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本サイトは厚生労働省の表彰事業「グッドキャリア企業アワード」を通じて、企業や働く方に自律的なキャリア形成について発信するためのサイトです。

グッドキャリア企業アワード2018
プレイベント

平成30年5月29日(火)、ビジョンセンター東京(東京都中央区)において「グッドキャリア企業アワード2018プレイベント~企業の成長戦略に不可欠な“人が育つ仕組み”~」を開催しました。当日は、企業の人事担当者など200名以上の方にご来場いただき、「従業員が自ら育つ仕組み“キャリア形成支援”とは」をテーマとした基調講演と、グッドキャリア企業アワード2018募集開始告知のほか、2016年度及び2017年度の受賞企業3社による取組紹介、藤村 博之氏をコーディネーターに迎えた受賞企業3社とのパネルディスカッションを実施しました。

基調講演

「従業員が自ら育つ仕組み“キャリア形成支援”とは」をテーマに藤村 博之 氏(法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科教授/グッドキャリア企業アワード2018推進委員)による基調講演を行いました。講演では、日本企業が直面しているヒトの問題は何か、キャリア開発とキャリア形成支援の重要性について語られました。

≪基調講演概要≫

日本企業の現状として、業務のマニュアル化による異常対応力の低下といった弊害や、バブル崩壊時の過度の人員削減による後遺症、人材育成の余裕の欠如などが挙げられる。また、管理職になりたがらない若年層の増加、長時間労働による創造性やイノベーションを起こせる人材の不足などヒトの問題に直面している。その背景には、日本企業が競争力の源泉を労使ともにコスト削減に求めたこと、アメリカ型の株式市場が日本企業の経営を短期志向にしてしまったことなどにある。それらの解決には、従業員を巻き込んで考える組織づくりといった地道な努力や、国際比較などの発想の転換が重要である。
能力に対する需要は、技術の進歩や財・サービスへの需要変化などの要因によって変化していく。そこで、キャリア開発=「能力の賞味期限を延ばし、売れる能力を開発すること」が必要である。人材育成は会社と個人の共同作業である。育ちたいという従業員の気持ちと、それに応えたいという企業の意思が合致しないと従業員は育たないので、「キャリア形成支援」というしかけが必要である。人が育つ企業には優秀な人材が集まり、業績が向上するということを企業は信念に持ち、実行していくことが重要である。

グッドキャリア企業アワード2018募集開始告知

グッドキャリア企業アワード2018募集開始について、厚生労働省 人材開発統括官付キャリア形成支援室長 松瀨 貴裕氏より告知が行われました。

≪グッドキャリア企業アワード2018募集開始告知概要≫

人材自らが自律的にキャリア形成に取り組み、かつ能動的に仕事や能力開発に取り組むことが必要であり、それを企業が支援し、促進するといった仕組みを普及していくことが本アワードの目的である。
過去の受賞企業は新聞等各種媒体で紹介され、「受賞により、採用応募者が大幅に増加した」、「企業内部でキャリア形成支援の取組が活発となった」といった声が寄せられている。
募集期間は平成30年6月1日(金)~平成30年7月31日(火)。昨年度から大きな変更点があり、法人単位の応募を原則としていたところ、今年度より事業所単位での応募を可能とした。応募単位をより限定することで、応募へのハードルが下がり、個性的あるいは先進的な取組をされている企業や事業者から応募が寄せられることを期待している。

受賞企業プレゼンテーション/パネルディスカッション

後半では、グッドキャリア企業アワード2016受賞企業2社(大賞受賞:株式会社NTTデータ、有限会社COCO-LO)、グッドキャリア企業アワード2017受賞企業1社(イノベーション賞受賞:トラスコ中山株式会社)による取組紹介を行った。その後、3社に加え、藤村氏をコーディネーターに迎え、「“人が育つ仕組み”がもたらすものとは」と題し、パネルディスカッション形式で事前に来場者より受け付けた質問に回答した。

≪パネルディスカッション概要≫

事前質問の前に、本アワードを受賞して良かった点について藤村氏より各社に質問が飛び、「他社より情報交換の希望があった。また、人材育成そのものが企業評価に繋がるということが受賞により対外的にアピールできた」、「新聞に載ったことで口コミが広がり、利用者の増加に繋がった」、「10年以上かけてきた取組である、ジョブローテーションと人事考課の関連性を従業員に知ってもらうことができた」という回答が得られた。
続いて、年齢層、性別、雇用形態などの各区別のキャリア開発支援について様々な議論がされた。トラスコ中山株式会社は、高齢者のキャリア開発支援について、「改めて研修などは行わなく、入社時から継続しているジョブローテーションにより、知識が積み重なっていく。」と答えた。「専門知識もない新たな職場に身を置くと、ある意味追い詰められた状態で学ぶことになり、知識も身に付きやすいという利点もある。」と藤村氏よりコメントがされた。
安定志向が強く、自身のキャリアに積極的でない若手のキャリア開発支援について、株式会社NTTデータは「新入社員教育や階層別研修にキャリア開発研修を折り込んで、初心を忘れないようにさせている」と答えた。また、トラスコ中山株式会社は、「まずは管理職から若手への意識付けが大事であると考え、コミュニケーションや評価方法などについて管理職の教育を行っている。」と答えた。
従業員を巻き込んでの組織づくりについて、有限会社COCO-LOは、「面談により、従業員一人一人に合わせた業務を決めていくことを大事にしている。また、利用者から感謝されることがやりがいに繋がる従業員が多いため、感謝される機会を生み出す制度づくりを行ってきた。」と語った。
最後に各社より、今後のキャリア形成支援において必要なのは、制度を作るだけではなく、その取組を継続させ、文化として定着することであると述べられた。また、藤村氏からも、「従業員がすぐに取り組めるような身近なことを用意していくといい。制度は大事だが、もっと大事なのは運用である。」と語られた。

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