対応していく大変な仕事だと思います。つまり、求められている内容と実態の間に相当ギャップがあるのではないかと思いますが、そこのところはどのようにしていくべきだとお考えですか。抽象度が高い質問で申し訳ないのですが、私が今申し上げたようなことが実態と反しているのであれば、まずそれについてご指摘いただきたいのですが。

○中田委員
 今、島崎委員におっしゃっていただいたことは、私たちも声を大にして訴えたいところと一致しております。このようなひとり親施策のことになりましたり、国からどんどん来るものに関しては母子自立支援員の位置というのは大変重く重要視されていますが、実際に自治体によっては先ほど言いましたように、職員が兼務していたり設置していなかったり、実際には相談には深く関われない。単なる窓口要員として机も電話も与えられていない自立支援員もおります。自治体にとっては母子自立支援員、ひいてはひとり親家庭の支援をどのように重要視しているかということに尽きると思います。それぞれ私たちは各自治体に雇われている立場ですので、国の方から強く自治体に対して母子自立支援員の専門性を認めていただき、安定した雇用で長い間ひとり親家庭の支援ができるように強く指導していっていただきたいと感じております。

○小杉委員長
 事務局の方で、何か。

○小野家庭福祉課長
 今、島崎委員からお尋ねのありました数字について、現在、我々の方でも調査しておりまして、次回か次々回か間に合った段階で資料としてお示ししたいと思います。

○小杉委員長
 ありがとうございます。では、他に。片山参加人。

○片山参加人(NPO法人全国父子家庭支援連絡会)
 支援員さんの全国の男女比率はありますか。男性も若干いらっしゃったと思います。それと相談件数、母子家庭の方と父子家庭の方で相談件数が、もしありましたら。

○中田委員
 ご質問ありがとうございます。男女比率については今、手持ちの資料がありませんが、実際に男性の支援員もいらっしゃいます。それから、相談件数については今、手持ちがありません。

○小杉委員長
 では、事務局の方で答えてもらいます。

○小野家庭福祉課長
 相談件数でございますが、1回目の資料5の55ページに母子自立支援員の相談件数ということで項目別と母子家庭・父子家庭別が出ておりますので、ご覧いただければと思います。

○小杉委員長
 他にご質問がありますか。

○新川参加人(NPO法人ウインク)
 新川です。質問ではなくて意見になるかもしれませんが、母子自立支援員は非常に専門性のあるお仕事をされる方たちだと思いますが、採用の要件には何か統一されたものがあるのでしょうか。統一されたものがあって専門性を持ってやっていただけた方が今後良いのではないかと思っています。

○小杉委員長
 採用要件について、お願いします。

○中田委員
 採用要件については各自治体に任されているのではないかと思います。

○小杉委員長
 他に。佐藤参加人。

○佐藤参加人(ハンド・イン・ハンドの会)
 ありがとうございました。佐藤です。自立支援員について事務局に確認したいのですが、これは私が住んでいる市のホームページに載っている「ひとり親日常生活支援について」というQ&Aです。ご意見・ご要望などというところに入っています。読み上げます。

 「ひとり親等日常生活支援につきまして、家事支援を申請しようとしたところ、支援できる人員がいないということで断られました。今の市に住んで○年になりますが、ひとり親日常生活支援の書類や案内でそのような自治体の説明を見たことがありませんでした。自治体として支援ができないのなら、その旨書類や案内に一文明記していただきたく思います。また、有資格者がいないために支援ができないのなら、その旨を公表していただければ有資格者の登録や登録者の資格取得などにつながり支援員、利用者双方制度の恩恵が受けられるのではないかと思いました」

 という意見です。市の側の回答としては、人員が大変不足している。資格要件は定めていないけれども生活援助についてはヘルパーの資格などを持つ人が支援することになっている。人員確保に努めますと公表していますが、実は平成22年からずっと同じQ&Aが載っています。要するに改善されていないと捉えるのですが、こういった実態を事務局側がどの程度把握していらっしゃるのか。あるいは、市町村任せなのか。支援員がいろいろ苦心してこういう制度がありますということでご案内をしても実際に手足となっているところがこういう実態であるということをどの程度把握していらっしゃるのか。申し訳ないのですが事務局にお答えしていただきたい。

○小野家庭福祉課長
 ご指摘ありがとうございます。正直なところを言いますと、全ての自治体の全ての事業について全部把握しているかというと、残念ながらそこまで行き届いていないというところでございまして、我々も反省しなければいけない点だと思います。ご指摘の自治体の件であれば具体的に何々市とお住まいの市だと分かっていることだと思いますので、おっしゃっていただければ、恐らく県を通じてになるかもしれませんが改善するように指導はしていきたいと思います。

