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平成14年全般コード化情報集計結果(第8回事例検討作業部会公表資料)
1. | 分析対象の全般コード化情報
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2. | 分析方針 |
1) | 収集した事例について,頻度を単純集計した.なお,発生場面,発生内容については,患者の性別ごとの集計も行なった. |
2) | 収集した事例について,項目間の相互関係を把握するため,それらのクロス集計を行なった. |
3) | 報告事例の多い「処方・与薬」「ドレーン・チューブ類の使用・管理」「療養上の世話,療養生活の場面」および影響度の大きい事例の割合が高い「医療機器の使用・管理」「輸血」については,該当するデータを抽出のうえ,項目間のクロス集計を行なった. |
3. | 分析項目 |
<単純集計>
以下の項目について単純集計を行なった.
・ | 発生月 |
・ | 発生曜日 |
・ | 発生時間帯 |
・ | 発生場所 |
・ | 患者の性別 |
・ | 患者の年齢 |
・ | 患者の心身状態(多重回答) |
・ | 発見者 |
・ | 当事者の職種(多重回答) |
・ | 当事者の職種経験年数 |
・ | 当事者の部署配属年数 |
・ | ヒヤリ・ハット事例が発生した場面 |
・ | ヒヤリ・ハット事例が発生した要因(多重回答) |
・ | 間違いの実施の有無および事例の影響度 |
<クロス集計>

4. | 分析結果 |
1)全事例【33524事例】
○発生時間帯【図1−3】
6〜7時台になると増加し、8〜11時台にほぼピークとなり、12〜19時まではやや減るもののほぼ一定頻度となり、20時以降減少するという日内変動を示している。
○患者の性別【図1−5】
男性患者に発生したヒヤリハットの件数が女性患者よりも多く、約1.3倍となっている。患者調査によると、入院患者数、外来患者数ともに女性のほうが多いので、男性患者には何らかのリスク要因があることが示唆される。
○患者年齢【図1−6】
71〜80歳、61〜70歳、51〜60歳の順に多く、この3区分で約半数を占めており、中高齢患者のリスク要因が高い可能性がある。また、0〜10歳も7%程度発生しており、小児も何らかのリスク要因を有する可能性がある。
○発見者【図1−8】
当事者本人が発見する事例が最も多く(14439例、43%)、次いで同職種者(10635例、32%)、他職種者(4325例、13%)となっている。
○職種経験年数、部署配属年数【図1−10、1−11】
職種経験年数、部署配属年数ともに年数0年によるヒヤリハットが最も多く、年数がたつにつれて件数も減少している。新入職員および部署異動後の教育・指導体制の充実が求められる。
○発生場面【図1−12】
高頻度群として処方・与薬(10367例、31%)、ドレーン・チューブ類の使用・管理(4663例、13%)、その他の療養生活の場面(3800例、11%)となっており、これらで全体の半数以上を占めている。
○発生要因【図1−13、表1−1】
これまでと同様、「確認」「観察」「勤務状況」「心理的状況」「判断」が発生要因として多く挙げられている。具体的には「確認が不十分であった」「観察が不十分であった」「判断に誤りがあった」「多忙であった」などが上位に挙げられている。
○影響度【図1−14】
間違いが実施された事例の割合が64%に達していた。
2)処方・与薬
○発生時間帯【図2−3】
8〜9時台および18時〜19時台に発生頻度が二峰性となっている。
○患者の性別【図2−5】
男性5038例(49%)、女性3825例(37%)と、男性のほうが多い。
○発見者【図2−8】
当事者本人による発見よりも同職種者が発見するケースの方が多い。全事例では当事者本人による発見が多いので、処方・与薬の発見者における特徴といえる。
○発生場面、発生内容・詳細【図2−12、図2−13−(2)】
内服薬、末梢静脈注射の順で多い。また無投薬が861件と全体の23%を占める。
○影響度【図2−15】
