概要情報
事件名 |
商大自動車教習所 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和47年(不)第42号-2
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申立人 |
総評全国一般労組全自動車教習所労働組合 |
申立人 |
商大自動車教習所労働組合 |
被申立人 |
株式会社 商大自動車教習所 |
命令年月日 |
昭和48年 5月18日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
就業規則違反を理由とする組合長の譴責処分、36協定無締結を口実とする申立組合員に対する時間外労働拒否等をめぐる事件で、譴責処分の取消し、時間外労働の手当相当額の支給、陳謝文の手交を命じ、他は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、X1に対し、昭和47年6月29日づけの譴責処分がなかったものとして取り扱わなければならない。 2 被申立人は、申立人らの組合員(ただし、被申立人の従業員に限る)に対し、昭和47年6月16日から同年9月15日までの間の時間外労働および休日労働の手当相当額を、下記の方法により算出して、それぞれ支払わなければならない。 記 (1) 各人の時間外労働および休日労働の1カ月当たりの時間数は、昭和47年6月15日以前3カ月間の時間数の月平均とすること (2) 金額は、昭和47年9月16日づけ「時間外労働および休日労働に関する協定書」の算出方法により算出すること 3 被申立人は、申立人らに対し、下記のとおりの陳謝文をそれぞれ手交しなければならない。 ただし各陳謝文の名あて人は、手交先の申立人名とする。 記 年 月 日 殿 株式会社商大自動車教習所 代表取締役 Y1 当社は、昭和47年5月11日以降の貴組合のビラはりや組合旗掲揚の行為に対し、その撤去を求める通告をし、また同月25日、会社においてビラを撤去しましたが、これらの行為は労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為でありましたので、ここに陳謝します。 以上、大阪府地方労働委員会の命令により手交します。 4 申立人らのその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
0420 その他の争議行為
争議中に組合が貼付したビラは、その内容、貼付した場所、枚数などからみて、特に問題とするほどのものでなく、さらに本件労使紛争の経緯、団交に関する会社の態度などを総合すれば、本件ビラはり等の行為は争議中の正当な組合活動の範囲をこえたものとはいい得ない。
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
36協定無締結を理由に、組合員に残業をさせなかったことは、会社が、団交ルールの確立を団交開始の条件であると固執し、組合が前提条件を撤回しない限り団交しないとする態度にでたことを奇貨として、前記理由を口実に組合員の賃金の減収をはかったものと解されるから、7条1・3に該当する。
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
就業時間中の組合活動に対して、就業規則上は最も軽易な処分であるとはいえ、注意などにとどめずいきなり懲戒処分である譴責処分としたことは従前の取扱い例からみて、酷に過ぎると思料され、さらに当時は争議中でX1が組合長であることを考えると、本件譴責処分は、同人の離席問題に藉口してなされた同人の組合活動に対する報復的処分であり、両組合の共の共闘体の弱体化を意図した不当労働行為といわざるを得ない。
3020 組合活動への制約
争議中に会社が組合に対して、貼付したビラの撤去を通告し、かつ、自力で撤去したことは、ビラの貼付が正当な組合活動と認められる以上、正当な組合活動に制肘を加える意図をもって阻害したものと認められるから、支配介入である。
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
会社の許可を得ずに行なった就業時間中の組合活動に対する警告は、就業規則上の処分でないことはもとよりこれに代わる処分とも認められず、単に、手続の厳正を求めて注意を促したものと思料されるから、組合活動に対する干渉ないしは妨害であるとする組合の主張は採用できない。
2620 反組合的言動
3411 その他の従業員の言動
X2、X3両名が両組合の合同集会を行なっていた分会の組合事務所にきて、両組合員らとの間に応酬がかわされた結果、同集会が一時中断したが、両名の行動が会社の意を受けてなされたと認めるに足る疎明はないので、不当行動とはいいえない。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集50集276頁 |
評釈等情報 |
労働経済判例速報 昭和48年10月20日 828号(24巻29号) 14頁 
労働判例 1973. 8.15 179号 81頁 
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