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働き方改革に関する
セミナー情報
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令和2年度
セミナー開催レポート

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変わる、IT業界の働き方
~テレワークにより加速した働き方改革~
- オンラインセミナー概要 -

開催日 2021年1月22日(金) 14:00~17:15
主催 厚生労働省
会場 Zoomによるウェビナー形式 (ライブ配信)
参加者数 282名
講演者 【基調講演】
今野 浩一郎氏(学習院大学 名誉教授/学習院さくらアカデミー アカデミー長)
【講演】
千賀 篤史氏(PwCコンサルティング合同会社 公共事業部マネージャー)
【事例紹介】
清水 泰治氏(伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 人事部部長代行)
部田 裕介氏(株式会社リンクレア 経営企画室マネジャ)
【パネルディスカッション】
小鍛冶 広道氏(第一芙蓉法律事務所 弁護士)
堀之内 克彦氏(株式会社エムケーパーソナルセンター 代表取締役)
板矢 幸信氏(SCSK株式会社 人事・総務グループ 労務部 副部長)
阿部 真弓 氏(TEAM biz-consultant代表/社会保険労務士法人阿部事務所 所長)
※講演者の所属、役職は2021年2月時点のものです。
2021年1月22日、厚生労働省委託事業「令和2年度IT業界の働き方改革サポート事業」の一環として、「変わる、IT業界の働き方 ~テレワークにより加速した働き方改革~」と題したオンラインセミナーを開催しました。
セミナーでは、IT業界について、新型コロナウイルス等による働き方の変化をアンケート結果に基づき紹介したほか、働き方改革推進のポイントや企業事例も紹介しました。
また、パネルディスカッションでは、デジタル化が進む働き方の現状と今後の展望などについて議論しました。
当日はIT企業の人事・総務部門を中心とした経営層、管理職層の方々や専門職・士業の方々にもご参加いただきました。

基調講演

基調講演

最新のアンケート結果からみる、IT業界における働き方の変化

セミナー最初のプログラムは、基調講演として「IT業界の働き方に関する経年変化と新型コロナウイルスの影響調査」からIT企業の働き方改革施策の現状を確認するとともに、コロナ禍における働き方の変化を踏まえ、働き方改革を推進するための施策の方向性について今野浩一郎氏より説明がありました。
基調講演
2019年までのIT企業の働き方改革に関する施策として、最も実施されているのが労働時間に関連する施策となっており、次いで会社の考え方・方針を明確化する施策、プロジェクト管理関連の施策の順に実施されています。
コロナ禍を契機にテレワークが急速に拡大したことで、人材育成、なかでも若手社員の育成に関する施策の実施には影響が出ています。
テレワークによる「働き方の柔軟化」の効果は大きい一方、人材育成の機能不全や分散型業務遂行に伴う問題が生じています。
以上を踏まえて、今後IT企業には、テレワークに対応するための分散自立化した業務遂行を調整するマネジメント力の強化や、組織文化のレベルを向上させるために経営ビジョンや仕事の進め方などを共有するためのプラットフォームの強化が、働き方改革を一層推進するために必要になると考えます。
これまでの調査・分析の成果物として、人事担当者向けの「働き方・休み方改善ハンドブック」および現場のプロジェクトマネージャー向けの「働き方改革ハンドブック」等があります。

講演

働き方改革推進のポイント

2番目のプログラムとして、PwCコンサルティング合同会社の千賀氏からは、本事業において作成された「働き方改革実践の手引き~企業と社員のための働き方改革へ~」を活用した働き方改革の推進手法について説明がありました。
講演
コロナ禍を受け、テレワークを前提とした「新しい働き方」は国としても推進していますが、企業によって課題意識はそれぞれ異なるため、今一度自社が目指す姿を振り返り、中長期的に検討を進めていく必要があります。
コロナ禍においても、企業として目指すべきこと・やるべきことは本質的には変わりません。
ビジネスのデジタル化や非対面でのマネジメント、多様な働き方の実現に向けた人事システムの構築など、むしろやるべきことが加速化・高度化したと考えています。
働き方改革は自社のありたい姿を実現するための手段の一つで、まずは企業の目指す方向性や働き方改革の目的を明確にし、自社に必要な取組を社内外の同意を得て進めていくことが重要になります。
「働き方改革実践の手引き」では、働き方改革推進の取組を5つのフェーズに分け、そのフェーズごとにポイントを解説していますので、ぜひ手引きを活用いただき取組の参考にしていただけたらと思います。

