労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]  [顛末情報]
概要情報
事件名  東日本旅客鉄道・日本貨物鉄道(神奈川不採用) 
事件番号  中労委昭和63年(不再)第68号 
中労委昭和63年(不再)第69号 
再審査申立人  東日本旅客鉄道  株式会社(68号) 
再審査申立人  日本貨物鉄道 株式会社(69号) 
再審査被申立人  国鉄労働組合(68・69号) 
再審査被申立人  国鉄労働組合東京地方本部横浜支部 外1団体(68・69号) 
再審査被申立人  国鉄労働組合東京地方本部(68・69号) 
命令年月日  平成 7年10月 4日 
命令区分  全部変更(初審命令を全部取消し) 
重要度   
事件概要  本件は、国鉄の分割民営化により発足した被申立人会社らが申立人組合員X1ら9名を採用しなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件である。
 初審神奈川地労委は、これを不当労働行為であるとし、X1ら9名を採用したものとして取扱い、本務相当職への就労と賃金相当額に年5分を乗じた額の支払い、就労の諸問題についての組合との協議、誓約書の手交及び掲示を命じた。
 会社がこれを不服として再審査を申し立てたところ、中労委は、X1ら9名中6名について不当労働行為の成立を認め、6名のうち国鉄精算事業団から辞職を余儀なくされた4名について(1)新会社に採用したものとしての取扱い、(2)就労の諸問題についての組合との協議、(3)国鉄精算事業団の辞職から就労するまでの間、新会社に採用されていたら得たであろう賃金相当額の60%相当の支払いを命じ、併せて文書交付を命じた。3名については、両会社への採用候補者名簿不搭載の理由とされる各停職処分が相当ではないと認められないことから、両会社への不採用をもって不当労働行為に該当するとは言えないとして棄却した。 
命令主文  Ⅰ 本件初審命令主文を次のように改める。
1 再審査申立人東日本旅客鉄道株式会社及び同日本貨物鉄道株式会社(以下「両会社」とい う。)は、本件初審命令別表2記載の再審査被申立人国鉄労働組合所属組合員のうち、東日 本旅客鉄道株式会社にあってはX1及びX2を、日本貨物鉄道株式会社にあってはX3及び X4を、昭和62年4月1日をもって当該会社の職員に採用したものとして取り扱わなければ ならない。(以下、両会社の職員に採用したものとして取り扱われる上記4名を「本件採用 対象者」という。)。
2 両会社は、上記第1項を履行するに当たり、本件採用対象者の就労すべき職場及び職種に ついて、それぞれ再審査被申立人らと協議しなければならない。
3 両会社は、本件採用対象者に対して、平成2年4月2日からこれらの者が就労するまでの 間、これらの者がその期間について、それぞれ、昭和62年4月1日に当該会社に職員として 採用されていたならば得られたであろう賃金相当額の60%に相当する額を支払わなければな らない。
4 両会社は、本命令交付後、速やかに再審査被申立人らに対して、それぞれ、次の文書を交 しなければならない。
                     記
                    文書1
  昭和62年4月1日の採用においては、当社の職員として不採用とされた貴組合の組合員で あるX1、X5及びX2については、不当労働行為に当たる行為があったと中央労働委員会 により認定されました。 今後は、法令を遵守し、正常な労使関係の形成に努めます。
                                平成 年 月 日
   国鉄労働組合
    中央執行委員長 X6 殿
   国鉄労働組合東京地方本部
    執行委員長 X7 殿
   国鉄労働組合東京地方本部横浜支部
    執行委員長 X8 殿
              東日本旅客鉄道株式会社
               代表取締役 Y1
                   文書2
  昭和62年4月1日の採用においては、当社の職員として不採用とされた貴組合の組合員で あるX3、X4及びX9については、不当労働行為に当たる行為があったと中央労働委員会により 認定されました。
  今後は、法令を遵守し、正常な労使関係の形成に努めます。
                                平成 年 月 日
   国鉄労働組合
    中央執行委員長 X6 殿
   国鉄労働組合東京地方本部
    執行委員長 X7 殿
   国鉄労働組合東京地方本部横浜支部
    執行委員長 X8 殿
               日本貨物鉄道株式会社
                代表取締役 Y2
5 再審査被申立人らのその余の本件各救済申立てを棄却する。
Ⅱ 両会社のその余の本件各再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  4911 解散事業における使用者
設立委員に承継法人の募集から採用の決定に至るまでの行為について最終的な権限と責任が与えていることが認められるとされた例。

