概要情報
事件名 |
東日本旅客鉄道(福島不採用) |
事件番号 |
福島地労委 昭和62年(不)第7号
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申立人 |
国鉄労働組合 |
申立人 |
国鉄労働組合東日本本部 |
申立人 |
国鉄労働組合仙台地方本部 |
被申立人 |
東日本旅客鉄道 株式会社 |
命令年月日 |
平成 1年10月24日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
国鉄分割民営化に伴い設立された会社が、組合員X1ら6名を採用しなかったことが争われた事件で、(1)X1ら6名を社員に採用したものとしての取扱い、(2)就労すべき職場・職種についての申立人組合との協議、(3)バック・ペイ、(4)文書手交を命じ、陳謝文の掲示については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人東日本旅客鉄道株式会社は、別表記載の6名の組合員を昭和62年4月1日付で被 申立人の社員に採用したものとして取り扱わなければならない。 2 被申立人東日本旅客鉄道株式会社は、別表記載の6名の組合員の就労すべき職場及び職種 について、申立人らと協議しなければならない。 3 被申立人東日本旅客鉄道株式会社は、昭和62年4月1日以降別表記載の6名の組合員を就 労させるまでの間に、同人らが被申立人より受けるはずであった賃金相当額(既に日本国有 鉄道清算事業団から支払われた金額を除く。)を同人らに支払わなければならない。 4 被申立人東日本旅客鉄道株式会社は、本命令受領後速やかに、下記の文書を申立人らに手 交しなければならない。 記 平成元年 月 日 国鉄労働組合 執行委員長 X2 殿 国鉄労働組合東日本本部 執行委員長 X3 殿 国鉄労働組合仙台地方本部 執行委員長 X4 殿 東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役 Y1 当社が、昭和62年4月1日付で職員を採用するに当たり、貴組合の組合員、X1他5名を 採用しなかったことは、福島県地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3 号に該当する不当労働行為であると認められました。 よって、ここにその責任を認め、今 後このような行為を繰り返さないようにいたします。 5 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1500 不採用
国労組合員6名に対する国鉄の名簿不登載及び設立委員による不採用が不当労働行為であるとされた例。
3900 「不利益の範囲」
本件不採用者らは、経済的不利益があり、しかも精神的な苦痛を被っており、実質的には被整理解雇者に準ずるものといえるとされた例。
4417 条件付命令・協議命令
本件組合員の就労すべき職場、職種の決定については、会社の発足後の事情等を勘案して、労使間で協議するよう命じた例。
4911 解散事業における使用者
国鉄の名簿作成行為は、設立委員の指導監督のもとに行われた設立委員の補助者または補助機関としての行為であり、この行為の責任は設立委員が負い、承継法人に帰属するから、新会社は被申立人適格を有するとされた例。
4911 解散事業における使用者
国鉄と承継法人は、資産、役員、労働条件の継続、事業及び業務継続及び職員の採用等の実質的関係から、承継法人に被申立人適格があるとされた例。
5008 その他
本件職員の採用過程において不当労働行為が存在すると認められるときは、救済命令を発することは、労委の裁量権の範囲であり、採用の自由の法理に抵触しないとされた例。
5006 採用の請求
改革法が労組法の適用を排除するものではなく、職員の採用過程において不当労働行為が存在すれば、労委はこれを救済することができるとされた例。
5006 採用の請求
名簿に記載されていない職員について、改革法に基づかない採用が可能であるとされた例。
5143 不出頭・所在不明・消滅・死亡・承継
被申立人は、申立人申請証人の尋問を行った第6回から第9回までの審問はすべて欠席し、その後第11回審問のみ出席し、会社側証人の尋問を行った例。
5124 その他の審査手続
本件審問終結後、会社より審問再開の申立てがなされたが認められなかった例。
5121 挙証・採証
本件救済申立ての「不当労働行為を構成する具体的事実」の内容については、審査の過程で十分主張立証され、本件を不当労働行為であると判断したとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集88集66頁 |
評釈等情報 |
 
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