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平成31年(令和元年)度セミナー開催レポート

「IT業界働き方改革の実践に向けて」企業向けセミナー概要

開催日 :
2020年2月18日(火)14:30~16:30
主催  :
厚生労働省
会場  :
一橋講堂 中会議場
参加者数:
67名
講演者 :
今野浩一郎氏(学習院大学名誉教授/学習院さくらアカデミーアカデミー長)
千賀 篤史氏(PwCコンサルティング合同会社 シニアアソシエイト)
小熊 利章氏(アサヒビジネスソリューションズ株式会社 執行役員)
柳本 裕氏(株式会社ワイ・シー・シー 取締役執行役員)
千葉 竜太氏(PwCコンサルティング合同会社 シニアマネージャー)
※講演者の所属、役職は2020年2月時点のものです。

2020年2月18日、東京・一橋講堂 中会議場にて、厚生労働省委託事業「平成31年度IT業界の働き方改革サポート事業」の一環として、「IT業界働き方改革の実践に向けて」企業向けセミナー(厚生労働省主催)を開催しました。本セミナーでは、IT業界の働き方改革をより一層推進することを目的とし、IT業界で働き方改革を実践する上でのポイントの紹介等を行いました。当日は企業の人事・総務部門、経営企画部門の経営層、管理職の方々を中心にご参加いただきました。

■基調講演:「IT業界働き方改革の実践に向けて」

セミナー冒頭のプログラムでは、まず本事業の概要として、事業発足の背景や事業内容について本事業検討委員会の委員長である今野浩一郎氏より説明がありました。

働き方改革を進める上では、労働時間の削減と生産性向上をどのように結びつけるかが重要との認識のもと、プロジェクトの第1ステージでは労働時間管理に関する施策、第2ステージでは仕事の進め方やマネジメント方法等のプロジェクト管理に関する施策を整理しました。働き方改革は、労働時間管理とプロジェクト管理の両輪で進めていくことが大事ですので、第3ステージでは労働時間管理とプロジェクト管理双方の観点で有効な施策リストを作成し、リストアップした施策が労働時間や経営に与えるパフォーマンスについて分析しました。そして、第4ステージでは、企業へのコンサルティング支援を通じて、本事業におけるこれまでの調査・分析の成果が実際に企業の現場で活用出来るのか検証しているところです。

これまでの調査・分析の成果物として、人事担当者向けの「働き方・休み方改善ハンドブック」および現場のプロジェクトマネージャー向けの「働き方改革ハンドブック」等があります。

■講演:「働き方改革サポートハンドブック「働き方改革実践の手引き~企業と社員のための働き方改革へ~」のご紹介」

2つ目のプログラムでは、PwCコンサルティング合同会社の千賀氏より働き方改革サポートハンドブック「働き方改革実践の手引き~企業と社員のための働き方改革へ~」の作成背景や、働き方改革実践のポイントについて説明がありました。

働き方改革に取り組んでいる企業の中には、働き方改革に取り組むこと自体が目的となってしまう「働き方改革の自己目的化」の状態になっている企業も見受けられます。企業の状況や課題は百社百様ですので、杓子定規な取組ではうまくいきません。まずは、働き方改革が企業成長にとってなぜ必要かを考え、その上でどう進めていくかを考える必要があります。「働き方改革実践の手引き~企業と社員のための働き方改革へ~」では、本事業で過去に作成したハンドブックで紹介している様々な施策を最大限活用しながら、働き方改革をどのようなプロセスで実践していくべきかをまとめています。自社が取り組む施策を考えたら、まずは小さくとも取り組み始めてみる、そして取組が形骸化しないように定期的にモニタリングを行い、次なる打ち手に繋げていくことが大切です。

■事例紹介:アサヒビジネスソリューションズ株式会社、株式会社ワイ・シー・シー

3つ目のプログラムでは、アサヒビジネスリューションズ株式会社の小熊氏、株式会社ワイ・シー・シーの柳本氏より、自社における働き方改革の取組やその成果等について説明がありました。

小熊氏:これまでの働き方改革に関する取組は、就労環境や労務マネジメントの改善といった長時間労働の削減やコンプライアンスを目的とした比較的短期的なもので、長時間労働や年次有給休暇取得等の定量的な社内目標は今年度達成できる見込みです。これからは生産性の向上および新しい価値の創出、社員の自律・貢献実感を通じて、自社の経営理念を実現するための中長期的な取組を進めていきたいと考えています。アサヒグループにおいてITが果たすべき役割は変化していますので、自社の役割を拡大し、環境変化に即したサービス・価値を提供していく必要があります。そうした取組を通じて、アサヒグループのビジネスの成長への貢献を実現できた状態が、働き方を改革できた状態であると思います。

柳本氏:近年の企業を取り巻く様々な環境変化や社内就業環境への懸念、またトップの危機感から働き方改革の取組をスタートしました。働き方改革に取り組むにあたっては、まずは社内ワーキンググループ(WG)を発足させ、WGで策定した3ヶ年の推進ロードマップに基づき様々な施策を実行しているところです。働き方改革における一般的な施策の実施にとどまらず、社員自ら自社固有の問題を解消するために新たな制度づくりに取り組む等、ボトムアップの活動も進んでいます。こうした取組の成果が、労働時間削減や年次有給休暇取得率向上に繋がってきており、今後も根気よく取組を継続していきたいと考えています。

■パネルディスカッション:「働き方改革による企業と個人の成長への挑戦」

最後のプログラムでは、今野氏(モデレーター)、小熊氏・柳本氏・千葉氏(パネリスト)により、働き方改革によって労働時間をどのように削減していくかといった点や、働き方改革による労働時間削減や生産性向上をどのように個人の成長に結び付けていくかといった点についてディスカッションが行われました。

今野氏:働き方改革に関する様々な施策の中で、労働時間の削減に効果的なオススメの施策はありますか?

