概要情報
事件名 |
商大自動車教習所 |
事件番号 |
東京地裁昭和49年(行ウ)第125号
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原告 |
株式会社 商大自動車教習所 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
全国一般労働組合大阪府本部全自動車教習所労働組合 |
判決年月日 |
昭和63年 3月24日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
(1)会社が時間内組合活動に対する賃金カットの取扱いを変更したこと、(2)一方的に二部制の勤務体制を実施したこと、および(3)組合が二部制に反対していることを理由として組合員の時間外就業を拒否したことをめぐる事件で中労委は、(1)、(2)の点については申立を棄却した初審命令を支持し、(3)については初審救済命令中時間外手当相当額支払いの部分につきその算定方法を修正した。この中労委の救済部分を不服として、会社は行訴を提起したが、地裁は請求を棄却した。 |
判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用(補助参加によつて生じた費用を含む。ただし、X1、X2、X3、X4及びX5の補助参加の申立てにかかる費用は除く。)は原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
6140 訴の利益
救済命令等の取消訴訟では、不当労働行為の成否、事実認定及び法解釈、救済の必要性の判断は、救済命令が発せられた時点(処分時)を基準としてその適否を判断すべきであり、命令後の事情変更は訴えの利益の問題と考えられる。
6140 訴の利益
命令後の事情変更は、訴えの利益の問題と考えられるから、命令後に分会員全員を除名して申立人組合が消滅したから命令は取り消されるべきとの会社の主張は、本件命令の取消事由となりえない。
4831 組織変更
命令の名宛人である申立人組合が命令後に分裂したが、補助参加人組合は申立人組合の規約を承継するなど同一性を有し、会社内に救済対象者が存しているから、会社内に申立人組合員が存せず、命令は取消さるべきとの会社の主張は採用しない。
6160 訴訟参加
補助参加人との命令の申立人である組合の間に同一性が認められるから、その同一性がないことを理由に補助参加を認めるべきでないとの会社の主張は理由がない。
2901 組合無視
3103 労働協約締結をめぐる行為
勤務体制の二部制を前提とする36協定を締結し、組合が二部制に合意しないことを理由に36協定の締結を拒否し、組合員に時間外勤務や検定業務をさせなかったことを不当労働行為とした労委命令の認定・判断は相当である。
5001 将来における予防、不特定な内容の請求
「過去の実績を勘案して」時間外勤務手当相当額等の支払いを命ずる命令主文は、解釈が多義にわたるものの、その命令が履行できない程に内容が不特定ということはできず、この程度の多義性をもって命令を無効とする理由にはならない。
5008 その他
二部制勤務の労働者が、遅出組のみの勤務をする組合員に比し労働条件で特段の不利益を受けている事情もないから、命令は時間外勤務の差別の廃止を命ずるにとどまり、逆差別を命じているとはいえず、労委の裁量を超えているとはいえない。
5007 謝罪・陳謝・誓約文の手交・掲示
「ここに陳謝するとともに」とのポストノーティス命令を中労委が維持したことは適切でないが、該命令が原告の良心の自由を犯し憲法19条に違反するとまではいえない。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集23集54頁 |
評釈等情報 |
判例時報 1275号 133頁 
労働判例 516号 52頁 
労働法律旬報 1200号 61頁 
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