○小杉委員長
 特に中田委員のご発表についての質疑応答はよろしいですか。
 それでは、お三方のプレゼンテーションを踏まえて、全体としての意見交換に入りたいと思います。ひとり親家庭の支援策の方向性についてということで皆さまからご意見をいただきたいと思います。まず、赤石参加人からどうぞ。

○赤石参加人(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ)
 どなたもいらっしゃらないようなので、先に。赤石です。お三方のご説明を聞いて思いましたのは、地域間の格差です。川崎市の全国母子寡婦福祉団体競技会の取組もかなりきめ細かくやっておられる。大塩委員の母子生活支援施設でも何とか支援の質を高めていきたいということで努力されていること。母子自立支援員もとても重要な業務を担っているということは分かったのですが、一方では制度としてはあるけれども使えていない制度がある。各県・各市によって違うということが指摘もされています。しかし、一つの母子家庭にとっては、その県でその施策を利用するわけですので、それが死活問題になってしまう。それをどのようにしたらよいのだろうか。多分この委員会の中でかなり重要な課題になるのではないかと思いました。
 数日前にある東北の県で、母子家庭等就業・自立支援センターに様子を見に行きました。そのときに就業相談員がいらっしゃらなくて相談を受けられずに帰られた方がいました。他の地域を回っていらっしゃったと思います。それから、日常生活支援事業はどうなっていますかとお聞きしたところ、「うちでは高齢の方しか登録していないので実質使えません」とおっしゃっていました。こんなことは言えないのですとおっしゃっていたので県名を伏せますけれども、これが実情です。これを直視した上で有効な支援をつくらないと、せっかくあるものが使えないというのは本当にどうしていったらよいのか。ホームフレンド事業もそうです。大学生がボランティアで派遣されるとても良い制度だと思いますが、実際のところ、使えているところはそんなにないと思います。それではあまりにもきめ細かい支援とはいえない。そこのところを実感しました。ただ、よく分からないのですが、自治事務とか何とかが阻んでいるのだろうと思いますが、でも、どういう楔を打ち込んだら均質化するのかという知恵を絞っていかなければいけないと思います。
 もう一つ。母子自立支援員が父子家庭の支援もするということが決まったのですよね。私が言うのも何ですが、名称変更もあり得るのではないかと思いました。

○小杉委員長
 ありがとうございます。では、順番で先に目が合ったので島崎委員お願いします。

○島崎委員
 後で一枚紙が配布されているのですが、ひとり親家庭に関していろいろなメニューが作られていますが、認知度もそれほど高くないし、使われていないという実態があると思います。今、赤石参加人から指摘がありましたように、かなり都道府県格差・市町村格差がある。今日のお三方の発表を聞いていても、そのことは強く感じられます。問題はどうすればよいのかということですが、自治事務の権限を国が取り上げて法定受託事務にするということができるかというと、それは難しい話だろうと思います。それは理論的に絶対に駄目だという話ではないかもしれませんが、身近なところでそれぞれの自治体が創意工夫を凝らするという地方分権の流れの中で、法定受託事務化することの現実性は乏しいだろうと思います。
 ではどうすべきなのかという話ですが、先ほど申し上げたように、ひとり親家庭だけで施策を組んでいくという行き方を考え直していかないと難しいのではないかと思います。例えば、ひとり親家庭にとって就労が非常に大切だというのは間違いありませんが、一方で非正規労働が3分の1を占めているという中で、ひとり親家庭だけを優先雇用していくことが果たして国民に広く受け入れられるかどうかを考えてみると、なかなか難しい問題もあろうかと思います。もっと言えば、男女の賃金格差があることを良いと申し上げているわけでは決してありませんが、賃金格差の是正という正論を唱えるだけでは、「百年河清を待つ」のと似たようなところがあります。
 そこでどうすればよいのかというと、ひとり親家庭の問題をそれだけを切り離すのではなくて、広い裾野の中にその問題を位置付けていくことを考えていくべきだろうと思います。例えば、各自治体としてもひとり親家庭だけのところに専任の職員を配置していくことは難しいのであれば、一般の子育て施策の中に位置づけるという発想が必要になる。そういうことをもう少し考えていく必要があるのではないかというのが総括的な私の意見です。個々細かな問題について意見はありますけれども、特に今日お話のあった相談体制・支援体制に関していうと、そういう気がいたします。

