概要情報
事件名 |
東日本旅客鉄道(東京不採用) |
事件番号 |
東京地労委 昭和62年(不)第12号
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申立人 |
国鉄労働組合 |
申立人 |
国鉄労働組合東京地方本部 |
被申立人 |
東日本旅客鉄道 株式会社 |
命令年月日 |
平成 1年 8月 1日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合員9名を新会社発足時の昭和62年4月1日付で採用しなかったことが争われた事件で、組合員を昭和62年4月1日付で採用したものとしての取扱い、国鉄当時に就労していた原職への復帰、バック・ペイ、文書掲示及び履行報告を命じた。 |
命令主文 |
1.被申立人東日本旅客鉄道株式会社は、申立人国鉄労働組合および同国鉄労働組合東京地方 本部所属の組合員X1他8名に対し、次の措置を講じなければならない。 (1)昭和62年 4月 1日付で、同人らを被申立人会社の社員として採用したものとして取扱う こと。 (2)同人らが日本国有鉄道で就労していた原職もしくは原職相当職に就労させること。 (3)昭和62年 4月 1日から上記原職もしくは原職相当職に就労するまでの間に被申立人会社 が同人らに支払うべき賃金相当額と既に申立外日本国有鉄道清算事業団が同人らに支払 った金額との差額を支払うこと。 2.被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、55cm×80cm(新聞紙2頁大)の白 紙に、下記内容を楷書で明瞭に墨書して、被申立人会社正面玄関の従業員の見易い場所に10 日間掲示しなければならない。 記 平成元年 月 日 国鉄労働組合 中央執行委員長 X2 殿 国鉄労働組合東京地方本部 地方執行委員長 X3 殿 東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役 Y1 当社が、昭和62年 4月 1日付で貴組合所属の組合員X1他8名の各氏を採用しなかったこ とは、いずれも不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。 今後このような行為を繰り返さないよう留意します。 3.被申立人会社は、前各項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければ ならない。 |
判定の要旨 |
1500 不採用
国労組合員に対する不採用の現況は、他組合の組合員より圧倒的に高い割合で名簿に登載しなかったもので、本件9件の不採用もその結果であって、不当労働行為であるとされた例。
3900 「不利益の範囲」
本件X1ら9名は、新会社に不採用となった結果、精神的、経済的、組合活動上の不利益を被っているとされた例。
4911 解散事業における使用者
国鉄の採用候補者の選定と名簿の作成行為は、設立委員の行為を代行したもので、その行為の責任は設立委員が負うべきであり、ひいては、新会社が責任を負うべきものとされた例。
5008 その他
新会社移行後の会社に対し、不採用者を会社設立時点で会社に採用されたものとして取り扱うよう命ずることは労委の救済権限の範囲内にあるとされた例。
5006 採用の請求
名簿不登載の者について、他に登載に適しない理由があることが疎明されない限り、それらの者を同名簿に記載される資格あるものとして取り扱い、救済をなし得るものと解された例。
5006 採用の請求
本件不採用は人員整理にも比せられるべきものであって通常の新規採用の場合と性格が異なるので、本件について採用自由の原則を主張できないとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集87集160頁 |
評釈等情報 |
 
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