第08話

公的年金財政の
重要な要素

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財政検証では、おおむね100年という長い期間にわたって、公的年金財政の見通しを立てています。そして、この見通しを作成するには、人口や経済といった社会の状況がどのように推移するかという前提が必要になります。

ただし、社会の状況は変化し続けていて、不確実なものです。そのため、財政検証の前提は、一種類だけではなく、幅広く複数のケースを設定しており、その上で将来見通しの作成を行っています。

ですので、財政検証の結果は将来を正確に予測するものではありません。完全に見通しどおりにはいかないことを前提に、ある程度の幅をもって解釈する必要があります。

このため、少なくとも5年ごとに実績を織り込んで、新しい見通しを作成しています。

2019(令和元)年財政検証結果については、第9話からご紹介していますが、まず、このページでは、 2019(令和元)年財政検証の前提となった人口と経済の見通しをご紹介します。

人口の前提

2019(令和元)年財政検証では、将来の人口の見通しについて、以下のデータを使用しました。

●「日本の将来推計人口(2017(平成29)年4月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所

ガイド2019年財政検証のいろいろな見通しは、この「高位」「中位」「低位」の各前提を使って作ったニャ

参考:最近の人口の動向

ガイド出生率は、一人の女性が一生に産む子どもの数を表しているのよね

1990年から2065年までの人口構成の推移

ガイド2065年には、20歳未満の数が1割ちょっとしかいなくなっちゃう見通しなんだね

ガイド日本はもう何年も前から高齢化世界一って言われてるけど、この見通しだともっと進むのか……

ガイド財政検証では、こうした厳しい見通しを前提に計算しているんだニャ

労働力率の前提

2019(令和元)年財政検証では、労働力率の前提は、以下のデータに準拠しています。
・2019年3月にとりまとめられた「労働力需給推計」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)に準拠して設定
・将来の経済状況の仮定に応じ、 「経済成長と労働市場が進むケース」、「経済成長と労働参加が一定程度進むケース」、「経済成長と労働参加が進まないケース」のいずれかを使用

労働力率・就業率の推移と見通し
「労働力需給の推計(2019(平成31)年3月)」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)

お義姉さん私が働くようになると、労働力率が上がることになるのね

ミーコもっと女性や高齢者が働けるように、長く多様な形で働ける社会をつくっていくことが重要だニャン

被保険者数の将来見通し

被保険者数の将来推計は、このような人口の推移や労働力率の見通しを基礎データとして使用しています。

被保険者数の将来見通し

2019(令和元)年財政検証では、被保険者数の将来推計は、以下のデータを基礎として算出しました。

人口:「日本の将来推計人口(2017(平成29)年4月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)
労働:「労働力需給推計(2019(平成31)年3月)」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)

マクロ経済スライドの調整率は、公的年金全体の被保険者の減少率の実績に、平均余命の伸びを勘案した一定率(0.3%)を加えたものに基づいています。2019(令和元)年の財政検証における公的年金被保険者数の減少率、マクロ経済スライドの調整率の見通しは上表のとおりとなります。

なお、この調整率は2019(令和)年財政検証における見通しであり、マクロ経済スライドの実際の値はそのときの被保険者数に基づいて計算されます。

経済の前提

財政検証で用いる経済の前提は、賃金上昇率物価上昇率運用利回りについて、一定の前提を置いています。また、こうした経済前提の設定には客観的な見方が求められるため、2019年財政検証では、社会保障審議会年金部会に設置された年金財政における年金財政における経済前提に関する専門委員会で、経済・金融の専門家による議論を踏まえて設定しました。

その結果、足下の前提については、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算(2019(令和元)年7月31日)」の「成長実現ケース」、「ベースラインケース」に準拠して設定し、長期の前提については、内閣府試算を参考にしつつ、長期的な経済状況を見通す上で重要な全要素生産性(TFP)上昇率を軸とした、幅の広い複数ケース (6ケース)を設定しました。

ガイド冒頭の、「人口の高位・中位・低位」と、この「6ケースの経済の前提」を組み合わせていろいろなパターンの見通しができたんだニャ

2019(令和元)年財政検証で使われた経済前提

2029(令和11)年度以降の長期の経済前提

2019(令和元)年財政検証では、内閣府試算を参考にしつつ、長期的な経済状況を見通す上で重要な全要素生産性(TFP)上昇率を軸とした、幅の広い複数ケース (6ケース)を以下のとおり設定しました。

2028(令和10)年度までの足下の経済前提

2019(令和元)年財政検証では、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算(2019(令和元)年7月31日)」の「成長実現ケース」、「ベースラインケース」に準拠して設定しました。

2028(令和10)年度までの足下の経済前提の数値

参考: 最近の物価、賃金や運用利回りなどの経済の動向
こちらの表をご覧ください。

まとめ

  • 2019(令和元)年財政検証の前提となる人口と経済は、人口は「高位・中位・低位」、経済は「ケースⅠ~ケースⅥ」を設定し、各パターンを組み合わせて、年金財政について幅広く複数の見通しを作成
  • 人口の前提は、国立社会保障・人口問題研究所が取りまとめた結果に基づいて設定
  • 経済の前提は、客観性を確保するため、外部の金融・経済の専門家による専門委員会の検討結果に基づいて設定
財政検証の
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2019(令和元)年財政検証結果