事例紹介

事例紹介

「企業と社員のための働き方改革へ」
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、株式会社リンクレア

3番目は「企業と社員のための働き方改革」と題し、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社の清水氏、株式会社リンクレアの部田氏より自社における取組事例の説明がありました。
事例紹介
清水氏:
当社では2013年頃までは長時間労働対策へ取り組み、そこから「働き方改革」に着手しました。2014年度には「朝型勤務」の推奨をはじめ、2016年度には「時間の選択(時間単位有休やスライドワークなど)」「場所の選択(モバイルワークなど)」ができる勤務制度を整えました。
テレワークは当時は在宅勤務制度として2010年度から導入を開始し、2020年度には全社員を対象に週2日以内を上限にテレワーク制度を正式に導入しました。
その後、緊急事態宣言の発令を受けて、全社一斉にテレワークを推進しています。
このような取組により、2019年度までの6年間で社員の平均残業時間は15時間未満まで減少。
また年次有給休暇取得率は約75%以上まで増加という成果をあげています。
社員の自律と働く時間と場所の選択肢を広げていくことによって、更なる働きやすさ、働きがいをこれからも追求していきたいと思います。
事例紹介
部田氏:
当社では2020年2月に新型コロナウィルス感染症対策本部を設置し、テレワークは「推奨」から「原則」に変更されました。
5月には社内向けにテレワークに関する実態調査を行い、コミュニケーションの減少に不安を抱える社員が多くいることが分かりました。
そこで、会社の「一体感」や「仲間意識」の薄れを抑止するために会社の雰囲気や情報を効果的に伝える動画配信を行ったり、自己研鑽発表会をオンラインで実施するなど、モチベーションアップに努めてきました。
今後、業務内容やメンバー間の関係性をもとに、オンラインとリアルのそれぞれのメリットを活かしたハイブリッド式な働き方を目指していきたいと考えています。
鍵を握るのは、信頼関係です。
信頼関係を構築するために、当社ではお互いにフランクに相談しながら生産性やクオリティーを高めていく「雑相(ざっそう)」を推奨しています。