間違いが実施された事例が8173例、79%となっており、未然に防止しにくい。
3)ドレーン・チューブ類の使用管理
○発生曜日【図3−2】
発生曜日による頻度の差は少なく、土曜・日曜なども平日と同様の発生状況となっている。
○発生時間帯【図3−3】
6〜7時台と22〜23時台にピークがあるが、全体として時間帯による差はすくない。
○患者の性別【図3−5】
男性2555例、女性1547例と、男性のほうが約1.7倍の発生頻度となっている。
○患者の心身状態【図3−7】
床上安静、意識障害の患者で多く発生しており、自己抜去などの原因となっている可能性がある。
○発生場面・詳細、発生内容・詳細【図3−12、図3−13】
中心静脈ライン、末梢静脈ライン、栄養チューブで全体の60%以上を占めていた。
その原因は自己抜去が2260件で全体の48%を占めていた。
○発生要因【図3−14】
「観察が不十分であった」がもっとも多く報告されており、リスクのアセスメントと患者観察の充実など、なんらかの対応が求められる。
○影響度【図3−15】
「間違いが実施」が3422例、73%を占める。実施前に発見したが実施されていれば患者への影響は大きい(生命に影響)と思われる事例が48例(1%)あった。
4)医療機器の使用・管理
○発生曜日【図4−2】
水曜日にやや発生頻度が多いが、理由は不明である。
○発生時間帯【図4−3】
日勤帯(8時〜17時台)に多いが、10〜11時台と14〜17時台に発生頻度が多い。
○患者の性別【図4−5】
男性526例(49%)、女性378例(35%)と、男性の発生が多い。
○発見者【図4−8】
当事者本人と同職種者による発見がほぼ同じである。
○職種経験年数【図4−10】
0年の発生が多い。1年目以降は発生頻度は少ないものの、年数による減少傾向はゆるやかで、経験蓄積によるヒヤリハット予防効果があまり見られない。
○発生場面・詳細、発生内容・詳細【図4−12、図4−13】
人工呼吸器、輸液・輸注ポンプ、酸素療法器で全体の70%を占める。
設定忘れ・電源入れ忘れ、条件設定間違い、医療用具の点検管理ミス、医療用具の不適切使用の順で多い。
○影響度【図4−15】
実施されていれば患者への影響は大きい(生命に影響)と思われる事例が43件(4%)発生している。
5)輸血
○発生曜日【図5−2】
週日中とくに火曜日と金曜日に多いが、その理由は不明。
○発生時間帯【図5−3】
日勤帯に多く発生しているが、その中でも16-17時台と10-11時台にピークがある。
○発生場所【図5−4】
病室、ナースステーション、薬局・輸血部の順に多い。
○患者の性別【図5−5】
男性が女性の1.5倍多い。
○患者の年齢【図5−6】
61歳〜70歳,0歳〜10歳にピークが見られた。
○発見者【図5−8】
他職種者、同職種者、当事者本人の順で多い。
○職種経験年数【図5−10】
職種経験0年の発生頻度が多い。
○発生場面、発生内容・詳細【図5−12、図5−13】
輸血実施、輸血検査場面で全体の70%を占める。
その他のエラーを除けば、輸血検査、結果記入・入力間違い、クロスマッチ間違い、検体取り違えの順で多かった。
○発生要因、詳細【図5−14、表5−1】
発生要因として確認、心理的条件、勤務条件をあげるものが多かった。
○影響度、発生内容×影響度【図5−15、図5−16】
「間違いが実施」が147件(46%)となっており、実施前に発見したが実施されていれば患者への影響は大きい(生命に影響)と思われた事例が49件(1.5%)もあった。
これらにはクロスマッチ間違い、結果記入・入力間違い、輸血検査のその他のエラーの順に多かった。
6)療養上の世話等
○発生曜日、発生時間帯【図6−2、図6−3】
曜日の差は認められないが、時間帯による発生頻度は6〜7時台の起床時にピークが認められるが日中と夜間の差はすくない。
○発生場所【図6−4】
発生場所は病室、その他病棟内、廊下,トイレの順である。
○患者の性別【図6−5】
男性3149件、女性2374件で、男性は女性の1.3倍の頻度である。
○患者の心身状態【図6−7】
