これからの
年金制度
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オプション試算について
オプション試算の内容
令和6(2024)年財政検証においては、次の5つのオプション試算を行っています。
1.被用者保険の更なる適用拡大
現行の制度では、厚生年金に加入できるのは正社員(正規職員)、または正社員に近い労働時間・労働内容のパートやアルバイトに加え、令和6年10月までに、ⅰ週労働時間20時間以上、ⅱ月額賃金8.8万円以上、ⅲ勤務期間2か月を超える見込み、ⅳ学生以外、ⅴ従業員51人以上の企業等の要件を満たす短時間労働者となっています。オプション試算では、この制限を緩和し厚生年金への適用拡大を行った場合の以下の4通りの試算を行いました。
① 被用者保険の適用対象となる企業規模要件の廃止と5人以上個人事業所の非適用業種の解消を行う場合(約90万人拡大)
② ①に加え、短時間労働者の賃金要件の撤廃又は最低賃金の引き上げにより同等の効果が得られる場合(約200万人拡大)
③ ②に加え、5人未満の個人事業所も適用事業所とする場合(約270万人)
④ 所定労働時間が週10時間以上の全ての被用者を適用する場合(約860万人拡大)

2.基礎年金の拠出期間延長・給付増額
現在の制度では、基礎年金の保険料拠出期間は40年間(20~59歳)となっていますが、平均寿命が延び、高齢者人口が増加していく中で、60歳を過ぎても働き続ける方が多くなっています。こうした背景から、保険料拠出期間を45年間(20~64歳) に延長し、拠出期間が伸びた分に合わせて基礎年金を増やす仕組みとした場合の試算を行いました。

3.マクロ経済スライドの調整期間の一致
現行の制度のもとでは、基礎年金のマクロ経済スライドの調整期間が報酬比例部分と比べて長期化し、厚生年金の所得再分配機能が低下する見通しとなっています。こうした背景もあり、基礎年金のマクロ経済スライド調整を早期に終了させるため、基礎年金(1階)と報酬比例部分(2階)に係るマクロ経済スライドの調整期間を一致させるよう、マクロ経済スライドによる給付水準調整終了年度を公的年金全体の財政均衡で決定する方法に変更した場合の試算を行いました。

4.在職老齢年金制度
現行の制度では、就労して一定以上の賃金を得ている65歳以上の老齢厚生年金受給者は、その老齢厚生年金の一部または全部が支給停止される仕組み(在職老齢年金)となっていますが、この仕組みを撤廃した場合の試算です。
5.標準報酬月額の上限
現行の制度では、厚生年金の標準報酬月額は65万円が上限とされていますが、この上限を①75万円、②83万円、③98万円に引き上げた場合の試算です。
オプション試算の結果
オプション試算の結果については、人口の前提は「5.標準報酬月額の上限」を除き、中位推計(出生中位、死亡中位、外国人の入国超過数16.4万人)とし、経済前提は「成長型経済移行・継続ケース」、「過去30年投影ケース」の場合について試算した結果について解説します。
1.被用者保険の更なる適用拡大
厚生年金の加入者が増加することにより、将来の給付水準が改善されることが分かりました。また、現在パート・アルバイトなどで国民年金にしか加入していない人でも、厚生年金に加入できるようになると将来的に厚生年金も受け取れるようになります。

2.基礎年金の拠出期間延長・給付増額
従来の40年モデルを45年モデルにすると、どちらのケースでも所得代替率が約7%ポイント程度上昇し、給付水準が改善する結果となりました。保険料の拠出期間が40年から45年に延長されたことに伴い、給付水準もおおむね45/40倍となったためです。
※令和13(2031)年度に60歳に達する者から、生年度が2年次あがるごとに1年ずつ拠出期間を延長。
※マクロ経済スライドの調整率は、現行の仕組みの場合と同じものを使用。

3.マクロ経済スライドの調整期間の一致
所得代替率は3.6%~5.8%ポイント程度上昇し、給付水準が大幅に改善する結果となりました。特に過去30年投影ケースでみると、マクロ経済スライドの終了は令和39(2057)年度から令和18(2036)年度に21年間短縮し、調整終了後の所得代替率は現行の50.4%から56.2%となります。

4.在職老齢年金制度
65歳以上の在職老齢年金(高在老)の仕組みを撤廃した場合、将来の所得代替率は過去30年投影ケースにおいて0.5%ポイント程度低下する見通しとなっており、働く年金受給者の給付が増加する一方で、将来の受給世代の給付水準が低下する結果となりました。なお、在職老齢年金制度による支給停止は厚生年金(報酬比例)が対象ですので、基礎年金への影響はありません。

5.標準報酬月額の上限
「過去30年投影ケース(出生低位、死亡中位、外国人の入国超過数16.4万人)」では、標準報酬月額の上限を引き上げた場合、新たな上限該当者や企業からの保険料負担は増加する一方、新たな上限該当者の将来の報酬比例部分が増加し、厚生年金受給者全体の将来の給付水準も(所得代替率にして0.2%~0.5%ポイント程度)上昇する結果となりました。

令和7(2025)年の年金制度改正
令和6(2024)年財政検証で行ったオプション試算を踏まえ、令和7(2025)年の年金制度改正では、被用者保険の適用拡大(賃金要件の撤廃、企業規模要件の段階的な撤廃、5人以上個人事業所に係る非適用業種の解消等)、在職中の厚生年金受給の在り方の見直し(支給停止となる収入基準額の引き上げ)、標準報酬月額の上限の段階的引き上げが行われました。その他にも遺族年金の見直し(遺族厚生年金の男女差の解消、子に支給する遺族基礎年金の支給停止に係る規定の見直し)等が行われました。
また、将来の幅広い世代の基礎年金の給付水準を確保することを可能とするため、経済が好調に推移せず、基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合には、基礎年金と厚生年金のマクロ経済スライドを同時に終了する措置を講じることが規定されました。
まとめ
- 今後、社会・経済状況が変わっていくなかで、年金制度をより良いものにしていくため、制度の見直しを続ける必要がある
- もし年金制度が変わったら、将来の姿はどうなるかをみるための試算が行われ、それをオプション試算という
- オプション試算は、1.被用者保険の更なる適用拡大、2.基礎年金の拠出期間延長・給付増額、3.マクロ経済スライドの一致、4.在職老齢年金制度の見直し、5.標準報酬月額の上限の見直しを行った場合の試算を行った
- 実際の制度改正については、被用者保険の更なる適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、標準報酬月額の上限の見直しが一部実施された





















































