教育研修
看護職員が自己の看護実践能力を把握し、目指す目標を明確にすることを目的に令和2年度6月より、沖縄愛楽園「看護職員能力開発プログラム」を導入しました。
はじめに
私たちは、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律(平成20年法律第82号)に基づき、入所者が居住する国立ハンセン病療養所等において、その生活環境が地域社会と孤立することなく、安心して豊かな生活を営むことができるような看護を実践しなければなりません。
私たちは国立療養所沖縄愛楽園の役割を果たすために求められる「看護の専門性を追求し、人間性豊かな思いやりのある看護師」を目指します。
自ら自己の能力を開発し、求められる看護師になっていくためには、リフレクションしながら乗り越える力を身につけ、目指す看護を実践し一歩ずつ踏み出していくことが必要です。
また、仲間や後輩との学び合いをとおして自律した看護職に向かっていくことが重要です。
このプログラムを手にした時が「高い倫理観に基づいて、理論と技術を持って、実践し、看護を創造する」看護師になるためのスタートです。
看護職員能力開発プログラムには専門職業人としての看護職のキャリアについて様々な道が開かれています。看護職員能力開発プログラムに沿って、看護実践能力の向上とキャリア形成を支援します。
私たち一人一人が、これまで築かれた高い看護実践能力を伝承するとともに、新たな看護を創造し続ける役割を担っています。社会の動向に対応し、国立ハンセン病療養所が果たす役割に応じた専門性の高い医療を提供し、地域のニーズに応え、国立療養所沖縄愛楽園の理念を実践していくことができるよう、共に学び合い成長していきましょう。
看護教育理念
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Ⅰ.国立療養所沖縄愛楽園看護部理念
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私たちは、ハンセン病療養所の情報発信に努め入所者の皆様に、納得と満足をしていただける質の高い看護・介護を提供いたします。
看護部の基本方針
入所者の皆様が生きてきた過去の体験に想いをよせ、ハンセン病後遺症による不自由な状況や心のいたみ・悲しみに対するいたわりを基盤に、適切な生活支援と環境の提供に努めます。また、看護の本質を追究し入所者・家族の意思を尊重し科学的で個別性のある看護・介護を提供します。
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Ⅱ.国立療養所沖縄愛楽園看護教育理念
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看護の専門性を追究し人間性豊かな思いやりのある看護師を育てる。
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Ⅲ.国立療養所沖縄愛楽園看護職員の教育目的・目標
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1.教育目的
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ハンセン病療養所における専門的知識・技術を身に付け、人権を尊重した質の高い看護を提供できる人材を育成する。
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2.教育目標
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1)ハンセン病後遺症や高齢者に必要な専門的知識・技術を有し、自ら看護が実践できる看護師を育成する。
2)高い倫理観に基づき、入所者に納得していただける質の高い看護が提供できる看護師を育成する。
3)多職種と協働し、ライフサポートが実践できる看護師を育成する。
4)園の運営に関心をもち、他部門と連携し自部署の課題解決にむけて行動がとれる看護師を育成する。
5)ケアリングやリフレクションを通して看護を振り返り、自身の看護観を高められる看護師を育成する。
6)看護研究を通して看護の本質を追究し、ハンセン病施設の看護を発信できる看護師を育成する。
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Ⅳ.看護職員の能力開発(研修)体系
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1.看護職員の能力開発(研修)体系の考え方
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沖縄愛楽園では、高い実践能力と看護を言語化できる能力を持ち、愛楽園 の理念に沿った看護を実践できる看護職を求めています。そのため、一人ひとりのキャリア形成を支援できる体制を整えました。最初は能力開発プログラムのレベルⅠ~Ⅳに示した能力を自ら段階的に修得していきます。その課程において実習指導者講習会や、幹部看護師任用候補者選考研修及び試験があり、後輩育成や看護マネジメントに関する知識を得ていきます。これらで得た能力を発揮する道として①専門性の高い看護職、②看護管理者、③看護教育者、④ジェネラリストがあります。
沖縄愛楽園では、厚生労働省や国立病院機構、大学院等の園内外の研修を受講する支援を行っています。
キャリアを形成する過程においては、リフレクションをしながら乗り越える力をつけ、一歩ずつ踏み出していくことが必要です。リフレクションとは自己の看護実践を注意深く振り返り、意味付けをし、次の実践に向かって再構築する力をつけて前向きになることであり、これこそがキャリア形成に繋がります。また、同僚・後輩との学び合いをとおして自律した看護職に向かっていくことが重要です。自律した看護職とはひとりで自己成長することではなく、チームで後輩を育み、お互いに学び合い、仲間の成長と自己の成長を承認し合ってこそ成り立つものです。
この看護職員の能力開発(研修)体系図は看護職を対象としたものを取り上げていますが、チーム医療を推進するために多職種が参加する研修もあります。
これらの研修の機会を獲得して、自己の成長につなげていきましょう。
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2.国立ハンセン病療養所 施設職員の能力開発(研修)体系図

Ⅷ.能力開発プログラム展開の実際
評価
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Ⅻ.ポートフォリオ
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1.目的
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看護師が自らの目標を持ち、獲得した能力や成果を蓄積し、発展させ、自己のキャリア開発を促進させるもとする。
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2.運用
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- 1)各個人でファイルし、管理する。
- 2)私のキャリア履歴ノート(No1)及び(No2) を記載する。
- 3)受講した研修は、その都度私のキャリア履歴ノート(No2)に記載する。
- 4)私の履歴ノート(No2)の 「将来の希望」や「取得したい資格」・「受講したい研修」に変更があった時は、その都度書きかえる。
- 5)記載時期は4月とし、記載後は看護師長へ提出する。
- 6)看護師長は面談時に(4月、10月頃)記載内容を確認し把握する。
- 7)休業・退職時は教育担当看護師長へ返却する。
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3.ファイリング内容と記載方法
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1)私のキャリア履歴ノート(No1)
- (1)研修コース
- ・過去3年間に受講した園内看護教育プログラムのコース名を記載する。
- (2)委員会活動記録
- ・過去3年間に担った園内委員会を記載する。
- (3)研究発表
- ・過去に行った研究発表を記載する。
2)私のキャリア履歴ノート(No2) *記載例参照
- ・受講した研修(園内・園外で受講)は、その都度記載する。
- ・レベルの記載は、初年度は暫定レベルを記載する。
- ・一口メモは、学んだことを記載する。
3)その他
*キャリアの履歴を示すものを自由にファイルする。
- ・論文やレポート
- ・委員会等の個人目標等
- ・修了証や認定証
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☆ポートフォリオは、個人の履歴ファイルです。大事な自分の成長記録となりますので、大切にファイルに綴っていきましょう。
☆資料やレポートなどは増えて行きます。各自で工夫して保管してください。