概要情報
事件名 |
東日本旅客鉄道(宮城不採用) |
事件番号 |
中労委 平成 2年(不再)第29号
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申立人 |
東日本旅客鉄道株式会社 |
被申立人 |
国鉄労働組合 |
被申立人 |
国鉄労働組合東日本支部 |
被申立人 |
国鉄労働組合仙台地方本部 |
命令年月日 |
平成 8年 3月 6日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、国鉄民営分割化に伴い設立された会社が組合員X1及びX2を採用しなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 初審宮城地労委は、X1の昭和62年4月1日付けで会社に採用したものとしての取扱い及び採用されていたら得られていたであろう賃金相当額と国鉄清算事業団で支払われた賃金との差額の支払い、X2の同日から平成元年2月28日に国鉄清算事業団を退職するまでの間の上記差額の支払い及びこれらに関する文書交付を命じ、バックペイの年5分加算等についての申立ては棄却した。 会社は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は初審命令の一部を変更し、X1については、昭和62年4月1日付けをもって採用したものとしての取扱い、同人の就労の諸問題についての組合との協議、国鉄清算事業団の解雇から就労するまでの間の賃金相当額の60%相当額の支払い及び文書交付を命じ、X2については、会社の採用候補者名簿不登載の理由とされる停職処分が相当でないと認められず、同人の不採用が不当労働行為とはいえないとして、同人についての初審救済部分を取り消した。 |
命令主文 |
I 本件初審命令主文を次のように改める。 1 再審査申立人東日本旅客鉄道株式会社(以下「会社」という。)は、再審 査被申立人国鉄労働組合所属組合員X1を、昭和62年4月1日をもって会 社の職員に採用したものとして取り扱わなければならない。 2 会社は、上記第1項を履行するに当たり、X1の就労すべき職場及び 職種について、再審査被申立人らと協議しなければならない。 3 会社は、X1に対して、平成2年4月2日から同人が就労するまでの 間、同人がその期間について昭和62年4月1日に会社に職員として採用されて いたならば得られたであろう賃金相当額の60パーセントに相当する額を支払わ なければならない。 記 昭和62年4月1日の採用においては、当社の職員として不採用とされた貴組 合の組合員であるX1について、不当労働行為に当たる行為があったと中央 労働委員会により認定されました。 今後は、法令を遵守し、正常な労使関係の形成に努めます。 平成 年 月 日 国鉄労働組合 中央執行委員長 X3 殿 国鉄労働組合東日本本部 執行委員長 X4 殿 国鉄労働組合仙台地方本部 執行委員長 X5 殿 東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役 Y1(印) |
判定の要旨 |
1500 不採用
国鉄改革に際し、新会社に採用を希望した国労組合員1名に対し、停職処分を理由に国鉄が採用候補者名簿に登載せず、その結果、これらの者を設立委員が新会社に採用すると決定しなかったことは不当労働行為ではないとされた例。
3604 労働者に落度がある場合
国鉄による停職処分は、ストライキの指導責任を理由とするものであり、当時、公労法下にあって、国鉄職員及び組合には争議行為が禁止されていたこと、被処分者は仙台地本の書記長であったことを考えると、国鉄が採用候補者名簿不登載の基準に該当することとなるような停職処分に付したことが相当でないということはできないとされた例。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
清算事業団の就職斡旋で民間企業に採用内定したにもかかわらず、自らの意思でそれに応じなかったのであるから、清算事業団法の趣旨に照らし、就労の意思を失ったとみなさざるをえず、被救済利益を失ったとの主張が斥けられた例。
4417 条件付命令・協議命令
昭和62年4月1日をもって新会社の職員に採用したものとして取り扱われる者の就労すべき職場・職種について、組合と協議することを命じた例。
4408 バックペイが認められなかった例
清算事業団を離職した平成2年4月2日から就労するまでの期間について、昭和62年4月1日に新会社に採用されていたならば得られたであろう賃金相当額の60%に相当する額の支払いを命じた例。
3421 使用者と取引関係者の言動
国鉄による承継法人の職員となるべき者の選定及び採用候補者名簿の作成は、承継法人の設立委員の補助機関として行ったものであり、その過程に不当労働行為と目される行為があった場合の不当労働行為責任は、設立委員に帰属するとされた例。
3421 使用者と取引関係者の言動
採用に関する最終的な権限を有する設立委員が負うべき不当労働行為責任は、改革法第23条第5項により、採用に関する設立委員に係る行為の結果とともに承継法人に帰属するとされた例。
5006 採用の請求
新規採用の法形式がとられたとはいえ、会社の職員の採用に当たって募集の対象が国鉄職員に限られる等、典型的な新規採用の場合とはその性質を異にしており、しかも本件不採用は不当労働行為に該当するのであるから、かかる場合の救済措置として、会社に採用を命じることには何ら問題はないとされた例。
1500 不採用
国鉄改革に際し、新会社に採用を希望した国労組合員1名について、同人の停職処分の対象とされた行為のうちには、名簿不登載の基準の基準日より前の行為が含まれており、これらの行為は同基準にいう非違行為に該当しない等として、国鉄が同人を採用候補者名簿に登載せず、その結果、設立委員が同人を会社の職員として採用しなかったことは、不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集104集578頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1996年6月10日 909号 18頁 
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