小熊氏:何か一つの施策で大きな効果があったわけではないのですが、Redmine等のツールを活用してプロジェクトを見える化したことにより、現場の状況が分かるようになったことで無理な計画の是正などにより残業を削減できました。小さなことでも少しずつ地道に取り組むことで、ちょっとしたことでも目に見えるように変わってくると思います。

柳本氏:施策というわけではないのですが、第三者の目を入れることは重要だと思いました。社内の検討だけではなかなか取組が進まなかったのですが、コンサルティング会社の支援が入ったことで、これまでにはない気付きをもらえました。それにより、社員の意識が変わり、働き方改革のムーブメントを起こすことができたと思います。

千葉氏:顧客にサービスを提供する上で、本当にこのプロセスが必要かどうかを客観的に振り返ってみることがまずは重要です。社員一人ひとりが自身の働き方を考えることでこれまでの受け身な仕事のやり方が変わり、生産性が向上する可能性があると思います。

今野氏:働き方改革の施策を実施していく中で、社員は働き方が変わってきた実感があるのでしょうか?また、社員の反応に変化はありましたか?

小熊氏:職場環境を改善すると、社員は変化の実感を得やすいと思います。強制的に年次有給休暇を取得させるような施策だとモチベーションが下がる社員もいますので、施策の実施にあたっては一律の目標ではなく多様性が求められます。これからは、社員がいかに幸せになるか、お客様にいかに喜んでもらえるかといったところにフォーカスして、そのために会社として社員一人ひとりと対話をすることが重要だと考えています。

柳本氏:まだ施策の取り組み途中ですが、社員から色々な反応が示されています。経過をよく見ながら、今後の進め方を検討していきたいと思っています。

今野氏:働き方改革を何のために行うかといった会社としてのメッセージを社員に伝えることが重要だと思いますが、そういったメッセージを伝える上での工夫や課題などはありますか?

小熊氏:経営側として全社会議等でメッセージを発信していますが、現場にはなかなか実感を持って伝わらないこともあります。経営側と現場を繋ぐためには、やはり直属の上司が重要だと考えています。まずは部長が経営理念や会社のメッセージに共感した上で、その内容を課長にしっかりと伝え、そして課長はそのメッセージを腹落ちさせて自らの言葉で現場に伝えることができるようにしていきたいと考えています。

千葉氏:世の中に数多くのIT企業がある中で、なぜ自分の時間を使いその会社で働くのかといったことを社員が実感できるように、会社の特別性や特異性を示すことが重要だと思います。

今野氏:これまでの労働時間の問題と比べて難易度は高まるかと思いますが、働き方改革による生産性の向上や個人の成長についてはどのように考えていますか?

小熊氏:社員がいかに自律するかです。会社から休むよう指示されたから休む、キャリア開発を考えるよう指示されたからやる、ではダメなのです。そこにいくらお金を投資しても無駄です。社員にはどんどん社外へ出て行って気づきを得てほしいと思っています。若手だけでなく、従来のビジネスでの成功体験を持つミドルシニア層に今後も活躍してもらうために、あらゆる年代に対する意識改革が大きな課題です。IT業界のビジネスでは今後どのような人材が必要になるか、これまでとは異なりシンプルにキャリアパスを示すことは難しく経営側も模索しているところですので、社員一人ひとりが自ら考えてキャリアアップしていく必要があります。

柳本氏:業務の標準化やスキルの見える化を進めることで、社員間の業務平準化や個人の成長実感に繋げていきたいと考えています。スキルマップに関しては細かく作れば良いというものでもなく、スキルをどこまで掘り下げて見える化すべきか検討しています。

千葉氏:残業時間を減らし、休暇を増やした結果、顧客へ提供するバリューが低下してしまうと本末転倒です。まずはバリューを明確にし、それを実現するためにどのように生産性の高い働き方をしていくかを考えるべきです。その次に、生産性向上により発生した余剰を、会社・社員個人が投資したいことにしっかりと還元していく仕組みが重要です。働き方改革は、生産性向上による余剰をどのように活用するかという点で、会社としての経営戦略や個人としてのキャリア戦略に繋がってくると思います。

■参加者アンケート(一部抜粋)

セミナーの参考度合についてアンケート調査を実施したところ、企業の事例紹介は「大変参考になった」「参考になった」が合わせて91%以上であり、働き方改革に関する企業の具体的な取組事例への関心の高さを示しています。また、各プログラムともに「大変参考になった」「参考になった」の合計が70%を超えており、総じて参加者の期待に応えることができたセミナーとなりました。

また、参加企業の働き方改革への取組状況としては、6割以上の企業が何かしらの取組に既に着手していました。

〇働き方改革の具体的な取組内容(回答結果)
・時間外労働の上限規制
・年次有給休暇の取得促進
・部課別の残業時間・年次有給休暇取得率のモニタリングと注意喚起
・時間単位年休の導入
・RPAの導入促進
・テレワークや在宅勤務制度の拡大
・フレックスタイム制の導入


各プログラムの参考度合結果(会場合計)

長時間労働対策への取組状況(会場合計)

◎平成30年度セミナー開催レポート »

■平成31年(令和元年)度セミナー配布資料 »

■平成30年度セミナー配布資料 »

■平成29年度セミナー配布資料 »

■平成28年度セミナー配布資料 »