「歩行障害」「下肢障害」を有する患者による発生が多く、転倒・転落のアセスメントなど十分な対策が求められる。
○発見者【図6−8】
3675件(55%)は「当事者本人」が発見している。また、「患者本人」、「家族・付き添い」、「他患者」が発見するケースは合計1247件(19%)発生している。
○発生場面・詳細、発生要因【図6−12、図6−13】
発生場面としてはその他の場面をのぞけば移動中が多い。発生要因として「患者・家族への説明」を報告する事例が1425件あり、十分な説明と患者の理解促進が期待される。
○影響度【図6−14】
間違いが実施されたケースが4090例(61%)あり、また実施前に発見されたが、生命への影響度が大と考えられた例が55件(0.8%)あった。
○発生内容×影響度【表6−2】
転倒が3739件、転落1179件で全体の74%を占める。
7)その他(発生場面×発生内容・クロス集計)
○発生場面×発生内容(オーダー・指示出し、情報伝達過程)【表7−1】
オーダー・指示出し、情報伝達過程では、オーダー・指示出し、文章による指示受け、口頭による指示受けで全体の67%を占めていた。
○発生場面×発生内容(与薬準備、処方・与薬)(再掲)【表7−2】
内服の無投薬が1473件で全体の50%を占めていた。つぎに末梢静脈点滴の投与速度速すぎが587件(20%)、内服の与薬時間・日付間違いが455件(15%)であった。
○発生場面×発生内容(調剤・製剤管理等)【表7−3】
内服薬の数量・間違い調剤が224件(14%)、内服薬の薬剤取り違え調剤が210件(13%)、注射薬の取り違い調剤が134件(8%)であった。
○発生場面×発生内容(手術等)【表7−4】
診療・治療等のその他エラーが全体の50%を占めていた。そのうち術後処置、リハビリ、術前準備の順で発生場面として多かった。
○発生場面×発生内容(処置)【表7−5】
その他処置の未実施・忘れが24件、尿道カテーテル、末梢静脈ラインの方法(手技)の誤りがそれぞれ15件、8件であった。
○発生場面×発生内容(ドレーン・チューブ類の使用・管理)(再掲)【表7−6】
自己抜去が栄養チューブ658件、末梢静脈ライン457件、中心静脈ライン371件など合計2260件で、全体の49%ほぼ半数を占めていた。次に自然抜去で、栄養チューブ、中心静脈ラインの順で多く合計568件(12%)であった。
○発生場面×発生内容(医療機器等の使用・管理)(再掲)【表7−7】
人工呼吸器の組み立て52件、点検管理ミス50件、その他の使用管理エラーが75件合計332件(33%)あった。ついで輸液・ 輸注ポンプの設定忘れ・電源入れ忘れが69件、条件設定間違い47件など合計256件(25%)、酸素療法機器の条件設定間違い25件、点検管理ミス23件など合計115件(11%)であった。
○発生場面×発生内容(輸血)(再掲)【表7−8】
輸血のその他のエラー108件をのぞけば、輸血検査のエラー31件,輸血検査の結果入力、クロスマッチ間違いがそれぞれ20件あった。
○発生場面×発生内容(検査)【表7−9】
採血検査が788件(34%)で、内訳はその他の検査エラー202件、検体採取時のミス193件、患者取り違えが119件であった。次いで血糖検査(病棟での)が多く、238件(10%)を占めていた。
○発生場面×発生内容(療養上の世話)(再掲)【表7−10】
転倒が3741件(48%)で、その内訳は移動中1107件、患者観察321件、排泄介助290件であった。つぎに転落が1180件(15%)であった。
○発生場面×発生内容(物品搬送等)【表7−11】
検査・処置・与薬指示表の管理ミスが235件(21%)を占め、次いで検査データ管理ミスが214件(19%)で、次いで患者・家族への説明不十分が103件(9.5%)を占めていた。
以上
図表目次
1)全事例
2)処方・与薬
3)ドレーン・チューブ類の使用・管理
4)医療機器の使用・管理
5)輸血
6)療養上の世話等
7)その他(発生場面×発生内容・クロス集計)
(平成14年報告事例 33524件)
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