○小杉委員長
 ありがとうございます。お待たせしました。海野委員、お願いします。

○海野委員
 就業の問題に関しては、事務ですと職業安定所に正規雇用を1人出しますと履歴書が100通ぐらい来ます。そうすると、母子家庭とか何とかではなくて選ぶポイントがあるのです。そのポイントをクリアしていかないと最後まで残れないということがあって、それには資格なのです。だから、ある程度高等的な、基本は、今はパソコンはやって当たり前、高度技術というとそれなりの教育をしていかないと就業には結びつかないという現状があるということが事実です。先ほど日常生活支援員の問題が出ていましたけれども、私どもも年1回ずつ研修をやっていますが、徐々に受けている人の年代層を見ると結構若いのです。若いのですが日常生活支援で何時間もお手伝い願うほど200時間300時間、私どもは時間数は多いのですけれども、地域に分けるとそれぞれ1人当たりにすると何時間もお手伝いいただけるようなことではありません。それで私が今考えているのは、他の仕事も一般企業から探してきて、それとセッティングして空いている時間帯はこちらをお願いして就業も考えてあげて利益に結び付ければ支援員が増えてくるのではないか。若い方がおこづかい程度になるぐらいまで働ければよいと思っていますので、他の事業もいろいろアタックして探して、今は特別養護老人ホームが増えていますので、特別養護老人ホームへ飛び込んで行って何か仕事はありませんかと私は行ってくるのです。そうすると、事務仕事も結構パートならありますと言ってくださるので、ではお願いしますと支援員を連れて行って、また相談してもらいます。そのように何かをセッティングしていかないとその人たちが月に2、3時間のために待機しているというのは気の毒ではないかと思うようなこともありますので、そういうことも、一般の人が多いのでもう少し働いてもらってもよいのではないかという考えも別に持ってセッティングしてあげれば、もっと支援員も増えてくるし、私どもの場合は水曜日と金曜日は21時までやっていますので、20時過ぎにお願いしますと電話が来ます。そうすると、21時まで何とか探して、どうしてもどうにもならないときには母子福祉センターへ来ていただいて、そこに支援員が1人いますので、その方に見ていただくという形をとることもありますが、支援員の問題は朝一番のこともありますし、結構やりくりで大変な思いはしていますけれども、何とかできるだけ適用できるような方法を24時間体制で考えていかないと無理だと思います。朝一番で子どもが熱を出すこともある。そういうことだと思います。

○小杉委員長
 ありがとうございます。他には、よろしいですか。佐藤参加人。

○佐藤参加人(ハンド・イン・ハンドの会)
 子ども貧困対策法が成立しまして、その中の法律を読みますと、貧困の家庭の親御さんの就労支援もそちらの方でやるということで、先ほど島崎委員もそこの兼ね合い、ひとり親家庭だけを優先的にというのはどうなのかというご意見を出されたと思います。ひとり親の家庭、特に母子家庭においては一度出産で育児をして、それから再就職ということでかなりハードルが高い状態なので、就労支援は絶対に必要だと思いますけれど、かといって子育て世代全体が就労困難な状況に置かれていることを背景にして貧困対策法ができたことを踏まえると、そういったところとどのように今後兼ね合いをつけていくかも議論の中に今回はおさめないと、この後の方向性は難しくなると個人的に思っていますので、島崎委員のご意見もありましたので、併せて意見として言わせていただきました。

○小杉委員長
 ありがとうございます。他の皆さま、ご意見は。海野委員。

○海野委員
 今の意見に賛成です。先ほども言ったように全ての子どもが平等に教育を受ける権利があると思いますので、低所得者である若い夫婦も出てきているので所得制限なり何なりをして、きちんと学校へ行けるような仕組みを作ることが基本だと思っています。ひとり親家庭という括りではなくて、全ての子どもが幸せになるような施策であってほしいと思っています。

○大塩委員
 島崎委員や皆さまのおっしゃっていることは非常によく分かりますし、今これだけ日本の中で非正規雇用が多くて就労支援はひとり親に限らず、どの階層の方にもということはよく分かります。ただ、現場におりますと、ひとり親の置かれている状況の厳しさを、日々実感しています。どうやって自立していこうか。資格を取得できる方はまだよいけれども、資格取得にもいかない方。仕事に恵まれている方には分からないかもしれませんが、生活保護を受けておられる方の就労意欲をどうするかと言われますが、就労意欲をどうやって計るのか、どのように就労意欲が湧くように支援していくのかなど、ひとり親世帯のことをきちんと議論していくことは非常に大事なことだと思います。もう一つ大きな枠組みの中ではそれは必要だと思いますが、ここはひとり親世帯のことをきちんと議論していただきたいと思います。以上です。

