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大臣官房審議官(医薬担当) - 佐藤 大作
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食品衛生・技術審議官 - 中山 智紀
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薬系技官とは?

「薬系」技官とは言いますが、食品や薬、人の口に入るモノ全体に関係する仕事だと考えています。

その通りで、全体として医療や衛生とは関係しますが、人からアプローチするかモノからアプローチするかという点で言えば、薬系技官はモノからアプローチする技術的な仕事だと思いますね。

薬系技官というと薬の承認とか、製品を世の中に出す前のゲートキーパーのような印象を持たれている人が多いと思います。でも実際に働いてみると考えが変わり、むしろ交通整理役だと感じるようになりました。

確かに、そちらの方が近い様に感じますね。

例えば、とても性能のよい車を開発したとします。しかし、安全に道路を走るためにはルールを守らないといけないですよね。世の中の人に受け入れられるよう正しく車を走らせる必要があります。薬の承認も同様で、技術が適正に使われるように、社会と調和するように調整する仕事だと感じます。

他にも薬系技官が重要な役割を果たすところがあります。行政を動かしている人は法律や経済を学んでいる人が多いのですが、一方で技術的なことに不案内なことが多いので、技術的なことに不案内な人にもかみ砕いて説明できる力が大事です。そういうことをしっかりと行うことが、佐藤審議官の言われる調整をしていくには重要だと思います。

技術的な問題を国民の方にわかりやすく説明できる表現力は私も重要だと思います。薬を承認するだけでなく、市販後どのように使うのか、どのように価値を評価するのか。例として薬を挙げましたが、薬系技官は薬だけでなく食品等、あらゆる人の口に入る「モノ」の技術が適正に人に役立つように、社会との調和の上で最も望ましい姿に調整していく、それこそがレギュラトリーサイエンスを実践する仕事だと思います。
中央省庁以外での仕事の思い出は?

私はWHOで偽造医薬品の問題や、医薬品の品質ガイドラインの作成に携わりました。世界相手だとこれまでの常識とは異なります。熱帯地域など、日本とは違う環境で薬を使うのですから、違いを調整するのも非常に面白かったですね。自分の仕事が途上国の人達の役に立つ素晴らしい仕事だと感じました。

私は富山県に出向させていただいたことがあります。富山県は配置薬業が盛んだったので、薬を製造する技術や経験を持つ企業が多く、行政も薬事規制の組織と薬業振興の組織の両方を持つ珍しい自治体です。規制だけではなく、振興という面で地域の薬の製造や開発をいかに盛り上げていくか考えていくのは非常に面白かったです。私の前後の歴代(7代16年)の出向者の努力の積み重ねにより、最終的に当時の知事から厚労省からの薬系の出向で来た歴代課長には本当によくやってもらったと最近、言っていただきました。とても嬉しく、感慨深いものがあります。
今までの経験も踏まえて薬系技官の醍醐味とは?

技術系行政官という意味で言うと、新しい制度をつくることができるのはすごく面白いですよね。規制行政と聞くと、出来上がった規制に縛られてしまう印象があると思います。しかし、行政官には、その規制を自ら変えることができます。それこそがこの仕事の醍醐味だと思うのです。

私も同感です。

国民が再生医療にアクセスしやすくするために、平成25年に再生医療の特性に合った新しい法律の作成に携わりました。新しいモダリティのあるべき姿を見据えて、新しい制度を作るというのは、厚生労働省にいないとできない仕事だと思います。法改正から10年たって、その制度が機能して国民の役に立っているのは非常に嬉しいことです。

佐藤審議官は薬事に長く携わっていますが、私は薬事ではない業務に長く携わってきました。一番印象的だったのは平成30年度薬価制度改革で、その中でも特に長期収載品の薬価制度改革が印象に残っていますね。後発品が販売されている先発品を長期収載品と言いますが、これは薬価が後発品に比べて高くて一定程度売れるため、特許が切れても長期収載品に依存して企業は収益が得られるし、患者負担が増えることが問題視されてきた状態でした。イノベーションの促進や医療費の抑制といった観点で昔から長期収載品の薬価の仕組みを変える必要があるという議論はずっとありましたが、中々進まないところがありました。ですが、私は部下の皆さんの協力のもと、後発品と同レベルまで薬価を下げていく仕組みを思い切って導入しました。本来こうあるべきというものを制度として実現できるのが行政の醍醐味なのだと思いますね。

仕事を進める中では、若い人もチームの中で話し合って、あるべき姿論を戦わせて納得するまで議論し合うのも仕事の醍醐味だと思いますね。その議論の上で、若手でも自分が一緒に作った制度が役に立っている実感があること、やりがいがあったなと感じることができる職場だと思います。
学生にひとこと

政策を提言するような仕事は色々ありますが、その政策を自ら実現することができるのはこの仕事しかないと思います。あるべき姿を実現に持って行けるのです。

それを実現するには力もいるし、勇気もいる。強い覚悟が必要です。評論するのではなく、目の前にある様々な課題について自ら解決策を考え、関係者を調整して進んでいく必要があります。

でもそれこそが醍醐味だと思うのです。

そうですよね。私も行政の世界は自分の立案したものを実現できる場所だと思っています。いろいろな職がありますが、わが国の様々な社会的課題解決のため国の行政を担う薬系技官として活躍したいと思って貰いたいですね。

技術系のインプットがないと厚生労働行政は動きません。是非薬系技官の扉をたたいてみて欲しいですね。