事件名 |
明輝製作所 |
事件番号 |
東京地裁昭和56年(行ウ)第98号
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原告 |
株式会社 明輝製作所 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方本部 |
判決年月日 |
昭和60年 5月 9日 |
判決区分 |
救済命令の一部取消し |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、申立人組合の分会が公然化した直後から、工場の下
級職制等に対して非組合員の範囲に関する会社側の一方的見解を表明したこと、及び申立人組合を誹謗・中傷したことなどが不当
労働行為に当たるとして、脱退工作の禁止及びポスト・ノーティスを命じ、その余の救済申立て(損害金の請求)を棄却して、中
労委もこの一部救済命令を支持して労使の各再審査申立てを棄却したところ、会社は、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提
起した。同地裁は、全国一般神奈川地本明輝製作所横浜分会あてのポスト・ノーティスを命じた部分については、同分会が、再審
査の審問終結時以前から既に組合員が零となって、労働組合として消滅しており、再審査命令において当該部分を取り消すべきで
あったところ、これを取り消すことなく全てについて棄却した再審査命令は、その部分に限って違法であるからその限りにおいて
取り消し、その余の請求は棄却する旨の判決を下した。 |
判決主文 |
一 原告を再審査申立人、補助参加人を再審査被申立人とする中労委
昭和54年(不再)第13号不当労働行為再審査申立事件につき、被告が昭和56年7月1日付けでした別紙(二)命令書記載の
命令中、次の部分を取り消す。
補助参加人を申立人、原告を被申立人とする神労委昭和51年(不)第28号不当労働行為申立事件につき、神奈川県地方労働
委員会が昭和54年2月15日付でした別紙(一)命令書記載の命令中、主文第二項の総評全国一般労働組合神奈川地方本部明輝
製作所横浜分会宛誓約書の掲示を命ずる部分に対する再審査申立てを棄却した部分。
二 原告のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用は原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
4200 組合解散・消滅
6355 その他
審問終結時前に組合員が零となり労働組合としては消滅している分会宛に誓約書の掲示を命ずることは、救済を与える対象が消滅
し、その効力を生ずるに由ないものとなっているので、当該命令部分を維持した本件再審査命令はその部分に限って違法である。
5007 謝罪・陳謝・誓約文の手交・掲示
6120 取消訴訟の対象
分会宛の誓約書の掲示を命じた初審命令は、分会脱退者を分会長として表示しているが、分会長の表示は、分会宛の誓約書を同分
会を代表する分会長が代表して受領することを示すものであり、それ自体分会の表示と別個独立の意味を有するものでなく、分会
の表示に誤りがない限り分会長の表示に誤りがあっても命令の効力に何らの影響はなく、これを維持した本件再審査命令に違法は
ない。
2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
親睦会主催の三工場合同サッカー大会の開催に際し、未だ組織化されていない東京工場の職制らが、会社の意を体して同工場の従
業員を参加させなかったことは、他工場の従業員と接触することにより組合の組織化を働きかけられることを避けようとしてなし
たものと推認するのが相当であり、右職制らの所為は支配介入にあたる。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
Y1製造部長のX1分会長の母に対する電話での発言は、分会及びその上部団体に対する誹謗、中傷を通じてX1を組合から脱退
させようと働きかけたものと認めるのが相当であり、支配介入にあたる。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
管理職らのグループ長に対する発言は、その内容が取引先の発言をそのまま伝えたものであっても、分会公然化の直後ということ
をも考慮すると、組合に対する嫌悪感を表明し、分会員に会社の将来に対する不安感を抱かせ分会からの脱退を暗に求めているも
のと認めるのが相当であり、これらの発言は会社の意を体してなした支配介入である。
2610 職制上の地位にある者の言動
2623 脱退届け作成・提出強要
3410 職制上の地位にある者の言動
Y2及びY3両係長が分会員の脱退届をまとめて分会あて郵送したことなどの言動は、会社の分会及びその上部団体に対する考え
方やその対応を前提としてみると会社の意を対したものと認めるのが相当であり、支配介入にあたる。
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業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集20集145頁 |
評釈等情報 |
労働関係民事裁判例集 36巻3号 303頁
労働経済判例速報 1241号 3頁
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