概要情報
事件名 |
東海旅客鉄道(静岡不採用) |
事件番号 |
中労委 平成 2年(不再)第2号
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再審査申立人 |
東海旅客鉄道株式会社 |
再審査被申立人 |
国鉄労働組合静岡地方本部 |
再審査被申立人 |
国鉄労働組合 |
命令年月日 |
平成 8年 5月 8日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
国鉄改革の際に、静岡県内の国鉄労働組合の組合員であるX1(沼津保線区分会副執行委員長)が採用を希望した東海旅客鉄道株式会社に採用されなかったことが不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、初審静岡地労委は、X1を会社に採用しなかったことが不当労働行為に当たるとして、昭和62年4月1日付けで会社の職員として採用したものとしての取扱いを命じたところ、会社はこれを不服として再審査を申立て、中労委は初審命令主文の一部を変更したほかは、初審の判断を結論において支持した。 |
命令主文 |
I 本件初審命令主文を次のように改める。 1. 再審査申立人は、X1を昭和62年4月1日付けをもって再審査申 立人の職員に採用したものとして取り扱わなければならない。 2. 再審査申立人は、上記第1項を履行するに当たり、X1の就労すべ き職場及び職種について、再審査被申立人らと協議しなければならない。 3. 再審査申立人は、X1に対し、平成2年4月2日から同人が就労す るまでの間、同人がその期間について、昭和62年4月1日に再審査申立人に職 員として採用されていたならば得られたであろう賃金相当額の60%に相当する 額を支払わなければならない。 4. 再審査申立人は、本命令交付後速やかに再審査被申立人らに対して、次 の文書を交付しなければならない。 記 昭和62年4月1日の採用においては、当社の職員として不採用とされた貴労 働組合の組合員であるX1については、不当労働行為に当たる行為があった と中央労働委員会により認定されました。 今後は、法令を遵守し、正常な労使関係の形成に努めます。 平成 年 月 日 国 鉄 労 働 組 合 執行委員長 X2 殿 国鉄労働組合静岡地方本部 執行委員長 X3 殿 東海旅客鉄道株式会社 代表取締役 Y1(印) (日付は、交付の日を記入すること。) 5. 再審査被申立人らのその余の本件各救済申立てを棄却する。 II 再審査申立人のその余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
4911 解散事業における使用者
日本固有鉄道改革法では、設立委員に会社の職員の募集から採用の決定にいたるまでの最終的な権限と責任が与えられており、設立委員がなすべき採用手続の一部を委ねられた国鉄の立場は、設立委員の補助機関の地位にあったものと解されることから、国鉄が行った採用候補者の選定と採用候補者名簿作成の過程で、労働組合の所属等による差別的取扱いと目される行為があったと判断される場合、その責任は設立委員に帰属されることが法の趣旨に沿うものと解さざるを得ない。
4911 解散事業における使用者
設立委員と会社の関係について改革法は、会社の職員の採用に関し、設立委員のした行為は会社のした行為とする旨規定している。この規定は、会社の職員の採用に関する設立委員の行為について、その効果とともに責任も会社に帰属させようとするものといえる。したがって、採用に関する最終的な権限を有する設立委員が負うべき不当労働行為とされる行為の責任は、会社に帰属すると解することが相当である。
1400 制裁処分
X1に対する6ヵ月の停職処分は、<1>勤務時間中の約5分間の作業用シャツの洗濯<2>年休の時季変更及び休日出勤命令に従わなかったこと<3>管理職の業務指示に従わず、これに反論、反抗的な言動を行ったことを理由とするものであるが、<1>については軽微なもの<2>については時季変更が適切に行われたとは認められず、一方的に責めることはできないもの<3>についてはX4が同一の理由により減給処分を受けていることからすれば、相当ではない。
1400 制裁処分
X1に対する本件停職処分は相当でなかったにもかかわらず国鉄が処分を行ったことは、X1が年休の時季変更及び休日出勤命令に従わなかったことなどを捉え、組合所属あるいは組合活動を理由として不当に重い処分を行ったものとみざるを得ない。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
国鉄が、X1を採用候補者名簿に登載せず、その結果、設立委員が同人を会社の職員として採用しなかったことは、7条1号に当たり、かつ、そのことを通じて国労の弱体化を企図したものと認められるから、3号にも当たる。
5008 その他
本件の特殊性を総合的に考慮して、X1が清算事業団からの離職を余儀なくされた日から同人が就労するまでの間、同人がその期間について、会社に職員として採用されていたならば得られた賃金相当額の60%に相当する額の支払いをなすことを会社に命じることとする。
5006 採用の請求
5008 その他
本件においては、新規採用の形式がとられたとはいえ、会社の職員の採用に当たって募集の対象が国鉄職員に限られる等、典型的な新規採用の場合とはその性質を異にしている。しかも、X1の不採用は不当労働行為に該当するのであるから、かかる場合の救済措置として、労働委員会が会社に同人の採用を命じることには何ら問題はない。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集105集554頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1996年8月10日 911号 16頁 
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