概要情報
事件名 |
東日本旅客鉄道(福島不採用)(丁事件) |
事件番号 |
東京地裁平成 8年(行ウ)第122号
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原告 |
東日本旅客鉄道株式会社 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
国鉄労働組合 |
被告参加人 |
国鉄労働組合仙台地方本部 |
被告参加人 |
国鉄労働組合東日本本部 |
判決年月日 |
平成10年 5月28日 |
判決区分 |
救済命令の全部取消し |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、国鉄改革の際、国労組合員が採用を希望した東日本旅客鉄道株式会社に不採用になったことをめぐり争われた事件で、初審地労委は、本件国労組合員を会社に採用しなかったことが不当労働行為に当たると判断し、昭和62年4月1日付けで採用したものとして取り扱い、旧国鉄での本務相当職に就かせること等を命じたところ、会社は、これを不服として再審査を申し立てた。中労委は、不採用に関して不当労働行為が成立する場合には、会社が責任を負わなければならないとして、初審地労委の判断を結論において支持し、本件国労組合員の不採用に関し、不当労働行為が成立すると判断し、昭和62年4月1日に採用したものとして取り扱うよう会社に命じた。会社はこれを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起していたが、同地裁は、救済命令を全部取り消した。 |
判決主文 |
1 被告が、中労委昭和63年(不再)第68号事件及び同年(不再)第69号事件(初審神奈川地労委昭和62年(不)第22号事件)について平成7年10月4日付けで発した命令、中労委平成元年(不再)第91号事件(初審東京地労委昭和62年(不)第12号事件)について平成8年1月10日付けで発した命令、中労委平成2年(不再)第29号事件(初審宮城地労委昭和62年(不)第4号事件)について平成8年3月6日付けで発した命令、中労委平成元年(不再)第112号事件(初審福島地労委昭和62年(不)第7号事件)について平成8年5月8日付けで発した命令及び中労委平成2年(不再)第2号事件(初審静岡地労委昭和62年(不)第1号事件)について平成8年5月8日付けで発した命令について、いずれもそのうち主文第1項の1号から4号まで及び第Ⅱ項を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とし、補助参加によって生じた訴訟費用は補助参加人らの負担とする。 |
判決の要旨 |
1500 不採用
4909 事業分離後の新企業体
4911 解散事業における使用者
改革法第二三条に基づく設立委員による採用行為は、新規採用に当たるとされた例。
1501 黄犬契約
新規採用は、「労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること」(一号)に当たる場合を除き、不当労働行為に該当しないとされた例。
1500 不採用
4909 事業分離後の新企業体
4911 解散事業における使用者
本件各命令が「設立委員が採用しなかったこと」という事実をもって不当労働行為に当たると判断していることは相当でなく、違法といわざるを得ないとされた例。
1500 不採用
4909 事業分離後の新企業体
4911 解散事業における使用者
本件各命令のように「国鉄が採用候補者の選定及びその名簿の作成を行うに当たって不利益取扱いをしたこと」という事実を根拠に、新会社に不当労働行為責任が帰属すると解することはできないとされた例。
1500 不採用
4909 事業分離後の新企業体
4911 解散事業における使用者
設立委員が組合差別を内容とする採用基準を定めた場合はこれが労組法七条一号の禁止する雇用条件を定めることに相当するとされた例。
1500 不採用
4909 事業分離後の新企業体
4911 解散事業における使用者
設立委員は、国鉄が採用の基準に反して採用候補者の選定・名簿の作成を行った事実がないか審査する権限等を有するとされた例。
1500 不採用
4909 事業分離後の新企業体
4911 解散事業における使用者
5006 採用の請求
労委が救済措置として命ずることができるのは、新会社に対し、採用するか否かを改めて判断し直すよう命ずることが限度であり、採用された者として取り扱うことまで命ずることはできないとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集33集432頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1998年6月 939号 27頁 
中央労働時報 野川忍 1999年7月 955号 2頁 
労働判例 1998年8月 739号 40頁 
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