今野氏:
働き方改革に関する様々な施策の中で、労働時間の削減に効果的なオススメの施策はありますか?
小熊氏:
何か一つの施策で大きな効果があったわけではないのですが、Redmine等のツールを活用してプロジェクトを見える化したことにより、現場の状況が分かるようになったことで無理な計画の是正などにより残業を削減できました。
小さなことでも少しずつ地道に取り組むことで、ちょっとしたことでも目に見えるように変わってくると思います。
柳本氏:
施策というわけではないのですが、第三者の目を入れることは重要だと思いました。
社内の検討だけではなかなか取組が進まなかったのですが、コンサルティング会社の支援が入ったことで、これまでにはない気付きをもらえました。
それにより、社員の意識が変わり、働き方改革のムーブメントを起こすことができたと思います。
千葉氏:
顧客にサービスを提供する上で、本当にこのプロセスが必要かどうかを客観的に振り返ってみることがまずは重要です。
社員一人ひとりが自身の働き方を考えることでこれまでの受け身な仕事のやり方が変わり、生産性が向上する可能性があると思います。
今野氏:
働き方改革の施策を実施していく中で、社員は働き方が変わってきた実感があるのでしょうか?
また、社員の反応に変化はありましたか?
小熊氏:
職場環境を改善すると、社員は変化の実感を得やすいと思います。
強制的に年次有給休暇を取得させるような施策だとモチベーションが下がる社員もいますので、施策の実施にあたっては一律の目標ではなく多様性が求められます。
これからは、社員がいかに幸せになるか、お客様にいかに喜んでもらえるかといったところにフォーカスして、そのために会社として社員一人ひとりと対話をすることが重要だと考えています。
柳本氏:
まだ施策の取り組み途中ですが、社員から色々な反応が示されています。
経過をよく見ながら、今後の進め方を検討していきたいと思っています。
今野氏:
働き方改革を何のために行うかといった会社としてのメッセージを社員に伝えることが重要だと思いますが、そういったメッセージを伝える上での工夫や課題などはありますか?
小熊氏:
経営側として全社会議等でメッセージを発信していますが、現場にはなかなか実感を持って伝わらないこともあります。
経営側と現場を繋ぐためには、やはり直属の上司が重要だと考えています。
まずは部長が経営理念や会社のメッセージに共感した上で、その内容を課長にしっかりと伝え、そして課長はそのメッセージを腹落ちさせて自らの言葉で現場に伝えることができるようにしていきたいと考えています。
千葉氏:
世の中に数多くのIT企業がある中で、なぜ自分の時間を使いその会社で働くのかといったことを社員が実感できるように、会社の特別性や特異性を示すことが重要だと思います。
今野氏:
これまでの労働時間の問題と比べて難易度は高まるかと思いますが、働き方改革による生産性の向上や個人の成長についてはどのように考えていますか?
小熊氏:
社員がいかに自律するかです。
会社から休むよう指示されたから休む、キャリア開発を考えるよう指示されたからやる、ではダメなのです。そこにいくらお金を投資しても無駄です。
社員にはどんどん社外へ出て行って気づきを得てほしいと思っています。
若手だけでなく、従来のビジネスでの成功体験を持つミドルシニア層に今後も活躍してもらうために、あらゆる年代に対する意識改革が大きな課題です。
IT業界のビジネスでは今後どのような人材が必要になるか、これまでとは異なりシンプルにキャリアパスを示すことは難しく経営側も模索しているところですので、社員一人ひとりが自ら考えてキャリアアップしていく必要があります。
柳本氏:
業務の標準化やスキルの見える化を進めることで、社員間の業務平準化や個人の成長実感に繋げていきたいと考えています。
スキルマップに関しては細かく作れば良いというものでもなく、スキルをどこまで掘り下げて見える化すべきか検討しています。
千葉氏:
残業時間を減らし、休暇を増やした結果、顧客へ提供するバリューが低下してしまうと本末転倒です。まずはバリューを明確にし、それを実現するためにどのように生産性の高い働き方をしていくかを考えるべきです。
その次に、生産性向上により発生した余剰を、会社・社員個人が投資したいことにしっかりと還元していく仕組みが重要です。
働き方改革は、生産性向上による余剰をどのように活用するかという点で、会社としての経営戦略や個人としてのキャリア戦略に繋がってくると思います。