○島崎委員
 手短かに申し上げます。誤解があるといけませんが、私の主張はひとり親家庭の問題を全て一般化してしまえということではありません。八ヶ岳に例えると、広い裾野があって8つの峰があるわけですが、その峰のうちの一つがひとり親家庭の問題です。他の峰としては、障害児の問題があるかもしれない。あるいは、離婚に至っていないけれどもDVの問題も一つの峰かもしれないです。あるいは、引きこもり・閉じこもりといおう峰もあるかもしれない。つまり、ひとり親家庭に限らず子育ての過程ではさまざまな問題が生じるのであり、その1つとしてひとり親家庭の問題を捉えていくほうが施策の広がりがあるということです。先ほどご指摘があったような実態、障害をお持ちの方もその中の一つであるということを拝見して、こういう実態になっているということをあらためて感じましたけれども、施策を一般化するということとひとり親家庭の問題を個別に考えることは決して相反することではないと思っています。

○小杉委員長
 ありがとうございます。あとお一方ぐらい。新保委員。

○新保委員
 今のことの延長ですけれど、もともと子ども家庭福祉の制度は保育に関することとひとり親家庭の施策は、ベースはつながっているはずだと思います。ところが、自治体で幾つかお仕事をさせていただくと、保育の関係者はひとり親家庭のことについての認識が比較的薄い。ひとり親家庭の担当者は保育に関する認識が比較的薄い。我々は特定の仕事に就いて仕事を行っていますから、どうしてもそうなりがちですが、今議論があったように保育の方々はひとり親のことについて知らなければいけないし、ひとり親のことをやっている人間は保育のこと、例えば生活保護のことについてもっと広く知らなければいけないと思います。そういうベースを整えることについて認識を持つということは、意識として私も共有するところがあります。それがないと伸びていかないだろうと思います。
 一方で、特別な課題を持った、そういう可能性を持っている子どもたちがいる。彼らが自立していくために他の人たちよりももっと特別な支援が必要だという可能性がある。そういうことについて私たちはひとり親家庭ということをめぐって専門委員会でしっかり議論していかなければいけないのではないか。今回DVについてはほとんど議論ができていないですけれども、DVに関することも含めて、我々は考えていかなければいけないという感じを持っております。以上です。

