概要情報
事件名 |
オリエンタルモーター(賃金差別) (訴訟参加申立て)
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事件番号 |
東京地裁平成13年(行ク)第38号
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参加申出人(本案事件被告補助参加人ら)
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全日本金属情報機器労働組合千葉地方本部オリエンタルモーター支部
個人12名
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相手方(本案事件原告)
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オリエンタルモーター株式会社
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相手方(本案事件被告)
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中央労働委員会
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決定年月日 |
平成13年7月17日
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決定区分 |
訴訟参加申立ての認容
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重要度 |
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事件概要 |
1 会社が、組合員9名に対し、組合活動を理由として他の従業員と仕事上及び等級、昇給、賞与について賃金上の差別的取扱いをしたことが、不当労働行為に当たるとして千葉地労委に救済申立てがあった事件である。
2 千葉地労委は、組合員8名に対する新賃金制度に沿った賃金の見直し及びそれに伴う差額賃金(年5分加算)の支払、死亡した組合員X1の承継人である相続人に対するX1の死亡退職時までの差額賃金の支払、組合員に対する仕事上及び賃金上の差別取扱いによる支配介入の禁止を命じ、併せて文書手交及び文書掲示を命じた。なお、支配介入行為による団結権の侵害に対する損害賠償請求については、棄却した。
会社は、これを不服として、再審査を申し立てたところ、中労委は、初審命令を一部変更(賃金の見直しにおける算定年度の変更、等級の是正等)し、その余の再審査申立てを棄却した。
本件は、会社が、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したため、組合らが、同地裁に対して行訴法22条1項に基づく訴訟参加申出を行った事件であるが、同地裁は、組合らの訴訟参加を許可した。
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決定主文 |
補助参加人らの行訴法22条1項に基づく参加申出を許可する。
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決定の要旨 |
1 取消訴訟の係属
会社が中労委に対し、中労委の発した救済命令中、会社の再審査申立てを棄却した部分の取消しを求めて本案事件を提起し、同訴訟が当裁判所に係属していることは明らかである。
2 組合らが行訴法22条1項にいう「訴訟の結果により権利を害される第三者」に当たるか
行訴法22条1項にいう「権利」には、広く「法律上の利益」も含むと解するのが相当であるところ、労働委員会による不当労働行為の救済は、不当労働行為を排除し、救済申立人である労働者又は労働組合について不当労働行為がなかったと同じ事実上の状態を回復させることを目的とするものである。
救済命令は、使用者に対し、不当労働行為の排除に必要な一定の作為又は不作為を内容とする公法上の義務を課す行政処分であって、労働者又は労働組合にこれに対応する公法上の権利を付与したり、私法上の権利を付与したりするものではないが、上記の不当労働行為救済制度の目的や、使用者に確定判決によって支持された救済命令の違反があったときは罰則が課されること(労組法28条)に照らすと、救済申立てをした労働者又は労働組合は、救済命令により、不当労働行為がなかったと同じ事実上の状態の回復を受けることが法律上予定されているといえるから、この労働者又は労働組合の利益は、法律上の利益である。
そして、本案事件の判決において、中労委の発した救済命令中、会社の再審査申立てを棄却した部分の取消しが認められた場合には、組合らは、不当労働行為についての救済を受けられなくなるから、取消判決の効力によってその法律上の利益を害されるといえる。
したがって、組合らは、行訴法22条1項にいう「訴訟の結果により権利を害される第三者」に当たると認めるのが相当である。
なお、組合らは、本案事件において既に補助参加が認められているが、行訴法22条による参加の場合には、補助参加の場合以上の訴訟行為ができるから(同条4項)、既に補助参加が認められているからといって、行訴法22条による参加の利益がないとはいえない。
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掲載文献 |
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