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結果の要旨


1 事業所調査
(1)快適な職場環境づくりについて   問題点は資金とノウハウ −
    快適な職場環境づくりの取組状況を項目別にみると、「改善済である」とする事業所の割合は、「休憩時間の快適化」(70.8%)や「採光、色彩等の快適化」(69.2%)、「職場における喫煙対策」(67.6%)、等の「職場の安全衛生面での向上対策」に関する項目で高くなっている(第1表)。
 快適な職場環境づくりを進める上での主な問題は「資金面」であるが、「作業強度、難度等の労働の質・内容的改善」に関する項目では「技術的に難しい」、「改善のイメージがつかめず具体化しにくい」といったノウハウに関する問題も多くなっている(第2表)。

(2)有害業務について   設備対策を行っている事業所は9割 −
    有害業務のある事業所は32.6%となっている。
 有害業務の種類別にみると、「有機溶剤業務」(20.4%)及び「粉じん作業」(13.7%)の割合が高くなっている(第3表)。
 主な有害業務(鉛業務、粉じん作業、有機溶剤業務及び特定化学物質を製造し又は取り扱う業務)がある事業所のうち、「設備対策あり」とする事業所が各業務とも9割であり、前回調査と比較して、設備対策を行っている事業所の割合が増加している(第5表)。

(3)化学物質の管理状況について   事業所規模が大きいほど、化学物質等安全データシート
(MSDS)の添付、周知の割合が高い −
     化学物質取扱業務がある事業所のうち、化学物質等安全データシート(MSDS)を何らかの形で添付している事業所(「添付している」と「一部のものは添付している」を合わせたもの。)は57.4%であり、そのうち82.9%の事業所で常時内容を確認できるようになっている。
 事業所規模別にみると、500人以上の各規模では9割以上の事業所で添付及び周知しており、規模が大きいほどその割合が高い(第12表)。

(4)深夜業務従事労働者の健康管理等について   深夜業務従事労働者に配慮を行っている事業所は9割 −
     「深夜業に従事する労働者がいる」とする事業所は21.9%であり、事業所規模別にみると、規模が大きいほど割合が高く、500人以上の各規模では8割以上の割合となっている。
 産業別にみると、道路貨物運送業で43.2%と割合が高い。勤務形態別にみると、道路貨物運送業では「常夜勤務」の割合が61.0%と高いのに対し、他の産業では「深夜交替勤務」の割合が高い(第13表)。
 「深夜業に従事する労働者に何らかの配慮を行っている」とする事業所は90.0%である。事業所規模別にみると、どの規模の事業所でも「配慮を行っている」とする割合は8割以上であり、規模が大きいほど「健康管理相談窓口の設置」を行っている割合が高い(第14表)。


2 労働者調査
(1)職場環境について   職場の換気、騒音に対して妥当と思う労働者は5割以下 −
     職場環境に対する個別の評価では、「採光又は照明」、「振動」、「湿度」、「気温」で「適当」あるいは「気にならない」とする労働者が7〜8割で高く、「換気」、「騒音」では5割を下回っている(第1図)。
 作業場所における総合的な快適度について労働者の評価をみると、「快適である」とする労働者は30.5%である(第17表)。
 今後改善して欲しい項目としては、「機械等のレイアウトや作業空間の適正化」(31.9%)、「休憩時間の快適化」(29.5%)、「作業の性質に係わりなく生じる劣悪環境の改善」(25.4%)などとなっている(第18表)。
 事業所調査と比較すると、これらの事項は事業所も同様に重視しているが、この他、事業所では労働者に比べ「職場における喫煙対策」を重視する割合が高く、一方、労働者は、事業所に比べ「作業強度、難度等の労働の質・内容的改善」に関する事項及び「休憩時間の快適化」を望む割合が高くなっている(第2図)。

(2)有害業務について 有害業務に対する認識及び教育等は不十分 −
     有害業務従事労働者のうち自分の業務を有害業務として認識している労働者の割合は56.6%にとどまっており、中でも「重量物を取り扱う業務」(45.0%)、「振動工具による身体に著しい振動を与える業務」(48.4%)については、有害業務として認識があるとする労働者が半分以下である(第19表)。
 有害業務従事労働者で有害業務について教育等を受けたことがある労働者は64.4%であるが、そのうち85.3%の労働者が役立っているとしている(第20表)。

(3)深夜業務の従事状況について   従事期間が長いほど、体調の変化があったとする割合が高い −
     深夜業務に従事する労働者の中で、深夜業務につく前と比較して体調の変化があったとする労働者の割合は36.1%である。
 また、深夜業務に従事している期間が長いほど、体調の変化があったとする労働者の割合が高い(第24表)。


3 ずい道・地下鉄工事現場調査
(1)可燃性ガス発生のおそれのある工事現場の状況   ガス自動警報装置の設置割合は約8割 −
     可燃性ガス発生のおそれのある工事現場の割合は8.3%で、このうち作業開始前に可燃性ガス濃度の測定を実施している工事現場の割合は98.2%である(第26表)。
 ガス自動警報装置を設置している工事現場の割合は80.0%であり、前回調査より1.7ポイント増加している(第28表)。

(2)粉じん抑制対策等の状況   粉じん発生源に対する抑制措置の実施率は上昇 −
     粉じん発生源に対する抑制対策の実施率は、「坑内において鉱物等を動力により掘削する箇所」の「衝撃式さく岩機を用いる箇所」が95.5%、「衝撃式さく岩機を用いない箇所」が81.2%、「ずり積み機等車両系建設機械により積み込み・積み卸す箇所」が73.9%、「コンベアー(ポータブルコンベアーを除く)へ積み卸す箇所」が71.0%等となっており、前回調査と比較して、どの作業箇所も実施率が上昇している(第30表)。
 粉じん濃度の測定結果を各測定場所毎の測定値でみると、「コンクリート吹き付け位置付近」、「吹付機、掘削機等の運転者位置付近」では、粉じん濃度目標レベルである3mg/立方メートル以下を示している工事現場は5割に達していないが、他の箇所では6割以上が3mg/立方メートル以下となっている(第34表)。

(3)機械、装置等の状況   自動化又はロボット化された建設機械の導入が進む −
     自動化又はロボット化された建設機械の導入工事現場の割合は40.2%で、前回調査と比べ、吹き付け機械、せん孔装置を中心に導入が進んでいる(第35表)。
 自動化又はロボット化された建設機械に対する安全対策は99.3%の工事現場で実施されている(第36表)。


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