労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東日本旅客鉄道(宮城不採用) 
事件番号  宮城地労委 昭和62年(不)第4号 
申立人  国鉄労働組合東日本本部 
申立人  国鉄労働組合仙台地方本部 
申立人  国鉄労働組合 
被申立人  東日本旅客鉄道 株式会社 
命令年月日  平成 2年 2月28日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  国鉄の分割民営化に伴い設立された会社が組合員X1及びX2を採用しなかったことが争われた事件で、組合員X1を採用したものとしての取扱い及びバックペイ、並びに組合員X3の退職するまでのバックペイ及びこれらに関する文書交付を命じ、バックペイの年5分加算等についての申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人東日本旅客鉄道株式会社は、申立人国鉄労働組合、同国鉄労働組合東日本本部及び同国鉄労働組合仙台地方本部所属の組合員X1を昭和62年4月1日をもって被申立人会社の社員として採用したものとして取り扱わなければならない。
2 被申立人東日本旅客鉄道株式会社は、X1に対し、昭和62年4月1日から同人を同社に就労させるまでの間、同社に採用されていたならば得たであろう賃金相当額(一時金を含む。)と申立外日本国有鉄道清算事業団において実際に支払われた賃金額(一時金を含む。)との差額を支払わなければならない。
3 被申立人東日本旅客鉄道株式会社は、申立人国鉄労働組合、同国鉄労働組合東日本本部及び同国鉄労働組合仙台地方本部所属の組合員X3に対し、昭和62年4月1日から平成元年2月28日に申立外日本国有鉄道清算事業団を退職するまでの間、同社に採用されていたならば得たであろう賃金相当額(一時金を含む。)と上記申立外事業団において実際に支払われた賃金額(一時金を含む。)との差額を支払わなければならない。
4 被申立人東日本旅客鉄道株式会社は、申立人国鉄労働組合、同国鉄労働組合東日本本部及び同国鉄労働組合仙台地方本部に対し、速やかに下記の文書を交付しなければならない。
                記
 昭和62年4月1日に実施された日本国有鉄道の分割民営化に伴う承継法人の職員の採用に関し、貴組合の組合員であるX3及びX1を採用しなかったことは、宮城県地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。よって、再びこのような行為を繰り返さないようにいたします。
                平成  年  月  日
国鉄労働組合
 執行委員長 X4 殿
国鉄労働組合東日本本部
 執行委員長 X5 殿
国鉄労働組合仙台地方本部
 執行委員長 X6 殿
             東日本旅客鉄道株式会社
              代表取締役 Y1
5 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1500 不採用
国鉄が組合員2名を新会社の職員となるべき者の名簿に登載しなかったことが不当労働行為であるとされた例。

4911 解散事業における使用者
国鉄による新会社の職員となるべき者の選定行為は設立委員がした行為に該当し、それは新会社がした行為となるので、その選定にあたり、不当労働行為が行われた場合には、その責任は、新会社に帰属するとされた例。

3900 「不利益の範囲」
本件不採用者2名は、採用された場合と比較して身分が不安定になり、収入も少なくなるという不利益を被ったとされた例。

4000 退職金等の受領
本件救済の対象者であるX2は清算事業団から退職金を受領し、依頼退職しているが、同人の不利益は残っており、国労組合員たる身分を維持しているので、申立人組合は、同人に関し救済を求める利益を有するとされた例。

4911 解散事業における使用者
労組法7条の「使用者」は、当該労働者を雇用しているものに限られず、その者との間にやがて雇用関係が成立する可能性が現実かつ具体的に存するものも使用者と解すべきであるとされた例。

5006 採用の請求
やがて雇用関係の成立する可能性が現実かつ具体的に存する場合には不当労働行為の成立の余地があり、雇入れの自由はその限度で制約されるとされた例。

5008 その他
国鉄改革諸法が労組法7条に優先して適用されるべき規定と解されない以上、救済命令に係る労働委員会の裁量権を制限する理由はなく、新会社職員選定の際に不当労働行為が行われた場合には、同選定名簿に記載される資格があるものとして取り扱うよう救済できるとされた例。

5006 採用の請求
労働委員会は、不当労働行為によって生じた侵害状態を是正するために、個々の事業に応じて適切な是正措置を決定し、これを命ずる権限を有するとして、会社への採用措置を求めることは労働委員会の権限を超える救済請求であるとする会社の主張が斥けられた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集89集561頁 
評釈等情報   

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
神奈川地労委昭和62年(不)第22号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  昭和63年12月16日 
東京地労委 昭和62年(不)第12号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  平成 1年 8月 1日  
福島地労委 昭和62年(不)第7号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)   平成 1年10月24日 
静岡地労委 昭和62年(不)第1号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成 1年12月27日 
中労委昭和63年(不再)第68号
中労委昭和63年(不再)第69号
全部変更(初審命令を全部取消し)  平成 7年10月 4日 
中労委 平成 1年(不再)第91号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 8年 1月10日 
中労委 平成 2年(不再)第29号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 8年 3月 6日 
中労委 平成 1年(不再)第112号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 8年 5月 8日 
中労委 平成 2年(不再)第2号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 8年 5月 8日 
東京地裁平成 8年(行ウ)第38号 救済命令の全部取消し  平成10年 5月28日 
東京地裁平成 8年(行ウ)第122号 救済命令の全部取消し  平成10年 5月28日 
東京地裁平成 8年(行ウ)第124号 救済命令の全部取消し  平成10年 5月28日 
東京地裁平成 8年(行ウ)第65号 救済命令の全部取消し  平成10年 5月28日 
東京地裁平成 7年(行ウ)第303号 救済命令の全部取消し  平成10年 5月28日 
東京高裁平成10年(行コ)第115号 控訴棄却・控訴却下  平成12年11月 8日  
最高裁平成13年(行ニ)第5号・第6号 参加申立ての却下  平成14年 9月26日 
最高裁平成13年(行ツ)第59号 上告の棄却  平成15年12月15日 
最高裁平成13年(行ヒ)第56号(上告受理) 上告受理  平成15年12月15日 
最高裁平成13年(行ヒ)第56号(上告棄却) 上告の棄却  平成15年12月22日 
 
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