臨床を越えて制度を動かす面白さ

医系技官
保険局 医療介護連携政策課 医療費適正化対策推進室長
平成30年
行政の現場で制度を学び、社会と向き合う
入省当初は、臨床現場とは異なる行政の業務に戸惑いながら、自治体や事業所からの制度に関する問い合わせ対応に携わっていました。上司から「担当する制度については日本で一番詳しくならなければならない」と言われたことをきっかけに、制度の趣旨や背景を一つ一つ理解することに努めました。特に、介護医療院制度の創設期は、制度内容の周知・啓発のため全国各地を回り、自治体や関係者と直接対話を重ねました。制度を通じて現場や社会と向き合う経験は、行政官としての基礎を築く重要な時間だったと感じています。
感染症対策と、現場を踏まえた政策立案
コロナ禍では新型コロナウイルス感染症対策本部に所属し、コロナやインフルエンザを含む感染症対策に携わりました。流行の最中に対策を検討・実施する経験は、感染症行政の難しさと責任の重さを実感する機会となりました。また、兼業制度を活用して発熱外来やワクチン接種などの臨床現場にも関わり続けており、現場で感じた疑問や課題を政策に反映できる点に、医系技官ならではの意義を感じています。
同時に、HIV/エイズ、とりわけ血液製剤に起因する被害(いわゆるエイズ薬害)への対応にも携わり、全国各地で当事者の皆さんや医療従事者と直接協議しました。現場や患者から遠ざかりがちですが、当事者の声に触れることで「命を守る仕事」の原点を再確認しました。
ライフステージに応じて働き続けられる環境と働きがい
ライフステージの変化に応じて育児休業制度を利用し、一定期間仕事から離れる経験をしました。復帰後は、業務の繁閑や役割分担を踏まえながら、仕事と私生活のバランスを保って働いています。復帰後は保険局医療費適正化対策推進室に配属。医療費が伸びる中で、効率的・効果的な見直しを進めています。見直しにあたっては、患者や医療現場の納得を丁寧に得ることが不可欠です。そのため、医療現場で働いた経験をもつ医系技官の専門的知見が求められる場面が増えていると感じます。現場を理解した上で政策を検討・実行できることは医系技官の大きな強みであり、今後もその役割を担っていきたいと考えています。
医系技官に興味がある方にメッセージを
医系技官として働いて良かったと感じるのは、医師としての経験を生かしながら、制度という形で多くの人の健康や生活に関われる点です。自分が関わった制度や対策が全国で実際に運用され、現場からの声を直接聞けることには大きな手応えがあります。是非、一緒に体験しましょう。