4911 解散事業における使用者
採用に関する最終的な権限を有する設立委員が負うべき不当労働行為の責任は、採用に関する設立委員に係る行為の効果とともに承継法人に帰属することが相当であるとされた例。

0600 暴力行為
3600 処分の差別
横浜人活センター事件において、兼務職員らに職場を乱す行為がなかったとはいえないものの、暴力行為があったとは認め難く、X1ら4名に対する処分は相当でないとされた例。

1400 制裁処分
3600 処分の差別
X1の年次有給休暇の申し込みに対し時季変更権が行使されたにもかかわらず、休暇を取得したとしてなされた停職処分は、管理者が状況に応じた配慮を行ったとはいえず、一方的な処分であるとされた例。

3600 処分の差別
駅長等に対する暴言・暴力を理由に行われたX2に対する処分は、暴力等をふるったことが認められず、酷な処分であるとされた例。

3604 労働者に落度がある場合
指示された代替作業を拒否し、職場を離脱、勤務を放棄した行為は、分会長として抗議の意思表示をしたという事情を考慮しても、停職処分にしたことが相当でないということはできないとされた例。

3604 労働者に落度がある場合
月半ばでの勤務体制の変更について、対象者であるX6らは、就業を拒否し、職場を離脱したこと等は、職員として不都合な行為と評価されてもやむをえず、停職処分が相当でないということはできないとされた例。

3604 労働者に落度がある場合
国鉄再建の必須条件として職場規律違反の是正・確立が強く求められていた当時、抗議や要求を行ったことは、職員として不都合な行為と評価されてもやむをえず、停職処分が相当でないということはできないとされた例。

0417 法令・協約・信義則違反
3604 労働者に落度がある場合
ストと順法闘争の指導責任を併せて行われた停職処分は、公労法下にあって争議行為が禁止されていたこと等を考えると、相当でないということはできないとされた例。

1500 不採用
国鉄が、X1ら6名を採用候補者名簿に登載せず、その結果、これらの者を設立委員が両会社の職員として採用しなかったことは、不利益取扱いであるとされた例。

1500 不採用
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
国鉄が、X1ら6名を採用候補者名簿に登載せず、その結果、これらの者を設立委員が両会社の職員として採用しなかったことは、国労の弱体化を企図したものであり、不当労働行為であるとされた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集103集504頁 
評釈等情報  中央労働時報 1996年 1月10日  901号 42頁 

[先頭に戻る]

顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
神奈川地労委昭和62年(不)第22号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  昭和63年12月16日 
東京地労委 昭和62年(不)第12号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  平成 1年 8月 1日  
福島地労委 昭和62年(不)第7号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)   平成 1年10月24日 
静岡地労委 昭和62年(不)第1号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成 1年12月27日 
宮城地労委 昭和62年(不)第4号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)   平成 2年 2月28日 
中労委 平成 1年(不再)第91号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 8年 1月10日 
中労委 平成 2年(不再)第29号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 8年 3月 6日 
中労委 平成 1年(不再)第112号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 8年 5月 8日 
中労委 平成 2年(不再)第2号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 8年 5月 8日 
東京地裁平成 8年(行ウ)第38号 救済命令の全部取消し  平成10年 5月28日 
東京地裁平成 8年(行ウ)第122号 救済命令の全部取消し  平成10年 5月28日 
東京地裁平成 8年(行ウ)第124号 救済命令の全部取消し  平成10年 5月28日 
東京地裁平成 8年(行ウ)第65号 救済命令の全部取消し  平成10年 5月28日 
東京地裁平成 7年(行ウ)第303号 救済命令の全部取消し  平成10年 5月28日 
東京高裁平成10年(行コ)第115号 控訴棄却・控訴却下  平成12年11月 8日  
最高裁平成13年(行ニ)第5号・第6号 参加申立ての却下  平成14年 9月26日 
最高裁平成13年(行ツ)第59号 上告の棄却  平成15年12月15日 
最高裁平成13年(行ヒ)第56号(上告受理) 上告受理  平成15年12月15日 
最高裁平成13年(行ヒ)第56号(上告棄却) 上告の棄却  平成15年12月22日 
 
[全文情報] この事件の全文情報は約422KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。