○小杉委員長
 ありがとうございました。今日はここまでということでよろしいでしょうか。残された時間で残った資料の説明を事務局からお願いします。

○小野家庭福祉課長
 ありがとうございます。事務局でございます。資料の説明に入る前に一つだけ、先ほど大塩委員とのやりとりの中でありました児童扶養手当の件で、例のファイルの中の第1回の資料の164ページを開けていただければと思います。上に163ページがあり下に164ページがある164ページのグラフの方です。上の163ページの5の欄の所得制限限度額をご覧いただきたいのですが、先ほどのお話では、子どもに収入が出たので児童扶養手当の額が減ったり出なくなったというお話だったと思います。二つのことが考えられると思っておりますが、一つは子どもが163ページ上の方5の欄の扶養義務者に該当する場合が考えられるわけです。ただ、扶養義務者というのはここでは6人世帯で610万円と書いてありますが、これは扶養親族が1人の場合であれば420万円とかなり高い収入となっていますので、高校を卒業したばかりの方はこの扶養義務者に該当するので所得制限がかかってくることは考えにくいと思っております。もう一つ考えられるルートとしては、164ページの「扶養親族等の数」と四角の下の欄です。これは子どもが18歳未満で就職する前であれば扶養親族ということで母親が子どもを2人養っていた。子どもが自立することで扶養親族が1人になる。そうすると、右側にありますような所得制限の限度額が下がってしまうことになります。従いまして、それによって児童扶養手当が出なくなってしまったり額が減ったり、そういうことが考えられると思いますが、いずれにしましても個別のケースに当たってみないと分からないので、また後でお聞かせいただければと思います。失礼しました。
 本日お配りした資料のご説明に入りたいと思います。資料4でございます。まず、資料4の7ページ・8ページのところからご覧いただければと思います。実は7ページ・8ページと机上配付させていただいております一枚物の資料は似たような形でございますが、実はこれは私どものミスといいますか整理に不正確なところがありましたので、机上配付の一枚物は間違いであるとご理解いただいて、7ページ・8ページのものが正しいとご理解いただければと思います。これは私どもの不手際でございますので、お詫びして訂正させていただいてご紹介させていただきたいと思います。
 同じような形のグラフでございますが、これは公的制度の利用・周知状況を母子家庭と父子家庭にそれぞれ聞いたものでございまして、「利用している又は利用したことがある」あるいは「利用したことがない」と答えた方のうち、「制度を知らなかった」以外と答えた方の割合、又は「制度を知らなかった」と答えた方の割合が表されているのが7ページ・8ページ目でございます。
 お戻りいただきまして、3ページ・4ページ目でございます。3ページ・4ページ目は、同じデータを整理し直したものでございまして、まず「利用している又は利用したことがある」か「利用したことがない」かということで同じデータを整理したものでございまして、利用状況だけを表しております。
 5ページ・6ページが「利用希望」と「周知の状況」につきまして、それぞれ「利用したい」と答えている方々の割合、「制度を知らなかった」と答えている方の割合。これは下の※印のところに小さい字で書いてありますが、「利用したことがない」と答えた方のうち、「今後利用したい」と答えた方の割合ですとか「制度を知らなかった」と答えた方の割合で、それぞれ母子世帯・父子家庭がこうでございますということを対比してあります。以上が、一つ目の説明でございます。
 続きまして、9ページ・10ページでございます。これは第1回のときに佐藤参加人からご要望があったものでございますが、「児童扶養手当受給者等を要件とするひとり親支援施策について」でございます。国の事業については9ページ、自治体の例といたしまして、今回参加していただいています3団体の委員にご協力いただいて山形県・山形市、埼玉県・戸田市、静岡県・浜松市のものを調べて例として挙げさせていただきました。
 まず、国の事業でいきますと、児童扶養手当受給者が要件となっているものとして、事業名がございます。母子自立支援プログラム策定等事業、生活保護受給者等就労自立促進事業(ハローワークの事業)でございます。あとは税制の方で非課税貯蓄制度でございます。上の二つは私ども厚生労働省の事業でございますので、これはいずれも児童扶養手当を受給しないでも生活していけるように自立を支援しましょうという趣旨のものでございますので、これを受けられる方は児童扶養手当を受けている方が要件となるところでございます。二つ目の欄の「児童扶養手当と同水準の所得制限」でございますが、これは本人と扶養義務者の所得制限が両方かかるのは国のものではないのですが、本人の所得制限という意味では自立支援教育訓練給付金や高等技能訓練促進費がございます。これらの資格を取って自立していただくという趣旨の仕組みでございますので、児童扶養手当を受給している、あるいは同じ程度の所得水準よりも高い所得水準であれば事業の対象にはならないという仕組みになっております。この他のものは上記を要件としておりませんので、ひとり親であれば受けられるということでございます。貸付金であるとかさまざまな支援メニュー、保育所への優先入所その他につきましては、国の事業としてはひとり親であれば受けられるということになっております。
 10ページは地方自治体独自の事業ということでございまして、三つ挙げさせていただいております。同じような分け方で三つに分けているところでございまして、国の補助がない事業というのが地方自治体独自の事業ということでございますが、連名になっているものは、それぞれの自治体でシェアをして、費用負担割合はさまざまだと思いますが、それぞれでシェアされているもの。一つだけの自治体名が出ているものは、その自治体で100%出しておられる事業ということになっていまして、3県3市について調べたところ、このような状況になっておりました。
 11ページは「離婚件数の年次推移」でございます。今回のものは「出典」のところに書いてありますように概数となっておりますが、前々回にお出しした数字といいますのは平成24年の推計値でございました。ほとんど数字としては変わらないのですけれども、今回のものは325組減少したとなっています。実は推計値の段階ではほんの少しだけ増えていましたので、ほぼ横ばいということでは変わらないのですが、減少と増加のニュアンスが変わりますので、一応直近のものをご報告させていただいたということでございます。以上です。

○小杉委員長
 ありがとうございます。今は事実関係の質問のみをお受けしたいと思いますが、今のご説明について、質問がございますか。
 特にないようでしたら、本日はここまでといたします。
 では、次回の予定について、事務局から説明をお願いいたします。

○小野家庭福祉課長
 どうもありがとうございました。次回の日程につきましては、7月8日月曜日の15時からを予定しております。次回は参加人の方々から、それぞれの支援の取組の現状や課題につきまして、また、学識経験者といたしまして労働政策研究・研修機構の周燕飛副主任研究員からもプレゼンテーションをお願いしております。参加人の皆さまには、準備方よろしくお願いいたします。

○小杉委員長
 本日の専門委員会は、これにて閉会といたします。ご出席の方々には、ご協力ありがとうございました。


(了)
<照会先>

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