パネルディスカッション

未来予測が難しい時代の働き方を展望

最後のプログラムは、パネルディスカッションです。
「未来予測が難しい時代の働き方を展望」をテーマにTEAM biz-consultant代表の阿部氏をモデレーターに招き、パネリストには第一芙蓉法律事務所の小鍛冶氏、株式会社エムケーパーソナルセンターの堀之内氏、SCSK株式会社の板矢氏を迎えディスカッションが行われました。
パネルディスカッション
阿部氏:
テレワークという働き方を、従業員及び顧客とのエンゲージメント向上や企業業績向上につなげていくためにはどのような工夫が必要でしょうか。
まずは本事業で実施されたアンケート調査から多くのIT企業が課題と指摘した3つの項目、健康管理、人材育成、人材マネジメントに論点を絞り、今後の働き方改革の展望も含め、皆様方よりご意見をいただきたいと思います。
阿部氏:
まずは、健康管理についてお伺いします。
企業が安全配慮義務に抵触しないために、どのような配慮が必要でしょうか。
小鍛冶氏:
長時間労働是正のために企業が尽くすべき具体的な安全配慮義務として、最も重要なことは3つだと思っています。
1つ目は労働時間ないしは労働時間の状況の適切な把握とそれに基づく業務量の調整。
2つ目は上司のラインによるケア。
3つ目は健康診断と事後措置の確実な実施です。
コロナ禍においてテレワークが急速に進展し分散型の業務遂行になっても、この3つは変わらず重要です。
阿部氏:
続いて人材育成についてです。
コロナ禍のOJT研修、特に新入社員への研修とモチベーションアップに悩んでいるという意見を伺います。
対応策についてアドバイスをお願いします。
板矢氏:
今年度は新入社員への研修を完全にリモートで実施しており、カリキュラム自体はオンラインでも問題無く進むのですが、受講している本人の様子や日常のちょっとした変化を把握しづらい状況はありました。
そこで試行的にタレントマネジメントシステムを導入し、日々の気分を毎日5段階でチェックしてもらうようにしました。
気分が落ち込んでいる社員が増えた時期には、意図的にアイスブレイクの時間を長めに取る等研修を工夫していました。
来年度は、リアル・リモートでのパフォーマンスの高まり方を判断しながら、ハイブリッド式の実施方法を検討していきたいと考えています。
阿部氏:
従業員が自らの意志で学ぶ組織風土への変革の必要性も高まっているのでしょうか。
堀之内氏:
社員の意識や組織風土を改革する上で最も重要なことは、経営者自身がまずその意識と行動を変えることです。
新たな時代に向けて自社の経営理念、方針、ビジョンなどを見直し、必要に応じて刷新することも重要です。
そして、これまでの管理型・押し付け型のマネジメントから、いかに自立支援型のマネジメントに変えていくかが重要です。
つまり、社員が成果を出せる環境、あるいは成長できる環境をいかに会社が整備するかということになるかと思います。
阿部氏:
今後の働き方改革の展望についていかがでしょうか。
小鍛冶氏:
従業員の方が実際に健康を害すると、それがきっかけとなり様々な法的リスクが顕在化するのはよくあるケースです。
今後、我々が想像できないような、従来の枠に縛られないさまざまな働き方が出てくると思います。
各企業において、働くシーン、働き方によって従業員の心と身体の健康、特に心の健康が損なわれることのないような施策を常にワンセットで考えていく姿勢が大事だと思います。
堀之内氏:
働き方改革の本質は、仕事が楽になることや賃金・休日などの労働条件が向上することだけではなく、自分が成長したい、仲間との絆を感じたい、社会や組織に貢献したい等の人間の根源的な願いを実現することにあると思います。
そのような願いを叶えられる働き方をIT業界の皆さまがリードしていただけたら、その先に素晴らしい世界があると信じています。
板矢氏:
これから先は、”働きがい”に関しての改革を進めていくべきと考えています。
働き方改革を進めていくと、相反することが出てきているのも事実です。
例えば、安全衛生の観点で時間管理をしっかりと行う一方で、本人が自律して学習する自己研鑽の時間も必要になります。
色々な要素が絡み合うところは、経営層がバランスを取りながら、どれだけ従業員に腹落ちさせて事業運営していくかにかかってくると思います。

参加者アンケート(一部抜粋)

セミナーの参考度合についてアンケート調査を実施したところ、企業の事例紹介は「大変参考になった」「参考になった」が合わせて95%を超え、企業と社員のための働き方改革に関する具体的な取組事例への関心の高さを示しています。
各プログラムともに「大変参考になった」「参考になった」の合計が80%を超えており、総じて参加者の期待に応えることができたセミナーとなりました。
また、アンケート回答者のテレワークの実施状況としては、95%以上の方がテレワークを実施していました。
テレワークの課題(一部抜粋)
  • コミュニケーション不足への対応
  • 従業員のメンタルケア
  • 運動不足など健康面の対策
  • 評価制度、手当の見直し
  • 人材育成
  • テレワーク環境の整備
各プログラムの参考度合結果
各プログラムの参考度合結果
テレワークの実施状況
テレワークの実施状況
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