1907年(明治40年)放浪患者の救済を目的として制定された「癩予防ニ関スル件」は1931年(昭和6年)すべての患者の隔離を目的とした法律「らい予防法」に変わりました。この隔離の考え方はその後も続き、第二次世界大戦が終わった後も、ハンセン病は隔離を必要としない病気であるという世界の医学の流れに耳をかすことなく、さらに人権思想や民主主義の新しい時代を迎えたにも関わらず1953年(昭和28年)改正された新しい「らい予防法」は基本的には前法と変わらない隔離を目的としたものでした。

それから43年、1996年(平成8年)、90年続いたらい予防法は廃止され「らい予防法廃止に関する法律」が施行され入所者の人権が回復されました。しかしながら、この間入所者の高齢化は進みその多くは療養所で亡くなったり、社会復帰困難な入所者が増えることになってしまいました。

そして今年、2009年4月、入所者や退所者の方々の名誉回復をはじめ諸々の問題解決を可能にする新しい法律「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」が施行になり入所者の望む地域住民との生活の一体化が可能になりました。私たちはこの療養所が地域に開かれるばかりでなく入所者の皆さんが地域の人たちと共に生きていける療養所のあり方を検討しています。その日が早く来るようにと日々努力しています。