労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  明輝製作所 
事件番号  東京高裁昭和60年(行コ)第62号 
控訴人  株式会社 明輝製作所 
被控訴人  中央労働委員会 
被控訴人参加人  総評全国一般労働組合神奈川地方本部 
判決年月日  昭和61年 9月29日 
判決区分  控訴の棄却 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、初審の神奈川地労委の団交応諾及びポスト・ノーティスを内容とする救済命令を支持した中労委命令の取消しを求めて争った事件である。会社は、差戻し前の東京高裁の段階で、団交応諾を命じた部分の訴えを取り下げた。そこで高裁は、残りのポスト・ノーティスを命じた部分は、既にその掲示期間が満了しており、履行が期間経過により不能であり訴えの利益がないとして、東京地裁の判決を取り消し、会社の訴えを却下するとの判決を言い渡した。中労委としては、この高裁の判決は、不当労働行為救済制度の運用に関して重大な混乱を生ぜしめるものであるとして上告したところ、最高裁は、高裁の判決を破棄し高裁に差し戻すとの判決を言い渡した。この差戻し審において、東京高裁は、会社の控訴を棄却する旨の判決を言い渡した。 
判決主文  1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用(参加に係る費用を含む。)は差戻の前後を通じて控訴人の負担とする。 
判決の要旨  5007 謝罪・陳謝・誓約文の手交・掲示
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
団交の議題は各職場組合員の要求であったから、労委の命じた謝罪文中に団交の直接の相手でない分会が名宛人として表示されていても謝罪の趣旨を不当にするものではなく、本件謝罪文の掲示を命じたことは不当ではない。

4617 その他
6355 その他
謝罪文の掲示場所である工場が閉鎖されても、工場の組織は他工場に同一性を保って存在しているから、命令の趣旨に沿った掲示は可能である。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
4617 その他
6355 その他
謝罪文の名宛人と表示された分会の組合員が零になったとしても、組合は存在するのであるから、不当労働行為の確認と同種行為の反復の防止という謝罪文掲示の目的に照らし、組合の救済利益ないし必要性が消滅するものではない。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集21集413頁 
評釈等情報  労働判例  484号 95頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
神奈川地労委昭和51年(不)第28号-1 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  昭和52年 1月21日 決定 
中労委昭和52年(不再)第9号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  昭和52年10月19日 決定 
神奈川地労委昭和51年(不)第28号-2 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和54年 2月15日 決定 
東京地裁昭和52年(行ウ)第353号 請求の棄却  昭和55年 4月11日 判決 
東京高裁昭和55年(行コ)第36号 控訴の却下  昭和56年 5月27日 判決 
中労委昭和54年(不再)第14号/他 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  昭和56年 7月 1日 決定 
中労委昭和54年(不再)第13号/他 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  昭和56年 7月 1日 決定 
東京地裁昭和56年(行ウ)第98号 救済命令の一部取消し  昭和60年 5月 9日 判決 
最高裁昭和56年(行ツ)第162号 控訴審への差戻し  昭和60年 7月19日 判決 
東京高裁昭和60年(行コ)第33号 控訴の棄却  昭和61年12月11日 判決 
東京高裁昭和61年(行サ)第110号 上告の却下  昭和62年 3月12日 判決