概要情報
事件名 |
東日本旅客鉄道(東京不採用) |
事件番号 |
中労委 平成 1年(不再)第91号
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申立人 |
東日本旅客鉄道株式会社 |
被申立人 |
国鉄労働組合 |
被申立人 |
国鉄労働組合東京地方本部 |
命令年月日 |
平成 8年 1月10日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、国鉄分割民営化により発足した会社が、国労組合員9名を採用しなかったことが不当労働行為であるとして申立てがあった事件である。 初審東京地労委は、本件不採用は不当労働行為に該当するとし、<1>不採用の国労組合員9名について、昭和62年4月1日付けで採用したものとしての取扱い、<2>賃金相当額と精算事業団から同人らに支払われた金額との差額の支払い、<3>文書掲示を命じた。 会社はこれを不服として最審査を申し立てたところ、中労委は、再審査において申立意思を放棄した1名を除く8名のうち、5名については不当労働行為が成立すると判断し、そのうち2名については昭和62年4月1日をもって会社に採用したものとして取り扱うこと等、初審命令の一部を変更したほかは、その最審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 本件初審命令主文を次のように改める。 1 再審査申立人東日本旅客鉄道株式会社(以下「会社」という。)は、再審 査被申立人国鉄労働組合所属組合員のX1及びX2を、昭和62年4月 1日をもって会社の職員に採用したものとして取り扱わなければならない(以下 、会社の職員に採用したものとして取り扱われる上記2名を「本件採用対象者」 という。)。 2 会社は、上記第1項を履行するに当たり、本件採用対象者の就労すべき職 場及び職種について、再審査被申立人らと協議しなければならない。 3 会社は、本件採用対象者に対して、平成2年4月2日からこれらの者が就 労するまでの間、これらの者がその期間について、それぞれ、昭和62年4月1 日に会社に職員として採用されていたならば得られたであろう賃金相当額の60 パーセントに相当する額を支払わなければならない。 4 会社は、本命令交付後、速やかに再審査被申立人らに対して、次の文書を交 付しなければならない。 記 昭和62年4月1日の採用においては、当社の職員として不採用とされた貴組 合の組合員である小林忠彦、X1、X2、X3及びX4につい ては、不当労働行為に当たる行為があったと中央労働委員会により認定されまし た。 今後は、法令を遵守し、正常な労使関係の形成に努めます。 平成 年 月 日 国鉄労働組合 中央執行委員長 X5 殿 国鉄労働組合東京地方本部 執行委員長 X6 殿 東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役 Y1 (印) 5 再審査被申立人らのその余の本件各救済申立てを棄却する。 2 会社のその余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1500 不採用
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
国鉄が採用候補者名簿に登載せず、その結果、設立委員が会社の職員として採用しなかったことは、労働組合法第7条第1号及び3号の不当労働行為と認められる。
3700 使用者の認識・嫌悪
<1>国鉄改革に係る国鉄の諸施策をめぐり国鉄と国労との対立が激化していた中で、<2>国鉄は、人活センターへの担務指定等を通じて、国労に所属していると承継法人への採用が不利になるとの雰囲気を醸成し、<3>国鉄の幹部や現場の管理職により、国労に対する不当労働行為を示唆する発言等が行われていたことから、国鉄が国労を嫌悪していたものと認められる。
4410 雇入拒否の場合
昭和62年4月1日をもって会社の職員に採用したものとして取り扱うこと並びにこれらの者の就労すべき職場及び職種について会社が国労と協議することを命じた例。
4614 文書手交のみを命じた例
文書の交付を命じることを相当とする。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集104集512頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1996年4月10日 907号 19頁 
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