概要情報
事件名 |
エッソ石油 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和58年(不)第73号
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申立人 |
スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合エッソ大阪支部 外1名 |
被申立人 |
株式会社 富士銀行 |
被申立人 |
エッソ石油 株式会社 |
被申立人 |
信用保証サービス 株式会社 |
命令年月日 |
昭和62年 7月20日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合員X1を業務命令違反を理由に解雇し、このため同人が財形住宅ローンを利用できなくなり、競落手続により住宅の所有権を失ったことが争われた事件で、会社に対して文書掲示を命じ、銀行及び信用保証サービス会社に対する申立ては却下した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人エッソ石油株式会社は、申立人各自に対し下記の文書を速やかに手交するとともに、2メートル×2メートル大の白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、速やかに被申立人の大阪工業用製品支店入口付近の従業員の見やすい場所に2週間掲示しなければならない。 記 年 月 日 スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合 エッソ大阪支部 執行委員長 X2 殿 X1 殿 エッソ石油株式会社 代表取締役 Y1 当社は、申立人X1氏を解雇することにより、従業員としての地位を失わせるだけにとどまらず、財形住宅ローンの償還金返済を困難にさせ、同人が居住する不動産の所有権を失うに至らせました。 当社のかかる行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、ここに陳謝いたします。 2 申立人らの、被申立人株式会社富士銀行及び被申立人信用保証サービス株式会社に対する申立ては、いずれも却下する。 |
判定の要旨 |
1601 福利厚生上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が、申立人X1を解雇することにより、従業員としての地位を失わせるだけに止まらず、財形住宅ローンの償還金返済を困難にさせ、同人が居住する不動産の所有権を失うに至らせたことが不当労働行為であるとされた例。
4611 P.Nの掲示の場所を配慮した例
4614 文書手交のみを命じた例
申立人らは、全事業所での謝罪文の掲示及び社内報による謝罪文の配布を求めたが、申立人X1所属支店での掲示及び申立人らへの手交で足りるとされた例。
4916 企業に影響力を持つ者
会社の、財形住宅融資制度の導入に伴う、財形住宅ローンの契約当事者である銀行及びサービス会社は、X1に対する使用従属関係にないから被申立人適格がないとして却下された例。
5008 その他
申立人らは、本件不動産について居住権及び所有権の回復を求めているが、競売手続により不動産の所有権を失った以上、不当労働行為制度により原状回復を行うことはできないとされた例。
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業種・規模 |
石油製品・石炭製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集82集79頁 |
評釈等情報 |
 
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